文房具屋でボールペンを吟味していると、視界の外から、眼鏡をかけた小学校中学年の男の子が話しかけてくる。 「あの、すみません、7ミリメートルのシャープペンシルの芯はどこに売っていますか」 瞬時に、電車の中で独り言をぶつぶつ呟くタイプの人間と隣り合ったときの緊張を感じたけれど、あ、これ、店員と間違えられてるんだと思いつき、それでもまだ地続きの動揺に「私、店員じゃないけど大丈夫?」と尋ねてしまった。 大丈夫かどうかを判断するのは彼ではなく私だ。 あわあわ焦る彼を思わず三日月型になった目で見つめながら「ちなみにシャーペンの芯はここで、7ミリはこれとこれと」と案内する。 絞り出すみたいな声で「ありがとうございます、後は自分で……」選びますから、と続けたいのに言葉が出てこない彼は予想だにしていない展開にてんてこまいで、これ以上困らせるのは不本意、「うん、選んでね、じゃあね」と言い残して私は去る。 「7