JP2014185241A - 熱収縮性フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 - Google Patents
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Abstract
収縮包装後に再加熱が施される場合においても良好な収縮特性をもち、機械的特性、および透明性に優れ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性フィルムを提供することを目的とする。特に、調理済み食品入り容器の結束帯として用いる場合に、装着適性や収縮仕上がり性等の一次加工性に優れ、かつ加熱時に容器の潰れ防止することができる熱収縮性フィルムを提供する。
【解決手段】
ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする層((I)層)を少なくとも1層有する熱収縮フィルムであって、少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%以下であり、80℃のシリコンオイル中における1分後の収縮応力が2MPa未満であり、ヘーズが3.0%未満であり、主収縮方向と直交する方向における30℃環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
【選択図】 なし
Description
(1)ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする層((I)層)を少なくとも1層有する熱収縮フィルムであって、少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%以下であり、80℃のシリコンオイル中における1分後の収縮応力が2MPa未満であり、ヘーズが3.0%未満であり、主収縮方向と直交する方向における30℃環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
(2)前記(I)層が、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、コアシェル型ゴム(C)およびポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなる(1)に記載の熱収縮性フィルム。
(3)前記(I)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、前記(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が70〜95質量%であり、ポリオレフィン系樹脂(B)の含有量が1〜10質量%であり、コアシェル型ゴム(C)の含有量が3〜15質量%であり、相溶化剤(D)の含有量が1〜5質量%である、(2)に記載の熱収縮性フィルム。
(4)前記(I)層に含有される相溶化剤(D)が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体である、(2)または(3)に記載の熱収縮性フィルム。
(5)前記(I)層の両側にポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(C)を含む樹脂組成物からなる(II)層を有する(1)〜(4)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(6)前記(I)層及び(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(C)のシェル層が(メタ)アクリル酸エステルからなり、コア層がシリコーンゴムまたはアクリル系ゴムからなるコアシェル型ゴムであることを特徴とする(2)〜(5)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(7)前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(C)の含有量が、(II)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、5〜20質量%である、(5)または(6)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(8)調理済み食品入り容器の結束帯として用いられる、(1)〜(7)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する成形品。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
(11)(9)に記載の成形品を用いた、又は(10)に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
本発明における(A)成分であるポリ乳酸系樹脂とは、D−乳酸もしくはL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体をいい、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、これらの共重合体の混合樹脂も含まれる。
次に、(B)成分であるポリオレフィン系樹脂(B)について説明する。
(I)層には、フィルムの耐衝撃性を向上させるために、熱収縮性、フィルムの剛性を損なわない範囲内で、ポリオレフィン系樹脂(B)が使用される。ポリオレフィン系樹脂(B)は、振動周波数10Hzの条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。また貯蔵弾性率(E’)の下限値としてフィルム全体の腰(常温での剛性)を考慮して、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1.0MP以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。20℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲に有するポリオレフィン系樹脂(B)は、ポリオレフィンの結晶化度が低く、密度が小さくなるため、平均屈折率も低くなり、混合するポリ乳酸系樹脂(A)との平均屈折率を近づけることができる。そのため、内部ヘーズを低減することが達成できるため、耐破断性の改良と透明性の維持において、非常に有用である。また貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であれば、耐破断性の改良効果が低下することもなく、大幅な外観不良の発生を抑えることができる。一方、貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、フィルム全体の腰が大幅に低下することを抑えることができる。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため、その範囲に特に限定されるものではないが、好ましくは、以下のとおりである。
本発明における(C)成分のコアシェル型ゴムは、コア層と、コア層を覆う少なくとも1層以上のシェル層とから構成される重合体である。該シェルの層数は特に限定されるものではなく、単層であっても2層以上であっても構わない。
中でもフィルム外観の観点から、アクリル酸エステルを含む重合体であるのが好ましい。アクリル酸エステルは、アクリル酸成分とアルコール成分から構成されるアクリル酸エステルであればいずれであってもよいが、炭素数1〜15のアルコール成分を有するアクリル酸エステルが好ましい。好ましいアクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアクリル酸1級アルキルエステル;アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリメチルシリル等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル(a)は1種類を用いても又は2種類以上を用いてもよい。
また、コア層中におけるアクリル酸エステル成分は、耐衝撃性向上のため70%以上であることが好ましい。
中でも、不飽和カルボン酸エステル系が好ましく、より好ましくは、上記コア層で好ましいとしたアクリル酸エステルとは相違する化学構造を有するアクリル酸エステルを含む重合体である。なお、アクリル酸エステル(a)と相違する化学構造を有するアクリル酸エステル(b)を少なくとも含んでいればよく、その重合成分としてアクリル酸エステル(a)を更に含んでいてもよい。
また、コアシェル型ゴム(C)におけるアクリル酸エステル成分は、耐衝撃性向上のため80%以上であることが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
次に、(D)成分である相溶化剤について説明する。相溶化剤は、前記(A)成分と(B)成分との相溶性を向上させるものであり、これらの樹脂を相溶化させる樹脂を主成分としてなるものである。相溶化剤は、(A)成分と(B)成分とを相溶化させる樹脂であれば特に限定されないが、(A)成分と(B)成分との相溶性および透明性の観点から、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であることが好ましく、その幹成分、または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体を用いることがより好ましい。
(I)層に含まれる各成分の含有量は、(I)層を構成する樹脂組成物全体を100質量%として、ポリ乳酸系樹脂(A)が70〜95質量%であり、ポリオレフィン系樹脂(B)が1〜10質量%であり、コアシェル型ゴム(C)が3〜15質量%であり、相溶化剤(D)が1〜5質量%であることが好ましい。
本発明では、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEPS)、スチレン−カルボン酸共重合体等)、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を少なくとも1種を、(I)層あるいは(II)層を構成する樹脂組成物に添加することができる。
本発明のフィルムの構成は、前述したとおり、(I)層を少なくとも1層有すればよく、好ましくは、(I)層の両側に(II)層を有することができる。(I)層と(II)層を積層することにより、熱収縮性フィルムの特性、特に収縮特性の調整を容易に行うことができる。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
(熱収縮率、収縮仕上り性)
本発明のフィルムは、80℃温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の収縮率が10%以上30%以下であることが重要であり、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。
ここで、「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。これは、うどんや蕎麦等の調理済みの内容物が入れられた容器用の結束帯ラベル等が、比較的短時間(数秒〜十数秒程度)で収縮加工が可能となるか判断する指標となる。なお、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、容器に装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
本発明のフィルムの透明性は、例えば、厚さ30μmのフィルムをJIS K7105にて測定した場合ヘーズ値は3.0%未満であり、ヘーズ値は3.0%未満であればフィルムの透明性が優れたものであり、優れたディスプレー効果を奏することができる。
また、本発明のフィルムは、トリミングロス等により生じる再生原料を(I)層へ添加した場合においても、ヘーズ値を3.0%未満に保持することができる。
フィルムの主収縮方向と直交する方向、特に飲料用のラベル用途ではフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断伸度が0℃環境下の引張試験において、製膜直後並びに30℃環境下で30日間経過した後も200%以上、好ましくは220%以上、さらに好ましくは250%以上を有することである。製膜直後での0℃環境下での引張破断伸度が200%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくく好ましいのは勿論だが、実際の商品の流通過程においては倉庫内で一時滞留することも十分想定される。そのような過程を経た後に印刷・製袋を行ってもフィルムの破断などの不具合を起こさない為に、30℃環境下で30日間経過させた後でも0℃環境下での引張破断伸度が200%以上を有することが好ましい。
上限については特に限定されないが、過剰に引張破断伸度を付与してもかえってフィルムの剛性を損なう可能性が有るため、500%程度が妥当である。
本発明において、製膜後に30℃の環境下で30日間経過後の引張破断伸度は、例えば、層の材料配合の調整と併せて、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層フィルム構成の場合は積層比をも適宜行うことなどによって、上記値に調整することができる。
本発明のフィルムは、80℃のシリコンバス中において1分間浸漬した際の主収縮方向の収縮応力が2.0MPa未満であることが重要であり、好ましくは1.8MPa以下である。80℃のシリコンバス中において1分間浸漬した際の主収縮方向の収縮応力が2.0MPa未満であれば、うどんや蕎麦用の結束ラベルとして容器を包装するための一次的な加熱処理を施す際や、電子レンジによる二次的な加熱処理を施す際において、フィルムが収縮する際に発生する応力が低いため、容器の潰れを抑制することができる。
本発明は、前記熱収縮性フィルムを基材として用いた成形品(本発明の成形品)に関し、また本発明は、前記熱収縮性フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル(本発明のラベル)に関し、さらに本発明は、前記成形品を用いた、又は前記熱収縮性ラベルを装着した容器(本発明の容器)に関する。
なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(又は、MD)、その直角方向を「横」方向(又は、TD)と記載する。
(1)収縮率
フィルムを測定方向に200mm、これに対する垂直方向に10mmの大きさに切り取りサンプルを作成し、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率はTD方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7105にて全ヘーズ値を測定した。
○:全ヘーズ値が3%未満の場合
△:全ヘーズ値が3%以上、6%以下の場合
×:全ヘーズ値が6%を超える場合
得られた熱収縮性フィルムを、30℃環境下で30日保管後、主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)に120mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度0℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
○:引張破断伸度が200%以上である場合
×:引張破断伸度が200%未満である場合
フィルムをTD方向に幅10mm、長さ70mmに切り出し、50mmにてチャックロードセルにタルミが無い様に固定した。その後、80±0.5℃のシリコンバスに試料片を浸漬し、1分後の応力を測定した。収縮応力は下記式に当てはめて計算した。
収縮応力(MPa)=ロードセルにかかる応力(N)/試料片の断面積(mm2)
縦17.9cm、横17.9cm、深さ6.5cmのPS製の弁当箱に揚げ蕎麦545gを詰め、幅8.5cmで折り径(二枚に折り畳んだ際の長さ)23.9cmの各フィルムからなる結束帯を弁当箱の中央に被せ、容器をベルト式二葉化成製熱風シュリンカー(形式フロンティアV型FT−2000)へ容器のサイドに熱風が当たるように流した。熱風温度180℃,時間5秒で通過させて、弁当箱の蓋が開かずにタイトに結束されているか否かの具合を比較した。
○:弁当箱の蓋が開かずにタイトに結束されている。
×:弁当箱の蓋は若干空き、収縮不足である。
縦17.9cm、横17.9cm、深さ6.5cmのPS製の弁当箱に揚げ蕎麦545gを詰め、幅8.5cmで折り径(二枚に折り畳んだ際の長さ)23.9cmの各フィルムからなる結束帯を弁当箱の中央に被せ、容器をベルト式二葉化成製熱風シュリンカー(形式フロンティアV型FT−2000)へ容器のサイドに熱風が当たるように流した。熱風温度180℃,時間5秒で通過させて結束帯を収縮させた。その後、1440Wの電子レンジにて1分53秒間加熱を行い、容器の潰れ具合を比較した。
○:弁当箱のつぶれが発生しなかった。
×:弁当箱のつぶれが発生した。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
・Nature WorksLLC社製、商品名:Ingeo biopolymer4060D、D体/L体量=12/88、「PLA(A1)」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:Ingeo biopolymer4043D、D体/L体量=4.25/95.75、「PLA(A2)」と略する。
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイDE2400.05、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=88/12、10Hz貯蔵弾性率:64MPa(20℃)、12MPa(70℃)]、「PO(C1)」と略する。
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイDE2400.01、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=85/15、10Hz貯蔵弾性率:10MPa(20℃)、3MPa(70℃)]、「PO(C2)」と略する。
・カネカ社製、商品名:カネエースFM−40、コア層:アクリル酸ブチル、シェル層: メタクリル酸メチル、屈折率1.44、「コアシェル型ゴム(C1)」と略する。
・日油社製、商品名:モディパーA5200[(エチレン−アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体(=70/30)、10Hz貯蔵弾性率:85MPa(20℃)、14MPa(70℃)]、「相溶化剤(D1)」と略する。
2種3層の積層フィルムを製造するために、各原材料をそれぞれ表1に示す配合にて混合した後、2台の2軸押出機および2種3層マルチマニホールド口金により、(II)層/(I)層/(II)層の積層共押出が可能な設備において、各押出機設定温度200〜220℃で溶融混合後、各層の厚み比が、(II)層/(I)層/(II)層=1/6/1となるよう共押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンターを用いて延伸し、厚さ30μmの熱収縮性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
(1)ポリ乳酸系樹脂(A)70〜95質量%と、ポリオレフィン系樹脂(B)1〜10質量%と、コアシェル型ゴム(C)3〜15質量%と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記ポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)1〜5質量%とを含む樹脂組成物からなる層((I)層)を少なくとも1層有する熱収縮フィルムであって、
熱収縮性フィルム全体の厚みに対する前記(I)層の厚さの割合が50%以上であり、
延伸温度60℃以上90℃以下にて少なくとも一方向に延伸されてなるとともに、延伸後、90℃以上120℃以下で熱処理されてなり、
かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%以下であり、80℃のシリコンオイル中における1分後の収縮応力が2MPa未満であり、ヘーズが3.0%未満であり、主収縮方向と直交する方向における30℃環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
(2)前記(I)層に含有される相溶化剤(D)が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体である、(1)に記載の熱収縮性フィルム。
(3)前記(I)層の両側にポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(C)を含む樹脂組成物からなる(II)層を有する(1)または(2)に記載の熱収縮性フィルム。
(4)前記コアシェル型ゴム(C)のシェル層が(メタ)アクリル酸エステルからなり、コア層がシリコーンゴムまたはアクリル系ゴムからなるコアシェル型ゴムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(5)前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(C)の含有量が、(II)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、5〜20質量%である、(3)に記載の熱収縮性フィルム。
(6)前記ポリオレフィン系樹脂(B)の振動周波数10Hzの条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(7)前記延伸温度が80℃以上90℃以下であり、前記熱処理の温度が90℃以上100℃以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(8)調理済み食品入り容器の結束帯として用いられる、(1)〜(7)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する成形品。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
(11)(9)に記載の成形品を用いた、又は(10)に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
(12)ポリ乳酸系樹脂(A)70〜95質量%と、ポリオレフィン系樹脂(B)1〜10質量%と、コアシェル型ゴム(C)3〜15質量%と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記ポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)1〜5質量%とを含む樹脂組成物からなる層((I)層)を少なくとも1層有し、
80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%以下であり、80℃のシリコンオイル中における1分後の収縮応力が2MPa未満であり、ヘーズが3.0%未満であり、主収縮方向と直交する方向における30℃環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上である、熱収縮フィルムの製造方法であって、
熱収縮性フィルム全体の厚みに対する前記(I)層の厚さの割合が50%以上となるように、前記樹脂組成物を押出成形する工程と、
押出成形して得られるフィルムを延伸温度60℃以上90℃以下にて少なくとも一方向に延伸する工程と、
前記少なくとも一方向に延伸する工程の後で、90℃以上120℃以下で熱処理する工程と、
を備える、熱収縮性フィルムの製造方法。
Claims (11)
- ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする層((I)層)を少なくとも1層有する熱収縮フィルムであって、少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%以下であり、80℃のシリコンオイル中における1分後の収縮応力が2MPa未満であり、ヘーズが3.0%未満であり、主収縮方向と直交する方向における30℃環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
- 前記(I)層が、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、コアシェル型ゴム(C)およびポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなる請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
- 前記(I)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、前記(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が70〜95質量%であり、ポリオレフィン系樹脂(B)の含有量が1〜10質量%であり、コアシェル型ゴム(C)の含有量が3〜15質量%であり、相溶化剤(D)の含有量が1〜5質量%である、請求項2に記載の熱収縮性フィルム。
- 前記(I)層に含有される相溶化剤(D)が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体である、請求項2または3に記載の熱収縮性フィルム。
- 前記(I)層の両側にポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(C)を含む樹脂組成物からなる(II)層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層及び(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(C)のシェル層が(メタ)アクリル酸エステルからなり、コア層がシリコーンゴムまたはアクリル系ゴムからなるコアシェル型ゴムであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(C)の含有量が、(II)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、5〜20質量%である、請求項5または6に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 調理済み食品入り容器の結束帯として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する成形品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
- 請求項9に記載の成形品を用いた、又は請求項10に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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