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JP5383011B2 - 熱収縮性フィルム、並びにこの熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器 - Google Patents

熱収縮性フィルム、並びにこの熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器 Download PDF

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JP5383011B2 JP2007211517A JP2007211517A JP5383011B2 JP 5383011 B2 JP5383011 B2 JP 5383011B2 JP 2007211517 A JP2007211517 A JP 2007211517A JP 2007211517 A JP2007211517 A JP 2007211517A JP 5383011 B2 JP5383011 B2 JP 5383011B2
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Description

本発明は、熱収縮性フィルム、並びにこの熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器に関する。より詳しくは、本発明は、環境負荷を低減させ、遮光性、高剛性、耐破断性、収縮特性に優れた熱収縮性フィルム、並びにこの熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器に関する。
従来、容器などの包装用途・結束用途として、熱収縮性フィルムが用いられてきた。この熱収縮性フィルムの原料は、主としてポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルなどが用いられている。
これらは、いずれも石油資源を原料として使用しているため、継続的に使用していく上では石油資源の枯渇の問題、使用後の燃焼時に有害なガスが発生する問題、燃焼カロリーが高すぎるため燃焼炉を痛め、炉の寿命を縮める問題等を抱えている。
これらの問題を解決する材料として、植物由来であり、かつ工業的に生産が可能なポリ乳酸が注目されている。すなわち、ポリ乳酸は、とうもろこしなどのバイオマスを原料とするため、持続可能型社会を目指す上で好適であり、また、燃焼時に有害ガスを発生せず、燃焼カロリーが低いため燃焼炉を傷めることもないため、環境負荷も少ない。
しかし、熱収縮性ラベルの材料としてポリ乳酸を使用した場合、剛性が高く、低温収縮性に優れ、かつ自然収縮が小さいという特長を有する反面、耐破断性に問題があり、ポリ乳酸単独では高品質な熱収縮性ラベルを作製することは困難であった。
このポリ乳酸の耐破断性を改良するため、ポリ乳酸に相溶する軟質成分を添加した熱収縮性フィルムも提案されている(特許文献1参照)。このフィルムは、軟質成分を添加することにより耐破断性の問題をある程度改善しているが、剛性が低下し、自然収縮が大きくなるという問題があった。また、ポリ乳酸系シュリンクフィルムの収縮仕上がりを調整するために、ポリ乳酸の異性体比率を調整した熱収縮性フィルムも提案されているが(特許文献2参照)、熱収縮フィルムとして剛性、収縮特性を十分に満たすものではなかった。
一方、最近、容器の内容物を紫外線や可視光線から保護する目的で、遮光性機能を有する熱収縮性ラベルが多く用いられるようになり、それに伴い、遮光性機能を付与した芳香族ポリエステル系収縮ラベルが多く提案されている(特許文献3、4参照)。また、ポリエステル系樹脂に非相溶樹脂を添加後、延伸して空孔を形成し、遮光性機能を付与する熱収縮フィルムも開発されている(特許文献5参照)。しかし、これらの熱収縮性フィルムは、いずれも石油由来の樹脂である芳香族ポリエステルを使用しているため、環境負荷という問題がある上、ポリ乳酸系樹脂と比べて延伸成形時に空孔を形成し難いという欠点があった。
上記課題を解決する目的で、ポリ乳酸に非相溶樹脂を混合した熱収縮性空孔フィルムが提案されている(特許文献6参照)。しかしながら、このフィルムは、十分な空孔を形成できるが、十分な遮光性機能を有するものではなかった。
特開2003−119367号公報 特開2001−011214号公報 特開2003−236930号公報 特開2004−114498号公報 特開2003−321562号公報 特開2006−45296号公報
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、植物由来であるポリ乳酸系樹脂を用いて、環境負荷を低減させ、かつ遮光性機能を有し、高剛性、耐破断性、収縮特性に優れた熱収縮性フィルムを提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した前記フィルムを用いた熱収縮性ラベル、成形品及び容器を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術の課題を解決すべく、ポリ乳酸系樹脂を用いた熱収縮性フィルムにつき鋭意検討した結果、環境負荷が少なく、十分な遮光性機能を発揮し、高剛性、耐破断性、収縮特性に優れた熱収縮性フィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)、及び充填剤(C)と軟質成分(D)とを含み、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)は質量比で95/5〜50/50、充填剤(C)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して1質量部以上25質量部以下、軟質成分(D)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して5質量部以上70質量部以下配合するフィルムを少なくとも一方向に延伸してなり、波長240nm以上800nm以下の範囲における光線透過率が40%以下であり、かつ80℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が40%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルムによって達成される。
本発明の熱収縮性フィルムは、前記軟質成分(D)が下記の少なくとも1種であることが好ましい。
軟質成分(D):ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン系エラストマー
本発明の熱収縮性フィルムは空孔を有することが好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムが熱可塑性樹脂(B)を含有する場合、熱可塑性樹脂(B)はポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムが充填剤(C)を含有する場合、充填剤(C)は炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムが充填剤(C)を含有する場合、充填剤(C)は酸化チタンであり、波長240nm以上400nm以下の範囲における光線透過率が20%以下であることが好ましい。
本発明のもう一つの課題は、本発明の熱収縮性フィルムを用いてなる成形品、熱収縮性ラベル、該成形品又は該ラベルを装着してなる容器により達成される。
本発明の熱収縮性フィルムは、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含み、かつ波長240nm以上800nm以下の光線透過率が40%以下であるため、本発明であれば十分な遮光機能を発揮し、高剛性、耐破断性、収縮特性に優れる熱収縮性フィルムを提供できる。また、本発明では乳酸系樹脂組成物を主成分として使用するため、バイオマスの使用を促し、循環型社会を構築する上で有用である。
さらに、本発明によれば、優れた収縮仕上がり性と遮光性とを有する収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した成形品、熱収縮性ラベルを提供することができる。さらに、本発明によれば、装着物の形状にかかわらず所望の位置に密着固定させることができ、皺、アバタの発生、収縮不十分等の異常がなく、かつ遮光性のある綺麗な外観を呈した前記成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器を提供できる。
以下、本発明の熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及びこの成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器(以下、それぞれを「本発明のフィルム」、「本発明の成形品」、「本発明のラベル」及び「本発明の容器」ともいう。)について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であって100質量%以下の範囲を占める成分である。
[熱収縮性フィルム]
本発明のフィルムは、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
本発明のフィルムで使用されるポリ乳酸系樹脂(A)は、D−乳酸又はL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体であり、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
上記L−乳酸とD−乳酸との共重合体は、D−乳酸とL−乳酸との共重合比(以下「D/L比」と略する。)が3/97〜15/85、又は85/15〜97/3であることが好ましく、5/95〜15/85、又は85/15〜95/5であることがより好ましく、8/92〜15/85、又は85/15〜92/8であることがさらに好ましく、10/90〜15/85、又は85/15〜90/10であることが最も好ましい。
D−乳酸の共重合比が97より高い、又は3未満の場合は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷及び溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性及び溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、加熱時のフィルム収縮特性が低下する傾向がある。さらに、延伸条件を調整することによって結晶化を抑えたフィルムとしても、熱収縮時に加熱により結晶化が収縮より先に進行してしまいその結果、収縮ムラや収縮不足を生じてしまう傾向がある。一方、D−乳酸の共重合比が85未満、又は15より高い場合は、結晶性がほぼ完全になくなってしまうため、その結果加熱収縮後にラベル同士がぶつかった場合に熱にて融着してしまうなどのトラブルが発生しやすくなる。そこで、上記の範囲にポリ乳酸樹脂のD−乳酸とL−乳酸との構成比を調整することにより、先記のような問題を生じない収縮特性の優れた熱収縮フィルムを得ることが可能となる。
本発明のフィルムは、DL比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能であり、かつ、ブレンドした方がポリ乳酸系樹脂のD/L比をより容易に調整できるので、より好ましい。この場合には、複数の乳酸系重合体のDL比を、平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、DL比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上ブレンドし、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとり、さらに空孔形成が良好であるフィルムを得ることが可能となる。
また、上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、この発明の効果を損なわない範囲において、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
上記α−ヒドロキシカルボン酸単位としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、上記脂肪族ジオール単位としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロへキサンジメタノール等が挙げられる。また、上記ジカルボン酸単位としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スべリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸等との共重合体における共重合比は特に限定されないが、乳酸の占める割合が高いほど、石油資源の消費が少ないため好ましく、また後述するビカット軟化点の範囲を超えない程度の割合で共重合すると好ましい。具体的には乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体の共重合比は乳酸:α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸=95:5〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、さらに好ましくは80:20〜30:70である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。
ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限が400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
ポリ乳酸系樹脂(A)の製造方法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知の方法を採用することも可能である。例えば縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又は、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
ポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点は、50℃以上、好ましくは55℃以上であり、95℃以下、好ましくは85℃以下であることが望ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点が50℃以上であれば、得られる熱収縮性フィルムを常温よりやや高い温度、例えば夏場に放置しておいても、自然収縮を抑制できる。またポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点が95℃以下であれば、フィルムの延伸時に低温延伸を実現可能となり、得られるフィルムに良好な収縮特性を与えることができる。
ポリ乳酸系樹脂(A)の市販品としては、例えば、「NatureWorks」(Nature WorksLLC社製)、「LACEA」(三井化学(株)製)などが挙げられる。
本発明のフィルムは、上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外にさらにポリ乳酸系樹脂(A)と非相溶の熱可塑性樹脂(B)を含有することができる。
<熱可塑性樹脂(B)>
本発明のフィルムで使用される熱可塑性樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。中でも熱可塑性樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本明細書において、「非相溶」とは、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂組成物を電子顕微鏡等の光学装置を用いて観察したときに、ポリ乳酸系樹脂(A)中において熱可塑性樹脂(B)が円相当径で平均0.1μm以上のドメインを形成している状態をいう。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマーの重合体、スチレン系モノマーとそれらと共重合可能な他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等のアルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン化スチレン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はメタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又はメタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル又はメタクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸(C1〜C8)エステル又はメタクリル酸(C1〜C8)エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドのようなN−置換マレイミド等のマレイン酸及びその誘導体等から選ばれる1種以上が挙げられる。中でもアクリル酸ブチルを用いることが好ましい。
上記ポリスチレン系樹脂は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂の分子量は、質量平均分子量(Mw)で100,000以上、好ましくは150,000以上とすることができる。また、前記質量平均分子量(Mw)の上限値は、500,000、好ましくは400,000、さらに好ましくは300,000とすることができる。ポリスチレン系樹脂の分子量が100,000以上であれば、フィルムの劣化が生じるような欠点もなく好ましい。さらに、ポリスチレン系樹脂の分子量が500,000以下であれば、流動特性を調整する必要なく、押出性が低下するなどの欠点もないため好ましい。
上記ポリカーボネート系樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族ポリカーボネート系樹脂は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など公知のいずれかの方法を用いて製造することができる。以下に、一例として、エステル交換法による芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造方法を説明する。
エステル交換法は、2価フェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加して、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。2価フェノールの代表例としては、ビスフェノール類が挙げられ、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部又は全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンや1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのような化合物、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなアルキル化ビスフェノール類、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は、力学特性と成形加工性のバランスを考慮すると、重量平均分子量が、通常、10,000以上、好ましくは20,000以上であり、また、100,000以下、好ましくは50,000以下のものが用いられる。重量平均分子量が10,000以上であれば、得られる芳香族ポリカーボネート系樹脂の力学強度が低下することがなく、また、上限が100,000であれば、適度な溶融粘度が得られるため、成形加工性も維持でき、また、比較的短時間で重合できるため、生産サイクルやコストの点からも好ましい。なお、本発明のフィルムでは、芳香族ポリカーボネート系樹脂を一種のみを単独で、又は二種以上を混合して使用してもよい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、高結晶性ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリメチルテルペン、又はこれらの混合樹脂等が挙げられる。中でもポリ乳酸系樹脂(A)と混合した際に効率的に空孔を形成できる高結晶性ホモポリプロピレンを用いるのが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂は、周波数10Hz、歪み0.1%で測定したときの70℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上であることが好ましく、0.4GPa以上であることがより好ましい。貯蔵弾性率が0.25GPa以上であれば、延伸工程においてフィルムに適度に空孔を形成することができる。また同様の条件における貯蔵弾性率は、2.0GPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率が2.00GPa以下であれば所望の結晶性が得られる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂は、JIS K7211に基づいて測定されるメルトフローレート(以下、「MFR」と略記する。)が、0.5g/10分以上であることが好ましく、1.0g/10分以上であることがより好ましい。またMFRは、50g/10分以下であることが好ましく、35g/10分以下であることがより好ましく、20g/10分以下であることがさらに好ましい。ポリオレフィン系樹脂のMFRが1.0g/10分以上であれば分散ドメインのサイズが大きくなりすぎたり、分散状態が悪く空孔が均一に発生しにくくなったりするなどの不具合を生じることなく、好適である。一方、ポリオレフィン系樹脂のMFRが50g/10分以下であれば、分散ドメイのンサイズが小さくなり不具合を生じることなく好適である。
上記ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、より具体的には、ポリエチレン系樹脂として商品名「ノバテックHD、LD、LL」「カーネル」「タフマーA,P」(日本ポリエチレン(株))、「サンテックHD,LD」(旭化成ライフ&リビング(株)製 )、「HIZEX」「ULTZEX」「EVOLUE」(三井化学(株)製)、「モアテック」(出光興産(株)製)、「UBEポリエチレン」「UMERIT」(宇部興産(株)製)、「NUCポリエチレン」「ナックフレックス」(日本ユニカー(株)製)、「Engage」(ダウケミカル社製)などが挙げられる。またポリプロピレン系樹脂の市販品としては、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」「タフマーXR」(日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学(株)製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」「エクセレンEPX」(住友化学(株)製)、「IDEMITSU PP」「IDEMITSU TPO」(出光興産(株)製)、「Adflex」「Adsyl」(サンアロマー(株)製)などが挙げられる。また、ポリメチルペンテン系樹脂の市販品としては、「TPX」(三井化学(株)製)が挙げられる。これらは、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
熱可塑性樹脂(B)としてポリオレフィン系樹脂を使用した場合、ポリオレフィン系樹脂はポリ乳酸系樹脂(A)より比重が小さいため、熱可塑性樹脂(B)を含むフィルムの比重をポリ乳酸系樹脂(A)単独からなるフィルムの場合より比重を小さくすることができる。
熱可塑性樹脂(B)はポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶であるため、ポリ乳酸系樹脂(A)が熱可塑性樹脂(B)より多く含まれる場合、ポリ乳酸系樹脂(A)が海部分、すなわちマトリックスを形成し、熱可塑性樹脂(B)が島部分、すなわち分散ドメインを形成する。詳細については後述する。
本発明のフィルムにおいて、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)との質量比は、ポリ乳酸系樹脂(A)中に所望の熱可塑性樹脂(B)の分散ドメインが得られるよう適宜調整できる。好ましくはポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比は、95/5〜50/50の範囲で調整され、90/10〜60/40の範囲がより好ましく、80/20〜70/30の範囲であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムにおいて、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合した樹脂組成物は、上記のとおりポリ乳酸系樹脂(A)が熱可塑性樹脂(B)より多く含まれている場合、ポリ乳酸系樹脂(A)がマトリックスを形成し、熱可塑性樹脂(B)が分散ドメインを形成し、フィルム全体として海島構造を形成する。この樹脂組成物をシート状に形成し、さらに少なくとも一方向に延伸した場合、マトリックスであるポリ乳酸系樹脂(A)と分散ドメインである熱可塑性樹脂(B)との界面において剥離が生じ、空孔を形成させることができる。
したがって、フィルム中に空孔を発生させる場合、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)の含有率が5質量%未満では十分な空孔形成や耐破断性向上の機能が不十分となってしまい、また50質量%より多い場合には先述したような海島構造が取れなくなり、その結果、空孔形成も不十分となり、かつ剛性も不十分となってしまう。
<充填剤(C)>
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)を含む場合、空孔を含有することができ、それによって光線透過率を抑えること(すなわち遮光性を付与すること)は可能であるが、内部に充填剤(C)を含有させることにより、さらにその光線透過率を抑えることが可能となる。
充填剤(C)は、フィルムに遮光性を付与できるものであれば無機充填剤及び有機充填剤のいずれであってもよい。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、アスベスト粉、シラスバルーン、ゼオライト、珪酸白土などが挙げられ、特に炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、珪藻土、硫酸バリウムなどが好適である。有機充填剤としては、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の混合物であってもよい。
上記充填剤(C)は、フィルムを構成するベース樹脂としてのポリ乳酸系樹脂(A)との屈折率差が大きいもの、すなわち無機系充填剤であって屈折率が大きいものを用いることが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが好ましく、これらの中でも酸化チタンを用いることがより好ましい。酸化チタンを用いることにより、内容物を劣化させる280〜380nmの紫外線領域の波長を良好に吸収するため、より少ない充填量でフィルムの遮光性を付与することができ、また薄肉でもその効果を得ることができる。
本発明のフィルムで用いられる酸化チタンとしては、例えば、アナタース型酸化チタン及びルチル型酸化チタンのような結晶形の酸化チタンが挙げられる。ベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンの結晶形のものを用いることが好ましい。
酸化チタンの中でも、高純度酸化チタンを用いることで外観の黄色味などを最小限に抑えることも可能となる。高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンであり、例えばバナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものをいい、本発明では、バナジウムの含有量が5ppm以下、好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下の酸化チタンを高純度酸化チタンと称する。高純度酸化チタンは、光吸収能を小さくするという観点からは、酸化チタンに含まれる、その他の着色元素である鉄、ニオブ、銅、マンガン等も少なくすることが好ましい。
本発明のフィルムでは、酸化チタンと他の充填剤とを併用することもできる。また、充填剤(C)の樹脂(すなわち、ポリ乳酸系樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B))への分散性を向上させるために、充填剤(C)の表面に、シリコーン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
上記表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等からなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる充填剤(C)の大きさは、酸化チタンを用いる場合、粒径が円相当径で0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、1μm以下、好ましくは0.5μm以下であることが望ましい。酸化チタンの粒径が円相当径で0.1μm以上あれば、ポリ乳酸系樹脂(A)又はポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が円相当径で1μm以下であれば、ポリ乳酸系樹脂(A)又はポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、より遮光性を向上させることができる。
本発明のフィルムに含まれる充填剤(C)の含有量は、フィルムの遮光性、機械的物性、生産性等を考慮すると、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂中100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、25質量部以下、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であることが必要である。本発明のフィルムは空孔を有する場合、充填剤(C)は遮光機能の補助的な役目を担うことより、その含有量が1質量部以上であれば、十分に遮光フィルムとして機能することが可能となる。また、充填剤(C)の含有量が25質量部以下にすることによって、熱収縮フィルムとして必要な機能、耐破断性、収縮特性を確保することができる。
[軟質成分(D)]
本発明フィルムはさらに耐破断性を向上させる目的にて軟質成分(D)を添加することが好ましい。このような軟質成分(D)としては、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA、EMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EAMA、EMMA)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、酸変性SEBS等のスチレン系エラストマー等が好適に用いられ、その中でも、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等がさらに好適に用いられる。
前記軟質成分(D)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10質量部以上であり、かつ70質量部以下、好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下であることが望ましい。軟質成分(D)の含有量が5質量部以上であれば、軟質成分(D)の添加効果が得られ、また30質量部以下であれば収縮特性、剛性に影響を与えることはない。
本発明フィルムは、印刷性、溶剤シール性、耐融着性等、表面層としての要求される諸特性を損なわない範囲で、嵩比重の低減等を目的として、上記ポリ乳酸系樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)以外の他の樹脂を含むことができる。このような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
また、本発明フィルムには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で可塑剤、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、加水分解防止剤等の添加剤を添加してもよい。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、上記混合樹脂を用いて、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が挙げられる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も挙げられる。
上記延伸における延伸倍率は、オーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上10倍以下、横方向が2倍以上10倍以下、好ましくは縦方向が3倍以上6倍以下、横方向が3倍以上6倍以下程度である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上7倍以下、より好ましくは3倍以上5倍以下であり、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す)、好ましくは1.01倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。上記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、概ね60℃以上、好ましくは70℃以上であり、上限が100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲で制御される。
延伸温度が60℃以上であれば、延伸過程において原料の弾性率が高くなりすぎるのを抑えられるため、良好な延伸性が得られ、フィルム破断や厚み斑を抑えられる。一方、延伸温度が90℃以下であれば、所望の収縮特性を発現でき、また熱可塑性樹脂(B)の延伸性が高くなることを抑え、マトリックスと分散ドメインとの界面での剥離が促進し、十分な空孔が得られる。
次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また、本発明のフィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
<フィルム構成>
本発明のフィルムの層構成は、単層であっても構わないし、また、フィルム表面に滑り性、耐熱性、耐溶剤性、易接着性等の表面機能特性を付与する目的で、積層構成としてもよい。すなわち、主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する層を少なくとも1層有する積層体であってもよい。例えばポリ乳酸系樹脂(A)を主成分として含有する層(I)に、樹脂組成又は添加剤の異なる層(II)や(III)を積層した場合には、(I)/(II)、(II)/(I)/(II)、(II)/(I)/(III)、(II)/(I)/(III)/(II)などの層構成例が挙げられる。また、各層の積層比は用途、目的に応じて適時調整することができる。
本発明のフィルムにおいて、好適な層構成は層(II)がポリ乳酸系樹脂を主成分とする層の場合である。特に(II)層を構成するポリ乳酸系樹脂のDL比は、層(I)を構成するDL比と異なることが好ましい。(I)層と(II)層において、DL比を変化させ結晶性を異なるように調整することにより、より良好な収縮仕上がり性を実現させることができる。
また、本発明のフィルムは、空孔を含有する場合、この層のほかに、空孔のない、又は空孔含有量を低く抑えた(II)層を配設することにより、印刷性、溶剤シール性などを向上できる。また、(I)層及び(II)層において、使用するポリ乳酸系樹脂の共重合体比率(D/L比)を変更することにより、空隙形成・収縮特性を好ましい範囲に調整できる。
上記の積層体を形成する方法としては、共押出法、各層のフィルムを形成した後に、重ね合わせて熱融着する方法、接着剤等で接合する方法等が挙げられる。
本発明のフィルムの総厚みは、単層であっても積層であっても、特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には、延伸後のフィルムの総厚みが150μm以下であることがよく、好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、20μm以上であることが好ましい。
前記延伸工程での延伸方向は、目的用途によって適宜選択することができるが、本発明のフィルムは後述するとおりMD方向に(B)成分の分散ドメインが伸長した構造をとるため、伸長方向と垂直方向、すなわちTD方向に延伸することにより容易に空孔を形成することができ好適である。
また、一軸延伸の場合、必要に応じてフィルムの主収縮方向と直交する方向に1.01倍から1.8倍程度の弱延伸を付与すると、得られる熱収縮性フィルムの機械的物性が改良されるのでより好ましい。
なお、本明細書において「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸の大きい方向を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。また、「主収縮方向と直交する方向」とは、延伸の大きい方向と直交する方向をいう。
<熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインのアスペクト比>
ところで、前記のフィルム製造方法で使用される冷却ロールは、前記押出機の下方に存在するため、前記押出機から押し出されたフィルムが冷却ロールに到達するまでに、自重により、多少延伸された状態になる。このとき、フィルムは前記押出機から押し出された段階であるため高温状態にあり、フィルムが熱可塑性樹脂(B)を含有する場合、ポリ乳酸系樹脂(A)からなるマトリックスだけでなく、熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインも主収縮方向と直交する方向(流れ方向)に延ばされる。このため、特に熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインは、流れ方向(フィルム主収縮方向と直交する方向)に伸長された状態となる。このときの熱可塑性樹脂(B)からなる分散ドメインのアスペクト比を調整することによってフィルムの耐破断性を向上させることも可能となる。
<空孔>
本発明のフィルムは延伸することにより、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)、及び充填剤(C)との界面に空孔が形成され、それにより遮光性が付与される。空孔は真比重と嵩比重との比重差より算出されるが、その空隙率は5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。充填剤(C)を含有させることによりある程度の遮光性は得られるが、本発明では空孔を形成することにより充填剤(C)のみでは遮光しきれない高波長側の遮光性をも付与できる。空隙率の上限は特に制限されないが、70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下とすることで、フィルムの強度を保持できる。本発明におけるフィルムを積層体とした場合には、空孔を含有する層における空隙率が前記条件を満たすことが好ましい。
<光線透過率>
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)や充填剤(C)との界面や空孔との界面で光線が屈折・反射すること、及び混合樹脂や充填剤に光線が一部吸収されることによって不透明白色の光線遮断性(遮光性)を有している。内容物を劣化、変質させる恐れのある240nm以上400nm以下の紫外領域、及び内容物の隠蔽性に関わる400nm以上800nm以下の可視領域をあわせた240nm以上800nm以下(紫外可視領域)での、JIS K 7015に基づいて測定された光線透過率がいずれの波長においても40%以下であることが必要であり、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。光線透過率が40%以下であれば遮光性は十分であり、内容物保護、隠蔽性に欠けるという不具合を発現しづらく、好適である。
また、特に内容物保護という目的からは、内容物を劣化、変質させる240nm以上、400nm以下の紫外領域ではその波長範囲の平均が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらにより好ましい。
本発明のフィルムにおいて、波長240nm以上800nm以下の光線透過率を上記範囲に調整するためには、フィルムを構成する樹脂組成物を本発明で記載するような樹脂の組成及び含有量に調整するとともに、延伸温度を低めに設定したり、延伸倍率を大きくしたりすることが好ましい。例えば、光線透過率をより低下させたい場合には、熱可塑性樹脂(B)の含有量を上げる、充填剤(C)の含有量を上げる、延伸倍率を高くする、延伸温度を低くする等の手段を用いるとよい。さらに、240nm以上400nm以下の紫外領域の光線透過率を上記範囲に調整するには、充填剤として酸化チタンを用いることが好ましい。
<熱収縮率>
本発明のフィルムの、80℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が、40%以上、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上であり、かつ80%以下、好ましくは75%以下であることが必要である。これは、例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムでは、その形状によって様々であるが、一般に20%乃至70%程度の熱収縮率が要求されるため、そのような用途において好適に対応し得るようにするためである。
また、現在ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。さらに、近年のラベリング工程の高速化に伴い、より低温で素早く収縮する要求が高くなってきた。このような工業生産性も考慮して、前記条件における熱収縮率が少なくとも20%のフィルムであれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着することができるため好ましい。
また、本発明のフィルムが熱収縮性ラベルとして用いられる場合、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、80℃の温水中で10秒間浸漬したときは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法自体が短くなったり、収縮後の印刷柄や文字の歪み等が生じやすかったり、角型ボトルの場合においては縦ひけ等のトラブルが発生し難く、好ましい。
<耐破断性>
本発明のフィルムの耐破断性は引張破断伸度により評価され、0℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が100%以上、好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。0℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が200%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程スピードを考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性(引張弾性率)が低下してしまう傾向となる。
<剛性>
本発明のフィルムの腰(常温での剛性)は、引張弾性率により評価することができ、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上であり、1.4GPaであることが好ましく、1.6GPa以上であることがさらに好ましい。また、本発明のフィルムの引張弾性率の上限は、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値と同様、3.0GPa程度であり、好ましくは2.9GPa程度であり、さらに好ましくは2.8GPa程度である。フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、特にフィルムの厚みを薄くした場合においても、ペットボトルなどの容器に、製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際、斜めに被ってしまう、フィルムの腰折れを起こす等の不具合による歩留まり低下を防ぐことができるため好ましい。
<用途>
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂(B)を含有する場合、空孔を有するため、ポリ乳酸系樹脂(A)又は熱可塑性樹脂(B)と空気との界面で光線が屈折・反射し、さらに充填剤(C)を添加していることより、全体として不透明白色様の外観を呈することとなるので、遮光性が求められる用途などに特に好適である。さらに、空孔を有するため通常の熱可塑性樹脂よりも熱伝導効率が低下し、例えばホット飲料用ラベルなどの断熱性・保温性を求められる用途に特に好適である。さらに、空孔を有するためクッション性にも優れ、壊れやすいものや割れやすいものなどの保護用途にも適している。
[成形品、熱収縮性ラベル及び容器]
本発明のフィルムは、フィルムの印刷適性、遮光性、高剛性、耐破断性、収縮仕上り性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではなく、必要に応じて、印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。
特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。そして、得られる成形品は、容器等として使用できる。
本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製できる。
本発明のフィルムは、優れた低温収縮性、収縮仕上がり性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明のフィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
本発明のフィルムが利用できるプラスチック包装体を構成する材質としては、前記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に本発明について実施例を用いて説明する。
なお、実験例及び比較例中の物性値及び評価は、以下の方法により測定し、評価を行った。ここで、フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、それと直交方向をTDと記載する。
[測定方法及び評価方法)
<光線透過率>
得られたフィルムをMD50mm×TD50mmの大きさに切り出し、積分球が取り付けられた分光光度計(「U−4000」、(株)日立製作所製)にて波長240nmから800nmまで走査周期0.5nmにて光線透過率を測定した。表1には波長が315nm、550nmの光線透過率及び、240nmから800nmの間での最大光線透過率を表示した。
<熱収縮率>
熱収縮性フィルムロールからMD100mm×TD100mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片を80℃温水バスに10秒間浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率のMD/TDのうち大きい値を%値で表示した。結果を表1に示す。
<耐破断性>
フィルムの製造工程及び使用時の耐破断性を評価するため、下記測定を行った。
熱収縮性フィルムロールからMD110mm×TD15mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片をJIS K6732に準拠して、雰囲気温度0℃の場合は引張速度100mm/minのそれぞれの条件でフィルムのMDでの引張破断伸度を測定した。10回の測定値の平均値を表1に示す。
<引張弾性率>
熱収縮性フィルムの剛性を評価するため、下記の測定を行った。
熱収縮性フィルムロールからMD400mm×TD5mmの大きさのフィルム片を切り出し、このフィルム片をJIS K7127に準じて、チャック間距離300mm、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(MD)について測定し、測定値を表2に示す。
また、各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
ポリ乳酸系樹脂(A)
・三井化学株式会社:ポリ乳酸樹脂(商品名:LACEA H−440、L体/D体量=95.8/4.2、以下、「PLA1」と略する。)
・ネイチャーワークス社:ポリ乳酸樹脂(商品名:NatureWorks4050、L体/D体量=95/5、以下、「PLA2」と略する。)
・ネイチャーワークス社:ポリ乳酸樹脂(商品名:NatureWorks4060、L体/D体量=89/11、以下、「PLA3」と略する。)
熱可塑性樹脂(B)
・日本ポリプロ(株):ホモポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FY6H、70℃における弾性率:0.60GPa、MFR=1.9g/10分、以下「PO1」と略する。)
・日本ポリプロ(株):ホモポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FY4、70℃における弾性率:0.57GPa、MFR=5.0g/10分、以下「PO2」と略する。)
・住友化学(株):ランダムポリプロピレン樹脂(商品名:ノーブレンS131、70℃における弾性率:0.26GPa、MFR=1.5g/10分、以下「PO3」と略する。)
・日本ポリプロ(株):ブロックポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP EC7、70℃における弾性率:0.32GPa、MFR=1.5g/10分、以下「PO4」と略する。)
充填剤(C)
・酸化チタン:デュポン社製 商品名:R108(以下「FL1」と略する)
・硫酸バリウム:堺化学(株)製 商品名:B−55(以下「FL2」と略する)
軟質成分(D)
・三菱レイヨン(株)社製・シリコーンアクリル複合ゴム(商品名:メタブレンS2001、コアシェル構造アクリル−シリコーン共重合体、以下、「S2001」と略する)
・カネカ(株):スチレン−ブタジエン複合ゴム(商品名:B−561、コアシェル構造共重合体、スチレン−ブタジエン―アクリル共重合体、以下「B561」と略する。)
(実施例1〜3、5〜13、参考例、比較例1及び2)
表1に示すポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、充填剤(C)、軟質成分(D)、及びその他の添加物を混合して得られた混合樹脂を2軸押出機(三菱重工業(株)製)に投入し、設定温度200℃で溶融混合し、設定温度200℃の口金よりより押出した後、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ180μmの未延伸シートを得た。次いで、フィルムテンター(京都機械(株)製)にて、表1の条件下で横方向に延伸をして、熱収縮性フィルムを得た。次いで得られた熱収縮性フィルム端部をスリットし、除去した後、このフィルムを1000m巻き取った。得られた熱収縮性フィルムの厚さは50μmであった。得られたフィルムの評価結果を表1及び2に示す。
Figure 0005383011
Figure 0005383011
表1より、ポリ乳酸系樹脂(A)に対する熱可塑性樹脂(B)の質量比を本発明の範囲で変更した場合も光線透過率と熱収縮率の値を満たすことが分かる(実施例1〜4)。また、熱可塑性樹脂(B)の種類を変更した場合(実施例5〜7)、充填剤(C)の添加量及び種類を変更した場合(実施例8〜10)、軟質成分(D)の添加量及び種類を変更した場合(実施例11)、ポリ乳酸系樹脂(A)のD体比率を変更した場合(実施例12及び13)も、本発明で規定する光線透過率と熱収縮率を満たしていることが分かる。また、表1及び2より、本発明のフィルムは耐破断性及び高剛性を有する熱収縮性フィルムであることが分かる。
これに対し、比較例1のフィルムは、熱可塑性樹脂(B)を含有していないため、空隙による遮光性が得られず、本発明で規定される光線透過率を満たさないことが分かる。さらに、比較例1は軟質成分(D)も未含有のため、耐破断性も低い結果となっている。また、比較例2においては、充填剤量を明細に記載されている1%以上含有していないため、光線透過率が本発明で規定される範囲外となった。
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂を主成分とするフィルムであるため、環境負荷を低減させることができ、光性、高剛性、耐破断性、収縮特性に優れたフィルムであるため、各種の収縮包装、収縮結束、収縮ラベル等の各種の用途に利用できる。

Claims (9)

  1. 主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂(A)に非相溶な熱可塑性樹脂(B)、及び充填剤(C)と軟質成分(D)とを含み、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)は質量比で95/5〜50/50、充填剤(C)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して1質量部以上25質量部以下、軟質成分(D)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合樹脂100質量部に対して5質量部以上70質量部以下配合するフィルムを少なくとも一方向に延伸してなり、波長240nm以上800nm以下の範囲における光線透過率が40%以下であり、かつ80℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が40%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
  2. 前記軟質成分(D)が下記の少なくとも1種である請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
    軟質成分(D):ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン系エラストマー
  3. 空孔を有する請求項1〜2のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(B)がポリオレフィン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
  5. 充填剤(C)が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
  6. 充填剤(C)が酸化チタンであり、波長240nm以上400nm以下の範囲における光線透過率が20%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを用いてなる成形品。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを用いてなる熱収縮性ラベル。
  9. 請求項7に記載の成形品又は請求項8に記載の熱収縮性ラベルを装着してなる容器。
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