JP6429126B2 - セメントクリンカ及びセメント組成物 - Google Patents
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Description
ここで、該セメントクリンカ中におけるC3A、C4AFの含有量は、該セメントクリンカ中におけるAl2O3、Fe2O3の含有量からボーグ計算式に基づき算出される値を示す。
ここで、該セメント組成物中におけるC3A、C4AFの含有量は、該セメントクリンカ中におけるAl2O3、Fe2O3の含有量からボーグ計算式に基づき算出される値を示す。
また、本明細書において、セメントクリンカまたはセメント組成物中におけるC3A、C4AF、C3S、C2Sの含有量は、別段の記載のない限り、該セメントクリンカまたはセメント組成物中におけるAl2O3、Fe2O3、CaO、SiO2の含有量からボーグ計算式に基づき算出される値を示す。
本発明のセメントクリンカは、5質量%以上15質量%以下のC3A、5質量%以上15質量%以下のC4AF、0.79質量%以上2.30質量%以下のMgO、0.30質量%以上0.94質量%以下のTiO2及び0.80質量%以下のZn成分を含んでいる。
本発明のセメントクリンカは、上記各成分を上記所定の範囲で含んでいるため、該セメントクリンカのLab色空間におけるb値が、6以上9以下の範囲内に調整されている。すなわち、本発明によれば、色調が調整されたセメントクリンカを提供することができる。
また、本発明のセメントクリンカに含まれるC4AFの量は、セメントクリンカ全体の質量に対して5質量%以上15質量%以下であればよく、好ましくは5.0質量%以上14質量%以下、さらに好ましくは5.5質量%以上13質量%以下であってもよい。
好ましくは、本発明のセメントクリンカに含まれるC3Sの量は、セメントクリンカ全体の質量に対して50質量%以上70質量%以下であってもよく、より好ましくは、52質量%以上68質量%以下であってもよい。
好ましくは、本発明のセメントクリンカに含まれるC2Sの量は、セメントクリンカ全体の質量に対して10質量%以上30質量%以下であってもよく、より好ましくは、12質量%以上28質量%以下であってもよい。
また、b値が7以上8未満である本発明のセメントクリンカを得たい場合には、該セメントクリンカのTiO2の含有量を0.34質量%以上0.94質量%以下で調整すると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.79質量%以下で調整すればよく、好ましくは、TiO2の含有量を0.54質量%以上0.73質量%以下にすると共に、Zn成分の含有量を0.36質量%以上0.60質量%以下にすればよい。
また、b値が8以上9以下である本発明のセメントクリンカを得たい場合には、該セメントクリンカのTiO2の含有量を0.34質量%以上0.94質量%以下で調整すると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.79質量%以下で調整すればよく、好ましくは、TiO2の含有量を0.73質量%以上0.94質量%以下にすると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.36質量%以下にすればよい。
例えば、本発明のセメントクリンカは、0.20質量%以上1.0質量%以下のSr成分を含んでいてもよい。本発明のセメントクリンカは、0.10質量%以上0.50質量%以下のBa成分を含んでいてもよい。本発明のセメントクリンカは、0.05質量%以上0.25質量%以下のCu成分を含んでいてもよい。本発明のセメントクリンカは、0.10質量%以上0.30質量%以下のLi成分を含んでいてもよい。
また、本発明のセメントクリンカ中におけるZn成分及び他の上記微量元素の含有量は、JIS R 5202附属書の6.「セメント試料の調製」記載の方法に従って調製した本発明のセメントクリンカを、硝酸、フッ化水素酸及び過塩素酸の混酸を用いた混酸分解−ICP発光分光分析法により測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された方法により測定して得られた値をいう。
本発明のセメント組成物は、4.5質量%以上15質量%以下のC3A、4.5質量%以上15質量%以下のC4AF、0.71質量%以上2.30質量%以下のMgO、0.27質量%以上0.94質量%以下のTiO2及び0.80質量%以下のZn成分を含んでいる。
本発明のセメント組成物についても、上記各成分を上記所定の範囲で含んでいるため、該セメント組成物のLab色空間におけるb値が、6以上9以下の範囲内に調整されている。すなわち、本発明によれば、色調が調整されたセメント組成物を提供することもできる。
また、本発明のセメント組成物に含まれるC4AFの量は、セメント組成物全体の質量に対して4.5質量%以上15質量%以下であればよく、好ましくは4.5質量%以上14質量%以下、さらに好ましくは4.9質量%以上13質量%以下であってもよい。
好ましくは、本発明のセメント組成物に含まれるC3Sの量は、セメントクリンカ全体の質量に対して45質量%以上70質量%以下であってもよく、より好ましくは、46質量%以上68質量%以下であってもよい。
好ましくは、本発明のセメントクリンカに含まれるC2Sの量は、セメントクリンカ全体の質量に対して9質量%以上30質量%以下であってもよく、より好ましくは、10質量%以上28質量%以下であってもよい。
例えば、本発明のセメント組成物は、0.18質量%以上1.0質量%以下のSr成分を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物は、0.09質量%以上0.50質量%以下のBa成分を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物は、0.045質量%以上0.25質量%以下のCu成分を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物は、0.09質量%以上0.30質量%以下のLi成分を含んでいてもよい。
また、本発明のセメント組成物中におけるZn成分及び他の上記微量元素の含有量は、JIS R 5202附属書の6.「セメント試料の調製」記載の方法に従って調製した本発明のセメント組成物を、硝酸、フッ化水素酸及び過塩素酸の混酸を用いた混酸分解−ICP発光分光分析法により測定して得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された方法により測定して得られた値をいう。
上記石膏は、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏などであってもよいが、特に、クリンカ中に含まれる化合物(鉱物)との反応性の観点から、無水石膏が好ましい。また、上記石膏は、二水石膏の一種である排煙脱硫酸石膏やチタン石膏、無水石膏の一種であるフッ酸無水石膏のような産業廃棄物から得られる石膏であってもよい。これらの石膏は、一種または複数種を用いてもよい。
上記混和材としては、例えば、フライアッシュ、シリカフューム、高炉フューム、高炉水砕スラグ微粉末、膨張材、石灰石微粉末、生石灰微粉末、ドロマイト微粉末、ナトリウム型ベントナイト、カルシウム型ベントナイト、アタパルジャイト、セピオライト、活性白土、酸性白土、アロフェン、イモゴライト、シラス(火山灰)、シラスバルーン、カオリナイト、メタカオリン(焼成粘土)、合成ゼオライト、人造ゼオライト、人工ゼオライト、モルデナイト、クリノプチロライトなどが挙げられる。
上記混和剤としては、例えば、AE剤、減水剤、AE減水剤、流動化剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、急結剤、収縮低減剤、起泡剤、発泡剤、防水剤などが挙げられる。
これらの混和材及び混和剤は、一種または複数種を用いてもよい。
上記骨材は、公知の細骨材もしくは粗骨材の一方または両方であってもよい。上記粗骨材としては、例えば、砕石、川砂利、天然軽量粗骨材(パーライト、ヒル石等)、副産軽量粗骨材、人工軽量粗骨材、再生骨材などが挙げられる。上記細骨材としては、例えば、川砂、山砂、海砂、天然軽量細骨材(パーライト、ヒル石等)等の天然細骨材や砕砂、人工軽量細骨材、高炉スラグ細骨材等の人工細骨材、副産軽量細骨材などが挙げられる。これらの細骨材及び粗骨材は、一種または複数種を用いてもよい。
次に、本発明のセメントクリンカ及びセメント組成物の製造方法について説明する。
なかでも、上記クリンカ原料の各種材料に含まれるTiO2源としては、好ましくは石膏等を用いることができる。上記各種原料に含まれるZn成分源としては、好ましくは、亜鉛スラッジ等を用いることができる。
また、上記クリンカ原料の各種材料には、Sr,Ba,Cu,Li等の上述の微量元素の源として、焼却灰、銅カラミ、廃電池等が含まれていてもよい。
産業廃棄物としては、例えば、高炉スラグ;石炭灰;生コンスラッジ、下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等の各種汚泥;廃石膏ボート等の石膏廃材;ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、建設廃材、コンクリート廃材などが挙げられる。
一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。
建設発生土としては、例えば、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。
該焼成は、例えば、電気炉やロータリーキルン等を用いて行うことができる。ロータリーキルンを用いて焼成する場合には、該焼成の際の焼成温度は、例えば、1200℃以上1400℃以下であってもよく、1300℃以上1350℃以下であることが好ましい。
なお、上記セメントクリンカと石膏とを混合する際には、上述の混和材、混和剤、骨材を一種または複数種さらに混合してもよい。
本発明のセメントクリンカ及びセメント組成物は、例えば、既存のコンクリート建築物の打ち継ぎを行う際の新たなコンクリートに好適に用いることができるが、その場合、該セメントクリンカ及びセメント組成物の色調が、既存のコンクリートの色調にできる限り近いことが好ましい。
このとき、本発明のセメントクリンカまたはセメント組成物を製造するに際して、上述のクリンカ原料のTiO2及びZn成分の含有量を調整すれば、得られるセメントクリンカまたはセメント組成物のLab色空間におけるb値を、上記既存のコンクリートのb値に近づけるよう調整することができる。
このとき、該クリンカ材料のTiO2含有量を0.30質量%以上0.94質量%以下に調整すると共に、Zn成分含有量を0.80質量%以下に調整することにより、得られるセメントクリンカのb値を6〜9の範囲に調整することができる。
打ち継ぎ対象のコンクリートの測定された該b値が7以上8未満である場合には、好ましくは、該クリンカ原料のTiO2の含有量を0.34質量%以上0.94質量%以下に調整すると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.79質量%以下に調整すればよく、より好ましくは、TiO2の含有量を0.54質量%以上0.73質量%以下にすると共に、Zn成分の含有量を0.36質量%以上0.60質量%以下にすればよい。
打ち継ぎ対象のコンクリートの測定された該b値が8以上9以下である場合には、好ましくは、該クリンカ原料のTiO2の含有量を0.34質量%以上0.94質量%以下に調整すると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.79質量%以下に調整すればよく、より好ましくは、TiO2の含有量を0.73質量%以上0.94質量%以下に調整すると共に、Zn成分の含有量を0.01質量%以上0.36質量%以下に調整すればよい。
下記の材料を用いて、実施例1〜22及び比較例1〜6の各セメントクリンカを以下のようにして製造した。
二酸化ケイ素(SiO2):キシダ化学社製
酸化鉄(III)(Fe2O3)和光純薬社製
炭酸カルシウム(CaCO3):関東化学社製
酸化アルミニウム(Al2O3):関東化学社製
炭酸マグネシウム(MgCO3):和光純薬社製
硫酸カルシウム(CaSO4):キシダ化学社製
酸化亜鉛(ZnO):関東化学社製
炭酸ストロンチウム(SrCO3):関東化学社製
酸化バリウム(BaO):関東化学社製
酸化銅(I)(Cu2O):関東化学社製
このようにして作製された実施例1〜22及び比較例1〜6の各セメントクリンカについて、該セメントクリンカに含まれる各成分を、以下のようにして測定した。
加えて、実施例1〜3等のセメントクリンカを比較すると、本発明の範囲に含まれるセメントクリンカでは、Zn成分含有量が比較的多い場合には、セメントクリンカのb値が小さくなることがわかる。
Claims (4)
- 5質量%以上15質量%以下のC3A、5質量%以上15質量%以下のC4AF、0.79質量%以上2.00質量%以下のMgO、0.34質量%以上0.94質量%以下のTiO2、0.01質量%以上0.79質量%以下のZn成分及び0.5質量%以上3.0質量%以下のSO3を含んでいるセメントクリンカであって、Lab色空間におけるb値が6以上9以下である、セメントクリンカ。
- 0.20質量%以上1.0質量%以下のSr成分、0.10質量%以上0.50質量%以下のBa成分または0.05質量%以上0.25質量%以下のCu成分のうち1つ以上をさらに含んでいる、請求項1に記載のセメントクリンカ。
- 4.5質量%以上15質量%以下のC3A、4.5質量%以上15質量%以下のC4AF、0.71質量%以上2.00質量%以下のMgO、0.34質量%以上0.94質量%以下のTiO2、0.01質量%以上0.79質量%以下のZn成分及び0.5質量%以上3.0質量%以下のSO3を含んでいるセメント組成物であって、Lab色空間におけるb値が6以上9以下である、セメント組成物。
- 0.18質量%以上1.0質量%以下のSr成分、0.09質量%以上0.50質量%以下のBa成分または0.045質量%以上0.25質量%以下のCu成分のうち1つ以上をさらに含んでいる、請求項3に記載のセメント組成物。
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