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JP2002047353A - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法

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Publication number
JP2002047353A
JP2002047353A JP2001023096A JP2001023096A JP2002047353A JP 2002047353 A JP2002047353 A JP 2002047353A JP 2001023096 A JP2001023096 A JP 2001023096A JP 2001023096 A JP2001023096 A JP 2001023096A JP 2002047353 A JP2002047353 A JP 2002047353A
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JP
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weight
component
parts
rubber
ethylene
Prior art date
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Application number
JP2001023096A
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Gakuji Shin
学治 進
Tatsumi Tsuji
龍美 辻
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉱物油系ゴム用軟化剤のブリードが少なく、柔
軟性、機械的強度、ゴム弾性および成形性に優れ、押出
成型品の表面外観が平滑なオレフィン系熱可塑性エラス
トマー組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】ゲルパーミエイションクロマトグラフィに
よるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上
であるオレフィン系共重合体ゴムとその100重量部当
たり12〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤とを予
備混合して油展オレフィン系共重合体ゴム(以下、成分
(A1B)と言う)を調製し、次いで、成分(A1B)3
0〜95重量%とオレフィン系樹脂(以下、成分(C)
と言う)5〜70重量%とを混合した後(但し、成分
(A1B)と(C)の合計量を100重量%とする)、
有機過酸化物の存在下にその1分間半減期温度よりも低
温にて動的熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン系熱可
塑性エラストマー組成物の製造方法に関し、詳しくは、
軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム
弾性および成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑
なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂とエチレン−α−
オレフィン系共重合体ゴムとを有機過酸化物の存在下に
動的熱処理して後者のゴムを架橋せしめたオレフィン系
熱可塑性エラストマーは、特開昭48−26838号公
報などにより公知である。斯かる熱可塑性エラストマー
は、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を必要とせ
ず、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有し、工程合理
化やリサイクル性などの観点から注目され、自動車部
品、家電部品、医療用機器部品、電線、雑貨などの分野
で広汎に使用されている。
【0003】ところで、従来のオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーは、加硫ゴムに比し、柔軟性、機械的強度、
ゴム弾性などの点で劣り、使用用途に限界がある。そこ
で、柔軟性の付与のため、鉱物油系ゴム用軟化剤や有機
過酸化物非架橋型炭化水素ゴム状物質の添加、ゴム弾性
の改良のため、架橋助剤の併用より架橋度のアップ等の
試みが種々行われてきた。
【0004】しかしながら、仮に架橋度を高めてゴム弾
性を改良したとしても、そのため、柔軟性の低下、機械
的強度の低下、組成物表面の軟化剤のブリード等が起こ
り、物性バランスの優れたオレフィン系熱可塑性エラス
トマー組成物を得るのは困難である。
【0005】上記の問題を解決するため、特公平7−1
03274号公報には、100℃ムーニー粘度が170
〜350であるオレフィン系共重合体ゴムを含む溶液に
鉱物油系ゴム用軟化剤を添加した後に脱溶媒して得られ
る油展オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラス
チックとの混合物を部分架橋して成る組成物が提案され
ている。しかしながら、斯かる組成物であっても、機械
的強度の改良は不十分であり、また、当該組成物の押出
成型品の表面は粗くて平滑性に欠けるという問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、鉱物油系ゴム用
軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム
弾性および成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑
なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下GP
Cと言う)によるポリプロピレン換算の重量平均分子量
が50万以上であるオレフィン系共重合体ゴム(以下、
成分(A1)と言う)とその100重量部当たり12〜
200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤(以下、成分
(B)と言う)とを予備混合して油展オレフィン系共重
合体ゴム(以下、成分(A1B)と言う)を調製し、次
いで、成分(A1B)30〜95重量%とオレフィン系
樹脂(以下、成分(C)と言う)5〜70重量%とを混
合した後(但し、成分(A1B)と(C)の合計量を1
00重量%とする)、有機過酸化物(以下、成分(D)
と言う)の存在下にその1分間半減期温度よりも低温に
て動的熱処理することを特徴とするオレフィン系熱可塑
性エラストマー組成物の製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明で使用する各成分について説明する。
【0009】<オレフィン系共重合体ゴム(A)>本発
明においては、後述する成分(A1B)の調製に際し、
GPCによるポリプロピレン換算の重量平均分子量が5
0万以上(好ましくは52万以上)である成分(A1
を使用する必要がある。成分(A1)の重量平均分子量
が50万未満の場合は、得られる組成物の機械的強度の
改善が不十分となる。成分(A1)の重量平均分子量の
上限は通常75万である。
【0010】成分(A1)のオレフィン系共重合体ゴム
は、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチ
レン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレ
ン−ブテン−非共役ジエンゴム、プロピレン−ブタジエ
ン共重合体ゴム等の、オレフィンを主成分とする無定型
ランダム共重合体の弾性体である。これらの中では、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EP
DM)が好適であり、非共役ジエンとしては、ジシクロ
ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジ
エン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン
等が使用され、特に、エチレン−プロピレン−エチリデ
ンノルボルネン共重合体ゴムは、適度な架橋構造が得ら
れる点で好適である。
【0011】上記のオレフィン系共重合体ゴムにおい
て、エチレン含有量は、通常50〜90重量%、好まし
くは60〜80重量%、非共役ジエン含有量は、通常1
〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。エチ
レン含有量が90重量%を超える場合は、得られる組成
物の柔軟性が失われ、50重量%未満の場合は機械的性
能が低下する傾向にある。また、非共役ジエン含有量が
1重量%未満の場合は、得られる組成物の架橋度が上が
らないために機械的特性が低下し、30重量%を超える
場合は射出成形性が低下する傾向にある。
【0012】本発明においては、得られる組成物の機械
的強度が失われない範囲内で分子量50万未満の上記と
同様の低分子量のオレフィン系共重合体ゴム(A2)を
使用することが出来る。なお、成分(A2)の重量平均
分子量の下限は通常5万である。
【0013】<鉱物油系ゴム用軟化剤(B)>鉱物油系
ゴム用軟化剤は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを
軟化させ、柔軟性と弾性を増加させると共に、得られる
組成物の加工性および流動性を向上させるために使用さ
れる。一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族炭化水
素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の
混合物である。全炭素量に対し、芳香族系炭化水素の炭
素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナ
フテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のも
のはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の
割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼
ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適
に使用される。
【0014】パラフィン系オイルとしては、40℃の動
粘度が通常20〜800cst(センチストークス)、
好ましくは50〜600cstであり、流動度が通常0
〜−40℃、好ましくは0〜−30℃、引火点(CO
C)が通常200〜400℃、好ましくは250〜35
0℃のものが好適に使用される。
【0015】<オレフィン系樹脂(C)>オレフィン系
樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結
晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン
系樹脂が挙げられる。本発明においてはプロピレン系樹
脂が好適に使用され、その具体例としては、プロピレン
の単独重合体の他、プロピレン・エチレンランダム共重
合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などのプ
ロピレンを主成分とする共重合体が挙げられる。
【0016】プロピレン系樹脂のメルトフローレート
(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)
は、通常0.05〜100g/10分、好ましくは0.
1〜50g/10分である。メルトフローレートが上記
の範囲未満の場合は、得られる組成物の成形性が悪化し
て外観不良を生じ、上記の範囲を超える場合は、得られ
る組成物の機械的特性、特に引張破壊強さが低下する傾
向にある。
【0017】<有機過酸化物(D)>本発明で使用され
る有機過酸化物は、芳香族系または脂肪族系の何れでも
よく、単一の過酸化物でも2種以上の過酸化物の混合物
でもよい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、
t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等
のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウ
ロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−ク
ロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾ
イルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類などが挙げ
られる。本発明においては、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好適に使用さ
れる。
【0018】<架橋助剤>本発明においては架橋助剤を
使用することが出来る。主な架橋助剤としては、例え
ば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベン
ゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助
剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリ
アリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官
能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ア
リル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレ
ート化合物などが挙げられる。
【0019】<その他の成分>本発明において、その効
果を損なわない範囲で各種目的に応じ他の成分を使用す
ることが出来る。この様な成分としては、例えば、充填
材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、
中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリッ
プ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付
与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴
材、蛍光増白剤などの各種添加物、前記必須成分以外の
熱可塑性樹脂、前記必須成分以外のエラストマーの他、
フィラー等が挙げられる。
【0020】上記の任意の熱可塑性樹脂としては、例え
ば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリ
ル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチ
レン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタク
リル酸エステル共重合体の様なエチレン・α−オレフィ
ン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン−1樹脂などの
ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリ
マー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメ
チレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが
挙げられる。
【0021】また、上記の任意のエラストマーとして
は、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EP
M)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム
(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EB
M)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のエ
チレン系エラストマー、スチレン・ブタジエン共重合体
ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン
系エラストマー、ポリブタジエン等が挙げられる。
【0022】更に、充填材としては、ガラス繊維、中空
ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイ
カ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カ
ーボンブラック等が挙げられる。
【0023】次に、本発明の製造方法について説明す
る。本発明の製造方法は、成分(A1B)の調製工程と
成分(A1B)と成分(C)との動的熱処理工程とから
成る。
【0024】先ず、本発明においては、成分(A1)と
その100重量部当たり12〜200重量部(好ましく
は40〜150重量部)の成分(B)とを予備混合して
成分(A1B)を調製する。
【0025】成分(B)の使用量が12重量部未満の場
合は、得られる組成物の流動性が低下し、特に、押し出
し加工性と射出成形性が損なわれる傾向がある。一方、
成分(B)の使用量が200重量部を超える場合は、得
られる組成物の可塑性が著しく増加して加工性が悪化す
ると共に、成形品の物性などが低下する傾向がある。
【0026】すなわち、本発明においては、上記範囲の
成分(B)の使用により、柔軟性の確保と流動性の向上
による加工性の改良および機械的特性の改良を同時に満
足させることの可能なオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物を得ることが出来る。また、上記範囲の成分
(B)の使用により、後述する動的熱処理(架橋)時の
発熱が抑制され、その結果、押出成形した際にブツの発
生が少なく表面の平滑な成形品を得ることが出来る。
【0027】上記の油展には公知の方法を使用すること
が出来る。例えば、ロールやバンバリミキサーの様な装
置を使用し、成分(A1)と成分(B)を機械的に混練
して油展する方法、成分(A1)溶液に所定量の成分
(B)を添加した後にスチームストリッピング等の方法
により脱溶媒する方法などがある。特に、後者の油展方
法が好ましく、成分(A1)としては、重合で得られる
オレフィン系共重合体ゴム溶液を使用するのが操作が容
易である。
【0028】次いで、本発明においては、成分(A
1B)30〜95重量%(好ましくは40〜90重量
%)と成分(C)5〜70重量%(好ましくは10〜6
0重量%)とを混合した後(但し、成分(A1B)と
(C)の合計量を100重量%とする)、成分(D)の
存在下にその1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処
理する。
【0029】成分(C)の含有量が5重量%未満の場合
は、得られる組成物の流動性が低下して成形品の外観不
良を招き、70重量%を超える場合は、得られる組成物
の柔軟性が失われる。
【0030】成分(D)の使用量は、成分(A1B)と
成分(C)の合計100重量部に対し、通常0.05〜
3.0重量部、好ましくは0.07〜2.0の範囲から
選択される。成分(D)の添加量が0.05重量部未満
の場合は架橋反応の効果が小さく、3.0重量部を超え
る場合は架橋反応の制御が困難になる。
【0031】また、架橋助剤を併用する場合、その使用
量は、成分(A1B)と成分(C)の合計100重量部
に対し、通常0.01〜4重量部、好ましくは0.05
〜2重量部の範囲から選択される。架橋助剤の添加量が
0.01重量部未満の場合は効果が現れ難く、4重量部
を超える場合は経済的に有利ではない。
【0032】本発明においては、使用する成分(D)の
1分間半減期温度よりも低温にて動的熱処理(混練処
理)することが重要であり、斯かる動的熱処理により、
原料が微細分散してから架橋するため、押出成型した際
に、ブツの発生が少なく、表面の平滑な成形品を得るこ
とが出来る組成物が得られる。ここで言う動的熱処理温
度とは、組成物の温度のことを意味し、その好ましい範
囲は、使用する成分(D)の1分間半減期温度よりも1
0℃以上低い温度である。なお、動的熱処理温度の下限
は、通常、1分間半減期温度よりも80℃低い温度であ
る。また、動的熱処理時の材料の状態は、使用する材料
の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融
状態または溶融状態となるが、特に制限されない。
【0033】上記の動的熱処理で使用する混合・混練装
置としては、従来より公知の非開放型バンバリーミキサ
ー、二軸押出機などが挙げられるが、特に二軸押出機が
好適に使用される。例えば、成分(A1B)と成分
(C)の分散ゾーン及び架橋ゾーンを順次に形成して成
るスクリュウ構成の二軸押出機を使用し、当該二軸押出
機のホッパーから、成分(A1B)、成分(C)、成分
(D)を供給しながら、分散ゾーン中の組成物の温度を
使用する成分(D)の1分間半減期温度よりも低温に調
節して動的熱処理する。
【0034】そして、上記のスクリュウ構成の後に、成
分(A2)及び成分(B)の分散ゾーンを必要に応じて
各別(任意の順序)に形成し、上記ホッパーと別個で且
つ架橋ゾーンより下流の位置に相当する位置に設けられ
た注入口から、成分(A2)及び成分(B)を供給する
ことも出来る。
【0035】成分(A2)の使用量は、得られる組成物
の機械的強度が失われない様にするため、成分(A
1B)及び(C)の合計100重量部当たり200重量
部以下とされる。そして、成分(A2)は、同一の使用
量において、成分(A1B)の調製の際に成分(A1)と
共に使用することも出来る。
【0036】上記の成分(B)は、得られる組成物に所
望の柔軟性を与えるための調整用として、成分(A
1B)及び(C)の合計100重量部当たり150重量
部以下の割合で使用される。この様に後添加する成分
(B)の割合が上記の範囲を超える場合はブリードが問
題となる傾向がある。なお、その他の副資材は、本発明
に係る組成物を製造する如何なる段階においても、更に
は、組成物の加工時または加工後の製品の使用時におい
ても配合することが可能である。
【0037】本発明に係る組成物は、熱可塑性エラスト
マーに使用される成型法(例えば、射出成型法、押出成
型法、中空成型法、圧縮成型法など)により、または、
その後の二次加工(積層成形、熱成形など)により成形
体(単体または他材料との積層体)とされる。そして、
自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シー
ト、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、
エアダクトホース、各種パッキン類など)、土木・建材
部品(止水材、目地材、建築用窓枠など)、スポーツ用
品(ゴルフクラブ、テニスラケットのグリップ類な
ど)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、
家電部品(ホース、パッキン類など)、医療用機器部
品、電線、雑貨などの広汎な分野での資材として使用さ
れる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。以下の諸例で使用した
材料および評価方法次の通りである。
【0039】<材料> (1)油展オレフィン系共重合体ゴム(A1B−a):
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共
重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エチリデンノ
ルボルネン含量4.5重量%、PP換算の重量平均分子
量547,000)であり、共重合体ゴム100重量部
当たり100重量部の後記(B)成分を含有する。
【0040】(2)油展オレフィン系共重合体ゴム(A
1B−b):エチレン−プロピレン−エチリデンノルボ
ルネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、
エチリデンノルボルネン含量4.5重量%、PP換算の
重量平均分子量487,000)であり、共重合体ゴム
100重量部当たり75重量部の後記(B)成分を含有
する。
【0041】(3)オレフィン系共重合体ゴム
(A2):エチレン−プロピレン−エチリデンノルボル
ネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エ
チリデンノルボルネン含量4.5重量%、PP換算の重
量平均分子量241,000のオレフィン系共重合体ゴ
ム)
【0042】(4)鉱物油系ゴム用軟化剤(B):パラ
フィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘
度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出
光興産製「PW380」)
【0043】(5)オレフィン系樹脂(C):プロピレ
ン−エチレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量
3.1重量%、メルトフローレート(230℃、21.
2N荷重)0.7g/10分)
【0044】(6)有機過酸化物(D):2,5−メチ
ル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(PO
X)(1分間半減期温度179℃)
【0045】(7)架橋助剤(a):ジビニルベンゼン
(DVB)
【0046】(8)架橋助剤(b):トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート(TMP)
【0047】<評価方法>以下の(1)〜(3)の測定
には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機
械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シ
リンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形
して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚
2mm)を使用した。
【0048】(1)硬度:JIS K6253準拠(J
IS−A)
【0049】(2)引張破壊強さ:JIS K6251
準拠(JIS−3号ダンベル、引張速度500mm/m
in)
【0050】(3)圧縮永久歪み:JIS K6262
準拠(70℃、22時間、25%圧縮)
【0051】(4)表面粗さRa:40mmφ単軸押出
機(三菱重工製、圧縮比2.2のフルフライトスクリュ
ウ、幅25×厚み1mm平板状ダイス)を使用し、成形
温度ホッパー下160℃、シリンダ170〜190℃、
ダイス180℃、スクリュウ回転数25rpmの条件で
成形を行った。得られた押出成形品表面を東洋精密社製
表面粗さ計(サーフコム570A)により中心線平均粗
さRaを測定した(JIS B0601準拠)。
【0052】(5)押出し成形性:40mmφの単軸押
出機(三菱重工(株)製)を使用し、スクリュウ回転数
70rpm、温度180℃にて、異型ダイから押し出さ
れた成型品の形状を評価した。成型品の口金形状の反映
性及び表面状態を目視で判定した。そして、優れる
(○)、良(△)、不良(×)の3ランクで評価した。
【0053】(6)鉱物油系ゴム用軟化剤(オイル)ブ
リード性:射出成形品を80℃オーブン中に24時間放
置し、成形品表面にブリードするオイルを目視にて判定
した。そして、ブリード全くなし(○)、ブリード僅か
にあり(△)、ブリード有り(×)の3ランクで評価し
た。
【0054】実施例1 成分(A1B−a)80重量%と成分(C)20重量%
の混合物100重量部当たり、POX0.30重量部と
DVB0.40重量部とを配合し、ヘンシェルミキサー
にて1分間ブレンドした後、3つの混練ゾーンを有する
スクリュウ構成の同方向2軸押出機(神戸製鋼製「KT
X44」、L/D=41、シリンダブロック数=11)
の第1供給口へ30kg/hの速度で投入した。
【0055】また、第1混練ゾーン(分散ゾーン)に相
当する箇所のシリンダー内の組成物と接触する位置に白
金抵抗温度計を設置し、組成物の温度が130℃となる
様にシリンダー温度を設定し、第2混練ゾーン(架橋ゾ
ーン)及び第3混練ゾーン(成分(B)存在時はその分
散ゾーン)に相当する箇所のシリンダー内の組成物の温
度が200℃となる様にシリンダー温度を設定して溶融
混練を行いペレット化した。評価結果を表1に示す。
【0056】実施例2 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を90重
量%、成分(C)の割合を10重量%に変更した以外
は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に
示す。
【0057】実施例3 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を60重
量%、成分(C)の割合40重量%に変更した以外は、
実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示
す。
【0058】実施例4 実施例1において、DVBの代りにTMP0.8重量部
を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評
価結果を表1に示す。
【0059】実施例5 実施例1において、第1混練ゾーンに相当する箇所のシ
リンダー内の組成物の温度が160℃となる様に変更し
た以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を
表1に示す。
【0060】実施例6 実施例1において、更に、成分(A1B)及び成分
(C)の合計100重量部に対し、成分(A2)15重
量部を加え、第2混練ゾーンと第3混練ゾーンの間のシ
リンダーに設置した第2供給口に、成分(A1B)及び
成分(C)の合計100重量部に対し、20重量部とな
る量の成分(B)を供給した以外は、実施例1と同様の
操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0061】実施例7 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を40重
量%、成分(C)の割合を60重量%に変更し、更に、
成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対
し、成分(A2)80重量部を加え、第2混練ゾーンと
第3混練ゾーンの間のシリンダーに設置した第2供給口
に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部
に対し、20重量部となる量の成分(B)を供給した以
外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1
に示す。
【0062】実施例8 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を43重
量%、成分(C)の割合を57重量%に変更し、更に、
成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対
し、成分(A2)115重量部を加え、第2混練ゾーン
と第3混練ゾーンの間のシリンダーに設置した第2供給
口に、成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量
部に対し、70重量部となる量の成分(B)を供給した
以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表
1に示す。
【0063】実施例9 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を43重
量%、成分(C)の割合を57重量%に変更し、更に、
成分(A1B)及び成分(C)の合計100重量部に対
し、成分(A2)43重量部を加えた以外は、実施例1
と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】比較例1 実施例1において、成分(A1B−a)を(A1B−b)
に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評
価結果を表2に示す。
【0065】比較例2 実施例1において、第1混練ゾーンに相当する箇所のシ
リンダー内の組成物の温度が190℃となる様に変更し
た以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を
表2に示す。
【0066】比較例3 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を20重
量%、成分(C)の割合を80重量%に変更した以外
は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に
示す。
【0067】比較例4 実施例1において、成分(A1B−a)の割合を97重
量%、成分(C)の割合を3重量%に変更した以外は、
実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示
す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】前記の表1及び2から明らかな様に、実施
例は、比較例に比し、低硬度領域において鉱物油系ゴム
用軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴ
ム弾性および押出成形性に優れ、押出成型品の表面外観
の平滑性が改良されていることが分かる。
【0071】
【発明の効果】本発明により、鉱物油系ゴム用軟化剤の
ブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性およ
び成形性に優れ、押出成型品の表面外観が平滑なオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA15 AA16 AC56 AC94 FC05 GA05 GA06 GB02 GB03 GB07 4J002 BB112 BB151 EA016 EA026 EA036 EK017 EK037 EK057 FD147 GN00 GQ00 GR01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲルパーミエイションクロマトグラフィ
    (以下GPCと言う)によるポリプロピレン換算の重量
    平均分子量が50万以上であるオレフィン系共重合体ゴ
    ム(以下、成分(A1)と言う)とその100重量部当
    たり12〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤(以
    下、成分(B)と言う)とを予備混合して油展オレフィ
    ン系共重合体ゴム(以下、成分(A1B)と言う)を調
    製し、次いで、成分(A1B)30〜95重量%とオレ
    フィン系樹脂(以下、成分(C)と言う)5〜70重量
    %とを混合した後(但し、成分(A1B)と(C)の合
    計量を100重量%とする)、有機過酸化物(以下、成
    分(D)と言う)の存在下にその1分間半減期温度より
    も低温にて動的熱処理することを特徴とするオレフィン
    系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 GPCによるポリプロピレン換算の重量
    平均分子量が50万未満であるオレフィン系共重合体ゴ
    ム(以下成分(A2)と言う)を成分(A1B)及び
    (C)の合計100重量部当たり200重量部以下の割
    合で使用する請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 動的熱処理後に成分(A1B)及び
    (C)の合計100重量部当たり150重量部以下の割
    合で成分(B)を更に混合する請求項1又は2に記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 成分(A1)及び(A2)がエチレン−プ
    ロピレン−非共役ジエン系ゴムである請求項1〜3の何
    れかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 エチレン−プロピレン−非共役ジエン系
    ゴムのエチレン含有量が50〜90重量%、非共役ジエ
    ン含有量が1〜30重量%である請求項4に記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 成分(C)がポリプロピレン又はプロピ
    レン−α−オレフィン共重合体である請求項1〜5の何
    れかに記載の製造方法。
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