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JP3730520B2 - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関し、詳しくは、軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性および成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとを有機過酸化物の存在下に動的熱処理して後者のゴムを架橋せしめたオレフィン系熱可塑性エラストマーは、特開昭48−26838号公報などにより公知である。斯かる熱可塑性エラストマーは、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有し、工程合理化やリサイクル性などの観点から注目され、自動車部品、家電部品、医療用機器部品、電線、雑貨などの分野で広汎に使用されている。
【0003】
ところで、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比し、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性などの点で劣り、使用用途に限界がある。そこで、柔軟性の付与のため、鉱物油系ゴム用軟化剤や有機過酸化物非架橋型炭化水素ゴム状物質の添加、ゴム弾性の改良のため、架橋助剤の併用より架橋度のアップ等の試みが種々行われてきた。
【0004】
しかしながら、仮に架橋度を高めてゴム弾性を改良したとしても、そのため、柔軟性の低下、機械的強度の低下、組成物表面の軟化剤のブリード等が起こり、物性バランスの優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得るのは困難である。
【0005】
上記の問題を解決するため、特公平7−103274号公報には、100℃ムーニー粘度が170〜350であるオレフィン系共重合体ゴムを含む溶液に鉱物油系ゴム用軟化剤を添加した後に脱溶媒して得られる油展オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックとの混合物を部分架橋して成る組成物が提案されている。しかしながら、斯かる組成物であっても、機械的強度の改良は不十分であり、また、当該組成物の押出成型品の表面は粗くて平滑性に欠けるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、鉱物油系ゴム用軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性および成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下GPCと言う)によるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上であるオレフィン系共重合体ゴム(以下、成分(A1)と言う)とその100重量部当たり12〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤(以下、成分(B)と言う)とを予備混合して油展オレフィン系共重合体ゴム(以下、成分(A1B)と言う)を調製し、次いで、成分(A1B)30〜95重量%とオレフィン系樹脂(以下、成分(C)と言う)5〜70重量%とを混合した後(但し、成分(A1B)と(C)の合計量を100重量%とする)、有機過酸化物(以下、成分(D)と言う)の存在下にその1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処理することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明で使用する各成分について説明する。
【0009】
<オレフィン系共重合体ゴム(A)>
本発明においては、後述する成分(A1B)の調製に際し、GPCによるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上(好ましくは52万以上)である成分(A1)を使用する必要がある。成分(A1)の重量平均分子量が50万未満の場合は、得られる組成物の機械的強度の改善が不十分となる。成分(A1)の重量平均分子量の上限は通常75万である。
【0010】
成分(A1)のオレフィン系共重合体ゴムは、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−非共役ジエンゴム、プロピレン−ブタジエン共重合体ゴム等の、オレフィンを主成分とする無定型ランダム共重合体の弾性体である。これらの中では、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好適であり、非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が使用され、特に、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムは、適度な架橋構造が得られる点で好適である。
【0011】
上記のオレフィン系共重合体ゴムにおいて、エチレン含有量は、通常50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%、非共役ジエン含有量は、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。エチレン含有量が90重量%を超える場合は、得られる組成物の柔軟性が失われ、50重量%未満の場合は機械的性能が低下する傾向にある。また、非共役ジエン含有量が1重量%未満の場合は、得られる組成物の架橋度が上がらないために機械的特性が低下し、30重量%を超える場合は射出成形性が低下する傾向にある。
【0012】
本発明においては、得られる組成物の機械的強度が失われない範囲内で分子量50万未満の上記と同様の低分子量のオレフィン系共重合体ゴム(A2)を使用することが出来る。なお、成分(A2)の重量平均分子量の下限は通常5万である。
【0013】
<鉱物油系ゴム用軟化剤(B)>
鉱物油系ゴム用軟化剤は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを軟化させ、柔軟性と弾性を増加させると共に、得られる組成物の加工性および流動性を向上させるために使用される。一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0014】
パラフィン系オイルとしては、40℃の動粘度が通常20〜800cst(センチストークス)、好ましくは50〜600cstであり、流動度が通常0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃、引火点(COC)が通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃のものが好適に使用される。
【0015】
<オレフィン系樹脂(C)>
オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系樹脂が挙げられる。本発明においてはプロピレン系樹脂が好適に使用され、その具体例としては、プロピレンの単独重合体の他、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などのプロピレンを主成分とする共重合体が挙げられる。
【0016】
プロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分である。メルトフローレートが上記の範囲未満の場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観不良を生じ、上記の範囲を超える場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強さが低下する傾向にある。
【0017】
<有機過酸化物(D)>
本発明で使用される有機過酸化物は、芳香族系または脂肪族系の何れでもよく、単一の過酸化物でも2種以上の過酸化物の混合物でもよい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類などが挙げられる。本発明においては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好適に使用される。
【0018】
<架橋助剤>
本発明においては架橋助剤を使用することが出来る。主な架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
【0019】
<その他の成分>
本発明において、その効果を損なわない範囲で各種目的に応じ他の成分を使用することが出来る。この様な成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤などの各種添加物、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂、前記必須成分以外のエラストマーの他、フィラー等が挙げられる。
【0020】
上記の任意の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体の様なエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン−1樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが挙げられる。
【0021】
また、上記の任意のエラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラストマー、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー、ポリブタジエン等が挙げられる。
【0022】
更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0023】
次に、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、成分(A1B)の調製工程と成分(A1B)と成分(C)との動的熱処理工程とから成る。
【0024】
先ず、本発明においては、成分(A1)とその100重量部当たり12〜200重量部(好ましくは40〜150重量部)の成分(B)とを予備混合して成分(A1B)を調製する。
【0025】
成分(B)の使用量が12重量部未満の場合は、得られる組成物の流動性が低下し、特に、押し出し加工性と射出成形性が損なわれる傾向がある。一方、成分(B)の使用量が200重量部を超える場合は、得られる組成物の可塑性が著しく増加して加工性が悪化すると共に、成形品の物性などが低下する傾向がある。
【0026】
すなわち、本発明においては、上記範囲の成分(B)の使用により、柔軟性の確保と流動性の向上による加工性の改良および機械的特性の改良を同時に満足させることの可能なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来る。また、上記範囲の成分(B)の使用により、後述する動的熱処理(架橋)時の発熱が抑制され、その結果、押出成形した際にブツの発生が少なく表面の平滑な成形品を得ることが出来る。
【0027】
上記の油展には公知の方法を使用することが出来る。例えば、ロールやバンバリミキサーの様な装置を使用し、成分(A1)と成分(B)を機械的に混練して油展する方法、成分(A1)溶液に所定量の成分(B)を添加した後にスチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法などがある。特に、後者の油展方法が好ましく、成分(A1)としては、重合で得られるオレフィン系共重合体ゴム溶液を使用するのが操作が容易である。
【0028】
次いで、本発明においては、成分(A1B)30〜95重量%(好ましくは40〜90重量%)と成分(C)5〜70重量%(好ましくは10〜60重量%)とを混合した後(但し、成分(A1B)と(C)の合計量を100重量%とする)、成分(D)の存在下にその1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処理する。
【0029】
成分(C)の含有量が5重量%未満の場合は、得られる組成物の流動性が低下して成形品の外観不良を招き、70重量%を超える場合は、得られる組成物の柔軟性が失われる。
【0030】
成分(D)の使用量は、成分(A1B)と成分(C)の合計100重量部に対し、通常0.05〜3.0重量部、好ましくは0.07〜2.0の範囲から選択される。成分(D)の添加量が0.05重量部未満の場合は架橋反応の効果が小さく、3.0重量部を超える場合は架橋反応の制御が困難になる。
【0031】
また、架橋助剤を併用する場合、その使用量は、成分(A1B)と成分(C)の合計100重量部に対し、通常0.01〜4重量部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲から選択される。架橋助剤の添加量が0.01重量部未満の場合は効果が現れ難く、4重量部を超える場合は経済的に有利ではない。
【0032】
本発明においては、使用する成分(D)の1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処理(混練処理)することが重要であり、斯かる動的熱処理により、原料が微細分散してから架橋するため、押出成型した際に、ブツの発生が少なく、表面の平滑な成形品を得ることが出来る組成物が得られる。ここで言う動的熱処理温度とは、組成物の温度のことを意味し、その好ましい範囲は、使用する成分(D)の1分間半減期温度よりも10℃以上低い温度である。なお、動的熱処理温度の下限は、通常、1分間半減期温度よりも80℃低い温度である。また、動的熱処理時の材料の状態は、使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。
【0033】
上記の動的熱処理で使用する混合・混練装置としては、従来より公知の非開放型バンバリーミキサー、二軸押出機などが挙げられるが、特に二軸押出機が好適に使用される。例えば、成分(A1B)と成分(C)の分散ゾーン及び架橋ゾーンを順次に形成して成るスクリュウ構成の二軸押出機を使用し、当該二軸押出機のホッパーから、成分(A1B)、成分(C)、成分(D)を供給しながら、分散ゾーン中の組成物の温度を使用する成分(D)の1分間半減期温度よりも低温に調節して動的熱処理する。
【0034】
そして、上記のスクリュウ構成の後に、成分(A2)及び成分(B)の分散ゾーンを必要に応じて各別(任意の順序)に形成し、上記ホッパーと別個で且つ架橋ゾーンより下流の位置に相当する位置に設けられた注入口から、成分(A2)及び成分(B)を供給することも出来る。
【0035】
成分(A2)の使用量は、得られる組成物の機械的強度が失われない様にするため、成分(A1B)及び(C)の合計100重量部当たり200重量部以下とされる。そして、成分(A2)は、同一の使用量において、成分(A1B)の調製の際に成分(A1)と共に使用することも出来る。
【0036】
上記の成分(B)は、得られる組成物に所望の柔軟性を与えるための調整用として、成分(A1B)及び(C)の合計100重量部当たり150重量部以下の割合で使用される。この様に後添加する成分(B)の割合が上記の範囲を超える場合はブリードが問題となる傾向がある。なお、その他の副資材は、本発明に係る組成物を製造する如何なる段階においても、更には、組成物の加工時または加工後の製品の使用時においても配合することが可能である。
【0037】
本発明に係る組成物は、熱可塑性エラストマーに使用される成型法(例えば、射出成型法、押出成型法、中空成型法、圧縮成型法など)により、または、その後の二次加工(積層成形、熱成形など)により成形体(単体または他材料との積層体)とされる。そして、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、各種パッキン類など)、土木・建材部品(止水材、目地材、建築用窓枠など)、スポーツ用品(ゴルフクラブ、テニスラケットのグリップ類など)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類など)、医療用機器部品、電線、雑貨などの広汎な分野での資材として使用される。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の諸例で使用した材料および評価方法次の通りである。
【0039】
<材料>
(1)油展オレフィン系共重合体ゴム(A1B−a):
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エチリデンノルボルネン含量4.5重量%、PP換算の重量平均分子量547,000)であり、共重合体ゴム100重量部当たり100重量部の後記(B)成分を含有する。
【0040】
(2)油展オレフィン系共重合体ゴム(A1B−b):
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エチリデンノルボルネン含量4.5重量%、PP換算の重量平均分子量487,000)であり、共重合体ゴム100重量部当たり75重量部の後記(B)成分を含有する。
【0041】
(3)オレフィン系共重合体ゴム(A2):
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エチリデンノルボルネン含量4.5重量%、PP換算の重量平均分子量241,000のオレフィン系共重合体ゴム)
【0042】
(4)鉱物油系ゴム用軟化剤(B):
パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産製「PW380」)
【0043】
(5)オレフィン系樹脂(C):
プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量3.1重量%、メルトフローレート(230℃、21.2N荷重)0.7g/10分)
【0044】
(6)有機過酸化物(D):
2,5−メチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(POX)(1分間半減期温度179℃)
【0045】
(7)架橋助剤(a):
ジビニルベンゼン(DVB)
【0046】
(8)架橋助剤(b):
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMP)
【0047】
<評価方法>
以下の(1)〜(3)の測定には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を使用した。
【0048】
(1)硬度:
JIS K6253準拠(JIS−A)
【0049】
(2)引張破壊強さ:
JIS K6251準拠(JIS−3号ダンベル、引張速度500mm/min)
【0050】
(3)圧縮永久歪み:
JIS K6262準拠(70℃、22時間、25%圧縮)
【0051】
(4)表面粗さRa:
40mmφ単軸押出機(三菱重工製、圧縮比2.2のフルフライトスクリュウ、幅25×厚み1mm平板状ダイス)を使用し、成形温度ホッパー下160℃、シリンダ170〜190℃、ダイス180℃、スクリュウ回転数25rpmの条件で成形を行った。得られた押出成形品表面を東洋精密社製表面粗さ計(サーフコム570A)により中心線平均粗さRaを測定した(JIS B0601準拠)。
【0052】
(5)押出し成形性:
40mmφの単軸押出機(三菱重工(株)製)を使用し、スクリュウ回転数70rpm、温度180℃にて、異型ダイから押し出された成型品の形状を評価した。成型品の口金形状の反映性及び表面状態を目視で判定した。そして、優れる(○)、良(△)、不良(×)の3ランクで評価した。
【0053】
(6)鉱物油系ゴム用軟化剤(オイル)ブリード性:
射出成形品を80℃オーブン中に24時間放置し、成形品表面にブリードするオイルを目視にて判定した。そして、ブリード全くなし(○)、ブリード僅かにあり(△)、ブリード有り(×)の3ランクで評価した。
【0054】
実施例1
成分(A1B−a)80重量%と成分(C)20重量%の混合物100重量部当たり、POX0.30重量部とDVB0.40重量部とを配合し、ヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした後、3つの混練ゾーンを有するスクリュウ構成の同方向2軸押出機(神戸製鋼製「KTX44」、L/D=41、シリンダブロック数=11)の第1供給口へ30kg/hの速度で投入した。
【0055】
また、第1混練ゾーン(分散ゾーン)に相当する箇所のシリンダー内の組成物と接触する位置に白金抵抗温度計を設置し、組成物の温度が130℃となる様にシリンダー温度を設定し、第2混練ゾーン(架橋ゾーン)及び第3混練ゾーン(成分(B)存在時はその分散ゾーン)に相当する箇所のシリンダー内の組成物の温度が200℃となる様にシリンダー温度を設定して溶融混練を行いペレット化した。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を90重量%、成分(C)の割合を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を60重量%、成分(C)の割合40重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例4
実施例1において、DVBの代りにTMP0.8重量部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例5
実施例1において、第1混練ゾーンに相当する箇所のシリンダー内の組成物の温度が160℃となる様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0060】
実施例6
実施例1において、更に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、成分(A2)15重量部を加え、第2混練ゾーンと第3混練ゾーンの間のシリンダーに設置した第2供給口に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、20重量部となる量の成分(B)を供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0061】
実施例7
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を40重量%、成分(C)の割合を60重量%に変更し、更に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、成分(A2)80重量部を加え、第2混練ゾーンと第3混練ゾーンの間のシリンダーに設置した第2供給口に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、20重量部となる量の成分(B)を供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0062】
実施例8
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を43重量%、成分(C)の割合を57重量%に変更し、更に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、成分(A2)115重量部を加え、第2混練ゾーンと第3混練ゾーンの間のシリンダーに設置した第2供給口に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、70重量部となる量の成分(B)を供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0063】
実施例9
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を43重量%、成分(C)の割合を57重量%に変更し、更に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、成分(A2)43重量部を加えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
比較例1
実施例1において、成分(A1B−a)を(A1B−b)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
【0065】
比較例2
実施例1において、第1混練ゾーンに相当する箇所のシリンダー内の組成物の温度が190℃となる様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
【0066】
比較例3
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を20重量%、成分(C)の割合を80重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
【0067】
比較例4
実施例1において、成分(A1B−a)の割合を97重量%、成分(C)の割合を3重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0003730520
【0069】
【表2】
Figure 0003730520
【0070】
前記の表1及び2から明らかな様に、実施例は、比較例に比し、低硬度領域において鉱物油系ゴム用軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性および押出成形性に優れ、押出成型品の表面外観の平滑性が改良されていることが分かる。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、鉱物油系ゴム用軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性および成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法が提供される。

Claims (6)

  1. ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下GPCと言う)によるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上であるオレフィン系共重合体ゴム(以下、成分(A1)と言う)とその100重量部当たり12〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤(以下、成分(B)と言う)とを予備混合して油展オレフィン系共重合体ゴム(以下、成分(A1B)と言う)を調製し、次いで、成分(A1B)30〜95重量%とオレフィン系樹脂(以下、成分(C)と言う)5〜70重量%とを混合した後(但し、成分(A1B)と(C)の合計量を100重量%とする)、有機過酸化物(以下、成分(D)と言う)の存在下にその1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処理することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. GPCによるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万未満であるオレフィン系共重合体ゴム(以下成分(A2)と言う)を成分(A1B)及び(C)の合計100重量部当たり200重量部以下の割合で使用する請求項1に記載の製造方法。
  3. 動的熱処理後に成分(A1B)及び(C)の合計100重量部当たり150重量部以下の割合で成分(B)を更に混合する請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 成分(A1)及び(A2)がエチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴムである請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴムのエチレン含有量が50〜90重量%、非共役ジエン含有量が1〜30重量%である請求項4に記載の製造方法。
  6. 成分(C)がポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体である請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
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