JP4318109B2 - フォーム印刷機における印刷部の紙送り速度調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷からパンチ、ミシン目入れなどの加工までを連続して行うフォーム印刷機において、印刷部の紙送り速度を調整する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビジネスフォーム印刷機では、給紙部から印刷部、加工部、送り部の複数のローラの紙送り速度を適正な関係に設定することが用紙を蛇行なく安定して走行させ、用紙に適正テンションを与え、テンションの影響を受けやすい紙の伸びを安定させ、しいては印刷ピッチ精度及び印刷、加工の天地、左右の見当精度をよくするポイントになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来の技術によるフォーム印刷機では次のような問題があった。
(1)胴に巻き付いた用紙の厚さにより、紙送り速度が変化するため、仕事替え等で、機内へ流す用紙の厚みが変わると、機内のローラニップ間のテンションが変化してしまう。すなわちdを胴の直径、Nを同回転数、tを紙厚とすれば、紙送り速度VはV=N(d+t)πで与えられ、tが大きくなるほど紙送り速度が速くなり、また、小径ローラほど紙厚tの影響を受け易く、紙を速く送り出すことになる。よって、上流側のローラ径に比べて下流側のローラが小径の場合、紙厚が厚くなるほど、下流側のローラは上流側のローラよりも紙を速く送り出そうとするため、テンションが高くなる傾向があった。これと逆に、上流側のローラ径が小径の場合は、上流側で紙を多く送り出すためにテンションが低く、用紙がたるんで、用紙が蛇行するなどの問題が生じていた。
【0004】
(2)交換胴ユニットを用いるフォーム印刷機では、天地サイズ交換の度に交換胴ユニットを交換するため、圧胴の仕上り径dのバラつきによって、紙送り速度の差を生じ、交換胴ユニットを交換するたびに用紙のテンションがローラニップ間ごとに変化してしまう。
【0005】
(3)湿し水を使う印刷では、用紙が伸びやすく、このため湿し水を使わない印刷ユニットに対して用紙に作用するテンションを低くして印刷しないと乾いた場合に印刷が天地方向に短くなるため、用紙に作用するテンションを印刷ユニット毎に個別に調整する必要があった。
【0006】
(4)上記問題を解決するため、特公平4−51456号公報に示されるように、印刷ユニットにおいて、ブランケット胴の回転力伝達手段との間に、圧胴速度を版胴及びブランケット胴とは独立して変化させる変速手段を設けたものがあるが、交換胴ユニットを用いるフォーム印刷では、天地サイズ毎に製作されたすべての交換胴ユニットに、圧胴変速手段を取りつけねばならず、上記従来のものでは、例えば、5色で10種類の天地サイズを刷る場合、50式もの同じ構造をもつ圧胴変速手段を各交換胴ユニットに取付けねばならず、高価なものとなっていた。またこの従来の技術の構成では、圧胴が版胴、ブランケット胴を介して回転されるようになっているので、圧胴に至る間の回転力伝達系が長くなり、従ってこの回転力伝達系のバックラッシュ等の誤差が圧胴側に集積されてしまい、圧胴の回転角が変動して印刷精度に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0007】
これらのことから、ビジネスフォームを印刷するフォーム印刷機では、特に、印刷ユニットにおいて、回転力伝達系の誤差による圧胴の回転角の変動を小さくできて印刷精度がよく、また紙送り速度を個々に安価に調整できることが望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来の技術における各問題点を解決するためになされたもので、その構成は、版胴とブランケット胴と圧胴とによって印刷部が構成される複数の印刷ユニットからなるフォーム印刷機において、上記各印刷ユニットに、版胴とブランケット胴を回転させる第1の回転力伝達手段と、圧胴を回転させる第2の回転力伝達手段とを並列状に設け、各第2の回転力伝達手段のそれぞれに圧胴の回転速度を変化させる変速手段を備え、各印刷ユニットの第1・第2の回転力伝達手段を、各印刷ユニットに対応して駆動軸に設けた各動力伝達装置に連結し、各印刷ユニットの版胴とブランケット胴と圧胴をサブフレームに支持して印刷ユニットに対して装脱可能にした交換胴ユニットとし、この交換胴ユニットの印刷ユニットへの装脱に従って交換胴ユニットの版胴の従動部材と第1の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材とを、また圧胴の従動部材と第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材とをそれぞれ係脱可能に連結し、上記第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材を、印刷ユニットに装着した交換胴ユニットの圧胴の従動部材に対して接離方向に移動可能にして、この回転力伝達部材を交換胴ユニットの天地サイズの大きさに応じて移動して圧胴の従動部材と連結するようにした構成になっている。
【0009】
また、上記構成において、ブランケット胴と圧胴の少なくとも一方を、他の胴に対して接離可能にし、版胴とブランケット胴を回転させる第1の回転力伝達手段に回転伝達力を断続するための回転断続機構を設けた構成になっている。
【0011】
【作 用】
版胴とブランケット胴は第1の回転力伝達手段にて回転駆動され、圧胴は第2の回転力伝達手段にて回転駆動される。そして第2の回転力伝達手段に介装した変速手段を操作することにより、圧胴の回転速度が他の胴(版胴、ブランケット胴)に関係なく調整することができ、圧胴による用紙の送り速度を、用紙の紙厚、厚胴径のバラツキ、印刷条件に合わせて調整することができる。
【0012】
ブランケット胴と圧胴とを接離可能にし、第1の回転力伝達手段に回転断続機構を設けたものにあっては、回転断続機構を断状態にすることにより版胴及びブランケット胴の回転が停止される。この状態でブランケット胴と圧胴を離間させることにより、第2の回転力伝達手段にて圧胴のみが回転され、これに巻き掛けられた用紙の走行が続行される。この間に停止している版胴の刷版を交換する。これにより、印刷ユニットにおいて、用紙がノンストップで走行している間に版胴の刷版交換が可能となる。
【0013】
版胴とブランケット胴と圧胴を交換胴ユニットとしたことにより、この交換胴ユニットを印刷ユニットに対して交換することにより、天地サイズ交換が行える。
【0014】
このとき、天地サイズが異なる交換胴ユニットの場合、圧胴の従動部材と第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達手段との間隔が変化するため、交換胴ユニットの交換後、第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材を移動してこれを交換胴ユニットの圧胴の従動部材に接合する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4に本発明の第1の実施の形態を示す。
図1は本発明装置を実施しようとする多色印刷可能にしたフォーム印刷機の一例を示すもので、1は給紙部、2は印刷部、3は加工部、4は折り部である。印刷部2は各色別の印刷を行う複数の印刷ユニット5,5…からなっている。そしてこの各印刷ユニット5の印刷胴部は版胴6とブランケット胴7と圧胴8とからなっている。
【0016】
図2は各印刷ユニット5に対する回転力の伝達構成を示すものである。図中10は用紙Pを繰り出すインフィードロールであり、このインフィードロール10は駆動軸11により動力伝達装置12を介して駆動されるようになっている。駆動軸11は図示しない原動機に連結されている。そしてこの駆動軸11には各印刷ユニット5に動力を伝達するための各印刷ユニット5に対応する動力伝達装置(駆動源)13が設けてある。
【0017】
各印刷ユニット5において、それぞれの版胴6は第1の回転力伝達手段13aにて、また圧胴8は第2の回転力伝達手段13bを介してそれぞれ同一の動力伝達装置13に並列状に連結されている。そして第2の回転力伝達手段13bは圧胴8の回転速度を変速するための変速手段20を備えている。ブランケット胴7は版胴6にて従動回転されるようになっている。
【0018】
この実施の形態では、上記版胴6とブランケット胴7と圧胴8は、印刷ユニット5のフレームに対して装脱可能にしたサブフレームに支持された交換胴ユニット5′となっていて、天地サイズの交換に応じて交換できるようになっている。
【0019】
交換胴ユニット5′を用いた印刷ユニット5における第1・第2の回転力伝達手段13a,13bの構成を図3,図4にて説明する。第1の回転力伝達手段13aは、動力伝達装置13により歯車26,27を介して回転される出力歯車28と、中間歯車33,34,35,36,37,38にて構成されている。そしてこの第1の回転力伝達手段13aの最下流側の中間歯車38が版胴6の軸6aと一体構成になっている従動歯車14に、交換胴ユニット5′の印刷ユニット5への装脱に従って係脱可能に噛合するようになっている。ブランケット胴7には上記従動歯車14と同歯数の従動歯車15が軸7aと一体構成にして設けてあり、この両従動歯車14,15が噛合していて、ブランケット胴7は版胴6と同速で逆方向に従動回転するようになっている。
【0020】
第2の回転力伝達手段13bは、上記出力歯車28と、中間歯車29,30,22,23,24,25にて構成されている。そしてこの第2の回転力伝達手段13bの最下流側の中間歯車25が圧胴8の軸8aと一体構成にして設けた従動歯車17に噛合するようになっている。この従動歯車17は他の胴6,7の従動歯車14,15と同歯数となっている。
【0021】
この第2の回転力伝達手段13bの最下流側の中間歯車25は1つの上流側の中間歯車24と同軸状にして支持アーム21に支持されており、この支持アーム21はさらに1つの上流側の中間歯車23の軸心を中心にして回動可能になっていて、この支持アーム21をエアーシリンダ装置19にて回動することにより、最下流側の中間歯車25が圧胴8の従動歯車17に対して接離方向に移動するようになっている。なお、図中17aと25aは従動歯車17と中間歯車25の噛合を規制するベァラである。
【0022】
圧胴8の軸8aにはこれの従動歯車17と同歯数で、かつブランケット胴7の従動歯車15に噛合する補助従動歯車16が軸受16aにより回転自在に支承してある。そしてこの補助従動歯車16は従動歯車17に出没可能に設けた係止ピン18により従動歯車17と係脱可能に連結されるようになっている。係止ピン18はねじ棒になっていて、これをねじ込むことにより、これの先端が補助従動歯車16の側面に設けたピン穴16bの係合するようになっている。
【0023】
上記第2の回転力伝達手段13bの同軸状に支持された中間歯車22と23の間の軸部に変速手段20が介装してある。この変速手段20は公知の差動型変速装置であるハーモニックドライブ(商品名)20aが用いられている。そしてこのハーモニックドライブ20aのウエブゼネレータ歯車31に調整モータ32の歯車32aが噛合しており、この調整モータ32の回転速度を調整して上記ウエブゼネレータ歯車31の回転速度を変えることによりハーモニックドライブ20aの出力側の中間歯車23の回転速度が変速されるようになっている。
【0024】
上記構成において、印刷物の天地サイズごとに、この各天地サイズに応じた交換胴ユニット5′を印刷ユニット5に装着する。このとき、版胴6の従動歯車14が第1の回転力伝達手段13aの最下流側の中間歯車38に噛合される。一方、圧胴8の従動歯車17の位置は天地サイズの大きさによって変化するが、この位置変化に応じて第2の回転力伝達手段13bの最下流側の中間歯車24をエアーシリンダ装置19にて移動してこれを上記圧胴8の従動歯車17に噛合させる。
【0025】
動力伝達装置13の回転力は、第1の回転力伝達手段13aを介して版胴6及びブランケット胴7に伝達され、また第2の回転力伝達手段13bを介して圧胴8に伝達される。そしてこのとき、変速手段20を調整操作することにより圧胴8の回転速度が、版胴6及びブランケット胴7に対して独立して調整される。これにより圧胴8側に巻き付き走行する用紙Pの送り速度が調整される。
【0026】
圧胴8の回転速度を調整するための変速手段20が印刷ユニット5の第2の回転力伝達手段13b側に装備されているため、交換胴ユニット5′側に上記変速手段20を設ける必要はない。
【0027】
上記した交換胴ユニット5′は第2の回転力伝達手段13bを備えていない印刷ユニット5にも装着できる。この場合、圧胴8の従動歯車17に回転力伝達手段が連結されないので、係止ピン18を操作して圧胴8の従動歯車17を補助従動歯車16に係合する。補助従動歯車16はブランケット胴7の従動歯車15と噛合しているので、圧胴8はブランケット胴7に対して従動回転される。
【0028】
図5,図6は本発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態は第1の回転力伝達手段13a′と第2の回転力伝達手段13b′のそれぞれの駆動源を別個にしたもので、上記した第1の実施の形態と同一部材は同一符号を付して以下に説明する。
【0029】
第1の回転力伝達手段13a′は第1の実施の形態の場合と同様に、動力伝達装置13′により歯車26,27を介して回転される出力歯車28と、中間歯車33,34,35,36,37,38にて構成されている。そしてこの第1の回転伝達手段13a′の最下流側の中間歯車38が交換胴ユニット5′の版胴6の従動歯車14に係脱可能に噛合するようになっている。
【0030】
上記動力伝達装置13′は駆動軸11の回転を出力歯車28に伝達するものであるが、出力歯車28への回転の伝達を断続する動力断続クラッチ41が内装してある。そして42はその断続操作を行うための操作レバーである。
【0031】
第2の回転力伝達手段13b′の最下流側の中間歯車25より上流側の中間歯車、例えば支持アーム21の支点となる部分の中間歯車23の軸23aに駆動モータ43が連結してあり、この駆動モータ43が第2の回転力伝達手段13b′の駆動源になっている。そしてこの駆動モータ43はサーボモータ等回転速度を任意に調整できるものが用いられている。
【0032】
ブランケット胴7と圧胴8のそれぞれの軸7a,8aは偏心軸受44,45を介してサブフレーム側に支持されており、この各偏心軸受44,45をシリンダ装置あるいはウォームホィール装置等、適宜な作動手段で回動することにより、ブランケット胴7と圧胴8が相互に接離方向に移動されるようになっている。なおこの偏心軸受はブランケット胴7あるいは圧胴8の一方だけに設けてもよい。
【0033】
上記した第2の実施の形態の構成において、動力伝達装置13′の断続クラッチ41を「続」にすることにより、動力伝達装置13′の回転動力が第1の回転力伝達手段13a′を介して版胴6の従動歯車14に伝達されて版胴6及びブランケット胴7が回転駆動される。
【0034】
一方駆動モータ42を駆動することにより、第2の回転力伝達手段13b′を介して圧胴8が回転される。このとき駆動モータ43の回転速度を調整して圧胴8がブランケット胴7と同期して回転するようにする。また、この調整によりこの圧胴8の回転速度が変速される。
【0035】
天地サイズの変更により交換胴5′を適宜交換するが、このときの圧胴8の位置の変化は第2の回転力伝達手段13b′の最下流側の中間歯車25をエアシリンダ装置19にて移動することにより吸収される。
【0036】
動力伝達装置13′の断続クラッチ41を「断」にすることにより版胴6及びブランケット胴7が停止される。一方駆動モータ43を停止することにより圧胴8が停止される。また、上記のように版胴6及びブランケット胴7を停止した状態で駆動モータ43を駆動することにより圧胴8だけを回転することができる。なおこのときは、ブランケット胴7と圧胴8のそれぞれの偏心軸受43,44の少なくとも一方を作動してブランケット胴7と圧胴8を離間させておく。
【0037】
上記のように圧胴8だけを回転しておくことにより、版胴6とブランケット胴7を停止した状態で用紙Pの走行を続行することができる。従って、用紙Pを走行させた状態で、版胴6を停止して、この版胴6に対する刷版46の交換を行うことができる。
【0038】
次に、この第2の実施の形態の使用例を説明する。例えば、図7に示すように、印刷ユニットを4台並べた4色刷のフォーム印刷機において、上流側から第1・第2の印刷ユニット51,52にて2色刷りの絵柄を印刷し、第3・第4の印刷ユニット53,54にて、例えば異なる商店(A,B,C…)の商店名を選択的に印刷するようにしている。そしてこの商店名印刷用の印刷ユニット53,54に上記第2の実施の形態に係る印刷ユニットを用いる。
【0039】
A,B,C…の各商店の商店名を所定枚数づつ印刷する場合を以下に説明する。
【0040】
まず、用紙Pを全ての印刷ユニット51〜54のブラケット胴7と圧胴8の間を通す。そして例えば、予め、A商店の商店名の刷版を第3の印刷ユニット53の版胴6に装着してある場合、この第3の印刷ユニット53のブラケット胴7と圧胴8を接触させた状態にして第1・第2の回転力伝達手段13a′,13b′を駆動状態にする。一方第4の印刷ユニット54はブラケット胴7と圧胴8を離間すると共に、第2の回転力伝達手段13b′により圧胴8だけを回転駆動しておく。
【0041】
これにより、用紙Pには第1・第2の印刷ユニット51,52による絵柄と、第3の印刷ユニット53によるA商店の商店名が印刷される。そしてこの間に、第4の印刷ユニット54の停止されている版胴6を手動で回転して、これにB商店の商店名用の刷版を装着する。また必要に応じてブラケット胴7のブランケットの洗浄を行う。
【0042】
上記A商店の商店名の所定枚数の印刷が終了したら、第3の印刷ユニット53のブラケット胴7と圧胴8とを離間すると共に、版胴6及びブランケット胴7を停止し、圧胴8の回転を続行させる。またこれと同時に、B商店の商店名用の刷版を装着した第5の印刷ユニット54のブランケット胴7と圧胴8とを接触させると共に版胴6を回転駆動させる。
【0043】
これにより、用紙Pには第1・第2の印刷ユニット51,52による絵柄と、第4の印刷ユニット54によるB商店の商店名が印刷される。そしてこの間に、第3の印刷ユニット53の停止されている版胴6を手動で回転して、これの刷版をC商店の商店名用の刷版に交換する。また必要に応じてブランケットを洗浄する。
【0044】
上記B商店の商店名の所定枚数の印刷が終了したら、上記A商店の商店名からB商店の商店名の交換と同様の手順により、B商店の商店名の刷版を装着した第4の印刷ユニット54による印刷を停止し、C商店の商店名用の刷版を装着した第3の印刷ユニット53による印刷を開始する。
【0045】
上記したように、この実施の形態によれば、異なる絵柄用の刷版を、用紙の走行を続行した状態で、選択的に交換することができ、多色印刷される絵柄の一部の変換を印刷機を停止することなく行うことができ、この種の印刷を能率よく行うことができる。
【0047】
この第2の実施の形態では第1・第2の回転力伝達手段をそれぞれ別個の駆動源に連結したことにより、版胴及びブランケット胴と、圧胴のそれぞれの回転速度を別個に、かつ任意に制御できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、版胴及びブランケット胴と、圧胴とが並列状に設けられた別々の回転力伝達手段にて回転され、この間に、変速手段を操作することにより圧胴の回転速度がブランケット胴に対して調整される。これにより、圧胴による用紙の送り速度を、用紙の紙厚、厚胴径のバラツキ、印刷条件に合わせて調整することができる。
【0049】
そしてこの発明では、特に、用紙の送り速度に大きな影響を与える圧胴を、他の胴(版胴、ブランケット胴)とは別の回転力伝達手段にて回転駆動されることにより、この圧胴を駆動するための回転力伝達手段の回転力伝達系の長さ(中間歯車の数)を、圧胴を版胴、ブランケット胴を介して駆動するようにした回転力伝達系に比べて短くすることができる。
【0050】
従って、圧胴を回転駆動するための回転力伝達手段を構成する回転力伝達部材(中間歯車)の数が少なくなり、回転力伝達部材相互の誤差の集積が少なくなって、回転力伝達系の誤差による圧胴の回転角の変動を小さくでき、印刷物の品質の向上を図ることができる。
【0051】
また、ブランケット胴と圧胴とを接離可能にし、版胴及びブランケット胴を停止し、圧胴のみを回転駆動することができることにより、用紙をノンストップで走行した状態で停止している版胴の刷版の交換を行うことができる。
【0052】
従って、複数の印刷ユニットを用いたフォーム印刷機において、ノンストップ状態で走行する用紙への印刷絵柄を選択的に交換することができる。
【0053】
さらに本発明によれば、版胴とブランケット胴と圧胴とを交換胴ユニットとしたことにより、天地サイズの変換ごとにこれに対応した交換胴ユニットを用いることができ、1台のフォーム印刷機において異なる天地サイズのフォーム印刷を行うことができる。
【0054】
そして特にこの発明によれば、交換胴ユニットの圧胴の従動部材が変速手段を有する第2の回転力伝達手段の最下流側の回転伝達部材に連結されることにより、圧胴の回転速度を調整するための変速手段は個々の交換胴ユニット側に設ける必要はない。従って圧胴の回転速度を調整可能にした個々の交換胴ユニットの構成が簡単で安価にすることができ、交換胴タイプのフォーム印刷機における印刷部の送り速度調整装置を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明は適用しようとするフォーム印刷機の全体図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す概略的な構成説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を具体的に示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す一部破断側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を具体的に示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す一部破断側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の使用例の説明図である。
【符号の説明】
1…給紙部、2…印刷部、3…加工部、4…折部、5…印刷ユニット、5′…交換胴ユニット、6…版胴、7…ブランケット、7a…軸、8…圧胴、8a…軸、10…インフィードロール、11…駆動軸、12,13,13′…動力伝達装置、13a,13a′,13b,13b′…回転力伝達手段、14,15,17…従動歯車、16…補助従動歯車、18…係止ピン、19…エアーシリンダ装置、20…変速手段、21…支持アーム、22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32a,33,34,35,36,38…歯車、41…断続クラッチ、42…操作レバー、43…駆動モータ、44,45…偏心軸受、46…刷版。
Claims (2)
- 版胴とブランケット胴と圧胴とによって印刷部が構成される複数の印刷ユニットからなるフォーム印刷機において、
上記各印刷ユニットに、版胴とブランケット胴を回転させる第1の回転力伝達手段と、圧胴を回転させる第2の回転力伝達手段とを並列状に設け、各第2の回転力伝達手段のそれぞれに圧胴の回転速度を変化させる変速手段を備え、
各印刷ユニットの第1・第2の回転力伝達手段を、各印刷ユニットに対応して駆動軸に設けた各動力伝達装置に連結し、
各印刷ユニットの版胴とブランケット胴と圧胴をサブフレームに支持して印刷ユニットに対して装脱可能にした交換胴ユニットとし、この交換胴ユニットの印刷ユニットへの装脱に従って交換胴ユニットの版胴の従動部材と第1の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材とを、また圧胴の従動部材と第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材とをそれぞれ係脱可能に連結し、
上記第2の回転力伝達手段の最下流側の回転力伝達部材を、印刷ユニットに装着した交換胴ユニットの圧胴の従動部材に対して接離方向に移動可能にして、この回転力伝達部材を交換胴ユニットの天地サイズの大きさに応じて移動して圧胴の従動部材と連結するようにした
ことを特徴とするフォーム印刷機における印刷部の紙送り速度調整装置。 - ブランケット胴と圧胴の少なくとも一方を、他の胴に対して接離可能にし、版胴とブランケット胴を回転させる第1の回転力伝達手段に回転伝達力を断続するための回転断続機構を設けたことを特徴とする請求項1記載のフォーム印刷機における印刷部の紙送り速度調整装置。
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