昨年6月、東海道新幹線で起きた放火事件で、非常ブザーが押されて車両がトンネルで止まりかねなかったが、運転士が火災発生を知り、再加速したことで避けられたことがわかった。火災中の車両がトンネルで止まれば乗客の避難が難しくなり、被害者が増えたかもしれず、間一髪の対応だった。 事件は6月30日午前11時半ごろ、神奈川県小田原市を下りで走行中の「のぞみ」で起きた。乗客がガソリンをかぶって焼身自殺し、巻き込まれた女性客も死亡した。ほか乗客26人と乗務員2人が重軽傷を負った。1964年の東海道新幹線開業以来、初の新幹線の列車火災事故となった。 JR東海によると、事件発生後に車内で非常ブザーが押され、運転士は非常ブレーキをかけたが、直後にボンという音と煙で火災に気づいた。マニュアルでは車内で火災が起きた場合、煙の充満などによる二次被害を防ぐためトンネルで止まらないよう定めてある。 運転士はブレーキを