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JP2005285364A - 放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両 - Google Patents

放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両 Download PDF

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JP2005285364A JP2004093336A JP2004093336A JP2005285364A JP 2005285364 A JP2005285364 A JP 2005285364A JP 2004093336 A JP2004093336 A JP 2004093336A JP 2004093336 A JP2004093336 A JP 2004093336A JP 2005285364 A JP2005285364 A JP 2005285364A
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Kazuhiko Kinutani
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Abstract

【課題】 絶縁性能を向上させた小型の放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両を提供する。
【解決手段】 放電灯の口金が装着されるソケット口20aを有し、口金の中心電極と電気的に接続される内側電極24がソケット部20の中央部に配置された合成樹脂成形品からなる本体部21と、第1の巻線8が巻回されて放電灯の装着方向と略直交する平面内でソケット部20の外周近傍に配置されるフェライトコア7と、第1の巻線8の高圧側の端部8bと内側電極24の間を電気的に接続する端子片12と、ソケット部20に一体成形されてフェライトコア7と第1の巻線8と端子片12とを樹脂封止する封止部19と、封止部19の巻回部19aの外面にフェライトコア7の長手方向に直交する方向に対して斜めに巻回されて、第1の巻線8とパルストランスを構成する第2の巻線9とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両に関するものである。
従来より、図28に示すような回路構成を有する放電灯始動装置が提供されている。この放電灯始動装置Aは、メタルハライドランプのような放電灯Laを始動するために放電灯Laに高圧パルスを印加するものであり、入力端子t11,t13間に接続された充電コンデンサC1と、この充電コンデンサC1に並列に接続されたパルストランスPTの1次巻線n1と放電ギャップSGとの直列回路と、入力端子t11と出力端子t21との間に接続されたパルストランスPTの2次巻線n2とを備えている。そして、入力端子t11〜t13にはインバータ回路INVの出力端が接続され、出力端子t21,t22間に放電灯Laが接続されている。また、入力端子t13と出力端子t22との間は短絡されている。
ここで、ランプ始動時にインバータ回路INVから入力端子t11,t13を介して充電コンデンサC1に充電電流が供給されて、充電コンデンサC1の両端電圧が所定の電圧に達すると、放電ギャップSGが放電してパルストランスPTの1次巻線n1に電流が流れて、2次巻線n2に高圧パルスが発生し、出力端子t21,t22間に接続された放電灯Laに高圧パルスを印加して放電灯Laを始動させるのである。
ところで近年、自動車の前照灯にメタルハライドランプなどの高輝度の放電灯が使用されるようになり、このような前照灯器具では器具の収納スペースが限られるため、放電灯Laを装着するソケットの内部に、放電灯Laに高圧パルスを印加する上記の回路を収納した放電灯始動装置が従来より提案されている(例えば特許文献1参照)。
図29はこのような放電灯始動装置の外観図であり、ソケット本体50の外郭は上カバー50aと下カバー50bとで構成され、上カバー50aに設けた絶縁円筒50cから、内部に収納した高圧パルス発生部54のソケット口51が露出している。またソケット本体50には、インバータ回路INVからの電線を接続するためのコネクタ52が設けられており、コネクタ52には上記の入力端子t11〜t13を構成する3本の接続端子53が配置されている。
図30(c)はソケット本体50内に収納される高圧パルス発生部54の外観を示しており、上カバー50aの絶縁円筒50cに臨む位置にソケット口51が設けられるとともに、パルストランスPT、放電ギャップSG、および充電コンデンサC1などの回路部品が実装され、高圧パルスを発生する回路が形成されている。ソケット口51には、放電灯Laの円柱状の口金70が嵌合する円筒状の外側筒部63と、口金70底面を円形に凹没させた凹所と係合する円筒状の内側筒部64とが同心に形成されており、内側筒部64の内部には口金70底面の凹所内に配置された中心電極(図示せず)と電気的に接続するための内側電極65が配置され、外側筒部63には口金70周面の上側部に設けられた外周電極71と電気的に接続するための外側電極66が配置されている。そして組立状態において外側筒部63の外周には上カバー50aの絶縁円筒50cが配置されており、絶縁円筒50cが外側電極66の外側に配置されて、絶縁を確保している。
この高圧パルス発生部54は以下の手順で組み立てられる。すなわち、断面形状が長円形状の棒状のフェライトコア55の外周に平角線よりなる2次巻線n2および1次巻線n1をエッジワイズ巻きし(図30(a)参照)、1次巻線n1の両端67a,67bに接続端子56,57を、二次巻線n2の両端68a,68bに接続端子58,59をそれぞれ電気的に接続した後、合成樹脂で樹脂封止してトランスブロック60を形成する(図30(b)参照)。その後トランスブロック60を別の樹脂で封止して、ソケット口51を一体に備える本体部61を形成し、放電ギャップSGや充電コンデンサC1などの回路部品を取り付けて、高圧パルス発生部54の組立を完了する。
特開2002−217050号公報
上記構成の放電灯始動装置では、高電圧を発生するパルストランスPTを樹脂封止してトランスブロック60を形成した後、このトランスブロック60を別の樹脂で封止してソケット本体61を形成しており、高圧部を2重に封止して絶縁しているため、パルストランスPTを封止する樹脂と、ソケット本体61を形成する樹脂の間に界面ができ、この界面を伝って2次側の接続端子58と1次側の接続端子57との間で高電圧が漏洩する可能性があった。そのため、両端子57,58間の沿面距離を確保するために、トランスブロック60の表面に複数の凹溝62を形成して、凹凸形状を設ける必要があり、このような凹凸形状を形成すると、トランスブロック60を封止する樹脂の厚みを厚くしなければならず、小型化を阻害してしまうという問題があった。
また、パルストランスPTの2次巻線n2の一端に設けた接続端子58は、放電灯Laの口金部の底面中央に設けられた中心電極に接続され、パルストランスPTにより発生される高圧パルスを放電灯Laの中心電極に印加するのであるが、口金部の周面に設けられた外周電極との間の絶縁距離を確保するために、接続端子58と外周電極との間には円筒状の内側筒部64および外側筒部63が二重に設けられている。ここで、ソケット口51に設けた内側筒部64は口金70底面の凹部に嵌合して、沿面距離を確保しているが、口金70底面の凹部と嵌合させるために内側筒部64の高さをある程度高くする必要があり、しかもソケット口51とトランスブロック60とは放電灯Laの装着方向と直交する平面内で一部が重なるように配置されているので、放電灯Laの装着方向においてソケット本体50の厚み寸法が大きくなり、薄型化の要求を満たせないという問題があった。
また、パルストランスPTはフェライトコア55の断面形状を長円形状として薄型化を図っていたが、平角線をエッジワイズ巻きする際に、フェライトコア55の断面で曲率半径が最も小さくなる角部で、平角線の絶縁樹脂の伸び率が大きくなったり、絶縁皮膜が破れたりして、絶縁性の確保が困難になるため、フェライトコア55の薄型化には限界があり、ソケット本体50の薄型化の制約となっていた。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁性能を向上させた小型の放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両を提供することにある。
請求項1の発明は、放電灯の円柱状の口金が装着される円筒状のソケット口を有し、前記口金の底面に設けた中心電極と電気的に接続するための内側電極が前記ソケット口の底部に配置された合成樹脂成形品からなるソケット部と、第1の巻線が巻回されて、前記放電灯の装着方向と略直交する平面内で前記ソケット口の外周近傍に配置される第1の磁気コアと、前記第1の巻線の一端と前記内側電極の間を電気的に接続する導電部と、前記ソケット部に合成樹脂で一体成形されて前記第1の磁気コアと前記第1の巻線と前記導電部とを樹脂封止する封止部と、前記封止部において前記第1の巻線を封止する部位の外面に巻回されて、前記第1の巻線とともに前記放電灯に始動パルスを与えるパルストランスを構成する第2の巻線とを備え、前記第2の巻線は、少なくとも一部が前記第1の磁気コアの長手方向に直交する方向に対して斜め方向に巻回されることを特徴とする。
この発明によれば、第1の磁気コアに巻回された第1の巻線と、第1の巻線の一端と内側電極の間を電気的に接続する導電部とを樹脂封止して封止部を形成するとともに、第1の巻線を封止する封止部の部位の外面に第2の巻線を巻回して第1の巻線とともに放電灯に始動パルスを与えるパルストランスを構成しており、第1の巻線と導電部とを1種類の樹脂で封止しているので、従来のように2種類の樹脂で封止した場合のように2種類の樹脂の界面を伝って漏電が発生するのを防止でき、したがって従来のように封止樹脂の表面に凹凸形状を設ける必要がないから、封止部を小型にでき、絶縁性を向上させた小型の放電灯始動装置を提供することができる。また第1の磁気コアは、放電灯の装着方向と略直交する平面内でソケット口の外周近傍に配置されているので、放電灯の装着方向において第1の磁気コアとソケット口とを一部重ね合わせて配置することができ、放電灯の装着方向における厚み寸法を小さくできるという効果もある。さらに、第2の巻線は第1の磁気コアの長手方向に直交する方向に対して斜め方向に巻回されるので、前記長手方向に直交する方向に巻回する場合に比べて、より高いパルス電圧を発生させることができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記第2の巻線は、前記ソケット口の外周から遠い側が、前記ソケット口の外周に近い側よりも、巻線間隔が広いことを特徴とする。
この発明によれば、第1の巻線と第2の巻線との重なり領域を増やして結合度を増加させることができ、放電灯点灯直後において1次側の振動電流の伝達ロスが低減する。
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記封止部は、前記第2の巻線をガイドする凹凸部を外周に設けたことを特徴とする。
この発明によれば、第1の巻線と第2の巻線との位置精度を向上させることで、安定した結合精度を得ることができ、高信頼性を確保することができる。
請求項4の発明は、請求項1において、前記封止部は、前記第2の巻線を巻回する外周にテーパ部を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、外形を大きくすることなく、生産性を向上させることができる。
請求項5の発明は、請求項4において、前記テーパ部は、所定厚さ以下の板状であることを特徴とする。
この発明によれば、テーパ部の厚みを制限することで、テーパー部に空気層を発生させることなく成形可能となり、高絶縁性を確保することができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかにおいて、前記第2の巻線の巻回方向の延長線は前記ソケット部に干渉しないことを特徴とする。
この発明によれば、第1の巻線と第2の巻線との位置精度の向上、および生産性の向上を図ることができる。
請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、前記第1の磁気コアの長手方向に平行に第2の磁気コアを前記封止部の外側に備えることを特徴とする。
この発明によれば、第1の磁気コアを太くすることなく第1の巻線と第2の巻線との結合度を増大させて第1の巻線に発生するパルス電圧の高電圧化を図ることができる。
請求項8の発明は、請求項7において、前記封止部の外面に前記第2の磁気コアを保持固定する固定部を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、組立性を向上させることで、加工工数を削減でき、接着剤等の固定部材が不要となる。
請求項9の発明は、請求項7または8において、前記第2の磁気コアは、前記第1の巻線と前記第2の巻線との重なり部分より長いことを特徴とする。
この発明によれば、第1の巻線に発生するパルス電圧のさらなる高電圧化を図ることができ、さらに放電灯点灯直後において1次側の振動電流の伝達ロスが低減する。
請求項10の発明は、請求項7乃至9いずれかにおいて、本装置を覆う導電性の金属を備え、前記第2の磁気コアは、前記第1の磁気コアの中心軸から前記金属までの距離が最も短い空間に配置されることを特徴とする。
この発明によれば、金属に渦電流損を発生させる磁束を、第2の磁気コアで効率よく回収し、第1の巻線と第2の巻線との結合度を改善することができる。
請求項11の発明は、請求項7において、前記第2の磁気コアは、前記第1の磁気コアの長手方向に平行な第1の面と、前記第1の面を曲折して前記第1の巻線の他端側が巻回された前記第1の磁気コアの側面に端部を近接させた第2の面とからなるL字状に形成された珪素鋼板であることを特徴とする。
この発明によれば、珪素鋼板の厚み方向に直交する磁束を低減できるので渦電流損が減少し、第1の巻線と第2の巻線との結合度を増大させることができる。
請求項12の発明は、請求項1乃至11いずれかにおいて、前記封止部の側面に、前記第2の巻線端部を絡げる突起を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、第2の巻線の端部を固定する接着工程を省略できるので、加工工数を削減できる。また、第2の巻線端部の引き出し方向が規定されるので、第2の巻線端部の位置および引き出し方向のばらつきによる組立性の悪化を防止することができる。
請求項13の発明は、請求項1乃至11いずれかにおいて、前記封止部の側面に、前記第2の巻線端部を圧入保持する溝部を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、第2の巻線の端部を固定する接着工程を省略できるので、加工工数を削減できる。また、第2の巻線端部の引き出し方向が規定されるので、第2の巻線端部の位置および引き出し方向のばらつきによる組立性の悪化を防止することができる。
請求項14の発明は、請求項12または13において、前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記第2の巻線の両端に各々接続する端子を前記リードフレームに設けたことを特徴とする。
この発明によれば、封止部の形状が複雑化して、第2の巻線接続用の端子を封止部に取り付けられない場合でも、組立時の接続を容易に行うことができる。
請求項15の発明は、請求項12または13において、前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記第2の巻線は所定の径以上であり、前記第2の巻線の両端部を各々挿入、接続する孔を前記リードフレームに穿設することを特徴とする。
この発明によれば、第2の巻線接続用の端子が不要となり、コスト低減を図ることができる。
請求項16の発明は、請求項1乃至11いずれかにおいて、前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記封止部の側面には一端を前記第2の巻線の端部に接続した端子を設け、該端子の他端は前記リードフレームに接合されていることを特徴とする。
この発明によれば、第2の巻線の接続を容易に行うことができる。
請求項17の発明は、請求項16において、前記端子は、前記封止部成形時に同時成形されることを特徴とする。
この発明によれば、端子成形工程を省略でき、加工工数を削減できる。
請求項18の発明は、請求項1〜17の何れか1つの放電灯始動装置を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、請求項1乃至17いずれかと同様の効果を奏する放電灯点灯装置を提供できる。
請求項19の発明は、請求項18記載の放電灯点灯装置を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、請求項1乃至17いずれかと同様の効果を奏する車両用前照灯器具を提供できる。
請求項20の発明は、請求項19記載の車両用前照灯器具を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、請求項1乃至17いずれかと同様の効果を奏する車両を提供できる。
以上説明したように、本発明では、第1の磁気コアに巻回された第1の巻線と、第1の巻線の一端と内側電極の間を電気的に接続する導電部とを樹脂封止して封止部を形成するとともに、第1の巻線を封止する封止部の部位の外面に第2の巻線を巻回して第1の巻線とともに放電灯に始動パルスを与えるパルストランスを構成しており、第1の巻線と導電部とを1種類の樹脂で封止しているので、従来のように2種類の樹脂で封止した場合のように2種類の樹脂の界面を伝って漏電が発生するのを防止でき、したがって従来のように封止樹脂の表面に凹凸形状を設ける必要がないから、封止部を小型にでき、絶縁性を向上させた小型の放電灯始動装置を提供することができるという効果がある。また第1の磁気コアは、放電灯の装着方向と略直交する平面内でソケット口の外周近傍に配置されているので、放電灯の装着方向において第1の磁気コアとソケット口とを一部重ね合わせて配置することができ、放電灯の装着方向における厚み寸法を小さくできるという効果もある。さらに、第2の巻線は第1の磁気コアの長手方向に直交する方向に対して斜め方向に巻回されるので、前記長手方向に直交する方向に巻回する場合に比べて、より高いパルス電圧を発生させることができるという効果もある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図8に基づいて説明する。本実施形態の放電灯始動装置Aは、メタルハライドランプのような放電灯Laを始動するために放電灯Laに高圧パルスを印加するものであり、高圧ブロック1と、低圧回路ブロック2と、上面樹脂カバー3と、下面樹脂カバー4と、上面シールドカバー5と、下面シールドカバー6とを主要な構成として有する。尚、本実施形態の放電灯始動装置Aは従来技術で説明した図28に示す放電灯始動装置とほぼ同じ回路構成を有しており、本実施形態では図28の回路において、パルス発生時のバイパスループを形成するバイパスコンデンサC2を入力端子t11,t12間に接続してある。
図2は高圧ブロック1の製造工程を示しており、高圧ブロック1は、10Ωm以上の固有抵抗を有する棒状のロッド型のフェライトコア7と、このフェライトコア7の側面に、絶縁部材としてのボビンを使用しないで平角線を1層にエッジワイズ巻きにして成る第1の巻線8(2次巻線n2)と、磁性材料により矩形板状に形成された高圧ヨーク40と、フェライトコア7および高圧ヨーク40を保持する樹脂成型品からなるコアホルダ10と、コアホルダ10に取り付けられて第1の巻線8の両端にそれぞれ電気的に接続される2つの端子11,12とを備える。なお本実施形態ではフェライトコア7に直接第1の巻線8を巻回しているが、ボビンを用いて第1の巻線8を巻回するようにしても良い。
コアホルダ10は、フェライトコア7の長手方向において対向配置され、図中上側に開放された保持溝13aを有する一対の側壁13,13と、フェライトコア7の長手方向に沿うように配置されて両側壁13の下端部の間をそれぞれ連結する一対の連結片14と、一対の連結片14の間を橋絡する橋絡部15と、一方の側壁13と一体的に形成され、上面およびフェライトコア7の長手方向における両側面が開放された略箱状のヨーク収納部16とを備える。
端子11は、第1の巻線8の低圧側の端部8aが挿入されるコ字状の挟持片11aを有し、この挟持片11aと連続一体に形成された圧入片11bを、端部8a近傍に配置されるコアホルダ10の部位(側壁13)に設けた圧入孔17に圧入することによってコアホルダ10に固定される。また端子12は、第1の巻線8の高圧側の端部8bが挿入されるコ字状の挟持片12aを有し、この挟持片12aと連続一体に形成された圧入片12bを、端部8b近傍に配置されるコアホルダ10の部位(ヨーク収納部16)に設けた圧入孔18に圧入することによってコアホルダ10に固定される。
上述のような高圧ブロック1を組み立てるに当たっては、先ずコアホルダ10の圧入孔17,18に端子11,12の圧入片11b,12bを圧入して、端子11,12を保持させるとともに、ヨーク収納部16内に上側から高圧ヨーク40を挿入して高圧ヨーク40をコアホルダ10に収納保持させた後、各側壁13に設けた保持溝13a内に上側からフェライトコア7の端部をそれぞれ挿入して、フェライトコア7をコアホルダ10に保持させる。このとき各保持溝13aの開口縁に設けた爪13bがフェライトコア7の端部に係止することで、フェライトコア7の抜け止めが行われる。またフェライトコア7の長手方向における一方の端面に対向して高圧ヨーク40が配置されている。
そして、コアホルダ10にフェライトコア7および高圧ヨーク40を保持させた後、絶縁性を有する合成樹脂により樹脂封止して封止部19を形成し、封止部19の表面に第1の巻線8の外周に配置されるように第2の巻線9(1次巻線n1)を巻回し(図3(c)参照)、第1および第2の巻線8,9とフェライトコア7とで高圧パルスを発生するパルストランスPTを構成する。ここで、封止部19の第2の巻線9が巻回される巻回部19aは略楕円の棒状に成形されており、巻回部19aの高圧側(第2の巻線8の高圧側の端部8b側)がソケット口20aの外周に接するように配置されている。そして、封止部19を樹脂成形する際には、放電灯Laの口金70が装着されるソケット口20aを有するソケット部20が封止部19の成型樹脂により形成されており、封止部19とソケット部20とで高圧ブロック1の本体部21が構成されている。
ソケット口20aは口金70の外周面と嵌合する円筒状の外筒部22の内側に、口金70の底面に設けた環状の溝と嵌合する円筒状の内筒部23が形成され、これら2つの筒部22,23が同心に配置されている。そして、内筒部23の底部には端子12に設けた接続片12cの先端が露出しており、先端が互いに近付く向きに突出する弾接ばね片を具備した内側電極24が接続片12cに電気的に接続されている。つまり、放電灯Laの中心電極に電気的に接続される内側電極24は端子12を介して第1の巻線8の高圧側の端部8bに電気的に接続されている。
また低圧側の端部8aに電気的に接続された端子11の圧入片11bの先端部は、封止部19の表面から外側に突出しており、外側に突出した圧入片11bの先端部が接続端子11cとなる。また外筒部22の外側には、口金70の周面に設けた外周電極に電気的に接続される一対の外側電極25が配置されている。各外側電極25は、外筒部22の開口縁に設けた切欠22aから内側に突出して外周電極に弾接する弾接ばね部25aを2個ずつ備え、外筒部22に設けた圧入孔(図示せず)に上面側から圧入片25bを圧入することによってソケット口20aに固定されている。なお圧入片25bの先端部は圧入孔を貫通してソケット口20aの下面側に突出しており、外側に突出する先部が低圧回路ブロック2に電気的に接続するための端子片となっている。
一方、低圧回路ブロック2は、図3(a)(b)に示すように、リードフレームをインサート成形して形成された基板36に充電コンデンサC1、バイパスコンデンサC2、放電ギャップSG、コネクタCNなどの回路部品を実装して形成され、第2の巻線9に通電することで第1の巻線8に始動パルスを発生させる始動回路を構成している。なお、プリント配線板からなる基板に上記の各回路部品を実装して低圧回路ブロック2を構成してもよい。
上面樹脂カバー3は、図4(a)に示すように絶縁性を有する合成樹脂により下面が開口した直方体状に形成され、ソケット口20aの外周に配置される絶縁円筒26が上面に形成されるとともに、コネクタCNを挿通させるための切欠27が一側面の開口縁を矩形状に凹没させることで形成されている。そして、絶縁円筒26には一端部が上側に開放された複数のガイド溝28が周方向に沿って形成されており、これらガイド溝28に放電灯Laの口金70の周面に設けたガイドピン(図示せず)が係入されるようになっている。また下面樹脂カバー4は絶縁性を有する合成樹脂により形成され、矩形板状の主部29の周縁部から上側に向かって鍔部30が突出している。
一方、上面シールドカバー5は、図5(a)に示すように金属等の導電材料により下面が開口した直方体状に形成され、上面には上面樹脂カバー3の絶縁円筒26の周りを囲む円筒状の筒部31が形成されている。また下面シールドカバー6は金属等の導電材料により形成され、矩形板状の主部32の周縁部から上側に向かって側部33が突出されている。そして上面シールドカバー5および下面シールドカバー6の接合部位にはそれぞれコネクタCNを挿通させるための矩形状に凹んだ切欠が形成され、これらの切欠の周縁から側方に向かってコネクタCNの上下両面をそれぞれ覆うカバー部34,35が延出している。
而して、放電灯始動装置Aを組み立てるにあたっては、先ず図3(c)に示すように低圧回路ブロック2の上側に高圧ブロック1を載置し、第2の巻線9の両端部を低圧回路ブロック2に設けた接続片37に電気的に接続して、第2の巻線9の両端を放電ギャップSGの一端と充電コンデンサC1の一端とにそれぞれ接続した後、図4(a)(b)に示すように上面樹脂カバー3および下面樹脂カバー4を上下両側から被せ、上面樹脂カバー3と下面樹脂カバー4とで囲まれる空間にシリコンのような絶縁樹脂を充填して高圧ブロック1および低圧回路ブロック2を絶縁し、さらに図5(a)(b)に示すように上面シールドカバー5および下面シールドカバー6を上下両側から被せることで、放電灯始動装置Aの組立が完了する。
そして、本実施形態では、巻回部19aの表面に第1の巻線8の外周に配置されるように第2の巻線9を巻回しているが、図1に示すように、第2の巻線9は、フェライトコア7の長手方向に直交する方向でなく、フェライトコア7の長手方向に直交する方向に対して斜めに巻回している。このように第2の巻線9を斜めに巻回することで、第2の巻線9により高いパルス電圧を発生させている。
以上説明したように本実施形態では、フェライトコア7に巻回された第1の巻線8と、第1の巻線8の高圧側の端部8bと内側電極24との間を電気的に接続する端子12とを樹脂封止して封止部19を形成し、この封止部19の巻回部19a表面に第1の巻線8の外周に配置されるように第2の巻線9を斜めに巻回して、パルストランスPTを形成しており、2種類の樹脂で封止した従来例のように2種類の樹脂の界面を伝って漏電が発生することがないから、絶縁性能を向上させることができる。また、従来例では絶縁性能を高めるために封止樹脂の表面に凹凸形状を設けて沿面距離を確保しているが、本実施形態では第1の巻線8と端子12とを1種類の封止樹脂で形成しているので、2種類の樹脂で封止した場合のように樹脂の界面が存在しないから、従来例のように封止樹脂の表面に凹凸形状を形成する必要が無く、絶縁性を向上させた小型の放電灯始動装置Aを実現できる。またフェライトコア7および第1の巻線8からなる高圧部とソケット口20aとは、放電灯Laの装着方向と略直交する平面内において高圧部がソケット口20aの外周近傍に、高圧部とソケット口20aとが重ならないようにして配置され、且つ、放電灯Laの装着方向において高圧部とソケット口20aとを一部重ね合わせて配置しているので、放電灯Laの装着方向における放電灯始動装置Aの厚み寸法を小さくして、全体の小型化を図ることができる。
ところで本実施形態は、メタルハライドランプのようなHIDランプからなる放電灯Laを始動するために放電灯Laに高圧パルスを印加するものであり、本実施形態を用いた放電灯点灯装置のブロック図を図6に示す。この放電灯点灯装置は、直流電源Eの直流電圧を矩形波電圧に変換して放電灯始動装置Aに装着された放電灯Laに供給するインバータINVと、放電灯始動装置Aとで構成される。
また図7は本実施形態を用いた車両用前照灯器具Bの一実施形態を示し、この前照灯器具Bは、車体に固定される灯体ハウジング100の内部に上記の放電灯始動装置Aと反射板101とを収納したものであり、灯体ハウジング100の前面に設けた開口部にはレンズ102が取り付けられている。また灯体ハウジング100の後部には放電灯Laを交換するための開口部104が設けられており、この開口部104にはキャップ105が被着されている。また灯体ハウジング100の下側部にはバッテリ(図示せず)から直流電源の供給を受けて動作するインバータINVが取着されており、このインバータINVからの電線103が放電灯始動装置AのコネクタCNに接続されている。なお図中の106はバッテリからの給電線を接続する接続コネクタである。
また図8は上述の車両用前照灯器具Bを備えた車両Cの一実施形態を示し、車体110の前面の左右両側には車両用前照灯器具Bが1台ずつ取り付けられている。
(実施形態2)
図9は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態1と異なる点は、第2の巻線9が第1の巻線8の高圧側の端部8b側へ巻回されるのしたがって、巻回角度が大きくなって第2の巻線9の下側の巻線間隔が上側の巻線間隔よりも広くなっている点であり、第2の巻線9は、ソケット口20aの外周から遠い側(すなわち図9の下側)が、ソケット口20aの外周に近い側(すなわち図9の上側)よりも巻線間隔が広くなっている。したがって、第1の巻線8と第2の巻線9との重なり領域が実施形態1に比べて増えるので、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度を増加させることができ、放電灯点灯直後において1次側の振動電流の伝達ロスが低減する。
(実施形態3)
図10は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態1と異なる点は、高圧ブロック1の巻回部19aの直径方向に対向する外周面に、複数の矩形の凸部80を軸方向に各々設けている点であり、凸部80間の溝部80aに第2の巻線9を嵌合させながら巻回することで第2の巻線9を溝部80aに沿ってガイドしている。したがって、第1の巻線8と第2の巻線9との位置精度が実施形態1に比べて向上し、安定した結合精度を得ることができ、高信頼性を確保できる。
(実施形態4)
図11は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態1と異なる点は、高圧ブロック1の巻回部19aの外周にテーパ部82を設けている点であり、テーパ部82は、第2の巻線9の巻回方向に対して垂直方向に傾斜面を形成され、巻回部19aの高圧側(第2の巻線8の高圧側の端部8b側)になるにつれて巻回部19aの外周から離れる形状を成す。したがって、テーパ部82に沿って第2の巻線9を巻回することによって、巻回部19aの長さを短くしても、第2の巻線9を巻回部19aに斜めに巻回することが容易となる。すなわち、高圧ブロック1の外形を大きくすることなく、生産性を向上させている。
また、テーパ部82の外側には三角波状の複数の溝部82aが軸方向に形成され、テーパ部82に対して巻回部19aの直径方向に対向する巻回部19aの外周面には複数のノコギリ波状の凸部81が軸方向に形成されており、溝部82aに第2の巻線9を嵌合させるとともに、凸部81間の溝部81aに第2の巻線9を嵌合させながら巻回している。したがって、第1の巻線8と第2の巻線9との位置精度が実施形態1に比べて向上し、安定した結合精度を得ることができ、高信頼性を確保できる。
(実施形態5)
図12は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態1と異なる点は、高圧ブロック1の巻回部19aの外周にテーパ部83を設けている点であり、テーパ部83は、第2の巻線9の巻回方向に垂直方向に傾斜面を形成され、巻回部19aの高圧側(第2の巻線8の高圧側の端部8b側)になるにつれて巻回部19aの外周から離れる形状を成す。したがって、テーパ部83に沿って第2の巻線9を巻回することによって、巻回部19aの長さを短くしても、第2の巻線9を巻回部19a斜めに巻回することが容易となる。すなわち、高圧ブロック1の外形を大きくすることなく、生産性を向上させている。
ここで、樹脂成形された本体部21中に大きな空気層が発生すると、空気層中にコロナ放電が発生して絶縁劣化を引き起こすことがあるが、図13に巻回部19aのG1−G1断面を示すように、本実施形態では、巻回部19aの軸方向に直交する方向のテーパ部83の厚さd1は3mm以下としており、テーパ部83の厚みを制限することで、テーパー部83にボイド等の空気層を発生させることなく成形可能となり、高絶縁性を確保している。
(実施形態6)
図14は本実施形態の放電灯始動装置を構成する高圧ブロックの上面図を示しており、実施形態1と異なる点は、第2の巻線9の巻回方向の延長線X1,X2がソケット部20に干渉しないように構成されている点であり、第2の巻線9を巻回部19aに巻回する際に第2の巻線9がソケット部20に当たることがなく、巻回工程を簡略化することができる。したがって、第1の巻線8と第2の巻線9との位置精度の向上、および生産性の向上につながる。
(実施形態7)
図15は本実施形態の放電灯始動装置Aを前方からみた断面図を示しており、実施形態1と異なる点は、封止部19内のフェライトコア7の長手方向に対して平行な矩形の板状のヨークコア41を封止部19の上方に設けた点である。実施形態1〜6では、フェライトコア7のみを用いた開磁路構成を提案してきたが、周囲へ放出されるノイズ量の低減を目的として上面樹脂カバー3および下面樹脂カバー4の周囲を金属の上面シールドカバー5および下面シールドカバー6で覆う場合、漏れ磁束によって上面シールドカバー5および下面シールドカバー6に渦電流損が発生するため、第1の巻線8に発生するパルス電圧が低下してしまう。
ヨークコア41を設けない構成で上記パルス電圧が低下を防止しようとすれば、フェライトコア7の径を太くする必要があり小型化を阻害してしまうが、本実施形態では、ヨークコア41を設けて閉磁路構成に近付けることで、漏れ磁束を低減し、上面シールドカバー5および下面シールドカバー6に発生する渦電流損を減少させて、第1の巻線8に発生するパルス電圧の低下を防止している。
また、図16に示すように、ヨークコア41を、第2の巻線9の巻回幅より長くすれば、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度を増加させて第1の巻線8に発生するパルス電圧の高電圧化を図ることができ、放電灯点灯直後において1次側の振動電流の伝達ロスが低減する。
さらに、フェライトコア7の中心から最も近い上面シールドカバー5および下面シールドカバー6の面は上面シールドカバー5の裏面であり、本実施形態では、上面シールドカバー5の裏面とフェライトコア7との間に配置されているので、上面シールドカバー5で渦電流損を発生させる磁束をヨークコア41で効率よく回収でき、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度を改善することができる。
(実施形態8)
図17は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態7と異なる点は、矩形の板状のヨークコア41を封止部19の前方に設けた点であり、実施形態7に比べて、放電灯Laの装着方向における放電灯始動装置Aの厚み寸法を増大させることなく、実施形態7と同様の効果を奏する。
また、図18に示すように、ヨークコア41を、第2の巻線9の巻回幅より長くすれば、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度を増加させて第1の巻線8に発生するパルス電圧の高電圧化を図ることができ、放電灯点灯直後において1次側の振動電流の伝達ロスが低減する。
(実施形態9)
図19は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の斜視図を示しており、実施形態8と異なる点は、封止部19の前面に、ヨークコア41を固定するための断面コの字状のヨークコア固定部42を設けた点であり、実施形態8では接着剤等でヨークコア41を封止部19前面に貼り付けて固定していたが、本実施形態では、位置決め治具や接着剤等を用いなくても、ヨークコア固定部42と封止部19との間にヨークコア41を嵌挿するだけで固定できる。したがって、組立性が向上して加工工数を削減でき、接着剤等の固定部材が不要となる。
(実施形態10)
図20は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1の上面図を示しており、実施形態8と異なる点は、L字状の珪素鋼板で形成したヨークコア43を封止部19の前方に設けた点であり、ヨークコア43は、フェライトコア7の長手方向に平行な第1の面43aと、第1の面43aの左端側(第2の巻線8の低圧側の端部8a側)を曲折して端部をフェライトコア7の左端面に対向させた第2の面43bとからなる。このようにヨークコア43をL字状に形成することで、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度が増加している。
しかし、図20の構成では、フェライトコア7を通る磁束がヨークコア43の第2の面43bに直交するため、第2の面43bでは渦電流損が発生し、第2の巻線9から第1の巻線8へのエネルギーの伝達ロスが大きくなる。
そこで、図21に示すように、フェライトコア7の左端を左方へ延長し、その前側面にヨークコア43の第2の面43bの端部を近接配置すれば、フェライトコア7を通る磁束は第2の面43bの端部からヨークコア43内に入るので、第2の面43bに直交する磁束が減少し、第2の巻線9から第1の巻線8へのエネルギーの伝達ロスが低減して、第1の巻線8と第2の巻線9との結合度がさらに増加する。
また、ヨークコア43に用いている珪素鋼板は導電材料であるので、高圧側である右側を短く形成することで、絶縁性能を高めながら第1の巻線8と第2の巻線9との結合度を増加させることができる。
(実施形態11)
図22は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1と基板36との分解斜視図を示しており、実施形態1と異なる点は、第2の巻線9の端部9aを固定する手段として、図23に示す巻線固定部44を設けた点である。
第2の巻線9を巻回部19aに巻回した後、その端部9aが固定されていなければ、高圧ブロック1を基板36に組み付ける際に、第2の巻線9の端部9aから巻線がほどけてしまうため、接着等による固定工程が必要であった。しかし、本実施形態では、溝部44aを形成した略矩形の巻線固定部44を巻回部19aの前側面および後側面に一体成形によって設け、溝部44aに第2の巻線9の端部9aを圧入することで、溝部44aに第2の巻線9の端部9aを固定している。なお、図22では、巻回部19a前面の巻線固定部44のみが示されているが、封止部後面にも同様に巻線固定部44を設けている。
また、従来は、高圧ブロック1を基板36に組み付ける際に、位置ばらつきおよび第2の巻線9の端部引き出し方向のばらつきによって、第2の巻線9の端部9aの引き出し方向を強制的に補正する必要があり、組立性が悪いものであったが、本実施形態では、巻線固定部44によって第2の巻線9の端部9aが固定されることで、第2の巻線9の端部9aを基板36上のスルーホール36aに引き出し方向の補正無しで挿入でき、組立性が向上している。なお、本実施形態では、第2の巻線9の端部9aを基板36上のスルーホール36aに直接挿入できるように、第2の巻線9にはφ0.5以上の電線を使用している。
さらに、図24に示すように、巻線固定部44の溝部44aの互いに対向する各側面に三角状の凸部44bと凹部44cとを各々形成すれば、第2の巻線9の端部9aは、圧入時に凸部44bによって凹部44c内に押し込まれて係止した状態となるので、保持強度がさらに強くなり、確実に固定される。特に、巻回時にスプリングバックが発生しやすい線材を第2の巻線9に用いる場合に有効である。
また、巻線固定部44に溝部44aを設けずに、第2の巻線9を巻線固定部44aに絡げることで固定してもよい。
(実施形態12)
図25は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1と基板36との分解斜視図を示しており、実施形態11と異なる点は、基板36上に、第2の巻線9の端部9aを絡げる絡げ端子46を設けた点で、絡げ端子46に第2の巻線9の端部9aを絡げることで、第2の巻線9を基板36に電気的に接続している。特に高圧ブロック1の形状が複雑化し、実施形態11のような巻線固定部44を設けることができない場合に有効である。
また、第2の巻線9の径が細い場合(例えばφ0.5未満)には、本実施形態のような絡げ端子46が有効である。
(実施形態13)
図26は本実施形態の放電灯始動装置Aを構成する高圧ブロック1と基板36との分解斜視図を示しており、実施形態1と異なる点は、第2の巻線9を基板36に電気的に接続する手段として、巻回部19aの前側面および後側面に、上下方向に形成された筒部47と、筒部47内を挿通した端子片48とを設けた点である。
端子片48上端は前方へ曲折したL字状に形成された絡げ部48aであり、絡げ部48aに第2の巻線9を絡げる。そして、端子片48の下端48bは基板36上のスルーホール36aに挿入されて半田等で接合される。
したがって、第2の巻線9の絡げ作業が、高圧ブロック1の上方、すなわち放電灯Laの嵌合面付近で行えるので、絡げ作業を容易に行うことができる。
また、筒部47および端子片48を本体部21の樹脂成形時に同時成形しており、端子片48の圧入工程等が削減されているので、加工工数を少なくできる。
なお、図27は、第2の巻線を基板36上に形成されているリードフレーム49で形成したもので、前後方向に互いに対向して形成された1組のリードフレーム49が左右方向に複数組並設されており、各組の各リードフレーム49間に巻回部19aが位置するように、基板36上に高圧ブロック1が配置され、、各組の各リードフレーム49の上端を溶接等による接続部49aを介して電気的に接続することで、第2の巻線9を形成している。実施形態1乃至13においても第2の巻線9を上記同様にリードフレーム49で形成してもよく、第1の巻線8と第2の巻線9との位置決めを、治具を用いることなく、基板36上に高圧ブロック1を固定することで行うことができるので、第1の巻線8と第2の巻線9との位置決めを容易に行うことができ、位置精度も向上する。
実施形態1の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 高圧ブロックの組立手順を説明する説明図である。 (a)は低圧回路ブロックの分解斜視図、(b)は低圧回路ブロックの外観斜視図、(c)は低圧回路ブロックと高圧ブロックの組立状態の外観斜視図である。 (a)は上面樹脂カバーおよび下面樹脂カバーの結合前の状態を示す分解斜視図、(b)は上面樹脂カバーおよび下面樹脂カバーを結合した状態の外観斜視図である。 (a)はシールドカバーの取付前の状態を示す分解斜視図、(b)はシールドカバーを取り付けた状態の外観斜視図である。 同上を用いた放電灯点灯装置のブロック図である。 同上を用いた車両用前照灯器具の断面図である。 同上を用いた車両の一部省略せる外観斜視図である。 実施形態2の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 実施形態3の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 実施形態4の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 実施形態5の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 同上の巻回部を示す側面断面図である。 実施形態6の第2の巻線の巻回状態を示す高圧ブロックの上面図である。 実施形態7の構成を示す側面断面図である。 同上の別の構成を示す外観斜視図である。 実施形態8の構成を示す高圧ブロックの上面図である。 同上の別の構成を示す外観斜視図である。 実施形態9の構成を示す外観斜視図である。 実施形態10の構成を示す上面図である。 同上の別の構成を示す上面図である。 実施形態11の構成を示す外観斜視図である。 同上の巻線固定部の構成を示す斜視図である。 同上の巻線固定部の別の構成を示す斜視図である。 実施形態12の低圧回路ブロックと高圧ブロックの組立前の状態を示す分解斜視図である。 実施形態13の高圧ブロックの構成を示す斜視図である。 第2の巻線の構成を示す参考例の外観斜視図である。 従来の放電灯始動装置を用いる放電灯点灯装置のブロック回路図である。 同上に放電灯を装着する前の状態を示す分解斜視図である。 同上を示し、(a)はパルストランスの外観斜視図、(b)はトランスブロックの外観斜視図、(c)は高圧パルス発生部の外観斜視図である。
符号の説明
7 フェライトコア
8 第1の巻線
8b 端部
9 第2の巻線
12 端子片
19 封止部
19a 巻回部
20 ソケット部
21 本体部
24 内側電極

Claims (20)

  1. 放電灯の円柱状の口金が装着される円筒状のソケット口を有し、前記口金の底面に設けた中心電極と電気的に接続するための内側電極が前記ソケット口の底部に配置された合成樹脂成形品からなるソケット部と、第1の巻線が巻回されて、前記放電灯の装着方向と略直交する平面内で前記ソケット口の外周近傍に配置される第1の磁気コアと、前記第1の巻線の一端と前記内側電極の間を電気的に接続する導電部と、前記ソケット部に合成樹脂で一体成形されて前記第1の磁気コアと前記第1の巻線と前記導電部とを樹脂封止する封止部と、前記封止部において前記第1の巻線を封止する部位の外面に巻回されて、前記第1の巻線とともに前記放電灯に始動パルスを与えるパルストランスを構成する第2の巻線とを備え、前記第2の巻線は、少なくとも一部が前記第1の磁気コアの長手方向に直交する方向に対して斜め方向に巻回されることを特徴とする放電灯始動装置。
  2. 前記第2の巻線は、前記ソケット口の外周から遠い側が、前記ソケット口の外周に近い側よりも、巻線間隔が広いことを特徴とする請求項1記載の放電灯始動装置。
  3. 前記封止部は、前記第2の巻線をガイドする凹凸部を外周に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の放電灯始動装置。
  4. 前記封止部は、前記第2の巻線を巻回する外周にテーパ部を設けたことを特徴とする請求項1記載の放電灯始動装置。
  5. 前記テーパ部は、所定厚さ以下の板状であることを特徴とする請求項4記載の放電灯始動装置。
  6. 前記第2の巻線の巻回方向の延長線は前記ソケット部に干渉しないことを特徴とする請求項1乃至5いすれか記載の放電灯始動装置。
  7. 前記第1の磁気コアの長手方向に平行に第2の磁気コアを前記封止部の外側に備えることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の放電灯始動装置。
  8. 前記封止部の外面に前記第2の磁気コアを保持固定する固定部を設けたことを特徴とする請求項7記載の放電灯始動装置。
  9. 前記第2の磁気コアは、前記第1の巻線と前記第2の巻線との重なり部分より長いことを特徴とする請求項7または8記載の放電灯始動装置。
  10. 本装置を覆う導電性の金属を備え、前記第2の磁気コアは、前記第1の磁気コアの中心軸から前記金属までの距離が最も短い空間に配置されることを特徴とする請求項7乃至9いずれか記載の放電灯始動装置。
  11. 前記第2の磁気コアは、前記第1の磁気コアの長手方向に平行な第1の面と、前記第1の面を曲折して前記第1の巻線の他端側が巻回された前記第1の磁気コアの側面に端部を近接させた第2の面とからなるL字状に形成された珪素鋼板であることを特徴とする請求項7記載の放電灯始動装置。
  12. 前記封止部の側面に、前記第2の巻線端部を絡げる突起を設けたことを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の放電灯始動装置。
  13. 前記封止部の側面に、前記第2の巻線端部を圧入保持する溝部を設けたことを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の放電灯始動装置。
  14. 前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記第2の巻線の両端に各々接続する端子を前記リードフレームに設けたことを特徴とする請求項12または13記載の放電灯始動装置。
  15. 前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記第2の巻線は所定の径以上であり、前記第2の巻線の両端部を各々挿入、接続する孔を前記リードフレームに穿設することを特徴とする請求項12または13記載の放電灯始動装置。
  16. 前記第2の巻線に通電することで前記第1の巻線に始動パルスを発生させる始動回路を実装したリードフレームを備え、前記封止部の側面には一端を前記第2の巻線の端部に接続した端子を設け、該端子の他端は前記リードフレームに接合されていることを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の放電灯始動装置。
  17. 前記端子は、前記封止部成形時に同時成形されることを特徴とする請求項16記載の放電灯始動装置。
  18. 請求項1〜17の何れか1つの放電灯始動装置を用いた放電灯点灯装置。
  19. 請求項18記載の放電灯点灯装置を用いた車両用前照灯器具。
  20. 請求項19記載の車両用前照灯器具を用いた車両。
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JP2010218731A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Panasonic Electric Works Co Ltd 放電灯始動装置、並びにそれを用いたソケット及び車両用前照灯
JP2011527079A (ja) * 2008-07-02 2011-10-20 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 高輝度放電ランプの高温再点灯の点灯装置一体型ランプソケット

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