以下に添付図面を参照して、本発明に係るウェブの張力調整装置および方法並びに印刷機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、複数の実施形態がある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図17は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。
本実施形態の印刷機は、図17に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機10であって、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成される。給紙装置Rは、複数(本実施形態では、7台)の給紙ユニットR1~R7を有し、インフィード装置Iは、複数(本実施形態では、7台)のインフィードユニットI1~I7を有し、印刷装置Uは、複数(本実施形態では、6台)の印刷ユニットU1~U6を有し、ウェブパス装置Dは、複数(本実施形態では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有し、折機Fは、複数(本実施形態では、2台)の折ユニットF1,F2を有する。
なお、印刷ユニットU1~U6を6台として説明したが、各印刷ユニットU1~U6は、4色刷りが可能であると共に、上下に分割して12台の2色刷りが可能な印刷ユニットU11,U12,U21・・・U61,U62として用いることができる。また、2つの折ユニットF1,F2を上下に並べて記載したが、実際には、紙面に直交する方向に並んで配置される操作側折ユニットF1と駆動側折ユニットF2となっている。更に、印刷装置Uを2つの部分から記載したが、機能上2つに分けて記載しただけであり、実際には、1つの装置となっている。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1~R7は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アームを有し、保持アームを回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1~I7は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1~U6に送り込むウェブWの張力を調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWの張力を適正値に安定して維持する。なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWの張力は、給紙ユニットR1~R7に設けられた図示しないブレーキ装置により行われる。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1~U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1~U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11~U62とすることができる。印刷ユニットU11~U62は、ほぼ同様の構成をなし、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有する。印刷ユニットU1~U6は、版胴の周長(直径)とブランケット胴の周長(直径)が同じに設定されている。ここで、印刷ユニットU1~U6は、版胴とブランケット胴が版胴の周長(直径)とブランケット胴の周長(直径)が同じに設定されているが、版胴の周長(直径)がブランケット胴の周長(直径)の1/2であってもよい。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1~U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4~U6に対して設けられる。ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦方向(ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWの経路長を変更可能なコンペンセータ(経路長変更装置)などを有する。
印刷ユニットU1~U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより経路長が変更されてから、所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4~U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより経路長が変更されてから、所定の順番に重ね合わされる。
折機Fにて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設される。ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。
ここで、印刷装置Uにおける印刷ユニットU1について詳細に説明する。図18は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
印刷ユニットU1は、図18に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットとなっている。印刷ユニットU1は、ウェブWの搬送方向(図18にて、下から上に向かう方向)に沿って、墨、藍、紅、黄ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成され、スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列となっている。
スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接可能であり、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接する。スタック21,22,23,24は、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられる。また、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられる。
このように構成された本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機10にて、印刷運転を開始する前の準備作業として、ウェブWの張力を調整する作業がある。新聞用オフセット輪転印刷機10は、ウェブWの搬送経路に駆動回転可能な複数の駆動ローラが設けられると共に、複数の駆動ローラの間の領域におけるウェブWの張力を掲出する張力検出器が設けられている。そのため、張力検出器の検出結果に基づいて複数の駆動ローラの回転速度を増減することで、ウェブWの張力を調整する。
図1は、本実施形態のウェブの張力調整装置を表す概略構成図である。
図1に示すように、給紙装置Rは、保持アーム101が複数(例えば、3個)の巻取紙WRを保持する。巻取紙WRから繰り出されたウェブWは、ガイドローラ102、フローティングローラ103、ガイドローラ104、テンションピックアップローラ105、ガイドローラ106を介してインフィード装置Iに送られる。保持アーム101は、巻取紙WRから繰り出されるウェブWに対して制動するブレーキ装置107が設けられる。
インフィード装置Iは、給紙装置Rから供給されたウェブWを受け取り、ガイドローラ108、インフィードドラグローラ109および紙押えローラ110、テンションピックアップローラ111を介して印刷装置Uに送られる。インフィードドラグローラ109は、駆動モータ112により駆動回転可能である。
印刷装置Uは、上述したように、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bと版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bを有し、インフィード装置Iから供給されたウェブWに対して両面印刷を行う。ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bと版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bは、駆動モータ113,114,115,116により独立して駆動回転可能である。印刷済のウェブWは、テンションピックアップローラ117、出口ドラグローラ118および紙押えローラ119、ガイドローラ120を介してウェブパス装置Dに送られる。出口ドラグローラ118は、駆動モータ121により駆動回転可能である。
ウェブパス装置Dは、印刷装置Uから供給されたウェブWをスリッタナイフ122およびスリッタドラグローラ123により幅方向の中央部で裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更されると共に、コンペンセータにより経路長が変更される。スリッタドラグローラ123は、駆動モータ124により駆動回転可能である。その後、ウェブWは、中間ドラグローラ125,126および紙押えローラ127,128、テンションピックアップローラ129,130、三角板ドラグローラ131および紙押えローラ132を介して折機Fに送られる。中間ドラグローラ125,126は、駆動モータ133により駆動回転可能であり、三角板ドラグローラ131は、駆動モータ134により駆動回転可能である。なお、中間ドラグローラ125,126に対して紙押えローラ127,128を設けなくてもよい。
制御装置140は、ブレーキ装置107を制御することで、巻取紙WRからのウェブWの繰り出し速度を調整することができる。また、制御装置140は、駆動モータ112,113,114,115,116,121,124,133,134を制御することで、インフィードドラグローラ109、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、出口ドラグローラ118、スリッタドラグローラ123、中間ドラグローラ125,126、三角板ドラグローラ131の回転速度を制御することができる。更に、制御装置140は、テンションピックアップローラ105,111,117,129,130から検出値が入力される。
ところで、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷運転時、印刷装置Uは、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの外周面がウェブWの表裏に接触した胴入れ状態にある。一方、新聞用オフセット輪転印刷機10における張力調整作業時、印刷装置Uは、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの外周面がウェブWの表裏から離脱した胴抜き状態にある。但し、この張力調整作業時、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの一部は、外周面がウェブWの表裏に接触している。
図2は、印刷ユニットの胴入れ状態を表す概略図、図3は、印刷ユニットの胴抜き状態を表す概略図である。
図2に示すように、印刷ユニットU1の胴入れ状態では、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面と、ブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面が、ウェブWを挟んで対接している。ブランケット胴31a,32a,33a,34aとブランケット胴31b,32b,33b,34bとは、鉛直方向に所定距離だけずれて配置されており、印刷ユニットU1の胴入れ状態では、ウェブWがブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの外周面に所定角度だけ巻き付いた状態にある。
一方、図3に示すように、印刷ユニットU1の胴抜き状態では、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面と、ブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面が、ウェブWを間にして離間している。このとき、印刷ユニットU1内のウェブWは、鉛直方向に沿った直線状態となる。しかし、ウェブWは、インフィードドラグローラ109および紙押えローラ110からテンションピックアップローラ111を介してブランケット胴31aとブランケット胴31bとの間に搬送される。ここで、テンションピックアップローラ111とブランケット胴31a,31bは、水平方向にずれて配置されている。そのため、ウェブWは、テンションピックアップローラ111からブランケット胴31aとブランケット胴31bとの間に搬送されるとき、ブランケット胴31bの外周面に所定角度だけ巻き付いた状態となる。また、ウェブWが印刷ユニットU1を通過するとき、一部のブランケット胴32a,33b,34aに接触する。
新聞用オフセット輪転印刷機10にて、ウェブWの張力を調整する作業を実施するとき、印刷ユニットU1がある区間では、胴抜き状態にて、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118との間を1つの区間としてウェブWの張力を調整する。ところが、上述したように、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の間の区間には、印刷ユニットU1があり、一部のブランケット胴31b,32a,33b,34aがウェブWに接触している。そのため、印刷ユニットU1の上流側と下流側でウェブWの張力が異なってしまい、ウェブWの張力を適正値に調整することが困難となる。また、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して刷版を装着した後、この版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bやブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの位相を合わせる必要がある。このとき、正転や逆転を行うこととなり、ウェブWが緩んだり、引っ張られたりするため、ウェブWの張力がさまざまな状態になっている。
そこで、本実施形態では、印刷ユニットU1の上流側におけるウェブWの張力と印刷ユニットU1の下流側におけるウェブWの張力に基づいて、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の回転速度を制御することで、ウェブWの張力を適正値に調整するようにしている。
本実施形態のウェブの張力調整装置は、ウェブWの搬送方向に所定間隔を空けて配置されてウェブWを搬送可能な上流側駆動ローラおよび下流側駆動ローラと、上流側駆動ローラと下流側駆動ローラとの間に配置されてウェブWを搬送可能な中間駆動ローラと、中間駆動ローラよりウェブWの搬送方向の上流側の上流側区間におけるウェブWの張力を検出する上流側張力検出器と、中間駆動ローラよりウェブWの搬送方向の下流側の下流側区間におけるウェブWの張力を検出する下流側張力検出器と、上流側張力検出器と下流側張力検出器の検出結果に基づいて上流側駆動ローラの回転速度を調整可能な制御装置とを備える。
以下、本実施形態のウェブの張力調整装置について詳細に説明する。まず、印刷ユニットU1が配置された区間を、本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブ張力調整区間に適用して説明する。この場合、図1に示すように、上流側駆動ローラは、インフィードドラグローラ109、下流側駆動ローラは、出口ドラグローラ118、中間駆動ローラは、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、上流側張力検出器は、テンションピックアップローラ111、下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ117、制御装置は、制御装置140に相当する。そして、上流側区間とは、インフィードドラグローラ109とブランケット胴31a,31bとの間の区間であり、下流側区間とは、ブランケット胴34a,34bと出口ドラグローラ118との間の区間である。ただし、上流側区間や下流側区間には、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b以外のガイドローラや駆動ローラなど他の複数のローラが配置されていてもよい。
図4-1は、ウェブの張力調整作業内容を表す概略図、図5は、印刷ユニットにおけるウェブの張力調整作業を表すフローチャートである。
図1および図4-1に示すように、ウェブWの張力調整作業にて、制御装置140による制御は、(1)紙張り制御、(2)低テンション付与制御、(3)紙押え制御、(4)適正テンション付与制御、(5)緩動運転制御、(6)上流側テンション制御がある。
(1)紙張り制御は、紙通し後に、ウェブWの下流側を引いて弛んだ部分をなくす制御であり、下流側区間の目標張力は、Td1(例えば、0より大きい値)である。そして、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)の回転速度を100%としたとき、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比は、例えば、0%、印刷ユニット(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)の速度比は、例えば、0%である。このとき、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の紙押えローラ110,119は、脱状態である。
(2)低テンション付与制御は、紙張り制御後に、下流側区間におけるウェブWに対して予め設定された下流側適正低張力を付与する制御であり、目標張力は、Td1より高いTd2である。そして、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比は、例えば、99%、印刷ユニット(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)の速度比は、例えば、100%であり、このとき、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の紙押えローラ110,119は、脱状態である。
(3)紙押え制御は、低テンション付与制御後に、インフィードドラグローラ109と紙押えローラ110、出口ドラグローラ118と紙押えローラ119とでウェブWを挟んで押さえる制御である。つまり、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。下流側区間の目標張力(下流側適正低張力Td2)、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比、印刷ユニット(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)の速度比は、変更しない。
(4)適正テンション付与制御は、紙押え制御後に、下流側区間におけるウェブWに対して予め設定された下流側適正張力を付与する制御であり、目標張力は、Td2より高いTd3である。そして、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比は、例えば、98%、印刷ユニット(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)の速度比は、例えば、100%であり、このとき、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の紙押えローラ110,119は、着状態である。
(5)緩動運転制御は、適正テンション付与制御後に、下流側区間におけるウェブWの張力を下流側適正張力に維持する制御であり、目標張力は、Td3である。そして、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比は、N%であり、この速度比N%は、フィードバック制御される。また、印刷ユニット(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)の速度比は変更しない。このとき、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の紙押えローラ110,119は、着状態である。
(6)上流側テンション制御は、緩動運転制御後に、上流側区間におけるウェブWに対して予め設定された上流側適正張力を付与する制御であり、目標張力は、Td3より高いTuaである。そして、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の速度比は、98%より低いNa%である。
本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブWの張力調整作業について具体的に説明する。図3および図5に示すように、ウェブWの張力調整作業の開始時、印刷ユニットU1は、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの外周面がウェブWの表裏から離脱した胴抜き状態にあるが、一部のブランケット胴31b,32a,33b,34aは、外周面がウェブWの表裏に接触している。
ステップS11にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS12にて、制御装置140は、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了したかどうかを判定する。胴位相合わせ作業では、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bをゆっくり回したり速く回したり、正転したり、逆転したりして位相を合わせる。そのため、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bと同期して回転するブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの上下胴間のウェブWは緩んでいる場合や引っ張られている場合などさまざまである。ここで、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了したと判定(Yes)されると、ステップS13以降で、紙張り運転が開始される。
ステップS14にて、制御装置140は、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)を駆動回転して紙張り制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの弛みが解消され、ウェブWに張力が発生する。ステップS15にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが目標張力Td1(例えば、0)以上になったかどうかを判定する。ウェブWの張力Tdは、テンションピックアップローラ117による検出結果を用いる。ここで、ウェブWの張力Tdが目標張力Td1より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが目標張力Td1以上であると判定(Yes)されると、ステップS16にて、印刷ユニットU1(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)と上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を駆動回転し、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を調整して低テンション付与制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS17にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2以上になったかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2以上であると判定(Yes)されると、ステップS18にて、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。この場合、紙押えローラ110だけを脱位置から着位置に移動してもよい。続いて、ステップS19にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を減速して適正テンション付与制御を行う。すなわち、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)の回転速度に対して、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を遅くすることから、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ただし、ステップS19の適正テンション付与制御は、仮に下流側適正張力Td3が下流側適正低張力Td2より低い場合は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を増加する場合もあるため、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度は、ウェブWの張力Tdに合わせて適宜変更し、適正張力に調整する。
ステップS20にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3に到達したかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3より低いと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3と同じであると判定(Yes)されると、ステップS21にて、下流側区間におけるウェブWの張力Tdを下流側適正張力Td3に維持する緩動運転制御を行う。緩動運転制御を行うことで、ステップS22にて、紙張り運転が完了する。
図4-1および図5に示すように、ステップS23にて、印刷ユニットU1にて、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面とブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面をウェブWを挟んで対接させる胴入れを行う。なお、新聞用オフセット輪転印刷機10にて、給紙装置R、インフィード装置I、印刷装置U、ウェブパス装置Dは、それぞれ複数のユニットを有している。そのため、複数のウェブ搬送経路が存在する。そのため、複数のウェブ搬送経路があるとき、全てのウェブ搬送経路にて、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3となって紙張り運転が完了すると、全てのウェブ搬送経路にあるブランケット胴31a,32a,33a,34aの胴入れを行うようにすることが望ましい。
その後、ステップS24にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を更に減速して上流側テンション制御を行う。すなわち、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)の回転速度に対して、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を更に遅くすることから、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が更に増加する。本実施形態ウェブの張力調整装置は、上記制御を行うが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS23の処理とステップS26の処理は、逆に行ってもよいし、同時に行ってもよい。なお、胴入れ作業は、ウェブWが複数の場合、他のユニットの紙張り運転が完了したことを確認した後で行う。
ステップS25にて、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tua以上になったかどうかを判定する。ウェブWの張力Tuは、テンションピックアップローラ111による検出結果を用いる。ここで、ウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tuaより小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tua以上であると判定(Yes)されると、ステップS26にて、上流側区間におけるウェブWの張力を上流側適正張力に維持することで、上流側テンション制御が完了する。そして、ステップS27にて、印刷ユニットU1を加速運転した後、ステップS28にて、印刷を開始する。
なお、本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブWの張力調整作業は、上述した方法に限定されるものではない。図4-2は、ウェブの張力調整作業内容の変形例を表す概略図、図6は、印刷ユニットにおけるウェブの張力調整作業の第1変形例を表すフローチャート、図7は、印刷ユニットにおけるウェブの張力調整作業の第2変形例を表すフローチャートである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有するステップには、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図1および図4-2に示すように、ウェブWの張力調整作業にて、制御装置140による制御は、(1)紙張り制御、(2)低テンション付与制御、(3)紙押え制御、(4)適正テンション付与制御、(5)緩動運転制御、(6)上流側テンション制御がある。
(1)紙張り制御は、紙通し後に、ウェブWの下流側を引いて弛んだ部分をなくす制御であり、上流側区間の目標張力は、Tu1(例えば、0より大きい値)である。
(2)低テンション付与制御は、紙張り制御後に、上流側区間におけるウェブWに対して予め設定された下流側適正低張力(下流側張力調整用上流側張力)を付与する制御であり、目標張力は、Tu1より高いTu2である。
(3)紙押え制御は、低テンション付与制御後に、インフィードドラグローラ109と紙押えローラ110、出口ドラグローラ118と紙押えローラ119とでウェブWを挟んで押さえる制御である。つまり、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。上流側区間の目標張力(下流側張力調整用上流側張力Tu2)である。
(4)適正テンション付与制御は、紙押え制御後に、下流側区間におけるウェブWに対して予め設定された下流側適正張力を付与する制御であり、目標張力は、Tu2より高いTd3である。
(5)緩動運転制御は、適正テンション付与制御後に、下流側区間におけるウェブWの張力を下流側適正張力に維持する制御であり、目標張力は、Td3である。
(6)上流側テンション制御は、緩動運転制御後に、上流側区間におけるウェブWに対して予め設定された上流側適正張力を付与する制御であり、目標張力は、Td3より高いTuaである。
本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブWの張力調整作業の第1変形例について具体的に説明する。
図3および図6に示すように、ステップS11にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS12にて、制御装置140は、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したかどうかを判定する。ここで、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したと判定(Yes)されると、ステップS13以降で、紙張り運転が開始される。
ステップS14にて、制御装置140は、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)を駆動回転して紙張り制御を行う。すると、上流側区間と下流側区間でウェブWの弛みが解消され、ウェブWに張力が発生する。ステップS15Aにて、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力Tuが目標張力Tu1(例えば、0)以上になったかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tuが目標張力Tu1以上であると判定(Yes)されると、ステップS16にて、印刷ユニットU1(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)と上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を駆動回転し、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を調整して低テンション付与制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS17Aにて、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力Tuが下流側張力調整用上流側張力Tu2以上になったかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tuが下流側張力調整用上流側張力Tu2以上であると判定(Yes)されると、ステップS18にて、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。続いて、ステップS19にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を減速して適正テンション付与制御を行う。
ステップS20Aにて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3以上になったかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3より低いと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3以上であると判定(Yes)されると、ステップS21にて、上流側区間におけるウェブWの張力Tuを現在の張力に維持する緩動運転制御を行う。緩動運転制御を行うことで、ステップS22にて、紙張り運転が完了する。
図4-2および図6に示すように、ステップS23にて、印刷ユニットU1にて、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面とブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面がウェブWを挟んで対接する胴入れを行う。その後、ステップS24にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を更に減速して上流側テンション制御を行う。ステップS25にて、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tua以上になったかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが上流側適正張力Tua以上であると判定(Yes)されると、ステップS26にて、上流側区間におけるウェブWの張力を上流側適正張力に維持することで、上流側テンション制御が完了する。そして、ステップS27にて、印刷ユニットU1を加速運転した後、ステップS28にて、印刷を開始する。
また、本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブWの張力調整作業の第2変形例について具体的に説明する。
図3および図7に示すように、ステップS11にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS12にて、制御装置140は、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了したかどうかを判定する。ここで、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、印刷ユニットU1の胴位相合わせが完了したと判定(Yes)されると、ステップS13以降で、紙張り運転が開始される。
ステップS14にて、制御装置140は、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)を駆動回転して紙張り制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの弛みが解消され、ウェブWに張力が発生する。ステップS15にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが目標張力Td1(例えば、0)以上になったかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが目標張力Td1より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが目標張力Td1以上であると判定(Yes)されると、ステップS16にて、印刷ユニットU1(ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b)と上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を駆動回転し、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)を調整して低テンション付与制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS17にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2以上になったかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが下流側適正低張力Td2以上であると判定(Yes)されると、ステップS19にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を減速して適正テンション付与制御を行う。すなわち、下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)の回転速度に対して、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を遅くすることから、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)と下流側駆動ローラ(出口ドラグローラ118)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS20にて、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3に到達したかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3より低いと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3と同じであると判定(Yes)されると、ステップS21にて、下流側区間におけるウェブWの張力Tdを下流側適正張力Td3に維持する緩動運転制御を行う。緩動運転制御を行うことで、ステップS22にて、紙張り運転が完了する。ステップS23にて、印刷ユニットU1にて、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面とブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面をウェブWを挟んで対接させる胴入れを行う。続いて、ステップS18にて、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。この場合、紙押えローラ110だけを脱位置から着位置に移動してもよい。
胴入れ後に紙押えローラ110,119を着位置に移動することで、紙押えローラ110,119を着位置に移動したときにウェブWに瞬間的に作用する大きな張力が緩和される。即ち、ステップS17とステップS19との間のステップで紙押えローラ110,119を着位置に移動すると、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118と間の短い区間で所定の張力が確保される。すると、この区間を搬送される張力の低いウェブWに対して瞬間的に大きな張力が作用し、ウェブWが損傷してしまうおそれがある。一方、紙張り運転が完了すると、ウェブWの張力Tdが下流側適正張力Td3に到達しており胴入れ後に紙押えローラ110,119を着位置に移動しても、ウェブWに瞬間的に作用する大きな張力が緩和される。
その後、ステップS24にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(インフィードドラグローラ109)の回転速度を更に減速して上流側テンション制御を行う。ステップS25にて、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tua以上になったかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tuが上流側適正張力Tuaより小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tdが上流側適正張力Tua以上であると判定(Yes)されると、ステップS26にて、上流側区間におけるウェブWの張力を上流側適正張力に維持することで、上流側テンション制御が完了する。そして、ステップS27にて、印刷ユニットU1を加速運転した後、ステップS28にて、印刷を開始する。
なお、上述した実施形態では、本実施形態のウェブの張力調整装置を印刷装置Uの印刷ユニットU1~U6に適用して説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態のウェブの張力調整装置をウェブパス装置DのウェブパスユニットD1,D2に適用することができる。図8は、本実施形態のウェブの張力調整装置の第3変形例を表す概略構成図、図9は、ウェブパスユニットにおけるウェブの張力調整作業を表すフローチャートである。
図8に示すように、ウェブパス装置D(ウェブパスユニットD1,D2)は、印刷装置U(図1参照)から供給されたウェブWをスリッタナイフ122およびスリッタドラグローラ123により幅方向の中央部で裁断し、ターンバー141により搬送経路を変更すると共に、コンペンセータ142,143により経路長を変更する。スリッタドラグローラ123は、駆動モータ124により駆動回転可能である。その後、ウェブWは、中間ドラグローラ125,126および紙押えローラ127,128、テンションピックアップローラ129,130、三角板ドラグローラ131および紙押えローラ132を介して折機Fに送られる。中間ドラグローラ125,126は、駆動モータ133により駆動回転可能であり、三角板ドラグローラ131は、駆動モータ134により駆動回転可能である。
制御装置140は、駆動モータ124,133,134を制御することで、スリッタドラグローラ123、中間ドラグローラ125,126、三角板ドラグローラ131の回転速度を制御することができる。また、制御装置140は、テンションピックアップローラ129,130から検出値(ウェブWの張力)が入力される。ここで、上流側駆動ローラは、中間ドラグローラ125,126であり、下流側駆動ローラは、三角板ドラグローラ131である。
ウェブパス装置DにおけるウェブWの張力調整作業について具体的に説明する。図8および図9に示すように、ステップS51にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS52以降で、紙張り運転が開始される。
ステップS53にて、制御装置140は、下流側駆動ローラ(三角板ドラグローラ131)を駆動回転して紙張り制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)と下流側駆動ローラ(三角板ドラグローラ131)との間の区間でウェブWの弛みが解消され、ウェブWに張力が発生する。ステップS54にて、制御装置140は、この区間におけるウェブWの張力Tmが目標張力Tm1(例えば、0)以上になったかどうかを判定する。ウェブWの張力Tmは、テンションピックアップローラ129,130による検出結果を用いる。ここで、ウェブWの張力Tmが目標張力Tm1より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tmが目標張力Tm1以上であると判定(Yes)されると、ステップS55にて、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)を駆動回転し、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)を調整して低テンション付与制御を行う。すると、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)と下流側駆動ローラ(三角板ドラグローラ131)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS56にて、制御装置140は、区間におけるウェブWの張力Tmが適正低張力Tm2以上になったかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tmが適正低張力Tm2より小さいと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、ウェブWの張力Tmが適正低張力Tm2以上であると判定(Yes)されると、ステップS57にて、制御装置140は、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)の回転速度を減速して適正テンション付与制御を行う。すなわち、下流側駆動ローラ(三角板ドラグローラ131)の回転速度に対して、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)の回転速度を遅くすることから、上流側駆動ローラ(中間ドラグローラ125,126)と下流側駆動ローラ(三角板ドラグローラ131)との間の区間でウェブWの張力が増加する。
ステップS58にて、制御装置140は、区間におけるウェブWの張力Tmが適正張力Tm3に到達したかどうかを判定する。ここで、ウェブWの張力Tmが適正張力Tm3より低いと判定(No)されると、ステップS59にて、コンペンセータ142,143の制御を実施した後、ステップS60に移行する。すなわち、まず、現在のコンペンセータ142,143の位置を記憶する。次に、コンペンセータ142,143をウェブWの経路長を増やす方向に移動することで、ウェブWの張力を増加させる。そして、ウェブWの張力Tmが適正張力Tm3と同じになると、コンペンセータ142,143の移動を停止する。一方、ウェブWの張力Tmが適正張力Tm3と同じであると判定(Yes)されると、ステップS59でコンペンセータ142,143の制御を実施せずにステップS60に移行する。ステップS60にて、区間におけるウェブWの張力Tmを適正張力Tm3に維持する緩動運転制御を行う。緩動運転制御を行うことで、ステップS61にて、紙張り運転が完了する。その後、ステップS62にて、ウェブパス装置Dを加速運転し、ステップS63にて、コンペンセータ142,143をステップS58で記憶した位置に復帰させる。その後、ステップS64にて、印刷を開始する。本実施形態では、回転速度の制御のみでなく、コンペンセータ142,143にてウェブWの経路長を増やすことにより、ウェブWの緩み状態(弛み)を早期に紙張り状態に移行することができる。
なお、中間ドラグローラ125,126にて、制御装置140が紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する処理は、ステップ56の処理後、または、ステップS61の処理後に実施すればよい。また、上流側駆動ローラを中間ドラグローラ125,126とし、下流側駆動ローラを三角板ドラグローラ131としたが、上流側駆動ローラをスリッタドラグローラ123としてもよい。
ここまで、印刷ユニットU1が配置された区間を、本実施形態のウェブの張力調整装置によるウェブ張力調整区間に適用して説明したが、本実施形態のウェブの張力調整装置は、新聞用オフセット輪転印刷機10におけるウェブWの搬送区間の全域に適用することができる。すなわち、図1に示すように、インフィードドラグローラ109から出口ドラグローラ118までが第1区間となり、出口ドラグローラ118から中間ドラグローラ125,126までが第2区間となり、中間ドラグローラ125,126から三角板ドラグローラ131までが第3区間となる。
第1区間では、前述と同様に、上流側駆動ローラは、インフィードドラグローラ109、下流側駆動ローラは、出口ドラグローラ118、中間駆動ローラは、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、上流側張力検出器は、テンションピックアップローラ111、下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ117に相当する。そして、上流側区間とは、インフィードドラグローラ109とブランケット胴31a,31bとの間の区間であり、下流側区間とは、ブランケット胴34a,34bと出口ドラグローラ118との間の区間である。
第2区間では、上流側駆動ローラは、出口ドラグローラ118、下流側駆動ローラは、中間ドラグローラ125,126、中間駆動ローラは、スリッタドラグローラ123、上流側張力検出器および下流側張力検出器はないが、別途、設けてもよい。そして、上流側区間とは、出口ドラグローラ118とスリッタドラグローラ123との間の区間であり、下流側区間とは、スリッタドラグローラ123と中間ドラグローラ125,126との間の区間である。
第3区間では、上流側駆動ローラは、中間ドラグローラ125,126、下流側駆動ローラは、三角板ドラグローラ131、中間駆動ローラはなく、上流側張力検出器および下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ129,130に相当する。
本実施形態のウェブの張力調整装置は、ウェブ張力調整区間がウェブWの搬送方向に沿って複数(本実施形態では、3個)設けられ、制御装置140は、複数のウェブ張力調整区間のうちのウェブWの搬送方向における下流側のウェブ張力調整区間からウェブWの張力を調整する。すなわち、上述した第3区間、第2区間、第1区間の順にウェブWの張力を調整する。
図10は、ウェブの張力調整作業を表すタイミングチャート、図11は、ウェブの張力調整作業の第1変形例を表すタイミングチャート、図12は、ウェブの張力調整作業の第2変形例を表すタイミングチャート、図13は、ウェブの張力調整作業の第3変形例を表すタイミングチャートである。なお、図10から図13にて、番号(1)~(6)は、それぞれ、紙張り制御、低テンション付与制御、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御に該当する。
図10に示すように、制御装置140は、第1区間の上流側における給紙張力制御、インフィードドラグ制御、出口ドラグ制御、中間ドラグ制御を実施し、各制御にて、紙張り制御、低テンション付与制御、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御を実施する。
まず、第3区間にて、中間ドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。次に、第2区間にて、出口ドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。そして、第1区間にて、インフィードドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。最後に、給紙張力制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。
そして、全ての区間における中間ドラグ制御、出口ドラグ制御、インフィードドラグ制御、給紙張力制御にて、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御を同時に実施する。
また、図11に示すように、制御装置140は、中間ドラグ制御、出口ドラグ制御、インフィードドラグ制御、給紙張力制御の順に連続して実施するが、第3区間の紙張り制御と低テンション付与制御が完了したら、第2区間の紙張り制御と低テンション付与制御を開始するようにしてもよい。
また、図12に示すように、制御装置140は、中間ドラグ制御、出口ドラグ制御、インフィードドラグ制御、給紙張力制御の順に実施するが、第3区間の紙張り制御が完了したら、第2区間の紙張り制御を開始し、全ての区間で、紙張り制御と低テンション付与制御が完了したら、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御を同時に実施するようにしてもよい。
また、図13に示すように、制御装置140は、中間ドラグ制御、出口ドラグ制御、インフィードドラグ制御、給紙張力制御の順に連続して実施するが、第3区間の紙張り制御が完了したら、第2区間の紙張り制御を開始するようにしてもよい。
なお、制御装置140は、単一区間のみの制御や複数の区間を組み合わせた制御を行ってもよく、一部の区間を省いた複数の区間の組合せで構成される場合や、単一区間のみの制御で構成される場合であってもよい。また、上述の説明では、第1区間、第2区間、第3区間に区画したが、第2区間と第3区間とを合わせて第2区間としてもよい。
ここで、新聞用オフセット輪転印刷機10におけるウェブWの張力調整作業について説明する。図14は、印刷作業を表すフローチャートである。
図1および図14に示すように、ステップS31にて、紙通し作業を実施し、ステップS32にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS33にて、制御装置140は、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したかどうかを判定する。ここで、印刷ユニットの胴位相合わせが完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したと判定(Yes)されると、ステップS35以降で、ウェブWの張力調整作業が開始される。
制御装置140は、第3区間、第2区間、第1区間の順にウェブWの張力調整作業を実施する。ここで、第3区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施する。また、第2区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施してもよいし、1つの張力検出器によりウェブWの張力調整作業を実施してもよい。また、第3区間は、テンションピックアップローラ129,130によりウェブWの張力調整作業を実施する。
ステップS36にて、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS37にて、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS38にて、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。
一方、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS39にて、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS40にて、制御装置140は、印刷ユニットU1にて、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面とブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面をウェブWを挟んで対接させる胴入れを行う。その後、ステップS41にて、制御装置140は、上流側テンション調整作業を実施する。そして、ステップS42にて、制御装置140は、加速運転してインキ供給量調整作業を実施した後、ステップS43にて、印刷を開始する。
また、新聞用オフセット輪転印刷機10におけるウェブWの張力調整作業の変形例について説明する。図15は、ウェブの張力調整作業の変形例を表すタイミングチャート、図16は、印刷作業の変形例を表すフローチャートである。
本実施形態のウェブの張力調整装置の変形例によるウェブ張力調整区間は、新聞用オフセット輪転印刷機10におけるウェブWの搬送区間の全域である。ここで、図1に示すように、給紙装置R(ブレーキ装置107)からインフィードドラグローラ109までが第1区間となり、インフィードドラグローラ109から出口ドラグローラ118までが第2区間となり、出口ドラグローラ118から中間ドラグローラ125,126までが第3区間となり、中間ドラグローラ125,126から三角板ドラグローラ131までが第4区間となる。
第1区間では、前述と同様に、上流側駆動ローラは、給紙装置Rの巻取紙WR(ブレーキ装置107)、下流側駆動ローラは、インフィードドラグローラ109、中間駆動ローラはなく、上流側張力検出器および下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ105に相当する。
第2区間では、前述と同様に、上流側駆動ローラは、インフィードドラグローラ109、下流側駆動ローラは、出口ドラグローラ118、中間駆動ローラは、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、上流側張力検出器は、テンションピックアップローラ111、下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ117に相当する。そして、上流側区間とは、インフィードドラグローラ109とブランケット胴31a,31bとの間の区間であり、下流側区間とは、ブランケット胴34a,34bと出口ドラグローラ118との間の区間である。
第3区間では、上流側駆動ローラは、出口ドラグローラ118、下流側駆動ローラは、中間ドラグローラ125,126、中間駆動ローラは、スリッタドラグローラ123、上流側張力検出器および下流側張力検出器はないが、別途、設けてもよい。そして、上流側区間とは、出口ドラグローラ118とスリッタドラグローラ123との間の区間であり、下流側区間とは、スリッタドラグローラ123と中間ドラグローラ125,126との間の区間である。
第4区間では、上流側駆動ローラは、中間ドラグローラ125,126、下流側駆動ローラは、三角板ドラグローラ131、中間駆動ローラはなく、上流側張力検出器および下流側張力検出器は、テンションピックアップローラ129,130に相当する。
本実施形態のウェブの張力調整装置は、ウェブ張力調整区間がウェブWの搬送方向に沿って複数(本実施形態では、4個)設けられ、制御装置140は、複数のウェブ張力調整区間のうちのウェブWの搬送方向における上流側のウェブ張力調整区間からウェブWの張力を調整する。すなわち、上述した第1区間、第2区間、第3区間、第4区間の順にウェブWの張力を調整する。
図15に示すように、制御装置140は、第1区間の上流側における給紙張力制御、インフィードドラグ制御、出口ドラグ制御、中間ドラグ制御を実施し、各制御にて、紙張り制御、低テンション付与制御、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御を実施する。
まず、第1区間にて、給紙張力制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。第2区間にて、インフィードドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。第3区間にて、出口ドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。第4区間にて、中間ドラグ制御における紙張り制御と低テンション付与制御を実施する。
そして、全ての区間における給紙張力制御、インフィードドラグ制御、出口ドラグ制御、中間ドラグ制御にて、紙押え制御、適正テンション付与制御、緩動運転制御、上流側テンション制御を同時に実施する。なお、制御装置140による給紙張力制御、インフィードドラグ制御、出口ドラグ制御、中間ドラグ制御は、上述したものに限定されるものではなく、図11から図13で説明したような制御としてもよい。
図1および図16に示すように、ステップS71にて、紙通し作業を実施し、ステップS72にて、制御装置140は、紙通し作業が完了したかどうかを判定する。ここで、紙通し作業が完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、紙通し作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS73にて、制御装置140は、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したかどうかを判定する。ここで、印刷ユニットの胴位相合わせが完了していないと判定(No)されると、この状態が維持される。一方、印刷ユニットの胴位相合わせが完了したと判定(Yes)されると、ステップS75以降で、ウェブWの張力調整作業が開始される。
制御装置140は、第1区間、第2区間、第3区間、第4区間の順にウェブWの張力調整作業を実施する。ここで、第1区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施する。第2区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施する。第3区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施する。第4区間は、前述したような制御によりウェブWの張力調整作業を実施する。
ステップS76にて、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、第1区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS77にて、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、第2区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS78にて、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。
一方、第3区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS79にて、第4区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、第4区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、第4区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS80にて、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したかどうかを判定する。ここで、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了していないと判定(No)されると、この状態を維持する。一方、全ての区間におけるウェブWの張力調整作業が完了したと判定(Yes)されると、ステップS81にて、制御装置140は、印刷ユニットU1にて、ブランケット胴31a,32a,33a,34aの外周面とブランケット胴31b,32b,33b,34bの外周面をウェブWを挟んで対接させる胴入れを行う。その後、ステップS82にて、制御装置140は、加速運転してインキ供給量調整作業を実施した後、ステップS83にて、印刷を開始する。
このように本実施形態のウェブの張力調整装置にあっては、ウェブWの搬送方向に所定間隔を空けて配置されてウェブWを搬送可能なインフィードドラグローラ(上流側駆動ローラ)109および出口ドラグローラ(下流側駆動ローラ)118と、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118との間に配置されるブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bと、上流側区間におけるウェブWの張力を検出するテンションピックアップローラ(上流側張力検出器)111と、下流側区間におけるウェブWの張力を検出するテンションピックアップローラ(下流側張力検出器)117と、テンションピックアップローラ111とテンションピックアップローラ117の検出結果に基づいてインフィードドラグローラ109の回転速度を制御してウェブWの張力を調整可能な制御装置140とを備える。
従って、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに対して上流側区間におけるウェブWの張力と下流側区間におけるウェブWの張力に基づいてインフィードドラグローラ109の回転速度を制御してウェブWの張力を調整することから、上流側区間と下流側区間との間にブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがあっても、上流側区間におけるウェブWの張力と下流側区間におけるウェブWの張力を適正張力調整することができる。その結果、ウェブWの張力を適正に調整可能とすると共に、ウェブWの張力調整作業の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力を予め設定された下流側適正張力に調整した後、上流側区間におけるウェブWの張力を予め設定された上流側適正張力に調整する。従って、ウェブWの張力を上流側適正張力に調整するとき、既に下流側適正張力に調整されたウェブWの張力を変動させることがなく、効率良くウェブWの張力を調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、出口ドラグローラ118の回転速度よりインフィードドラグローラ109の回転速度を低速とし、下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正張力に到達すると、下流側適正張力が維持されるようにインフィードドラグローラ109の回転速度を制御する。従って、ウェブWの張力を容易に増加させることができ、下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正張力に調整されると、下流側適正張力が維持されるようにインフィードドラグローラ109の回転速度を制御することから、効率良くウェブWの張力を調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正張力より低い予め設定された下流側適正低張力に到達すると、インフィードドラグローラ109の回転速度を変更、例えば、減速して適正張力に調整する。従って、ウェブWの張力が段階的に増加されることとなり、張力の急激な増加によるウェブWの破断を抑制することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の少なくともどちらか一方に対接することでウェブWを挟持する紙押えローラ110,119が設けられ、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正低張力に到達すると、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。従って、ウェブWがインフィードドラグローラ109および出口ドラグローラ118と紙押えローラ110,119により挟持された状態で、ウェブWの張力が増加することとなり、ウェブWを安定して支持することでウェブWの破断を抑制することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、インフィードドラグローラ109と出口ドラグローラ118の少なくともどちらか一方に対接することでウェブWを挟持する紙押えローラ110,119が設けられ、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力を下流側適正張力に調整した後、離間位置にあるブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを対接位置に移動し、その後、紙押えローラ110,119を脱位置から着位置に移動する。従って、ウェブWがインフィードドラグローラ109および出口ドラグローラ118と紙押えローラ110,119に挟持されるとき、ウェブWの張力が既に下流側適正張力に調整されており、ウェブWに対する瞬間的な張力の増加が抑制され、ウェブQの破断を抑制することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、上流側区間におけるウェブWの張力を予め設定された下流側張力調整用上流側張力に調整した後、下流側区間におけるウェブWの張力が予め設定された下流側適正張力に到達すると、上流側区間におけるウェブWの張力を予め設定された上流側適正張力に調整する。従って、早期にウェブWの張力を増加させてウェブWの張力を上流側適正張力に調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、出口ドラグローラ118の回転速度よりインフィードドラグローラ109の回転速度を低速とし、下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正張力に到達すると、現在のウェブWの張力が維持されるようにインフィードドラグローラ109の回転速度を制御する。従って、効率良くウェブWの張力を調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、下流側区間におけるウェブWの張力を下流側適正張力に調整した後、離間位置にあるブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを対接位置に移動し、その後、上流側区間におけるウェブの張力を上流側適正張力に調整する。従って、ウェブWの張力が下流側適正張力に調整された状態で、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを対接位置に移動することとなり、ウェブWの破断を抑制することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、制御装置140は、インフィードドラグローラ109の駆動回転を停止した状態で、出口ドラグローラ118の駆動回転を開始し、下流側区間におけるウェブWの張力が上昇すると、インフィードドラグローラ109の駆動回転を開始する。従って、ウェブWの弛みを早期に解消することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bが離間位置にあるとき、一部のブランケット胴31a,32b,33a,34bがウェブWに接触する。従って、一部のブランケット胴31a,32b,33a,34bがウェブWに接触していても、上流側区間におけるウェブWの張力と下流側区間におけるウェブWの張力を適正張力調整することができる。その結果、ウェブWの張力調整作業の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、中間ドラグローラ125,126と三角板ドラグローラ131との間にウェブWの経路長を変更可能なコンペンセータ142,143を設け、制御装置140は、テンションピックアップローラ129,130の検出結果に基づいてコンペンセータ142,143を制御してウェブWの張力を調整する。従って、中間ドラグローラ125,126や三角板ドラグローラ131の回転速度を制御する方法との組み合わせにより、ウェブWの張力を早期に調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、ウェブWの張力調整区間をウェブWの搬送方向に沿って複数設け、制御装置140は、複数のウェブWの張力調整区間のうちのウェブWの搬送方向における下流側のウェブWの張力調整区間からウェブWの張力を調整する。従って、上流側の張力調整区間におけるウェブWの張力を調整するとき、既に調整された下流側の張力調整区間におけるウェブWの張力を変動させることがなく、効率良くウェブWの張力を調整することができる。
本実施形態のウェブの張力調整装置では、ウェブWの張力調整区間をウェブWの搬送方向に沿って複数設け、制御装置140は、複数のウェブWの張力調整区間のうちのウェブWの搬送方向における上流側のウェブWの張力調整区間からウェブWの張力を調整する。従って、下流側の張力調整区間におけるウェブWの張力を調整するとき、既に調整された上流側の張力調整区間におけるウェブWの張力を変動させることがなく、効率良くウェブWの張力を調整することができる。
また、本実施形態の張力調整方法にあっては、上流側区間におけるウェブWの張力を検出する工程と、下流側区間におけるウェブWの張力を検出する工程と、上流側区間におけるウェブWの張力と下流側区間におけるウェブWの張力に基づいてインフィードドラグローラ109の回転速度を制御してウェブWの張力を調整する工程とを有する。従って、上流側区間と下流側区間との間にブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがあっても、上流側区間におけるウェブWの張力と下流側区間におけるウェブWの張力を適正張力調整することができる。その結果、ウェブWの張力を適正に調整可能とすると共に、ウェブWの張力調整作業の作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の印刷機にあっては、ウェブWを供給する給紙装置Rと、給紙装置Rから供給されたウェブWに対して印刷を施す印刷装置Uと、印刷装置Uにより印刷が施されたウェブWを縦折りした後に断裁して所定の折帖を形成する折機Fと、ウェブWの張力調整装置とを備える。従って、ウェブWの張力を適正に調整可能とすると共に、ウェブWの張力調整作業の作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の印刷機では、給紙装置Rは、複数の給紙ユニットR1~R7を有し、印刷装置Uは、複数の印刷ユニットU1~U6を有し、折機Fは、複数のウェブWを縦折りした後に断裁して所定の折帖を形成するものであり、制御装置140は、複数のウェブWの搬送経路で全ての下流側区間におけるウェブWの張力が下流側適正張力に調整されると、離間位置にあるブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを対接位置に移動する。従って、全てのウェブWに対して同時にブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bが接触することとなり、ウェブWの破断を抑制することができる。
また、ウェブWの張力が早期に下流側適正張力に調整され、下流側張力が確立された状態で胴入れをするため、印刷開始時から安定した印刷を実現することができ、損紙を低減(黒損低減)することができる。また、低速運転で紙張りが終了することから、胴入れ時のウェブWの速度の低下が可能となり、損紙を低減(白損低減)することができる。更に、自動で紙張り運転ができることから、ウェブWの張力を監視して運転する作業者のスキルが不要となり、作業者のスキルレス、更には印刷開始時の自動無人運転を可能とすることができる。
なお、上述した実施形態では、上流側駆動ローラ、下流側駆動ローラ、中間駆動ローラ、上流側張力検出器、下流側張力検出器を適所に配置したが、ウェブの張力調整装置は、この構成に限定されるものではなく、例えば、ウェブの搬送経路を2個または4個以上に区画して各構成部材を適所に配置してもよい。
また、上述した実施形態では、上流側区間と下流側区間との間に中間駆動ローラとしてブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを配置したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、上流側区間や下流側区間には、ブランケット胴以外のガイドローラや駆動ローラなど他の複数のローラを配置されていてもよい。
また、上述した実施形態では、上流側張力検出器と下流側張力検出器をテンションピックアップローラとしたが、この構成に限定されるものではなく、ウェブの張力を検出することができれば、ダンサローラなど、いずれの張力検出器であってもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機など、ウェブを使用するその他の印刷機に適用してもよく、両面印刷機であっても、片面印刷機であってもよい。