「声優という職業では、とても食べていけない」。首都圏に住む柴田由美子さん(60)は20代のころ、人気アニメに声優として出演する傍ら、夜は六本木や銀座のナイトクラブで働いて生計を立てていた。 「聖闘士星矢」の春麗役などの人気キャラクターを10年ほど演じた後も平均的な報酬は変わらず、1日5000円程度だった。所属事務所への手数料10%を差し引くと手取りはわずか。報酬はその後、多少上がったものの、現在は主に整理収納アドバイザーとして働いている。 「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」などの世界的なヒットが続き、日本動画協会によるとアニメ産業市場は2023年に約3兆3000億円と過去10年間で2倍超に拡大した。海外ファンドからの投資や、企業の合併・買収(M&A)も活発化。東宝は24年に米国でジブリ作品などを配給する米GKIDSを買収すると発表し、ソニーグループはKADOKAWAの筆頭株主になるなどコンテンツ事