JP2006233085A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【構成】 下記の成分(a)、(b)及び(c)を含有する混合物を動的架橋して得られる組成物と成分(d)とを混合してなる熱可塑性エラストマー組成物。
(a)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを主成分とする、密度0.84g/cm3〜0.88g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体 40重量%〜99重量%、
(b)オレフィン系樹脂 1重量%〜60重量% [但し、(a)と(b)との合計量を100重量%とする]、
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤 (a)と(b)の合計量100重量部に対して0重量部〜100重量部、
(d)発泡剤 (a)、(b)及び(c)の合計量100重量部に対して0.1重量部〜10重量部。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、該組成物は、非芳香族系ゴム用軟化剤が表面にブリードし、塗装を施そうとしても、塗料が剥れやすいという問題点があった。
(a)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを主成分とする、密度0.84g/cm3〜0.88g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体 40重量%〜99重量%、
(b)オレフィン系樹脂 1重量%〜60重量% [但し、(a)と(b)との合計量を100重量%とする]、
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤 (a)と(b)の合計量100重量部に対して0重量部〜100重量部、
(d)発泡剤 (a)、(b)及び(c)の合計量100重量部に対して0.1重量部〜10重量部。
尚、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
成分(a):エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明で使用する成分(a)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンを主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体である。ここで主成分とするとは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンが通常90重量%以上、好ましくは93重量%以上含まれていることをいい、他にジエン成分などが含まれていてもよい。ジエン成分としては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられ、このうち、特に、エチリデンノルボルネンが適度な架橋構造が得られるため好ましい。
一般に、メタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、従来のチーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜5のα−オレフィンの分布が均一である。従って、メタロセン系触媒により製造されたオレフィン系エラストマーは、低分子量成分が少ないなどチーグラー系触媒等を用いる従来のものと比較して重合体の性質が大きく異なっている。
本発明で使用する成分(b)は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、密度が0.88g/cm3を超えるものが好ましく、耐熱性、成形加工性に優れることから、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。なお、重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、更に炭化水素系ゴム用軟化剤を含有してもよい。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系炭化水素;ポリブテン系、ポリブタジエン系等の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素等が挙げられるが、中でも、熱可塑性エラストマーの製造が容易なことから、鉱物油系炭化水素が好ましい。また、熱可塑性エラストマーの製造が容易なことから、重量平均分子量で300〜2000、特に500〜1500の分子量を有するものが好ましい。
鉱物油系炭化水素系ゴム用軟化剤としては、一般に、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物等が用いられる。通常、芳香族系炭化水素の炭素数が全炭素数中の30%以上のものが芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素数が全炭素数中の30〜45%のものがナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素数が全
炭素数中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルとそれぞれ呼ばれているが、本発明においては、耐候性や色調の点から、パラフィン系オイルが特に好ましい。
また、本発明で使用する炭化水素系ゴム用軟化剤としては、前記鉱物油系炭化水素の場合、40℃での動粘度が通常20〜800cSt(センチストークス)、特に50〜600cSt、流動点が通常−40〜0℃、特に−30〜0℃、引火点が通常200〜400℃、特に250〜350℃であるものが、製造が容易なことからそれぞれ好ましい。
成分(c)が含まれる場合の混合割合は、成分(a)及び(b)の合計量100重量部に対して、下限は、10重量部が好ましく、上限は、100重量部が好ましく、80重量部が更に好ましい。成分(c)の量が多過ぎる場合は得られる組成物の表面にオイルがブリードし、べた付きが発生する傾向にある。
本発明で用いる発泡剤は、これを含む熱可塑性エラストマー樹脂を発泡させることが可能であれば種類は特に限定されないが、望ましくは均一な発泡体を得られるものが好ましい。また、平均粒径が1〜50μmのものが好ましい。粒径が小さ過ぎるとゴム中への分散が不十分となり、大き過ぎると本発明の組成物から得られる成形品の強度が大きく低下する傾向にある。発泡剤としては、具体的には、アゾジカルボンアミド系、N,N'−ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン系、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)系、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン系、炭酸水素ナトリウム系などの化学発泡剤、水などの物理発泡剤、熱膨張性マイクロカプセルのような熱膨張性発泡剤などがあるが、中でも、熱膨張性マイクロカプセルが均一な発泡体を得られるため好ましい。また、熱膨張性マイクロカプセルの膨張率は、10〜100倍が好ましく、膨張率が低すぎると十分な発泡倍率が得られず、高すぎると均一微細なセルが得られ難くなる。このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、アクリロニトリル系コポリマ−を外殻としてイソブタンを内包している、エクスパンセル社製「エクスパンセル」が適している。
て更に架橋助剤の存在下で、溶融混練することによって行われる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸の押出機等が使用される。
成分(d)は、成分(a)〜(c)を動的架橋した後に、押出機の上流側のホッパーと別個のより下流側に位置する注入口からシリンダー内に供給して更に熱処理し混合したり、或いは、各成形時にブレンドし混合することが出来る。また、成分(d)は、分散性を向上させるためにマスターバッチを用いることも出きる。均一に発泡している綺麗な発泡体を得るために、各成形時にブレンドし混合する方法が好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常、熱可塑性エラストマーに用いられる成形方法、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等によって、又はその後の積層成形、熱成形等の二次加工によって、単独で又は他の材料との積層体として成形体とされる。そして、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、各種パッキン類等)、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類)、医療用機器部品、電線、及び雑貨等の広汎な分野での資材として用いることができる。
尚、実施例及び比較例で使用した材料、成型方法及び評価方法は以下の通りである。
<材料>
成分(a):エチレン・α−オレフィン共重合体
a−1:エチレンとブテン−1との共重合体〔三井化学(株)社製「タフマーYA501」;
メタロセン系重合触媒、密度=0.86g/cm3、Mw/Mn=2.2、MFR(19
0℃、21N荷重)=0.5〕。
製「エンゲージ8180」;メタロセン系重合触媒、密度=0.86g/cm3、Mw/
Mn=2.3、MFR(190℃、21N荷重)=0.6〕。
a−3:エチレンとオクテン−1との共重合体〔デュポンダウエラストマージャパン(株)社
製「エンゲージ8003」;メタロセン系重合触媒、密度=0.89g/cm3、Mw/
Mn=2.4、MFR(190℃、21N荷重)=1.0〕。
プロピレン重合体樹脂〔MFR(230℃、21.2N荷重)=0.9g/10分〕。
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤
パラフィン系オイル〔出光興産社製「PW380」;重量平均分子量=746、40℃での動粘度=382cSt、流動点=−15℃、引火点=300℃、)。
(d)熱膨張性マイクロカプセル
エクスパンセル社製 「エクスパンセル 098MBX120」。(65重量%マスターバッチ、発泡開始温度=155〜170℃、最大膨張温度=210〜230℃。)
架橋剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(以下、「POX」と称する。)。
<成形方法>
(1)発泡体の製造
上述の成分(a)〜(c)の合計100重量部に、成分(d)を3重量部加え攪拌し、渡辺加工機製の45mmφ押出機(シングルフライトタイプスクリュウ)のTダイから、シリンダー温度=190℃、ダイス温度=210℃、スクリュウ回転数=70rpmの条件下、幅250mm、厚さ0.35mmのシートとして押し出し発泡体を得た。
更に、このシートにコロナ処理を行い、濡れ指数40dyne/cmとした後、塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)及び無黄変ウレタン系トップコート(特殊色料工業(株)製「ハイコープU EU1110M」)を各々ウエット付量40g/m2、70g/m2となるようにスプレーにて塗布した。
(1)成形加工性:上記の成形条件で成形上にドローダウンやシートの耳切れなどの問題が無く、更に、得られた発泡体に著しい外観不良等が無い場合、成形加工性を良好とした。
(2)柔軟性(触感):発泡体の表面を手で触れてその感触を5段階表示した。
5…非常に柔らかい
4…柔らかい
3…普通
2…硬い
1…非常に硬い
(3)塗装性(碁盤目付着試験):JIS D202に従って、スプレー塗布したサン
プルの表面に、ステンレスカッターにより2mm間隔に10×10個(合計100個)の碁盤目を作成し、碁盤目の上からセロハンテープ(ニチバン社製「LP24」)をローラで十分に圧着させた後、勢い良く剥離したときにセロハンテープと共に剥離された碁盤目の個数を数えた。本願発明は、通常、50個以下である。
( 4)ベタツキ性:発泡体を80℃で7日間ギャーオーブン中に静置した後、ベタツキ(てかり)の有無を目視観察し、以下に示す2段階で評価した。
×…ベタツキが認められた。
<実施例1〜5及び比較例1〜2>
表1に示す配合量(重量部)にて配合した熱可塑性エラストマー組成物の成分(a)及
び(b)の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」)0.1重量部を添加し、更に、表1に示す量のPOX、DVBを添加し、ヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。このブレンド物を、2個の原料供給口を有する同方向2軸押出機(神戸製鋼製「KTX44」、L/D=41、シリンダブロック数=11)の第1供給口へ30kg/時間の速度で投入し、110〜220℃で溶融混練することにより動的に熱処理し、[更に、成分(c)を入れる場合は、ここで同時に押出機シリンダーの途中に設けられた第2の供給口から表1の割合になるように供給し、]これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られたペレット用いて、上記の方法にて発泡体を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレンとスチレン系ブロック共重合体ゴムと非芳香族系ゴム用軟化剤のブレンド物であるスチレン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製「ラバロンSR04」)の評価結果を表1に示す。
Claims (7)
- 下記の成分(a)、(b)及び(c)を含有する混合物を動的架橋して得られる組成物と成分(d)とを混合してなる熱可塑性エラストマー組成物。
(a)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを主成分とする、密度0.84g/cm3〜0.88g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体 40重量%〜99重量%、
(b)オレフィン系樹脂 1重量%〜60重量% [但し、(a)と(b)との合計量を100重量%とする]、
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤 (a)と(b)の合計量100重量部に対して0重量部〜100重量部、
(d)発泡剤 (a)、(b)及び(c)の合計量100重量部に対して0.1重量部〜10重量部。 - 成分(a)のエチレン・α−オレフィン共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(b)のオレフィン系樹脂がプロピレン系重合体である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 動的架橋を有機過酸化物の存在下で行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(d)の発泡剤が熱膨張性マイクロカプセルであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物
- 前記熱膨張性マイクロカプセルが熱機械分析装置により測定した発泡開始温度が155〜170℃であることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を熱膨張させたことを特徴とする発泡体。
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