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特集

第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

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衆院選・針路

岸田政権、「安倍・菅」とセットで評価を 宇野重規・東大教授

インタビューに答える宇野重規東大社会科学研究所教授=東京都千代田区で2021年10月8日、手塚耕一郎撮影
インタビューに答える宇野重規東大社会科学研究所教授=東京都千代田区で2021年10月8日、手塚耕一郎撮影

 19日の公示が迫った衆院選の意義を、岸田新内閣への視点を含めて各界の識者に聞く。初回は、政治思想史が専門の宇野重規・東京大社会科学研究所教授(54)。与野党論戦の展望や、危機的状況が指摘される日本の民主主義のあり方を尋ねた。

「衆院選時期を早めたのは邪道」

 ――安倍晋三、菅義偉両政権が終わり、岸田政権の方向性がよく見えない中で衆院選を迎えます。現状をどう整理しますか?

 ◆まず、菅政権の1年間の新型コロナウイルス対応の是非などを、国民が審判する機会があってしかるべきだったと思います。首相や政党の指導者は選挙を通じて審判を受け、ダメなら交代するのが原理です。ドイツや米国では各党の党首や大統領候補が誰で、政策は何、と時間をかけて議論して国民に示し、その上で審判を受けます。議会の恣意(しい)的な解散には歯止めをかけ、英国では与野党の合意がないと解散できない。これが世界の政党政治の大原則です。

 安倍元首相は病気で退陣して菅前首相に移行しましたが、両政権は事実上一体でした。安倍さんの最後も選挙で評価できず、菅さんも評価できずでは、国民は一体何に投票していいのか分からなくなります。

 ――菅前首相はまさに全国的な国政選挙を経ないまま、政権を降りました。

 ◆今回は自民党総裁選と衆院選が前後する、非常にトリッキーな手法でした。しかも岸田文雄首相が就任後、(11月とみられた)衆院選の時期を早めたのは邪道です。与野党のちゃんとした議論もなく「ご祝儀相場」で何とか押し切ろうというのは、政党政治の原則に反します。

 衆院選では、岸田政権とその前の安倍・菅両政権をセットで評価すべきです。岸田さんは安倍・菅両政権の中にいたインサイダーですから、「もう知らないよ」とはいかない。少なくともこの1~2年、または2017年の前回衆院選からの4年間を評価するのが第一原則だと思います。

 ――岸田首相は「新しい資本主義」「小泉政権時代からの新自由主義の転換」「分配強化」を掲げて、今までの路線を修正する考えのようですが。

 ◆資本主義の見直し・修正と分配重視は世界共通のトレンドです。2010年代のグローバル資本主義の流れで格差が拡大し、「資本主義を維持するためにも、資本主義を修正しなければならない」というのがほぼコンセンサスになっています。その意味で問題設定は正しいと思います。

 またウィズコロナ、ポストコロナの状況では、財政出動がほぼ各国共通の政策です。分配優先の中道政治が優位に立つのは当たり前で、今は財政緊縮をやりようがありません。

 ――ただ、岸田政権は発足したてで、有権者としては白紙委任か「看板」への委任になりかねませんね。

 ◆その通りです。でも、政党間の議論はしやすくなったと思います。

 安倍政権は…

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