JP5042730B2 - 熱収縮性積層フィルム、ならびに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベルおよび容器 - Google Patents
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Description
本発明のフィルムの第一態様は、図1に示すように、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を主成分とする(I)層11と、該(I)層の両面に形成された少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂を主成分とする(II)層12a、12bにより構成される少なくとも3層を有する積層フィルム10である。
本発明のフィルム10において、(II)層12a、12bは表裏層として機能する層であり、少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂を主成分とする組成物で構成される。本発明のフィルム10は、(II)層12a、12bが少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂を主成分とする組成物からなる層で構成されているため、以下の利点を有する。第一に、表裏層がポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリスチレン系樹脂で構成される熱収縮性フィルムよりも優れた低温収縮性と剛性が得られる。第二に、表裏層がポリオレフィン系樹脂で構成される熱収縮性フィルムよりも印刷時に良好なインキ密着性が得られるため、製膜後のコロナ処理等を省略でき、製造工程を簡略化できる。第三に、製袋時にTHFなどの溶剤によるシールが良好であるため、シール時における接着剤の使用を省略することができ、製造コストの低廉化に資することができる。
本発明のフィルム10において、(I)層11は中間層として機能する層であり、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を主成分とする組成物からなる層である。
本発明のフィルムの第2の態様としては、図2に示すように、(I)層11と(II)層12a、12bとの間に接着性の向上を目的とした接着層23a、23bを有する態様の積層フィルム20を例示することができる。
本発明のフィルムは、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を主成分とする(I)層11と、該(I)層11の両側に積層された少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂を主成分とする(II)層12a、12bとから構成される。本発明のフィルム10、20は、屈折率が比較的近いポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸樹脂とからなる熱収縮性フィルムであるため、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂を添加した際にも、フィルムの透明性を確保することができる。
(1)80℃の貯蔵弾性率(E’)
本発明においては、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、フィルム延伸方向と直交する方向について動的粘弾性を測定した際の、80℃における貯蔵弾性率(E’)が10MPa以上であることが重要であり、より好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは50MPa以上、一方上限は1,000MPa以下、より好ましくは800MPa以下、さらに好ましくは600MPa以下である。80℃における貯蔵弾性率(E’)が10MPa以上であれば、ボトルへの装着工程でフィルムを加熱収縮した際にも、フィルムの剛性が十分にあるため、シワや縦引けを抑制することができる。一方、貯蔵弾性率(E’)が1,000MPa以下であれば、低温での延伸性が良好であり、熱収縮率が確保できるため好ましい。
本発明のフィルムは、80℃温水中で10秒間加熱したときの熱収縮率が少なくとも一方向において30%以上であることが好ましい。この熱収縮率は、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%以上70%以下程度である。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取り、所定の長さ(通常は1000m以上、好ましくは2000m以上、さらに好ましくは3000m以上の長さ。以下同じ。)を有する熱収縮性フィルムを作製する方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
本発明のフィルムは、収縮仕上がり性、低温収縮性に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品のための収縮包装、結束バンドとして用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
得られたフィルムを横4mm×縦60mmの大きさに正確に切り出し、サンプルとした。粘弾性スペクトロメーターDVA‐200(アイティー計測(株)製)を用い、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、縦方向について動的粘弾性を測定した。なお、貯蔵弾性率(E’)として、80℃における貯蔵弾性率(E’)を表2に記載した。
得られた熱収縮性フィルムロールより縦100mm、横10mmの大きさのフィルムを切り取り、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られた熱収縮性フィルムロールより縦100mm、横10mmの大きさのフィルムを切り取り、100℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、縦方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られた熱収縮性フィルムロールより縦50mm、横1,000mmの大きさのフィルムを切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、主収縮方向について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
JIS K7105に準拠して厚み40μmのフィルムのヘーズ値を測定した。
10mm間隔の格子目を印刷したフィルムを縦100mm×横298mmの大きさに切り取り、横方向のフィルム両端を10mm重ねてテトロヒドロフラン(THF)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量1.5リットルの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約4秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、80℃から95℃までの範囲とした。フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:シワ、アバタ、格子目の歪み、および縦引けも生じない。
○:シワ、アバタ、格子目の歪みは生じるが、縦引けは生じない。
×:シワ、アバタ、格子目の歪みが顕著に生じ、縦引けも生じる。
<ポリ乳酸系樹脂>
S‐1:NatureWorksLLC社製ポリ乳酸 NatureWorks 4060D
S‐2:NatureWorksLLC社製ポリ乳酸 NatureWorks 4050D
S‐3:三菱レイヨン社製アクリル‐シリコン複合ゴム メタブレン S2001
M‐1:日本ポリプロ社製PP Wintec WFX6(MFR3.0、Tm132℃)
M‐2:日本ポリエチ社製EVA ノバテックEVA LV430 (MFR1.0、Tm:89℃)
M‐3:日本ポリエチ社製LLDPE カーネル KF271 (MFR1.0、Tm:102℃)
M‐4:日本ポリエチ社製LLDPE カーネル KS240T (MFR1.0、Tm:60℃)
M‐5:荒川化学社製水添石油樹脂 アルコンP140(軟化点 90℃)
AD‐1:三井化学社製変性PO アドマーSE800
AD‐2:三井・デュポンポリケミカル社製EVA エバフレックスEV45LX
表1に示すように、各材料を東芝機械株式会社製の2軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、単層、2種3層、3種5層のフィードブロックを通じてTダイより押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて、幅300mm、厚さ200μmの未延伸シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度73℃で横一軸方向に5.0倍に延伸後、80℃にて熱処理を行い、熱収縮性フィルムを得た。次いで得られた熱収縮性フィルム端部をスリットし、除去した後、このフィルムを1000m巻き取った。得られた熱収縮性フィルムの厚さは40μmであった。
11 (I)層
12a、12b (II)層
23a、23b 接着層
Claims (8)
- (I)層の両側に(II)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルムであって、該積層フィルム全体に対する前記(II)層の厚み比を15%以上50%以下とし、フィルムの主収縮方向と直交する方向について、振動周波数10Hz、歪み0.1%の条件下で動的粘弾性を測定したときの80℃の貯蔵弾性率(E’)を10MPa以上1,000MPa以下としたことを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(I)層:少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を主成分とする層
(II)層:少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂を主成分とする層 - 前記ポリオレフィン系樹脂を示差走査熱量計(DSC)にて測定した際、結晶融解ピークが80℃以上160℃以下に少なくとも1つ以上存在することを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層が少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(II)層がポリ乳酸系樹脂以外のゴム成分をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1から5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1から5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項6に記載の成形品または請求項7に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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