JP4882433B2 - 乗り物酔い推定装置、乗り物酔い推定装置の作動方法及び乗り物酔い推定装置付き車両 - Google Patents
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Description
乗員の頭部の加速度を検出する乗員運動検出手段と、
前記頭部の加速度に対し、前記頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関に基づいて重み付けを行う周波数重み付け手段と、
重み付けされた前記頭部の加速度の時間積分値に基づいて、乗員が乗り物酔いしている可能性を推定する乗り物酔い推定手段と、
を備えることを特徴とする。
図1は、実施例1の乗り物酔い推定装置付き車両を示す図である。
実施例1の車両は、表示装置1と、車両動センサ2と、体圧センサ3と、クッション角度センサ4aと、クッション角度アクチュエータ4bと、バックレスト角度センサ5aと、バックレスト角度アクチュエータ5bと、サイドサポートアクチュエータ6と、コントローラ7と、を備えている。
車両動センサ2は、車両の並進運動及び回転運動を検出する。
体圧センサ3は、シート8に作用する乗員の体圧分布を検出する。
クッション角度アクチュエータ4bは、シートクッション角度を変更する。
バックレスト角度センサ5aは、バックレスト角度を検出する。
バックレスト角度アクチュエータ5bは、バックレスト角度を変更する。
サイドサポートアクチュエータ6は、シート8のサイドサポートの形状を変更する。
実施例1の乗り物酔い推定装置100は、車両運動検出部(車両挙動検出手段)101と、姿勢データ計測部102と、乗員姿勢・体格推定部(乗員姿勢検出手段)103と、乗員運動推定部(乗員運動検出手段)104と、周波数重み付け部(周波数重み付け手段)105と、視界条件判定部106と、乗り物酔い推定部(乗り物酔い推定手段)107と、結果表示部(報知手段)108と、車両動特性変更部109と、シート形状変更部110と、を備えている。
姿勢データ計測部102は、図1のクッション角度センサ4a、バックレスト角度センサ5a、体圧センサ3に相当し、シートクッション角度やバックレスト角度、体圧分布を計測する。
乗員運動推定部104は、車両運動情報と乗員姿勢・体格情報とから着座している乗員の頭部運動を推定する。
周波数重み付け部105は、推定された乗員頭部運動に対して乗り物酔いの周波数感受性を表す周波数重み付けを行う。
乗り物酔い推定部107は、周波数重み付けを行った乗員頭部運動と、視界条件とから乗り物酔い推定を行う。
結果表示部108は、図1の表示装置1に相当し、乗り物酔い推定結果を運転者に提示する。
シート形状変更部110は、図1のクッション角度アクチュエータ4b、バックレスト角度アクチュエータ5b、サイドサポートアクチュエータ6に相当し、乗り物酔い推定結果に基づいて、シート形状を変更する。
車両動特性変更部109とシート形状変更部110により、車両特性変更手段が構成される。
図3は、実施例1の乗り物酔い推定装置100で実行される乗り物酔い推定制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
乗員の乗り物酔い推定値Sが所定値S0を越える場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS10→ステップS20→ステップS30→ステップS40→ステップS50→ステップS60→ステップS70→ステップS80→ステップS90→ステップS100→ステップS110→ステップS120→ステップS130→ステップS140→ステップS150→ステップS160へと進む流れとなり、ステップS160では、トランスミッション9のシフトスケジュールが変更され、乗り物酔いを低減する穏やかな加速特性が設定される。
[乗員頭部動に基づく乗り物酔い推定作用]
図4には、加速度波形に対する周波数重み付け特性を示す。
上下方向の揺動による動揺病の定量評価指標としては、Motion sickness dose value (MSDV)が規定さている。
以上の結果から、乗り物酔い、特に車酔いの定量評価には、車両のフロアではなく、乗員頭部のデータの使用が適していることがわかる。
車酔いには視界が影響し、車酔い抑制には外部視界、特に前方風景の見え方が重要であることがわかっている。従って、乗員頭部動が同じ場合でも、視界条件が異なると酔いの程度も大きく異なるため、実施例1のように視界条件をパラメータの一つとして車酔いを推定することで、推定精度の向上を図ることができる。
実施例1では、車両データ(並進動及び回転道)と乗員姿勢とに基づいて頭部の加速度を推定する。すなわち、車両動に対する頭部の加速度は、乗員姿勢によって異なるため、車両動と乗員姿勢とから頭部の加速度を推定することで、頭部の加速度を精度良く推定することが可能となる。
実施例1では、頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関(図4)に基づいて重み付けした頭部の加速度awの時間積分値が大きいほど、乗員が乗り物酔いしている可能性が高いと推定する。乗員の頭部の揺動方向や、頭部の加速度の周波数によって異なるため、適切な周波数重み付け特性(図4)を使用するとともに、時間積分により時間経過に伴う動揺病発症率の増加を考慮することにより、乗り物酔いの程度を精度良く推定することが可能となる。
実施例1では、乗員が乗り物酔いしている可能性が有る場合、トランスミッションのシフトスケジュールを、通常のシフトスケジュールよりも高めのギアを使用するように変更することで、加速時に生じる加速度の大きさを抑制する。さらに、実施例1では、乗り物酔いの程度が高い場合、シートクッション、バックレストのサイドサポートの形状及び座面角度を変更して乗員高速性を増加させ、乗員の頭部動を抑制する。
実施例1の乗り物酔い推定装置100にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
実施例2の車両は、感受性データ入力部10と、後輪操舵アクチュエータ11と、を備えている。
感受性データ入力部10は、ドライバが乗り物酔い感受性データを入力する。
後輪操舵アクチュエータ11は、ステアリングホイール12の操舵角に応じて後輪を転舵する。
実施例2の乗り物酔い推定装置200は、感受性入力部201と、乗員判定部202と、周波数重み付け部(周波数重み付け手段)203と、後輪操舵部204と、を備えている。
感受性入力部201は、図7の感受性データ入力部10に相当し、各乗員の乗り物酔い感受性と個人を識別するための体格や性別などの情報を入力する。
周波数重み付け部203は、推定された乗員頭部運動に対して乗り物酔いの周波数感受性を表す周波数重み付けと、個人別の感受性の違いを表す重み付けとを行う。
後輪操舵部204は、図7の後輪操舵アクチュエータ11に相当し、乗り物酔い推定結果に基づき車両の後輪操舵特性を変更・制御する。
後輪操舵部204とシート形状変更部110により、車両特性変更手段が構成される。
図9は、実施例2の乗り物酔い推定装置200で実行される乗り物酔い推定制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図3に示した実施例1と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
各乗員中、最も乗り物酔いしている乗員の乗り物酔い推定値Smaxが所定値S0を超えている場合には、図9のフローチャートにおいて、ステップS10→ステップS210→ステップS220→ステップS230→ステップS240→ステップS250→ステップS260→ステップS270→ステップS280→ステップS90→ステップS100→ステップS290→ステップS300→ステップS310→ステップS320→ステップS330→ステップS150→ステップS340へと進み、ステップS340では、後輪操舵特性が変更され、最も乗り物酔いしている乗員の頭部動が減少するように、乗員のステアリング操作に伴う横加速度やヨーの発生特性が変更される。
[乗り物酔いに応じた車両特性変更作用]
実施例2では、乗員が乗り物酔いしている可能性が有る場合、最も乗り物酔いの程度が高い乗員の頭部動が減少するように、後輪操舵特性を変更する。さらに、実施例2では、乗り物酔いの程度が高い場合、シートクッション、バックレストのサイドサポートの形状及び座面角度を変更して乗員高速性を増加させ、乗員の頭部動を抑制する。
実施例2の乗り物酔い推定装置200にあっては、以下の効果を奏する。
図10は、実施例3の乗り物酔い推定装置付き車両を示す図であり、図1に示した実施例1の構成と異なる部分のみ説明する。
実施例2の車両は、ナビゲーションシステム13を備えている。このナビゲーションシステム13は、GPSと地図データベースとを用い、目的地までの経路や交通状況を案内する。
実施例3の乗り物酔い推定装置300は、ナビゲーションシステム部(ナビゲーションシステム)301と、乗り物酔い予測・推定部(乗り物酔い予測手段)302と、ルート表示・選択部303と、を備えている。
ナビゲーションシステム部301は、目的地までの経路や交通状況を案内する。
ルート表示・選択部303は、目的地まで複数のルートがある場合、乗り物酔いし難い推奨ルートを表示し、乗員に選択させる。
ナビゲーションシステム部301と、ルート表示・選択部303は、図10のナビゲーションシステム13に相当する。
図12は、実施例3の乗り物酔い推定装置300で実行される乗り物酔い推定制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図3に示した実施例1と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ドライバが目的地を設定後、車両を発進させた場合には、図12のフローチャートにおいて、ステップS10→ステップS410→ステップS420→ステップS40→ステップS50→ステップS60→ステップS70ステップS430→ステップS440→ステップS450→ステップS460→ステップS470→ステップS480へと進み、ステップS460では、目的地までのルート別の乗り物酔い予測値Sがドライバに表示され、ドライバは、ステップS480において、乗り物酔いの発症率の低いルートを選択することができる。
実施例3における所定時間T1経過時のSの予測は、例えば、以下のような方法により可能である。経過時間Tまでの周波数重み付け後のある方向の頭部加速度のrms値(実効値)をawとすると、T1経過時のMSDVの予測値は、
MSDV=awT11/2ms-1.5
となる。
実施例3の乗り物酔い推定装置300にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例3において、選択したルートを走行する場合でも、実施例1や実施例2のように、走行状況に応じて車両動特性やシートによる乗員拘束性を変更することで、さらなる乗り物酔いの低減が可能となる。
2 車両動センサ
3 体圧センサ
4a クッション角度センサ
4b クッション角度アクチュエータ
5a バックレスト角度センサ
5b バックレスト角度アクチュエータ
6 サイドサポートアクチュエータ
7 コントローラ
8 シート
9 トランスミッション
10 感受性データ入力部
11 後輪操舵アクチュエータ
12 ステアリングホイール
13 ナビゲーションシステム
100 乗り物酔い推定装置
101 車両運動検出部
102 姿勢データ計測部
103 乗員姿勢・体格推定部
104 乗員運動推定部
105 周波数重み付け部
106 視界条件判定部
107 乗り物酔い推定部
108 結果表示部
109 車両動特性変更部
110 シート形状変更部
200 乗り物酔い推定装置
201 感受性入力部
202 乗員判定部
203 周波数重み付け部
204 後輪操舵部
300 乗り物酔い推定装置
301 ナビゲーションシステム部
302 予測・推定部
303 ルート表示・選択部
Claims (11)
- 乗員の頭部の加速度を検出する乗員運動検出手段と、
前記頭部の加速度に対し、前記頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関に基づいて重み付けを行う周波数重み付け手段と、
重み付けされた前記頭部の加速度の時間積分値に基づいて、乗員が乗り物酔いしている可能性を推定する乗り物酔い推定手段と、
を備えることを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1に記載の乗り物酔い推定装置において、
車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
乗員姿勢を検出する乗員姿勢検出手段と、
を設け、
前記乗員運動検出手段は、前記車両挙動と前記乗員姿勢とに基づいて前記頭部の加速度を検出することを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項2に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗員姿勢検出手段は、乗員の着座姿勢、拘束状態、体圧分布、身長、体重、性別の少なくとも1つを検出し、
前記乗員運動検出手段は、着座した乗員に対応した、車両の揺動に対する頭部挙動の応答関数、もしくは数値モデルによって前記頭部の加速度を算出することを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1ないし請求項3に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗員が乗り物酔いしている可能性に応じて、車両のエンジン特性、トランスミッション特性、ステアリング特性、前輪または後輪の制御特性、乗員拘束特性の少なくとも1つを変更する車両特性変更手段を設けたことを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗り物酔い推定手段は、所定時間の走行データに基づいて、所定時間よりも長い時間が経過した時点での乗り物酔い予測を行うことを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗り物酔い推定手段は、ナビゲーションシステムによる目的地までの各ルートで乗り物酔いの可能性をそれぞれ推定し、
前記ナビゲーションシステムは、前記目的地までの各ルートを乗り物酔いの可能性とともにドライバに表示し、いずれかのルートをドライバに選択可能としたことを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗り物酔い推定手段は、前記乗員の前方視界に応じて、乗り物酔いしている可能性を推定することを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の乗り物酔い推定装置において、
前記乗員の乗り物酔いの可能性を報知する報知手段を設けたことを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 乗員の頭部の加速度を検出する乗員運動検出手段と、
前記頭部の加速度に対し、前記頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関に基づいて重み付けを行う周波数重み付け手段と、
重み付けされた前記頭部の加速度の時間積分値に基づいて、乗員が乗り物酔いしている可能性を推定する乗り物酔い推定手段と、
を備えることを特徴とする乗り物酔い推定装置付き車両。 - 乗員の頭部の加速度を検出し、
前記頭部の加速度に対し、前記頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関に基づいて重み付けを行い、
重み付けされた前記頭部の加速度の時間積分値に基づいて、乗員が乗り物酔いしている可能性を推定することを特徴とする乗り物酔い推定装置。 - 乗員運動検出手段が乗員の頭部の加速度を検出する手順と、
周波数重み付け手段が、前記頭部の加速度に対し、前記頭部の加速度の周波数と乗り物酔いとの相関に基づいて重み付けを行う手順と、
乗り物酔い推定手段が、重み付けされた前記頭部の加速度の時間積分値に基づいて、乗員が乗り物酔いしている可能性を推定する手順と、
を備えることを特徴とする乗り物酔い推定装置の作動方法。
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