JP5950344B2 - 光ビーコン - Google Patents
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Description
このうち、光ビーコンは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能である。具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信される。
このため、光ビーコンは、車載機との間で光信号を送受するビーコンヘッド(投受光器)を備え、投受光器には、ビーコン制御機から入力された送信信号を発光ダイオードに入力してダウンリンク光を送出する光送信部と、フォトダイオードが受光した光信号を電気信号に変換してビーコン制御機に出力する光受信部が搭載されている。
この場合、停止線位置までの距離が正確に求まるので、赤信号の直前で交差点に進入することがないように、ドライバに制動を促すなどの安全運転の支援制御を正確に実行できるようになる。
通信容量を拡大する方策としては、アップリンク及びダウンリンクそれぞれについての伝送速度の高速化、通信領域の拡張あるいは通信プロトコルの変更などの方策がある。このうち、アップリンク速度を現状(64kbps)よりも高速化すれば、通信領域をさほど広げなくても、大容量のプローブデータを車載機から収集でき、交通信号制御の高度化に役立てることができる。
しかし、新光ビーコンや新車載機を導入するとしても、これらの新型の機器が、低速アップリンク通信しかできない従来の機器と互換性がなければ、既存の路車間通信システムと整合しなくなるため、アップリンク速度の高速化が阻害される。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、正確な安全運転支援情報を車載機に提供することができる、DSSS対応の光ビーコンを提供することを目的とする。
換言すると、「DL送信フレーム数」と「位置補正情報」(アップリンク位置)がともにダウンリンク切り替え時の上りフレームを基準とすることになるので、これらの情報に基づいて車載機が所定位置までの実距離を正しく算出できるようなる。
また、高速フレームでのダウンリンク切り替えが行われないので、高速フレームの受信によってもダウンリンク切り替えを行う場合に比べて、新光ビーコンの処理負荷を軽減できる。また、ダウンリンク切り替えの時期が遅くなって、その後にダウンリンク送信される下りフレームの受信機会が減少するのを防止することができる。
通信用の受光系:受光素子が出力する電気信号からビットデータを抽出する受光系
測定用の受光系:受光素子が出力する電気信号からアップリンク位置の測定に用いる測定データを生成する受光系
かかる位置検出素子を採用すれば、後述の「分割PD」を用いた測定用の受光系の場合に比べて、位置標定の分解能が高まるとともに、道路側のアップリンク領域との位置合わせが容易な光ビーコンが得られる。
かかる分割PDよりなる変換素子を採用すれば、通信用の受光系と測定用の受光系に用いる受光素子を1種類の変換素子で兼用できるので、回路規模をコンパクト化できるという利点がある。
通信処理部:抽出されたビットデータから上りデータを再生する処理部
位置処理部:生成された測定データからアップリンク位置の位置データを演算する処理部
判定処理部:再生された上りデータの内容に応じて、演算された位置データに対応するアップリンク位置を下りフレームに含めるか否かを判定する処理部
測定用の受光系:通信用の変換素子とは別個に設けられた測定用の変換素子が出力する電気信号からアップリンク位置の測定に用いる測定データを生成する受光系
この光ビーコンでは、1つの位置検出素子(PSD)が出力する電気信号を、アップリンク位置の測定と上りフレームの再生の双方に利用している。しかし、一般にPSDは、高速帯域での追従性能が悪いため、上りフレームが高速化されると、PSDが出力する電気信号からは上りフレームを適切に再生できない。
このため、アップリンク位置を測定可能な光ビーコンにおいて、上りフレームの高速化に適切に対応することができる、アップリンク方向の受信性能に優れたマルチレート対応の光ビーコンが得られる。
また、測定用の受光系からは上りフレームのデータ再生を行う必要がないので、測定用の変換素子として、例えばCCDなどの、画像を取得可能なイメージセンサを採用することにしてもよい。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20に搭載された車載機2とを備えている。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等より構成することができる。
これに対して、本実施形態の車載機2は、半二重通信方式を採用している。すなわち、後述の車載制御機21は、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御とを同時には行わない。
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)をダウンリンク領域DA(図3参照)に送出する発光素子を有し、光受信部11は、アップリンク領域UA(図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsであるとする。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
このようにアップリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増とともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsであるとする。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
この場合、アップリンク速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
この簡易制御部は、例えば、光受信部24が何らかの下りフレームを受信した場合に、自機の車両20の識別情報(以下、「車両ID」という。)を含む低速の上りフレームを生成する機能を有する。
ここで、本明細書で用いる用語の定義を行う。
下りフレームDL1:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え前に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信する下りフレームのことをいう。
上りフレームUL1:下りフレームDL1の受信に応じて車載機2が送信する上りフレームのうち、伝送速度が低速のものをいう。「低速フレームUL1」ともいう。
車載機2が高速アップリンク送信に対応する新車載機2A(図5参照)の場合は、上りフレームとして、低速フレームUL1と高速フレームUL2の双方を送信でき、車載機2が高速アップリンク送信に非対応の旧車載機2B(図5参照)の場合には、上りフレームとして低速フレームUL1しか送信できない。
ID格納フレーム:車載機2が、自車両の車両IDの値を所定の格納領域(例えば、アップリンク情報のヘッダ部の「車両ID」(図7参照))に記して生成した、「低速」の上りフレームUL1のことをいう。
ID折り返し:光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、折り返しフレームを生成してダウンリンク送信する処理のことをいう。
車両IDのループバック:車載機2がID格納フレームを生成し、生成したID格納フレームをアップリンク送信し、光ビーコン4がID折り返しを行うことにより、車両IDを送信元の車載機2にループバックさせる一連の処理のことをいう。
本実施形態では、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2には、折り返しフレームと、車両IDに対応する車両向けの提供情報を含む下りフレームDL2とが含まれる。この提供情報には、例えば、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの情報を含めることができる。
もっとも、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、高速アップリンク送信に対応する新車載機を搭載した車両向けの提供情報として、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路を示す充電ステーション情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供することもできる(図9及び図10参照)。
下りフレームDL1,DL2の車線通知情報には、車線R1〜R4(図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与できる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載機2は、格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることで、自車両がどの車線R1〜R4を走行中かを判定できる。
図7は、アップリンク情報(上りフレーム)のフレーム構成図である。
図7に示すように、上りフレームUL1は、先頭から順に、受信側と同期を取るための同期用の伝送制御部(以下、「同期部」という。)、ヘッダ部、実データ部及びCRC(Cyclic Redundancy Check )用の伝送制御部(以下、「CRC部」という。)を有する。
アップリンク情報のヘッダ部には、「サブシステムキー情報数」、「車両ID」、「車載機種別」、「情報種別」及び「最終フレームフラグ」などの格納領域が含まれる。
すなわち、情報数がゼロの場合は、実データ部に「サブシステムキー情報」が含まれず、情報数が「1」の場合は、実データ部に1つの「サブシステムキー情報」が含まれ、情報数が「n」の場合は、実データ部にn個の「サブシステムキー情報」が含まれる。
車載機2は、自車両がUTMS規格のどのシステムに対応しているかに応じて、「サブシステムキー情報数」と「サブシステムキー情報」の内容を決定する。
また、車載機2は、自車両がUTMS規格の2つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「2」に設定し、当該2つのシステムの規格にそれぞれ従った内容の「サブシステムキー情報(1)」及び「サブシステムキー情報(2)」を、実データ部に格納する。
このように、「サブシステムキー情報」は、ダウンリンク切り替え後の提供情報の種類を新旧の光ビーコン4が決定するのに使用される。
「車載機種別」は、車載機2の種別を格納する領域であり、「情報種別」は、アップリンク情報の種別を格納する領域であり、本実施形態では、これらの領域の値により、アップリンク送信主体の新旧と、アップリンク情報が高速か低速かを表す。
また、新車載機2Aは、高速の上りフレームUL2を送信する場合は、「車載機種別」に新車載機2Aを示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に高速であることを示す所定値(例えば、「4」)を格納する。
なお、旧車載機2Bの場合は、車載機種別の値を「6」以外に設定するので、新光ビーコン4Aは、「車載機種別」の値が「6」以外の上りフレームULを受信した場合は、旧車載機2Bからの低速フレームUL1であると判定することができる。
一方、本実施形態では、新光ビーコン4Aは、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信を完了した場合には、ダウンリンク切り替えを行わない。もっとも、高速フレームUL2の受信完了に応じて、ダウンリンク切り替えを行う規約を採用してもよい。
また、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信完了は、新光ビーコン4Aが折り返しフレームの連続送信やダウンリンク切り替えを行うための条件(契機ないしトリガー)になっていない。
すなわち、車載機2は、上りフレーム群を構成する複数の上りフレームULのうち、最終フレームの「最終フレームフラグ」にのみ所定のフラグ値(例えば、「1」)を格納し、それ以外の上りフレームULにはそのフラグ値を格納しない。
図8は、ダウンリンク情報(下りフレーム)のフレーム構成図である。
図8に示すように、下りフレームDL1,DL2のフレーム構成も、上りフレームUL1のフレーム構成(図7)の場合と同様に、先頭から順に、同期部、ヘッダ部、実データ部及びCRC部とからなる。
下りフレームDL1,DL2の実データ部には、車両20向けの提供情報として、図9に示す各種情報のうちのいずれか1つが格納される。
また、光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の実データ部には、その下りフレームDL2が折り返しフレームである場合を除き、車載機2からアップリンクされたサブシステムキー情報に対応する提供情報を選択し、選択した提供情報を実データ部に含める。
光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え前の下りフレームDL1の場合は、「車線通知情報」の「車両ID」に値を格納せず、車載機2からID格納フレームを受信すると、そのヘッダ部に含まれる車両IDの値を、「車線通知情報」の「車両ID」に格納して折り返しフレームを生成する。光ビーコン4は、アップリンク情報を取得したビーコンヘッド8に対応する車線番号値を「車線番号」に記す。
すなわち、光ビーコン4は、自機が高速アップリンク受信に対応する「新光ビーコン4Aの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」に所定のフラグ値(例えば、「01」)を格納し、自機が高速アップリンク受信に対応しない旧光ビーコン4Bの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」にそれ以外の値(例えば、「00」)を格納する。
また、下りフレームDL2は、ダウンリンク方向に送出すべきデータ量に応じた任意数のフレームで構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。また、下りフレームDL2の送信周期は約1msである。
もっとも、本実施形態のように、ダウンリンク領域DAをビーコンヘッド8の直下付近まで拡大すれば(図3参照)、繰り返し送信する下りフレームDL2の個数を最大200個程度まで増加させることができる。
図4は、通信領域Aで行われる従来の通信手順を示すシーケンス図である。
ここで、図4において、白丸を付したフレームは、車両IDを含まないフレーム(車両IDなしの車線通知情報を有するフレーム)であることを示し、黒丸を付したフレームは、路車間のID折り返しに利用するフレーム(上りの「ID格納フレーム」又は下りの「折り返しフレーム」)であることを示す。図9〜図11においても同様である。
車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2(図4の場合は旧車載機2B)が車線通知情報(車両ID無し)を含む下りフレームDL1或いはその他の下りフレームDL1を受信し、車両20が光ビーコン4の通信領域A内に入ったことを察知する。
なお、旅行時間情報などの光ビーコン4に提供すべき情報がある場合には、ID格納フレームU1の実データ部にその情報が格納される。
ダウンリンク切り替えの後に繰り返し送信させる複数の下りフレームDL2は、先頭部分で連送される複数の折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)と、その後に繰り返し送信される所定の提供情報を含む下りフレームDL2とからなる。
また、図4に示すように、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、提供情報の送信期間中においてダウンリンク情報を構成する一連の複数の下りフレームDL2(例えば5個の下りフレームDL2)の1つであり、従来は、一連の複数の下りフレームDL2の先頭にのみ含まれて繰り返し(図4の例では5フレームごと)送信される。
車載機2は、光ビーコン4から複数の下りフレームDL2を受信し、その複数の下りフレームDL2の中で、自車両の車両IDが記された車線通知情報を含むものがあるか否かを判定する。
逆に、車載機2は、その判定結果が否定的である間は、自車両の車両IDのループバックが成功していないと判断し、自機の通信を受信から送信に切り替えて、上りフレームUL1を再送する。この場合、車載機2は、例えば、先に送信した上りフレームU1の送信後所定時間(例えば30ms)後に、再び上りフレームUL1を送信する。車載機2は、この再送の動作を車両IDのループバックが成功するまで繰り返す。
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は、新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
また、図5の「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示している。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
そこで、本実施形態では、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報(例えば、図8の「ビーコン識別フラグ」)を、ビーコン制御機7が下りフレームDL1,DL2に含めることができる。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、繰り返し送信するすべての下りフレームDL1,DL2又は所定周期ごとの下りフレームDL1,LD2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、その下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオフにする。
その理由は、低速フレームUL1を利用すれば新旧双方の光ビーコン4A,4Bと従来通りの通信ができるし、上りフレーム群の他のフレームを一律に高速フレームUL2としても、旧光ビーコン4Bがそれを受信できないだけで、特に問題はないからである。
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオンに設定した下りフレームDL1を所定周期で繰り返しダウンリンク送信することにより(図6のステップST1)、自機が新光ビーコン4Aであることを外部に通知している。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、256kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(図6のステップST3)。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規約を採用してもよい。
そして、新車載機2Aの車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合は、高速で送信する上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合は、上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
新車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報に加え、信号情報や充電ステーション情報などの新車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2を、繰り返し送信することによって行われる。
この旧車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2だけを、繰り返し送信することによって行われる。
図9は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けずに上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2AがID確認を失敗する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図9では、上りフレーム群のフレーム数が4フレームになっているが、そのフレーム数は4つに限定されるものではなく、例えば、高速フレームUL2が3つ以上送信される場合もあるし、比較的長いデータ長である高速フレームUL2が1つだけ送信される場合もあり得る。
なお、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の図示上の区別については、図10の路車間通信においても同様である。
具体的には、新車載機2Aは、ダウンリンク領域DAにおいて下りフレームDL1を受信すると、低速フレームU0を即座に低速でアップリンク送信し、それに続けて高速フレームU1〜U3をアップリンク送信する。
新車載機2Aの通信相手の光ビーコン4は、上りフレーム群に含まれる低速フレームU0の受信完了を契機として、そのヘッダ部から車両ID値を抽出し、その値を車線通知情報に格納した折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
また、光ビーコン4が旧光ビーコン4Bの場合は、上記のような種別判定を行うことができないので、低速フレームU0の受信が完了すると、従来通り、即座に折り返しフレームの連送とダウンリンクを行う。
従って、図9に示すように、高速フレームU1〜U3の送信期間(図9の例ではU3)によっては、その送信中に折り返しフレームが新車載機2Aに到達することがある。
また、この場合、図9に破線で示すように、新車載機2Aは、ID格納フレームである低速フレームU0を含む大容量の上りフレーム群U0〜U1を再送信する。
その理由は、提供情報のデータ量が多くなるほど、新光ビーコン4Aが繰り返し送信する下りフレームDL2に折り返しフレームを含める頻度が少なくなるため、新車載機2Aがループバックを認識できない確率が高くなるためである。
この場合、上りフレーム群U0〜U3を再送信した後でも、新車載機2Aが折り返しフレームに気付かず、上りフレーム群U0〜U3のアップリンク送信(再送)が無駄に継続されることになる。
従って、より多くのデータを新光ビーコン4Aにアップリンクしようとする新車載機2Aほど、限られた期間(例えば250ms)にしか送信されない下りフレームDL2の受信機会を大幅に喪失したり、極端な場合は、下りフレームDL2を受信できずに通信領域Aを通過したりするという、不合理な結果になるおそれがある。
図10は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けて上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2Aが、ID確認を成功する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図10の例では、新車載機2Aが低速フレームU0の後に高速フレームU1〜U3を連送する場合に、最初の低速フレームU0と高速フレームU1の間に「送信中断期間」を設けることにより、折り返しフレームの不達に伴う上述の問題点を解決している。
例えば、新光ビーコン4AがID格納フレームU0の受信から下りフレームDL2の送信開始までに5〜10m秒程度要すると仮定し、さらに、新車載機2Aが自車の車両IDのループバックを確認し、高速フレームU1の送信を開始するのに必要な遅延時間を10m秒と仮定すれば、送信中断期間は概ね15〜20m秒の範囲で設定すればよい。
上記の確認の後、新車載機2Aは、高速フレームU1〜U3を連送し、その連送が終了したあと、自機の通信を受信に切り替える。
このため、複数の上りフレームU0〜U3の送信を新車載機2Aが無駄に継続することによる、下りフレームDL2の受信機会の喪失を未然に防止することができる。
また、光信号が光ビーコン4に到達できない程度に、発光素子のパワーを低下させる方法を採用してもよい。このようにすれば、発光素子の再発光時のパワーの復帰を迅速に行え、上りフレームU1の先頭側の同期部の乱れを抑制できるという利点がある。
そこで、新車載機2Aは、送信中断期間にループバックの成功を確認できなかった場合には、図10に破線で示すように、ID格納フレームである低速フレームU0のみを光送信部23に再送信させ、再送信した低速フレームU0の後を送信中断期間とする。
より好ましくは、例えば、低速フレームU0に格納するデータを、車両ID情報、ビーコン間の旅行時間や新車載機2Aが対応するサービス種別等の必要最小限とすることにより、低速フレームU0のデータサイズを、1回の通信で送信する複数の上りフレームU0〜U3の中で最小(例えば、実データ部で5バイト程度)に設定することが好ましい。
その理由は、高速フレームUL2のフレーム数や送信時間を少なめに設定すれば、特に送信中断期間を設けなくても、低速フレームUL1に対応してダウンリンクされた折り返しフレームを、新車載機2Aが適切に受信し得るからである。
図11は、安全運転支援システム(DSSS)における提供情報の一例を示す説明図である。
図11において、P0は、アップリンク領域UAの代表点を表す「基準位置」であり、P1は、アップリンク領域UAから下流側に離れた所にある所定物(例えば、交差点の停止線)の代表点を表す「所定位置」を示している。
h3は、車載機2が受信に成功した下りフレームDL2の受信開始位置(以下、「ダウンリンク位置」ともいう。)を示している。
L0 :基準位置P0から所定位置P1までの距離
Lh1:基準位置P0から第1のアップリンク位置h1までの距離
Lh2:基準位置P0から第2のアップリンク位置h2までの距離
Ln :第1のアップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの距離
L :ダウンリンク位置h3から所定位置P1までの実距離
かかる「安全運転支援情報」には、車載機2が交差点の手前でドライバに制動を促すなどの安全運転の支援制御を行えるように、上記各位置P0,P1の座標を含む静的情報(固定値)である「道路線形情報」と、交差点の信号の予定秒数を表す動的情報である「信号情報」とを含めることになっている。
このため、基準位置P0と所定位置P1だけを車載機2に提供しても、車載機2は、ダウンリンク位置h3への移動によって短縮した実距離Lを求めることができず、これでは、実際の車両20の現在位置から所定位置P1までの距離が不正確になり、安全運転支援を正しく行うことができない。
「UL位置補正情報」は、車載機2ごとの光量の個体差や通信タイミング(通信周期)などが原因で位置ずれが生じるアップリンク位置h1と、固定的な基準位置P0との差分を表す情報であり、図11の距離Lh1がこれに相当する。すなわち、「位置補正情報」は、基準位置P0を起点とした車両進行方向の距離値でアップリンク位置h1を表現したものである。
光ビーコン4は、上りフレームUL1を赤外光として検出すると、その光信号の送信位置を測定して位置補正情報Lh1を生成し、生成した位置補正情報Lh1を安全運転支援情報に含める。
光ビーコン4は、上りフレームUL1を受信すると即座(10m秒以下)にダウンリンク切り替えを行うので、通常は、アップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの移動距離Lnは比較的小さい。
しかし、車両20のワイパー動作による遮蔽等が発生した場合や、太陽光の直射などによって、車載機2が下りフレームDL2の受信に失敗する場合があり、この場合は、移動距離Lnが無視できない程度に大きくなる。
下りフレームUL2の1フレーム分の送信時間は、約1m秒である。従って、DL送信フレーム数をn、車両速度をVとすると、Ln=V×n×1m秒の算出式により、アップリンク位置h1からダウンリンク位置h3までの移動距離Lnを求めることができる。
この場合には、車載機2は、L=L0−Lh1−Lnの算出式により、実距離Lを正しく算出することができる。
このため、後から受信した高速フレームUL2により、新光ビーコン4Aが位置補正情報をLh1からLh2に更新してそれを新車載機2Aに提供すると、新車載機2Aは、L=L0−Lh2−Lnという誤った算出式によって実距離Lを算出することになり、実距離Lを正確に算出できなくなる。
以下、上記の考え方を採用した、DSSSを適切に運用可能な新光ビーコン4Aの構成例を説明する。
図12は、第1実施形態に係る新光ビーコン4Aの回路構成図である。
図12に示すように、第1実施形態の新光ビーコン4Aでは、光受信部11は、通信用の受光系(受光回路)である第1受光系26と、測定用の受光系(受光回路)である第2受光系27とを含む。
また、ビーコン制御機7は、通信IC(通信処理部)28と、位置IC(位置処理部)29と、メインCPU(判定処理部)30とを含む。
第1受光系26は、図12の左側から順に、通信用の変換素子32、増幅器33、フィルタ34及びコンパレータ35を有する。通信用の変換素子32は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換する受光素子(例えば、フォトダイオード(Photo Diode ):以下、「PD」ともいう。)よりなる。
フィルタ34は、少なくとも低速帯域(本実施形態では、64kbps)の成分を抽出できるハイパスフィルタよりなる。フィルタ34は、低速成分から高速成分までをカバーするバンドパスフィルタであってもよい。
コンパレータ35は、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。コンパレータ35は、入力された低速信号又は高速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を後段の通信IC28に出力する。
通信用の変換素子36は、上りフレームUL1,UL2の受光面内の入力位置に応じた電気信号を信号する位置検出素子(Position Sensitive Detector:以下、「PSD」ともいう。)よりなる。なお、PSD36を用いたアップリンク位置h1,h2の測定原理(図13)ついては後述する。
PSD36の4つの出力端子から出力される電流値は、その後段の増幅器37にてそれぞれ増幅される。増幅器37が増幅した電気信号は、その後段のピークホールド回路38にそれぞれ入力される。ピークホールド回路38は、増幅信号の最大振幅を所定時間だけ保持して測定データを生成し、生成した測定データを後段の位置IC29に送る。
位置IC29が出力する位置データは、PSD36の受光面上の座標(x,y)又は道路側の座標(X,Y)(図13参照)のいずれに基づくものであってもよい。
メインCPU30は、通信IC28から取得した「上りデータ」の内容に応じて、位置IC29から取得した「位置データ」から求まる位置補正情報Lh1,Lh2を下りフレームDL2に含めるか否かを判定する。なお、この判定処理の詳細(図14のフローチャート)については後述する。
図13は、位置検出素子(PSD)36を用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。
図13に示すように、道路側の座標(X,Y)は、道路Rの路面から所定高さH(例えば、H=1.0m)の平面内の2次元座標であり、X方向は道路Rの延長方向(車両進行方向)に沿い、Y方向は道路Rの幅方向に沿っている。
2次元のPSD36では、出力端子x1,x2,y1,y2の電流値を、それぞれIx1,Ix2,Iy1,Iy2とすると、受光面に入射されたスポット光の入射位置の座標(x,y)を、次の関係式によって算出することができる。
2x/Lx={(Ix2+Iy1)-(Ix1+Iy2)}/(Ix1+Ix2+Iy1+Iy2)
2y/Ly={(Ix2+Iy2)-(Ix1+Iy1)}/(Ix1+Ix2+Iy1+Iy2)
そこで、位置IC29は、光受信部24のピークホールド回路38から得られた測定データIx1,Ix2,Iy1,Iy2の値が所定の閾値を超えると、それらの値に上記関係式に代入して、スポット光の入射位置の座標(x,y)の値を算出する。本実施形態では、この座標値が位置データである。
従って、アップリンク領域UAで送信される上りの光信号(アップリンク光)の入射位置(x,y)は、道路側の送信位置(X,Y)と1対1で対応しており、入射位置(x,y)の値が判明すれば、幾何学的な線形関係に基づく座標変換により、光信号の送信位置(X,Y)(アップリンク位置h1,h2の道路側の座標値)を求めることができる。
なお、位置IC29にて道路側の座標(X,Y)を求める場合には、上記の座標変換についても位置IC29が行う。この場合、位置IC29が出力する位置データは、道路側の座標(X,Y)に基づく値となる。
図14は、メインCPU30が行う、位置補正情報Lh1,Lh2を採用するか否かの判定処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、メインCPU30は、通信IC28から上りデータを取得したか否かを常に判定しており(ステップST11)、上りデータを取得した場合は、更に、位置IC29から位置データを取得したか否かを判定する(ステップST12)。
ステップST12の判定結果が肯定的である場合は、メインCPU30は、取得した上りデータが高速フレームUL2か否かを判定する(ステップST13)。なお、この判定は、上りフレームの車載機種別の値が「6」でかつ情報種別の値が「4」であるか否かによって行われる。
より具体的には、メインCPU30は、採用した位置データの座標値(X,Y)と基準位置P0(図11参照)の座標値の差から位置補正情報Lh1を算出し、算出した位置補正情報Lh1を、下りフレームDL2に格納する安全運転支援情報に含める。
従って、この場合、ダウンリンク切り替えの契機とならない高速フレームUL2のアップリンク位置h2に基づく位置補正情報Lh2が、下りフレームDL2の安全運転支援情報に採用されず、位置補正情報Lh2は車載機2に提供されない。
以上の通り、本実施形態の新光ビーコン4Aによれば、高速フレームUL2を受信した場合はダウンリンク切り替えを行わないビーコン制御機7のメインCPU30が、ダウンリンク切り替えの契機となる低速フレームUL1を受信した場合に、その受信時における位置補正情報Lh1を下りフレームDL2に含める。
このため、ダウンリンク切り替えの契機とならない高速フレームUL2を受信しても、
その受信時における位置補正情報Lh2が新車載機2Aに提供されない。
また、高速フレームUL2でのダウンリンク切り替えが行われないので、高速フレームUL2を受信した時もダウンリンク切り替えを行う場合に比べて、新光ビーコン4Aの処理負荷を軽減できるし、ダウンリンク切り替えの時期が遅くなって、その後にダウンリンク送信される下りフレームDL2の受信機会が減少するのを防止できる利点がある。
このため、後述の第2実施形態(図15及び図16)のように、分割PD40を用いた第2受光系27の場合に比べて、位置標定の分解能が高めることができる。
すなわち、分割PDよりなる受光素子では、複数のPD1〜PD4の受光面が各分割領域UA1〜UA4に正しく対応するようにビーコンヘッド8を位置合わせする必要があるので、ビーコンヘッド8の設置に手間がかかるという欠点がある。
従って、アップリンク位置h1,h2を測定可能な光ビーコン4を構成する場合において、上りフレームUL2の高速化に適切に対応することができ、アップリンク方向の受信性能に優れた新光ビーコン4Aが得られる。
上述の第1実施形態では、位置測定用のPSD36として2次元PSDを採用しているが、受光面のx方向が車両進行方向に沿うように配置された、1次元PSDを採用することにしてもよい。
その理由は、光ビーコン4が位置補正情報Lh1,Lh2を生成するためには、車両進行方向におけるアップリンク位置を測定できれば足り、道路幅方向(Y方向)の位置は特に問題にならないからである。
上述の第1実施形態において、PSD36を測定用のみに使用し、その出力信号を通信用の第1受光系26に入力しない理由は、次の通りである。
従って、高速(256kbps)の光信号に対して、立ち上がりと立ち下がりがさほど鈍らない高性能なPSDが実現すれば、PSD36の出力を第1受光系26にも使用する回路構成を採用することにより、PD32を省略することができる。
図15は、第2実施形態に係る新光ビーコン4Aの回路構成図である。
図15の第2実施形態が図12の第1実施形態と異なる主な相違点は、測定用の変換素子として、PSD36の代わりに分割PD40を採用している点にある。
以下、第1実施形態と実質的に同じ機能部については、図15に同じ参照符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点を重点的に説明する。
各PD1〜PD4の出力端子はそれぞれ後段の増幅器37に接続され、各PD1〜PD4が光電変換した電気信号は、増幅器37で増幅されてピークホールド回路38に入力される。ピークホールド回路38は、増幅信号の最大振幅を所定時間だけ保持して測定データを生成し、生成した測定データを後段の位置IC29に送る。
なお、分割PD40を構成するPD1〜PD4の出力端子の電圧値(測定データ)からアップリンク位置を測定する場合の測定原理(図16)については後述する。
すなわち、受光素子がPDの場合は、比較的高速(本実施形態では、256kpbs)の光信号に対しても、良好な立ち上がりと立ち下がりとなる追従性能を有する。そこで、本実施形態では、PD1〜PD4の増幅信号を加算した加算信号を、第1受光系26のフィルタ34に送る回路構成を採用し、分割PD40を通信用の変換素子としても共用するようにしている。
このため、第1及び第2受光系26,27について異なる変換素子32,36を採用する第1実施形態(図12)の場合に比べて、回路規模をコンパクト化することができ、実装基板をサイズダウンできるという利点がある。
また、ビーコン制御機7のメインCPU30が行う判定処理についても、図14の第1実施形態の場合と同様であるから、その詳細な説明を省略する。
図16は、分割PDを用いたアップリンク位置の測定原理の説明図である。
図16に示すように、道路側の分割領域UA1〜UA4は、道路Rの路面から所定高さH(例えば、H=1.0m)の平面を車両進行方向に沿ってほぼ等分した領域であり、分割PD40を構成するPD1〜PD4は、その受光領域が分割領域UA1〜UA4とほぼ対応するように、ビーコンヘッド8の内部に配置されている。
同様に、スポット光の照射位置がPD2,PD3又はPD4であれば、その送信位置が分割領域UA2,UA3又はUA4であったことが判明する。
従って、本実施形態では、各々の分割領域UAiの代表点として予め定められた基準位置が、位置IC29から出力される位置データとなる。
今回開示した実施形態(変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
この場合、旧車載機2Bが誤った位置補正情報Lh2を用いて実距離Lを算出するのを防止でき、DSSSを適切に運用できるようになる。
この場合、基準位置P0の座標が不明でも、アップリンク位置h1,h2を把握できるので、基準位置P0を安全運転支援情報に含めないことにしてもよい。
また、本明細書において、「車載機」とは、車両20に搭載されたあと常にその状態に固定されるものを含むことは勿論、ドライバが利用したい時だけ車両20に持ち込まれ、一時的に車両20に搭載されるものも含まれる。
2A 新車載機
2B 旧車載機
4 光ビーコン
4A 新光ビーコン
4B 旧光ビーコン
7 ビーコン制御機(通信制御部)
8 ビーコンヘッド
20 車両
23 光送信部
24 光受信部
26 第1受光系(通信用の受光系)
27 第2受光系(測定用の受光系)
28 通信IC(通信処理部)
29 位置IC(位置処理部)
30 メインCPU(判定処理部)
32 通信用の変換素子(PD)
36 測定用の変換素子(PSD)
40 分割PD(複数のフォトダイオード)
Claims (4)
- 走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
上りの光信号を電気信号に変換する受光素子を含み、高低2種類の伝送速度の光信号に対応する光受信部と、
電気信号を下りの光信号に変換する発光素子を含む光送信部と、
複数の上りフレームのうちいずれかの受信を契機として行うダウンリンク切り替えと、アップリンク位置補正情報の生成とを実行可能であり、低速の前記上りフレームを受信した場合は前記ダウンリンク切り替えを行い、高速の前記上りフレームを受信した場合は前記ダウンリンク切り替えを行わない通信制御部と、を備えており、
前記通信制御部は、前記ダウンリンク切り替えの契機となる低速の前記上りフレームを受信した場合に、その受信時における前記アップリンク位置補正情報を前記ダウンリンク切り替え後の下りフレームに含めることを特徴とする光ビーコン。 - 前記光受信部は、次の2種類の受光系を含む請求項1に記載の光ビーコン。
通信用の受光系:受光素子が出力する電気信号からビットデータを抽出する受光系
測定用の受光系:受光素子が出力する電気信号からアップリンク位置の測定に用いる測定データを生成する受光系 - 前記受光素子は、通信用の変換素子と、これとは別個の測定用の変換素子とを含み、
前記測定用の変換素子は、光信号の受光面上の入射位置が車両進行方向における光信号の送信位置と対応するように配置され、その入射位置に応じた電気信号を出力する位置検出素子よりなる請求項2に記載の光ビーコン。 - 前記受光素子は、通信用と測定用に兼用可能な変換素子よりなり、
前記変換素子は、車両進行方向に並ぶ道路上の分割領域に対応する受光面をそれぞれ有する複数のフォトダイオードよりなる請求項2に記載の光ビーコン。
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