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JP5995316B2 - 光ビーコン - Google Patents

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JP5995316B2
JP5995316B2 JP2012220128A JP2012220128A JP5995316B2 JP 5995316 B2 JP5995316 B2 JP 5995316B2 JP 2012220128 A JP2012220128 A JP 2012220128A JP 2012220128 A JP2012220128 A JP 2012220128A JP 5995316 B2 JP5995316 B2 JP 5995316B2
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Description

本発明は、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンに関する。
路車間通信システムを利用した交通情報サービスとして、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送を用いたいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System:(財)道路交通情報通信システムセンターの登録商標)が既に展開されている。
このうち、光ビーコンは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能である。具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信される。
逆に、光ビーコンからは、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
このため、光ビーコンは、車載機との間で光信号を送受信するビーコンヘッド(投受光器)を備え、投受光器には、ビーコン制御機から入力された送信信号を発光ダイオードに入力してダウンリンク光を送出する光送信部と、フォトダイオードが受光した光信号を電気信号に変換してビーコン制御機に出力する光受信部が搭載されている。
一方、光ビーコンを利用した安全運転支援システム(DSSS)の一環として、光ビーコンの通信領域の基準位置、下流側の交差点の停止線位置、基準位置からアップリンク位置(光ビーコンが受信できたアップリンク情報(上りフレーム)の送信位置)までの「UL位置補正情報」(以下、単に「位置補正情報」という場合がある。)、ダウンリンク切り替え後におけるダウンリンク情報(下りフレーム)の累積送信フレーム数である「DL送信フレーム数」、及び、交差点の信号の予定秒数である「信号情報」を、「安全運転支援情報」として下りフレームに含める場合がある。
それらの情報を提供された車載機は、基準位置から停止線位置までの距離から、位置補正情報の距離とDL送信フレーム数から求めた距離を減算することにより、現時点の車両位置から停止線位置までの距離を正確に求めることができる。
この場合、停止線位置までの距離が正確に求まるので、赤信号の直前で交差点に進入することがないように、ドライバに制動を促すなどの安全運転の支援制御を正確に実行できるようになる。
特開2005−268925号公報
1993年から現在までの間に、約54000ヘッドの光ビーコンが全国各地の道路に配備されているが、かかる既設の光ビーコンを用いた従来の光通信システムよりも、通信容量を拡大してシステムを高度化することが検討されている。
通信容量を拡大する方策としては、アップリンク及びダウンリンクそれぞれについての伝送速度の高速化、通信領域の拡張あるいは通信プロトコルの変更などの方策がある。このうち、アップリンク速度を現状(64kbps)よりも高速化すれば、通信領域をさほど広げなくても、大容量のプローブデータを車載機から収集でき、交通信号制御の高度化に役立てることができる。
このように、アップリンク速度の高速化を実現するためには、高速アップリンク受信に対応する光ビーコン(以下、「新光ビーコン」ともいう。)と、高速アップリンク送信に対応する車載機(以下、「新車載機」ともいう。)を新たに導入する必要がある。
しかし、新光ビーコンや新車載機を導入するとしても、これらの新型の機器が、低速アップリンク通信しかできない従来の機器と互換性がなければ、既存の路車間通信システムと整合しなくなるため、アップリンク速度の高速化が阻害される。
そこで、新車載機の上位互換性を確保するため、新車載機が高速のアップリンク情報を送信する前に、低速アップリンク送信のみを行う従来の車載機(以下、「旧車載機」という)と同様に、車両の識別情報(以下、「車両ID」ともいう。)を格納した低速のアップリンク情報を送信するという通信規約を採用すれば、旧光ビーコンにもダウンリンク切り替えを行わせることができ、新車載機が旧光ビーコンとも通信できるようになる。
ところで、新車載機が低速のアップリンク情報の後に高速のアップリンク情報を送信する場合のように、1回の路車間通信で複数のアップリンク情報の送信が行われる場合において、後続のアップリンク情報の送信位置(アップリンク位置)が求まる毎に動的に更新される「位置補正情報」を、最初の低速のアップリンク情報に基づくダウンリンク切り替えのタイミングとは無関係にダウンリンク情報に含めると、「位置補正情報」と「DL送信フレーム数」との関係性が崩れてしまい、これらの情報を用いた実距離の算出を正確に行うことができなくなるという問題がある。
なお、上記において、「位置補正情報」と「DL送信フレーム数」の関係性が崩れるとは、具体的には、「DL送信フレーム数」はダウンリンク切り替え時のアップリンク情報が基準となっているのに対し、「位置補正情報」はダウンリンク切り替え時のアップリンク情報が基準となっていない場合のことをいう。
このような不都合を解消するため、低速のアップリンク情報を受信したときだけでなく、後続の高速のアップリンク情報を受信したときにもダウンリンク切り替えを行い、このダウンリンク切り替え後の「DL送信フレーム数」の起点を、高速のアップリンク情報を受信した時点に対応させれば、「位置補正情報」との整合性をとることが可能である。
しかしながら、高速のアップリンク情報の大容量化によって送信時間が長くなったり送信フレーム数が多くなったりすると、送信中のどの時点におけるアップリンク位置を用いて「位置補正情報」を生成するかが問題となる。「位置補正情報」の基準となるアップリンク位置におけるアップリンク情報の送信時点と、DL送信フレーム数の起点となるダウンリンク情報の送信時点との時間差は、車両位置から停止線位置までの距離を求める上での誤差となるため、安全運転支援を正確に行うためにはその誤差をできるだけ小さくすることが望まれる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、正確な安全運転支援情報を車載機に提供することができる、DSSS対応の光ビーコンを提供することを目的とする。
(1)本発明は、 走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
アップリンク情報を構成する上りの光信号を電気信号に変換する受光素子を含む光受信部と、
電気信号を、ダウンリンク情報を構成する下りの光信号に変換する発光素子を含む光送信部と、
前記アップリンク情報の受信を契機として行うダウンリンク切り替えと、前記アップリンク情報の送信位置であるアップリンク位置の生成とを実行可能な通信制御部と、を備えており、
前記通信制御部は、複数のフレームからなる前記アップリンク情報のうちの最終フレームの送信位置を、前記アップリンク位置としてダウンリンク切り替え後の前記ダウンリンク情報に含めることを特徴とする。
本発明によれば、複数のフレームからなるアップリンク情報のうちの最終フレームの送信位置をアップリンク位置としてダウンリンク切り替え後のダウンリンク情報に含められるので、「位置補正情報」の基準となるアップリンク位置におけるアップリンク情報の送信時点と、このアップリンク情報を契機としたダウンリンク切り替え後のDL送信フレーム数の起点となるダウンリンク情報の送信時点との時間差を可及的に小さくすることができる。そのため、「位置補正情報」と「DL送信フレーム数」とを用いて安全運転支援のための距離情報(車両位置と停止線位置までの距離等)を正確に求めることができる。
なお、本発明において、「アップリンク位置を…前記ダウンリンク情報に含める」例として、アップリンク位置をそのままの形態でダウンリンク情報に含める場合や、アップリンク位置を用いて算出した「位置補正情報」の形態でダウンリンク情報に含める場合等がある。
(2) また、本発明は、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
アップリンク情報を構成する上りの光信号を電気信号に変換する受光素子を含む光受信部と、
電気信号を、ダウンリンク情報を構成する下りの光信号に変換する発光素子を含む光送信部と、
前記アップリンク情報の受信を契機として行うダウンリンク切り替えと、前記アップリンク情報の送信位置であるアップリンク位置の生成とを実行可能な通信制御部と、を備えており、
前記通信制御部は、74バイトを越えるデータサイズの単一フレームからなる前記アップリンク情報の最終フレームの送信位置を、前記アップリンク位置としてダウンリンク切り替え後の前記ダウンリンク情報に含めることを特徴とする。
現在の光学式車両感知器(光ビーコン)の「近赤外線式インタフェース規格」によれば、半二重方式を採用している車載機は、最大74バイトのデータサイズを有するアップリンク情報を1フレームだけ送信することになっている。一方、本発明においては、アップリンク情報の大容量化を図りつつ従来の光ビーコンとの互換性を保つため、従来通りのアップリンク情報(旧アップリンク情報)を送信した後、続けて大容量化したアップリンク情報(新アップリンク情報)を送信することが考えられる。この場合、旧アップリンク情報の最大サイズである74バイトを越えるような新アップリンク情報が単一フレームで送信される可能性もある。本発明においては、旧アップリンク情報とは異なる74バイトを越える単一フレームのアップリンク情報を受信した場合に、そのフレーム自体が最終フレームとなり、この最終フレームの送信位置を、アップリンク位置として取得することができる。
(3) 前記通信制御部は、前記最終フレームの後半部分から取得されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含めることが好ましい。
このような構成によって、「位置補正情報」の基準となるアップリンク情報が送信された時点と、DL送信フレーム数の起点となるダウンリンク情報が送信された時点との時間差をより確実に小さくすることができる。
(4) 前記通信制御部は、前記最終フレームの末尾側を基準として採用されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含めることができる。
(5) この場合、前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最後からn1番目以前(但し、n1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていることが好ましい。
通信制御部は、光受信部によって受信した光信号(アップリンク光)を電気信号に変換し、その電気信号を所定のサンプリング周期で読み取ることによって複数のアップリンク位置を時系列で取得する。一方、光受信部によって受信したアップリンク光を電気信号に変換する場合、その変換回路の追従性能(応答性能)によってはアップリンク光が終了しても即座に電気信号の生成が停止されない場合がある。この場合、アップリンク光の終了後も電気信号が生成され、アップリンク光の終了後に生成された電気信号からもアップリンク位置が取得され得る。このようにアップリンク光の終了後に取得されたアップリンク位置は実際のアップリンク位置とは異なるため、ダウンリンク情報に含めないようにすることが望まれる。
そのため、本発明においては、例えばアップリンク光の終了後に取得されたアップリンク位置を含まない値として「n1」を予め設定し、最終フレームについて最後からn1番目以前に取得されたアップリンク位置をダウンリンク情報に含めることで、アップリンク光の終了後に取得されたアップリンク位置を排除し、より確実に実際のアップリンク情報の送信位置をアップリンク位置としてダウンリンク情報に含めることが可能となる。
(6) また、前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最後からn2番目以降(但し、n2:(n2≧n1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
上記(5)の場合、最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、ダウンリンク情報に含め得るアップリンク位置の、後側の境界値が規定されているだけであるので、最終フレームのより前側で取得されたアップリンク位置がダウンリンク情報に含めるアップリンク位置として採用されてしまう可能性がある。そのため、本発明では、前側の境界値となる「n2」を予め設定することによって、最終フレームのより後側で取得されたアップリンク位置を採用することができるようにしている。
なお、n2=n1とすることによって、最後からn1(=n2)番目の特定のアップリンク位置をダウンリンク情報に含めるアップリンク位置として採用することができる。また、光受信部における電気信号の変換回路が、光信号に対して高い追従性能を有している場合や、通信制御部が、アップリンク光が終了した後に取得されたアップリンク位置を廃棄できる構成とされている場合には、最後(n1=n2=1)に取得されたアップリンク位置をそのままダウンリンク情報に含めるアップリンク位置として採用することも可能である。
(7) 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信完了時点よりもt1時間以上前(但し、t1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
この場合も、前記と同様に、アップリンク光の終了後に取得されたアップリンク位置を含まない時間「t1」を予め設定することによって、アップリンク光が終了した後に取得されたアップリンク位置をダウンリンク情報に含めないようにすることができる。
(8) 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信完了時点よりもt2時間前以降(但し、t2:(t2≧t1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
上記(7)の場合、最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、ダウンリンク情報に含め得るアップリンク位置の、後側の境界値が規定されているだけであるので、最終フレームのより早い時期に取得されたアップリンク位置がダウンリンク情報に含めるアップリンク位置として採用されてしまう可能性がある。そのため、本発明では、前側の境界値となる「t2」を予め設定することによって、最終フレームのより遅い時期に取得されたアップリンク位置を採用することができるようにしている。
なお、t2=t1(若しくは、t1≒t2)の場合には、最終フレームの受信完了時点からt1(=t2)時間前に取得された特定のアップリンク位置を採用することができる。また、光受信部における電気信号の変換回路が、光信号に対して高い追従性能を有している場合や、通信制御部がアップリンク光の終了時点(受信完了時点)を正確に認識できる場合には、アップリンク光の終了時点をt1とし、それよりごく短い時間(例えば、アップリンク位置のサンプリング周期と同等の時間)だけ前の時点をt2とすることによって、最後に取得されたアップリンク位置をそのままダウンリンク情報に含めるアップリンク位置として採用することができる。
(9) 前記通信制御部は、前記最終フレームの先頭側を基準として採用されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含めることができる。
(10) この場合、前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最初からN1番目以降(但し、N1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
アップリンク情報を構成するフレームのヘッダ部には、そのフレームのデータ長に関する記述がなされており、当該フレームの受信を開始した時点でフレームの受信完了時点を予測することが可能である。従って、予測された最終フレームの受信完了時点を考慮して最初から所定番目(N1番目)以降のアップリンク位置を採用することで、最終フレームの受信完了時点に近い位置で取得されたアップリンク位置をダウンリンクに含めることが可能となる。
(11) 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最初からN2番目以前(但し、N2:(N2≧N1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
上記(10)の場合、最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、ダウンリンク情報に含め得るアップリンク位置の、前側の境界値が規定されているだけであるので、アップリンク光の終了時点を過ぎてから取得されたアップリンク位置を採用してしまう可能性がある。そのため、本発明では、後側の境界値となる「N2」を予め設定することによって、より確実に実際のアップリンク情報の送信位置をアップリンク位置としてダウンリンク情報に含めることができる。
(12) 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信開始時点からT1時間以降(但し、T1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
この場合も、前記と同様に、予測された最終フレームの受信完了時点を考慮して受信開始時点から所定の時間(T1)以降のアップリンク位置を採用することによって、最終フレームの受信完了時点に近い位置で取得されたアップリンク位置をダウンリンク情報に含めることが可能となる。
(13) 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置は、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信開始時点よりもT2時間後以前(但し、T:(T2≧T1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされていてもよい。
上記(12)の場合、最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、ダウンリンク情報に含め得るアップリンク位置の、前側の境界値が規定されているだけであるので、アップリンク光の終了時点を過ぎてから取得されたアップリンク位置を採用してしまう可能性がある。そのため、本発明では、後側の境界値となる「T2」を予め設定することによって、より確実に実際のアップリンク情報の送信位置をアップリンク位置としてダウンリンク情報に含めることができる。
本発明の光ビーコンによれば、正確な安全運転支援情報を車載機に提供することができる、DSSS対応の光ビーコンを提供することができる。
路車間通信システムの概略構成を示すブロック図である。 光ビーコンの設置部分を上から見た道路の平面図である。 光ビーコンの通信領域を示す側面図である。 従来の通信手順を示すシーケンス図である。 新旧の光ビーコンと車載機の混在状態を示す図である。 新光ビーコンの上位互換制御を示すフローチャートである。 アップリンク情報のフレーム構成図である。 ダウンリンク情報のフレーム構成図である。 送信中断期間を設けない場合の路車間通信を示すシーケンス図である。 送信中断期間を設ける場合の路車間通信を示すシーケンス図である。 安全運転支援システムにおける提供情報の一例を示す説明図である。 第1実施形態に係る新光ビーコンの回路構成図である。 位置検出素子を用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。 第1実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。 第1実施形態の通信手順のタイミング例を示すタイムチャートである。 アップリンク位置の取得方法を説明するためのタイムチャートである。 メインCPUによりアップリンク位置の取得を行う処理の一例を示すフローチャートである。 通信処理部によりアップリンク位置の取得を行う場合の処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る新光ビーコンの回路構成図である。 分割PDを用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。 第3実施形態に係る新光ビーコンの回路構成図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20に搭載された車載機2とを備えている。
交通管制システム1は、交通管制室等に設けられた中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とを備え、光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で無線通信を行うことができる。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
ビーコン制御機7は、インフラ側の通信部6に接続されており、通信部6は電話回線等の通信回線5によって中央装置3と接続されている。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等より構成することができる。
本実施形態の光ビーコン4は、全二重通信方式を採用している。すなわち、後述のビーコン制御機7は、光送信部10に対するダウンリンク方向の送信制御と、光受信部11に対するアップリンク方向の受信制御とを同時に行うことができる。
これに対して、本実施形態の車載機2は、半二重通信方式を採用している。すなわち、後述の車載制御機21は、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御とを同時には行わない。
なお、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御は同時に行われていても良いが、実態として、どちらかのみしか機能しないように構成されているものとする。すなわち、アップリンクの送信中にはダウンリンクを受信することが困難な構成である。
〔光ビーコンの構成〕
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向(下り)の光信号)をダウンリンク領域DA(図3参照)に送出する発光素子を有し、光受信部11は、アップリンク領域UA(図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向(上り)の光信号)を受光する受光素子を有する。
光送信部10は、ビーコン制御機7から送出されるダウンリンク情報(下りフレーム)を所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をダウンリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子とから構成されている。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
光受信部11は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsとする。
図2は、本実施形態の光ビーコン4の設置部分を上から見た道路Rの平面図である。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
ビーコン制御機7は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、通信部6(図1参照)を介した中央装置3との双方向通信と、車載機2との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
ビーコン制御機7は、道路脇に立設した支柱13に設置されている。また、各ビーコンヘッド8は、支柱13から道路R側に水平に架設した架設バー14に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
〔光ビーコンの通信領域〕
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
このうち、ダウンリンク領域DAは、ビーコンヘッド8が送出するダウンリンク方向の光信号を、車載機2の投受光器である車載ヘッド22にて受信できる領域であり、ビーコンヘッド8の投受光位置d、地上1m高さの位置a及びcを頂点とする△dacで示された範囲である。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
従って、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致し、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)に重複している。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは、通信領域A全体の同方向長さと一致している。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
例えば、一般道向けの旧光ビーコンの場合、ダウンリンク領域DAの下流端aが、ビーコンヘッド8の直下の1.0〜1.3m上流側に位置し、ダウンリンク領域DAの下流端aからアップリンク領域UAの下流端bまでの距離が2.1mと規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
これに対して、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、ダウンリンク領域DAの下流端aをビーコン直下まで延ばし上流端cを上記規定よりも上流側に延ばすことにより、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の範囲を、高速アップリンク受信に非対応の旧光ビーコンの場合よりも広く設定している。
具体的な数値で例示すると、ビーコンヘッド8の真下を0m(原点)として、そこから上流方向を正の方向とした場合、本実施形態のダウンリンク領域DAの範囲(図3の位置aから位置cまでの範囲)は、0.70〜6.04mとなっている。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
また、本実施形態のアップリンク領域UAの範囲(図3の位置bから位置cまでの範囲)は、3.04〜6.04mとなっており、上流端cの位置が従来よりも1.04mだけ上流側に拡張されている。
このようにアップリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
〔車載機の構成〕
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
光送信部23は、車載制御機21から出力されるアップリンク情報(上りフレーム)を所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をアップリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子とから構成されている。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsとする。
光受信部24は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
車載制御機21は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、光ビーコン4との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
更に、車載制御機21は、アップリンク情報として、自車両の走行データ(例えば、通過位置と通過時刻を時系列に並べた走行軌跡データであるプローブ情報など)を生成して、光送信部23にアップリンク送信させる機能も有する。
この場合、アップリンク情報の伝送速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
なお、本実施形態の車載制御機21は、上記CPUを含む本体制御部とは別に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )等を含む簡易制御部を設けた回路構成であってもよい。
この簡易制御部は、例えば、光受信部24が何らかの下りフレームを受信した場合に、自機の車両20の識別情報(以下、「車両ID」という。)を含む低速の上りフレームを生成する機能を有する。
〔用語の定義等〕
ここで、本明細書で用いる用語の定義を行う。
下りフレームDL1:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え前に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信するダウンリンク情報のフレームのことをいう。
上りフレームUL1:下りフレームDL1の受信に応じて車載機2が送信するアップリンク情報のフレームのうち、伝送速度が低速のものをいう。「低速フレームUL1」ともいう。
上りフレームUL2:下りフレームDL1の受信に応じて車載機2が送信するアップリンク情報のフレーム(一連のフレーム群の場合を含む。)のうち、伝送速度が高速のものをいう。「高速フレームUL2」ともいう。
車載機2が高速フレームUL2の送信に対応する新車載機2A(図5参照)の場合は、上りフレームとして、低速フレームUL1と高速フレームUL2の双方を送信でき、車載機2が高速フレームUL2の送信に非対応の旧車載機2B(図5参照)の場合には、上りフレームとして低速フレームUL1しか送信できない。
下りフレームDL2:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え後に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信するダウンリンク情報のフレーム(一連のフレーム群の場合を含む。)のことをいう。
ID格納フレーム:車載機2が、自車両の車両IDの値を所定の格納領域(例えば、アップリンク情報のヘッダ部の「車両ID」(図7参照))に記して生成した上りフレームUL1,UL2のことをいう。
折り返しフレーム:光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、そのフレームに含まれる車両IDと同じ値を所定の格納領域に記して生成した下りフレームDL2のことをいう。
ID折り返し:光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、折り返しフレームを生成してダウンリンク送信する処理のことをいう。
なお、光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、折り返しフレームの連送を行わずにダウンリンク切り替えを行う場合もある(例えば、図14に示す2回目のダウンリンク切り替え参照)。
車両IDのループバック:車載機2がID格納フレームを生成し、生成したID格納フレームをアップリンク送信し、光ビーコン4がID折り返しを行うことにより、車両IDを送信元の車載機2にループバックさせる一連の処理のことをいう。
ダウンリンク切り替え:光ビーコン4が繰り返して送信する下りフレームDL1,DL2に含める実質的なデータ内容を、当該切り替えの前後で変化させることをいう。
本実施形態では、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2には、折り返しフレームと、車両IDに対応する車両向けの提供情報を含む下りフレームDL2とが含まれる。この提供情報には、例えば、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの情報を含めることができる。
これらの情報は、高速フレームUL2の送信に非対応の旧車載機に対しても提供されるものである。
もっとも、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、高速の上りフレームUL2の送信に対応する新車載機を搭載した車両向けの提供情報として、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路を示す充電ステーション情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供することもできる(図9及び図10参照)。
上りフレームUL1及び下りフレームDL1,DL2における車両IDのデータ格納領域は、どの領域を使用してもよいが、例えば「ヘッダ部」や「車線通知情報」を使用することができる。
下りフレームDL1,DL2の車線通知情報には、車線R1〜R4(図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与できる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載機2は、格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることで、自車両がどの車線R1〜R4を走行中かを判定できる。
〔上りフレームのフレーム構成〕
図7は、アップリンク情報(上りフレーム)のフレーム構成図である。
図7に示すように、上りフレームUL1は、先頭から順に、受信側と同期を取るための同期用の伝送制御部(以下、「同期部」という。)、ヘッダ部、実データ部及びCRC(Cyclic Redundancy Check )用の伝送制御部(以下、「CRC部」という。)を有する。
図7に示すように、上りフレームUL1の場合は、同期部に1バイトが割り当てられ、ヘッダ部に10バイトが割り当てられ、実データ部に最大59バイトが割り当てられ、CRC部には4バイト(1バイトのアイドル部+2バイトのCRC+1バイトの最終同期部)が割り当てられている。従って、上りフレームUL1のデータサイズは最大で74バイトである。上りフレームUL1の先頭の同期部と最終同期部とには、例えば0x7E(=01111110)のデータ列が納められる
アップリンク情報のヘッダ部には、「サブシステムキー情報数」、「車両ID」、「車載機種別」、「情報種別」及び「最終フレームフラグ」などの格納領域が含まれる。
「サブシステムキー情報数」(以下、「情報数」と略記することがある。)には、実データ部の先頭から順に格納する「サブシステムキー情報」の数が格納される。
すなわち、情報数がゼロの場合は、実データ部に「サブシステムキー情報」が含まれず、情報数が「1」の場合は、実データ部に1つの「サブシステムキー情報」が含まれ、情報数が「n」の場合は、実データ部にn個の「サブシステムキー情報」が含まれる。
上記「サブシステムキー情報」は、光ビーコン4が、公共車両優先システム(PTPS)、車両運行管理システム(MOCS)、現場急行支援システム(FAST)及び安全運転支援システム(DSSS)などのダウンリンク情報の付加情報を選択するためのキー情報である。
車載機2は、自車両がUTMS規格のどのシステムに対応しているかに応じて、「サブシステムキー情報数」と「サブシステムキー情報」の内容を決定する。
例えば、車載機2は、自車両がUTMS規格の1つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「1」に設定し、当該1つのシステムの規格に従った内容の「サブシステムキー情報(1)」を、実データ部に格納する。
また、車載機2は、自車両がUTMS規格の2つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「2」に設定し、当該2つのシステムの規格にそれぞれ従った内容の「サブシステムキー情報(1)」及び「サブシステムキー情報(2)」を、実データ部に格納する。
なお、「サブシステムキー情報」のデータ形式は、各々のシステムの規格によって相違するので詳細は割愛するが、例えば、安全運転支援システム(DSSS)の場合には、ブレーキ状態、ターンシグナル状態、ハザード状態、車速、進行方向、加減速度及びアクセルペダル位置などの情報が含まれる。
一方、光ビーコン4は、アップリンク情報に含まれる「サブシステムキー情報」の種別により、車載機2が、UTMS規格に含まれるどのシステムに対応するかを判断し、当該システムの規格に応じた提供情報を、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2に格納してダウンリンク送信する。なお、この提供情報は、サブシステムキー情報の対価として提供されるという意味で、「対価サービス情報」ということがある。
このように、「サブシステムキー情報」は、ダウンリンク切り替え後の提供情報の種類を新旧の光ビーコン4が決定するのに使用される。
「車両ID」は、車載機2が自身で生成した、或いは、光ビーコン4が自動生成した車両IDの値を格納する領域であり、車載機2は、アップリンク送信時に記憶している車両IDの値を、上りフレームUL1のヘッダ部の車両IDに格納する。
「車載機種別」は、車載機2の種別を格納する領域であり、「情報種別」は、アップリンク情報の種別を格納する領域であり、本実施形態では、これらの領域の値により、アップリンク送信主体の新旧と、アップリンク情報が高速か低速かを表す。
具体的には、本実施形態の車載機2(新車載機2A)は、低速の上りフレームUL1を送信する場合は、「車載機種別」に新車載機2Aを示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に低速であることを示す所定値(例えば、「1」)を格納する。
また、新車載機2Aは、高速の上りフレームUL2を送信する場合は、「車載機種別」に新車載機2Aを示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に高速であることを示す所定値(例えば、「4」)を格納する。
従って、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン4A)は、受信した上りフレームの車載機種別の値が「6」でかつ情報種別の値が「1」の場合は、新車載機2Aからの低速フレームUL1であると判定でき、受信した上りフレームの車載機種別の値が「6」でかつ情報種別の値が「4」の場合は、新車載機2Aからの高速フレームUL2であると判定することができる。
なお、旧車載機2Bの場合は、車載機種別の値を「6」以外に設定するので、新光ビーコン4Aは、「車載機種別」の値が「6」以外の上りフレームを受信した場合は、旧車載機2Bからの低速フレームUL1であると判定することができる。
また、本実施形態の新光ビーコン4Aは、新車載機2Aからの低速フレームUL1の受信を完了すると、ヘッダ部に含まれる車両IDの値を車線通知情報に格納した折り返しフレームを生成し、このフレームの連続送信を伴うダウンリンク切り替えを行う。
更に、新光ビーコン4Aは、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信を完了した場合もダウンリンク切り替えを行う。この場合は、折り返しフレームの連続送信を更に行ってもよいし、その連続送信を行わないことにしてもよい。
このように、新車載機2Aからの低速フレームUL1の受信完了は、新光ビーコン4Aが折り返しフレームの連続送信を伴うダウンリンク切り替えを行うための条件となっている。また、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信完了も、新光ビーコン4Aが折り返しフレームの連続送信を伴う或いはそれを伴わないダウンリンク切り替えを行うための条件となっている。
なお、新光ビーコン4Aの通信相手が旧車載機2Bの場合には、高速フレームUL2を受信することがないので、上記高速フレームUL2の受信完了に応じたダウンリンク切り替えは当然に行われない。
「最終フレームフラグ」は、車載機2(新旧いずれでもよい。)が複数の上りフレームUL2よりなる上りフレーム群を送信する場合に、その上りフレーム群のどれが最終フレームであるかを示すための格納領域である。
すなわち、車載機2は、上りフレーム群を構成する複数の上りフレームULのうち、最終フレームの「最終フレームフラグ」にのみ所定のフラグ値(例えば、「1」)を格納し、それ以外の上りフレームULにはそのフラグ値を格納しない。
本実施形態においては、新旧の車載機2が送信する低速フレームUL1は最大74バイトの単一の上りフレームで構成される。また、新車載機2Aが送信する高速フレームUL2は、低速フレームUL1よりもデータサイズが大きい(74バイトを越える)単一の上りフレームで構成されるか、又は複数の上りフレーム(上りフレーム群)で構成される。後者の場合、複数の上りフレームUL2の合計データサイズは、必ずしも低速フレームUL1の最大データサイズよりも大きくなくてもよく、これと同一又はこれより小さくてもよい。
〔下りフレームのフレーム構成〕
図8は、ダウンリンク情報(下りフレーム)のフレーム構成図である。
図8に示すように、下りフレームDL1,DL2のフレーム構成も、上りフレームUL1のフレーム構成(図7)の場合と同様に、先頭から順に、同期部、ヘッダ部、実データ部及びCRC部とからなる。
下りフレームDL1,DL2の場合は、同期部に1バイトが割り当てられ、ヘッダ部に5バイトが割り当てられ、実データ部に123バイトが割り当てられ、CRC部に4バイト(1バイトのアイドル部+2バイトのCRC+1バイトの最終同期部)が割り当てられている。
下りフレームDL1,DL2の実データ部には、車両20向けの提供情報として、図8に示す各種情報のうちのいずれか1つが格納される。
具体的には、光ビーコン4(新旧いずれでもよい。)は、ダウンリンク切り替え前の下りフレームDL1の実データ部には、「車線通知情報」を含める。
また、光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の実データ部には、その下りフレームDL2が折り返しフレームである場合を除き、車載機2からアップリンクされたサブシステムキー情報に対応する提供情報を選択し、選択した提供情報を実データ部に含める。
なお、光ビーコン4は、提供情報が実データ部の容量(123バイト)に収まる場合は、1つの下りフレームDL2で提供情報を送信するが、収まらない場合は、複数の下りフレームDL2にて提供情報を送信することもある。
図8に示すように「車線通知情報」の格納領域には、「車両ID」、「車線番号」及び「ビーコン識別フラグ」などが含まれる。
光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え前の下りフレームDL1の場合は、「車線通知情報」の「車両ID」に値を格納せず、車載機2からID格納フレームを受信すると、そのヘッダ部に含まれる車両IDの値を、「車線通知情報」の「車両ID」に格納して折り返しフレームを生成する。光ビーコン4は、アップリンク情報を取得したビーコンヘッド8に対応する車線番号値を「車線番号」に記す。
「ビーコン識別フラグ」は、自機が高速アップリンク受信に対応するか否かを示す格納領域である。
すなわち、光ビーコン4は、自機が高速アップリンク受信に対応する「新光ビーコン4Aの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」に所定のフラグ値(例えば、「01」)を格納し、自機が高速アップリンク受信に対応しない旧光ビーコン4Bの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」にそれ以外の値(例えば、「00」)を格納する。
従って、高速アップリンク送信に対応する本実施形態の車載機2(新車載機2A)は、下りフレームDL1,DL2の「車線通知情報」に含まれる「ビーコン識別フラグ」の値により、通信相手の光ビーコン4が、新光ビーコン4Aであるか旧光ビーコン4Bであるかを判定することができる。
ダウンリンク切り替え後に光ビーコン4の光送信部10から繰り返し送信される下りフレーム群は、1〜80個の下りフレームDL2で構成され、その繰り返し送信の送信可能時間は250msである。
また、下りフレームDL2は、ダウンリンク方向に送出すべきデータ量に応じた任意数のフレームで構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。また、下りフレームDL2の送信周期は約1msである。
従って、例えば、3つの下りフレームDL2で1つの有意なデータを構成する場合は、その送信周期が約3msになるので、そのデータは所定の送信可能時間(250ms)内に約80回繰り返して送信されることになる。
もっとも、本実施形態のように、ダウンリンク領域DAをビーコンヘッド8の直下付近まで拡大すれば(図3参照)、繰り返し送信する下りフレームDL2の個数を最大200個程度まで増加させることができる。
なお、後述の図10の路車間通信に示すように、光ビーコン4がID格納フレームに応じてダウンリンク切り替えを行う場合には、後続フレームのアップリンク送信の時間とダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の時間が重複し得るので、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の送信可能期間は(250+α)ms(例えば、350ms)とすることが好ましい。
〔従来の路車間通信〕
図4は、通信領域Aで行われる従来の通信手順を示すシーケンス図である。
ここで、図4において、白丸を付したフレームは、車両IDを含まないフレーム(車両IDなしの車線通知情報を有するフレーム)であることを示し、黒丸を付したフレームは、路車間のID折り返しに利用するフレーム(上りの「ID格納フレーム」又は下りの「折り返しフレーム」)であることを示す。図9〜図11においても同様である。
また、以下の路車間通信の説明では、動作主体が光ビーコン4と車載機2であるとして説明するが、実際の通信制御は、光ビーコン4のビーコン制御機(通信制御部)7と、車載機2の車載制御機(通信制御部)21が実行する。この点も、図9〜図11の路車間通信においても同様である。
図4に示すように、光ビーコン4(図4の場合は旧光ビーコン4B)は、車線R1〜R4ごとに設けられたビーコンヘッド8から、下りフレームDL1を所定の送信周期で送信し続けている。この段階では、車線通知情報に車両IDが格納されていない。
車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2(図4の場合は旧車載機2B)が車線通知情報(車両ID無し)を含む下りフレームDL1或いはその他の下りフレームDL1を受信し、車両20が光ビーコン4の通信領域A内に入ったことを察知する。
この際、車載機2は、ヘッダ部に車両IDを格納した低速の上りフレームUL1(図4のID格納フレームU1)を生成し、自機の通信をいったん受信から送信に切り替えて、生成した低速の上りフレームUL1をアップリンク送信し、その後、自機の通信を送信から受信に戻す。
なお、旅行時間情報などの光ビーコン4に提供すべき情報がある場合には、ID格納フレームU1の実データ部にその情報が格納される。
受信フレームのCRCチェック等を経てID格納フレームU1が光ビーコン4において正規に受信されると、光ビーコン4は、遅くとも10m秒以内でダウンリンク切り替えを行ったあと、下りフレームDL2の繰り返し送信を開始する。
ダウンリンク切り替えの後に繰り返し送信させる複数の下りフレームDL2は、先頭部分で連送される複数の折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)と、その後に繰り返し送信される所定の提供情報を含む下りフレームDL2とからなる。
この下りフレームDL2の繰り返し送信は、前記した所定時間内において可能な限り繰り返される。
また、図4に示すように、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、提供情報の送信期間中においてダウンリンク情報を構成する一連の複数の下りフレームDL2(例えば5個の下りフレームDL2)の1つであり、従来は、一連の複数の下りフレームDL2の先頭にのみ含まれて繰り返し(図4の例では5フレームごと)送信される。
なお、ダウンリンク情報を構成する一連の下りフレームDL2は最大で80個まで格納できるため、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、最も少ない頻度の場合には80フレームに1つの割合で格納されることとなる。
車載機2は、光ビーコン4から複数の下りフレームDL2を受信し、その複数の下りフレームDL2の中で、自車両の車両IDが記された車線通知情報を含むものがあるか否かを判定する。
車載機2は、その判定結果が肯定的である場合に、自車両の車両IDのループバックが成功したことを確認し、この時点で自機の通信を受信のままに維持する。
逆に、車載機2は、その判定結果が否定的である間は、自車両の車両IDのループバックが成功していないと判断し、自機の通信を受信から送信に切り替えて、上りフレームUL1を再送する。この場合、車載機2は、例えば、先に送信した上りフレームU1の送信後所定時間(例えば30ms)後に、再び上りフレームUL1を送信する。車載機2は、この再送の動作を車両IDのループバックが成功するまで繰り返す。
〔混在状況における問題点〕
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は、新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
これに対して、旧光ビーコン4Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク受信のみを行う光ビーコン、すなわち、高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク受信に非対応の光ビーコンである。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
上述の用語の定義で記載した通り、図5の「DL1」は、ダウンリンク切り替え前に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示し、図5の「UL1」は、下りフレームDL1の受信を契機として、新旧の車載機2A,2Bが送信可能な低速フレームを示し、図5の「UL2」は、新車載機2Aのみが送信可能な高速フレームを示している。
また、図5の「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示している。
ここで、新光ビーコン4Aと新車載機2Aが路車間通信する場合を想定する。そして、光ビーコン4の新旧タイプを判別不能な場合は、新車載機2Aは、上りフレームを確実に受信して貰うために低速でアップリンク送信を行うとする。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
このように、新車載機2Aが、新光ビーコン4Aのダウンリンク領域DAを通過する間に新光ビーコン4Aと通信していることを認識できなければ、高速のアップリンク送信が可能である筈の新車載機2Aが、新光ビーコン4Aに対しても低速でアップリンク送信を行ってしまい、アップリンク速度の高速化が実現できなくなる。
そこで、本実施形態では、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報(例えば、図8の「ビーコン識別フラグ」)を、ビーコン制御機7が下りフレームDL1,DL2に含めることができる。
具体的には、前述の通り、光送信部10にダウンリンク送信させる下りフレームDL1,DL2の「車線通知情報」(図8参照)(「ヘッダ部」でもよい。)に、光ビーコン4の新旧タイプを示すフラグフィールドを予め定義しておく。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、繰り返し送信するすべての下りフレームDL1,DL2又は所定周期ごとの下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、その下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオフにする。
このため、新車載機2Aは、受信した下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドがオンである場合には、通信相手が新光ビーコン4Aであると判定でき、オフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、通信相手が旧光ビーコン4Bであると判定できる。
もっとも、上りフレーム群に必ず低速フレームUL1が含まれておれば、通信相手の光ビーコン4の新旧タイプを判定しなくても、両タイプの光ビーコン4との通信が可能である。
その理由は、低速フレームUL1を利用すれば新旧双方の光ビーコン4A,4Bと従来通りの通信ができるし、上りフレーム群の他のフレームを一律に高速フレームUL2としても、旧光ビーコン4Bがそれを受信できないだけで、特に問題はないからである。
本実施形態では、新車載機2Aは、光ビーコン4の新旧判定を行わないタイプであると仮定するが、新車載機2Aは、下りフレームDL1のフラグフィールドに基づいて光ビーコン4の新旧判定を行った結果、通信相手が新光ビーコン4Aであると判明した場合に限り、高速フレームUL2を送信するものであってもよい。
〔新光ビーコンの上位互換制御〕
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオンに設定した下りフレームDL1を所定周期で繰り返しダウンリンク送信することにより(図6のステップST1)、自機が新光ビーコン4Aであることを外部に通知している。
この状態で、ビーコン制御機7は、上りフレームUL1を受信したか否かを判定し(図6のステップST2)、その受信を検出するまで、ステップST1のダウンリンク送信を継続する。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、256kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(図6のステップST3)。
このステップST3の判定は、例えば、光受信部11で受信された上りフレームUL1の伝送速度が、高速であったか低速であったかによって行うことができる。この場合、受信した上りフレームUL1が高速であれば、送信主体が新車載機2Aであると判定でき、低速であれば、送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規約を採用してもよい。
具体的には、光送信部23がアップリンク送信する上りフレームUL1のヘッダ部に、車載機2の新旧タイプを示すフラグフィールド(例えば、図7の「車載機種別」)を予め定義しておく。
そして、新車載機2Aの車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合は、高速で送信する上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合は、上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
このため、かかる規約を採用すれば、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1のフラグフィールドがオンである場合には、その送信主体が新車載機2Aであると判定でき、上りフレームUL1のフラグフィールドがオフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、その送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
ステップST3の判定結果が肯定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が新車載機2Aの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に新車載機用のダウンリンク送信を行う(図6のステップST4)。
新車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報に加え、信号情報や充電ステーション情報などの新車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2を、繰り返し送信することによって行われる。
ステップST3の判定結果が否定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が旧車載機2Bの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に旧車載機用のダウンリンク送信を行う(図6のステップST5)。
この旧車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2だけを、繰り返し送信することによって行われる。
なお、前述の通り、ダウンリンク切り替え後に行われるステップST4,ST5の下りフレームDL2のダウンリンク送信は、ダウンリンク切り替え時点から所定時間(例えば、250ms)が経過するまで行われる。
〔送信中断期間を設けない場合の路車間通信〕
図9は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けずに上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2AがID確認を失敗する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図9において、U0〜U3は、下りフレームDL1を検出した新車載機2Aがアップリンク送信する、複数の上りフレーム(上りフレーム群)UL1,UL2を示している。
図9では、上りフレーム群のフレーム数が4フレームになっているが、そのフレーム数は4つに限定されるものではなく、例えば、高速フレームUL2が3つ以上送信される場合もあるし、比較的長いデータ長である高速フレームUL2が1つだけ送信される場合もあり得る。
また、ハッチングを付していない上りフレームU0は、伝送速度が低速(本実施形態では64kbps)の「低速フレーム」であることを示し、ハッチングを付した上りフレームU1〜U3は、伝送速度が高速(本実施形態では256kbps)の「高速フレーム」であることを示している。
なお、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の図示上の区別については、図10の路車間通信においても同様である。
プローブ情報などの大容量のデータをアップリンク送信する場合には、低速フレームU0にデータを格納しきれないことが多い。そこで、図9の例では、新車載機2Aが合計3つの高速フレームU1〜U3を低速フレームU0の後に続けて送信している。
具体的には、新車載機2Aは、ダウンリンク領域DAにおいて下りフレームDL1を受信すると、低速フレームU0を即座に低速でアップリンク送信し、それに続けて高速フレームU1〜U3をアップリンク送信する。
なお、本実施形態では、新車載機2Aが通信相手の新旧を判定しない場合を想定しているので、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の連続送信は、新車載機2Aの通信相手が新光ビーコン4Aか旧光ビーコン4Bかに拘わらず実行される。
新車載機2Aの通信相手の光ビーコン4は、上りフレーム群に含まれる低速フレームU0の受信完了を契機として、そのヘッダ部から車両ID値を抽出し、その値を車線通知情報に格納した折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
すなわち、光ビーコン4が新光ビーコン4Aの場合は、低速フレームU0の「車載機種別」の値が「6」でかつ「情報種別」の値が「1」であることを検出すると、折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
また、光ビーコン4が旧光ビーコン4Bの場合は、上記のような種別判定を行うことができないので、低速フレームU0の受信が完了すると、従来通り、即座に折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
このように、旧光ビーコン4Bは、大容量のアップリンク送信はされないという想定の下で、ID格納フレームである低速フレームU0を受信すると、即座に折り返しフレームを連送してダウンリンク切り替えを出来るだけ素早く行う運用になっており、新光ビーコン4Aも、旧車載機2Bとの互換性を維持するため、低速フレームU0の受信完了を契機としてダウンリンク切り替えを即座に行うようになっている。
従って、図9に示すように、高速フレームU1〜U3の送信期間(図9の例ではU3)によっては、その送信中に折り返しフレームが新車載機2Aに到達することがある。
この場合、新車載機2Aが半二重通信方式を採用している場合には、光受信部24に折り返しフレームが届いているにも拘わらず、新光ビーコン4Aが車両IDを認識済みであることを新車載機2Aが察知できない。
また、この場合、図9に破線で示すように、新車載機2Aは、ID格納フレームである低速フレームU0を含む大容量の上りフレーム群U0〜U3を再送信する。
この現象は、ダウンリンク情報に含めるべき車線通知情報以外の提供情報のデータ量が多いほど発生しやすくなる。
その理由は、提供情報のデータ量が多くなるほど、新光ビーコン4Aが繰り返し送信する下りフレームDL2に折り返しフレームを含める頻度が少なくなるため、新車載機2Aがループバックを認識できない確率が高くなるためである。
従って、ダウンリンク切り替え後に定期的(図9の例では5フレームごと)にダウンリンク送信される折り返しフレームについても、上りフレーム群U0〜U3の送信期間と重なるタイミングになって、新車載機2Aが受信できる可能性が低くなることがある。
この場合、上りフレーム群U0〜U3を再送信した後でも、新車載機2Aが折り返しフレームに気付かず、上りフレーム群U0〜U3のアップリンク送信(再送)が無駄に継続されることになる。
そして、新車載機2Aがアップリンク送信するフレーム数が多いほど、折り返しフレームに気付かないままアップリンク領域UAにおいて上りフレーム群U0〜U3の送信が継続される可能性が増すことになる。
従って、より多くのデータを新光ビーコン4Aにアップリンクしようとする新車載機2Aほど、限られた期間(例えば250ms)にしか送信されない下りフレームDL2の受信機会を大幅に喪失したり、極端な場合は、下りフレームDL2を受信できずに通信領域Aを通過したりするという、不合理な結果になるおそれがある。
〔送信中断期間を設ける場合の路車間通信〕
図10は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けて上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2Aが、ID確認を成功する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図10の例では、新車載機2Aが低速フレームU0の後に高速フレームU1〜U3を連送する場合に、最初の低速フレームU0と高速フレームU1の間に「送信中断期間」を設けることにより、折り返しフレームの不達に伴う上述の問題点を解決している。
この「送信中断期間」は、新車載機2Aが、自機が行う車両IDのループバックの成功を確認するとともに、高速フレームU1の送信の準備をするために必要な所定の時間長に設定される。
例えば、新光ビーコン4AがID格納フレームU0の受信から下りフレームDL2の送信開始までに5〜10m秒程度要すると仮定し、更に、新車載機2Aが自車の車両IDのループバックを確認し、高速フレームU1の送信を開始するのに必要な遅延時間を10m秒と仮定すれば、送信中断期間は概ね15〜20m秒の範囲で設定すればよい。
かかる送信中断期間を設けることにすれば、ダウンリンク切り替え後に連送される折り返しフレームが当該期間中に新車載機2Aの光受信部24に到達し、新車載機2Aは、受信した折り返しフレームに含まれる車両IDが自機のものと一致するか否かを判定することにより、車両IDのループバックの成功を確認できる。
上記の確認の後、新車載機2Aは、高速フレームU1〜U3を連送し、その連送が終了したあと、自機の通信を受信に切り替える。
このように、低速フレームU0と高速フレームU1の間に送信中断期間を設ける新車載機2Aによれば、送信中断期間に新光ビーコン4Aから受信した折り返しフレームにより、新光ビーコン4Aが車両IDを認識済みであることを確実に察知することができる。
このため、複数の上りフレームU0〜U3の送信を新車載機2Aが無駄に継続することによる、下りフレームDL2の受信機会の喪失を未然に防止することができる。
送信中断期間を設定する方法としては、車載制御機21が消灯状態を示す信号をその期間中に光送信部23に出力し続ける方法や、その期間の始期に光送信部23の発光素子への電源供給を停止して消灯させ、その期間の終期に発光素子への電源供給を再開して再発光させる方法がある。
また、光信号が光ビーコン4に到達できない程度に、発光素子のパワーを低下させる方法を採用してもよい。このようにすれば、発光素子の再発光時のパワーの復帰を迅速に行え、上りフレームU1の先頭側の同期部の乱れを抑制できるという利点がある。
一方、何らかの原因(車両20のフロントガラスの曇り等)で、ID格納フレームである低速フレームU0が新光ビーコン4Aに届かなかった場合には、光ビーコン4が折り返しフレームを返して来ないので、新車載機2Aはループバックの成功を確認できない。
そこで、新車載機2Aは、送信中断期間にループバックの成功を確認できなかった場合には、図10に破線で示すように、ID格納フレームである低速フレームU0のみを光送信部23に再送信させ、再送信した低速フレームU0の後を送信中断期間とする。
従って、再送信した低速フレームU0を新光ビーコン4Aが正規に受信できた場合は、上述と同様に、送信中断期間に新光ビーコン4Aから受信した折り返しフレームにより、車両IDのループバックの成功を確認することができる。
図10の例において、最初の上りフレームである低速フレームU0のデータサイズは、できるだけ小さいことが好ましい。例えば、多くても高速フレームU1〜U3のいずれか1つよりも小さいことが好ましい。
より好ましくは、例えば、低速フレームU0に格納するデータを、車両ID情報、ビーコン間の旅行時間や新車載機2Aが対応するサービス種別等の必要最小限とすることにより、低速フレームU0のデータサイズを、1回の通信で送信する複数の上りフレームU0〜U3の中で最小(例えば、実データ部で5バイト程度)に設定することが好ましい。
その理由は、再送信の可能性がある低速フレームU0のフレーム長が長ければ、その分だけ、低速フレームU0を再送信した場合の、アップリンク送信が可能な残り時間が少なくなり、アップリンク送信する予定の複数の高速フレームU1〜U3のうちの、例えば最後の高速フレームU3が新光ビーコン4Aに正常に到達しなくなる可能性があるからである。
なお、図10の例において、新車載機2Aが、下りフレームDL1や送信中断期間中に受信した下りフレームDL2に含まれるビーコン識別フラグに基づいて、通信相手が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aか非対応の旧光ビーコン4Bかを判定し、その判定結果に応じて、送信中断期間の後に高速フレームU1〜U3を送信するか否かを決定するようにしてもよい。
上記の通り、新光ビーコン4Aの通信相手としては、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の間に送信中断期間を設けてアップリンク送信する新車載機2A(図10)であることが好ましいが、送信中断期間を設けずに上りフレームU0〜U3を連続送信する新車載機2A(図9)であってもよい。
その理由は、高速フレームUL2のフレーム数や送信時間を少なめに設定すれば、特に送信中断期間を設けなくても、低速フレームUL1に対応してダウンリンクされた折り返しフレームを、新車載機2Aが適切に受信し得るからである。
〔DSSSにおける提供情報の内容とその問題点〕
図11は、安全運転支援システム(DSSS)における提供情報の一例を示す説明図である。
図11において、P0は、アップリンク領域UAの代表点を表す「基準位置」であり、P1は、アップリンク領域UAから下流側に離れた所にある所定物(例えば、交差点の停止線)の代表点を表す「所定位置」を示している。
また、図11において、h1は、光ビーコン4が赤外光として検出(従って、データ内容の抽出までは不要。)した上りフレームUL1の送信位置(以下、「第1のアップリンク位置」ともいう。)を示し、h2は、光ビーコン4が赤外光として検出した上りフレームUL2の送信位置(以下、「第2のアップリンク位置」ともいう。)を示す。
h3は、車載機2が受信に成功した下りフレームDL2の受信開始位置(以下、「ダウンリンク位置」ともいう。)を示している。
更に、図11において、L0,Lh1,Lh2,Ln及びLは、それぞれ次の距離を表している。
L0 :基準位置P0から所定位置P1までの距離
Lh1:基準位置P0から第1のアップリンク位置h1までの距離
Lh2:基準位置P0から第2のアップリンク位置h2までの距離
Ln :第1のアップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの距離
L :ダウンリンク位置h3から所定位置P1までの実距離
DSSSでは、光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え後に繰り返し送信する複数の下りフレームDL2のうちの一部の実データ部に、「安全運転支援情報」を含める。
かかる「安全運転支援情報」には、車載機2が交差点の手前でドライバに制動を促すなどの安全運転の支援制御を行えるように、上記各位置P0,P1の座標を含む静的情報(固定値)である「道路線形情報」と、交差点の信号の予定秒数を表す動的情報である「信号情報」とを含めることになっている。
しかし、図11に示すように、安全運転支援情報を含む下りフレームDL2を車載機2が実際に取得するのは、ダウンリンク位置h3である。
このため、基準位置P0と所定位置P1だけを車載機2に提供しても、車載機2は、ダウンリンク位置h3への移動によって短縮した実距離Lを求めることができず、これでは、実際の車両20の現在位置から所定位置P1までの距離が不正確になり、安全運転支援を正しく行うことができない。
そこで、DSSSでは、固定値の道路線形情報だけでなく、車載機2との通信ごとに光ビーコン4が算出する動的情報として、次の「UL位置補正情報」と「DL送信フレーム数」を安全運転支援情報に含める。
「UL位置補正情報」
「UL位置補正情報」は、車載機2ごとの光量の個体差や通信タイミング(通信周期)などが原因で位置ずれが生じるアップリンク位置h1と、固定的な基準位置P0との差分を表す情報であり、図11の距離Lh1がこれに相当する。すなわち、「位置補正情報」は、基準位置P0を起点とした車両進行方向の距離値でアップリンク位置h1を表現したものである。
光ビーコン4は、上りフレームUL1を赤外光として検出すると、その光信号の送信位置を測定して位置補正情報Lh1を生成し、生成した位置補正情報Lh1を安全運転支援情報に含める。
「DL送信フレーム数」
光ビーコン4は、上りフレームUL1を受信すると即座(10m秒以下)にダウンリンク切り替えを行うので、通常は、アップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの移動距離Lnは比較的小さい。
しかし、車両20のワイパー動作による遮蔽等が発生した場合や、太陽光の直射などによって、車載機2が下りフレームDL2の受信に失敗する場合があり、この場合は、移動距離Lnが無視できない程度に大きくなる。
そこで、DSSSでは、車載機2側で移動距離Lnを算出して、実距離Lを補正できるようにするため、下りフレームDL2のダウンリンク送信の開始時点から積算した累積送信フレーム数である、「DL送信フレーム数」を安全運転支援情報に含める。
下りフレームUL2の1フレーム分の送信時間は、約1m秒である。従って、DL送信フレーム数をn、車両速度をVとすると、Ln=V×n×1m秒の算出式により、アップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの移動距離Lnを求めることができる。
上述のDSSSの通信規約では、旧車載機2Bの場合を想定して、上りフレームUL1が1つだけ送信されるということが暗黙の前提となっている。
この場合には、車載機2は、L=L0−Lh1−Lnの算出式により、実距離Lを正しく算出することができる。
これに対して、本実施形態のように、新車載機2Aが、低速フレームUL1の後に高速フレームUL2を送信する場合において、新光ビーコン4Aが、旧車載機2Bとの互換を担保するため、低速フレームUL1の受信を契機としたダウンリンク切り替えを行うが、高速フレームUL2ではダウンリンク切り替えを行わないとすると、「DL送信フレーム数」はダウンリンク切り替え時の上りフレームUL1が基準となっているのに対し、「位置補正情報」はダウンリンク切り替え時の上りフレームUL1が基準となっていないことから、「位置補正情報」と「DL送信フレーム数」との関係性が崩れてしまい、これらの情報を用いた実距離Lの算出を正確に行えなくなるという問題がある。
すなわち、図11の例において、「DL送信フレーム数」は、ダウンリンク切り替えを伴う上りフレームUL1の受信を契機として提供されるが、「位置補正情報」は、ダウンリンク切り替えとは無関係に逐次更新される。
このため、後から受信した高速フレームUL2により、新光ビーコン4Aが位置補正情報をLh1からLh2に更新してそれを新車載機2Aに提供すると、新車載機2Aは、L=L0−Lh2−Lnという誤った算出式によって実距離Lを算出することになり、実距離Lを正確に算出できなくなる。
そこで、本実施形態では、新光ビーコン4Aが、低速フレームUL1を受信したときだけでなく、高速フレームUL2を受信したときにも、ダウンリンク切り替えを行うこととし、「DL送信フレーム数」の基準を高速フレームUL2にするとともに、当該高速フレームUL2の送信位置についての位置補正情報Lh2を下りフレームDL2に含める。これにより、新車載機2Aが、新しい位置補正情報Lh2とDL送信フレーム数とを用いて正確な実距離L’(=L0−Lh2−Ln’)を算出し、DSSSを適切に運用できる。
また、大容量化のために高速フレームUL2の送信時間が長くなったりフレーム数が多くなったりすると、その送信期間中のどの位置をアップリンク位置h2として設定するかが問題となる。すなわち、アップリンク位置h2が適切に設定されていないと、その高速フレームUL2の送信時点と、ダウンリンク切り替え後のDL送信フレーム数の起点となる下りフレームDL2の送信時点との時間差が大きくなり、この時間差が実距離L’を求める上での誤差となる。従って、本実施形態では、高速フレームUL2の送信位置であるアップリンク位置h2を適切に取得することによって、より適切なDSSSの運用を可能にしている。
以下、上記の考え方を採用した、DSSSを適切に運用可能な新光ビーコン4Aの構成例を説明する。
〔第1実施形態〕
図14は、第1実施形態の通信手順を示すシーケンス図である。
図14に示すように、第1実施形態の通信手順では、新車載機2Aが送信中断期間の後に高速フレームU1〜U3を連送する場合において、高速フレームU1〜U3の受信完了によっても新光ビーコン4Aがダウンリンク切り替えを行うことにより、DSSSの運用に伴う上記の問題点を解決するようにしている。
図14において、低速フレームUL1を受信した新光ビーコン4Aは最初のダウンリンク切り替えを行い、折り返しフレームと所定の提供情報を含む下りフレームDL2を送信する。新車載機2Aは、送信中断期間中に下りフレームDL2を受信することによって車両IDのループバックの成功を確認すると、次に高速フレームUL2を送信する。新光ビーコン4Aは、高速フレームUL2の受信完了を確認すると、再度ダウンリンクの切り替えを行う。そして、DL送信フレーム数の起点を2回目のダウンリンク切り替え時点に対応させて再設定し、このDL送信フレーム数を下りフレームDL2の安全運転支援情報に含める。
図15は、第1実施形態の通信手順のタイミング例を示すタイムチャートである。図15に示す例においては、高速フレームUL2のフレーム数及び下りフレームDL2のフレーム数が図14に示すものよりも多く設定されており、それぞれ高速フレームUL2が16フレームとされ、下りフレームDL2が80フレームとされている。
そして、図15に示す例においても、新車載機2Aから送信された最初の低速フレームUL1が新光ビーコン4Aにより受信されると、新光ビーコン4Aはダウンリンクの切り替えを行い、下りフレームDL2の送信を開始する。一方、新車載機2Aは、ループバックの成功を確認した後に、高速フレームUL2の送信を開始する。新光ビーコン4Aは、全ての高速フレームUL2の受信を完了すると、2回目のダウンリンク切り替えを行い、再び下りフレームDL2を送信する。
次に、以上のような動作を行うことができる新光ビーコン4Aの具体的構成を詳細に説明する。
図12は、第1実施形態に係る新光ビーコン4Aの回路構成図である。
図12に示すように、第1実施形態の新光ビーコン4Aでは、光受信部11は、通信用の受光系(受光回路)である第1受光系26と、測定用の受光系(受光回路)である第2受光系27とを含む。
また、ビーコン制御機7は、通信処理部28と、位置CPU(位置処理部)29と、メインCPU(主処理部)30とを含む。
また、ビーコン制御機7は、通信処理部28及び位置CPU29が出力する「上りデータ」や「位置データ」を一時的に記憶するメモリ31も備えている。
第1受光系26は、図12の左側から順に、通信用の変換素子(第1の変換素子)32、増幅器33、フィルタ34及びコンパレータ35を有する。通信用の変換素子32は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換する受光素子(例えば、フォトダイオード(Photo Diode ):以下、「PD」ともいう。)よりなる。
増幅器33は、高速帯域(本実施形態では、256kbps)で動作する高速用増幅回路よりなる。増幅器33は、PD32にて変換された電気信号を高速帯域で動作して増幅し、増幅後の電気信号を後段のフィルタ34に出力する。
フィルタ34は、少なくとも高速帯域(本実施形態では、256kbps)の成分を抽出できるローパスフィルタよりなる。フィルタ34は、低速成分から高速成分までをカバーするバンドパスフィルタであってもよい。
フィルタ34は、増幅された電気信号から低速成分又は高速成分を抽出し、抽出した低速信号又は高速信号を後段のコンパレータ35出力する。
コンパレータ35は、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。コンパレータ35は、入力された低速信号又は高速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を後段の通信処理部28に出力する。
通信処理部28は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイス(PLD)からなり、コンパレータ35から入力されたビットデータのうち、先頭5バイトのアイドルパターンを用いて受信信号の伝送速度を判定し、判定した伝送速度にてビットデータをサンプリングし、上りフレームUL1,UL2に含まれる上りデータを再生する。そして、通信処理部28は、再生した上りデータを一時的にメモリ31に格納する。
第2受光系27は、図12の左側から順に、測定用の変換素子(第2の変換素子)36、増幅器37及びピークホールド回路38を有する。
測定用の変換素子36は、上りフレームUL1,UL2の受光面内の入力位置に応じた電気信号を出力する位置検出素子(Position Sensitive Detector:以下、「PSD」ともいう。)よりなる。なお、PSD36を用いたアップリンク位置h1,h2の測定原理ついては、図13を参照して後述する。
本実施形態のPSD36は、2次元PSDよりなり、受光面に入射されたスポット光の2次元座標の演算に必要となる4つの電流値を出力可能である。
PSD36の4つの出力端子から出力される電流値は、その後段の増幅器37にてそれぞれ増幅される。増幅器37が増幅した電気信号は、その後段のピークホールド回路38にそれぞれ入力される。ピークホールド回路(変換回路)38は、パルス波である増幅信号の最大振幅を所定時間だけ保持することによって直流成分の測定データを生成し、生成した測定データを後段の位置CPU29に送る。
位置CPU29は、各ピークホールド回路38から入力された測定データ(PSD36の各出力端子の電流値)を用いてアップリンク位置を測定する。具体的に、位置CPU29は、ピークホールド回路38から入力された測定データを所定の周期(例えば、0.3m秒)でサンプリングし、時系列で複数の位置データを生成する。そして、位置CPU29によって生成された複数の位置データは通信処理部28に読み込まれ、一時的にメモリ31に格納される。
なお、位置CPU29が出力する位置データは、PSD36の受光面上の座標(x,y)又は道路側の座標(X,Y)(図13参照)のいずれに基づくものであってもよい。本実施形態では、位置データは座標(x,y)に基づいている。この場合、メインCPU30にて、座標(x,y)を座標(X,Y)に変換する演算を行う必要がある。
メインCPU30は、メモリ31に格納された「上りデータ」と複数の「位置データ」とを読み出し、「上りデータ」の内容に応じて、複数の「位置データ」のなかから位置補正情報Lh1,Lh2の算出に用いる位置データを選択する。位置データを選択する方法については、図16及び図17を参照して後述する。
〔アップリンク位置の測定原理〕
図13は、位置検出素子(PSD)36を用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。
図13に示すように、道路側の座標(X,Y)は、道路Rの路面から所定高さH(例えば、H=1.0m)の平面内の2次元座標であり、X方向は道路Rの延長方向(車両進行方向)に沿い、Y方向は道路Rの幅方向に沿っている。
2次元のPSD36は、その受光面のx方向が道路側のX方向に対応し、その受光面のy方向が道路側のY方向に対応するように、ビーコンヘッド8の内部に配置されている。
2次元のPSD36では、出力端子x1,x2,y1,y2の電流値を、それぞれIx1,Ix2,Iy1,Iy2とすると、受光面に入射されたスポット光の入射位置の座標(x,y)を、次の関係式によって算出することができる。
2x/Lx={(Ix2+Iy1)-(Ix1+Iy2)}/(Ix1+Ix2+Iy1+Iy2)
2y/Ly={(Ix2+Iy2)-(Ix1+Iy1)}/(Ix1+Ix2+Iy1+Iy2)
なお、上記関係式において、Lxは受光面のx方向の長さであり、Lyは受光面のy方向の長さである。
そこで、位置CPU29は、光受信部24のピークホールド回路38から得られた測定データIx1,Ix2,Iy1,Iy2の値が所定の閾値を超えると、それらの値に上記関係式に代入して、スポット光の入射位置の座標(x,y)の値を算出する。本実施形態では、この座標値が位置データである。
一方、図13に示すように、アップリンク領域UA内の任意の位置(X,Y)でビーコンヘッド8に向けて送出された光信号は、レンズで集光されて、PSD36の受光面内のいずれかの1つの位置(x,y)にスポット光となって入射される。
従って、アップリンク領域UAで送信される上りの光信号(アップリンク光)の入射位置(x,y)は、道路側の送信位置(X,Y)と1対1で対応しており、入射位置(x,y)の値が判明すれば、幾何学的な線形関係に基づく座標変換により、光信号の送信位置(X,Y)(アップリンク位置h1,h2(図11参照)の道路側の座標値)を求めることができる。
〔メインCPU30によるアップリンク位置取得処理〕
図17は、メインCPU30によるアップリンク位置の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図17に示すように、メインCPU30は、通信処理部28から上りデータを取得したか否か(メモリ31から上りデータを読み込んだか否か)を判定し(ステップST11)、上りデータを取得した場合は、更に、位置CPU29から位置データを取得したか否か(メモリ31から位置データを読み込んだか否か)を判定する(ステップST12)。
ステップST12の判定結果が否定的である場合は、位置データを採用する必要がないので、メインCPU30は、ステップST13の処理を行わずに、所定の提供情報を格納した下りフレームDL2を生成する(ステップST14)。
ステップST12の判定結果が肯定的である場合は、メインCPU30は、位置CPU29によってサンプリングされた複数の位置データの中から、アップリンク位置として採用する位置データを決定する(ステップST13)。そして、メインCPU30は、採用された位置データの座標値(X,Y)を求めた上で、下りフレームDL2を生成する(ステップST14)。
ステップST13において、メインCPU30は、複数の位置データのなかから所定の条件を満たす位置データを選択し、アップリンク位置として採用する。具体的に、本実施形態では、位置データがアップリンク情報の最終フレームに基づいて取得されたものであることを選択の条件としている。例えば、アップリンク情報が16個の高速フレームUL2により構成されている場合には、16個目に受信された高速フレームUL2から取得された位置データをアップリンク位置に採用し、下りフレームDL2に含める。
複数の高速フレームUL2のうち、最終フレームに基づいて取得された位置データをアップリンク位置として採用することで、このアップリンク位置において高速フレームUL2が送信された時点と、高速フレームUL2によるダウンリンク切り替え後のDL送信フレーム数の起点となる下りフレームDL2の送信時点との時間差を可及的に小さくすることができる。そのため、このアップリンク位置を用いて算出した位置補正情報とDL送信フレーム数とによって、図11に示される実距離L’をより正確に算出することができる。また、最終フレームの中でも、その後半部分から取得されたアップリンク位置を選択することが、正確な実距離L’を求める上で好ましい。
以下、複数の位置データのなかからアップリンク位置として用いる位置データを選択する方法についていくつかの例を説明する。
〔第1の方法〕
図16は、アップリンク位置の選択方法を説明するためのタイムチャートである。
図16において、上りフレーム(高速フレーム)UL2は、合計16フレーム送信されるものとする。各フレームの先頭と末尾にはそれぞれ「7E」で示す同期部が設けられている。新光ビーコン4Aの通信処理部28は、各上りフレームUL2の先頭と末尾の同期部を検出するとともに、当該上りフレームUL2に格納された上りデータの抽出を行う。メインCPU30は、通信処理部28によって抽出された上りデータを読み込むことによって上りフレームUL2を受信したタイミング、特に、先頭と末尾の同期部を検出した時点を把握することができる。
一方、位置CPU29には、第2受光系27からPSD36の出力を増幅しかつピークホールドすることによって取得された測定データSが入力される。位置CPU29は、この測定データSを所定の周期でサンプリングし、複数の位置データを生成し取得する。図16に示す例では、位置CPU29は、所定のサンプリング周期taで逐次位置データD(i=1〜n)を取得している。
ここで、第2受光系27のピークホールド回路38によって直流成分に変換された電気信号は、図16の時間tueにおいてアップリンク光が終了した後でもピークホールド回路38の時定数分保持され、測定データSが生成される場合がある。このようにアップリンク光の終了後に出力された測定データSであっても、所定の閾値以上の出力があれば正規の位置データDが取得されることになる(例えば、図16における位置データDn−1、D参照)。しかしながら、このような位置データDn−1,Dは、現実のアップリンク光の送信位置を示すものではないため、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2に含めるアップリンク位置として採用するのは好ましくない。
本実施形態においては、アップリンク光の終了後に取得された位置データDn−1,Dをアップリンク位置として採用しないように、以下の方法が用いられている。
具体的には、メインCPU30は、位置CPU29によって取得された複数の位置データDのうち最後からn1番目以前で、かつn2番目以降(n1,n2は所定の定数、n2≧n1)に取得された位置データDをアップリンク位置として採用する。
n1は、アップリンク光の終了後に取得された位置データDn−1,Dを含まない数として設定される。例えば、図16の例では、最後から2番目までの位置データがアップリンク光の終了後に取得されているので、n1≧3を満たす数値が設定される。従って、選択され得る位置データはDn−2を含んでそれより前の位置データとなる。
また、n2は、例えば最終フレームUL2の前半に取得された位置データを含まない数値に設定される。このように、最後からn1〜n2番目の間に取得された位置データをアップリンク位置として採用することによって、最終フレームUL2の後半で、かつアップリンク光の終了前に取得された位置データを確実にアップリンク位置として採用することが可能となる。
なお、n1とn2とは、同一の値であってもよい。この場合、1つの位置データが選択されるので、これをそのままアップリンク位置として採用することができる。n1〜n2番目の範囲に含まれる位置データが複数ある場合には、例えば、複数の位置データの平均値をアップリンク位置として採用してもよい。
〔第2の方法〕
以上に説明した選択方法は、位置CPU29によって位置データが取得された順番に基づいてアップリンク位置として採用する位置データを選択しているが、以下に説明するように、位置データが取得された時間に基づいてアップリンク位置として採用する位置データを選択することもできる。
すなわち、メインCPU30は、図16に示すように、最終フレームUL2の受信完了時点tueよりもt1時間以上前で、かつt2時間前以降の間txに取得された位置データをアップリンク位置として採用することができる(t1,t2は所定の定数、t2≧t1)。
最終フレームUL2の受信完了時点tueは、同時期に通信処理部28から取得された上りデータによって把握することができる。ただし、メインCPU30が把握することができる最終フレームUL2の受信完了時点tueは、通信処理部28から得られた上りデータに基づくため、実際のアップリンク光の受信完了からは若干の遅延が生じる可能性がある。そのため、時間t1は、アップリンク光が終了してから取得された位置データ(例えば、Dn−1,D)をアップリンク位置として採用しない時間として設定される。
また、時間t2は、例えば最終フレームUL2の前半に取得された位置データを含まない時間として設定される。このように、受信完了時点tue前のt1〜t2時間の間txに取得された位置データをアップリンク位置として採用することによって、最終フレームUL2の後半で、かつアップリンク光の終了前に取得された位置データを確実にアップリンク位置として下りフレームDL2に含めることができる。
なお、t1とt2とは、同一の時間とするか、両者の時間差が極めて短くなる時間(少なくとも一つの位置データを間に含む時間)に設定されていてもよい。この場合、1つの位置データが選択されるので、これをそのままアップリンク位置として採用することができる。また、時間t1〜t2の間txに含まれる位置データが複数ある場合には、複数の位置データの平均値をアップリンク位置として採用してもよい。
〔第3の方法〕
上述の第1及び第2の方法は、いずれも最終フレームUL2について最後に取得された位置データや最終フレームUL2の受信完了時点などの、最終フレームUL2の末尾側を基準としてアップリンク位置として採用する位置データを選択する方法であったが、以下に説明するように、最終フレームの先頭側を基準としてアップリンク位置として採用する位置データを選択することも可能である。
具体的には、メインCPU30は、最終フレームUL2について取得された複数の位置データDのうち、最初からN1番目以降で、かつN2番目以前(N1,N2は所定の定数、N2≧N1)に取得された位置データをアップリンク位置として採用することができる。最終フレームUL2の受信開始時点tusは、通信処理部28から取得された「上りデータ」により把握することができる。また、最終フレームUL2のヘッダ部にはデータ長が記述されているので、このデータ長によって最終フレームUL2の受信完了時点を予測することができる。
N1は、最終フレームUL2の受信開始時点から予測された受信完了時点までの時間を考慮し、例えば、最終フレームUL2の前半に取得された位置データを含まない数値に設定される。N2は、予測された受信完了時点を考慮して、アップリンク光の終了後に取得された位置データDn−1,Dを含まず、可及的に受信完了時点に近い時点で取得された位置データが含まれる数値に設定される。このように、最初からN1〜N2番目の間に取得された位置データをアップリンク位置として採用することによって、確実に最終フレームUL2の後半で、かつアップリンク光の終了前に取得された位置データをアップリンク位置として採用することができる。
なお、N1とN2とは、同一の値であってもよい。この場合、1つの位置データが選択されるので、これをそのままアップリンク位置として採用することができる。N1〜N2番目の範囲に含まれる位置データが複数ある場合には、複数の位置データの平均値をアップリンク位置として採用することができる。
〔第4の方法〕
次に説明する第4の方法は、位置CPU29によって位置データが取得された時間に基づいてアップリンク位置を選択する方法である。メインCPU30は、図16に示されるように、最終フレームUL2の受信開始時点tusよりもT1時間以降で、かつT2時間後以前の間txに取得された位置データをアップリンク位置として採用することができる(T1,T2は所定の定数、T2≧T1)。T1は、最終フレームUL2の受信開始時点から予測された受信完了時点までの時間を考慮し、最終フレームUL2の前半に取得された位置データを含まない時間に設定される。T2は、予測された受信完了時点を考慮して、アップリンク光の終了後に取得された位置データDn−1,Dを含まず、可及的に受信完了時点に近い時点で取得された位置データが含まれる時間に設定される。このように、受信開始時点からT1〜T2時間の間txに取得された位置データをアップリンク位置として採用することによって、最終フレームUL2の後半で、かつアップリンク光の終了前に取得された位置データを確実にアップリンク位置として採用することができる。
なお、上述した第1及び第2の方法は、最後に取得された位置データや最終フレームUL2の受信完了時点を基準にして、アップリンク位置として採用する位置データを選択しているため、メインCPU30は、位置CPU29によって取得された位置データの全てを読み込み、最後の位置データや最終フレームUL2の受信完了時点から遡ってアップリンク位置として採用する位置データを求める必要がある。これに対して、第3及び第4の方法の場合、最終フレームUL2の先頭側を基準としてアップリンク位置として採用する位置データを選択しているので、メインCPU30は全ての位置データを読み込む必要がなくなり、処理負担を軽減することができる。
〔通信処理部28によるアップリンク位置取得処理〕
以上においては、メインCPU30がアップリンク位置として採用する位置データを選択していたが、通信処理部28が当該位置データを選択することも可能である。以下、この場合の詳細について説明する。
図18は、通信処理部28によりアップリンク位置の取得を行う場合の処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す例では、通信処理部28がアップリンク位置として採用する位置データを選択し、メモリ31に格納する。そして、メインCPU30が位置補正情報を求めるために、メモリ31からアップリンク位置を読み出すように構成されている。
図18において、通信処理部28は、複数の高速フレームUL2の先頭を検出したか否かを常に判定している(ステップST21)。具体的には、高速フレームUL2の先頭に付された5バイトのアイドルパターンを検出したか否か判定する。この判定が肯定的である場合、位置CPU29においても位置データのサンプリングが開始されるため、通信処理部28は、位置CPU29においてサンプリングされた位置データを逐次取得する(ステップST22)。
次いで、通信処理部28は、複数の高速フレームUL2における最終フレームUL2を検出したか否かを判定する(ステップST23)。具体的には、最終フレームUL2のヘッダ部には最終フレームであることを示す格納領域である「最終フレームフラグ」(図7参照)が設けられており、通信処理部28は、この最終フレームフラグがオンになっているか否かを検出する(ステップST23)。そして、この判定が否定的である場合には処理をステップST22に戻し、肯定的である場合には、最終フレームUL2の受信完了にあわせて位置CPU29からの位置データの取得を停止する(ステップST24)。
次いで、通信処理部28は、最後に取得した位置データをメモリ31に格納する(ステップST25)。通信処理部28は、第1受光系26によって抽出されたデジタルの受信信号(ビットデータ)から上りデータを再生するため、高速フレームUL2の受信状況を常に把握している。従って、通信処理部28は、最終フレームUL2の受信完了時点、すなわちアップリンク光の終了時点も正確に把握することができ、このアップリンク光が終了した後は位置CPU29から位置データを取得しないようになっている。
そのため、図16に示されるように、通信処理部28は、アップリンク光が終了した後にサンプリングされる位置データDn−1,Dは取得せず、アップリンク終了直前に生成された位置データDn−2を最後に取得し、これをメモリ31に格納する。メインCPU30は、メモリ31に格納された最後の位置データDn−2を読み出すことによって、位置補正情報を生成する。これにより、アップリンク位置におけるアップリンク情報UL2の送信時点と、DL送信フレーム数の起点となる下りフレームDL2の送信時点tdsとの時間差を最小限に小さくすることができ、このアップリンク位置を用いて算出した位置補正情報とDL送信フレーム数とによって、図11に示される実距離L’をより正確に求めることができる。
なお、以上のように、通信処理部28によってアップリンク位置として採用する位置データを選択する場合においても、上述した第1〜第4の方法のように、最後又は最初から所定番目の位置データを選択したり、受信完了時点又は受信開始時点から所定時間前又は後に取得された位置データを選択したりすることもできる。すなわち、図18に示す例では、複数の位置データのうち最後に取得された位置データをアップリンク位置として選択しているが、最後からn1〜n2番目の位置データや最初からN1〜N2番目の位置データ、或いは、受信完了時点tue前のt1〜t2時間の間txの位置データや、受信開始時点tus後のT1〜T2時間の間txの位置データを選択することもできる。
〔第1実施形態の変形例〕
上述の第1実施形態では、位置測定用のPSD36として2次元PSDを採用しているが、受光面のx方向が車両進行方向に沿うように配置された、1次元PSDを採用することにしてもよい。
その理由は、光ビーコン4が位置補正情報Lh1,Lh2を生成するためには、車両進行方向におけるアップリンク位置を測定できれば足り、道路幅方向(Y方向)の位置は特に問題にならないからである。
もっとも、2次元PSDを使用すれば、道路幅方向(Y方向)のアップリンク位置につても測定できるので、予め定めたY方向の所定範囲を逸脱する位置データについては、別の車線を走行する車両20からのアップリンク光であると判断し、当該位置データを破棄するなどの、より精度の高い運用が可能となる。
上述の第1実施形態において、PSD36を測定用のみに使用し、その出力信号を通信用の第1受光系26に入力しない理由は、次の通りである。
すなわち、現状では、高速(256kbps)の光信号に対して良好に追従するPSDが見あたらず、PSD36の出力信号を通信用にも使用すると、高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aを構成できないからである。
従って、高速(256kbps)の光信号に対して、立ち上がりと立ち下がりがさほど鈍らない高性能なPSDが実現すれば、PSD36の出力を第1受光系26にも使用する回路構成を採用することにより、PD32を省略することができる。
〔第2実施形態〕
図19は、第2実施形態に係る新光ビーコン4Aの回路構成図である。
図19の第2実施形態が図12の第1実施形態と異なる主な相違点は、測定用の変換素子として、PSD36の代わりに分割PD40を採用している点にある。
以下、第1実施形態と実質的に同じ機能部については、図19に同じ参照符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点を重点的に説明する。
図19に示すように、第2受光系27の分割PD40は、4つのPD1〜PD4を幅方向に接合することにより面一な受光面が構成されている。
各PD1〜PD4の出力端子はそれぞれ後段の増幅器37に接続され、各PD1〜PD4が光電変換した電気信号は、増幅器37で増幅されてピークホールド回路38に入力される。ピークホールド回路38は、増幅信号の最大振幅を所定時間だけ保持して測定データを生成し、生成した測定データを後段の位置CPU29に送る。
位置CPU29は、各ピークホールド回路38から入力された測定データ(各PD1〜PD4の出力端子の電圧値)を用いてアップリンク位置を測定する。位置CPU29は、その測定結果である位置データをメインCPU30に送る。すなわち、本実施形態では、位置CPU29は、通信処理部28を経由することなく直接的に(或いはメモリを介して)メインCPU30に位置データを送るようになっている。
なお、分割PD40を構成するPD1〜PD4の出力端子の電圧値(測定データ)からアップリンク位置を測定する場合の測定原理(図20)については後述する。
図19に示すように、第1受光系26は加算器41を有する。各増幅器37の出力端子が加算器41に接続され、加算器41の出力端子は後段のフィルタ34に接続されている。
すなわち、受光素子がPDの場合は、比較的高速(本実施形態では、256kpbs)の光信号に対しても、良好な立ち上がりと立ち下がりとなる追従性能を有する。そこで、本実施形態では、PD1〜PD4の増幅信号を加算した加算信号を、第1受光系26のフィルタ34に送る回路構成を採用し、分割PD40を通信用の変換素子としても共用するようにしている。
このように、分割PDよりなる変換素子40を採用すれば、第1受光系26と第2受光系27とで用いる受光素子を1種類の変換素子40で共用できる。
このため、第1及び第2受光系26,27について異なる変換素子32,36を採用する第1実施形態(図12)の場合に比べて、回路規模をコンパクト化することができ、実装基板をサイズダウンできるという利点がある。
なお、第1受光系26におけるフィルタ34及びコンパレータ35の機能と、ビーコン制御機7の通信処理部28の機能は、図12の第1実施形態の場合と同様であるから、その詳細な説明を省略する。
また、メインCPU30によるアップリンク位置の取得処理についても、図16及び図17を参照して説明した第1実施形態の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。ただし、本実施形態では、位置CPU29から通信処理部28には位置データが送られないため、図18に示す方法ではアップリンク位置の取得処理を行うことはできない。
〔アップリンク位置の測定原理〕
図20は、分割PDを用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。
図20に示すように、道路側の分割領域UA1〜UA4は、道路Rの路面から所定高さH(例えば、H=1.0m)の平面を車両進行方向に沿ってほぼ等分した領域であり、分割PD40を構成するPD1〜PD4は、その受光領域が分割領域UA1〜UA4とほぼ対応するように、ビーコンヘッド8の内部に配置されている。
このため、例えば図20に示すように、分割PD40に入射されたスポット光がPD1の受光面にて検出された場合には、そのスポット光の送信位置は、アップリンク領域UAの分割領域UA1であったことが判明する。
同様に、スポット光の照射位置がPD2,PD3又はPD4であれば、その送信位置が分割領域UA2,UA3又はUA4であったことが判明する。
そこで、位置CPU29は、光受信部24のピークホールド回路38から得られた測定データV1,V2,V3,V4の値が所定の閾値を超えると、それらの電圧値がどのPDi(i=1〜4)で生じたかを判定し、判定されたPDiに対応する分割領域UAiの基準位置を光信号のアップリンク位置とする。
従って、本実施形態では、各々の分割領域UAiの代表点として予め定められた基準位置が、位置IC29から出力される位置データとなる。
なお、本出願と同じ発明者による特開2012−84072号に示すように、PD1〜PD4のうちの隣接するもの同士の電圧値の比率に対応する、更に細かい分割領域を予め設定しておけば、分割PD40の分割数(本実施形態では、4つ)を超えた車両進行方向の領域数にて、光信号のアップリンク位置を特定することができる。
〔第3実施形態〕
図21は、第3実施形態に係る新光ビーコン4Aの回路構成図である。
図21に示すように、第3実施形態の新光ビーコン4Aでは、光受信部11は、通信用の受光系(受光回路)である第1受光系26と、測定用の受光系(受光回路)である第2受光系27とを含む。以下、第1実施形態と実質的に同じ機能部については、図21に同じ参照符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と相違点を重点的に説明する。
第2受光系27は、第1実施形態の第2受光系27(図12参照)と同様の構成であり、PSDよりなる変換素子36、増幅器37,及びピークホールド回路38を有している。また、第2受光系27におけるアップリンク位置の測定原理は、図13を参照して説明した通りである。
一方、第1受光系26は、第1実施形態の第1受光系26(図12参照)と略同様の構成を含み、PDよりなる変換素子32、増幅器33、フィルタ34、及びコンパレータ35を有している。そして、第1実施形態と同様の手順により、PD32から出力された電気信号を処理し、コンパレータ35からデジタルの受信信号(ビットデータ)を通信処理部28に出力する。
更に、本実施形態においては、第2受光系27に用いられているPSD36が第1受光系26用(通信用)の変換素子としても兼用されるようになっている。より具体的には、第1受光系26は、上記構成のほか、PSD36、加算器41、フィルタ34、及びコンパレータ35を更に備えている。加算器41は、増幅器37の出力端子に接続されている。また、加算器41の出力端子はフィルタ34に接続されている。そして、PSD36から出力された信号は、増幅器37によって増幅された後に加算器41において加算される。加算器41において生成された信号は、フィルタ34において所定の速度成分が抽出された後にコンパレータ35に出力される。コンパレータ35は入力された信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を通信処理部28に出力する。なお、図21には、PD32を含む第1受光系を符号26Aで示し、PSD36を含む第1受光系を符号26Bで示している。
第1実施形態において説明したように、PSD36は高速帯域(256kbps)における追従性能が比較的悪く、受信した高速帯域の光信号から上りデータを再生することは困難であるが、低速帯域(64kbps)の光信号に対しては十分な追従性能を有しているので、受信した低速帯域の光信号から上りデータを再生することが可能である。
従って、本実施形態では、低速帯域(64kbps)の光信号、つまり低速フレームUL1に対してはPSD36を測定用としてだけでなく通信用としても利用し、PD32とPSD36とによって通信用受光系26A,26Bの二重化が図られている。
このような通信用受光系26A,26Bの二重化は、「上りデータ」を取得するうえでの確実性を高めるほか、PD32及びPSD36の故障等の不具合を早期に発見するためにも役立てることができる。
すなわち、PSD36によって上りデータが再生された場合、そのときに受信した上りフレームは低速フレームUL1であると判断することができるが、この際、PD32によって上りデータが再生されていなければ、PD32に故障等の不具合があると認識することができる。逆に、PD32のみによって上りデータが再生された場合には、そのときに受信した上りフレームは、高速フレームUL2であると推定することができるが、このとき当該上りフレームのヘッダ部に含まれる「情報種別」(図7参照)の値が低速フレームUL1を示していた場合には、PSD36によって受信されるはずの低速フレームUL1が受信されていないことになるので、PSD36に故障等の不具合があると認識することができる。従って、PD32及びPSD36の不具合を早期に発見し、対処することが可能となる。
なお、メインCPU30又は通信処理部28によるアップリンク位置の取得処理については、図16〜図18を参照して説明した第1実施形態の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
〔その他の変形例〕
今回開示した実施形態(変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4Aに本発明を適用した場合を例示したが、本発明は、アップリンク方向で単一レートのみに対応する光ビーコン4(例えば、低速フレームUL1のみを受信可能な旧光ビーコン4B)に採用することもできる。
すなわち、旧光ビーコン4Bと旧車載機2Bの通信において、旧車載機2Bが1回の路車間通信で低速の複数のアップリンク情報を送信でき、旧光ビーコン4Bが最初に受信したアップリンク情報だけでダウンリンク切り替えを行う場合には、DSSSに則って旧光ビーコン4Bが提供する安全運転支援情報に含める、「位置補正情報」と「DL送信フレーム数」との関係性が崩れるという、前述の問題点がそのまま当てはまる。
従って、旧光ビーコン4Bの場合でも、最初の低速のアップリンク情報を受信した場合だけでなく、その後に受信した低速のアップリンク情報についてもダウンリンク切り替えを行い、その受信時における位置補正情報Lh2と、DL送信フレーム数とを下りフレームDL2に含めることにすればよい。
この場合、旧車載機2Bによって適切な実距離L’を算出することができ、DSSSを適切に運用できるようになる。
また、新光ビーコン4Aと新車載機2Aとの通信において、新車載機2Aが複数の高速のアップリンク情報を送信する場合には、最初の高速のアップリンク情報を受信した場合だけでなく、その後に受信した高速のアップリンク情報についてもダウンリンクの切り替えを行うことによって、その受信時における位置補正情報Lh2と、DL送信フレーム数とを下りフレームDL2に含めることにすればよい。
この場合も、新車載機2Aによって適切な実距離L’を算出することができ、DSSSを適切に運用できるようになる。
また、本発明は、高速か低速かに関わらず最初に送信されるアップリンク情報が複数フレームからなる場合においても、その最終フレームに基づいてアップリンク位置を取得し、このアップリンク位置を用いて算出された位置補正情報Lh2と、DL送信フレーム数とを下りフレームDL2に含めれば、車載機2によって適切な実距離Lを算出することができる。
上述の実施形態では、アップリンク位置h1,h2を、基準位置P0を起点とした車両進行方向の距離Lh1,Lh2で表した「位置補正情報」として定義しているが、アップリンク位置h1,h2を地図上の座標値で表すこととし、その座標値を車載機2に通知することにしてもよい。
この場合、基準位置P0の座標が不明でも、アップリンク位置h1,h2を把握できるので、基準位置P0を安全運転支援情報に含めないことにしてもよい。
2 車載機
2A 新車載機
2B 旧車載機
4 光ビーコン
4A 新光ビーコン
4B 旧光ビーコン
7 ビーコン制御機(通信制御部)
8 ビーコンヘッド
20 車両
23 光送信部
24 光受信部
28 通信処理部
29 位置CPU
30 メインCPU

Claims (13)

  1. 走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
    アップリンク情報を構成する上りの光信号を電気信号に変換する受光素子を含む光受信部と、
    電気信号を、ダウンリンク情報を構成する下りの光信号に変換する発光素子を含む光送信部と、
    前記アップリンク情報の受信を契機として行うダウンリンク切り替えと、前記アップリンク情報の送信位置であるアップリンク位置の生成とを実行可能な通信制御部と、を備えており、
    前記通信制御部は、複数のフレームからなる前記アップリンク情報のうちの最終フレームの送信位置を、前記アップリンク位置としてダウンリンク切り替え後の前記ダウンリンク情報に含めることを特徴とする光ビーコン。
  2. 走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
    アップリンク情報を構成する上りの光信号を電気信号に変換する受光素子を含む光受信部と、
    電気信号を、ダウンリンク情報を構成する下りの光信号に変換する発光素子を含む光送信部と、
    前記アップリンク情報の受信を契機として行うダウンリンク切り替えと、前記アップリンク情報の送信位置であるアップリンク位置の生成とを実行可能な通信制御部と、を備えており、
    前記通信制御部は、74バイトを越えるデータサイズの単一フレームからなる前記アップリンク情報の最終フレームの送信位置を、前記アップリンク位置としてダウンリンク切り替え後の前記ダウンリンク情報に含めることを特徴とする光ビーコン。
  3. 前記通信制御部は、前記最終フレームの後半部分から取得されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含める、請求項1又は2に記載の光ビーコン。
  4. 前記通信制御部は、前記最終フレームの末尾側を基準として採用されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ビーコン。
  5. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最後からn1番目以前(但し、n1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項4に記載の光ビーコン。
  6. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最後からn2番目以降(但し、n2:(n2≧n1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項5に記載の光ビーコン。
  7. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信完了時点よりもt1時間以上前(但し、t1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項4に記載の光ビーコン。
  8. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信完了時点よりもt2時間前以降(但し、t2:(t2≧t1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項7に記載の光ビーコン。
  9. 前記通信制御部は、前記最終フレームの先頭側を基準として採用されたアップリンク位置を前記ダウンリンク情報に含める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ビーコン。
  10. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最初からN1番目以降(但し、N1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項9に記載の光ビーコン。
  11. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、最初からN2番目以前(但し、N2:(N2≧N1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項10に記載の光ビーコン。
  12. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信開始時点からT1時間以降(但し、T1:所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項9に記載の光ビーコン。
  13. 前記ダウンリンク情報に含めるアップリンク位置が、前記最終フレームについて取得された複数のアップリンク位置のうち、前記最終フレームの受信開始時点からT2時間後以前(但し、T2:(T2≧T1)を満たす所定の定数)に取得されたアップリンク位置とされている、請求項12に記載の光ビーコン。
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