山岳地の大気の水銀濃度最高値 【小林哲】標高3776メートルの富士山頂の大気中から、最大で市街地の平均濃度の10倍を超える水銀が検出された。調査した滋賀県立大などの研究チームは、中国大陸から流れ込む大気に乗ってほかの汚染物質とともに運ばれてくるとみている。 水銀は人体に有害で水俣病の原因物質としても知られる。滋賀県立大の永淵修教授らは環境省の助成を受け、2007年から毎年夏に専用装置を富士山頂に持ち込んで水銀濃度を測定。07年8月下旬に1立方メートルあたり25・1ナノグラム(ナノは10億分の1)の最高値を記録した。仮に1年間、同じ濃度が続いても大気汚染防止法に基づく指針値(年平均40ナノグラム以下)は下回るが、07年の市街地の全国平均(2・2ナノグラム)の11倍という数字だった。 気象データを分析したところ、最高値を記録した時は中国東北地方や朝鮮半島を経由してきた大気が流れ込んでいた