Home | 死印 死印のレビュー行くぜ!
メーカー:エクスペリエンス
機種:Vitaパッケージソフト
ジャンル:ホラーアドベンチャー
発売日:2017年6月1日
価格:税込5040円
これまで「デモンゲイズ」や「円卓の生徒」などの3DダンジョンRPGを作ってきたエクスペリエンスが送る、
完全新作のホラーアドベンチャーゲームだ!
持っている者は謎の死を遂げる「シルシ」を腕に刻まれてしまった主人公が、
同じ境遇の仲間たちと協力して死の運命や正体不明の怪異と戦う内容。
色々とあっさり気味で物足りないところはあったが、
心霊スポットや怪異の不気味過ぎる雰囲気はとても良かった。
完全新作のホラーゲームとしては悪くなかったぜ。
ストーリーはシルシを刻まれた主人公が九条館という屋敷に辿り着く所から始まる。
シルシの影響で記憶障害を起こしている主人公は自分の名前すら思い出せない状況だ。
主人公は名前入力可能で、顔も選択可能。
まあ、主人公の顔が出てくるシーンがそもそもあんまり多くないんだけども。
館には主である九条サヤはおらず、いたのは案内役である喋る人形のメリイだけ。
九条サヤはシルシの情報を広く募集していたため、屋敷にはシルシを刻まれた人間が次々にやってくる。
さながら呪いを喰らった人間の駆け込み寺。
シルシは人ならざる存在である「怪異」によって刻まれたことが分かっているので、
章ごとに異なる仲間と共に心霊スポットに赴き、都市伝説を頼りにシルシを消す方法を探していくことになる。
ゲームは3Dダンジョンを探索してイベントを進めつつ情報やアイテムを集め、、
それを元に最後に登場する怪異と対決するという流れで進行していく。
こう書くとRPGっぽいが、画面をあちこち調べてアイテムを探してフラグ立てて……と、
昔ながらのアドベンチャーゲームっぽい手触りだぜ。
一緒に心霊スポットに向かう仲間たちは
アイドル、占い師、学生、子供、オタク、アナウンサーなど個性豊かなメンバー揃い。
こちらはゲーム中でも屈指の目の死にっぷりを魅せる元刑事の真下悟さん。
銃を持っているので物理ではメンバー最強!
しょっちゅう悪態付いてるけど非常に頼もしいし、主人公とのバディモノっぽいやり取りがいい。
真下さんと最後まで探索したかったなあ。
老齢の占い師である安岡都和子さんの強キャラっぽいけど親しみやすく、
真摯さもカッコいい振る舞いや、
現役の熱血アイドルである柏木愛ちゃんのストレートな可愛さも好き。
超テンプレオタクの中松栄太もなんだか憎めない。
ちなみにゲームの年代設定は90年台だ。
公衆電話にまつわる噂話があったりする辺りがそれらしい。
普段RPGばかり開発してるエクスペリエンスらしく、
仲間キャラにはメニュー画面でステータス表示があったりする。
ゲームにはまったく関係ないんだが、
「こいつ小学生と比較して知能ひくいな!」とか「確かに霊力高い…」とか、
見るだけでキャラがなんとなく理解できるので面白い要素。
そんな愉快な仲間たちの中から1人を選んで心霊スポットを探索!
落ちているアイテムや手に入る文献には一見ゴミのように見えても必ず意味があり、
戦わなければいけない怪異に関する情報が詰まっている。
意外な物がキーになったりするし集めたアイテムや文献一つ一つのテキストも雰囲気あるぜ。
特定の仲間がいないと進めない場所もあったりするので、仲間のプロフィールはしっかり確認だ。
ゲームを遊んでいて時折差し込まれる一枚絵の強烈さや、心霊スポットの背景の不気味さが実に見事。
怖いし気持ち悪いから進みたくないけど、
それだとゲームが進まないなッ!という気持ちにさせるのが上手い。
何かあると鳴る「ジャン…!」という三味線みたいな効果音も地味に気に入ってる。
一枚絵は妙にエロい絵が多い気はするが……まあホラーとエロはお約束だからな!
俺は一枚絵だと良い体してる広尾まどかさん推し。
心霊スポットで過去に何があったのか。何故怪異は怪異となったのか。
探索を進めることで情報が集まっていく。
「分からないから怖い」が、「分かるから対抗できる」になっていく。
各章の最後に発生する怪異との対決パートは集めた情報を元に正しいアイテムを選んでいく作り。
怪異が遠くにいる時は防御出来るアイテムを使い、近づいてきたら対処できるアイテムを選択。
仲間と協力してコンボを発動させないといけないタイミングもある。
主人公を含めて登場人物はみんな一般人なので、間違えると敵の攻撃で即死ゲームオーバー!
これはただの人間たちの戦いである!
全体的に即死選択肢が多いゲームだが、そういう場合でもすぐに直前からやり直せる。
ターンが経過するごとに最初は遠くにいた怪異が徐々に近づいてきて、
そのおぞましい風貌がジワジワと明らかになってくるのが実に嫌な作りで良い。
細かいアニメでヌルヌルと動くのが鳥肌モノだぜ。
基本的に怪異には2通りのトドメが可能。弱点を突いて倒すか、知識を元に成仏させるか。
怪異の裏にはあまりにも悲しすぎる話があるので成仏させてあげたくなるが、
弱点を突く方だとかなり物理推しのトドメになることもあってそれはそれで面白い。
しかし倒してしまった場合は最後の呪いで仲間が死亡!
完璧なエンディングを目指すなら成仏ルートが必須だぜ。
ホラーゲームとしてはなかなか良いデキだとは思うんだが、難点を挙げると
魅力的なキャラの掘り下げがほとんどされず割とあっさりいなくなっていくのが物足りない点。
1周6時間程度で終わるし、エンディングは「全員生存」か「全員生存に失敗」の2種類のみ。
呪いでキャラが死亡した場合でも話の流れは大きく変わらない。
ラスボス周りの話は伏線を活かしつつ、ホラーモノらしい着地のさせ方ではあるがここも割とあっさり。
心霊スポットの数ももう少し多ければ……。
まあ、低予算ホラーっぽいと言えば低予算ホラーっぽかったし、4章はあれはあれで良かった。
探索中にデッドリーチョイスという失敗すると死ぬ危険のある選択肢が登場。
選択肢を間違えると霊魂というHP的な物が減って無くなるとゲームオーバー。
最初は幽霊相手の良い意味で理不尽な選択肢にドキドキするんだけど、
後半はただのクイズみたいなのが多くて、怖さより「クイズじゃねーか!」って面倒臭さの方が上だった。
あと、文字が読みづらい、バックログが読めないなどUIが全体的にイマイチだったが……。
ここら辺は6月15日のアプデで修正された。
完全新規かつ王道の2D探索ホラーゲームとしてはなかなかよく出来てるし、
美しくも恐ろしいアートワークの数々など見どころは多い。
ただ、シナリオ面を中心にもう一押し何か欲しかったところだ。
同じスタッフによるホラーゲームの次回作が遊んでみたいので待ってるぜ。
- 関連記事
-
ゲーム中では「しるし」って読みなの?