JP5383011B2 - 熱収縮性フィルム、並びにこの熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器 - Google Patents
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Description
軟質成分(D):ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン系エラストマー
本発明のフィルムは、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する。
本発明のフィルムで使用されるポリ乳酸系樹脂(A)は、D−乳酸又はL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体であり、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
本発明のフィルムで使用される熱可塑性樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。中でも熱可塑性樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)を含む場合、空孔を含有することができ、それによって光線透過率を抑えること(すなわち遮光性を付与すること)は可能であるが、内部に充填剤(C)を含有させることにより、さらにその光線透過率を抑えることが可能となる。
本発明フィルムはさらに耐破断性を向上させる目的にて軟質成分(D)を添加することが好ましい。このような軟質成分(D)としては、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA、EMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EAMA、EMMA)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、酸変性SEBS等のスチレン系エラストマー等が好適に用いられ、その中でも、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等がさらに好適に用いられる。
本発明のフィルムは、上記混合樹脂を用いて、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
本発明のフィルムの層構成は、単層であっても構わないし、また、フィルム表面に滑り性、耐熱性、耐溶剤性、易接着性等の表面機能特性を付与する目的で、積層構成としてもよい。すなわち、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する層を少なくとも1層有する積層体であってもよい。例えばポリ乳酸系樹脂(A)を主成分として含有する層(I)に、樹脂組成又は添加剤の異なる層(II)や(III)を積層した場合には、(I)/(II)、(II)/(I)/(II)、(II)/(I)/(III)、(II)/(I)/(III)/(II)などの層構成例が挙げられる。また、各層の積層比は用途、目的に応じて適時調整することができる。
なお、本明細書において「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸の大きい方向を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。また、「主収縮方向と直交する方向」とは、延伸の大きい方向と直交する方向をいう。
ところで、前記のフィルム製造方法で使用される冷却ロールは、前記押出機の下方に存在するため、前記押出機から押し出されたフィルムが冷却ロールに到達するまでに、自重により、多少延伸された状態になる。このとき、フィルムは前記押出機から押し出された段階であるため高温状態にあり、フィルムが熱可塑性樹脂(B)を含有する場合、ポリ乳酸系樹脂(A)からなるマトリックスだけでなく、熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインも主収縮方向と直交する方向(流れ方向)に延ばされる。このため、特に熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインは、流れ方向(フィルム主収縮方向と直交する方向)に伸長された状態となる。このときの熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインのアスペクト比を調整することによってフィルムの耐破断性を向上させることも可能となる。
本発明のフィルムは延伸することにより、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)、及び充填剤(C)との界面に空孔が形成され、それにより遮光性が付与される。空孔は真比重と嵩比重との比重差より算出されるが、その空隙率は5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。充填剤(C)を含有させることによりある程度の遮光性は得られるが、本発明では空孔を形成することにより充填剤(C)のみでは遮光しきれない高波長側の遮光性をも付与できる。空隙率の上限は特に制限されないが、70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下とすることで、フィルムの強度を保持できる。本発明におけるフィルムを積層体とした場合には、空孔を含有する層における空隙率が前記条件を満たすことが好ましい。
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)や充填剤(C)との界面や空孔との界面で光線が屈折・反射すること、及び混合樹脂や充填剤に光線が一部吸収されることによって不透明白色の光線遮断性(遮光性)を有している。内容物を劣化、変質させる恐れのある240nm以上400nm以下の紫外領域、及び内容物の隠蔽性に関わる400nm以上800nm以下の可視領域をあわせた240nm以上800nm以下(紫外可視領域)での、JIS K 7015に基づいて測定された光線透過率がいずれの波長においても40%以下であることが必要であり、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。光線透過率が40%以下であれば遮光性は十分であり、内容物保護、隠蔽性に欠けるという不具合を発現しづらく、好適である。
本発明のフィルムの、80℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が、40%以上、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上であり、かつ80%以下、好ましくは75%以下であることが必要である。これは、例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムでは、その形状によって様々であるが、一般に20%乃至70%程度の熱収縮率が要求されるため、そのような用途において好適に対応し得るようにするためである。
本発明のフィルムの耐破断性は引張破断伸度により評価され、0℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が100%以上、好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。0℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が200%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程スピードを考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性(引張弾性率)が低下してしまう傾向となる。
本発明のフィルムの腰(常温での剛性)は、引張弾性率により評価することができ、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上であり、1.4GPaであることが好ましく、1.6GPa以上であることがさらに好ましい。また、本発明のフィルムの引張弾性率の上限は、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値と同様、3.0GPa程度であり、好ましくは2.9GPa程度であり、さらに好ましくは2.8GPa程度である。フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、特にフィルムの厚みを薄くした場合においても、ペットボトルなどの容器に、製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際、斜めに被ってしまう、フィルムの腰折れを起こす等の不具合による歩留まり低下を防ぐことができるため好ましい。
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂(B)を含有する場合、空孔を有するため、ポリ乳酸系樹脂(A)又は熱可塑性樹脂(B)と空気との界面で光線が屈折・反射し、さらに充填剤(C)を添加していることより、全体として不透明白色様の外観を呈することとなるので、遮光性が求められる用途などに特に好適である。さらに、空孔を有するため通常の熱可塑性樹脂よりも熱伝導効率が低下し、例えばホット飲料用ラベルなどの断熱性・保温性を求められる用途に特に好適である。さらに、空孔を有するためクッション性にも優れ、壊れやすいものや割れやすいものなどの保護用途にも適している。
本発明のフィルムは、フィルムの印刷適性、遮光性、高剛性、耐破断性、収縮仕上り性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではなく、必要に応じて、印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。
なお、実験例及び比較例中の物性値及び評価は、以下の方法により測定し、評価を行った。ここで、フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、それと直交方向をTDと記載する。
<光線透過率>
得られたフィルムをMD50mm×TD50mmの大きさに切り出し、積分球が取り付けられた分光光度計(「U−4000」、(株)日立製作所製)にて波長240nmから800nmまで走査周期0.5nmにて光線透過率を測定した。表1には波長が315nm、550nmの光線透過率及び、240nmから800nmの間での最大光線透過率を表示した。
熱収縮性フィルムロールからMD100mm×TD100mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片を80℃温水バスに10秒間浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率のMD/TDのうち大きい値を%値で表示した。結果を表1に示す。
フィルムの製造工程及び使用時の耐破断性を評価するため、下記測定を行った。
熱収縮性フィルムロールからMD110mm×TD15mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片をJIS K6732に準拠して、雰囲気温度0℃の場合は引張速度100mm/minのそれぞれの条件でフィルムのMDでの引張破断伸度を測定した。10回の測定値の平均値を表1に示す。
熱収縮性フィルムの剛性を評価するため、下記の測定を行った。
熱収縮性フィルムロールからMD400mm×TD5mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片をJIS K7127に準じて、チャック間距離300mm、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(MD)について測定し、測定値を表2に示す。
ポリ乳酸系樹脂(A)
・三井化学株式会社:ポリ乳酸樹脂(商品名:LACEA H−440、L体/D体量=95.8/4.2、以下、「PLA1」と略する。)
・ネイチャーワークス社:ポリ乳酸樹脂(商品名:NatureWorks4050、L体/D体量=95/5、以下、「PLA2」と略する。)
・ネイチャーワークス社:ポリ乳酸樹脂(商品名:NatureWorks4060、L体/D体量=89/11、以下、「PLA3」と略する。)
・日本ポリプロ(株):ホモポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FY6H、70℃における弾性率:0.60GPa、MFR=1.9g/10分、以下「PO1」と略する。)
・日本ポリプロ(株):ホモポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FY4、70℃における弾性率:0.57GPa、MFR=5.0g/10分、以下「PO2」と略する。)
・住友化学(株):ランダムポリプロピレン樹脂(商品名:ノーブレンS131、70℃における弾性率:0.26GPa、MFR=1.5g/10分、以下「PO3」と略する。)
・日本ポリプロ(株):ブロックポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP EC7、70℃における弾性率:0.32GPa、MFR=1.5g/10分、以下「PO4」と略する。)
・酸化チタン:デュポン社製 商品名:R108(以下「FL1」と略する)
・硫酸バリウム:堺化学(株)製 商品名:B−55(以下「FL2」と略する)
・三菱レイヨン(株)社製・シリコーンアクリル複合ゴム(商品名:メタブレンS2001、コアシェル構造アクリル−シリコーン共重合体、以下、「S2001」と略する)
・カネカ(株):スチレン−ブタジエン複合ゴム(商品名:B−561、コアシェル構造共重合体、スチレン−ブタジエン―アクリル共重合体、以下「B561」と略する。)
表1に示すポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、充填剤(C)、軟質成分(D)、及びその他の添加物を混合して得られた混合樹脂を2軸押出機(三菱重工業(株)製)に投入し、設定温度200℃で溶融混合し、設定温度200℃の口金よりより押出した後、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ180μmの未延伸シートを得た。次いで、フィルムテンター(京都機械(株)製)にて、表1の条件下で横方向に延伸をして、熱収縮性フィルムを得た。次いで得られた熱収縮性フィルム端部をスリットし、除去した後、このフィルムを1000m巻き取った。得られた熱収縮性フィルムの厚さは50μmであった。得られたフィルムの評価結果を表1及び2に示す。
これに対し、比較例1のフィルムは、熱可塑性樹脂(B)を含有していないため、空隙による遮光性が得られず、本発明で規定される光線透過率を満たさないことが分かる。さらに、比較例1は軟質成分(D)も未含有のため、耐破断性も低い結果となっている。また、比較例2においては、充填剤量を明細に記載されている1%以上含有していないため、光線透過率が本発明で規定される範囲外となった。
Claims (9)
- 主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)、及び充填剤(C)と軟質成分(D)とを含み、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)は質量比で95/5〜50/50、充填剤(C)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して1質量部以上25質量部以下、軟質成分(D)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して5質量部以上70質量部以下配合するフィルムを少なくとも一方向に延伸してなり、波長240nm以上800nm以下の範囲における光線透過率が40%以下であり、かつ80℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が40%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
- 前記軟質成分(D)が下記の少なくとも1種である請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
軟質成分(D):ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン系エラストマー - 空孔を有する請求項1〜2のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 熱可塑性樹脂(B)がポリオレフィン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 充填剤(C)が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 充填剤(C)が酸化チタンであり、波長240nm以上400nm以下の範囲における光線透過率が20%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを用いてなる成形品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを用いてなる熱収縮性ラベル。
- 請求項7に記載の成形品又は請求項8に記載の熱収縮性ラベルを装着してなる容器。
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