JP2009054750A - 電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特性インピーダンスを大きくするために信号端子を固定する貫通孔を大きくしても気密不良が発生しない電子部品搭載用パッケージおよび電子装置を提供すること。
【解決手段】 上面の外周領域に蓋体6を溶接またはろう接により接合する接合部1bおよびその内側に電子部品5の搭載部1aを有するとともに上面から下面にかけて複数の貫通孔1cを有する基体1と、貫通孔1cに充填された封止材2を貫通して固定された信号端子3とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、基体1は、基体1の上面の接合部1bと貫通孔1cとの間に溝1dを具備する。蓋体6の接合時の衝撃や接合後の熱応力が溝1dによって緩和され、また、接合部1bで発生した熱が放散しやすくなることにより、封止材2にクラックや剥がれが発生せず、気密性が損なわれることがないので、高信頼性の電子装置を得ることのできる電子部品搭載用パッケージとなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 上面の外周領域に蓋体6を溶接またはろう接により接合する接合部1bおよびその内側に電子部品5の搭載部1aを有するとともに上面から下面にかけて複数の貫通孔1cを有する基体1と、貫通孔1cに充填された封止材2を貫通して固定された信号端子3とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、基体1は、基体1の上面の接合部1bと貫通孔1cとの間に溝1dを具備する。蓋体6の接合時の衝撃や接合後の熱応力が溝1dによって緩和され、また、接合部1bで発生した熱が放散しやすくなることにより、封止材2にクラックや剥がれが発生せず、気密性が損なわれることがないので、高信頼性の電子装置を得ることのできる電子部品搭載用パッケージとなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光通信分野等に用いられる光半導体素子等の電子部品を収納するための電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置に関する。
近年、40km以下の伝送距離における高速通信に対する需要が急激に増加しており、高速大容量の情報伝送に関する研究開発が進められている。とりわけ、光通信装置を用いて光信号を受発信する半導体装置等の電子装置の高速化が注目されており、電子装置による光信号の高出力化と高速化が伝送容量を向上させるための課題として研究開発されている。
従来の半導体装置に代表される電子装置の光出力は0.2〜0.5mW程度であり、電子部品として用いられる半導体素子の駆動電力は5mW程度であった。しかし、より大出力の半導体装置では、光出力が1mWのレベルになってきており、また、半導体素子の駆動電力も10mW以上が要求されている。さらに、従来の半導体装置による伝送速度は2.5〜10Gbps程度であったが、近年では25〜40Gbps程度まで向上してきており、半導体装置をより高出力化させ、高速化させることが要求されている。
光通信装置に用いられているLD(Laser Diode:レーザダイオード)やPD(Photo Diode:フォトダイオ−ド)等の光半導体素子を含む電子部品を従来の電子部品搭載用パッケージに搭載した電子装置の断面図を図11に示す。
従来の電子部品搭載用パッケージは、円板状の金属製の基体11に、基体11の上面から下面にかけて貫通する貫通孔11cを設け、この貫通孔11cに充填された絶縁性ガラスから成る封止材12を貫通して信号端子13が固定されているものである。また、基体11の下面には、2つの貫通孔11c・11cの間に接地端子14が接続されている。この電子部品搭載用パッケージの上面に電子部品15を搭載し、電子部品搭載用パッケージの信号端子13の上端部と電子部品15の端子とをボンディングワイヤ17を介して電気的に接続し、基体11の上面の外周領域に、電子部品15を覆うように金属製の蓋体16を溶接またはろう接により接合部11bに接合して気密封止することにより電子装置としていた。また、蓋体16の電子部品15と対向する部分に光ファイバを固定したり、電子部品15と対向する部分に光を透過させる窓を設けたりしたものもある(例えば、特許文献1,特許文献2を参照。)。
また、伝送速度が2.5Gbps以下の場合は、周辺部品のインピーダンスは25Ωで形成されていたが、高周波化が進むにつれ、周辺部品のインピーダンスが50Ωで形成されるようになっている。ここで、高周波の通る信号端子13のインピーダンスを50Ωにマッチングさせようとすると、貫通孔11cの径が、インピーダンスを従来の25Ωで設計した場合に対してほぼ2倍となることがわかっている。そして、貫通孔11cの径が大きくなった場合に、貫通孔11c内の信号端子13を電子部品15が搭載された側へ偏心させて固定し、ボンディングワイヤ17の長さを減少させることで伝送損失を少なくすることが行なわれている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2006−179775号公報
特開平8−130266号公報
特開平5−343117号公報
しかしながら、25GHz以上の高周波信号で駆動される電子部品15を搭載し、インピーダンスを50Ωにマッチングさせるために信号端子13の通る貫通孔11cの径を大きくすると、蓋体16をYAGレーザ溶接,シーム溶接またはろう付け等の溶接で気密封着した場合に、気密不良が発生しやすくなるという問題点があった。
これは、貫通孔11cの径が大きくなることで蓋体16の接合部と貫通孔11cとの距離が近付いたので、例えばシーム溶接の場合は主に機械的衝撃が、ろう付けの場合は基体11と蓋体16との熱膨張係数の差による熱応力が接合部11bに加わり、これが貫通孔11cへ伝わることにより、貫通孔11c内の封止材12にクラックが発生したり、貫通孔11cの内壁と封止材12との間や信号端子13と封止材12との間に剥がれが発生したりしてしまうためであると考えられる。また、シーム溶接やYAGレーザ溶接の場合は急激に高温に加熱され、接合部11bから貫通孔11cまでの距離が短いとその間で熱が拡散しないので貫通孔11cの内面もすぐに高温になるのに対して、金属製の基体11に対して熱伝導率の小さいガラス製の封止材12は温度が上昇するのに時間がかかり、両者の間で熱膨張差が生じて貫通孔11cの内壁と封止材12との間や信号端子13と封止材12との間に剥がれが発生してしまうと考えられる。
また、接合部11bから離すために貫通孔11cを基体11の中心側に設けようとすると、2つの貫通孔11c・11cの間に接地端子14を設けることができなくなったり位置をずらして設けたりしなければならず、また外部回路と接続される信号端子13・13の下端の間隔が小さくなってしまい、外部回路との接続性が低下してしまう場合があった。逆に、基体11を大きくして接合部11bを貫通孔11c・11cから離すと、電子部品搭載用パッケージおよび電子装置が大型化してしまい、小型化した電子機器に使用することができなくなってしまう。
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、特性インピーダンスを大きくして高周波信号を伝送するために信号端子を固定する貫通孔を大きくしても、気密不良が発生しない電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置を提供することにある。
本発明の電子部品搭載用パッケージは、上面の外周領域に蓋体を溶接またはろう接により接合する接合部およびその内側に電子部品の搭載部を有するとともに上面から下面にかけて複数の貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に充填された封止材を貫通して固定された信号端子とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、前記基体は、前記基体の上面の前記接合部と前記貫通孔との間に溝を具備することを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記構成において、前記溝は、前記接合部の内周に沿って形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記構成において、前記溝は、前記複数の貫通孔をそれぞれまたはまとめて取り囲むように形成されていることを特徴とするものである。
本発明の電子装置は、上記構成のいずれかの本発明の電子部品搭載用パッケージの前記搭載部に電子部品を搭載するとともに、前記基体の前記接合部に蓋体を接合したことを特徴とするものである。
本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、基体は、基体の上面の接合部と貫通孔との間に溝を具備していることから、貫通孔の径を大きくして蓋体を基体の上面の外周部の接合部に溶接またはろう接により接合したとしても、接合時の衝撃や接合後の熱応力が接合部と貫通孔との間の溝によって緩和される。また、接合部で発生した熱が放散しやすくなり、貫通孔内の封止材にクラックが入ったり封止材と信号端子や貫通孔の内壁面との間で剥がれが生じたりすることがなくなる。従って、気密性が損なわれることのない高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、上記構成において、溝が接合部の内周に沿って形成されている場合には、蓋体を接合した際の熱応力を基体の外周に近い部分で緩和することができるので、封止材にクラックや剥がれが生じたりすることがなく、気密性が損なわれることがなくなる。また、基体の上面が大きく反ることがなく、基体の上面の搭載部も平坦に保たれるので、電子部品と搭載部との接合部に応力が加わることがなくなる。従って、より高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、上記構成において、溝が複数の貫通孔をそれぞれまたはまとめて取り囲むように形成されている場合には、貫通孔(封止材)の周囲の基体が薄いものとなり、剛性が低く熱容量が小さくなるので、貫通孔の周囲が変形しやすくなるとともに、伝わる熱量が小さくなるので、封止材にクラックや剥がれがより生じにくくなる。従って、より高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
本発明の電子装置は、上記構成の本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部に電子部品を搭載するとともに、基体の接合部に蓋体を接合したことから、貫通孔の径が大きい場合であっても、接合時の衝撃や接合後の熱応力が接合部と貫通孔との間の溝によって緩和される。また、接合部で発生した熱が放散しやすくなり、蓋体を基板の上面の外周部に溶接またはろう接により接合したときの衝撃や接合後の熱応力により気密性が損なわれることのなくなる。従って、気密性に優れた高信頼性の電子装置となる。
本発明の電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1,図3,図5,図7および図9はそれぞれ本発明の電子搭載用パッケージの実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2,図4,図6,図8および図10はそれぞれ図1,図3,図5,図7および図9におけるA−A線で切断した断面の一例を示す断面図である。
図1〜図10において、1は基体、1aは搭載部、1bは接合部、1cは貫通孔、1dは溝、2は封止材、3は信号端子、4は接地端子、5は電子部品、5aは電子部品を搭載する回路基板、6は蓋体、7はボンディングワイヤ、8は接合材である。
図1〜図4に示す例では、基体1の上面に直接電子部品5が搭載されてボンディングワイヤ7で信号端子3・3の上端部と電子部品5とが接続されている。また、図5〜図10に示す例では、基体1の上面から突出した突出部を搭載部として、その側面に回路基板5aを介して電子部品5が搭載され、電子部品5はボンディングワイヤ7で回路基板5a上の配線に接続され、さらに信号端子3・3の端部と回路基板5a上の配線とはろう材等の接合材8で接続されている。さらに、図2,図4,図6,図8および図10に示すように、破線で示すような蓋体6を接合部1bに接合することにより、本発明の電子装置が基本的に構成される。
本発明の電子部品搭載用パッケージは、上面の外周領域に蓋体6を溶接またはろう接により接合する接合部1bおよびその内側に電子部品5の搭載部1aを有するとともに上面から下面にかけて複数の貫通孔1c・1cを有する基体1と、貫通孔1cに充填された封止材2を貫通して固定された信号端子3とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、基体1は、基体1の上面の接合部1bと貫通孔1cとの間に溝1dを具備することを特徴とするものである。
このことから、貫通孔1c・1cの径を大きくして蓋体6を基体1の上面の外周部の接合部1bに溶接またはろう接により接合したとしても、接合時の衝撃や接合後の熱応力が接合部1bと貫通孔1cとの間の溝1dによって緩和される。また、接合部1bで発生した熱が拡散しやすくなり、貫通孔1c内の封止材2にクラックが入ったり封止材2と信号端子3や貫通孔1cの内壁面との間で剥がれが生じたりすることがなくなる。従って、気密性が損なわれることのない高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
また、図1および図5に示す例のように、本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記構成において、溝1dは接合部1bの内周に沿って形成されているのが好ましい。これにより、蓋体6を接合した際の熱応力を基体1の外周に近い部分で緩和することができるので、封止材2にクラックや剥がれが生じたりすることがなく気密性が損なわれることがなくなる。また、基体1の上面が大きく反ることがなく基体1の上面の搭載部1aも平坦に保たれるので、電子部品5と搭載部1aとの接合部に応力が加わることがなくなる。従って、より高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記構成において、溝1dは、図3および図7に示す例のように、複数の貫通孔1c・1cをそれぞれ取り囲むように、または図9に示す例のように、複数の貫通孔1c・1cをまとめて取り囲むように形成されているのが好ましい。これにより、貫通孔1c(封止材2)の周囲の基体1が薄いものとなり、剛性が低く熱容量が小さくなるので、貫通孔1cの周囲が変形しやすく、伝わる熱量が小さくなるので、封止材2にクラックや剥がれがより生じにくくなる。従って、より高信頼性の電子装置を得ることができる電子部品搭載用パッケージとなる。
本発明の電子装置は、上記構成のいずれかの本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部1aに電子部品5を搭載するとともに、基体1の接合部1bに蓋体6を接合したことを特徴とするものである。このことにより、貫通孔1cの径が大きい場合であっても、接合時の衝撃や接合後の熱応力が接合部1bと貫通孔1cとの間の溝1dによって緩和され、また、接合部1bで発生した熱が放散しやすくなり、蓋体6を基体1の上面の外周部の接合部1bに溶接またはろう接により接合したときの衝撃や接合後の熱応力により気密性が損なわれることがないので、気密性に優れた、高信頼性の電子装置となる。
基体1は、上面の中央部に電子部品5の搭載部1aを有するとともに搭載された電子部品5が発生する熱をパッケージの外部に放散する機能を有する。このため、基体1は、熱伝導性の良い金属から成り、搭載される電子部品5やセラミック製の回路基板5aの熱膨張係数に近いものやコストの安いものとして、例えば、Fe99.6質量%−Mn0.4質量%系のSPC(Steel Plate Cold)材や、Fe−Ni−Co合金やFe−Mn合金等から選ばれる。例えば基体1がFe−Mn合金から成る場合は、このインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって所定形状に製作され、貫通孔1cはドリル加工や金型による打ち抜き加工により形成される。また、基体1が搭載部1aとして突出部を有する形状の場合は、切削加工やプレス加工することにより形成することができる。
基体1の形状は、通常は厚みが0.5〜2mmの平板状であり、その形状は特に制限はないが、例えば直径が3〜10mmの円板状,半径が1.5〜8mmの円周の一部を切り取った半円板状,一辺が3〜15mmの四角板状等であり、上面から下面にかけてほぼ垂直に形成された直径が0.6〜2.65mmの貫通孔1cを複数有する。図1〜図10に示す例では、2つの貫通孔1cを有する基体1に1個の電子部品5を搭載しているが、複数の電子部品5を搭載したり、電子部品5の数や電子部品5の端子の数に応じて信号端子3を固定する貫通孔1cを2つより多く形成したりしても構わない。
基体1の厚みは0.5mm以上2mm以下が好ましい。基体1の厚みが0.5mm未満の場合は、電子部品5を保護するための金属製の蓋体6を金属製の基体1の上面に接合する際に、接合温度等の接合条件により基体1が曲がったりして変形し易くなる。一方、基体1の厚みが2mmを超えると、電子部品搭載用パッケージや電子装置の厚みが不要に厚いものとなり、小型化し難くなる。
基体1の上面の溝1dは、基体1の上面の接合部1bと貫通孔1cとの間のうち、少なくとも貫通孔1cと接合部1bとの距離が最も近い部分を含む領域に形成すれば、接合部1bと貫通孔1cとの距離が近く接合時の衝撃や熱応力あるいは急激な加熱による封止剤2のクラックや剥がれの発生を抑えることができるのでよい。より好ましくは、上述したように接合部1bの内周に沿って、あるいは複数の貫通孔1c・1cをそれぞれまたはまとめて取り囲むように形成するとよく、これら全ての位置に形成してもよい。溝1dは、切削加工,エッチング加工,レーザ加工,プレス加工等の加工方法によって形成することができる。
溝1dの深さは、深いほど蓋体6の接合時の衝撃や熱応力を緩和しやすく、熱伝導距離が長くなり、表面積が増して放熱性が向上するので好ましいが、基体1が変形しやすくなりすぎるので、基体1の大きさにもよるが基体1の厚みの1/4〜2/3程度の深さとすればよい。
溝1dの幅は、接合時の衝撃や熱応力を緩和して熱伝導を抑える幅があればよく、この点からは広い方が、製品の小型化の観点からは狭い方が好ましいが、0.1mm程度以上あればよい。
溝1dの縦断面形状は、V字型(逆三角形状)やU字型(半円形状)等、特に制限はなく、接合部1bから貫通孔1cへの熱伝導距離を大きくするには、例えば図2に示す四角形状のように、溝1dの対向する内側壁が平行にまたは広がるような形状が好ましい。また、例えば図2に示すように、基体1の上面に対して垂直に形成してもよいが、例えば図10に示すように、上面に対して斜めに形成すると熱伝導距離が長くなるので好ましい。
また、基体1の表面には、耐食性に優れ、電子部品5や回路基板5aあるいは蓋体6を接合し固定するためのろう材との濡れ性に優れた、厚さが0.5〜9μmのNi層と厚さが0.5〜5μmのAu層とをめっき法により順次被着させておくのがよい。これにより、基体1が酸化腐食するのを有効に防止できるとともに電子部品5や回路基板5aあるいは蓋体6を基体1に良好にろう付けすることができる。
基体1に形成された貫通孔1cには、封止材2が充填されており、この封止材2を貫通して信号端子3が固定されている。信号端子3は、一方の端部(上端部)は基体1の上面と面一とするか、あるいは2mm程度まで突出させ、他方の端部(下端部)は基体1の下面から1〜20mm程度突出させて固定される。例えば、図1〜図4に示す例のように、信号端子3の上端部と電子部品5(または電子部品5が搭載された回路基板5a)とをボンディングワイヤ7を介して電気的に接続する場合は、信号端子3の上端部は必ずしも基体1の上面から突出していなくてもよい。一方、信号端子3の下端部は、外部電気回路(図示せず)に接続するために基体1の下面から突出しているのが好ましい。例えば、図1〜図4に示す例のように、信号端子3の上端部と電子部品5とを電気的に接続するとともに、信号端子3の下端部を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続することにより、信号端子3は電子部品5と外部電気回路との間の入出力信号を伝送する機能を果たす。
封止材2は、ガラスやセラミックスなどの絶縁性の無機材料から成り、信号端子3と基体1との絶縁間隔を確保するとともに、信号端子3を基体1の貫通孔1c内に固定する機能を有する。このような封止材2の例としては、ホウケイ酸ガラス,ソーダガラス等のガラスおよびこれらのガラスに封止材2の熱膨張係数や比誘電率を調整するためのセラミックフィラーを加えたものが挙げられ、インピーダンスマッチングのためにその比誘電率を適宜選択する。比誘電率を低下させるフィラーとしては、酸化リチウム等が挙げられる。例えば、特性インピーダンスを50Ωとするには、貫通孔1cの内径が1.75mmで信号端子3の外径が0.2mmの場合、あるいは貫通孔1cの内径が2.2mmで信号端子3の外径が0.25mmの場合であれば、封止材2の比誘電率が6.8であるものを用いればよい。また、貫通孔1cの内径が1.65mmで信号端子3の外径が0.25mmの場合であれば、封止材2の比誘電率が5であるものを用いればよい。
信号端子3は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成り、例えば信号端子3がFe−Ni−Co合金から成る場合は、このインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって、長さが1.5〜22mmで直径が0.1〜1mmの線状に製作される。信号端子3の強度を確保しながらより高いインピーダンスでのマッチングを行ないつつ小型にするには、信号端子3の直径は0.15〜0.25mmが好ましい。信号端子3の直径が0.15mmより細くなると、電子部品搭載用パッケージを実装する場合の取り扱いで信号端子3が曲がりやすくなり、作業性が低下しやすくなる。また、直径が0.25mmより太くなると、インピーダンス整合させた場合の貫通孔1cの径が信号端子3の径に伴い大きくなるので、製品の小型化に向かないものとなってしまう。
信号端子3を貫通孔1cに充填された封止材2を貫通して固定するには、例えば、封止材2がガラスから成る場合は、周知の粉体プレス法や押し出し成形法を用いてガラス粉末を成形して、内径を信号端子3の外径に合わせ、外径を貫通孔1cの内径に合わせた筒状の成形体を作製し、この封止材2の成形体を貫通孔1cに挿入し、さらに信号端子3をこの封止材2の孔に挿通し、しかる後、所定の温度に加熱して封止材2を溶融させた後、冷却して固化させることにより行なうことができる。これにより、封止材2により貫通孔1cが気密に封止されるとともに、封止材2によって信号端子3が基体1と絶縁されて固定され、同軸線路が形成される。
また、図1〜図10に示す例のように、信号端子3は貫通孔1cの中心を通っていることが好ましい。このことにより、基体1の下面から上面にかけての全ての領域で信号端子3と貫通孔1cの内壁面との距離が同じになるので、この領域においてインピーダンスの変動がなく一定となり、伝送損失が少なく高周波信号の通過特性がより良好なものとなる。
また、図5〜図9に示す例のように、搭載部1aは、基体1の上面から突出した突出部の側面に搭載面を有し、信号端子3の上面から突出した端部が搭載面に沿っていることが好ましい。これにより、信号端子3の端部が搭載部1aに搭載された電子部品5や電子部品5が搭載された回路基板5aの主面に沿うこととなり、ろう接による信号端子3の端部と電子部品5の電極や回路基板5aの主面上の配線との接続を行なうのが容易となるので、信号端子3の端部と電子部品5や回路基板5aの主面上の配線との接続をワイヤボンディング等で行なう場合に比較して、信号線路と接地面である搭載面との間の浮遊容量を小さくすることができるものとなり、より電気特性に優れた電子部品搭載用パッケージとなる。図5〜図9に示す例では、搭載部1aは基体1の上面に対して垂直な突出部の側面に搭載面を形成し、貫通孔1c・1cを基体1の上面に対して垂直に形成して信号端子3・3も基体1の上面に対して垂直になるように固定し、2つの信号端子3・3の基体1の上面から突出した端部を結ぶ線が搭載部1aの搭載面に平行となるようにすることで、信号端子3の上面から突出した端部が搭載面に沿うようにしている。
接地端子4は、信号端子3と同じ様にして製作され、基体1の下面にろう材等を用いて接合される。図2に示す例のように、位置決めの容易性と接合強度の向上のために、予め基体1の下面に穴を形成しておき、その穴に接地端子4を挿入して接合してもよい。また、同様の理由で、図2に示す例のように、基体1の下面に当接するように接地端子4に鍔をつけて、接合面積をより大きくしてもよい。このようにして基体1に接地端子4を接合することにより、接続端子4を外部電気回路に接続した際には、基体1が接地導体としても機能する。
このような本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部1aに電子部品5を搭載するとともに、基体1の接合部1bに蓋体6を接合することにより、本発明の電子装置となる。
電子部品搭載用パッケージに電子部品5を搭載して電気的に接続するには、上述したように、図1に示す例のように基体1の上面に直接電子部品5を搭載して接続する方法や、図3に示す例のように回路基板5aを介して電子部品5を搭載して接続する方法などがある。
電子部品5としては、LD(レーザーダイオード)やPD(フォトダイオ−ド)等の光半導体素子,半導体集積回路素子を含む半導体素子,水晶振動子や弾性表面波素子等の圧電素子,圧力センサー素子,容量素子,抵抗器等が挙げられる。
回路基板5は、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等のセラミックス絶縁材料等から成る絶縁基板に配線導体が形成されたものである。絶縁基板が例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2),カルシア(CaO),マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工するとともに必要に応じて複数枚積層し、これを約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
配線導体は、例えば、図6に示す例の回路基板5aでは、絶縁基板の上面には信号端子3・3を接続するための端子用導体と、電子部品5を搭載するとともに電子部品5の下面の接地電極を接続するための接地用導体とが形成され、下面には基体1に搭載して接続するための搭載用導体が形成され、接地用導体と搭載用導体とは、絶縁基板の側面に形成された、または絶縁基板を貫通して形成された接続導体により接続される。このような配線導体は、電子部品5によりその接続が異なるので、それに応じて形成されるものである。また、電子部品5と配線導体とは例えばボンディングワイヤにより接続されるが、このボンディングワイヤを短くすることで信号の伝送損失を少なくするために、例えば図8に示すように端子用導体を屈曲した形状として、ボンディングワイヤの接続位置が電子部品5にできるだけ近くなるようにするのが好ましい。なお、端子用導体を屈曲させる場合には、例えば図10に示すように、屈曲角度が90°より大きくなるように段階的に屈曲させたり、屈曲する角部に丸みをつけたりすると、屈曲部での反射による高周波の損失を少なくすることができるので好ましい。段階的に屈曲させる場合は、屈曲角度を120°以上とすると損失がより少なくなるのでより好ましい。また、図10に示す例では屈曲部の外側だけを段階的に屈曲させたり丸みをつけたりしているが、屈曲部の内側も同様にするのがより好ましい。
配線導体の形成方法は、絶縁基板と同時焼成で、あるいは絶縁基体を作製した後に金属メタライズを形成する周知の方法や、絶縁基板を作製した後に蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する方法がある。電子装置が小型であり、それに搭載される回路基板5aはさらに小さいので、配線導体は微細なものとなり、また配線導体と信号端子3・3との位置合わせ精度を高めるためには蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する方法が好ましい。この場合は、必要に応じて絶縁基板の主面に研磨加工を施す場合もある。
以下、配線導体を蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する場合について詳細に説明する。配線導体は、例えば密着金属層,拡散防止層および主導体層が順次積層された3層構造の導体層から成る。
密着金属層は、セラミックス等から成る絶縁基板との密着性を良好とするという観点からは、チタン(Ti),クロム(Cr),タンタル(Ta),ニオブ(Nb),ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金,窒化タンタル(Ta2N)等の熱膨張率がセラミックスと近い金属のうちの少なくとも1種より成るのが好ましく、その厚みは0.01〜0.2μm程度が好ましい。密着金属層の厚みが0.01μm未満では、密着金属層を絶縁基板に強固に密着することが困難となる傾向がある。一方、密着金属層の厚みが0.2μmを超えると、成膜時の内部応力によって密着金属層が絶縁基板から剥離し易くなる傾向がある。
拡散防止層は、密着金属層と主導体層との相互拡散を防ぐという観点からは、白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh),ニッケル(Ni),Ni−Cr合金,Ti−W合金等の熱伝導性の良好な金属のうち少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.05〜1μm程度が好ましい。拡散防止層の厚みが0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生して拡散防止層としての機能を果たしにくくなる傾向がある。一方、拡散防止層の厚みが1μmを超えると、成膜時の内部応力により拡散防止層が密着金属層から剥離し易く成る傾向がある。なお、拡散防止層にNi−Cr合金を用いる場合は、Ni−Cr合金は絶縁基板との密着性が良好なため、密着金属層を省くことも可能である。
主導体層は、電気抵抗の小さい金(Au),Cu,Ni,銀(Ag)の少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。主導体層の厚みが0.1μm未満では、電気抵抗が大きなものとなり回路基板5aの配線導体に要求される電気抵抗を満足できなくなる傾向がある。一方、主導体層の厚みが5μmを超えると、成膜時の内部応力により主導体層が拡散防止層から剥離し易く成る傾向がある。また、Cuは酸化し易いので、その上にNiおよびAuからなる保護層を被覆してもよい。
電子部品5の電子部品搭載用パッケージや回路基板5aへの搭載、あるいは回路基板5aの電子部品搭載用パッケージへの搭載は、低融点ろう材によりそれぞれの搭載部位に固定することにより行なえばよい。例えば、回路基板5aを基体1上に搭載した後に電子部品5を回路基板5a上に搭載する場合は、回路基板5aの固定には金−錫(Au−Sn)合金や金−ゲルマニウム(Au−Ge)合金をろう材として用い、電子部品5の固定には、これらより融点の低い錫−銀(Sn−Ag)合金や錫−銀−銅(Sn−Ag−Cu)合金のろう材や、融点より低い温度で硬化可能な、Agエポキシ等の樹脂製の接着剤を用いればよい。また、電子部品5を回路基板5a上に搭載した後に回路基板5aを基体1上に搭載してもよく、その場合は上記とは逆に、回路基板5aを基体1上に搭載する際に用いるろう材の融点の方を低くすればよい。いずれの場合であっても、回路基板5a上や基体1の搭載部1a上にろう材ペーストを周知のスクリーン印刷法を用いて印刷したり、フォトリソグラフィ法によってろう材層を形成したり、低融点ろう材のプリフォームを載置するなどすればよい。
蓋体6は、平面視で基体1の上面の外周領域の接合部1bの形状に沿った外形で、基体1の上面の搭載部1aに搭載された電子部品5を覆うような空間を有する形状のものである。この蓋体6には、電子部品5と対向する部分に光を透過させる窓を設けてもよいし、窓に換えて、または窓に加えて光ファイバおよび戻り光防止用の光アイソレータを接合したものでもよい。
蓋体6は、例えばFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金、Fe−Mn合金等の金属から成り、これらの板材にプレス加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって作製される。蓋体6は、基体1の材料と同程度の熱膨張係数を有するものが好ましく、基体1の材料と同じものを用いるのがより好ましい。蓋体6が窓を有する場合は、電子部品5と対向する部分に孔を設けたものに、平板状やレンズ状のガラス製の窓部材を低融点ガラスなどにより接合して窓を構成すればよい。
蓋体6の基体1の接合部1bへの接合は、シーム溶接やYAGレーザ溶接等の溶接またはAu−Snろう材等のろう材によるろう付け等のろう接により行なわれる。
1・・・・・基体
1a・・・・搭載部
1b・・・・接合部
1c・・・・貫通孔
1d・・・・溝
2・・・・・封止材
3・・・・・信号端子
4・・・・・接地端子
5・・・・・電子部品
5a・・・・回路基板
6・・・・・蓋体
7・・・・・ボンディングワイヤ
8・・・・・接合材
1a・・・・搭載部
1b・・・・接合部
1c・・・・貫通孔
1d・・・・溝
2・・・・・封止材
3・・・・・信号端子
4・・・・・接地端子
5・・・・・電子部品
5a・・・・回路基板
6・・・・・蓋体
7・・・・・ボンディングワイヤ
8・・・・・接合材
Claims (4)
- 上面の外周領域に蓋体を溶接またはろう接により接合する接合部およびその内側に電子部品の搭載部を有するとともに上面から下面にかけて複数の貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に充填された封止材を貫通して固定された信号端子とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、前記基体は、前記基体の上面の前記接合部と前記貫通孔との間に溝を具備することを特徴とする電子部品搭載用パッケージ。
- 前記溝は、前記接合部の内周に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用パッケージ。
- 前記溝は、前記複数の貫通孔をそれぞれまたはまとめて取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用パッケージ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品搭載用パッケージの前記搭載部に電子部品を搭載するとともに、前記基体の前記接合部に蓋体を接合したことを特徴とする電子装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007219372A JP2009054750A (ja) | 2007-08-27 | 2007-08-27 | 電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009054750A true JP2009054750A (ja) | 2009-03-12 |
Family
ID=40505579
Family Applications (1)
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JP2007219372A Pending JP2009054750A (ja) | 2007-08-27 | 2007-08-27 | 電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置 |
Country Status (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9660176B2 (en) | 2012-09-26 | 2017-05-23 | Seiko Epson Corporation | Method of manufacturing electronic device, electronic apparatus, and mobile apparatus |
-
2007
- 2007-08-27 JP JP2007219372A patent/JP2009054750A/ja active Pending
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