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JP3846024B2 - 白色フィルムおよび白色フィルムの製造方法 - Google Patents

白色フィルムおよび白色フィルムの製造方法 Download PDF

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JP3846024B2 JP11040598A JP11040598A JP3846024B2 JP 3846024 B2 JP3846024 B2 JP 3846024B2 JP 11040598 A JP11040598 A JP 11040598A JP 11040598 A JP11040598 A JP 11040598A JP 3846024 B2 JP3846024 B2 JP 3846024B2
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低比重で又クッション性が良く、柔軟性に優れ皺の発生しにくい白色フィルムに関するものである。また、該白色ポリエステルの表層に塗布層を設けることを該白色フィルムと張り合わせて使用することもできる。
【0002】
特に印字基材、包装用、カード、ラベル、ビデオプリンタ用受容紙、印画紙、表示板、面光源用反射板基材、X線写真用フィルム、セラミック成型用雛形紙などの基材に使用される白色フィルムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
ポリエステルに二酸化チタンや炭酸カルシウムなどを多量に添加して白色ポリエステルを得ることは良く知られている。また、ポリエステルにポリオレフィンおよびアルキレングリコールまたはポリアルキレンポリエステル共重合体を添加して白色ポリエステルを得ることも良く知られている。
【0004】
しかし、ポリエステルに多量の二酸化チタンや炭酸カルシウムなどの無機物を添加して得られるフィルムは、白色性は付与できるが、低比重化できずフィルムが堅くなりクッション性を必要とする用途には問題があった。
【0005】
また、ポリプロピレンを添加した場合は、無機物を添加した場合に比べれば、フィルム自身の堅さは緩和されるが、熱寸法性が悪い。また、ポリメチルペンテンを添加した場合は、ポリプロピレンを添加した場合に比べれば、フィルムの熱寸法性は改良されるが、分散性が悪いため柔軟性が不十分であるため折れ皺が入りやすい。
【0006】
また、ポリメチルペンテンおよびアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール共重合体を添加した場合は、分散性が向上するものの柔軟性がまだ不十分であるため取扱の際、折れ皺が入りやすい。また、単層で使用するとポリオレフィンの界面張力がポリエステルにくらべ実質的に低いため、フィルムの表面張力が低下し、接着性および印刷性が悪いという致命的な欠点があった。
【0007】
また、接着性および印刷性を向上するためこれを更にポリエステル層を積層したフィルムは柔軟性が悪くなり取扱の際に折れ皺が入りやすくなる。さらに、印字基材に使用する際には、クッション率が不十分であるため印字性が悪いという問題点もあった。
【0008】
すなわち、低比重、柔軟性、クッション性、熱寸法性に優れ、ポリエステルの良好な印刷性接着性を有し、光学濃度が高く折れ皺が入りにくい白色フィルムは存在しなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来より、低比重、柔軟性、クッション性、熱寸法安定性に優れ、しかも折れ皺が入りにくい白色フィルムを得る種々の方法が試みられてきたが、充分ではなかった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決し、低比重、柔軟性、クッション性、熱寸法安定性にすぐれ、しかも、折れ皺が入りにくい白色フィルムおよび白色フィルムの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)が0.5μm以上30μm以下、フィルム厚み方向の気泡径(Lz)が0.1μm以上10μm以下であり、且つL/Lzが下記式(1)を満たす気泡を有し、フィルムを構成する成分のうち95%以上が1種類のポリエステル樹脂からなり、少なくとも1軸に延伸されていることを特徴とする白色フィルム。
【0012】
3≦L/Lz≦200 式(1)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の白色フィルムは、フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)が0.5μm以上30μm以下、フィルム厚み方向の気泡径(Lz)が0.1μm以上10μm以下であり、且つL/Lzが下記式(1)を満たす気泡を有す。
【0015】
3≦L/Lz≦200 式(1)
より好ましくは、フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)が1μm以上25μm以下、フィルム厚み方向の気泡径(Lz)が0.2μm以上8μm以下である。さらに好ましくは、フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)が3μm以上20μm以下、フィルム厚み方向の気泡径(Lz)が0.3μm以上5μm以下である。 フィルムが白色に見えるためには、フィルムを透過する光を散乱しなければならないため、上記条件の気泡径が光の散乱には最も適している。フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)とフィルム厚み方向の気泡径(Lz)との比L/Lzが、3以上200以下であると良い。より好ましくは、4以上150以下である。さらに好ましくは、5以上100以下である。式1を満たしていない場合、気泡が潰れてしまっていたり、気泡が大きすぎるために、白色にならないので好ましくない。さらに白色に見えるためには、上記条件を満たすような気泡が多数存在しなければならない。本発明で言う多数存在するとは、105個/cm3 以上存在することである。
【0016】
フィルム中にこのような微細な気泡が多数存在すると、透過光をフィルム中の微細な気泡が散乱するため、フィルムが白色に見える。また、微細な気泡を多数含むため、フィルムの見かけの比重が低くなり、フィルムのクッション性が大幅に向上する。そのため、印刷受用紙等に本発明の白色フィルムを使用した際は、インクヘッドのあたりがソフトとなり、従来にない鮮明な印刷が可能となる。
【0017】
本発明の白色フィルムは、フィルムを構成する成分のうち95%以上が1種類の熱可塑性樹脂からなっている。より好ましくは、97%以上が1種類の熱可塑性樹脂からなっているものである。
【0018】
さらに好ましくは、フィルムを構成する成分が1種類の熱可塑性樹脂と、無機物からなることが好ましい。フィルムを構成する成分のうち95%以上が1種類の熱可塑性樹脂からならない場合、例えば、従来の白色フィルムのように2種類の熱可塑性樹脂からなるときには、2種類の熱可塑性樹脂が非相溶であるために接着性が悪化したり、印字性が悪くなる。また、2種類の熱可塑性樹脂が存在しているために、生産する際、回収が困難であるという問題がある。本発明のように、フィルムを構成する成分がほとんど1種類の成分からなると、接着性や印字性が良くなるばかりか、フィルムの色目もよくなり、さらに生産性も向上し低コストで生産することができる。また、このようにフィルムを構成する成分のほとんどが1種類の熱可塑性樹脂の場合、従来の方法では不可能であった比重0.5g/cm3 以下の白色延伸フィルムにすることも可能である。
【0019】
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合物などのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などを用いることができる。特に、本発明においては、ポリエステルを用いた場合にその効果が高く、好ましい。中でも、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途で用いられ、応用、使用効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。また、これらの樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、発泡核剤などが添加されていてもよい。
【0020】
本発明の白色フィルムは、少なくとも1軸に延伸された白色フィルムである。より好ましくは2軸に延伸されていることが好ましい。このように延伸された白色フィルムは、機械特性に優れる腰があるために折れ皺が入りにくくなるとともに、厚み方向の気泡径が数μm以下になるため光を効果的に散乱し、白色度が高く隠蔽性に優れたフィルムとなる。
【0021】
本発明の白色フィルムは、比重が0.1g/cm3 以上1.3g/cm3 以下であることが好ましい。より好ましくは、0.15g/cm3 以上1.0g/cm3 以下である。さらに好ましくは、0.2g/cm3 以上0.8g/cm3 以下である。比重が0.1g/cm3 より低い場合には、気泡径が大きくなりすぎるため、白色度や機械強度が不十分になったり、折れ皺が入りやすくなる。また、比重が1.3g/cm3 より高い場合には、逆に気泡径が小さくなりすぎるため、白色度やクッション性が不十分である。
【0022】
本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールとから縮重合により得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、などで代表されるものであり、また、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などで代表されるものである。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを用いることができる。特に好ましいのは、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートである。もちろん、これらのポリエステルとしては、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などのジオール成分、ダイマー酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分を用いることができる。また、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、結晶核剤、無機粒子、難燃材、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等がブレンドされていてもかまわない。
【0023】
本発明の白色フィルムにおいて、そのクッション率は、15%以上40%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以上38%以下である。さらに好ましくは、20%以上35%以下である。クッション率が15%より低い場合には、クッション性が不十分のため、印刷受用紙等に本発明の白色フィルムを使用した際に、インクヘッドのあたりがハードで鮮明な印刷が不可能になる場合がある。また、クッション率が40%より大きい場合には、折れ皺が入りやすくなりすぎるため、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
【0024】
本発明における白色フィルムの光学濃度は、フィルム厚み50μmに換算したとき、0.6以上1.0以下であることが好ましい。より好ましくは、0.65以上1.0以下である。さらに好ましくは、0.7以上1.0以下である。白色度が0.6以下の場合には、隠蔽性が不十分であるためフィルムが透けて見え、印字基材、ラベル、印画紙、表示板、面光源用反射板基材等の用途では不向きである。
【0025】
本発明の白色フィルムにおいて、その長手方向および幅方向の屈折率は、1.5以上1.8以下であることが好ましい。より好ましくは、1.55以上1.77以下である。さらに好ましくは、1.6以上1.75以下である。白色フィルムの長手方向および幅方向の屈折率が1.5より低い場合には、白色フィルムの配向が不十分であるために、機械的強度が足りず、白色フィルムに張力が作用した場合、白色フィルムが変形を起こしたりするため、好ましくない。また、屈折率が1.8より大きい場合には、フィルムの配向が大きすぎるために、熱収縮率が高すぎ印字される際にフィルムが収縮し皺が入ったりしやすい問題があり好ましくない。
【0026】
以下に、本発明の白色フィルムの製造方法を詳しく説明する。
【0027】
本発明の白色フィルムは、溶融状態の熱可塑性樹脂に炭酸ガスを注入し溶解した後、口金部においてシート状に成形すると同時に溶解した炭酸ガスを発泡させたシートを、キャストドラム上で冷却させ、その後、延伸し熱処理する方法で得られる。溶融押出の方法としては、一般に市販されている押出機を用いて、熱可塑性樹脂を供給部に供給し、押出機内の加熱されたシリンダ部におけるスクリューの回転により、樹脂を溶融し、押出機から送り出された溶融樹脂を、加熱された流路(ポリマー管)内を通して口金に導く。必要に応じてフィルターを通して異物、変性ポリマーを除去し、また、定量供給性を上げるためにギアポンプを設けてもよい。このように導かれたポリマーは口金内部で必要な幅に拡幅され、口金から吐出され、キャスティングドラム上でシート状に冷却、固化される。
【0028】
ここで、樹脂を溶融するための押出機としては、一軸あるいは二軸押出機等を用いることができる。押出機のスクリューは、適用する熱可塑性樹脂の性質、注入する溶解性ガスの性質に応じて最適なものを用いればよい。押出機における熱可塑性樹脂を加熱するための温度の設定は、熱可塑性樹脂が結晶性を示す場合には、融点以上とし、未溶融物が残らないようにする。一方、熱可塑性樹脂が非晶性の場合は、ここでいうような融点を示さないので、押出機の温度を設定としては、樹脂が押出に耐えうる溶融粘度となるだけの温度に設定すればよい。
【0029】
本発明における炭酸ガスの熱可塑性樹脂への注入方法としては、押出機から濾過工程の間における溶融状態の熱可塑性樹脂に炭酸ガスを注入する方法が好ましい。さらに、ベント口付きの押出機のベント部において数MPa以上の圧力をかけつつ炭酸ガスを注入することがより好ましい。このように高い圧力は、押出機中で得ることが有利である。また、押出機中では炭酸ガスは樹脂完全に溶解することが重要である。溶解せずにガス状態で残存した部分が存在すると、大きな気泡となってフィルム中に残存し、使用に耐えないものとなる。ベント口付きの押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、押出機を直列につないだタンデム押出機などがあり、必要とされる用途に応じて選ばれる。また、溶解性ガスの溶融状態の熱可塑性樹脂中での分散度合いを向上させるために、ベント口付き押出機の先端に静止型ミキサーを配置しても構わない。溶解性ガスの熱可塑性樹脂への注入が、押出機以前の場合、溶解性ガスを溶融状態の熱可塑性樹脂に均一に溶解させることは難しい。また濾過工程以降において溶解性ガスを注入しても、均一に溶解させることは難しい。
【0030】
このような溶解性ガスの熱可塑性樹脂への注入方法としては、押出機として、2台以上の押出機を直列に連結したタンデム押出機を用いることが好ましい。前述したように、溶解性ガスを溶融した熱可塑性樹脂に完全に溶解させることが重要である。そのためには、溶解性ガスを押出機中に圧入後、押出機内の圧力を高めていくことが好ましい。押出機内を流れるにつれて、圧力が高まる構造により、炭酸ガスが完全溶解する。このような圧力分布構造をとるためには、2台以上の押出機を直列に連結したタンデム押出機を用いることが好ましい。タンデム押出機とは、1代目の押出機にて樹脂の溶融を行い、2台目の押出機にて定量供給するという、押出機の基本機能を2台にふり分けることにより、吐出量を増やしながら、剪断発熱を抑えることができる。1台目の押出機で溶解性ガスを圧入し、溶解させ、2台目の押出機で残存したガスを完全に溶解する運転条件をとることが好ましい。なお、タンデム押出機を用いる場合でも、スクリュー形状は、通常のスクリュー形状とは異なり、炭酸ガスの逆流を防ぐようなシール機構を有するスクリュー形状が好ましい。すなわち、1台目の押出機で、炭酸ガスを圧入する位置よりも、原料供給側にガスの逆流を防ぐようなリングとシール機構を設けることが好ましい。このようなシール機構を設けないと、原料供給側の方が圧力が低いため、ガスが逆流する現象が生じやすい。
【0031】
このようなタンデム押出機における運転条件としては、1台目で炭酸ガスを圧入し、さらに1台目の押出機出口の圧力より、2台目の押出機出口の圧力を高めて押し出すことが好ましい。このような圧力条件を取ることにより、前述のように完全溶解が可能となる。
【0032】
さらに、本発明においては、タンデム押出機の2台目において、熱可塑性樹脂の降温結晶化開始温度以上の雰囲気下で冷却することが好ましい。 1台目の押出機における溶融温度を下げて低温化した場合には、未溶融物が残留し欠点となる問題が生じる。また、降温結晶化開始温度以下の雰囲気下で冷却すると、熱可塑性樹脂が結晶化し押出不可能となる。 一般に、樹脂に対する溶解性ガスの溶解度は、温度が低い方が高くなり有利である。さらに、降温結晶化開始温度以上では、いわゆる過冷却状態であり液相状態であるため押出可能であり、温度が低い分異物や変性樹脂の発生しにくいため良い。
【0033】
本発明における炭酸ガスは超臨界流体で溶融状態の熱可塑性樹脂に注入されるか、あるいは溶融状態の熱可塑性樹脂に注入された炭酸ガスが押出機から濾過工程の間で超臨界流体になることが好ましい。なお、超臨界流体とは、ある物質の臨界温度以上、且つ臨界圧力以上の状態にあることであり、気体と液体の中間の物理的性質を示す。炭酸ガスが、超臨界流体でない場合、熱可塑性樹脂に対する溶解度が低く好ましくない。
【0034】
本発明の実施に際して好ましく用いられ得る濾過装置としては、フィルターがある。フィルターの種類としては、円筒状のものやディスク状のもの、ディスク状のものを重ねて使用するリーフディスクなどがあり、用途や目的に応じて選ばれる。また、これらを組み合わせて使用してもよい。フィルターの濾過精度(95%カット径)としては、必要に応じて異なるへへきものであるが、80μmカット以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5μm以上100μm以下である。フィルターの濾過精度が80μmより大きいときには、異物や変性した変性樹脂を捕集することは困難である。
【0035】
本発明においては、押出機から口金部直前までの間、熱可塑性樹脂圧力を炭酸ガスが発泡しないような高圧力に維持しなければならない。押出機から口金部直前までの間で、樹脂圧力が低下すると炭酸ガスが発泡し、気泡が成長し大きな気泡ができるため好ましくない。口金部直前まで熱可塑性樹脂圧力を高圧力に維持する方法としては、ろ過工程と口金部の間の口金直前部分に圧力調整弁を設けることが好ましい。
【0036】
本発明においては、溶解性ガスを熱可塑性樹脂に完全に溶解させた後、口金によりシート状に成形すると同時に溶解した炭酸ガスを発泡させ、速やかに冷却ドラム上で急冷固化することが重要である。口金部で発泡するには、口金内部の圧力損出が高い方が好ましく、また口金内部での圧力低下速度も速い方が好ましい。このようにして、口金により成形すると同時に溶解した炭酸ガスを発泡させた場合、すばやく急冷しないと、気泡が著しく成長し、大きな気泡となり使用に耐えないものとなる。
【0037】
本発明においては、少なくとも1方向に延伸されてる。さらに、2方向に延伸されていてもよい。延伸の方法としては、溶融押出した熱可塑性樹脂をキャスティングドラム上で冷却し、シート状に成形した実質的に非晶無配向のフィルムを、公知の技術である逐次二軸延伸、並びにチューブラー法及びやテンター法による同時二軸延伸が好ましい。逐次二軸延伸される場合は、複数ならんだロール群により縦方向に延伸し、テンターにて走行するクリップにより横方向に延伸した後、テンター内でクリップに保持したまま熱処理する逐次二軸延伸が好ましい。ここで、特に縦延伸と横延伸の順番を限定するものではないが、横延伸して幅の広くなったフィルムを均一に縦延伸することは難しい。また、縦延伸、横延伸した後に、再度縦延伸および/または横延伸を行うことも本発明の範囲内である。
【0038】
り好ましくは、同時二軸延伸される。同時二軸延伸された白色フィルムは、長手方向と幅方向の気泡径が比較的均一になり、しかもロールで延伸されないため、気泡が厚み方向に潰れにくいのでよい。さらに好ましくは、リニアモーター駆動の同時二軸テンターで延伸することが好ましい。リニアモーター駆動の同時二軸テンターは、生産性が向上するばかりか、長手方向および幅方向に自由にリラックスを施せるため、熱収縮率の低いフィルムを容易に得ることができる。
【0039】
【物性値の評価法】
(1)気泡径
白色フィルムの長手方向(MD)あるいはその垂直方向(TD)に切った断面を走査型電子顕微鏡で1000〜5000倍に拡大した写真をとり、写真にOHPシートをのせ、写真に写った気泡形状をOHPシートに写し取る。この写し取った気泡形状の少なくとも100個以上の気泡径をイメージアナライザにかけ、気泡の長手方向の径および幅方向の径を求める。この分布のそれぞれの平均径を、フィルム長手方向、幅方向の気泡径(L)とする。また、厚み方向の径(Lz)についても同様な方法で求める。
【0040】
(2)比重
フィルムを100×100mm角に切り、ダイアルゲージ(三豊製作所No.2109−10)に直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10-4gの単位まで読みとる。このとき
比重=w/d×100
とする。
【0041】
(3)クッション率(%)
三豊製作所(株)ダイヤルゲージNo.2109−10に標準測定子900030を用い、更にダイヤルゲージスタンドNo.7001DGS−Mを用いてダイヤルゲージ押さえ部分荷重50gと500gとをかけたときのそれぞれのフィルム厚さd50、d500から次式により求める。
【0042】
クッション率=100×(d50−d500)/d50
(4)光学濃度
フィルムを1枚あるいは数枚重ね、光学濃度計(TR927、マクベス社製)を用いて透過濃度を測定する。フィルムの厚みと光学濃度とをプロット子、50μmの厚みに相当する光学濃度を補間法または補外法にて求める。
【0043】
(5)柔軟性および折れ皺性
日本カーバイド工業(株)製アクリル酸エステル系粘着剤KP−1405およびCK−102(架橋剤)を約100対1に混合しフィルムの片面に本粘着剤混合液を乾燥状態で25μmの厚さになるようにコーティングし、1週間放置し硬化させた。粘着力が強い場合は硬化剤量を多くし、弱い場合には硬化剤量を少なくすることにより調整する。
【0044】
(5−1)柔軟性
以上のようにしてフィルムをステンレス(SUS304、鏡面)に粘着させ、180℃まで折れ曲げる。この時皺の発生し始める角度を測定する。柔軟性の判定は次のようにした。○および◎を合格とした。
【0045】
0゜以上60゜未満の範囲内で、折り曲げ皺が認められた。 ×
60゜以上120゜未満の範囲内で、折り曲げ皺が認められた。 ○
120゜以上180゜未満の範囲内で、折り曲げ皺が認められた。 ◎
(5−2)折れ皺性
以上の様にしてステンレス(SUS304、鏡面)との180゜剥離強度が200±20g/25mmに調整し、剥離強度300mm/分でフィルムを剥離させた。剥離角度は180゜とした。折れ皺性の判定は次のようにした。○および◎を合格とした。
【0046】
剥離部分10cm当たりに10本以上の皺が認められた。 ×
剥離部分10cm当たりに1〜9本以上の皺が認められた。 ○
剥離部分10cm当たりに1本も皺が認められなかった。 ◎
(6)白色度
JIS−L−1015に準じて、島津製作所(株)製UV−260を用いて測定される波長450nmおよび550nmにおける反射率をそれぞれB%、G%としたとき、
白色度(%)4B+3G
で表されるものである。
【0047】
(7)屈折率
ATAGO社製RX−2000を用いて、白色フィルムの長手方向屈折率nMDと幅方向屈折率nTDを測定した。なお、マウント液は、ヨウ化メチレンを用い、25℃×65%RHにて測定した。
【0048】
【実施例および比較例】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0049】
実施例1
ポリエステルとして、固有粘度0.65、対数粘度0.67、降温結晶化開始温度203℃のポリエチレンテレフタレートを用いた。このポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で3時間真空乾燥した後、2台の押出機を直列に接続したタンデム押出機に供給した。280℃に加熱された押出機1に供給した。押出機の構成は、1台目が、スクリュー長さと口径の比L/D=30、2台目がL/D=20のものを用いた。1台目の押出機においては、L/D=15の地点のスクリューにリング状のシールを施し、L/D=18の地点に溶解性ガス供給口を設けた。1台目の押出機において290℃で溶融状態とし、ガス供給口より炭酸ガスを5MPaで圧入し、2台目の押出機の設定温度を280℃として押し出した。濾過装置としては濾過精度が14μmカット、サイズが8・3/4インチのリーフディスクフィルターを3枚重ね、ケーシングに収納したフィルターパックを用いた。押出機から押し出された溶融樹脂は、短管を介してフィルタパックで濾過された後、圧力調整弁を経て口金からシート状に成形して吐出した。圧力調整弁直前の溶融樹脂圧力を15MPaになるように設定して、口金から吐出する際、溶解していた炭酸ガスが発泡し、シート中に多数の気泡を発生させた。口金から押し出されたフィルムを、静電印加しながら表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せしめ、その後、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、テンターに導き、90℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸し、そのまま、テンター内で200℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、50μmであった。得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は5μm、厚み方向の気泡径(Lz)は0.4μm、L/Lzは12.5であった。また、フィルムの比重は0.7であり、クッション率25%、光学濃度0.84、柔軟性◎、折れ皺性◎、白色度79、nMD1.6521、nTD1.6598であった。得られた結果を表1に示す。
【0050】
比較例1
実施例1と同様の装置、条件で、ただし、圧力調整弁前の溶融樹脂圧力を5MPaに設定した。得られた結果を表1に示す。
【0051】
得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は40μm、厚み方向の気泡径(Lz)は3μm、L/Lzは13.3であった。また、フィルムの比重は0.2であり、クッション率40%、光学濃度0.40、柔軟性×、折れ皺性×、白色度50、nMD1.6453、nTD1.6458であった。
【0052】
比較例2
実施例1と同様の装置、条件で、ただし、圧力調整弁前の溶融樹脂圧力を25MPaに設定した。得られた結果を表1に示す。
【0053】
得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は1μm、厚み方向の気泡径(Lz)は0.08μm、L/Lzは12.5であった。また、フィルムの比重は1.2であり、クッション率11%、光学濃度0.41、柔軟性○、折れ皺性○、白色度55、nMD1.6533、nTD1.6588であった。
【0054】
比較例3
実施例1と同様の装置、条件で、ただし、延伸しなかった。得られた結果を表1に示す。
【0055】
得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は2μm、厚み方向の気泡径(Lz)は2μm、L/Lzは1であった。また、フィルムの比重は0.8であり、クッション率3%、光学濃度0.55(50μm換算)、柔軟性×、折れ皺性×、白色度61、nMD1.5781、nTD1.5789であった。
実施例2
実施例1と同様の条件で、ただし、リニアモーター式同時二軸テンターを用いて縦方向および横方向それぞれに3.3倍延伸した。 得られた結果を表1に示す。
【0056】
得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は5μm、厚み方向の気泡径(Lz)は1μm、L/Lzは5であった。また、フィルムの比重は0.6であり、クッション率28%、光学濃度0.91、柔軟性◎、折れ皺性◎、白色度82、nMD1.6509、nTD1.6555であった。
実施例3
実施例1と同様の装置、条件で、ただし、実施例1と同様のポリエチレンテレフタレート90重量%に、炭酸カルシウム(平均粒径0.8μm)9重量%、蛍光増白剤1重量%を加えた該原料を押出機Bに供給し、常法により285℃で溶融してTダイ3層複合口金の両表層に薄く積層した。 得られた結果を表1に示す。
【0057】
得られたフィルムの長手方向の気泡径および幅方向の気泡径(L)は5μm、厚み方向の気泡径(Lz)は1μm、L/Lzは5であった。また、フィルムの比重は0.7であり、クッション率25%、光学濃度0.95、柔軟性◎、折れ皺性◎、白色度110、MD1.6559、nTD1.6588であった。
【0058】
【表1】
Figure 0003846024
【0059】
【発明の効果】
本発明により、低比重で、また、クッション性が良く、柔軟性に優れ皺の発生しにくい白色フィルムが得られる。特に印字基材、包装用、カード、ラベル、ビデオプリンタ用受容紙、印画紙、表示板、面光源用反射板基材、X線写真用フィルム、セラミック成型用雛形紙などの基材に使用される白色フィルムが提供されるものである。

Claims (12)

  1. フィルム長手方向あるいは幅方向の気泡径(L)が0.5μm以上30μm以下、フィルム厚み方向の気泡径(Lz)が0.1μm以上10μm以下であり、且つL/Lzが下記式(1)を満たす気泡を有し、フィルムを構成する成分のうち95%以上が1種類のポリエステル樹脂からなり、少なくとも1軸に延伸されていることを特徴とする白色フィルム。
    3≦L/Lz≦200 式(1)
  2. フィルムを構成する成分が1種類のポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の白色フィルム。
  3. フィルムの比重が、0.1g/cm3以上1.3g/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載の白色フィルム。
  4. フィルムのクッション率が、15%以上40%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の白色フィルム。
  5. フィルムのクッション率が、25%以上40%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の白色フィルム。
  6. フィルムの光学濃度が、フィルム厚み50μmに換算したとき、0.6以上1.0以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の白色フィルム。
  7. フィルムの長手方向および幅方向の屈折率が、1.5以上1.8以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の白色フィルム。
  8. ポリエステルおよび無機粒子からなる層が、少なくとも片面に存在することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の白色フィルム。
  9. 溶融状態のポリエステル樹脂に炭酸ガスを注入し、完全に溶解した後、口金部においてシート状に成形すると同時に溶解した炭酸ガスを発泡させたシートを、キャストドラム上で冷却させ、その後、延伸し、熱処理することを特徴とする白色フィルムの製造方法。
  10. 延伸が、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するか、あるいは幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するものであることを特徴とする請求項記載の白色フィルムの製造方法。
  11. 延伸が、同時二軸延伸によるものであることを特徴とする請求項記載の白色フィルムの製造方法。
  12. 延伸が、リニアモーター駆動の同時二軸テンターで延伸するものであることを特徴とする請求項または11記載白色フィルムの製造方法。
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