このコーナーは、時事通信社の関係団体で、(一社)内外情勢調査会の会員企業がお薦めする各社の商品を掲載します。内外情勢調査会は1954年の設立で、ほぼ毎月、全国100以上の都市で会食付きの会員制講演会事業を展開しています。会員は、企業経営者や中央省庁・自治体の首脳ら6500人。東京の会合には、首相や閣僚、日銀総裁なども登壇することが知られています。
「小江戸」の別名を持つ埼玉県川越市に本店を構え、県内を中心に40店舗以上を展開する老舗の和菓子屋が1887年創業の「くらづくり本舗」。初代、中野民五郎氏が旧川越城下小仙波村に餅菓子店を開業して以来、「小江戸川越」の味と心を伝える商品開発に取り組みながら、数多くの商品を世に送り出してきた。
岡山県倉敷、福島県喜多方の両市とともに「日本三大蔵の街」と呼ばれる川越市だが、蔵造りの街並みが形成されるきっかけとなったのは1893年に発生した川越大火。当時の町域の3分の1に相当する1302戸が焼失した大火の後、川越商人たちは焼け残った建物が蔵造りの建物だったことから、建物そのものを耐火建築にすることを思いつき、競って蔵造り建築による店舗「店蔵」を建て、最盛期には100軒以上もあったという。
そんな蔵の街で育まれた「くらづくり本舗」は、耐火建築として大切なものを守る役割を担ってきた川越の蔵をモチーフに「生まれる福」と「伝え守る蔵」という思いを込めた「くらづくり最中 福蔵(以下、福蔵)」を半世紀以上前から販売している。
旨いものには福がある
「くらづくり本舗」の社是は「美味求心」。その思いから生まれた「福蔵」は、北海道十勝平野で穫れた小豆をふっくらと丹念に炊き込んだ自家製小倉餡(あん)に新潟県産もしくは宮城県産のこがね餅を入れて、香ばしく焼き上げた最中(もなか)皮で包んだ極上の最中。餡の中には、佐賀県産ひよく米(もち米)をつきあげた「福餅」が入っており、今も発売当時の製法と味を頑なに守り続けている。
「お客さまに喜んでいただくため、満足していただくため、ただひたすら真っすぐに“本物のおいしさ”を追求してきました。50年以上前の話になりますが『福蔵』を発売するに当たって、たっぷりの小豆餡の中にお餅を入れることで、まるで小判の束のようにずっしりとした重みがあり、一個でも十分に満足していただけるような食べ応えのある最中を目指しました」と当時を振り返るのが、1996年に有限会社くらづくり本舗4代目社長から会長に就任し、2009年まで衆議院議員を務めた中野清氏である。
その言葉通り、「福」と「蔵」の文字が表と裏それぞれに入った正方形の大きな最中をひと口頬張れば、香ばしい香りが広がり、サクっとした軽い食感の最中の皮と、ほどよい甘さでしっとりした小倉餡を絶妙なバランスで味わえる。そして、すぐに餡の中から現れるお餅の食感が餡の甘さをより引き立ててくれる。皮、餡、お餅、この三つの絶妙な組み合わせによるおいしさは、まさに掛け紙に書かれている「旨(うま)いものには福がある」といえるだろう。
国内外で知名度拡大中
全国各地に名品の多い最中だが、「くらづくり本舗」の公式サイトによると「福蔵」の年間売上数は約350万個というから驚きだ。実は著名人にもファンが多く、人気テクノポップユニット・Perfume(パフューム)の「あ~ちゃん」こと西脇綾香さんが女性誌「anan」の中で、「私のテッパン手みやげ」として「福蔵」を紹介したところ、大変な反響があったという。
さらに「くらづくり本舗」では、新たな販路として今年1月に羽田空港第3ターミナル(国際線)に直結する複合施設「羽田エアポートガーデン」の開業に合わせて出店。羽田限定仕様の「福蔵」なども登場させ、国内外でのさらなる知名度向上を目指している。
「福蔵」以外にも、サツマイモのホクホク感をそのままに味わえるスイートポテト「べにあかくん」。裏ごししたサツマイモの餡を新鮮な卵と小麦粉で作った生地で包み、焼き上げた焼き芋風のお菓子「ぽくぽく」など、江戸時代「栗(九里)より(四里)うまい十三里」とうたわれたサツマイモをベースにしたヒット商品も次々に生み出している。
ぜひとも、「小江戸川越」からお菓子づくりの伝統を今に伝える「くらづくり本舗」の銘菓の数々を味わってみては。
有限会社くらづくり本舗
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