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ドラえもんのクイズボーイ2

【どらえもんのくいずぼーいつー】

ジャンル クイズ
対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
発売元 小学館
発売日 2002年10月14日
定価 4,378円(税抜)
判定 なし
ポイント 前作の問題点は解消
情報・英語・道徳まで作問
ドラえもんクイズは劣化
ドラえもんシリーズ


概要

ドラえもんの小学生向けクイズゲーム。小学校の教科書から出題される5,000問の問題が収録されている。
前作については『ドラえもんのクイズボーイ』のページを参照。


特徴

※太字は2で追加された要素

  • ゲームを始めると、最初にセーブデータを選択する。
    • セーブデータには、プレイヤー名、 性別 、難易度が記録されている。
      • 性別がおとこのこだと、保健・家庭科の一部の問題が出題されない。
  • ゲームモードは2種類。
    • じしゅう
      • 教科を選んで、ひたすら問題を解いていくモード。
      • 操作は「チャレンジ」と同じだが、対戦相手や回答タイマーが無いため、じっくり問題を解くことができる。
      • 教科は「国語」「算数」「理科」「社会」「その他」の5科目。
      • このモードで遊ぶと、「ひみつ道具」がもらえ、「チャレンジ」で使うと有利になるらしいのだが……(後述)
    • チャレンジ
      • プレイヤーはのび太となり、スネ夫、しずか、ジャイアン、出来杉の4人と対戦する。
      • 各キャラに4つのルールで挑み、すべて勝利すればクリア。挑むルールは自由に選べ、勝利状況は自動で保存される。
      • 小学生4人を撃破すると、ボスとしてドラえもんが現れる。そしてドラえもんも撃破するとラスボスが現れるのだが……(後述)
  • ゲームルールは4種類。
    • アップダウンクイズ: 正解すると1段上に上がり、不正解だと一段下がる。最上段までたどり着いたほうが勝ち。
    • タイムトライクイズ: 唯一相手が参加してこないルールで、プレイヤーはもともと設定されている相手の問題の正解数を越えれば勝利。常に制限時間があり、時間までに相手の正解数を越えられなければアウト。
    • パネルアタッククイズ: お互いに1回ずつ、国語、算数、理科社会、ノンジャンル、ドラえもんクイズのいずれかの問題のパネルを自由に選んでいき、正解するとパネルの数字(10~40)に応じたポイントがもらえる。誤答は減点。全てのパネルを選び終わって正解のポイントが高いほうが勝ち。
    • ビンゴクイズ :5×5のビンゴカードがあり、クイズに答えてマス目を取って、ビンゴを作れば勝ち。ランダムでマス目を飛び回る鈴をAでストップし、早押しで正解すればプレイヤーのマス、不正解だと相手のマスになる。

改善点・評価点

改善点

  • 問題の質がかなり向上した
    • 前作にあった極端に易しい問題、曖昧な出題などはほとんど無くなり、常識的な作問がされている。
    • 出題形式も早押ししやすく一定の考慮がされている。
      • 前作の部首問題は「つぎの漢字の部首は何?『漢字』」だったが、「『漢字』の部首はなに?」という形式になった。
      • 算数は計算問題が少なめになり、図形の性質や概念の定義、文章題など幅広く出題されるようになった。
      • 計算問題は式が1行目で問題文がそれ以降になった。
    • ○☓クイズが導入された。「○☓クイズです。推古天皇は女である。」など、特に理社の問題バリエーションが増えている。
    • 音楽なども、「『かえるのうた』のおんかいはどれ?」など無理のある問題が削除され、作曲家名、歌詞などを問う問題が収録された。
  • 教科別一人プレイの学習モード「じしゅう」が追加された。
    • 教科は「国語」「算数」「理科」「社会」「その他」の5科目。
      • 早押しと同様の操作であるものの、時間は問題文・回答選択共に無制限で、落ち着いて回答できる。
      • 誤答するとちゃんと正解の選択肢を教えてくれる。
      • パネルクイズでは一緒くたにされている理科・社会を切り離したのは学習ソフトとして評価できる。
    • まあ学習クイズゲームにはあって当然の機能ではあるが……
  • ゲームルールにも調整がされ、ゲーム性が増した。
    • 「タイムアタッククイズ」は、前作では1問正解するだけで制限時間が延長されたが、何問か連続で正答しないと延長しなくなった。
      • 前作では1問でも正解すればよかったため、やたら引き延ばされダラダラした展開になりがちだったが、今作はシビアな調整がされ実力が反映されやすくなった。
    • 「パネルアタッククイズ」は、前作では不正解時の減点が一律10点だったが、今作ではパネルの数字と同じ点数(最大40)引かれるようになった。
      • 前作では、誤答時のペナルティが安いため、高得点問題は分からなくても回答権を取ってしまうのが有効だったが、今作ではより慎重に回答しなければいけなくなった。
    • ビンゴクイズのゲーム性が高いのは言うまでもないだろう。重要マスを賭けたクイズは緊張感があり面白い。
  • CPUの早押し速度が緩め
    • 大体問題文表示終了から2~3秒は待ってくれるため、しっかり問題文を読んで回答できる。
      • 前作では早いと問題文終了直後に押してくる鬼畜CPUだった。
  • 正解時に喜んだり、劣勢時うつむいたりするアニメーションが全キャラに実装された。
    • 前作ではドラえもんのみだった。

評価点

  • 5,000問の豊富な問題数。前作から削除された問題も多いため、新規の問題もかなりある。
  • 小学校の教科をほぼ網羅している。
    • 「その他」には、体育、音楽、美術、家庭科はもちろん、英語や情報、道徳の問題も収録されている。
  • 単純な教科書問題だけでなく、ヒネりの効いた楽しい問題もある。特に国語に多い。
    • 「次の□に当てはまる数字の差はどれ?□日□秋…1.900、2.999、3.99、4.9000」
    • 「漢字で書いたとき動物が含まれるのは?…1.本のひょうし、2.じどうドア、3.研究のたいしょう」
    • 「漢字にしたとき、しりとりになるのはどっち?…1.よこく こくご、2.はなび かようび」
  • 表示できる文字・記号が豊富。
    • 漢字は常用漢字レベルまでカバー。「芥川龍之介」「滝廉太郎」もしっかり漢字で表示される。
    • 図表扱いで存在しない漢字も出題される。
      • 「正しいのはどれ?」という問題で、下が目になっている「音」、ハネが無い「青」などが選択肢にされる。
  • 低学年向けの数を数える問題では、カラーの犬やネズミのイラストも現れる。
  • 音楽記号、地図記号などの特殊記号も表示される。
  • 算数では、寸法入りの図形、㎡などの面積単位、グラフ*1も登場する。
    • ひし形と平行四辺形などは、斜めの線がギザギザになる関係で見分けにくいが……
  • グラフィックの再現度が高い
    • 特に負けたときの泣き顔は原作同様の強い漫画的な表現がされており、雰囲気がよい。
      • 小学館の得意分野である学習漫画では、こういった漫画表現は控えめなのが基本。
  • 驚きのキャラ起用
    • ラスボスはなんと のび太のママ 。パパや先生、神成さんなどを抑えてママをラスボスに起用したゲームは後にも先にもこれだけだろう。
    • 問題文終了とほぼ同時に押してくる上、タイムアタックのノルマは「45問」という鬼畜設定。ラスボスにふさわしい調整と言えよう。
      • 45問というノルマは、全問問題文終了と同時に早押ししても全問正解しないと厳しいレベル。出てくる問題は限られるので暗記は可能だが、それでも難敵であることに変わりはない。
  • ゲーム内説明書がある。
    • 説明書を読まなければプレイもままならないゲームが多かった中、親切な心がけと言える。

賛否両論点

  • ドラえもんクイズのマニアック度が下がった。
    • 出題範囲はキャラ設定、近年の大長編(日本誕生~翼の勇者たち)が中心。
      • 内容も、キャラの誕生日や大長編主要キャラの名前などの基本設定になった。
    • 奇問・珍問の宝庫だった前作と比べると、ドラえもんマニアにはかなり物足りない。
    • 一方で、小学生向けになったかというと微妙な作問。
      • 「日本誕生」は89年公開で、実に13作前の作品。当時の6年生が0歳の時に劇場公開された作品から出題するのは無茶では?
      • 「ジャイアンの誕生日はいつ?」「22世紀で、のび太はマンションの何階に住んでいる?」といった細かい数字を答えさせる問題が多く、小学生向けとしては難度が高い。
      • ひみつ道具絡みの問題がほとんど出ない。*2
    • 小学生向けに作問したのは評価できるが、実際に小学生が楽しめる出来かというと微妙。
  • 英語・道徳は問題の質が悪い
    • 英語の問題は「『○○』を英語でなんと言う?」の1パターンのみ、しかも選択肢はカタカナ。
      • 例:「『お父さん』を英語でなんと言う?…1.マザー、2.ファジー、3.ファーザー」
      • 記号類の表示はあれだけ頑張っているのに、アルファベットは表示できなかったのか……?
      • 「英語でないものはどれ?…1.サンキュー、2.アイラブユー、3.グラシアス」などの問題もあるため、教科としては英語ではなく社会科にあたるのかもしれない。
    • 道徳はそもそも実装した理由が謎。道徳のクイズ、というのは根本的にそぐわないと思われるのだが……
      • 「しょうがいのある人が困っているときには、どうすればいい?…1.みてみぬふりをする、2.こえをかけててつだう(正解.2)」そりゃあ無視するのは道徳的じゃないが、馬鹿にするなと思う障害者だっているだろうし、障害者でなくとも困っていれば助けるべきだし……
      • 2000年頃から教育改革の一環として、「道徳の教科化(要するにテストをして成績をつけるということ)」が進められており、時流を反映したものではある。*3
    • 全科目を網羅しようという方針は良かったが、出題がこれでは評価しづらい。

劣化点・問題点

劣化点

  • タイマーが見にくくなった
    • 前作では、問題枠の右上に12個のランプが表示され1つづつ消えていく方式だったが、問題枠下端でランプの色が中央から両端へ変わっていく方式になった。
      • 問題枠の装飾のように見え、何を意味しているのか分かりづらい上、段階が少なくなっており残り時間が分かりづらい。
  • 「その他」問題が雑多すぎ
    • 国数理社ドラ以外をすべて「その他」に突っ込んでいるため、「じしゅう」で狙った教科を勉強することが困難。
    • 問題数のバランスが悪く、タイムアタックなどでは理社が少なめでその他問題がやたら頻繁に出る。
  • 一部の記号の表示が劣化した
    • 特に音楽記号はかなり悪化しており、2分音符はただの白マルに、ト音記号などは縦に潰れて漫画ウンコのようになっている。
      • 前作では線の太い細いまで再現したクオリティの高いものだっただけに残念。
  • 通信対戦が削除された
    • まあ、前作で通信対戦をしようという小学生がどの程度いたかは不明だが……

問題点

  • ドラえもんクイズが遊べない
    • 「じしゅう」の問題にはドラえもんクイズは含まれていない。また、ラスボスをクリアするとチャレンジモードは遊べない。
      • つまり、 チャレンジモードクリア後はドラえもんクイズは出題されない ということである。
    • そもそもドラえもんクイズを狙って遊べるのは「パネルアタッククイズ」のみという悲しい仕様。ドラえもんのゲームで遊ばせてくれ。
      • 同一キャラに1回勝つと同じモードは遊べないため、クリアせずともパネルアタックで4勝するとかなり詰む。ドラえもんクイズだけ遊びたい場合、パネルアタックでドラえもんクイズのみ指定し、4問終わったら棄権するという不毛な遊び方を強いられる。
  • 一部問題のある作問
    • 前作から続投してしまった悪問
      • 「★▲○●(記号の羅列)~▲はいくつ?」などの肝心な部分が最後に来る問題。
      • 「『チク』と読まないものはどれ?…1.蓄、2.築、3.策」などの見間違い狙いの問題。GBCの解像度だと思った以上に見分けにくい。
    • 出題形式に問題のあるもの
      • ○☓クイズは「○☓クイズです。」という不要な文から始まる。タイムトライで時間に追われているときなどは特に鬱陶しい。
      • 暗記防止のため選択肢の並びがランダムだが、○☓の順がランダムだったり、計算問題の回答が小さい順に並ばないなど、選択肢の認識に余計な注意が要る。
      • 「正しいのは?」「なかまはずれはどれ?」などの極端に問題文の短い問題。次の文があるのかと待っている間に回答権を取られがち。
    • ボリュームのありすぎるもの
      • 「仲間はずれはどれ?」系の問題。最低でも選択肢3つについて検討しなければならず、時間内に回答するのが難しい。問題自体も難易度が高い。(例:作者の違うものはどれ?…1.鼻、2.羅生門、3.吾輩は猫である、4.杜子春)
      • 「A:B=1:4のとき、B:C=3:4だった。A=3のときCはいくつ?」などの気合の入り過ぎた問題。早押しの猶予に文章量が見合っていない。特に代数で多い。
  • なぜかキャラのセリフは全文カタカナ
    • 出番はタイムアタッククイズのノルマ発表と短いエンディングだけなので大した影響はないが、あれだけ自在に漢字記号を使いこなすのになぜ……?
    • 前作ではひらがなとカタカナは使えていたため、さらに不可解。
  • ひみつ道具取得ペースが遅すぎる
    • 「じしゅう」で正解100問ごとに1つという厳しいペース。アイテムを集める間にチャレンジに挑んだ方が楽にクリアできるだろう。
      • 登場ひみつ道具は「くろうみそ」「ふくげんこうせん」「ひい木」などの渋いチョイス。こんなところにマニアックさを発揮してどうする。

総評

前作の不満点をおおむね解消し、まともな学習クイズゲームになった。
問題の質は平均して良質といってよいレベルで、教科別モードも搭載され学習ゲームとしては合格点。
ルールや早押し速度の調整でクイズゲームとしての完成度も上がった。
英語や道徳の問題まで収録したのはなかなか野心的で、小学生向け学習ゲームでは本作くらいだろう。
ドラえもんクイズが劣化しているのは残念なポイントだが……そもそも遊ばせる気が感じられないのは何なのだろう?


余談

  • 結局、総合クイズゲームの「クイズボーイ」シリーズは本作が最後となり、ドラえもん学習ゲームは学年別・単元別の「スタディボーイ」シリーズに回帰することになった。
最終更新:2021年10月30日 09:29

*1 このグラフは何グラフ?という問題で、グラフを読む必要はない。

*2 前作では「ころばしやのキャンセル料はいくら?」「タイムふろしきで時間が戻るのは何色が表の時?」などの問題があった

*3 実際に指導要領が改定されたのは15年、実施は18年。成績はつけるが、いわゆるペーパーテストは行われないことになった。