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JP4917179B1 - 既存建物の耐震保全方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震などによるあらゆる方向からの水平力に対して建物を保全することができる既存建物の耐震保全方法を提供する。
【解決手段】地上に配設される上部架構体3と地中に埋設される下部架構体4とからなる鳥籠状又は柵状の全体が一体となったラーメン架構体1を既存建物2の規模及び形状に合わせて既存建物2の全外面を包囲するように構築する耐震保全方法。上部架構体3は、既存建物2を固め覆うように既存建物2の外面に密接して設けられる。下部架構体4は、地中に穿孔した孔に差し込んだ後、大地と下部架構体との間隙にコンクリート又はモルタルを充填することにより大地と一体として固定されることで、既存建物2へ作用する水平力の相当部分を負担するように構成されている。上部構造体3は、既存建物2の構造部である柱及び大梁の外面周りに配設される密着手段によって、前記柱の外面及び大梁の外面に密接されている。
【選択図】図1

Description

本発明は既存建物の耐震保全方法に関する。
地震国日本において耐震性能は、耐火・防火性能とともに建物に要求される重要な基本性能の一つである。新築の建物では、設計段階において柱の数や断面積、壁量、鉄筋量(RC構造又はSRC構造の場合)などを調整することで適切な耐震性を建物に付与することができる。
一方、既存建物を耐震補強する方法としては、既存建物内に鉄骨ブレースや耐力壁などの耐震要素を付加する方法、耐力壁の壁厚を増す方法、柱や梁の断面積を増やす方法、建物内にシェルターを設ける方法などがあるが、いずれの方法においても建物内における大規模な工事が必要であり、建設資材の搬入ルートや作業スペースを確保するために、建物内の居住者を退去させなければならず、建物を使用しながら工事を行うことは現実問題として不可能である。
そこで、建物を使用可能な状態においたままで補強工事を行うことができる方法が提案されている(特許文献1〜2参照)。
特許文献1記載の耐震補強方法は、平面上、既存建物と干渉しない領域に既存建物とは独立した平面機構又は立体機構の耐震機構を構築し、当該耐震機構を前記既存建物と構造的に連結するものである。そして、新たに構築される耐震機構と既存建物とが連結されることにより当該連結部分が既存建物に作用する水平力を耐震機構に流すバイパスになり、その結果、既存建物と耐震機構とで水平力を分担するものとされている。
また、特許文献2には、既存建物をあまり傷つけることなく、且つ、施工中における居住者の生活への制約を低減させる既存建物の耐震補強構造が開示されており、既存建物における両妻側に壁柱を構築し、これらの壁柱間に大梁を架設して既存建物を囲む補強用ラーメン架構を構築し、当該補強用ラーメン架構をコンクリートの打設や、アンカー筋又は連結ボルトなどを設けて既存建物と一体化することが記載されている。
特開平9−203220号公報 特開平11−30044号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、新たに構築される耐震機構を既存建物の構造部に連結する必要があり、この連結工事のために、従来ほどではないがかなりの工事が必要となる。また、水平力をバランスよく分散させないと、応力集中により、かえって耐震性を損なうことになるため、連結部の選定及び設計には慎重を要する。
また、地震による水平力は一方向だけではなく、あらゆる方向からの水平力が想定されるべきところ、特許文献2記載の耐震補強構造では、桁行方向については、壁柱によって、既存建物に作用した水平力がある程度負担されるものの、張間方向については、既存建物と一体に構築した壁柱や、既存建物と壁柱との間隙部に打設したコンクリートによっては、到底負担することはできない。また、建物の両端でのみ水平力を負担しているため、地震などの多方面からの荷重による偏心やゆがみなどにより想定外の荷重が建物に作用する恐れもある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、既存建物の保有水平耐力にほとんど頼らず、既存建物に対する工事がほとんど不要であり、地震などによるあらゆる方向からの水平力に対して建物を保全することができる既存建物の耐震保全方法を提供することを目的としている。
本発明の既存建物の耐震保全方法(以下、単に「耐震保全方法」ともいう)は、地上に配設される上部架構体と地中に埋設される下部架構体とからなる鳥籠状又は柵状の全体が一体となったラーメン架構体を既存建物の規模及び形状に合わせて当該既存建物の全外面を包囲するように構築する耐震保全方法であって、
前記ラーメン架構体は鋼材からなり、
前記上部架構体は、前記既存建物を固め覆うように当該既存建物の外面に密接して設けられ、
前記下部架構体を差し込んで大地と固定化するために地中の所定の深さまで穿孔した孔に当該下部架構体を差し込んだ後、大地と下部架構体との間隙にコンクリート又はモルタルを充填することにより大地と一体として固定されることで、既存建物へ作用する水平力の相当部分を負担するように構成されており
前記上部架構体は、既存建物の構造部である柱及び大梁の外面周りに配設される密着手段によって、前記柱の外面に直接に押圧、密接され、大梁の外面に直接に密接されており、且つ
前記密着手段は、前記柱の周面に密接される棒鋼又は帯鋼を有することを特徴としている。
本発明の耐震保全方法では、既存建物の規模及び形状に合わせて当該既存建物の全外面を包囲するように構築される全一体型ラーメン架構体が既存建物の構造物と密着しており、当該全一体型ラーメン架構体の上部架構体が既存建物を固め覆うように(締め固めて覆うように)既存建物の外面に密接ないしは密着して設けられる。すなわち、全一体型ラーメン架構体と既存建物とを連結固定するものではない。したがって、既存建物を使用した状態で耐震保全工事を行うことができ、しかも工法が単純且つ簡単であり、短期間で工事を終えることができる。また、耐震保全工事費を低く抑えることができる。さらに、既存建物をほとんど傷めることなく工事を行うことができ、既存建物の保有水平耐力にほとんど頼らないので当該既存建物の保有水平耐力の診断が不要である。
全一体型ラーメン架構体の上部架構体は、既存建物を固め覆うように既存建物の外面に密接ないしは密着して既存建物に作用した水平力を伝達するよう設けられるので、既存建物に作用する水平力の一部又は全部を当該上部架構体に伝達させることができる。そして、上部架構体に伝達された水平力は、上部架構体及び地中に埋設され大地と一体として固定されたラーメン架構体の下部架構体によっても負担される。この場合、下部架構体は、既存建物に作用する水平力の相当部分、すなわち少なくとも半分を負担することができる。
上部架構体は、既存建物の規模及び形状に合わせて全一体型ラーメン架構体として設けられているので、当該既存建物に作用する全水平力をバランス良く受けることができる。このため、あらゆる方向からの水平力に対して、この水平力を同時に全一体型ラーメン架構体に伝達させることができ、既存建物の変形、倒壊及び損傷などを防止し、その耐震保全を確実に行うことができる。
また、本発明の耐震保全方法では、上部構造体が、既存建物の構造部である柱及び大梁の外面周りに配設される密着手段によって、前記柱の外面に押圧、密接され、大梁の外面に密接されている。この場合、密着手段によって全一体型ラーメン架構体の上部架構体を既存建物の柱の外面に押圧、密接させ、大梁の外面に密接させるので、既存建物に作用する水平力をより確実に当該上部架構体に伝達させ、上部架構体及び下部架構体からなる全一体型ラーメン架構体に伝達させ、負担させることができる。
本発明の耐震保全方法によれば、既存建物の保有水平耐力にほとんど頼らず、既存建物に対する工事がほとんど不要であり、地震などによるあらゆる方向からの水平力に対して建物を保全することができる。
本発明の耐震保全方法の第1実施形態の斜視説明図である。 第1実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図である。 第1実施形態における地中部分の断面説明図である。 第1実施形態における上部架構体の平面説明図である。 第1実施形態における上部架構体及び下部架構体の正面説明図である。 第1実施形態における上部架構体及び下部架構体の側面説明図である。 本発明の耐震保全方法の第2実施形態の斜視説明図である。 第2実施形態における地中部分の断面説明図である。 本発明の耐震保全方法の第3実施形態の斜視説明図である。 第3実施形態における地中部分の断面説明図である。 (a)は密着手段の一例の水平断面図であり、(b)は同垂直断面図であり、(c)は密着手段のうち縦材への補助部材の接合構造を示す図である。 (a)は密着手段の他の例の水平断面図であり、(b)は同垂直断面図である。 本発明の耐震保全方法の第4実施形態の斜視説明図である。 第4実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図である。 本発明の耐震保全方法の第5実施形態の斜視説明図である。 第5実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の耐震保全方法の実施の形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の耐震保全方法の第1実施形態の斜視説明図であり、図2は、同第1実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図であり、図3は、同第1実施形態における地中部分の断面説明図である。また、図4は、第1実施形態における上部架構体の平面説明図であり、図5〜6は、それぞれ第1実施形態における上部架構体及び下部架構体の正面説明図及び側面説明図である。すなわち、図4〜6は、本発明の第1実施形態における全一体型ラーメン架構体の上部架構体と下部架構体がそれぞれ既存建物に作用する水平力を負担する機構であることを示す機構図である。
本実施形態に係る耐震保全方法では、H型鋼やI型鋼などの圧延鋼材、角形鋼管などの鋼材からなるラーメン架構体1が既存建物2の外部に配設される。ラーメン架構体1は、地上に配設される上部架構体3と、地中に配設される下部架構体4とからなっており、全体として一体となった鳥籠状又は柵状を呈している。この全一体型ラーメン架構体1は、後述するように既存建物2の構造物と密着ないしは密接しており、当該既存建物2とは全く別個の独立した構造体である。すなわち、本実施形態は、固体(全一体型ラーメン架構体1)と固体(既存建物2)とを相互に固体のままで密着、密接させるものであり、従来技術のように相互の構造用鉄部同士を溶接したり、コンクリートなどで接合したりして、全一体型ラーメン架構体と既存建物とを連結固定するものではない。
上部架構体3は、既存建物2の外壁面に沿って略垂直方向に配設される縦材3aと、この縦材3aと交差し、既存建物2の外壁面に沿って略水平方向に配設される横材3bと、既存建物2の屋上面に沿って略水平方向に配設される天材3cとで構成されている。一方、下部架構体4は、略垂直方向に沿って配設される縦材4aで構成されている。第1実施形態におけるラーメン架構体1においては、縦材3aと縦材4aとは一体の連続した部材であり、地上に配設される部分が縦材3aとなり、地中に配設される部分が縦材4aとなる。縦材3a、横材3b及び天材3cは、工場にて所定長さに加工(切断を含む)されたものが現場に搬入され、現場においてプレート及びボルトや、溶接などにより互いに剛に連結され、それぞれが全一体型ラーメン架構体1を構成する。
下部架構体4を構成する縦材4aは、既存建物2の外周の所定位置をスパイラルオーガーなどの適宜の孔明け機(電柱埋設時に使用するような機械)で所定深さまで穿孔し、形成された孔内に差し込まれる。差し込んだのちに、位置及び垂直度を確認し、縦材4aの周囲をコンクリート22又はモルタルで充填して固める。これにより、下部架構体4は、大地と一体として当該大地に固定される。孔の深さは、全一体型ラーメン架構体1の規模や既存建物2が存在する場所の地盤状況などにより異なるが、通常、地耐力が10〜15t/m以上の箇所まで穿孔され、具体的には3〜6m程度まで穿孔される。
第1実施形態では、既存建物2の基礎15が壁面より外方に延びていないので、図3に示されるように、下部架構体4の縦材4aは前記基礎15と干渉することなく地中に埋設されている。なお、図3において、5は後述する密着手段(図11参照)である。
上部架構体3の縦材3a及び横材3bは、既存建物2の外面である外壁面に密接ないしは密着するように配設され、また、上部架構体3の天材3cは、既存建物2の外面である屋上面に密接ないしは密着するように配設される。これにより、図4〜6に示されるように、既存建物2の全外面(矩形の建物の場合は、当該建物の正面、背面、両側面及び屋上面)は、その規模及び形状に合わせて、あたかも鳥籠又は柵で締め固められて覆われることで既存建物に作用した水平力を伝達するよう前記全一体型ラーメン架構体1の上部架構体3により包囲される。
全一体型ラーメン架構体1は、既存建物2の構造物とは構造的に連結されていない状態であるので、当該既存建物2に大きな影響を与える工事は不要であり、既存建物2を使用した状態で耐震保全工事を行うことができる。また、既存建物2をほとんど傷めることなく工事を行うことができる。
全一体型ラーメン架構体1の上部架構体3は、図1〜2に示されるように、既存建物2を鳥籠又は柵で固め覆うように当該既存建物2の外面に密接ないしは密着して設けられるので、既存建物2に作用する水平力の一部又は全部を当該上部架構体3に伝達させることができる。そして、上部架構体3に伝達された水平力は、前述したように地中に埋設され且つ固定されたラーメン架構体1の下部架構体4によっても負担される。本実施形態において、上部架構体3は、既存建物2の規模及び形状に合わせて全一体型ラーメン架構体として設けられているので、当該既存建物2に作用する全水平力をバランス良く受けることができる。このため、地震などによるあらゆる方向からの水平力に対して、この水平力を同時に全一体型ラーメン架構体1に伝達させることができ、既存建物2の変形、倒壊及び損傷などを防止し、その耐震保全を確実に行うことができる。
本実施形態では、上部架構体3の縦材3aが密着手段5によって既存建物2の構造体である柱7の外面に押圧されており、また、前記縦材3aと一体的に構成されている上部架構体3の横材3bは、既存建物2の構造体である大梁20の外面に密接されている。この密着手段5は、図11に示されるように、コの字形状に加工(現場での加工を含む)された棒鋼6を有しており、この棒鋼6は、既存建物2の柱7の周面に密接し得るサイズに設定されている。棒鋼6の両端はネジ切り加工されており、補助鋼材8a、8bの孔を貫通して外部に突出するネジ部(雄ネジ部)6aにナット9を螺合させることで、上部架構体3の縦材3aを既存建物2の外面である柱7の外面に押圧させることができる。補助鋼材8aの端部及び補助鋼材8bの端部は、図11(c)に示されるように、縦材3aの側部に全周溶接によって固定されている。棒鋼6を通すために壁10に形成された孔10aは、前記ナット9で補助鋼材8a、8bを締め付けた後に適宜のシール材11にて防水コーキングされる。なお、棒鋼6に代えて帯鋼を用いることもできる。
棒鋼6を有する密着手段5によって、全一体型ラーメン架構体1の上部架構体3が既存建物2の構造部のうち、柱7の外面に押圧、密接され、大梁20の外面に密接されるので、当該既存建物2に作用する水平力をより確実に上部架構体3に伝達させることができる。
図12は、密着手段5の他の例を示しており、この例では、棒鋼6に代えて帯鋼12を採用している。また、補助鋼材8を用いずに、帯鋼12が直接に上部架構体3の縦材3aと係合している。帯鋼12は、ボルト13及びナット14により柱7に締め付けられる。図12に示される密着手段5では、例えばコの字状に加工した帯鋼12(両端にボルト13挿通用の孔が形成されている)を室内側から孔10a内に差し込み、孔10aから突出した部分を現場で曲げ加工し、ついでボルト13及びナット14を付けて、締め付けることで縦材3aを柱7に押圧させることができる。
また、図12に示される例では、柱7の表面と当接する帯鋼12の側面にゴム板などの弾性部材21が予め接着剤により貼り付けられている。したがって、かかる帯鋼12を柱7の所定位置に配設し、ナット14を締め付けると、柱7の表面に対する帯鋼12の密着度を高めることができる。
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の耐震保全方法の第2実施形態の斜視説明図であり、図8は、同第2実施形態における地中部分の断面説明図である。なお、柱と縦材の配置は図2に示される第1実施形態と同様である。
図1〜6に示される第1実施形態では、既存建物2の基礎15が壁面より外方に延びていないので、下部架構体4の縦材4aを、前記基礎15と干渉することなく地中に埋設することができるが、第2実施形態では、既存建物2の基礎15が壁面より外方に延びている。そこで、第2実施形態では、壁面より外方に延びる基礎15の厚さが比較的薄いことから、縦材4aは基礎15を貫通した状態で地中に埋設されている。
この第2実施形態においても、図11に示される密着手段によって、上部架構体3の縦材3aが既存建物2の外面に押圧ないし密接されている。
〔第3実施形態〕
図9は、本発明の耐震保全方法の第3実施形態の斜視説明図であり、図10は、同第3実施形態における地中部分の断面説明図である。なお、柱と縦材の配置は図2に示される第1実施形態と同様である。
この第3実施形態は、第2実施形態と同様に、既存建物2の基礎15が壁面より外方に延びているが、当該第2実施形態とは異なり、下部架構体4の縦材4aは基礎15を回避して地中に埋設されている。具体的に、下部架構体4の縦材4aは、既存建物2の壁面より外方に延びる基礎部分15aの上面近傍において外方に屈曲し、さらに前記基礎部分15aよりも外方に延びた地点で下方に屈曲している。本実施形態では、上部架構体3の縦材3aと下部架構体4の縦材4aとが同軸上に存在していないので、上部架構体3が受けた水平力が効果的に大地に伝達されるように、基礎15と基礎15の中間位置であって、基礎15が存在しない箇所に全一体型ラーメン架構体1の下部架構体4としての補助縦材4a1を最下層の横材3bに剛接して設置している。縦材4aとともに補助縦材4a1を用いることよって、上部架構体3が受けた水平力を効果的に大地に伝達させることができる。
この第3実施形態においても、図11に示される密着手段によって、上部架構体3の縦材3aが既存建物2の外面に押圧ないし密接されている。
〔第4実施形態〕
図13は、本発明の耐震保全方法の第4実施形態の斜視説明図であり、図14は、同第4実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図である。この第4実施形態は、比較的小規模の建物(木造又は軽量鉄骨造)を想定したものであり、全一体型ラーメン架構体1の上部架構体3の天材3cが既存建物2の軒16を貫通している。
この第4実施形態においても、図11に示される密着手段によって、上部架構体3の縦材3aが既存建物2の外面に押圧ないし密接されている。
〔第5実施形態〕
図15は、本発明の耐震保全方法の第5実施形態の斜視説明図であり、図16は、同第5実施形態における既存建物の柱と上部架構体の縦材との配置を示す平面説明図である。この第5実施形態は、第4実施形態と同様に比較的小規模の木造一戸建て住宅を想定したものであるが、建物の外観を考慮して、第4実施形態における上部架構体3の天材3cを省略している。また、木造の2階建て住宅で延べ床面積が120m前後の場合は、4本の縦材3a及びそれと一体となっている横材3bだけでも充分に耐震保全を確保することができるので、中央の縦材3aも省略している。
この第5実施形態においても、図11に示される密着手段によって、上部架構体3の縦材3aが既存建物2の外面に押圧ないし密接されている。
第2〜5実施形態においても、全一体型ラーメン架構体1の上部架構体3は、既存建物2を鳥籠又は柵で固め覆うことで既存建物に作用した水平力を伝達するよう当該既存建物2の外面に密接ないしは密着して設けられるので、既存建物2に作用する水平力の一部又は全部を当該上部架構体3に伝達させることができる。そして、上部架構体3に伝達された全水平力は、地中に埋設され且つ固定されたラーメン架構体1の下部架構体4によっても負担される。また、上部架構体3は、既存建物2の形状に合わせて全一体型ラーメン架構体として設けられているので、当該既存建物2に作用する全水平力をバランス良く受けることができる。このため、地震などによるあらゆる方向からの水平力に対して、この水平力を同時に全一体型ラーメン架構体1に伝達させることができ、既存建物2の変形、倒壊及び損傷などを防止し、その耐震保全を確実に行うことができる。
なお、本発明の耐震保全方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、2階建又は3階建の建物を対象にしているが、4階建以上の建物にも本発明の耐震保全方法を適用することができる。
また、前述した実施形態では、平面が長方形の建物を対象にしているが、正方形、L形など他の平面形状の建物にも本発明の耐震保全方法を適用することができる。
また、前述した実施形態では、H型鋼やI型鋼など単一の部材で上部架構体や下部架構体を構成しているが、複合部材を用いることもできる。ここで、「複合部材」とは、2種以上の単一部材を結合させたものであり、例えば2つのC型鋼の開口部同士を溶接により一体化したものや、H型鋼の開口部に平鋼を溶接したものなどを挙げることができる。
また、上部架構体の縦材や横材の配置は適宜変更可能である。
また、縦材及び横材のサイズ(断面寸法)は、配置場所により変更することもできるが、サイズを共通化すると部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、木造など小規模の建物の場合は、付加的に、既存建物途中の天井裏を貫通して横材3bを配置することもできる。また、既存建物の正面と背面といった、相対する面の上部架構体同士を天井裏或いは床下などを通じて鉄棒やスチールワイヤーなどでつなぎ、ターンバックルで締めることもできる。この場合、鉄棒又はスチールワイヤー、及びこれを締めるためのターンバックルが、本発明における密着手段として機能する。
また、前述した実施形態では、庇、ベランダ、パラペットなど建物の外面から外方に突出する要素が存在していないが、これらが存在する場合でも本発明の耐震保全方法を適用することができる。例えば、庇やベランダが建物の外壁に存在する場合、上部架構体の縦材は、この庇を貫通して配設される。そして、縦材が貫通する部分は、シール材によって防水コーキング処理が施される。また、パラペットが建物の屋上に存在する場合、上部架構体の天材は、このパラペットを貫通して配設される。そして、天材が貫通する部分は、シール材によって防水コーキング処理が施される。なお、木造瓦屋根などの場合には、上部架構体の天材を瓦などに密接させる必要はない。
また、前述した実施形態では、上部架構体を既存建物の構造部である柱や大梁に直接に当接させているが、当該既存建物の構造部と上部架構体との間に隙間がある場合などにおいて、既存建物の構造部と上部架構体との間にゴムシートなどの弾性部材を挟みこむこともできる。この場合、既存建物の構造部と上部架構体との間の密着度を高めることができる。弾性部材の大きさや配置箇所などは、既存建物の形状、規模などに応じて適宜選定することができる。
1 全一体型ラーメン架構体
2 既存建物
3 上部架構体
3a 縦材
3b 横材
3c 天材
4 下部架構体
4a 縦材
4a1 補助縦材
5 密着手段
6 棒鋼
7 柱
8a 補助鋼材
8b 補助鋼材
9 ナット
11 シール材
12 帯鋼
13 ボルト
14 ナット
15 基礎
16 軒
20 大梁
21 弾性部材
22 コンクリート

Claims (1)

  1. 地上に配設される上部架構体と地中に埋設される下部架構体とからなる鳥籠状又は柵状の全体が一体となったラーメン架構体を既存建物の規模及び形状に合わせて当該既存建物の全外面を包囲するように構築する耐震保全方法であって、
    前記ラーメン架構体は鋼材からなり、
    前記上部架構体は、前記既存建物を固め覆うように当該既存建物の外面に密接して設けられ、
    前記下部架構体を差し込んで大地と固定化するために地中の所定の深さまで穿孔した孔に当該下部架構体を差し込んだ後、大地と下部架構体との間隙にコンクリート又はモルタルを充填することにより大地と一体として固定されることで、既存建物へ作用する水平力の相当部分を負担するように構成されており
    前記上部架構体は、既存建物の構造部である柱及び大梁の外面周りに配設される密着手段によって、前記柱の外面に直接に押圧、密接され、大梁の外面に直接に密接されており、且つ
    前記密着手段は、前記柱の周面に密接される棒鋼又は帯鋼を有することを特徴とする、既存建物の耐震保全方法。
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