映画『ヒミズ』より (C)2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ 『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚」『恋の罪』なども含め、園作品に特徴的な、詩の引用(今回はフランソワ・ヴィヨン)、エディプス・コンプレックスと家族、暴力といった幾つかのモチーフは引き継がれているなかで、監督自らが愛読していたという古谷実のマンガを原作とすることで、元来持っていた「青春」性を再び強く蘇らせることに成功している。東日本大震災後、震災後の日本に書き換えられた舞台設定のなかで、執拗に「君たちは世界にひとつだけの存在なんだ」とどこかで聞いたような言い様で説き伏せる学校の先生に「普通で何が悪い」と反抗する主人公・住田の存在は、311以後の空虚な全体主義的論調への園監督ならではのニヒリスティックな回答とも言える。 映画『ヒミズ』より (C)2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ 独自のキャスティングと演出に定評のある園監督だ