京都市中京区の平安京跡から、「難波津(なにわづ)に咲くやこの花…」で始まる「難波津の歌」のほぼ全文が、平仮名成立前の「草仮名(そうがな)」で記された9世紀後半の木簡が見つかった。京都市埋蔵文化財研究所が26日、発表した。漢字から、平仮名に変わる直前の文字とみられる。専門家は「平仮名の成立や普及を考える上で、基準となる極めて貴重な史料」としている。 木簡は長さ34・5センチ、幅3・5センチ、厚さ4ミリ。見つかったのはマンション建設現場で、平安京のメイン通り・朱雀大路に面した貴族邸や公的施設とみられる建物跡。2014年の発掘調査で庭園の井戸から9世紀後半の土器とともに出土し、内容を調査していた。 縦に2行の草仮名が並び、1行目には欠損部分もあるが「□□は□にさくやこのはな…」(□は判読不能)と難波津の歌の全文が、漢字を崩した草仮名で記されていた。2行目には「まらとすかたそ□てはへる□と□」など