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グッバイ、私の知っているアメリカ=國枝すみれ

暗殺未遂が起きたバトラーを再訪したトランプ氏と応援演説するイーロン・マスク氏に熱狂するトランプ支持者(MAGA)たち=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年10月5日、國枝すみれ撮影
暗殺未遂が起きたバトラーを再訪したトランプ氏と応援演説するイーロン・マスク氏に熱狂するトランプ支持者(MAGA)たち=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年10月5日、國枝すみれ撮影

 私が知っているアメリカはなくなった。

 米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が大勝した時、そう思った。

 米国は、腕っぷしが強く正義感にあふれ、同盟国にとっては頼れる「親」のような存在だった。しかし、そんな存在ではなくなった。日本は「孤児」になり、西欧のいくつかの「きょうだい」とともに取り残された。

 私は駐米特派員などとして、10年以上米国に住み、50州すべてを訪れた。米大統領選の取材は5回目となる。今回の結果は、トランプ氏が初めて大統領選で勝利した2016年から続けてきたプロパガンダ(情報操作)戦略が奏功し、米国人が変化した帰結と考えている。

MAGAに見る米国の変化

 その変化は、トランプ氏の熱心な支持者マガ(MAGA=メーク・アメリカ・グレート・アゲインの略)を見ると分かりやすい。私は彼らと16年からつながりを持ち、何度も話を聞いてきた。

 マガは、トランプ氏が20年の選挙の結果を覆そうとしたなどとして起訴されても、「政敵にはめられた」と信じている。

 トランプ氏が負けた20年選挙は「不正に奪い取られた選挙」で、21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で逮捕された支持者は「愛国者」で、暴力を扇動したのは「バスに乗って送り込まれた左翼活動家」という。トランプ氏の暗殺未遂事件は「連邦政府の捜査機関当局が関与している」と信じる人もいる。

 トランプ氏に投票した米国人は、16年には約6300万人、20年は約7400万人、24年は約7600万人(17日時点)だ。このうちかなりの割合がトランプ氏や右派メディアが流す言説をそのまま、もしくは一部を信じているとみられる。例えば、CNNの23年夏の調査で、共和党支持者の約7割が「20年の選挙に不正があった」と信じている。

プロパガンダにもろい大国に

 もちろんこうした言説を信じたからではなく、経済的理由などから現実的な判断としてトランプ氏に投票した人もいる。

 それでも、…

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