ボンバーキング
【ぼんばーきんぐ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ MSX2
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発売元
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ハドソン
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発売日
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FC:1987年8月7日 MSX2:1988年
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定価
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FC:5,500円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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ボンバーマンの続編 爆破の猶予が短すぎてほんの一瞬でも逃げ遅れれば自爆 死因の大半は自爆 爆弾は有限、切れたら衰弱死一直線 長丁場なのに途中セーブ機能なし ヒロイックでとても格好いい主題歌
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ハドソン マル超シリーズ ボンバーキング / ファザナドゥ / 桃太郎伝説
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ボンバーキングシリーズ ボンバーキング / シナリオ2
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ボンバーマンシリーズリンク
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概要
ハドソンがファミコンで世に出した「マル超シリーズ」の第1弾(第2弾は『ファザナドゥ』、第3弾は『桃太郎伝説』)。
戦闘用アンドロイド「ナイト」を操り、異次元生命体によって荒廃した惑星「アルタイル」を蘇らせるために戦うという、面クリア型の横スクロールアクション。
1985年に発売された『ボンバーマン』の続編という位置づけで、爆弾で障害物や敵を破壊するという部分は似ているが、世界観やキャラクターは全く異なる。
さまざまな攻撃アイテムがあったり、ライフ制、ボスキャラ戦であったりと、後のボンバーマンシリーズ本編にも引き継がれている要素はある。
なお、その後本作とは異なる続編の『ボンバーマンII』が改めて登場し、こちらの方がハドソンの看板タイトルとなっている。
翌年にMSX2へも移植されている。そちらはグラフィックが多少劣化した以外はほぼ忠実な移植となっているため、ここではFC版を主に解説する。
ストーリー
アルタイル紀元2036年。惑星アルタイルの人々は突如として寒い冬に見舞われ大混乱に陥る。
その原因は異次元生命体の侵入であり、本作の主人公の戦闘用アンドロイド“ナイト”が降り立つ。
ゲームシステム
障害物を破壊し、敵を撃破してステージをクリアしてゆくトップビュー横スクロールアクション。全部で8つのピリオドで構成されている。
各ステージは大半をブロック等で覆われており、メイン武器の爆弾で破壊して進路を切り開かなければならない。
システムはボンバーマンの仕様とは良くも悪くも大きく異なっているので解説を入れる。
基本仕様
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ライフ制の導入
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ライフ制が導入されており、敵の攻撃にもある程度耐える事が出来る。勿論ライフが0になるとゲームオーバーになる。
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制限時間がないかわりに、時間切れになるとライフが徐々に僅かに減っていく仕様になっている。制限時間が残り僅かになるとBGMが警告音のようなものに変わり知らせてくれる。
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スコアが経験値を兼ねており、一定の点数を取ればレベルが上がり、耐久力も上昇する。レベルが上がりライフに余裕があれば、爆弾による自爆にも耐えられるようになる。しかし説明書ではこのレベルの存在に触れていない。
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クリア条件は「EXIT」への到達
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本作ではとにかく右へ進んで行く仕様で左へスクロールさせて引き返す事は出来ない。
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EXITはステージの最も右側にある。敵を全滅させる必要はないが、キーアイテムの取得が必須でそれは近くの障害物の中に隠されているのが殆どである。
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多彩なステージギミックやボス敵
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障害物に隠された「秘宝」を取らないと抜け出せないループ。うっかり入ると水没してしまう水地形。ステージ上部の壁では地上の、階段からは地下のかくれステージ。暗闇の中を進んで行くブラックステージなど実に豊富なギミックが用意されている。
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ボスも用意されており、基本的にピリオドの最後にはボスが待ち構えている事が多い。巨大なスライムや多彩な事をやって来るブレインシリーズなど力が入っている要素の1つ。
標準装備
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ビーム
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近接距離で無制限に撃てる射撃武器。大抵のザコ敵は爆弾を使うまでもなく簡単に片づける事ができる。
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後述するアイテムにはビームの性能を高めるものがある。
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爆弾
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爆風はボンバーマンの十字判定とは異なり、3マス×3マスの四角形に広がる。
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爆風は自機・敵・障害物のすべてにダメージを及ぼす。爆心に隣接している障害物は1発で破壊、爆心に対して斜めに位置している障害物は半壊した状態で残る。爆風範囲やダメージの強化は出来ない。
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所持数は有限。雑魚敵が必ず落とすアイテムを取ると1発補充される。爆弾を10個補充できるアイテムもあるが計画的に使って行かないと間違いなく個数切れになる。
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爆弾が爆発するまでの猶予が短く、設置してすぐに爆発するので、後述するが慣れないと爆風に巻き込まれやすい。
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最大設置数は2個まで。同じ場所に2つ置くという事も出来る。
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アイテムやEXITには無害で、アイテムを爆風で破壊してしまったり、EXITに爆風を当てて敵が大量発生するという事は無い。
アイテム
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アイテムはパネルの状態で出現する。取得した時点で効果を発揮するものと、ストック可能でメニュー画面から使えるものがある。なお取得前に爆風や攻撃を当てても壊れない。
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コンティニューをした際はアイテムの所持数が半分になってしまう。
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セレクトアイテム
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キャンドル
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暗闇で一定時間、周囲を照らす。明かりは円形ではなく角が欠けた四角。実写CMでもこういう感じだった。
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スーパーチャージャー
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ブーツのようなアイコン。一定時間移動速度アップの効果でちょっとした川幅なら沈む前に渡り切れる。
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ハイパーミサイル
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射出した方向へ直線的に飛ぶ。破壊可能な地形を貫通し、敵へのダメージも高い。
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障害物の多い場所で撃ち、スーパーチャージャー併用で後を追い掛けると爆弾を節約できる。
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クロスファイア
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一定時間、ビームを上下左右に同時発射できるようになる。
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セレクトアイテムで特に稀有なもの。障害物に隠されている事はなく一部の隠し場所に用意されている事が殆ど。
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セレクトアイテム:レア
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ランプ
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暗闇ステージ全体を半永久的に明るく照らす。キャンドルの上位版。
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メガトン爆弾
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画面内の障害物を全壊させ、ザコ敵も全滅させる。ボスにも大ダメージ。
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ノンセレクトアイテム
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マル超
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一定時間無敵になる。この間は爆風すら受け付けない。
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秘宝
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無限ループが存在するステージに出現。これを取らないとゴールにたどり着けない。
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カギ
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取るとステージの出口(EXIT)が開く。必ずステージの右端付近に隠されている。
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アワードメダル
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ショップで買い物が出来る通貨。
しかし出現数が少なく交換レートが高いため気軽に買い物が出来るわけではない。
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ポイントアイテム
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「百」、「千」、「万」、「十万」と書かれたパネル。それらに応じてスコアが加算。
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評価点
ボンバーマンと比べると色々と大きく進化を遂げたのは確かであり、「ボンバーキング」のタイトルを冠するにふさわしい要素は多彩と言える。
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敵のバリエーション
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体当たりしかしないボンバーマンの敵とは異なり、弾を撃って来たり、突進して来たり、地形に化けたりと多彩な敵が出現する。
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ボス戦闘もあり、巨大スライム、ドラゴン、ブレインなどバリエーションが豊富。専用の曲も2つ用意されている。
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地形
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ボンバーマンでは床、ブロック、コンクリートの3種類だけだったが、本作は惑星探索という設定上、人工物以外にも木や岩といった自然の障害物、水や暗闇といった多彩なギミックも用意されている。
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グラフィック
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主人公ナイトのキャラのサイズもありがちな16*16ではなく大きいサイズ。
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動作も色々と書きこまれており、倒れ方も力尽きるのと水没の2つが用意されている。
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敵側も16*16だけではなく大きめのサイズも用意されている。ボスに至っては巨大なものがあり迫力がある。
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障害物を爆弾で半壊させると、当たった爆風の向きに応じて4種類の描画が用意されていて細かい。
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メガトン爆弾の迫力は圧巻。使用するとグラフィックがモノクロに変わり、轟音と共に画面内の障害物と敵が消し飛んでゆく。
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演出
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緑の惑星アルタイルが、赤茶けた不毛の惑星へ荒廃してゆく様を描くドットアニメの質も高い。
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エンディングもきちんと用意されている(そこまで到達するのが実に大変だが)
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音楽
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国本剛章による当時としては質も量も素晴らしい出来。
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特にメインテーマとも言えるゲーム開始直後から流れるBGM「ボンバーキングのテーマ」は勇壮さと悲壮感を併せ持ったなかなかの良曲。
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なんとこのBGM、主題歌として歌詞まで用意されており、隠し要素のカラオケモードで歌詞を見ることもできる。プレイ中長期にわたって聴くことになるメインテーマとヒーローチックな歌詞の組み合わせは、後述する「自爆」と並んでこのゲームを語る際には欠かせないネタ要素。
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またさりげない点ではあるが敵は無限湧きするため「爆弾がなくなって先へ進めない」という詰まりの心配はない。
問題点
爆弾設置時の挙動
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ボンバーマンシリーズとは爆弾設置時の挙動が大きく異なり、本作では爆弾をセットすると自動的に一歩後ろに下がるため、このことを認識して行動しないと爆破までの猶予の短さも相まってあっさり逃げ遅れ自爆してしまう。しかも爆弾は威力が非常に高く、初期状態のナイトでは1撃で死亡してしまう。
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これにより「劣悪な操作性ですぐ自爆死する理不尽なクソゲー」として紹介されるようになってしまった。
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とはいえ挙動を理解していないうちはボンバーマンシリーズと同じ感覚で「爆弾を置いてそのまま走り去る」ことをしてしまいミス、となってしまいやすいが「自動的に一歩下がる」挙動を理解して行動すればこのような自爆死はまず起こさなくなる。左から右へ進む方式のため、この挙動でむしろスムーズに行動ができる。
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主人公は爆弾の他に回数無制限の射撃が使えるので、敵に対しては爆弾を使わなくても問題ない。
各種システム・ギミックについて
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爆弾数はボンバーマンと違って有限(敵を倒して回収、もしくは特定アイテムの獲得で増える)であり、無駄遣いをしているとすぐに足りなくなる。
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前述の通り敵は無限湧きするものの、爆弾稼ぎしにくい序盤ほど危険。
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ループ
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特定の場所に隠されている秘宝を取らないと無限にループして先へ進めないステージがある。
にもかかわらず秘宝の場所は完全ノーヒント。
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更に1-1がいきなり無限ループステージのため、下手をするとしょっぱなから延々彷徨い続けるハメになる。しかも障害物は復活してるので爆弾も底を突きやすい。
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マジックブロック
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ステージを進んでいると障害物ではなく壁全体でステージを遮っている場合もある。一見すると八方塞がりだが実は特定の箇所に爆弾を何度も使うと壊れる箇所がある。それが「マジックブロック」。
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耐久力も高く必要な爆弾も2~7発とバラつきがあったり、分かり易い目印も無く1発当てただけでは色が変わるという事すらしないため、大量の爆弾を当てていく作業が要求される。
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6-1では水地形と併用されており、分かり易い目印はあるもののマジックブロックを早く壊さないと渡り切る前に水没する危険がある。
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しかも爆弾以外のアイテムは通用しない。ハイパーミサイル、更には最強アイテムのメガトン爆弾すら全く通用しないので、結局は多量の爆弾で試行錯誤をするしかないのが難儀なところである。
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これは説明書にも記載がなく楽しそうな名称とは裏腹にストレスフルな要素であり、しかも爆弾の所持数が有限という仕様とは相性が非常に悪い。
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時間経過でライフが少しずつ減少する仕様となっており、実質的な時間制限ありのプレイとなっている。
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一応エクストラ(ライフ全回復)等の回復アイテムがたびたび手に入るので、無限ループで時間浪費しない限りそこまで管理が厳しいものではない。
終盤はザコ敵から受けるダメージでピンチになる局面も少ない。最大の敵は前述した「自前の爆弾による自爆」である。
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もちろんライフが厳しくないのはあくまで攻略法を既知な上でのプレイで、かつ順調に進んでいればの話。タンク(最強の雑魚敵)が撃ってくるミサイルは、その威力は実に5万ポイント(爆弾の半分)。2回当たれば初期状態のナイトでは死んでしまう。おそらくタンクも自爆ほどではないが死因の上位に入る。
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自爆に次ぐ死因は「先に進むための爆弾が尽き八方塞がっての時間切れによる衰弱死」。手探りで進みながら悠長に飛んでくる雑魚敵から爆弾を賄う時間的余裕はない。
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ゴール付近だと敵を回避しづらい
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基本、敵が右から湧いてくるため画面右上端のゴールに向かおうとするとすぐ傍で敵が湧いて激突・ダメージとなってしまいやすい。
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ゴール付近に居れば敵が湧かなくなるといった対策は打たれておらず、横方向に逃げるということもし辛いようなマップレイアウトになっていることが多いため、ダメージ必至となりがちである。
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地下のかくれステージ
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アイテムが大量に入手できるのは良いのだが、真っ暗なので明かりを灯すアイテムがないとまともに進むこともできない。
もし脱出前に明かりが消えてしまったら立ち往生することになる。
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地上は明るいはずなのに地下エリアから脱出するための階段さえ見えなくなるので脱出はほぼ不可能。
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一応「入口と出口の場所は同じ」というルールがあるので、キャンドルが尽きた場合は入ったときの場所とy軸を合わせて右に移動し続ければループした際に脱出できる。
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ゲーム中盤からは通常エリアでも暗闇ステージが登場する。
レアアイテムのランプを取得していなければやはりクリアはほぼ不可能。
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クリアまで非常に時間がかかる
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当時だと当たり前の仕様なのだが、途中セーブやチェックポイントセーブ機能はもちろん、アクションゲーム故パスワード再開機能は無いことが普通だった。しかしその割にステージが長く通常プレーだと数時間はかかってしまう。
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難度が高い上に1つの面が長いこともあり、当時のハドソンのキャッチフレーズ「ゲームは1日1時間」では相当やりこまないとクリアできない。
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「1日1時間」の標語を横にやったとしても、現実的に家庭内で認めてもらえる時間でクリアまで進めるのはかなり難しい。
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コンティニューは可能だが、所有アイテムの持ち数がそれぞれ半分に減らされ、スコアは0に戻る。しかも、ゲームオーバーになったステージの最初の面からの再開となる(例:4-3で死ぬと4-1から再開)。
ただし、ランプとメガトン爆弾だけは、数が減らないようになっている(おそらく、レアアイテムゆえに、コンティニューのたびに減ってしまうと、補充が難しいからだろう)。また、スコアは0になってもレベルは保持される。
総評
ボンバーマンからマル超やキングを冠するようなパワーアップを果たしたのは確かで良作になるポテンシャルは持ち合わせていた。しかしながら、自爆とノーヒントが織り成す壮絶な難度(加えてネットの発達で悪い点を面白おかしくクローズアップされた結果)のおかげで、大方の評価はクソゲーとなった。当時としては優れた演出などの長所も多くあるが、死にゲーでもある極端なゲームバランスがそれらの評価を打ち消してしまった。
が、自爆は落ち付いて操作するか慣れれば十分に回避できるレベルであり、謎解きに関しても覚えれば済むレベルであるため、当時でもクリアに情熱を注ぐプレイヤーは存在した。
破壊可能なブロックや敵を貫通してどこまでも飛ぶミサイル、画面内の破壊可能な物体を一撃で破壊しつくすメガトン爆弾など爽快なアイテムもあり、難易度の匙加減ひとつでかなり評価は変わったろうと思われる。
その他
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本作は外部からの持ち込み作品であって、ハドソンの自社企画ではない。持ち込み作品のタイトルは『CORRIDOR』(コリドー)。
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元の作品から様々な部分に手が加わっており、ボンバーキングは元の作品とは別物になっている。
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開発時の名称(ゲーム雑誌に開発初期に載った名称)は『笹川2号』であった。(2号=元の作品に手を加えて開発したため。笹川=手を加えたプログラマーの笹川敏幸氏。)
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コリドーは英語で回廊の意味。カラオケモードの歌詞にも元のタイトルが使われている。
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海外版では『Robo Warrior』のタイトルでジャレコから発売された。
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海外版は初期状態で自爆しても耐えられるように調整されている他、一部アイテムや敵キャラのグラフィックが変更され、カラオケモードが削除された。
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海外版でもアイテムのハチ助はそのまま出てくる。ハドソン開発のためか、ジャレコの発売ゲームにハドソンのマスコットキャラクターが出てくる不思議な感覚のゲームとなっている。
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本作の発売記念として、『面ラン(超)カラオケ・ビデオコンテスト』が実施された。
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後にサンソフトからゲームボーイソフトとして続編『ボンバーキング シナリオ2』が発売された。
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タイトルとは裏腹にストーリーは本作と同じで実質リメイクだが、爆弾の爆発までの時間が長くなった、爆弾をセットしても後ろに下がらなくなった、ノーマルボムの回数が無制限となったなど、遊びやすいようにシステムが大幅に変更された。
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またゲーム全体の難度も下がっており、ステージ構成も違うなど、内容はかなり変更されているが、丁寧に作られており遊びやすくなっている。
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タイトルロゴの「BOMBER」の書体やキャラクターイラストなど、どことなく本家ボンバーマンをほうふつとさせるコミカルなデザインになっている。
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「ボンバーキングのテーマ」は高橋名人歌唱のアレンジバージョンが存在する。
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イントロ・アウトロにオープニングのフレーズが挿入されたり、テンポが遅めのゆったりなアレンジになったりしている。こちらはDAMに収録されている為、カラオケ店などで実際に歌う事も出来る。本作のカラオケモードでは一番の歌詞しか表示されないが、DAMに収録されているものは二番も含まれている為、本作のカラオケモードで興味を持った方は是非。
最終更新:2024年06月06日 14:16