JP6007661B2 - 車載機 - Google Patents
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Description
このうち、光ビーコンは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能である。具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信される。
このため、光ビーコンは、車載機との間で光信号を送受するビーコンヘッド(投受光器)を備え、投受光器には、ビーコン制御機から入力された送信信号を発光ダイオードに入力してダウンリンク光を送出する光送信部と、フォトダイオードが受光した光信号を電気信号に変換してビーコン制御機に出力する光受信部が搭載されている。
通信容量を拡大する方策としては、アップリンク及びダウンリンクそれぞれについての伝送速度の高速化、通信領域の拡張あるいは通信プロトコルの変更などの方策がある。このうち、アップリンク速度を現状(64kbps)よりも高速化すれば、通信領域をさほど広げなくても、大容量のプローブデータを光ビーコンから収集でき、交通信号制御の高度化に役立てることができる。
しかし、新光ビーコンや新車載機を導入するとしても、これらの新型の機器が、低速アップリンク通信しかできない従来の機器と互換性がなければ、既存の路車間通信システムと整合しなくなるため、アップリンク速度の高速化が阻害される。
また、この場合、旧光ビーコンが新車載機を検出できないので、新車載機のアップリンク送信をトリガーとしたダウンリンク切り替えを行えず、新車載機を搭載した車両向けの情報を提供することもできない。このため、新車載機を新たに搭載するインセンティブが減殺し、アップリンク速度の高速化が進展しない。
従って、新旧の光ビーコンと適切に通信できる、アップリンク方向でマルチレート対応の新車載機が得られる。
このようにすれば、新車載機のための信号情報を含む下りフレームが旧車載機に誤ってダウンリンク送信されるのを確実に防止することができる。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20に搭載された車載機2とを備えている。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等より構成することができる。
これに対して、本実施形態の車載機2は、半二重通信方式を採用している。すなわち、後述の車載制御機21は、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御とを同時には行わない。
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)をダウンリンク領域DA(図3参照)に送出する発光素子を有し、光受信部11は、アップリンク領域UA(図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では128kbpsであるとする。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
このようにアップリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増とともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では128kbpsであるとする。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
この場合、アップリンク速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
この簡易制御部は、例えば、光受信部24が何らかの下りフレームを受信した場合に、自車両の車両IDを含む低速の上りフレームを1つだけ、光送信部23にアップリンク送信させる機能を有する。
ここで、本明細書で用いる用語の定義を行う。
下りフレームDL1:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え前に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信する下りフレームのことをいう。
上りフレームUL1:下りフレームDL1の受信に応じて、車載機2が繰り返し送信する上りフレームのことをいう。
ID格納フレーム:車載機2が、自機の車両20の識別情報(以下、「車両ID」という。)を所定の格納領域に記して生成した上りフレームUL1のことをいう。
なお、光ビーコン4が、ID格納フレームを受信してもダウンリンク切り替えを行わない場合(例えば、図12及び図14参照)には、下りフレームDL1が折り返しフレームになることもある。
車両IDのループバック:車載機2がID格納フレームを生成し、生成したID格納フレームをアップリンク送信し、光ビーコン4がID折り返しを行うことにより、車両IDを送信元の車載機2にループバックさせる一連の処理のことをいう。
後続フレーム:車載機2が複数の上りフレームUL1を送信する場合に、先行フレームの後にアップリンク送信する1又は複数の上りフレームUL1のことをいう。
本実施形態では、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2には、折り返しフレームと、車両IDに対応する車両向けの提供情報を含む下りフレームDL2とが含まれる。この提供情報には、例えば、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの情報を含めることができる。
もっとも、本実施形態の光ビーコン4では、高速アップリンク送信に対応する新車載機を搭載した車両向けの提供情報として、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路を示す充電ステーション情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供することもできる(図8〜図17参照)。
この車線通知情報には、車線R1〜R4(図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与できる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載機2は、格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることで、自車両がどの車線R1〜R4を走行中かを判定できる。
上りフレームUL1の場合は、同期部には1バイトが割り当てられ、ヘッダ部には10バイトが割り当てられ、実データ部には59バイトが割り当てられ、CRC部には2バイトが割り当てられている。
また、ダウンリンク切り替え後に光送信部10から繰り返し送信される下りフレーム群は1〜80個の下りフレームDL2で構成され、その繰り返し送信の送信可能時間は250msである。
従って、例えば、3つの下りフレームDL2で1つの有意なデータを構成する場合は、その送信周期が約3msになるので、そのデータは所定の送信可能時間(250ms)内に約80回繰り返して送信されることになる。
なお、後述の図10の路車間通信に示すように、光ビーコン4がID格納フレームに応じてダウンリンク切り替えを行う場合には、後続フレームのアップリンク送信の時間とダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の時間が重複し得るので、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の送信可能期間は(250+α)msとすることが好ましい。
図4は、通信領域Aで行われる従来の通信手順を示すシーケンス図である。
ここで、図4において、白丸を付したフレームは、車両IDを含まないフレーム(車両IDなしの車線通知情報を有するフレーム)であることを示し、黒丸を付したフレームは、車両IDを含むフレーム(車両IDありの車線通知情報を有するフレーム)であることを示している。図8以後の図においても同様である。
車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2(図4の場合は旧車載機2B)が車線通知情報(車両ID無し)を含む下りフレームDL1或いはその他の下りフレームDL1を受信し、車両20が光ビーコン4の通信領域A内に入ったことを察知する。
なお、旅行時間情報などの光ビーコン4に提供すべき情報がある場合には、ID格納フレームの実データ部にその情報が格納される。
ダウンリンク切り替えの後に繰り返し送信させる複数の下りフレームDL2は、先頭部分で連送される複数の折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)と、その後に繰り返し送信される所定の提供情報を含む下りフレームDL2とからなる。
また、図4に示すように、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、提供情報の送信期間中においてダウンリンク情報を構成する一連の複数の下りフレームDL2(例えば5個の下りフレームDL2)の1つであり、従来は、一連の複数の下りフレームDL2の先頭にのみ含まれて繰り返し(図4の例では5フレームごと)送信される。
車載機2は、光ビーコン4から複数の下りフレームDL2を受信し、その複数の下りフレームDL2の中で、自車両の車両IDが記された車線通知情報を含むものがあるか否かを判定する。
逆に、車載機2は、その判定結果が否定的である間は、自車両の車両IDのループバックが成功していないと判断し、自機の通信を送信のままにする。
この場合、車載機2は、例えば、先に送信した上りフレームU1の送信後所定時間(例えば30ms)後に、再び上フレームUL1を送信する。車載機2は、この再送の動作を車両IDのループバックが成功するまで繰り返す。
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば128kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は、新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば128kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば128kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
また、「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示している。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
そこで、本実施形態では、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報を、ビーコン制御機7が下りフレームDL1,DL2に含めることができるものとする。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、繰り返し送信するすべての下りフレームDL1,DL2又は所定周期ごとの下りフレームDL1,LD2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、その下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオフにする。
以下、上記のビーコン識別情報を下りフレームDL1,DL2に含める規約に従うことを前提とした、新光ビーコン4Aと新車載機2Aが行う上位互換制御について説明する。
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオンに設定した下りフレームDL1を所定周期で繰り返しダウンリンク送信することにより(図6のステップST1)、自機が新光ビーコン4Aであることを外部に通知している。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、128kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(図6のステップST3)。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規約を採用してもよい。
そして、新車載機2Aの車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合には、アップリンク送信するすべて又は一部の上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合には、当該上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
新車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報に加え、信号情報や充電ステーション情報などの新車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2を、繰り返し送信することによって行われる。
この旧車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2だけを、繰り返し送信することによって行われる。
図7は、本実施形態の車載機2である、新車載機2Aの車載制御機21が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図7に示すように、新車載機2Aの車載制御機21は、下りフレームDL1を受信したか否かを常に判定しており(図7のステップST11)、下りフレームDL1を受信した場合には、その下りフレームDL1のフラグフィールドがオンか否かを判定する(図7のステップST12)。
逆に、フラグフィールドがオフの場合やフィールド自体がない場合には、車載制御機21は、先行フレームの後の光送信部23にアップリンク送信させる後続フレームの伝送速度を低速に設定するか、或いは、その後続フレームの送信を止める(図7のステップST14)。
図8は、第1実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
ここで、白三角を付したフレームDL1は、光ビーコン4の新旧タイプのフラグフィールドがオンの下りフレームを示している。図9以降の図においても同様である。
また、図8において、U1〜U4は、車載機2がアップリンク送信する複数の上りフレーム(上りフレーム群)UL1を示し、最初の上りフレームU1が「先行フレーム」であり、それ以後に送信する上りフレームU2〜U4が「後続フレーム」であるとする。
すなわち、新車載機2A(具体的には、車載制御機21の簡易制御部)は、先行フレームU1の伝送速度を予め低速に設定しており、最初の下りフレームDL1の受信を契機として、光送信部23に先行フレームU1を低速でアップリンク送信させる。
次に、新車載機2Aは、受信した下りフレームDL1のフラグフィールドがオンであるか否かを判定し、そのフラグフィールドがオンである場合には、通信相手が新光ビーコン4Aであると判断し、先行フレームU1の後に続けて高速の後続フレームU2〜U4を連送する。
逆に、新車載機2Aは、上記フラグフィールドがオフの場合や、そのフラグフィールドが検出できなかった場合には、通信相手が旧光ビーコン4Bであると判断し、後続フレームを非送信に設定する。
この場合、新車載機2Aは、後続フレームU2〜U4の伝送速度を高速に設定して高速アップリンク送信を行ってもよいし、後続フレームを非送信に設定するか或いは後続フレームU2,U3の伝送速度を低速に設定して低速アップリンク送信を行うことにしてもよい。
逆に、新光ビーコン4Aに間違って低速の後続フレームU2,U3を送信したとしても、新光ビーコン4Aは当該後続フレームU2,U3を問題なく受信できるため、特に差し支えがないからである。
この場合、低速の先行フレームU1は車両IDが含まれるID格納フレームであるから、光ビーコン4の新旧タイプに関係なく、ダウンリンク切り替えなどの所定の処理を光ビーコン4に実行させることができる。
このため、新光ビーコン4Aに対しては、後続フレームU2〜U4を高速に設定した高速アップリンク送信が可能となり、旧光ビーコン4Bに対しては、後続フレームU2,U3の非送信又は後続フレームU2,U3を低速に設定した低速アップリンク送信が可能となり、新旧の光ビーコン4A,4Bと適切に通信することができる。
図9は、第1実施形態の通信手順(図8)において、新車載機2AがID確認を失敗する場合を示すシーケンス図である。
前述の通り、プローブ情報などの大容量のデータをアップリンク送信する場合には、先行フレームU1にデータを格納しきれないことが多い。そこで、図8及び図9の例では、新車載機2Aが合計3つの上りフレームU2〜U4よりなる後続フレームを高速で連送している。
ここで、従来の路車間通信では、上記のような大容量のアップリンク送信はされないという想定の下で、光ビーコン4がID格納フレームU1を受信すると、即座に折り返しフレームを連送してダウンリンク切り替えを出来るだけ素早く行う運用になっている。
この現象は、前述の通り、ダウンリンク情報を構成する一連の複数の下りフレームDL2の数が多ければ多いほど発生しやすくなる。なぜなら、新光ビーコン4Aが前記折り返しフレームを送信する頻度が少ないために、新車載機2Aがループバックを認識できない確率が高くなるためである。
この場合、上りフレーム群U1〜U4を再送信した後でも、新車載機2Aが折り返しフレームに気付かず、上りフレーム群U1〜U4のアップリンク送信(再送)が無駄に継続されることになる。
従って、より多くのデータを新光ビーコン4Aにアップリンクしようとする新車載機2Aほど、限られた期間(たとえば250ms)にしか送信されない下りフレームDL2の受信機会を大幅に喪失したり、極端な場合は、下りフレームDL2を受信できずに通信領域Aを通過したりするという、不合理な結果になるおそれがある。
図10は、第2実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
図10に示すように、第2実施形態では、新車載機2Aが先行フレームU1の後に高速の後続フレームU2〜U4を連送する場合に、最初の先行フレームU1と後続フレームU2の間に「送信中断期間」を設けることにより、上述の第1実施形態の問題点を解決するようにしている。
例えば、新光ビーコン4Aが車両20から受信したID格納フレームU1の受信処理に5〜10m秒程度要すると仮定し、さらに、新光ビーコン4AがID格納フレームU1のID折り返し処理を開始するのに必要な遅延時間(図10の例では、ダウンリンク切り替えに必要な遅延時間)が10m秒と仮定すれば、送信中断期間は15〜20m秒の範囲で設定すればよい。
上記の確認の後、新車載機2Aは、2番目以後の後続フレームU2〜U4を連送し、その連送が終了したあと、自機の通信を受信に切り替える。
このため、複数の上りフレームU1〜U4の送信を新車載機2Aが無駄に継続することによる、下りフレームDL2の受信機会の喪失を未然に防止することができる。
また、光信号が光ビーコン4に到達できない程度に、発光素子のパワーを低下させる方法を採用してもよい。このようにすれば、発光素子の再発光時のパワーの復帰を迅速に行え、2番目の上りフレームU2の同期部の乱れを抑制できるという利点がある。
そこで、新車載機2Aは、送信中断期間にループバックの成功を確認できなかった場合には、図10に破線で示すように、ID格納フレームである先行フレームU1のみを光送信部23に再送信させ、この先行フレームU1の後を送信中断期間とする。
より好ましくは、最初の上りフレームU1のフレーム長は、上りフレーム群を構成するすべての上りフレームU1〜U4の中で最短(例えば、実データ部で5バイト程度)に設定すればよい。すなわち、当該最初の上りフレームU1に格納されるデータは必要限度のデータのみとし、例えば、車両ID情報、ビーコン間の旅行時間や車載機が対応するサービスの種別等の情報のみであることが望ましい。
このようにすれば、新車載機2Aが、送信中断期間中に受信した下りフレームDL2に含まれるフラグフィールドに基づいて、光ビーコン4が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aか非対応の旧光ビーコン4Bかを判定し、その判定結果に応じて後続処理の内容を決定することができる。
図11は、第3実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第3実施形態(図11)の路車間通信が第2実施形態(図10)のそれと異なる点は、新光ビーコン4Aが、ID格納フレームである先行フレームU1を受信した場合に、ID折り返しのみを実行し、その後、最後の上りフレームU4を検出したことを条件として、ダウンリンク切り替えを実行する点にある。
しかし、仮に、自車両に有益な提供情報が複数の下りフレームDL2の先頭側に偏って格納されている場合には、ダウンリンク切り替えを遅らせる方が有利であるということも考えられる。
このため、新車載機2Aは、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2を先頭から順に受信することができ、自車両に有益な情報が下りフレームDL2先頭側に偏って格納されていても、その有益な情報を取り逃がす可能性を低減することができる。
このため、上りフレームU4を受信した光ビーコン4は、その所定フィールドに最終フラグがあれば、それが最後の上りフレームであることを判定することができる。
この場合、新光ビーコン4Aは、総フレーム数の値とフレーム番号の値(すなわち、本実施形態では「4」の値)が一致する上りフレームを、最後の上りフレームU4と判定することができる。
図12は、第4実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第3実施形態(図11)のように、新光ビーコン4Aが、最後の上りフレームU4の受信を条件としてダウンリンク切り替えを行う場合には、例えば図12に×印で示すように、最後の上りフレームU4が不達に終わると、新光ビーコン4Aが何時まで経ってもダウンリンク切り替えを行わず、新車載機2Aが提供情報を含む下りフレームDL2を取得できない。
図12に示す2種類の所定時間T1,T2のうち、第1の所定時間T1は、最後に上りフレームを受信した時点(図12では上りフレームU3の受信時点)を始期としており、第2の所定時間T2は、ID格納フレームである最初の上りフレームU1の受信時点を始期としている。
図13は、第5実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
図13に示すように、第5実施形態では、新車載機2Aが先行フレームU1の後に後続フレームU2〜U4を連送する場合に、新光ビーコン4Aが、ID格納フレーム(上りフレームU1)を含む上りフレーム群U1〜U4のうちの最後の上りフレームU4を光受信部11が受信したことを条件として、ダウンリンク切り替えを行うことにより、前述の第1実施形態の問題点を解決するようにしている。
従って、図13に示すように、新車載機2Aが、第2実施形態(図10)の場合の「送信中断期間」を設けずに上りフレーム群U1〜U4が連送した場合でも、新光ビーコン4Aが車両IDを認識済みであることを新車載機2Aが察知しやすくなり好適である。
なお、新光ビーコン4Aによる最後の上りフレームU4の判定方法については、第3実施形態(図11)の場合と同様であるから、説明を省略する。
図14は、第6実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第5実施形態(図13)のように、新光ビーコン4Aが、最後の上りフレームU4の受信を条件としてダウンリンク切り替えを行う場合には、例えば図14に×印で示すように、最後の上りフレームU4が不達に終わると、新光ビーコン4Aが何時まで経ってもダウンリンク切り替えを行わず、新車載機2Aが提供情報を含む下りフレームDL2を取得できない。
図14に示す2種類の所定時間T1,T2のうち、第1の所定時間T1は、最後に上りフレームを受信した時点(図14では上りフレームU3の受信時点)を始期としており、第2の所定時間T2は、ID格納フレームである最初の上りフレームU1の受信時点を始期としている。
すなわち、図14の新光ビーコン4Aの通信相手となる新車載機2Aは、送信中断期間と最終フレームがどれかを示すフレーム識別情報の双方を採用する、例えば第3実施形態(図11)の車載機2であってもよい。
図15は、第7実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第7実施形態(図15)が第5実施形態(図13)と異なる点は、新光ビーコン4Aが、ID格納フレームである上りフレーム(先行フレーム)U1に対してID折り返しのみを行い、その後に連送される後続フレームU2〜U4のうちの最後の上りフレームU4の受信を検出した場合に、ダウンリンク切り替えを行う点にある。
従って、新車載機2Aは、ダウンリンク切り替え後にダウンリンク送信された上記の折り返しフレームにより、ループバックの成功の確認を適切に行うことができる。
このようにすることで、さまざまな種類の送信処理を実装する車載機2が混在した場合であっても、その送信処理の如何に関わらず、車載機2がループバック検出をしやすくなり、路車間通信の効率を高めることが可能となる。
図16は、第8実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第8実施形態(図16)が第1実施形態(図8)と異なる点は、先行フレームU1の伝送速度を低速に固定する先行処理ではなく、新車載機2Aが、光ビーコン4の新旧タイプに応じて、先行フレームU1の伝送速度を高速又は低速に設定する先行処理を実行する点にある。
また、新車載機2Aは、上記フラグフィールドがオフの場合や、そのフラグフィールドが検出できなかった場合には、通信相手が旧光ビーコン4Bであると判断し、先行フレームU1の伝送速度を低速に設定する。
すなわち、新車載機2Aは、通信相手が新光ビーコン4Aである場合には、先行フレームU1の後に続けて高速の後続フレームU2〜U4を連送する。
また、新車載機2Aは、通信相手が旧光ビーコン4Bである場合には、後続フレームU2,U3を非送信に設定するか、送信する場合は後続フレームU2,U3の伝送速度を低速に設定する。
この場合、新車載機2Aは、先行フレームU1の伝送速度を低速に設定し、後続フレームU2,U3を非送信に設定するか或いは後続フレームU2,U3の伝送速度を低速に設定する。
逆に、新光ビーコン4Aに間違って低速の先行フレームU1と低速の後続フレームU2,U3を送信したとしても、新光ビーコン4Aは当該先行フレームU1と後続フレームU2,U3を問題なく受信できるため、特に差し支えがないからである。
この場合、高速又は低速の先行フレームU1は車両IDが含まれるID格納フレームであるから、光ビーコン4の新旧タイプに関係なく、ダウンリンク切り替えなどの所定の処理を光ビーコン4に実行させることができる。
このため、新光ビーコン4Aに対しては、後続フレームU2〜U4を高速に設定した高速アップリンク送信が可能となり、旧光ビーコン4Bに対しては、後続フレームU2,U3の非送信又は後続フレームU2,U3を低速に設定した低速アップリンク送信が可能となり、新旧の光ビーコン4A,4Bと適切に通信することができる。
第8実施形態(図16)の新車載機2Aも、新光ビーコン4Aに対して、先行フレームU1の後に後続フレームU2〜U4を送信するので、後続フレームU2〜U4を連送する場合の問題点(図9)が同様に生じ得る。
すなわち、前述の第2実施形態(図10)〜第7実施形態(図15)の通信手順の改良は、第8実施形態(図16)の新車載機2Aにも、同様に適用することができる。
図17は、第9実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
第9実施形態(図17)が第1実施形態(図8)と異なる点は、先行フレームU1の伝送速度を低速に固定する先行処理を行うだけでなく、新車載機2Aが、光ビーコン4の新旧タイプに関係なく、後続フレームU2〜U4の伝送速度を高速に固定する後続処理を実行する点にある。
このため、第9実施形態の新車載機2Aが通信相手である新光ビーコン4Aには、自機が高速アップリンク受信に対応することを知らせるフラグフィールドを、下りフレームDL1に設ける必要がない。
この場合、低速の先行フレームU1は車両IDが含まれるID格納フレームであるから、光ビーコン4の新旧タイプに関係なく、ダウンリンク切り替えなどの所定の処理を光ビーコン4に実行させることができる。
このため、通信相手が新光ビーコン4Aの場合には、後続フレームU2〜U4を高速に設定した高速アップリンク送信が可能となり、通信相手が旧光ビーコン4Bの場合には、後続フレームU2〜U4がノイズと判定されて受信されず、低速の先行フレームU1のみが正規に受信されるので、新旧の光ビーコン4A,4Bと適切に通信することができる。
第9実施形態(図17)の新車載機2Aも、新光ビーコン4Aに対して、先行フレームU1の後に後続フレームU2〜U4を送信するので、後続フレームU2〜U4を連送する場合の問題点(図9)が同様に生じ得る。
すなわち、前述の第2実施形態(図10)〜第7実施形態(図15)の通信手順の改良は、第9実施形態(図17)の新車載機2Aにも、同様に適用することができる。
上述の第2実施形態(図10)〜第4実施形態(図12)では、上りフレームU1〜U4の送信中断期間を、最初の上りフレームU1と2番目の上りフレームU2の間に設定している。しかし、上りフレーム群U1〜U4のうちの、どのフレームとどのフレームの間に送信中断期間を配置すれば最適であるかは、光ビーコン4の性能やアップリンク速度に応じて変動しうる。
例えば、新光ビーコン4Aが、最初の上りフレームU1を受信してから識別情報を含む下りフレーム(折り返しフレーム)の送信を開始するまでの間に、一定の処理時間(例えば10m秒程度)を要する場合には、その間は、車載機2が受信態勢に切り替えたとしても前記折り返しフレームを受信することができない。
例えば、アップリンク速度が現行の64kbpsの場合、現行の路車間通信の規格によれば、上りフレームを1フレーム送信するのに約10m秒程度必要となる(実データ部が最大サイズである59バイトの場合)。
例えば、もしアップリンク速度を128kbpsに向上できるのであれば、1フレームの送信に5m秒要する(実データ部が最大サイズである59バイトの場合)ため、同様の理屈にしたがって、光ビーコン4が折り返しフレームを送信し始めるまでの間に、2フレーム目と3フレーム目を送信し、3フレーム目と4フレーム目の間に送信中断期間を設けるようにしても良い。
今回開示した実施形態(上述の各変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、上りフレームU1〜U4を連続して送信することになっているが、フレーム間に所定時間長のインターバルを設けてバースト送信することにしてもよい。
その所定時間T1以上のインターバルを空けると、新光ビーコン4Aがアップリンクに何らかの支障が生じたと判断し、ダウンリンク切り替え等を実施してしまうかもしれないためである。
このようにすれば、いずれのタイプの新車載機2Aであっても、ループバックの成功を認識しやすくなる。
そこで、下りフレームDL2として、従来よりも多く折り返しフレームを含ませるようにすることもできる。
そういった観点で、上記のように、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2として従来よりも多く折り返しフレームを含ませる等によって、車載機にループバック成功を認識させる確率を高くすると共に、送信するモードの変更回数を少なくすることは有望である。
というのも、車載機2からすれば、光ビーコン4にどのタイミングでダウンリンク切り替えを行って欲しいかを指定できる方が、都合が良いケースがあると考えられるためである。
4 光ビーコン
7 ビーコン制御機(通信制御部)
8 ビーコンヘッド
10 光送信部
11 光受信部
20 車両
21 車載制御機(通信制御部)
22 車載ヘッド
23 光送信部
24 光受信部
Claims (2)
- 道路に設置された光ビーコンと光信号による無線通信を行う車載機であって、
高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部と、
前記2種類の伝送速度と異なる1種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部と、
前記1種類の伝送速度で送信された下りフレームに含まれるビーコン識別情報に基づいて、前記光ビーコンが高速アップリンク受信に対応する新光ビーコンか非対応の旧光ビーコンかを判定し、この判定結果に応じて、高速の伝送速度でアップリンク送信を行うか、低速の伝送速度でアップリンク送信を行う又は非送信に設定するかを切り替える通信制御部と、備える車載機。 - 前記通信制御部は、高速アップリンク送信に対応する新車載機のための信号情報を含む下りフレームの送信を前記光ビーコンにダウンリンク送信させるための車載機識別情報を、上りフレームに含めることができる請求項1に記載の車載機。
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