以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、マシニングセンタ(工作機械)の外観を示す斜視図である。また図2は、マシニングセンタの加工に係る主要部分の構成を示す正面図である。本実施の形態に係るマシニングセンタは、加工対象であるワーク(図示は省略する)と工具とを相対移動させて、ワークに所望の機械加工(例えば、スライス削り、穴あけ又は切削等)を施すことができる工作機械である。マシニングセンタは金属製の基台1を備え、基台1の下部の四隅には脚部がそれぞれ設けられ、これら4つの脚部が床面などに設置されることにより、マシニングセンタが所定場所に設置される。基台1は、マシニングセンタの前後方向に長い直方体状の鋳造品である。
マシニングセンタの基台1の後部上にはコラム座部3が設けられ、コラム座部3には鉛直上方へ延びる柱状のコラム4が立設されている。コラム4には、その前面に沿って上下移動可能に主軸ヘッド5が設けられている。主軸ヘッド5には、加工用の工具6が装着される主軸5Aと、主軸5Aに装着された工具6を他の工具6に交換するための工具交換機構7とが設けられている。また図1において図示は省略するが、コラム4の上部にはZ軸モータ(図示は省略する)が設けてあり、Z軸モータの回転によって主軸ヘッド5を上下に移動させることができる。
主軸ヘッド5には、加工軸に相当する主軸5Aが回転可能に装着され、主軸5Aを回転駆動するための主軸モータ(図示は省略する)が上部に備えられている。主軸5Aの下端には工具6が着脱可能に装着され、主軸5Aが主軸モータにより回転駆動されることによって工具6が回転し、テーブル8に固定したワークの加工が行われる。主軸5Aは、主軸ヘッド5の上下移動によって上方の交換位置と下方の加工位置との間を移動する。工具交換機構7は、工具6を支持する工具ホルダを複数格納する工具マガジン14と、主軸5Aに装着された工具ホルダと工具マガジン14に格納された他の工具ホルダとを把持して搬送し、工具交換を行う工具交換アーム15とを備えている。
また基台1上には、主軸ヘッド5の下方に、ワークを着脱可能に固定することができるテーブル8が配置してある。テーブル8は、サーボモータであるX軸モータ及びY軸モータ(図示は省略する)により、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(前後方向)へ移動制御される。詳しくは、テーブル8の下側には直方体状の支持台10が設けてあり、支持台10にはX軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドを設け、1対のX軸送りガイド上にテーブル8を移動可能に支持している。また基台1の上部には、長手方向(Y軸方向)に沿って延びる1対のY軸送りガイドを設け、1対のY軸送りガイド上に支持台10を移動可能に支持している。基台1上に設けたY軸モータがY軸送りガイドに沿ってY軸方向に支持台10を移動駆動すると共に、支持台10上に設けたX軸モータがX軸送りガイドに沿ってX軸方向にテーブル8を移動駆動する。
X軸送りガイドには、テレスコピック式に収縮するテレスコピックカバー11、12がテーブル8の左右両側に設けてある。Y軸送りガイドには、テレスコピックカバー13とY軸後カバーとが、支持台10の前後にそれぞれ設けてある。テーブル8及び支持台10がそれぞれいずれの方向に移動した場合であっても、X軸送りガイド及びY軸送りガイドは常にテレスコピックカバー11、12、13及びY軸後カバーによって覆われる。テレスコピックカバー11、12、13及びY軸後カバーは、ワークの加工領域から飛散する切粉などがX軸送りガイド及びY軸送りガイド等へ落下することを防止するためのものである。
コラム4の背面側には、箱状の制御ボックス9が設けられており、制御ボックス9の内部にはマシニングセンタの動作を制御するための制御部20(図3参照)等が収容されている。また制御ボックス9の両側面及び背面には、制御ボックス9の内外の換気を行うことによって、制御ボックス9内に収容された種々の電気機器を冷却するファン16がそれぞれ設けられている(ただし図1においては、1つのファン16のみを図示してある)。
図3は、マシニングセンタの電気的構成を示すブロック図である。なお図3においては、電力供給経路を太実線で示してある。マシニングセンタは、制御ボックス9に収容された制御部20に、複数のサーボアンプ30及び切替部43等が通信線などを介して接続されており、制御部20はサーボアンプ30及び切替部43等との間で種々の情報を入出力(送受信)しながら工作に係る制御処理を行っている。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、入出力部24及び操作パネル25等を備えて構成されている。CPU21は、ROM22に予め記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、種々の演算処理を行う。CPU21は、サーボアンプ30及び切替部43等から入力された情報を基に演算処理を行い、演算結果をサーボアンプ30及び切替部43等へ出力することによって、マシニングセンタの各部の動作を制御し、ワークに対する加工などを行う。
ROM22は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子で構成され、CPU21が実行する制御プログラム及び各種の処理に必要な情報等が予め記憶されている。また本実施の形態に係るマシニングセンタは、機内に搭載された複数の電気的負荷について、各電気的負荷を動作させた際に消費される電力量に係る情報が、ROM22に予め記憶されている。
RAM23は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等の記憶素子で構成され、CPU21の演算処理の過程で発生した情報、並びに、サーボアンプ30及び切替部43等との間で授受した情報等を一時的に記憶する。入出力部24は、通信線などを介してサーボアンプ30及び切替部43等と接続されており、これらとの間で情報の入出力を行う。入出力部24は、CPU21から与えられた情報を所定の出力先へ出力すると共に、サーボアンプ30又は切替部43等から入力された情報をCPU21へ与える。操作パネル25は、作業者によるマシニングセンタの操作を受け付けるためのものであり、操作受付のための複数のスイッチと、メッセージ及びメニュー等を表示する液晶表示部とを有している。操作パネル25は、受け付けた操作内容をCPU21へ通知する。
サーボアンプ30は、主軸5Aを回転させる主軸モータ、テーブル8をX軸方向及びY軸方向へ移動させるX軸モータ及びY軸モータ、並びに、主軸ヘッド5をZ軸方向へ移動させるZ軸モータ等の各種のモータをそれぞれ駆動するものである。サーボアンプ30は、制御部20から与えられた指示に応じてモータを駆動し、モータの回転量などの情報を検出して制御部20へ与える。
マシニングセンタは、外部の交流電源100から供給される電力によって動作する。交流電源100は、例えば単相200Vの商用交流電源であり、マシニングセンタのプラグ及び電源ケーブル等が接続されることによって、交流電源100からマシニングセンタへの電力供給が行われる。マシニングセンタでは、交流電源100からの電力が、ヒューズ41、AC/DC変換器42及び切替部43を介して、ファン16、機内灯17、バックライト18、給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52等の電気的負荷へ供給されている。
ヒューズ41は、所定の電流(定格電流)が流れた場合に、電力供給経路を遮断することによって、異常時に加熱又は発火等の発生を防止するための回路素子である。AC/DC変換器42は、交流電源100から供給される交流電力(例えば単相200V)を直流電力(例えば24V)に変換して切替部43へ出力する。
切替部43は、ファン16、機内灯17、バックライト18、給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52等の電気的負荷が接続されており、これらに対する直流電力の供給/非供給を個別に切り替える制御を行っている。切替部43は、AC/DC変換器42から各電気的負荷への電力供給経路中にそれぞれ配されるスイッチを有し、これらスイッチの開閉を個別に切り替えることによって、各電気的負荷への電力の供給/非供給を個別に切り替える。各電気的負荷は、切替部43から直流の電力が供給されることによって動作する。
マシニングセンタは、基台1の上部を覆う箱状のスプラッシュカバー(図示は省略する)を備えている。スプラッシュカバー内は外部からの光がある程度遮断されるため、スプラッシュカバー内には機内灯17が設けられ、スプラッシュカバー内を照らすことによって作業者の視認性を向上している。またマシニングセンタの操作パネル25は液晶表示部を備えており、バックライト18は液晶表示部の表示に用いられるものである。ファン16、機内灯17及びバックライト18は、マシニングセンタの動作中は連続的に動作する電気的負荷(第1の電気的負荷)である。
給脂用ポンプ50は、マシニングセンタの機械機構に対する給脂を行うためのポンプである。例えばマシニングセンタは主軸ヘッド5をZ軸方向へ移動させる機械機構を備えている。マシニングセンタのコラム4には鉛直方向にガイドレールが固定され、主軸ヘッド5はこれに設けた複数の摺動コマを介してガイドレールに沿ってZ軸方向へ移動可能に取り付けられている。またガイドレールと平行に配設されたボールネジに、主軸ヘッド5に設けたナット部材が螺合挿通されている。マシニングセンタはZ軸モータによってボールネジを正逆方向へ回転駆動し、ボールネジ及びナット部材によって主軸ヘッド5はガイドレールに沿ってZ軸方向へ移動する。マシニングセンタは、給脂用ポンプ50を動作させることによって、ボールネジなどへの給脂を行う。なお、給脂用ポンプ50が給脂を行う機械機構は、主軸ヘッド5のZ軸方向への移動を行う機械機構に限らない。
マシニングセンタが備えるスプラッシュカバーの正面には、スライド式の扉が設けられている。マシニングセンタは、扉開閉スイッチなどに対する操作に応じて扉開閉モータ51を回転駆動し、扉を自動的に開閉することができる。1回の扉の開又は閉に伴う扉開閉モータ51の動作時間は数秒程度である。扉開閉モータ51は、切替部43からの直流電力の供給により動作する。
またマシニングセンタは、工具マガジン14に多数の工具が収容されており、一の工具によるワークの加工が終了した場合、工具交換機構7によって主軸5Aに装着された一の工具と工具マガジン14に収容された他の工具とを交換し、交換した工具によるワークの加工を行う。工具交換の際に、マシニングセンタは使用済みの工具の折損検出を行う。折損検出用モータ52の回転軸には、回転軸の軸方向に略直交する方向に細い棒状のタッチセンサが設けられており、マシニングセンタは、使用済みの工具の近傍にて折損検出用モータ52を1回転してタッチセンサを旋回させる。このときに、タッチセンサが工具に接触すれば工具の折損は生じておらず、タッチセンサが工具に接触しなければ工具の折損が生じていると判断することができ、マシニングセンタはこれにより工具の折損検出を行っている。工具の折損検出を行う際の折損検出用モータ52の動作時間は数秒程度である。
マシニングセンタの給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52は、マシニングセンタの動作に対して間欠的又は不定期的に動作する電気的負荷(第2の電気的負荷)である。
マシニングセンタの制御部20は、図示しない電源スイッチなどの操作によって電源が投入されて動作を開始した場合、切替部43へ指示を与えることによってファン16、機内灯17及びバックライト18の動作を開始する。なお、このとき制御部20は、給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52は動作させない。その後、制御部20は、作業者による操作パネル25の操作に応じて、サーボアンプ30などへの動作指示を与えることにより、ワークに対する加工を開始する。
制御部20は、ワークの加工を行った時間を計時するタイマを備えており、このタイマが計時した時間の情報は不揮発性の記憶領域(例えばROM22)に記憶される。タイマの計時が所定時間(例えば5時間)に達した場合、制御部20は、機械機構に対する給脂を行う。このときに制御部20は、切替部43へ指示を与えることにより、給脂用ポンプ50を所定時間(例えば10秒)動作させる必要がある。
また制御部20は、図示しない扉開閉スイッチなどの操作がなされた場合に、切替部43へ指示を与えることにより、扉開閉モータ51を駆動して扉の開閉動作を行う必要がある。扉開閉モータ51を駆動する時間は数秒程度である。また制御部20は、主軸5Aに装着された工具の交換を行う際に、切替部43へ指示を与えることにより、折損検出用モータ52を回転駆動する必要がある。折損検出は工具交換を行う毎に行われ、1回の工具交換における折損検出用モータ52を駆動する時間は数秒程度である。
制御部20は、通常はファン16、機内灯17及びバックライト18等の第1の電気的負荷を連続的に動作させているが、所定の条件が満たされることによって給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51又は折損検出用モータ52等の第2の電気的負荷を動作させる必要が生じた場合には、これら第2の電気的負荷を間欠的又は不定期的に動作させる。ただし制御部20は、第2の電気的負荷を動作させる前に、その時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と動作させる必要がある第2の電気的負荷の動作電力量との合計量を算出し、算出した合計電力量と所定電力量(ヒューズ41の許容電力量又はAC/DC変換器42の出力電力量等により定まる)との比較を行う。
算出した合計電力量が所定量を超えない場合、制御部20は、切替部43へ指示を与えることによって、所望の第2の電気的負荷を動作させることができる。これに対して、算出した合計電力量が所定量を超える場合、所望の第2の電気的負荷を動作させることができないため、制御部20は、第1の電気的負荷のいずれかを選択して一時的に動作を停止し、その後に第2の電気的負荷を動作させる。ROM22には各電気的負荷の動作電力量が予め記憶されており、制御部20はこの情報に基づいて合計電力量の算出及び動作停止する第1の電気的負荷の選択等の処理を行っている。
図4は、ROM22に記憶される各電気的負荷の電力量の一例を示すテーブルである。制御部20のROM22には、第1の電気的負荷及び第2の電気的負荷のそれぞれについて、動作時に消費される電力量(動作電力)が対応付けて記憶されている。例えば、第1の電気的負荷であるファン16の動作電力量は30Wであり、機内灯17の動作電力量は45Wであり、バックライト18の動作電力量は19Wであると記憶されている。また第2の電気的負荷である給脂用ポンプ50の動作電力量は30Wであり、扉開閉モータ51の動作電力量は46Wであり、折損検出用モータ52の動作電力量は40Wである。これらの動作電力量は、マシニングセンタの設計段階において予め測定したものであってよく、又は各負荷のカタログスペックであってよい。ただしROM22に記憶する各負荷の動作電力量はワースト値であることが好ましい。
図5は、マシニングセンタの電気的負荷の動作切替を説明するための模式図であり、図4に示したテーブルの動作電力量に基づく動作切替の一例をタイミングチャートとして図示してある。なお本例では、第1の電気的負荷はファン16、機内灯17及びバックライト18の3つのみであり、第2の電気的負荷は給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52の3つのみであるとし、合計動作電力量として許容される電力量(所定量)を100Wとしてある。なお本図において、t0〜t5の間隔は、全て同じようになっているが、実際t1〜t2、t3〜t4、t5〜の間隔は、t0〜t1等の他の間隔よりも短い。
まず時刻t0にてマシニングセンタが起動され、制御部20は、ファン16、機内灯17及びバックライト18の動作を開始する。このときの合計動作電力量は30W+45W+19W=94Wである。次いで時刻t1にて給脂用ポンプ50を動作させるタイミングに至った場合、制御部20は、給脂用ポンプ50の動作電力量が30Wであるため、同様に動作電力が30Wであるファン16の動作を停止して給脂用ポンプ50を動作させる。なおこのときに機内灯17の動作を停止して給脂用ポンプ50を動作させることもできるが、制御部20は、ファン16、機内灯17、バックライト18の順で動作停止する第1の電気的負荷を選択するものとする(ただし、この順に限るものではない)。このときの合計動作電力量は、45W+19W+30W=94Wである。
給脂用ポンプ50の動作終了後、時刻t2にて制御部20はファン16の動作を再開する。次いで時刻t3にて扉開閉モータ51を動作させる場合、扉開閉モータ51の動作電力量が46Wであるため、制御部20は、ファン16及び機内灯17の動作を停止して扉開閉モータ51を動作させる。このときの合計動作電力量は、19W+46W=65Wである。扉開閉モータ51の動作終了後、時刻t4にて制御部20はファン16及び機内灯17の動作を再開する。次いで時刻t5にて折損検出用モータ52を動作させる場合、折損検出用モータ52の動作電力量は40Wであるため、制御部20は、機内灯17の動作を停止して折損検出用モータ52を動作させる。このときの合計動作電力量は、30W+19W+40W=89Wである。折損検出用モータ52の動作終了後、制御部20は機内灯17の動作を再開する。
このように、第2の電気的負荷を動作させると合計電力量が所定量を超える場合、制御部20は、その時点で動作している第1の電気的負荷の中から動作を停止する一又は複数の第1の電気的負荷を選択し、選択した第1の電気的負荷の動作を停止した後で所望の第2の電気的負荷を動作させる。制御部20は、所望の第2の電気的負荷を動作させた場合であっても合計動作電力量が所定量を超えないように、動作停止する第1の電気的負荷を選択する。例えば制御部20は、動作させる所望の第2の電気的負荷の動作電力量に対して、動作停止する第1の電気的負荷の動作電力量が多くなるように、一又は複数の第1の電気的負荷を選択すればよい。
なお、制御部20は、複数の第2の電気的負荷を同時的に動作させない(択一的に動作させる)。もし複数の第2の電気的負荷を動作させるタイミングが重複した場合、制御部20は、予め定められた順序で第2の電気的負荷を動作させる。例えば制御部20は、折損検出用モータ52、扉開閉モータ51、給脂用ポンプ50の順で第2の電気的負荷の動作を行う(ただしこの順序は一例であって、これに限るものではない)。
図6〜図9は、マシニングセンタの電気的負荷の動作切替処理の手順を示すフローチャートである。マシニングセンタの電源投入により、まず制御部20は、切替部43へ指示を与えることによって、ファン16、機内灯17及びバックライト18の動作を開始する(ステップS1)。次いで制御部20は、タイマの計時に基づいて給脂を行うタイミングに至ったか、扉開閉スイッチなどに対する操作が行われたか、又は、ワークに対する加工処理の過程で工具交換を行い、折損検出を行うタイミングに至ったか等を調べることにより、給脂、扉開閉又は折損検出を行う必要があるか否かを判定する(ステップS2)。
給脂、扉開閉又は折損検出を行う必要がないと判定した場合(S2:NO)、制御部20は、電源スイッチに対する操作の有無などに基づいて、処理を終了するか否かを判定する(ステップS3)。処理を終了しないと判定した場合(S3:NO)、制御部20は、ステップS2へ処理を戻し、給脂、扉開閉又は折損検出を行う必要が生じるまで、又は、処理を終了するタイミングに至るまで待機する。処理を終了すると判定した場合(S3:YES)、制御部20は、切替部43へ指示を与えることによってファン16、機内灯17及びバックライト18の動作を停止し(ステップS4)、処理を終了する。
給脂、扉開閉又は折損検出を行う必要があると判定した場合(S2:YES)、制御部20は、その時点で動作している第1の電気的負荷(ファン16、機内灯17及びバックライト18)の動作電力量と、ステップS2にて行う必要があると判定した処理に係る第2の電気的負荷(給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51又は折損検出用モータ52)の動作電力量との合計電力量を算出する(ステップS5)。次いで制御部20は、ステップS5にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS6)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S6:NO)、制御部20は、第1の電気的負荷の動作を停止することなく、ステップS32へ処理を進める。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S6:YES)、制御部20は、ファン16を除いたその時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と、動作させる第2の電気的負荷との合計電力量を算出する(ステップS7)。次いで制御部20は、ステップS7にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS8)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S8:NO)、制御部20は、ファン16を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、切替部43へ指示を与えることによってファン16の動作を停止し(ステップS9)、ステップS32へ処理を進める。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S8:YES)、制御部20は、機内灯17を除いたその時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と、動作させる第2の電気的負荷との合計電力量を算出する(ステップS10)。次いで制御部20は、ステップS10にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS11)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S11:NO)、制御部20は、マシニングセンタのスプラッシュカバーに設けられた扉が閉状態であるか否かに応じて、機内灯17は動作停止可能であるか否かを更に判定する(ステップS12)。スプラッシュカバーの扉が閉状態であり、機内灯17が動作停止可能である場合(S12:YES)、制御部20は、機内灯17を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、切替部43へ指示を与えることによって機内灯17の動作を停止し(ステップS13)、ステップS32へ処理を進める。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S11:YES)、又は、スプラッシュカバーの扉が開状態であり、機内灯17が動作停止可能でない場合(S12:NO)、制御部20は、ファン16及び機内灯17を除いたその時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と、動作させる第2の電気的負荷との合計電力量を算出する(ステップS14)。次いで制御部20は、ステップS14にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS15)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S15:NO)、制御部20は、機内灯17は動作停止可能であるか否かを更に判定する(ステップS16)。機内灯17が動作停止可能である場合(S16:YES)、制御部20は、ファン16及び機内灯17を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、切替部43へ指示を与えることによって機内灯17の動作を停止し(ステップS17)、ファン16の動作を停止して(ステップS18)、ステップS32へ処理を進める。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S15:YES)、又は、機内灯17が動作停止可能でない場合(S16:NO)、制御部20は、バックライト18を除いたその時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と、動作させる第2の電気的負荷との合計電力量を算出する(ステップS19)。次いで制御部20は、ステップS19にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS20)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S20:NO)、制御部20は、バックライト18を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、バックライト停止準備処理を行った後(ステップS21)、切替部43へ指示を与えることによってバックライト18の動作を停止し(ステップS22)、ステップS32へ処理を進める。
図10は、バックライト停止準備処理の手順を示すフローチャートであり、図8に示すフローチャートのステップS21、S25及びS28にて行われる処理である。バックライト停止準備処理において、制御部20は、現時点以前の所定期間内に操作パネル25に対する操作がなされたか否かを判定する(ステップS51)。所定期間内に操作パネル25に対する操作がなされている場合(S51:YES)、制御部20は、操作パネル25の液晶表示部にバックライト18の停止許可を求めるメッセージなどを表示し、これに対する応答操作を操作パネル25にて受け付けることによって、バックライト18の停止許可が与えられたか否かを判定する(ステップS52)。バックライト18の停止許可が与えられていない場合(S52:NO)、制御部20は、ステップS51へ処理を戻し、所定時間に亘って操作がなされないか、又は、バックライト18の停止許可が与えられるまで、処理を繰り返す。所定時間に亘って操作パネル25に対する操作がなされていない場合(S51:NO)、又は、バックライト18の停止許可が与えられた場合(S52:YES)、制御部20は、バックライト停止準備処理を終了し、図8に示したフローチャートへ処理を戻す。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S20:YES)、制御部20は、ファン16及びバックライト18を除いたその時点で動作している第1の電気的負荷の動作電力量と、動作させる第2の電気的負荷との合計電力量を算出する(ステップS23)。次いで制御部20は、ステップS23にて算出した合計電力量が所定電力量以上であるか否かを判定する(ステップS24)。合計電力量が所定電力量未満の場合(S24:NO)、制御部20は、ファン16及びバックライト18を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、バックライト停止準備処理を行った後(ステップS25)、切替部43へ指示を与えることによってバックライト18の動作を停止し(ステップS26)、ファン16の動作を停止して(ステップS27)、ステップS32へ処理を進める。
合計電力量が所定電力量以上である場合(S24:YES)、制御部20は、ファン16、機内灯17及びバックライト18を動作停止する第1の電気的負荷として選択し、バックライト停止準備処理を行った後(ステップS28)、切替部43へ指示を与えることによってバックライト18の動作を停止し(ステップS29)、機内灯17の動作を停止し(ステップS30)、ファン16の動作を停止して(ステップS31)、ステップS32へ処理を進める。
次いで、制御部20は、切替部43へ指示を与えることによって、目的の第2の電気的負荷(給脂用ポンプ50、扉開閉用モータ51又は折損検出用モータのいずれか)の動作を開始する(ステップS32)。その後、制御部20は、第2の電気的負荷を動作させるべき時間が経過したか否かなどを判定することによって、第2の電気的負荷の動作を終了させるか否かを判定し(ステップS33)、終了させないと判定した場合には(S33:NO)、第2の電気的負荷の動作を継続する。終了させると判定した場合(S33:YES)、制御部20は、切替部43へ指示を与えることによって、ステップS32にて動作させた第2の電気的負荷の動作を停止する(ステップS34)。その後、制御部20は、切替部43へ指示を与えることによって、バックライト18の動作を開始し(ステップS35)、機内灯17の動作を開始し(ステップS36)、ファン16の動作を開始して(ステップS37)、ステップS2へ処理を戻す。以後、制御部20は、図6〜図9のフローチャートに示した処理を繰り返し行う。
以上の構成のマシニングセンタの制御部20は、ファン16、機内灯17及びバックライト18等の第1の電気的負荷を連続的に動作させ、給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51又は折損検出用モータ52等の第2の電気的負荷を動作させる場合には、動作電力量の合計量が所定電力量を超えないように、一又は複数の第1の電気的負荷を選択して動作を停止する構成とすることにより、ヒューズ41又はAC/DC変換器42の電力容量を超えることなく、第2の電気的負荷を動作させることができる。よって、ヒューズ41又はAC/DC変換器42の大容量化を抑制でき、マシニングセンタの高コスト化を抑制できる。
また一時的に動作を停止する第1の電気的負荷にはファン16、機内灯17及びバックライト18を含む構成とすることにより、これらの電気的負荷は、通常は連続的に動作を行うべきものであるが、短期間であれば一時的に動作を停止してもマシニングセンタの加工動作に対する影響は小さい。ただし、操作パネル25の操作中にバックライト18の動作が停止されることは好ましくないため、操作パネル25に対する操作が所定期間に亘って行われていない場合、又は、バックライト18の停止許可を受け付けた場合に、バックライト18の動作を一時的に停止することにより、作業者が操作パネル25を操作しているときにバックライト18が突然停止されることを防止できる。
また第2の電気的負荷として給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52を含む。給脂用ポンプ50は、数時間に1回程度の頻度で動作させればよく、その動作時間も数秒〜数十秒程度である。扉開閉モータ51は、ワークに対する加工を行っていない場合などの限られたときに動作し、その動作時間も数秒〜数十秒程度である。折損検出用モータ52は、工具交換を行う際に動作し、その動作時間は数秒程度である。このように上記の第2の電気的負荷の動作時間は短時間であるため、第1の電気的負荷を一時的に停止した場合であっても、その影響は最低限にとどめることができる。
また、制御部20が複数の第2の電気的負荷を択一的に動作させる(即ち、同時的に動作させない)構成とすることにより、一時的に動作を停止する第1の電気的負荷の数を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、連続的に動作する第1の電気的負荷として、ファン16、機内灯17及びバックライト18を例に説明を行ったが、第1の電気的負荷はこれら以外のものであってよい。また、ファン16及び機内灯17のみ、ファン16及びバックライト18のみ、機内灯17及びバックライト18のみであってもよい。同様に、間欠的に動作する第2の電気的負荷として、給脂用ポンプ50、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52を例に説明を行ったが、第2の電気的負荷はこれら以外のものであってよい。また、給脂用ポンプ50及び扉開閉モータ51のみ、給脂用ポンプ50及び折損検出用モータ52のみ、扉開閉モータ51及び折損検出用モータ52のみであってもよい。また、第2の電気的負荷は択一的に動作させる構成としたが、これに限るものではなく、複数の第2の電気的負荷を同時的に動作させる構成であってもよい。
また、図4に示した各電気的負荷の動作電力量は一例であって、これに限るものではない。同様に、図5に示した電気的負荷の動作切替は一例であって、これに限るものではない。また、制御部20は、ファン16、機内灯17及びバックライト18の順で停止する第1の電気的負荷を選択する構成としたが、これは一例であって、他の順で選択を行ってもよい。また、図6〜図9に示したフローチャートのステップS24にて、合計電力量が所定電力量以上の場合に、制御部20はファン16、機内灯17及びバックライト18の動作を停止する構成としたが、これに限るものではなく、更に機内灯17及びバックライト18を除いた合計電力量を算出して、機内灯17及びバックライト18の動作を停止する構成としてもよい。