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JP6488339B2 - セメント混和剤及び水硬性組成物 - Google Patents

セメント混和剤及び水硬性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、土木分野、建築分野などで用いられるセメント混和剤及び水硬性組成物に関する。
近年、土木分野、建築分野などにおいて、水硬性組成物に多種多様な性能が要求されている。その中でも施工の簡略化は、作業員の安全性を考慮する上で非常に重要な要素となっている。ここで、施工の簡略化とは、例えば、施工スピードの向上、材料の一材化及び取扱性の向上などの総合的な合理化を指す。施工の簡略化を達成するために、例えば、水硬性組成物の硬化速度の向上、プレミックス化などを行うことが鍵となっており、実際、超速硬性を有する様々な水硬性組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また最近では、施工の簡略化の更なる改善、及び新たな用途への対応に伴い、水硬性組成物に要求される性能も益々高まっている。
特開平3−12350号公報 特開平1−230455号公報 特開平11−139859号公報
水硬性組成物には、硬化速度などの各種特性の向上を目的としてセメント混和剤が配合されている。セメント混和剤としては、従来はアルカリ性のものが使用されてきたが、安全性の観点から、酸性のものを使用することが望まれている。
しかしながら、セメントのような水硬性物質は強アルカリ性のため、酸性のセメント混和剤と組み合わせることが難しく、所望の特性を有する水硬性組成物が得られないという問題がある。実際、硬化速度の向上及びプレミックス化に適した従来の酸性のセメント混和剤を水硬性組成物に配合すると、水硬性組成物の貯蔵安定性、硬化体の強度などが低下してしまう。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、水硬性組成物に予め配合しても貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を与えることが可能なセメント混和剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の性質を有する硫酸アルミニウム水和物が、酸性であるにも関わらず、セメント混和剤として適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、非晶質であり且つ500℃で強熱した際の減量が5〜40質量%である硫酸アルミニウム水和物を含有するセメント混和剤である。
また、本発明は、前記セメント混和剤と、アルカリ性の水硬性物質とを含む水硬性組成物である。
本発明によれば、水硬性組成物に予め配合しても貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を与えることが可能なセメント混和剤を提供することができる。
また、本発明によれば、貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を提供することができる。
本発明のセメント混和剤は、Al23−SO3系化合物を含有する。このAl23−SO3系化合物は、非晶質であり且つ500℃で強熱した際の減量(強熱減量)が5〜40質量%である。
Al23−SO3系化合物が非晶質でない場合、セメントのような強アルカリ性を示す水硬性物質とプレミックス化することが難しいと共に、プレミックス化できたとしても水硬性組成物の貯蔵安定性が低下する。
ここで、Al23−SO3系化合物が非晶質であるか否かは、X線回折分析によって判断することができる。具体的には、Al23−SO3系化合物のX線回折スペクトルがブロードであれば、非晶質であると判断することができる。
また、500℃で強熱した際の減量が5質量%未満であると、水硬性組成物の硬化速度が低下する。一方、500℃で強熱した際の減量が40質量%を超えると、水硬性組成物の貯蔵安定性が低下する。500℃で強熱した際の減量は、水硬性組成物の硬化速度及び貯蔵安定性を安定して向上させる観点から、好ましくは10〜40質量%である。
ここで、本明細書において、500℃で強熱した際の減量(強熱減量)とは、Al23−SO3系化合物を500℃で1時間強熱した際の減量を意味し、以下の式(1)によって算出される。
強熱減量=(m−m’)/m×100 (1)
m:強熱前のAl23−SO3系化合物の質量
m’:強熱後のAl23−SO3系化合物の質量
本発明のセメント混和剤に用いられるAl23−SO3系化合物は、Al23源とSO3源とを用いて製造することができる。その製造方法としては、特に限定されないが、例えば、Al23源及びSO3源を混合した後に熱処理する方法、Al23源とSO3源とを直接化学反応させる方法、Al23源及びSO3源を純水などの溶媒中に投入して混合した後に化学反応させる方法などを用いることができる。これらの方法において、製造条件を制御することにより、上記のような特性を有するAl23−SO3系化合物を得ることができる。例えば、Al23源及びSO3源を溶媒中に投入して混合した後に化学反応させる方法を用いる場合、反応温度などの条件を制御することにより、Al23−SO3系化合物の強熱減量を調整することができる。このときの反応温度は、使用するAl23源及びSO3源の種類及び配合割合によって異なるため一義的に定義することはできないが、典型的に70℃〜280℃である。
Al23源としては、特に限定されないが、アルミニウムの硫酸塩、アルミン酸塩、及びその他の無機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、並びにアルミニウム錯体を用いることができる。
アルミニウムの硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、アンモニウム明礬、ヒドロキシ硫酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウムなどが挙げられる。
アルミン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウム、及びアルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
その他の無機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ボーキサイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、炭酸水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、及びメタケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びギ酸アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウム錯体としては、特に限定されないが、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムなどが挙げられる。
Al23源としては、単一種を用いることができるが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の様々なAl23源の中でも、水への溶解性が高く、製造コストが安く且つ凝結性に優れる点から、アルミニウムの硫酸塩が好ましい。
SO3源としては、特に限定されないが、イオウ及びイオウ華などの元素状態のイオウの他に、硫化物、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、チオ硫酸、チオ硫酸塩、及び有機イオウ化合物などを用いることができる。
硫化物としては、特に限定されないが、例えば、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化鉄、及び五硫化リンなどが挙げられる。
硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸アニリン、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ナトリウム明礬、カリウム明礬、アンモニウム明礬、及び硫酸ヒドロキシルアミンなどが挙げられる。
亜硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸水素アンモニウム及び亜硫酸カルシウムなどが挙げられる。
チオ硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸バリウムなどが挙げられる。
有機イオウ化合物としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体の塩、メルカプタン、チオフェン、チオフェン誘導体、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、及びポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。
SO3源としては、単一種を用いることができるが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の様々なSO3源の中でも、水への溶解性が高く、製造コストが安く且つ凝結性に優れる点から、硫酸塩が好ましく、アンモニウム明礬が最も好ましい。
本発明のセメント混和剤に用いられるAl23−SO3系化合物は、水硬性組成物の硬化速度及び貯蔵安定性を向上させる観点から、真密度が1.9〜2.3g/cm3であることが好ましい。真密度が1.9g/cm3未満であると、水硬性組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、真密度が2.3g/cm3を超えると、水硬性組成物の硬化速度が低下する場合がある。
ここで、Al23−SO3系化合物の真密度は、市販の密度計を用いて測定することができる。
本発明のセメント混和剤に用いられるAl23−SO3系化合物は、水硬性組成物の硬化速度を向上させる観点から、BET比表面積が5m2/g以下であることが好ましく、3m2/g以下であることが更に好ましい。BET比表面積が5m2/gを超えると、水硬性組成物の硬化速度の向上効果が得られない場合がある上、粉砕処理の手間が増大するためコスト上昇につながる。
ここで、Al23−SO3系化合物のBET比表面積は、市販のBET比表面積測定装置を用いて測定することができる。
本発明のセメント混和剤に用いられるAl23−SO3系化合物は、水硬性組成物の硬化速度及び貯蔵安定性を向上させる観点から、固体27Al−NMRによって得られるスペクトルにおいて、化学シフト−0.51〜−23.21ppmにピークを有し、且つその半値幅が5ppm以上であることが好ましい。ピークの化学シフトが−0.51ppmよりも大きいと、水硬性物質とプレミックス化することが難しいと共に、プレミックス化できたとしても水硬性組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、ピークの化学シフトが−23.21ppmよりも小さいと、水硬性組成物の硬化速度の向上効果が得られない場合がある。また、半値幅が5ppm未満であると、水硬性組成物の硬化速度及び貯蔵安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
ここで、Al23−SO3系化合物の固体27Al−NMR測定は、市販の測定装置、例えば、日本電子株式会社製 超伝導核磁気共鳴装置「ECX−400」などを用い、下記の条件で行うことができる。
観測核:27Al
試料管回転数:10KHz
測定温度:室温
パルス幅:3.3μsec(90°パルス)
待ち時間:5秒
外部標準:硝酸アルミニウム
本発明のセメント混和剤に用いられるAl23−SO3系化合物は、水硬性組成物の硬化速度及び貯蔵安定性を向上させる観点から、FT−IRによって得られるスペクトルにおいて、OH基伸縮振動に由来するピーク面積に対するSO4基伸縮振動に由来するピーク面積の比が0.2〜3.0であることが好ましい。ピーク面積の比が0.2未満であると、水硬性組成物の硬化速度の向上効果が得られない場合がある。一方、ピーク面積の比が3.0を超えると、水硬性組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。
ここで、Al23−SO3系化合物のFT−IR(フーリエ変換赤外分光分析)は、ATR法により、市販のFT−IR装置、例えば、Perkin Elmer社製のFrontierを用いて行うことができる。
本明細書においては、OH基伸縮振動に由来するピークが3,000cm-1を中心にして現れるため、3,000cm-1を中心としたピークの面積を、OH基伸縮振動に由来するピーク面積とした。また、SO4基伸縮振動に由来するピークが1,100cm-1を中心にして現れるため、1,100cm-1を中心としたピークの面積を、SO4基伸縮振動に由来するピーク面積とした。
OH基伸縮振動に由来するピーク面積に対するSO4基伸縮振動に由来するピーク面積の比は、SO4基伸縮振動に由来するピーク面積をOH基伸縮振動に由来するピーク面積で除することによって算出することができる。
本発明のセメント混和剤は、様々な水硬性物質と共に用いて水硬性組成物を調製することができる。特に、本発明のセメント混和剤は、酸性であるにも関わらず、アルカリ性の水硬性物質と共に用いることが可能である。一般的に、酸性のセメント混和剤は、アルカリ性の水硬性物質と共に用いて水硬性組成物を調製すると、貯蔵安定性が低下し易いが、本発明のセメント混和材は、アルカリ性の水硬性物質と共に用い水硬性組成物を調製しても貯蔵安定性が低下し難い。そのため、本発明のセメント混和材を用いて調製された水硬性組成物は、特殊な保存方法、施工方法又は取扱方法を行わなくても長期保存が可能である。また、この水硬性組成物は、超速硬性を有し、強度が高い硬化体を形成することができる。したがって、この水硬性組成物を用いることにより、施工の簡略化が可能となる。
水硬性組成物に用いられる水硬性物質としては、特に限定されないが、例えば、普通、早強、中庸熱、低熱、白色などの各種ポルトランドセメント;都市ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰を原料として製造されるエコセメント;高炉スラグ、シリカヒューム、石灰石、フライアッシュ、石膏などを含む混合セメントなどが挙げられる。
水硬性物質のpHとしては、特に限定されないが、好ましくは7超過、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。
水硬性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、水硬性組成物に一般的に配合され得る公知の添加剤を含有することができる。添加剤としては、特に限定されないが、防錆剤、着色剤、ポリマー、繊維、流動化剤、中性化抑制剤、防水剤、増粘剤、防水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、減水剤、高性能(AE)減水剤、起泡剤、発泡剤、AE剤、乾燥収縮低減剤、急結剤、膨張剤、耐寒促進剤、エフロレッセンス防止剤、アルカリ骨材反応抑制剤、黒色むら低減剤、環境浄化混和剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
<Al23−SO3系化合物の調製>
原料として下記の物質を使用した。
Al23源:水酸化アルミニウム、試薬、純度99%
SO3源:硫酸、試薬、純度99%
溶媒:純水
Al23源とSO3源と溶媒とを2:3:10のモル比で混合し、混合物を表1に示す各温度に加熱して反応させることにより、Al23−SO3系化合物(No.1〜15)を調製した。
上記で調製したAl23−SO3系化合物について、X線回折、強熱減量、真密度、BET比表面積、固体27Al−NMR、及びFT−IRの評価を行った。
X線回折は、リガク社製のMulti−Flexを用いて測定した。測定は、管電圧−管電流を40KV−40mAとし、2θ:5°〜60°、5°/分の条件で行った。また、解析ソフトはPDXLを用いた。X線回折の評価において、X線回折スペクトルがブロードであれば非晶質、それ以外を結晶質と判定した。
強熱減量は、株式会社いすゞ製作所製のマッフル炉を用いて500℃で1時間強熱した際の減量を測定し、上記(1)の式に基づいて算出した。
真密度は、マイクロメリティックス社製の乾式自動密度計(アキュピックII 1340)を用いて測定した。
BET比表面積は、ユアサアイオニクス社製のモノソーブ(MONOSORB)を用い、BET一点法によって測定した。
固体27Al−NMRは、日本電子株式会社製の超伝導核磁気共鳴装置(ECX−400)を用いて上記した条件で行い、ピークの化学シフト及び半値幅を測定した。
FT−IRは、パーキンエルマー社製のFrontierを用いて測定した。測定は、1回反射型ATRを用いてバックグラウンド測定を行った後、サンプルをセットし、スキャニング回数16回でサンプル表面を測定した。測定結果は、縦軸(Y軸)を吸光度、横軸を波数として出力し、OH基伸縮振動に由来するピーク面積(積分値)及びSO4基伸縮振動に由来するピーク面積(積分値)を解析ソフト(パーキンエルマー社製のSpectrum)によって算出した。
上記の各評価の結果を表1に示す。
次に、上記で調製したAl23−SO3系化合物を用いて水硬性組成物を調製した。具体的には、水硬性物質として普通ポルトランドセメント(pH14、工業品)を用い、水硬性物質100質量部に対してAl23−SO3系化合物3質量部を配合して混合することで水硬性組成物を得た。その後、この水硬性組成物に水(上水道水)50質量部を更に配合して混合し、凝結試験及び圧縮強度の測定を行った。
凝結試験及び圧縮強度の測定は、JIS R5201「セメントの物理試験方法」に準拠して行った。凝結試験は、凝結の始発及び終結の時間を測定した。また、圧縮強度は、水を加えたときを起点とし、材齢1日、7日及び28日で測定した。
上記の各評価の結果を表2に示す。
表2に示されるように、非晶質であり且つ強熱減量が5〜40質量%であるAl23−SO3系化合物(No.3〜13)を用いた水硬性組成物は、当該性質を有していないAl23−SO3系化合物(No.1〜2及び14〜15)を用いた水硬性組成物に比べて、凝結時間が早く、圧縮強度も同等又はそれ以上であった。
次に、上記と同様にして水硬性組成物を調製した後、ビニール袋に入れて密閉し、温度20℃、湿度60%の条件下で一ヶ月貯蔵した。その後、上記と同様にして、水硬性組成物に水(上水道水)を更に配合して混合し、凝結試験及び圧縮強度の測定を行った。その結果を表3に示す。
表3に示されるように、非晶質であり且つ強熱減量が5〜40質量%であるAl23−SO3系化合物(No.3〜13)を用いた水硬性組成物は、一ヶ月の貯蔵を行っても凝結時間及び圧縮強度にほとんど変化が見られず、貯蔵安定性に優れていることが確認された。これに対して当該性質を有していないAl23−SO3系化合物を用いた水硬性組成物のいくつか(No.1〜2)は、凝結時間が長くなっており、貯蔵安定性が十分でないことが確認された。
次に、上記と同様にして水硬性組成物を調製した後、ビニール袋に入れて密閉し、温度20℃、湿度60%の条件下で表4に示す期間貯蔵した。その後、上記と同様にして、水硬性組成物に水(上水道水)を更に配合して混合し、凝結試験を行った。その結果を表4に示す。
表4に示されるように、非晶質であり且つ強熱減量が5〜40質量%であるAl23−SO3系化合物(No.3〜13)を用いた水硬性組成物は、12ヶ月の貯蔵を行っても凝結時間にほとんど変化が見られず、貯蔵安定性に優れていることが確認された。
これに対して当該性質を有していないAl23−SO3系化合物を用いたNo.1の水硬性組成物は、貯蔵1日では良好な凝結性状が得られたものの、貯蔵1ヶ月で凝結性状が低下し、6ヶ月及び12ヶ月も同様の傾向となった。また、当該性質を有していないAl23−SO3系化合物を用いたNo.2の水硬性組成物も同様の傾向を示した。さらに、当該性質を有していないAl23−SO3系化合物を用いたNo.14及び15の水硬性組成物は、貯蔵性は良好であったものの、貯蔵1日でも凝結時間が長いことが確認された。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、水硬性組成物に予め配合しても貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を与えることが可能なセメント混和剤を提供することができる。また、本発明によれば、貯蔵安定性が低下し難いと共に、超速硬性を有し且つ硬化体の強度が高い水硬性組成物を提供することができる。

Claims (7)

  1. 非晶質であり且つ500℃で強熱した際の減量が5〜40質量%である硫酸アルミニウム水和物を含有するセメント混和剤。
  2. 前記硫酸アルミニウム水和物の真密度が1.9〜2.3g/cm3である、請求項1に記載のセメント混和剤。
  3. 前記硫酸アルミニウム水和物のBET比表面積が5m2/g以下である、請求項1又は2に記載のセメント混和剤。
  4. 前記硫酸アルミニウム水和物は、固体27Al−NMRによって得られるスペクトルにおいて、化学シフト−0.51〜−23.21ppmにピークを有し、且つその半値幅が5ppm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント混和剤。
  5. 前記硫酸アルミニウム水和物は、FT−IRによって得られるスペクトルにおいて、OH基伸縮振動に由来するピーク面積に対するSO4基伸縮振動に由来するピーク面積の比が0.2〜3.0である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセメント混和剤。
  6. アルカリ性の水硬性物質と共に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセメント混和剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセメント混和剤と、アルカリ性の水硬性物質とを含む水硬性組成物。
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