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SCARLET NEXUS

【すかーれっと ねくさす】

ジャンル ブレインパンク・アクションRPG


対応機種 プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
Windows(Microsoft Store/Steam)
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 バンダイナムコスタジオ
トーセ
発売日 【PS5/XSX/PS4/One】2021年6月24日
【Win(Steam)】2021年6月25日
【Win(MS Store)】2021年9月30日
定価 通常版: 8,200円+税
DELUXE EDITION: 9,600円+税
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント サイバーパンク風の世界観
堅実かつスピーディなアクション


概要

テイルズ オブ ヴェスペリア』のスタッフが中心となって制作したアクションRPG。『テイルズ オブ シリーズ』には属さない新規タイトルとなっている。
人間が備える超感覚「脳力」によって高度に発達した世界において、生物の脳を捕食する異形の生命体『怪異』との闘いを描く。

アニメとのメディアミックス戦略も特徴的で、ゲームの発売とほぼ同時期に本作のアニメ版(全26話)が放映されていた。第1話の放映は2021年7月1日でゲーム発売の1週間後となる。


特徴

W主人公制度

  • 主人公は怪異から都市「ニューヒムカ」の住民を守るために結成された「怪伐軍」に入隊した新人、ユイトとカサネの2名どちらかから選択可能。
    • ユイトは明るい人柄と、落ち着いたリーダーシップが持ち味。剣を武器にしており、近距離で連撃する戦闘スタイル。
    • カサネは理知的な思考回路と、まっすぐな物言いが魅力。小型刃の投擲による中距離攻撃で常に間を取って戦う戦闘スタイル。
    • 片方の主人公でゲームクリアすると、一部データを引き継いだ2周目でもう一方の主人公のシナリオを開始できる。

バトルシステム

  • 念力アクション
    • ユイトとカサネは両者ともに「念力」の脳力を用いて戦闘する。武器による通常攻撃・範囲攻撃のほかに、念力でオブジェクトを敵にぶつけて攻撃することが出来る。
      • 通常攻撃と範囲攻撃はそれぞれワンボタンに割り振られており、通常攻撃内に範囲攻撃をはさむとコンボが派生する。オーソドックスなアクションで、他のアクションゲーム、ARPGに慣れていれば混乱はしない。
    • 地域ごとに投げ飛ばせるオブジェクトも異なっている。街中であれば標識や車、雪山であれば氷像など。また、高威力のかわりにQTEが求められる特殊オブジェクトも存在している。
    • 念力もゲージによって管理されており、乱発はできない。ゲージは武器攻撃により回復するため、計画的なヒットアンドアウエイが求められる。
    • 回復アイテムも十字キーで使用可能。『GOD EATER』での使用感に近い。
    • PS5ではアダプティブトリガーに対応しており、念力で持ち上げた物体の重量に応じて振動量が異なるようになっている。
  • ブレインクラッシュ
    • HPとは別に備えられた敵の耐久値を削ると、「棘」と呼ばれる電球型の急所が露出。そのタイミングでボタンを押すと、急所を破壊し、 一撃で葬る ことができる技。「TOV」のフェイタルストライクと同様のシステムである。
    • ボス戦の場合は大ダメージを与えることと、とどめの演出で用いられる。
    • 演出は各怪異に応じたものが用意されており豊富。アップデートによって「簡易演出」のオプションが追加されたため、スピード感重視のプレイを選択することもできる。
  • SAS
    • 戦闘中に仲間の超脳力を一時的に借りることが出来るシステム。発動中は背中に複数本の管のようなものが接続された状態となる。
    • 例えば放電能力者のシデンとSAS接続した場合、通常攻撃が電撃を纏うようになり、高速化能力者のアラシとSAS接続した場合には、周囲がスローモーションになり一方的に攻撃可能。
    • 最終的には8枠の仲間(つまり、8種の超脳力)のSASがセットでき、最大4つまで同時にSAS接続が可能となる。つまり、電撃+高速化+透明化+...といったように、強力なバフを重ねて戦闘できるようになる。それぞれに存在するSASゲージによって接続時間が決定。
    • ゲームが進行すると、SASゲージを消費して仲間による高威力攻撃「コンビネーションビジョン」が発動可能。これはSAS接続していない仲間でも発動できるため、SAS接続していない仲間のゲージも余すことなく、コンビネーションビジョンで活用できるようになっている。
    • SAS中に敵をダウンさせたり状態異常にさせると、仲間による追撃「アサルトビジョン」が発動することがある。
  • 脳駆動(ドライブ)
    • 戦闘中にドライブゲージがたまると自動で発動する強化フェーズ。攻撃速度が上昇し、念力ゲージの消費量も少なくなり、よりスピーディに戦闘できる。
    • SASゲージが全回復したり、先述の「アサルトビジョン」が連続発動したりと、細かい恩恵が得られるようになっている。
    • 特定のプラグインを装備することにより、手動の発動に切り替え可能。
  • 脳内空間(ブレインフィールド)
    • 脳駆動状態が一定時間経過すると発動可能となる大技。脳が外界に作用する力を極限まで高めた結果、超能力者の周囲に展開される特殊な広大な空間。
    • 脳内空間では通常攻撃の威力、範囲が超強化されるほか、念力ゲージなしに無制限に念力攻撃が可能。SASとの併用は不可。
    • 下記のブレインマップで強化すればダメージも受けなくなるため、一方的に敵をぶん殴り続けられる言わば必殺技である。
    • 脳内空間は超強力なだけに、制限時間も1分弱と限定的。制限時間を経過すると脳が制御不能となり強制的にゲームオーバーとなるため、時間内に脳内空間を解除する必要がある。

育成システム

  • ブレインマップ
    • レベルアップで取得したポイントを消化して、新しい能力を取得できるマップ。
  • 武器、プラグイン
    • 装備品。武器で攻撃力を上昇させ、プラグインで防御力や超脳力などを上昇できる。
    • 武器、プラグインはセーブポイントと併設されたショップで購入可能。素材を渡して、合成することで入手することもできる。
    • 武器スキンのみを変更する機能もゲームを進めると解禁される。

その他システム

  • クエスト
    • 市街で受注できる依頼。特定のアイテムを持ってくる、特定の怪異を討伐するなどの依頼を完了することで、報酬を獲得できる。
  • ミッション
    • ゲームプレイにおける褒賞。上記のクエストをクリアした回数や、それに応じた報酬がもらえる。
    • 「ストーリーを15時間以内でクリア」などのクリア時間に関するミッションが2周目以降のやりこみ要素として用意されている。
  • アジト
    • ユイト・カサネ小隊のたまり場。作中では政府の干渉を受けず怪異の襲撃も受けないセーフゾーンという説明がなされる。メインストーリーの合間には、アジトで仲間たちと過ごす「スタンバイフェイズ」が挿入される。
    • スタンバイフェイズ時には仲間たちとの固有サブストーリー「絆エピソード」やプレゼントを渡して好感度を上昇させることが可能。好感度の上昇によりSAS接続時の利益がアップする。
    • 主人公両方でクリアすると、アジトでメイン操作キャラクターをユイトとカサネで変更可能になる。
  • ビジョンシミュレータ
    • アジトから挑戦できる高難易度のバトル。強化されたボスとの再戦やシチュエーション戦闘などが可能。本作におけるやり込み要素の一つ。
    • 戦闘タイムでハイスコアを競う作りになっている。ステージに登場する逃げ回る怪異「ジュエル・プール」を討伐するとさらに高得点となる。被ダメージ量やアイテムの使用回数は少ないほどハイスコアとなる。
    • DLCで配信された追加ボス「ある戦闘記録の影」は凶悪な戦闘力を誇り、レベルマックスでも苦戦が強いられる難易度となっている。
  • ダウンロードコンテンツ
    • 第3弾までのダウンロードコンテンツが配信済み。追加衣装、本作の重要人物「カレン・トラヴァース」の追加ストーリーが含められたパッケージとなっている。
    • 追加ストーリーを見ることで新アクションである「ネクサスドライブ」も使用可能となる。
  • アニメとのタイアップ
    • TVアニメの各話に1つずつ暗号が存在し、暗号を解読してその答えをゲーム内で入力すると、特殊なアイテムとキャラクターの隠しプロフィールが入手できる。
  • 難易度
    • ベリーイージー、イージー、ノーマル、ハード、ベリーハードの5段階。いつでも変更可能で、 戦闘中にすら難易度変更ができる という変わった仕様となっている。

評価点

  • サイバーパンク風の近未来的世界の表現。
    • ポップアップや旗、広告などが無数のヘッドアップディスプレイで表現された街はよく作りこまれており、見て回るだけでも面白い。
    • 攻略するロケーションも、廃墟、地下鉄道や高速道路などが題材で、プレイヤーになじみ深いデザインのものが多い。ディスプレイ内容や念力で飛ばすオブジェクトも各地で細かく異なっており、飽きの来ないビジュアルとなっている。
  • 勢いと驚きが詰め込まれたストーリー。
    • SFに始まりタイムスリップ、裏切りと和解など、かなり詰め込まれた内容となっているが、最終的には綺麗にまとまるシナリオとなっている。
    • 中盤からは衝撃の展開が続き、プレイヤーを飽きさせない。いわば超展開というべき突飛な真実が明かされた後に、少しずつその真実を明らかにしていくような、丁寧な描写もされている。
    • W主人公制となっているが、物語の謎は片側の主人公だけでほぼ解明されるため、悪い意味で「2周プレイしなければならない」ということはない。もちろん特定のキャラの結末など、片側の主人公では描かれない描写もあるため、2周目以降のプレイではその裏側の視点がプレイのモチベーションとなる。
    • ダウンロードコンテンツで配信された「カレン・トラヴァース」のシナリオも、描かれなかったラスボスの行動を補完しており、エンディングの説得力を増すことが出来ている。
    • シナリオ担当は『テイルズ オブ シンフォニア』『テイルズ オブ ジ アビス』等を担当した実弥島 巧氏。
  • 「怪異」の唯一無二なデザイン。
    • 怪異は、地球上の生命体とはきわめて異形の存在として描かれており、一言では形容しがたい不気味なデザインとなっている。例えば初めて遭遇する雑魚「ヴァース・ポーズ」ですら、頭部には花が咲き、両手はなく、尻尾を備え、足はなぜかハイヒールを履いた女性の足を持つという極めて独特のセンスで描かれている。
    • 「怪異と人間が決して相容れない存在であることを強調」しつつ、その異形さをいい意味でゲームに調和させることが出来ている。デザイナーのインタビュー記事は公式HPに記載されているため、興味のある方は見てみるといいだろう。
  • 簡単で気持ちのいいアクション。
    • 念力によってオブジェクトをぶつけるアクションは一風変わった爽快感がある。通常攻撃も2ボタンを駆使して殴り続けられるような作りになっており、無双系のアクションが楽しめる。
    • 脳内空間もボタンを連打するだけで一方的に敵を殲滅できる性能があるため、有用で気持ちが良いアクションとなっている。
    • 登場する雑魚怪異も個性的で、様々な脳力を用いて倒すようなデザインがされており、雑魚戦で飽きを感じさせにくい作りとなっている。
    • SASの組み合わせで自分なりの戦法を築いていくことも面白い。ストーリーが進むにつれてSASも増えていき、アビリティも増加するため、尻上がりにアクションを楽しむことができる。
  • 世界観と調和したサウンド。
    • BGMはサイバー感のある、近代的なエレクトロニックサウンドが特徴的。ミヅハ川新都市開発特区のBGMなど、EDMのようなノリのいい楽曲も多数収録されている。各非戦闘時のBGMから、怪異に遭遇するとそのままシームレスにバトルBGMに切り替わる。
    • BGMの担当はトーセ所属の竹田隼大氏。
    • THE ORAL CIGARETTESによる主題歌「Dream in Drive」も好評。激しく妖艶なロックサウンドで、歌詞は「脳細胞」「赤い線」「夢」など、本作のキーワードが随所に散りばめられたうえ、本作のストーリーの真実をほのめかすようなものとなっている。『テイルズ オブ ジ アビス』の「カルマ」のようなプレイ前後で大きく印象の変わる曲とも言える。
    • 曲単体でも良曲で、本作の内容を知らないTHE ORAL CIGARETTESのファンからも人気の高い曲である。
  • 仲間との交流要素も豊富。
    • 仲間にプレゼントを渡すと、アジトに渡した物が飾られていく。プレゼントを渡すほどにぎやかになっていき、仲間との共闘感をより得られるようなシステムになっている。
    • アジトでは本を読んだり、筋トレしたり、料理を作ったりと思い思いに過ごす仲間の姿を見ることができる。贈ったプレゼントを使って遊んでみたり、訓練したりと言った姿も見られる。キャラ一人一人に異なるモーションが設定されていて、凝った作りとなっている。
    • 絆エピソードも本編に組み込まれても違和感のない膨大なボリュームで収録されている。キャラクターの掘り下げがユイト編、カサネ編で丁寧に行われ、愛着をもてるようになっている。
    • 武器やアクセサリの変更によって仲間が特別な反応をすることもあったりと、細かい会話も用意されている。
    • バトル中も積極的に声がけをしてくれたり、回復や戦闘不能からの復活を行ってくれたりとサポートしてくれる。テイルズオブシリーズのような賑やかな雰囲気で戦闘する事が出来る。

賛否両論点

  • アクションの幅は狭め。
    • ブレインマップのスキル習得によっていくつかの追加アクションがあるが、ほとんどは連撃の回数を増加させる、といったもの。中盤に脳内空間を解禁されて以降は、真新しいアクションは特に用意されていない。
    • SASで接続した脳力に応じた攻撃変化もあるが、属性が付与される、一部の攻撃が変化するくらいで、アクション自体はほぼ変わらない。
    • 全体的に主人公をSASで強化して、敵をタコ殴りにするようなアクションデザインになっているため、回避行動の価値は低め。回避するくらいなら、敵の攻撃を無効化する硬質化SASや超高速SASで殴り続けたり、回復アイテムでさっさと回復してしまう方が効率的。
    • そのため、初級者も上級者も結局は通常攻撃と念力攻撃のコンボを連打して戦うという同じような戦い方となる。この点は簡単で誰でも遊びやすくまとめているとも、底が浅いとも評価可能だろう。
  • 脳駆動(ドライブ)・脳内空間(ブレインフィールド)の演出
    • 本作の目玉となるシステムで、脳内空間の痛々しい描写といった迫力のある演出は高い緊張感を得ることに成功している。ただし、フードを被るというビジュアルがどうにも地味で、せっかくのキャラの精巧なモデリングを隠してしまっている。
      脳内空間で突き刺さるSASが髪の毛のように見えるため、2002年のアニメ『OVERMAN キングゲイナー』のようであるとも。ただしこの能力は時限式であって、戦闘中にしか反映されない上、戦闘中はそこまでビジュアルを意識する必要がないため、問題というほどでもない。ビジュアルに関してもあくまで好みの問題で、これはこれで良いとする意見もある。
  • エンディングは賛否両論。
    • ラスボスが過去にタイムスリップして自らの存在を消滅することを選択することで、ラスボスにとって大切な存在の生存を確定させたという展開。これまでにラスボスは、自らが望む未来のためにタイムスリップを幾度も繰り返していた。しかしこれに起因して歴史のゆがみ(もつれ)を生じさせたために、世界の災厄(クナドゲート)を解けない状態となっていた。最終的には自分自身の存在を抹消することで、未来の確定と、クナドゲート消滅の両方を解決したという展開だが…
    • 世界をひっかきまわした彼/彼女なりのけじめをつけた描写で、広くとらえれば丸く収まったエンディングとも言える。奇跡のような展開で、ドラマティックであることは間違いないだろう。
    • ただ、ラスボスの存在が消滅するだけで本当に運命が変化するのか?死亡した、ユイト達の仲間の運命は変わらないのか?という点はストーリー中で触れられておらず、歴史改変のターニングポイントも描写されていない。そのため、サプライズ重視のご都合主義的な展開ともいえ、その他の死亡キャラの救済がなかったことを不満に思う層もいるだろう。

問題点

  • イベントシーンは基本的にテキストと静画の紙芝居形式。
    • テイルズオブシリーズでいうスキット形式でほぼすべての会話イベントが進行する。それ自体は特段珍しいことではないが、この価格帯のアクションゲームとしてはやや物足りないところ。動画シーンも挿入されてはいるが、シナリオのごく重要な部分のみでかなり限定的。
    • アクションシーンも静画枚数を増やしたり、スライドショーのように一枚一枚の動きを大きくつけたりと頑張ってはいるのだが、やはり迫力不足である点は否めない。
    • 上述した通り、ストーリーもかなり濃厚な内容となっていることからテキスト量も多め。特に物語の真相が明らかになる終盤はひたすらテキスト(イベント)を見続けたうえ、バトルを数戦行ってチャプター終了、というチャプターもある。
    • 各キャラとの絆エピソードも、内容のわりにテキストが長く、冗長な内容となってしまっているものがかなり多い。
      台詞を飛ばさなければ、各フェイズ間の絆エピソードをこなすだけで平気で1時間以上掛かるため、本作の批判点としてよく挙げられる。
  • ストーリー中盤の展開と絆エピソード進行が噛み合っていない。
    • ストーリーの前半ではメンバーがユイト隊とカサネ隊の半々に分かれて敵対するという展開となる。
    • それ自体が悪いわけではないのだが、敵対しているというのに、向こうから「立場を忘れて話し合いましょう」と呼び出され、店で仲良くお茶するという展開が頻繁に繰り返される。
    • この違和感は、カサネ隊に一方的に命を狙われる側であるユイト編で顕著。つい先ほどまで激しく戦った敵対者同士だというのに、立場を忘れての一言で何の遺恨もなく絡む展開にプレイヤーはついていけず、テイルズのキャッチコピーになぞらえて「立場を忘れて話し合うRPG」とよく皮肉られる。
    • 一方のカサネ編ではカサネがユイト隊の仲間を勧誘する話があったりと、ユイト編よりかは呼び出しに応じる違和感が少なくはなっている。
    • 小隊長であるユイト・カサネ間では連絡が断たれる描写が存在している。つまりこの時点の絆エピソードは小隊長に隠れてもう1人の主人公と密会している状況であり、絆を深めるどころではないという印象を抱かせがち。
    • 一応、両方の主人公でゲームプレイすれば対立側の状況は把握できるため、「立場を忘れて話す」事情もある程度理解はできるものの、初見では面食らう展開と言える。
  • 女性主人公のカサネの評価があまり芳しくない。
    • 開発陣としてはクールな女性キャラを目指したのだろうが、作中の描写的にクールを通り越して嫌味で性格の悪いキャラになっている。
      その最たるものがゲンマとの絡みで、「調子はどうだ」と何気ない挨拶をした彼に何故か食って掛かり、後に謝らせるという意味不明としか言いようのないやり取りが存在する。更にその後、犠牲となったカサネの姉・ナオミに影響されて料理を作った彼に対し、「お姉ちゃんの手作りとは比較にもならないけど」と言うシーンすら存在する。流石にこれをクールでカッコいいキャラとするには無理がある。
    • カサネ編のその他の絆エピソードも、ことあるごとにナオミを引き合いに出すようなセリフが多い。明るく社交的な姉のように仲間を信頼するということは彼女のストーリーのテーマの一つではあるものの、若干食傷気味になってしまう。
    • そんなキャラでありながら、作中では「カサネは凄い」とやけに持ち上げられる事が多く、作中評価とプレイヤー評価が全く一致しない。
      ユイト編の場合、超が付くほどの真っ当な性格なので彼がリーダーに抜擢されるのはまだ分かるが、人格に難を抱えコミュ力にも乏しいカサネがリーダーに抜擢されるのは違和感が強すぎる。何らかの要因によりリーダーに向いている、等の理由付けも作中では特にされていない。
    • そのくせキャラクター性能としては、カサネよりもユイトの方が圧倒的に強い。
      各アクションが総じて強力かつ使いやすく、仲間キャラのSASとの相性も極めて良いため、物語が進み使用可能なSASが増える度にどんどん強力キャラへ進化していく。炎・雷・分身による溜め攻撃は恐ろしく強力であり、その溜め攻撃が超高速で使い放題、終盤はこれだけで大抵の敵を叩き潰せるほど強くなる。
      一方カサネはユイトより念力が強力な反面、アクション面で劣るという味付けにされており、全体的に使いにくいアクションが多い。中距離から広範囲に巻き込む攻撃が得意な代わりに、畳みかけではユイトの後塵を拝してしまっており、攻撃目標に攻撃を集中させづらい。また、浮かせた相手をコンボで叩くという戦法を得意とするが、逆を言えば浮かせられない敵には弱いという事でもあり、サンタ種やチナリー種等の浮かない強敵雑魚には大苦戦を強いられる。「念力が強力」という味付けも、そもそも念力自体は通常攻撃の合間に組み込む程度であり、常用するほどの攻撃手段ではないため、オールマイティに戦えるユイトには一歩も二歩も劣ってしまっている。
  • 全体的に苦行気味なクエスト。
    • クエスト内容は「ある怪異を特定の攻撃方法で討伐せよ」という内容のものが殆どを占める。すなわちとどめの攻撃を指定されているということであり、難易度は基本的に高め。「空中攻撃」など容易なものもあるが、上述のコンビネーションビジョンや、見切り念力*1など、連発できない攻撃の場合は、プレイヤーにはミリ単位でのダメージ調整が要求される。
    • クリアでプレゼントやプラグイン等が入手できるが、これもショップで入手可能なものばかりで、クエスト限定の報酬がもらえるものはごくわずかである。高難易度なわりに、難易度に見合った報酬があるとは言えないため、クエストをこなすモチベーションの維持は困難。
    • あくまでやりこみ要素の一つなので、やらなくてもいいものではある。ただし、本作の最強武器の素材はクエストでの限定入手であるため、最強武器の入手のためには避けては通れない。
  • 上記のアクションと同じく、装備による工夫の幅も非常に狭い。
    • 能力値上昇や特定コマンドの強化といった、他RPGのような「何らかの特殊効果を持った武器」というのはゲーム本編では一切登場しない
    • 各武器の違いは攻撃力のみしかなく、特殊効果による差別化等は皆無。その攻撃力も3~4刻みで上がっていくだけで何の捻りもない。防具もほぼ「数値の上昇」「耐性効果の付与」とその強弱のみであり、他RPGのような装備による工夫の余地というものが非常に少ない。
    • 武器も防具も基本的に良いものを付け、レベルを上げてSASで殴るだけのゲーム性であり、他のアクションRPGと比較すると物足りなさが否めない。
    • 一応、有料DLCで追加された武器は特殊効果を持ったものが登場するが、生産が容易でかつ効果込みで最強武器よりも強いため、上記の最強武器の存在感はかなり薄れる。
  • バリエーションの少なめなボス戦闘。
    • 雑魚敵の怪異は種々のバリエーションが用意されているものの、ボスについては種類が少なく、同じボスと複数回戦わされる展開が多い。
    • ユイト編、カサネ編で相違しているボスは怪異系、人物系あわせてもせいぜい2~3体であり、他のボスも順番を変えて出てくるというくらいである。
    • 一応、各主人公で異なるプレイアブルキャラがボスとして登場することもあるのだが、仲間として見たとき以上の攻撃パターンがあるわけではないので、戦闘としては特に目新しさがあるわけではない。
  • 回避行動の使いにくさ。
    • 本作の回避は若干癖のある挙動をしており、回避を押してすぐは無敵時間が発生せず、すこし時間をおいてから無敵時間が発生するという仕様になっている。
    • また、攻撃モーションを回避でキャンセルすることが出来ないので、攻撃ボタンを連打していると容易く反撃をもらってしまう。
    • そのため、他のアクションゲームであれば回避可能な間合いでも、敵の攻撃を見てからの回避では遅く被弾してしまうことが多い。癖に慣れればある程度回避のタイミングはつかめてくるものの、いらいらの元。

総評

ビジュアルについてはとてもよくできており、本作独自の世界観をよく表現できている。
アクションも癖がなく誰でも爽快に楽しめるような作りとなっている。
演出面やカスタマイズ性が弱い点もあるものの、新規タイトルとしては十分な完成度で、良作と推奨できる品質があると言える。


余談

  • 主題歌「Dream in Drive」のPVでは、本作をモチーフとしたシーンがある。まるでSASの管を模したような機械に接続された男性が登場したり、同バンドVo.の山中拓也がSASに接続された(かのように見える影)をバックに歌うようなシーンがある。
    • ちなみにアニメ版の各クールのオープニングテーマもTHE ORAL CIGARETTESが担当している。
  • テイルズ オブ アライズ』とのコラボレーションDLCが無料で配信されている。
    • ユイトの装備として同作の主人公・アルフェンの「炎の剣」が、アタッチメントとしてフルルのぬいぐるみが登場。炎の剣を装備した状態で脳内空間を発動すると、BGMが同作の通常戦闘曲「Flame of Hope」に代わるというサプライズもある。
    • また、同作と本作のバンドル販売もなされている。
最終更新:2024年10月01日 17:59

*1 透視SAS接続中に、敵の攻撃を回避して念力をぶつけるカウンター攻撃。とはいえ攻撃力は微小で、トドメを刺すには弱い威力。