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JP3690437B2 - 既存建築物の耐震補強構造 - Google Patents

既存建築物の耐震補強構造 Download PDF

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JP3690437B2
JP3690437B2 JP31396496A JP31396496A JP3690437B2 JP 3690437 B2 JP3690437 B2 JP 3690437B2 JP 31396496 A JP31396496 A JP 31396496A JP 31396496 A JP31396496 A JP 31396496A JP 3690437 B2 JP3690437 B2 JP 3690437B2
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building
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JP31396496A
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山田  信一
元彦 小松
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Shimizu Corp
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Shimizu Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存建築物の耐震性を向上させるための補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物にはより高度の耐震性が要求されるようになってきており、新たに構築される建築物にはこれまで以上に耐震性に対して充分なる考慮がなされることが当然となっている。しかし、過去に建設されて現在においても使用されている既存建築物には、建設当時においては充分な耐震性を有していると考えられていたとしても現時点では耐震性が問題とされる場合もあり、そのような既存建築物に対しては耐震性を向上させるための補強が必要とされている。
【0003】
既存建築物に対して耐震性を向上させるために従来実施されている補強手段としては、耐震壁の増設、枠付ブレースの新設、柱への鉄板もしくはカーボン巻き付け、コンクリートの打ち増し等が挙げられる。
ところで、これらの補強手段はいずれも建築物内部の改修工事となるため、既存建築物を普段通りに使用しながらこれら改修工事を実施するのは非常に困難である。また、あえて使用しながら実施する場合には工事を実施する時間が夜間や休日に限定されてしまい工期が長期化する。
そこで、既存建築物に近接して鉄骨造の外部架構を構築し、この外部架構によって既存建築物を外部から支持する補強手段が検討されている。この補強手段を採用すれば既存建築物の使用体制に影響を及ぼすことなく補強工事を実施できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の補強手段においては外部架構が既存建築物に合わせて巨大になるため、外部架構の剛性が低くなる傾向が強く、既存建築物がRC造、SRC造といった剛性の高い構造である場合には十分補強効果を発揮できない恐れがあった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、既存建築物の使用体制に影響を及ぼすことなく補強工事を実施でき、完成後には当該既存建築物の耐震性を飛躍的に向上させることが可能な既存建築物の耐震補強構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、既存建築物を構成する既存の柱に近接させて添柱を立設するとともにこの添柱を一部とする外部架構を既存建築物に隣接させて構築し、これら既存の柱と添柱とを間隔を空けてアンカーで連結すると共に添柱の周囲に配筋を施し、該添柱の周囲と前記柱及び添柱の空間とにコンクリートを打設充填することで既存の柱と添柱とを一体化して柱を打ち増しした既存建築物の耐震補強構造を採用する。
この既存建築物の耐震補強構造によれば、既存の柱と添柱とを一体化することで既存建築物と外部架構との間に立体補強効果が生れて既存建築物の耐震性が向上する。
【0007】
加えて、外部架構の添柱間に既存建築物を構成する既存の梁に近接させて添梁を架設し、これら既存の梁と添梁とをアンカーで連結し、さらにこれら梁間にコンクリートを打設充填して既設の梁と添梁とを一体化することで既存建築物と外部架構との間の水平力の伝達性能が増し、既存建築物の耐震補強効果がさらに向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の一実施形態を図1ないし図6に示して説明する。
図1および図2に示す既存建築物1は地盤G上に構築された鉄骨鉄筋コンクリート造の構築物であり、この既存建築物1には、当該既存建築物1を内側に配置するように門型の外部架構10が近接して構築されている。
【0009】
外部架構10は、既存建築物1の基礎2と一体となった基礎12上に構築されており、間隔を空けて立設された鉄骨の添柱13と、これら添柱13に架設された同じく鉄骨の添梁14と、これら添柱13および添梁14の間に設置されたブレース15とによって構成されたトラス構造を有している。この鉄骨トラス構造を有する外部架構10が既存建築物1の両側壁面に沿ってそれぞれ立設され、さらに既存建築物1の屋上を跨ぐように架設されて門型を形成している。
【0010】
外部架構10の基礎12は、図3に示すように、地中に打設された基礎杭12a上に構築されており、既存建築物1の基礎2から突出した状態に設置されたアンカー12bを埋設した状態に構築されて基礎2と一体化されている。
【0011】
添柱13はH型鋼からなり、基礎12に間隔を空けて立設され、既存建築物1を構成する既存の柱3にそれぞれ対応するべくそれらに近接して配置されている。
【0012】
近接して配置された既設の柱3と添柱13との間には、図4および図5に示すように、複数のアンカー20が設置されている。これらアンカー20は柱3の高さ方向すなわち鉛直方向に間隔を空けて並設されており、これらアンカー20によって柱3と添柱13とが連結されている。
これらアンカー20の一端は、柱3に形成された孔に挿入されたうえでこれに接着され、他端が添柱13に向けて突出した状態に設置されている。アンカー20の他端は、柱3のフランジにナットにより固定されている。
【0013】
さらに添柱13の周囲に配筋(図示せず)が施され、添柱13の周囲とアンカー20で連結された柱3と添柱13との間の空間にはコンクリートが打設充填され、柱3と添柱13とが一体化されるとともに柱3が打ち増しされた状態となっている。
【0014】
添梁14は添柱13と同じくH型鋼からなり、隣接する添柱13間に架設されており、既存建築物1を構成する既存の梁4にそれぞれ対応するべく近接するべくそれらに隣接して配置されている。
【0015】
近接した配置された梁4および添梁14には、同じく図4および図5に示すように、相対する他方の梁に向けて突出した状態に複数のアンカー30が設置されている。
これらアンカー30はそれぞれの梁の長さ方向すなわち水平方向に間隔を空けて並設されており、これらのうち梁4に設置されたものは梁4に形成された孔に挿入されたうえでこれに接着され、添梁14に設置されたものは添梁14のフランジにナットにより固定されている。
【0016】
これらアンカー30は、一方の梁に設置されたアンカー30が他方の梁に設置されたアンカー30間に先端を突き出した状態に互い違いに配置され、さらにこれらアンカー30には梁4と添梁14との間の割裂を防止するためのスパイラル筋31が梁の長さ方向に添ってからめられて梁4と添梁14とが連結されている。
【0017】
さらに、連結された梁4と添梁14との間の空間には、コンクリートが打設充填されてアンカー30とスパイラル筋31とがこのコンクリートに埋設され、梁4と添梁14とが一体化された状態となっている。
【0018】
上記のように構成された外部架構10を有する既存建築物1について、水平方向の剛性を外部架構10構築前の状態と比較すると、図6に示すように、X方向成分についてはA〜B間、およびC〜D間の各軸部材により外部架構10に既存建築物1の水平力がスムーズに伝達される。Y方向成分についてはa〜b間、およびc〜d間の各軸部材により軸剛性が向上する。
【0019】
すなわち、外部架構10が構築された既存建築物1においては、既存の柱3と添柱13、および既存の梁4と添梁14とが一体化され、これによって鉄骨トラス構造の外部架構10の剛性が増し、既存建築物1と外部架構10との間に立体補強効果が生れて補強されるので、外部架構10を構成する各軸部材の軸剛性が既存建築物1により増大し、外部架構10の負担率が向上するため、既存建築物1の耐震性が格段に向上する。
しかも、既存建築物1内部の改修工事をほどんど必要としないため、既存建築物1の使用体制に影響を及ぼすことがない。そのため補強工事に要する期間を短く済ませられる。
【0020】
なお、本実施形態における外部架構10の形状はその一例であって、補強をなすべき既存建築物の形状、必要となる補強強度等の条件によって様々な形状に構築されることはいうまでもない。
また、本実施形態のように既存躯体と外部架構との間隔が広い場合には、その間にコンクリートを充填するのが有効であるが、既存躯体と外部架構との間隔が狭く、コンクリートの充填性が劣る場合には、例えば無収縮モルタル、樹脂モルタル、エポキシ樹脂を混ぜたモルタルを充填するのが有効である。
さらに、アンカー20、30にかえてスタッドボルトを採用する等してもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された既存建築物の耐震補強構造によれば、既存建築物の柱と外部架構の一部をなす添柱とを間隔を空けてアンカーで連結すると共に添柱の周囲に配筋を施し、該添柱の周囲と前記柱及び添柱の空間とにコンクリートを打設充填することで既存の柱と添柱とが一体化して柱が打ち増しされ、これによって外部架構の剛性が増すとともに既存建築物と外部架構との間に立体補強効果が生れ、外部架構を構成する各軸部材の軸剛性が既存建築物により補強されるので、外部架構の効率が大きく向上し、既存建築物の耐震性を格段に向上させることができる。しかも、既存建築物内部の改修工事をほどんど必要しないので、既存建築物の使用体制に影響を及ぼすことがなく補強工事に要する期間が短い。
【0022】
また、請求項2に記載された既存建築物の耐震補強構造によれば、既存の柱と添柱だけでなく、既存建築物の梁と外部架構の一部をなす添梁とをアンカーで連結するとともにこれら梁間にコンクリートを打設充填することで既設の梁と添梁とを一体化され、これによって外部架構にスムーズに軸力を伝達できるので、既存建築物の耐震性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の一実施形態として、外部架構を備える既存建築物を示す正面図である。
【図2】 同じく、外部架構を備える既存建築物の側面図である。
【図3】 外部架構の基礎部分を示す側方断面図である。
【図4】 既存建築物の柱と外部架構の添柱との接合状態を示す側方図である。
【図5】 既存建築物の梁と外部架構の添梁との接合状態を示す平面図である。
【図6】 外部架構を備える既存建築物の水平方向の軸力の伝達性能向上を説明するための平面図である。
【符号の説明】
1 既存建築物
3 既存の柱
4 既存の梁
10 外部架構
13 添柱
14 添梁
20、30 アンカー
G 地盤

Claims (2)

  1. 既存建築物の耐震性を向上させるための補強構造であって、前記既存建築物を構成する既存の柱に近接させて添柱を立設するとともに該添柱を一部とする外部架構を既存建築物に隣接させて構築し、これら既存の柱と添柱とを間隔を空けてアンカーで連結すると共に添柱の周囲に配筋を施し、該添柱の周囲と前記柱及び添柱の空間とにコンクリートを打設充填することで前記柱と添柱とを一体化して前記柱を打ち増ししたことを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。
  2. 請求項1に記載された既存建築物の耐震補強構造であって、前記既存建築物を構成する既存の梁に近接させて前記添柱間に添梁を架設し、これら既存の梁と添梁とをアンカーで連結し、該梁間にコンクリートを打設充填して構築されることを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。
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