本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造、およびこの接続構造を有する本発明の電子部品搭載用パッケージ、ならびにこの電子部品搭載用パッケージを用いた本発明の電子装置について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1におけるA−A線で切断した断面の一例を示す断面図であり、図3は図2におけるB部(信号端子と信号線路導体との接続部)を拡大した断面図であり、図4は図3におけるB部を拡大した、本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造の実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1〜図4において、1は配線基板、1aは基板、1bは信号線路導体、1cは接地用導体、1dは搭載用導体、1eは溝部、2は信号端子、3はろう材、4は基体、4aは搭載部、4bは搭載面、4cは貫通孔、4dは接合部、5は封止材、6は接地端子、7は電子部品、8はボンディングワイヤ、9は蓋体である。
図1に示す本発明の電子部品搭載用パッケージの例は、本発明の信号端子2と信号線路導体1bとの接続構造の一例を有するものであり、基体4の上面から突出した突出部を搭載部4aとして、その側面の搭載面4bに配線基板1が搭載され、基体4に形成された貫通孔4cに充填された封止材5を貫通して固定された信号端子2・2の側面が配線基板1の溝部1eの底面に接しており、端部が配線基板1の主面上の信号線路導体1bとはんだ等のろう材3で接続されて構成されている。そして、電子部品7を配線基板1の接地用導体1c上に搭載するとともにその電子部品7の端子をボンディングワイヤ8で配線基板1上の信号線路導体1bに接続し、さらに、図2に示すように、破線で示すような蓋体9を基体4の上面の接合部4dに接合することにより、本発明の電子装置が基本的に構成される。
本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造は、図3および図4に示す例のように、配線基板1には配線基板1の一方の主面の端部から内部へ延びて溝部1eが形成されており、この一方の主面に溝部1eの端部から溝部1eが延びる方向に形成された信号線路導体1bに、溝部1eに配置された線状の導体からなる信号端子2が、この一方の主面側から見て信号端子2と信号線路導体1bとが上下に重ならずに同一線上に連続して配置され、配線基板1の側面側から見て信号端子2と配線基板1とが重なるように配置されて、これら信号端子2と信号線路導体1bとがろう材により接続されていることを特徴とするものである。
このことから、信号端子2と信号線路導体1bとを上下に重ねてその間のろう材3により接続した従来の接続構造と比較すると、溝部1eの深さや形状の設定により信号端子2と信号線路導体1bとの接続部において信号線路導体1bの見かけ上の厚みが厚くなることを容易に抑えることができるので、接続部での特性インピーダンスの不整合が小さくなり、高周波信号の反射損失が小さく伝送特性が良好な接続構造となる。
図5は図4と同様の斜視図であり、図6(a)は図5におけるA−A線で切断した断面図であり、図6(b)〜図6(f)は図6(a)と同様の本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造の実施の形態の一例を示す断面図である。また、図7は図3と同様の本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。図5〜図7において、図1〜図3と同様の部位には同じ符号を付しており、10は接着剤である。
本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造は、図5〜図7に示す例のように、上記構成において、信号端子2は溝部1e内または溝部1eの両側の一方の主面に接着剤を介して固定されていることが好ましい。
このことにより、信号端子2は信号線路導体1bが形成された配線基板1に対して溝部1e内および溝部1e周辺でも固定されるので、信号端子2と信号線路導体1bとをろう材3だけで接合する場合と比較して、信号端子2と信号線路導体1bとの間のろう材3に加わる応力を低減することができ、ろう材3による接合を長期にわたって安定して維持することができるので、信号端子2と信号線路導体1bとの接続信頼性を高めることができる。
また、本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造は、図3〜図7に示す例のように、上記構成において、配線基板1の側面側(信号端子2と信号線路導1bとが同一線上に配置されているその線に交差する方向の側面の側)から見て、信号端子2の中心と信号線路導体1bの上面とが重なるように配置されていることが好ましい。
このことにより、信号端子2の上下の表面それぞれからろう材3を介して信号線路導体1bの上面へ至る距離の差が最も小さくなり、信号端子2の上下それぞれの表面を伝送してろう材3を介して信号線路導体1bに入射する高周波信号におけるそれぞれの伝送経路の長さの差が最も小さくなる。また、信号端子2と信号線路導体1bとの間のろう材3による信号の伝送経路も短くなり、信号端子2や信号線路導体1bに対して高周波信号の伝送経路の屈曲角度が小さいものとなる。このようなことから、信号端子2と信号線路導体1bとの接続部における反射損失がより小さくなり、高周波信号の伝送特性がより良好なものとなる。
図8は、図3と同様の本発明の電子部品搭載用パッケージの一例を示す断面図であり、信号端子2と信号線路導体1bとの接続部を示したものである。図8において、図1〜図3と同様の部位には同じ符号を付しており、1fは信号端子2が対向する溝部1eの側面に設けられた側面導体である。
本発明の信号端子2と信号線路導体1bとの接続構造は、上記構成において、図8に示す例のように、信号端子2の端面が対向する溝部1eの側面に側面導体1fが形成されており、側面導体1fに信号端子2の端面がろう材3により接続されているときには、側面導体1fにより、ろう材3による信号端子2と配線基板1との接合面積が増加して信号端子2と信号線路導体1bの接合が補強されるので、接合信頼性がより優れた接続構造となる。
本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記いずれかの本発明の信号端子と信号線路導体との接続構造を有することを特徴とするものである。このことから、信号端子2と信号線路導体1bとの接合部での特性インピーダンスのずれを小さくできるので、高周波信号の反射損失を小さくすることができ、高周波での作動が良好な電子部品搭載用パッケージとなる。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品搭載用パッケージに電子部品が実装されて信号線路導体に接続されていることを特徴とするものである。このことにより、電子部品7の端子に接続された信号線路導体1bと信号端子2との接合部での特性インピーダンスのずれを小さくできるので、高周波信号の反射損失を小さくすることができ、高周波での作動が良好な電子装置となる。
配線基板1は、例えば図1に示す例では、配線導体として基板1aの上面に、高周波信号を伝送するとともに信号端子2・2が接続される信号線路導体1bと、電子部品7が搭載されるとともに電子部品7の下面の接地電極が接続される接地用導体1cとが形成されている。また、配線基板1の下面には、配線基板1を基体4に搭載して接続するための搭載用導体1dが形成されている。接地用導体1cと搭載用導体1dとは、基板1aの側面に形成された、または基板1aを貫通して形成された接続導体により接続されている。また、図8に示す例では、配線導体として、信号端子2の端面が対向する溝部1eの側面に、信号端子2がろう材3により接続される側面導体1fがさらに形成されている。このような配線導体は、電子部品7によりその接続の形態が異なるので、それに応じて形成されるものである。
また、電子部品7と配線導体とは例えばボンディングワイヤ8により接続されるが、このボンディングワイヤ8を短くすることによって高周波信号の伝送損失を少なくするために、例えば図1に示すように、信号線路導体1bを信号端子2と電子部品7との間で屈曲した形状として、ボンディングワイヤ8の接続位置が電子部品7にできるだけ近くなるようにしてもよい。なお、信号線路導体1bを屈曲させる場合には、例えば図1に示すように、屈曲角度が90°より大きくなるように段階的に屈曲させたり、屈曲する角部に丸みをつけたりすると、屈曲部での反射による高周波信号の損失を少なくすることができるので好ましい。信号線路導体1bを段階的に屈曲させる場合は、屈曲角度を120°以上とすると、高周波信号の損失がより少なくなるのでより好ましい。
配線基板1の溝部1eの断面形状については、図6(a)に示す例のような方形、図6(b)に示す例のような三角形、図6(c)に示す例のような台形等といった多角形や、図6(d)に示す例のような半円形、図6(e)に示す例のような半楕円形といった弧状等であってもよく、特に制限はない。図6(b)に示す例のような三角形の場合は、溝部1eの上に信号端子2の端部を載置すれば、信号端子2の溝部1e内の幅方向での位置が自ずと決まるので、この位置と信号線路導体1bの位置とを合せて配線基板1を作製すれば、信号線路導体1bおよび溝部1eそれぞれの幅方向の中心を合わせることにより、信号端子2と信号線路導体1bとが上下に重ならずに同一線上に連続して配置される。特に図6(b)に示す例のように二等辺三角形の場合は、溝部1eの幅方向の中心と信号線路導体1bの幅方向の中心とを合わせて作製すれば、溝部1e上に信号端子2を載置するだけで信号端子2と信号線路導体1bとを同一線上に配置することができる。溝部1eの断面形状が方形、台形、半円形、半楕円形の場合は、その幅を信号端子2の幅(径)に合わせればよく、例えば、図6(a)に示す方形の場合は溝部1eの開口幅を信号端子2の幅(径)と合わせればよい。
また、図6(b),(c),(e)に示す例のように、溝部1eの開口幅を信号端子2の溝部1e内に位置する部分の幅より大きくすると、溝部1eに信号端子2を載置した後であっても溝部1e内に接着剤10を介して固定することができる。このようにすることで、より接着力を向上させることができることから、信号端子2と信号線路導体1bとの接続信頼性をより高めることができるので好ましい。
また、図6(f)に示す例のような、幅の広い溝部1eの底部に、溝部1eの幅方向の両側に段差を設けた形状(上段の溝の底部に、上段の溝より幅の小さい下段の溝を設けた2段の溝部1eとしてもよい。このような形状で溝部1eの深さや段差の高さ(上下段の溝の深さ)を調整することで、溝部1eの上に信号端子2の端部を載置した際に、信号端子2の溝部1e内の幅方向での位置が自ずと決まるとともに、溝部1eに信号端子2を載置した後であっても溝部1e内にも接着剤10を介して固定することができ、信号端子2と信号線路導体1bとの接続信頼性をより高めることができるので、より好ましいものとなる。
配線基板1の溝部1eの深さは、信号端子2の径(厚み)に応じて設定する。例えば、図6(a)に示す例のような断面形状を有する溝部1eの場合であれば、溝部1eの深さを、最大で信号端子2の径(厚み)から信号線路導体1bの厚みを引いた深さとすることで、配線基板1の側面側から見て信号端子2と信号線路導体1bの上面とが重なるように配置され、信号端子2の表面から信号線路導体1bの上面へ伝送される信号が屈曲する幅が信号端子の厚みまでに抑えられ、信号の反射損失が抑えられるので、好ましいものとなる。上述したように、配線基板1の側面側から見て信号端子2の中心と信号線路導体1bの上面とが重なるように配置するのがより好ましく、この場合は、溝部1eの深さを信号端子2の厚みの1/2から信号線路導体1bの厚みを引いた深さとすればよい。
図9(a)は、図8におけるA−A線で切断した断面図であり、図9(b)〜(f)は、それぞれ他の例を示す図9(a)と同様の断面図である。これらの図においては、側面導体1fの形状等が分かりやすいように、信号端子2は破線で示し、ろう材3は省略しており、また基体4の搭載部4aも省略している。
側面導体1fは、信号端子2の端面が対向する溝部1eの側面に形成されていれば、信号端子2とろう材3により接続することで信号端子2と信号線路導体1bとの接続の補強となるので、側面導体1fは、線路導体1bと接続されていなくてもよい。しかし、側面導体1fが信号線路導体1bから離れて信号の伝送経路がろう材3の部分で分岐した形状になると、この部分で信号の反射が発生して損失が大きくなる場合があるので、図9(a)〜(f)に示す例のように、側面導体1fは信号線路導体1bから連続して形成されて接続されているのが好ましい。
また、図9(a)〜(f)に示す例のように、信号端子2と信号線路導体1bとの接合を補強し、信号の反射を抑えるためには、溝部1eの側面の信号端子2の端面が対向する領域(側面視して信号端子2と重なる領域)に形成されているのが好ましい。信号端子2と信号線路導体1bとの接合を補強するためには、側面導体1fの面積を基板1aの側面の信号端子2が対向する領域よりもある程度大きくするのが好ましい。
このとき、図9(e)に示す例のように、側面導体1fの形状を信号線路導体1bの幅に対して両側に同程度拡がった形状にすると、図9(b)に示す例のような三角形や図6(f)に示す例のような段差を有する形状のような、その形状により信号端子2の溝部1e内の幅方向での位置が決まるような溝部1eの形状ではない場合であっても、ろう材3による接続を行なう際に、溶融したろう材の表面張力により信号端子2が引っ張られて信号端子2と信号線路導体1bとが同一線上からずれてしまうことがないので好ましい。溝部1eの形状が、図9(e)に示す例のような半楕円形に限らず、図9(a)に示す例のような方形や、図9(c)に示す例のような台形の場合でも同様の効果が得られるので、幅を広げて側面導体1fの面積を増やし、信号端子2と信号線路導体1bとの接合を補強する効果を高めることができる。
また、信号端子2と側面導体1fとの間に形成されるろう材3のフィレット形状や大きさも、信号端子2の両側で同程度となることから、フィレット部に加わる応力が信号端子2の両側で同程度となるので接続信頼性が高くなる。さらに、図9(d)に示す例のように、半円形の溝の底面を平坦にしたような形状のように、信号端子2から側面導体1fの端部までの距離が均等になるような形状とすると、信号端子2の周囲に形成されるろう材のフィレット形状や大きさが均等になり、フィレット部に応力が集中する部分が生じるのを抑えられることから、接続信頼性がより高くなるので好ましい。また、図9(e)に示す例のように、信号端子2から側面導体1fの端部までの距離が均等ではなくても、信号端子2から側面導体1fの端部までの距離がなだらかに変化するような形状とすると、信号端子2の周囲に形成されるろう材のフィレット形状や大きさが急激に変化することがないことから、フィレット部に応力が集中する部分が生じるのを抑えられるので接続信頼性がより高くなるので好ましい。
また、図9(c)、(e)、(f)に示す例は、図9(a)と比較すると、側面導体1fの面積は同程度であるので補強の効果は同程度であるが、側面導体1fの形状が搭載用導体1d(基体4)に近い部分の面積が小さい形状となっていることから、側面導体1fに接続された信号端子2と搭載用導体1d(基体4)との間の容量結合の増加がより小さくなり、インピーダンスの低下が抑えられるので好ましい。同様の理由で、側面導体1fによるインピーダンスの低下を抑える点では、図9(b)と比較すると、図9(c)、(e)、(f)に示す例は、側面導体1fの形状が搭載用導体1d(基体4)に近い部分まで延びていないので好ましい。
なお、図9(a)〜(f)では溝の側面全体を側面導体1fとしたが、溝の断面形状にかかわらず、側面導体1fの下端の高さを信号端子2の下端より高くすることで、信号端子2と搭載用導体1d(基体4)との間の容量結合の増加がより小さくなり、インピーダンスの低下が抑えられるので好ましい。例えば、溝1eの断面形状が図9(b)のように三角形である場合であれば、下端が信号端子2の下端より高い位置にある台形の側面導体1fとすればよく、また、溝1eの断面形状が図6(f)に示す例のような段差を有する形状である場合であれば、段差より上の部分に四角形状の側面導体1fをもうければよい。
また、側面導体1fを設けて、信号端子2の端面と側面導体1fをろう材3で接合した場合も、信号端子2の側面を接着剤10で溝1eに接着すると、より接続信頼性が高くなるので好ましい。
配線基板1は、例えば、比誘電率が9.5の酸化アルミニウム質焼結体から成り、厚みが0.3mmである基板1aを用いた場合であれば、信号線路導体1bの幅を0.3mmとし、厚みを0.002mmとすることにより、信号線路導体1bを50Ωにインピーダンス整合させることができる。この配線基板1に直径0.2mmの信号端子2を接続する場合は、基板1aに、例えば幅が0.2mmで深さが0.098mmの図6(a)に示す例のような断面形状が長方形の溝部1eを設けて、信号端子2の側面を溝部1eの底面に接するようにすると、配線基板1の側面側から見て信号端子2の中心と信号線路導体1bの上面とが重なるように信号端子2を配置することができる。
配線基板1は、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等のセラミックス絶縁材料等から成る基板1aに信号線路導体1bを含む配線導体が形成されたものである。基板1aが例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2),カルシア(CaO),マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工するとともに必要に応じて複数枚積層して積層体を作製し、これを約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
基板1aに溝部1eを形成するには、平板状の基板1aを作製した後に研削加工やレーザ加工すればよい。または、基板1aを作製する際に、最上層のグリーンシートとして、焼成後に溝部1eの深さと等しくなるような厚みのものに、焼成後に溝部1eの幅となるような貫通孔を金型等による打ち抜き加工で形成しておいて、積層体を作製してもよい。この貫通孔をグリーンシートの端部に形成すれば、そのまま端部から内部へ延びる溝部1eを有する積層体とすることができる。あるいは、長めの貫通孔を形成した最上層のグリーンシートを用いて積層体を作製し、貫通孔を長さ方向に分断するように積層体を切断することにより、端部から内部へ延びる溝部1eを有する積層体を作製してもよい。この場合には、1つの貫通穴を2等分するように切断することで、端部から内部へ延びる溝部1eを有する積層体を切断位置の両側に1つずつ同時に形成することができ、いわゆる多数個取り基板の形態で作製する場合に有用である。図6(f)に示す例のように、溝部1eが2段になっている場合は、幅の小さい貫通孔を有するグリーンシートの上に幅の大きい貫通孔を有するグリーンシートを重ね合わせて積層体を作製すればよい。溝部1eを形成する他の方法としては、平板状の積層体を作製した後に、型押しや切削加工あるいはレーザ加工により溝部1eを形成してもよい。この場合も長い溝部1eを形成しておいて分断してもよい。
信号線路導体1bを含む配線導体の形成方法は、基板1aとの同時焼成により、あるいは基板1aを作製した後に金属メタライズを形成する周知の方法や、基板1aを作製した後に蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する方法がある。電子装置が小型であり、それに搭載される配線基板1はさらに小さいので、配線導体は微細なものとなるため、信号線路導体1bと信号端子2・2との位置合わせ精度を高めるためには、蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する方法が好ましい。この場合は、配線導体の形成前に必要に応じて基板1aの主面に研磨加工を施す場合もある。この研磨加工により溝部1eの深さを調整することもできる。
溝部1eを有する基板1aの上に蒸着法により薄膜導体を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法により信号線路導体1b等の配線導体を形成する場合は、溝部1eに合わせた3次元構造の金属製のマスクを用いることにより、溝部1eの側面上でもマスクと薄膜導体とを密着させることができ、精度よく側面導体1fを形成することができる。
以下、配線導体を蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する場合について詳細に説明する。配線導体は、例えば密着金属層,拡散防止層および主導体層が順次積層された3層構造の導体層から成る。
密着金属層は、セラミックス等から成る基板1aとの密着性を良好とするという観点からは、チタン(Ti),クロム(Cr),タンタル(Ta),ニオブ(Nb),ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金,窒化タンタル(Ta2N)等の熱膨張率がセラミックスと近い金属のうちの少なくとも1種より成るのが好ましく、その厚みは0.01〜0.2μm程度が好ましい。密着金属層の厚みが0.01μm未満では、密着金属層を基板1aに強固に密着させることが困難となる傾向がある。一方、密着金属層の厚みが0.2μmを超えると、成膜時の内部応力によって密着金属層が基板1aから剥離し易くなる傾向がある。
拡散防止層は、密着金属層と主導体層との相互拡散を防ぐという観点からは、白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh),ニッケル(Ni),Ni−Cr合金,Ti−W合金等の熱伝導性の良好な金属のうち少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.05〜1μm程度が好ましい。拡散防止層の厚みが0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生して拡散防止層としての機能を果たしにくくなる傾向があり、1μmを超えると、成膜時の内部応力により拡散防止層が密着金属層から剥離し易く成る傾向がある。なお、拡散防止層にNi−Cr合金を用いる場合は、Ni−Cr合金は基板1aとの密着性が良好なため、密着金属層を省くことも可能である。
主導体層は、電気抵抗の小さい金(Au),Cu,Ni,銀(Ag)の少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。主導体層の厚みが0.1μm未満では、電気抵抗が大きなものとなって配線基板1の配線導体に要求される電気抵抗を満足できなくなる傾向があり、5μmを超えると、成膜時の内部応力により主導体層が拡散防止層から剥離し易く成る傾向がある。また、Cuは酸化し易いので、その上にNiおよびAuからなる保護層を被覆してもよい。
信号端子2は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成る。例えば信号端子2がFe−Ni−Co合金から成る場合は、Fe−Ni−Co合金のインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工あるいは引き抜き加工や押し出し加工等の周知の金属加工方法を施すことによって、長さが1.5〜22mmで直径が0.1〜1mmの線状に製作される。信号端子2の強度を確保しながら、基体4に形成された貫通孔4cに充填された封止材5を貫通して固定した状態で、より高いインピーダンスでのマッチングを行ないつつ小型にするには、信号端子2の直径は0.15〜0.6mmが好ましい。信号端子2の直径が0.15mmより細くなると、電子部品搭載用パッケージを実装する場合の取り扱いで信号端子2が曲がりやすくなり、作業性が低下しやすくなる。また、直径が0.6mmより太くなると、インピーダンス整合させた場合の貫通孔1cの径が信号端子2の径に伴い大きくなるので、製品の小型化に向かないものとなってしまう。
また、図7に図3と同様の断面図で示すように、信号端子2は、貫通孔1cから突出した部分において、配線基板1の側面側から見て信号線路導体1bとの接続部側の端部にかけて細くなる(厚みが薄くなる)形状であるのが好ましい。このような形状にすると、信号端子2の端部におけるインピーダンスの変化が緩やかになるとともに、十分な接合強度が得られるようなろう材3のフィレット形状にしても、信号線路導体1bの上のろう材3の厚みを薄くすることができるので、インピーダンスの低下がより少なくなり、高周波信号の反射損失が小さく伝送特性が良好な接続構造とすることができる。また、信号線路導体1bの上のろう材3の厚みを薄くしつつ、信号端子2にろう材3が接続される面積を増加させることができるので、信号端子2と信号線路導体1bとの接続強度が向上し、接続信頼性に優れた接続構造とすることができる。
図7に示す例のように、配線基板1の側面側から見て信号端子2の中心と信号線路導体1bの上面とが重なるように配置されている場合は、信号端子2の端部を上下から中心に向かって同程度薄くするようにすればよい。信号端子2の中心が信号線路導体1bの上面とずれて配置される場合は、信号端子2の上下から信号線路導体1bの上面に向かって薄くするようにすればよい。
信号端子2の端部を薄くするのは、線状に形成した信号端子2の端部をプレス加工や研削加工することによって可能である。
図1に示すような電子部品搭載用パッケージの場合は、まず、信号端子2を基体4に形成された貫通孔4cに充填された封止材5を貫通して固定する。そして、例えば金−ゲルマニウム(Au−Ge)合金等のプリフォームやペースト状の接合材を搭載部4aの上に載置し、その上に配線基板1の溝部1eと信号端子2とを位置合わせして配置して加熱することにより配線基板1を基体4の搭載部4a上に接合して搭載した後に、信号端子2と信号線路導体1bとをろう材3で接続する。このとき、接合材とろう材3とに同じものを用い、配線基板1の搭載部4aへの接合と信号端子2と信号線路導体1bとの接続を同時に行なってもよい。
高周波信号が良好に伝送されるように配線基板1、信号端子2、封止材5、貫通孔4c等を設計した上で、これらに応じて搭載面4bの位置を設定する。そして、配線基板1を搭載部4aに搭載する際に、信号端子2の側面が配線基板1の溝部1eに接するように接合材の厚みを調整して配線基板1を搭載部4a上に接合して搭載する。
信号端子2を接着剤を介して固定する場合は、接着強度が強く、絶縁性である接着剤を用いて接着する。導電性の接着剤で接着すると、接着した部分では信号端子2の見かけ上の幅が大きくなることになるので、反射損失が大きくなってしまう場合があるからである。また、接着剤の比誘電率が大きいとインピーダンスのずれが大きくなるので、接着剤の比誘電率は小さいものが好ましい。このような点から、例えば、エポキシ樹脂やポリアミド樹脂を主成分とする接着剤を用いるとよい。このような樹脂製の接着剤は、加熱硬化型の場合であっても、信号端子2と信号線路導体1bとを接続するためのろう材3や配線基板1を基体4に接合するための接合材の融点より低い温度で硬化するものが一般的であるので、配線基板1を基体4上に搭載し、信号端子2と信号線路導体1bとを接続した後に接着しても、ろう材3や接合材を溶融させることがなく、接続信頼性に影響を与えることがないので好ましい。
配線基板1の信号線路導体1bと信号端子2との距離は、できるだけ小さくする(例えば0.15mm以下)と、損失が小さくなるので好ましい。この場合は、例えば、信号線路導体1bと信号端子2との間をつなぐようにろう材3として金−錫(Au−Sn)合金等の半田のペーストをシリンジで塗布するか、金−錫合金半田リボンを載置した後に、窒素中で半田が溶融する330℃程度まで加熱することで接続できる。そして、配線基板1の溝部1eの側面を固定された信号端子2の端部に突き当てるようにして配線基板1を配置した後にろう材3で接続すると、信号線路導体1bと信号端子2との距離を小さくすることができる。一方、配線基板1と信号端子2との距離が大きい場合には、信号線路導体1bおよび信号端子2のそれぞれの接合部側の端部に予めろう材3として金−錫合金を付与しておき、それらをつなぐようにして同じくろう材3として金−錫合金等から成る半田リボンを載置し、窒素中で金−錫合金半田が溶融する330℃程度まで加熱することで接続できる。このとき、予め形成しておく金−錫合金を共晶組成にしておき、金−錫合金半田リボンを共晶温度より高い温度で溶融する組成にしておくと、両方の端をなだらかな形状にして接続できるので、高周波特性のよい接続部とすることができる。信号線路導体1bおよび信号端子2の端部に予め金−錫合金を付与するには、これらの上にそれぞれ金−錫合金半田のペーストを塗布して加熱することにより行なえばよい。
基体4は、上面の中央部に電子部品7の搭載部4aを有するとともに、搭載された電子部品7が発生する熱をパッケージの外部に放散する機能を有する。このため、基体4は、熱伝導性の良い金属から成るものがよく、搭載される電子部品7やセラミック製の配線基板1の熱膨張係数に近いものやコストの安いものとして、例えば、Fe99.6質量%−Mn0.4質量%系のSPC(Steel Plate Cold)材や、Fe−Ni−Co合金やFe−Mn合金等から選ばれる。例えば基体4がFe−Mn合金から成る場合は、Fe−Mn合金のインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって所定形状に製作され、貫通孔1cはドリル加工や金型による打ち抜き加工により形成される。また、基体4が搭載部4aとして突出部を有する形状の場合は、切削加工やプレス加工により形成することができる。
基体4の形状は、通常は厚みが0.5〜2mmの平板状であり、その形状は特に制限はないが、例えば直径が3〜10mmの円板状,半径が1.5〜8mmの円周の一部を切り取った半円板状,一辺が3〜15mmの四角板状等であり、上面から下面にかけて形成された直径が0.6〜2.65mmの貫通孔1cを複数有する。図1〜図7に示す例では、2つの貫通孔1cを有する基体4に1個の電子部品7を搭載しているが、複数の電子部品7を搭載したり、電子部品7の数や電子部品7の端子の数に応じて信号端子2を固定する貫通孔1cを2つより多く形成したりしても構わない。
基体4の厚みは0.5mm以上2mm以下が好ましい。基体4の厚みが0.5mm未満の場合は、電子部品7を保護するための金属製の蓋体9を金属製の基体4の上面に接合する際に、接合温度等の接合条件により基体4が曲がったりして変形し易くなる。一方、基体4の厚みが2mmを超えると、電子部品搭載用パッケージや電子装置の厚みが不要に厚いものとなり、小型化し難くなる。
また、基体4の表面には、耐食性に優れ、電子部品7や配線基板1あるいは蓋体9を接合し固定するためのろう材との濡れ性に優れた、厚さが0.5〜9μmのNi層と厚さが0.5〜5μmのAu層とをめっき法により順次被着させておくのがよい。これにより、基体4が酸化腐食するのを有効に防止できるとともに、電子部品7や配線基板1あるいは蓋体9を基体4に良好にろう付けすることができる。
基体4に形成された貫通孔1cには、封止材5が充填されており、この封止材5を貫通して信号端子2が固定されている。信号端子2は、一方の端部(上端部)は基体4の上面から2mm程度まで突出させて固定される。一方、信号端子2の他方の端部(下端部)は、外部電気回路(図示せず)に接続するために基体4の下面から1〜20mm程度突出しているのが好ましい。こうして、図1に示す例のように、信号端子2の上端部と電子部品7とを電気的に接続するとともに、信号端子2の下端部を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続することにより、信号端子2は電子部品7と外部電気回路との間で高周波の入出力信号を伝送する機能を果たす。
封止材5は、ガラスやセラミックスなどの絶縁性の無機材料から成り、信号端子2と基体4との絶縁間隔を確保するとともに、信号端子2を基体4の貫通孔1c内に固定する機能を有する。このような封止材5の例としては、ホウケイ酸ガラス,ソーダガラス等のガラスおよびこれらのガラスに封止材5の熱膨張係数や比誘電率を調整するためのセラミックフィラーを加えたものが挙げられ、インピーダンスマッチングのためにその比誘電率を適宜選択する。比誘電率を低下させるフィラーとしては、酸化リチウム等が挙げられる。例えば、特性インピーダンスを50Ωとするには、貫通孔1cの内径が1.75mmで信号端子2の外径が0.2mmの場合、あるいは貫通孔1cの内径が2.2mmで信号端子2の外径が0.25mmの場合であれば、封止材5の比誘電率が6.8であるものを用いればよい。また、貫通孔1cの内径が1.65mmで信号端子2の外径が0.25mmの場合であれば、封止材5の比誘電率が5であるものを用いればよい。
信号端子2を貫通孔1cに充填された封止材5を貫通して固定するには、例えば、封止材5がガラスから成る場合であれば、周知の粉体プレス法や押し出し成形法を用いてガラス粉末を成形して、内径を信号端子2の外径に合わせ、外径を貫通孔1cの内径に合わせた筒状の成形体を作製し、この封止材5の成形体を貫通孔1cに挿入し、さらに信号端子2をこの封止材5の孔に挿通し、しかる後、所定の温度に加熱して封止材5を溶融させた後、冷却して固化させることにより行なうことができる。これにより、封止材5により貫通孔1cが気密に封止されるとともに、封止材5によって信号端子2が基体4と絶縁されて固定され、同軸線路が形成される。
接地端子6は、信号端子2と同じ様にして製作され、基体4の下面にろう材等を用いて接合される。位置決めの容易性と接合強度の向上のために、予め基体4の下面に穴を形成しておき、その穴に接地端子6を挿入して接合してもよい。また、同様の理由で、基体4の下面に当接するように接地端子6に鍔をつけて、接合面積をより大きくしてもよい。このようにして基体4に接地端子6を接合することにより、接続端子4を外部電気回路に接続した際には、基体4が接地導体としても機能する。
このような本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部4aに配線基板1を介して電子部品7を搭載するとともに、基体4の接合部4dに蓋体9を接合することにより、本発明の電子装置となる。
電子部品7としては、LDやPD等の光半導体素子,半導体集積回路素子を含む半導体素子,水晶振動子や弾性表面波素子等の圧電素子,圧力センサー素子,容量素子,抵抗器等が挙げられる。
電子部品7の電子部品搭載用パッケージや配線基板1への搭載、あるいは配線基板1の電子部品搭載用パッケージへの搭載は、低融点ろう材により固定することにより行なえばよい。例えば、配線基板1を基体4上に搭載した後に電子部品7を配線基板1上に搭載する場合は、配線基板1の固定には金−錫(Au−Sn)合金や金−ゲルマニウム(Au−Ge)合金をろう材として用い、電子部品7の固定には、これらより融点の低い錫−銀(Sn−Ag)合金や錫−銀−銅(Sn−Ag−Cu)合金のろう材や、融点より低い温度で硬化可能な、Agエポキシ等の樹脂製の接着剤を用いればよい。また、電子部品7を配線基板1上に搭載した後に配線基板1を基体4上に搭載してもよく、その場合は上記とは逆に、配線基板1を基体4上に搭載する際に用いるろう材の融点の方を低くすればよい。いずれの場合であっても、配線基板1上や基体4の搭載部4a上にろう材ペーストを周知のスクリーン印刷法を用いて印刷したり、フォトリソグラフィ法によってろう材層を形成したり、低融点ろう材のプリフォームを載置するなどすればよい。
蓋体9は、平面視で基体4の上面の外周領域の接合部4dの形状に沿った外形で、基体4の上面の搭載部4aに搭載された配線基板1および電子部品7を覆うような空間を有する形状のものである。蓋体9には、電子部品7と対向する部分に光を透過させる窓を設けてもよいし、窓に換えて、または窓に加えて光ファイバおよび戻り光防止用の光アイソレータを接合したものでもよい。
蓋体9は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金、Fe−Mn合金等の金属から成り、これらの板材にプレス加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって作製される。蓋体9は、基体4の材料と同程度の熱膨張係数を有するものが好ましく、基体4の材料と同じものを用いるのがより好ましい。蓋体9が窓を有する場合は、電子部品7と対向する部分に孔を設けたものに、平板状やレンズ状のガラス製の窓部材を低融点ガラスなどにより接合する。
蓋体9の基体4の接合部4dへの接合は、シーム溶接やYAGレーザ溶接等の溶接またはAu−Snろう材等のろう材によるろう付け等のろう接により行なわれる。
なお、本発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
例えば、以上の例では、図1〜図9に示すような円形の金属ステムを用いた電子部品搭載用パッケージを例として説明したが、本発明の電子部品搭載用パッケージは図10〜図12に示すような箱型の電子部品搭載用パッケージでも構わない。図10は本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の一例を示す斜視図であり、図11は図10におけるA−A線で切断した断面の一例を示す断面図であり、図12は図11におけるB部(接続部)を拡大した断面図である。図10〜図12において、4eは基体4の枠部、4fは基体4の筒状部、5aは管状部材、11は透光性部材である。
図10〜図12に示す例の電子部品搭載用パッケージは、基体4の上に搭載部4aが設けられ、この搭載部4aを囲むように搭載部4aの搭載面4bに略垂直な枠部4eが設けられている。配線基板1は搭載部4aの搭載面4bの上に搭載され、信号端子2は枠部4eに形成された貫通孔4c内に封止材5により固定されている。そして、この信号端子2と配線基板1の主面上の信号線路導体1bとがろう材3によって電気的に接続され、本発明の信号端子2と信号線路導体1bとの接続構造となっている。
枠部4eは、基体4と同様の金属のインゴットを圧延加工,打ち抜き加工,切削加工など周知の金属加工法を用いて作製した枠体を銀ろう等の接合材で基体4に接合することによって形成される。また、例えばメタル・インジェクション・モールド法等によって枠部4eを基体4と一体的に形成してもよい。
枠部4eの貫通孔4cが形成された壁と対向する壁にも内面から外面にかけて貫通孔が設けられており、枠部4eの外面には、この貫通孔と内部がつながった筒状部4fが形成されている。この筒状部4f内には、ホウ珪酸ガラスや鉛系ガラス等の非晶質ガラスやサファイアから成る、球状,半球状,凸レンズ状,ロッドレンズ状等の透光性部材10が固定されている。筒状部4fは、基体4と同様の金属からなる筒状体を銀ろう等の接合材で枠部4eに固定して形成する。
信号端子2は、外周導体となる基体4と同様の金属製の管状部材5a内に充填された封止材5の中心を貫通することにより同軸コネクタを形成しており、これを貫通孔4c内に嵌着して金−錫合金半田等の接合材により枠部4eに接合することで固定されている。管状部材5aの孔の断面形状は円形であり、外形は特に制限はなく、円形や四角形等の多角形でもよい。信号端子2の端部を薄くする場合は、管状部材5aの外形を多角形状にしておくと、同軸コネクタを貫通孔4c内に固定する際に管状部材5aごと信号端子2が回転することがないので、信号端子2の端部の厚みが薄くなる方向がずれてしまうことがないのでよい。
図10に示す例の場合の配線基板1は、図1に示す例の配線基板1と同様にして作製されるが、配線基板1の一方の主面には電子部品7は搭載されないので信号線路導体1bのみが形成され、この信号線路導体1bと接地導体として機能する他方の主面側の搭載用導体1dとでマイクロストリップ線路を構成している。
基体4の搭載部aの上に電子部品7を搭載し、電子部品7の端子と配線基板1の信号線路導体1bとをボンディングワイヤ8で接続するとともに、枠状部4eの上面の接合部4dに蓋体9を接合することにより、本発明の電子装置となる。この場合の電子部品7はLDやPD等の光半導体素子であり、透光性部材11を通して外部回路との光信号の入出力が行なわれる。筒状部4fの外側の端面には、例えば、外部回路に接続される光アイソレータと光ファイバとが樹脂接着剤で接着された金属ホルダが、YAGレーザ溶接等により固定される。
この例では電子部品7は基体4の搭載部4aに直接搭載されているが、これは電子部品7で発生した熱を金属製の基体4の搭載部4aを通して外部へ放熱するためである。電子部品7の発熱が大きい場合は、電子部品7(および配線基板1)と搭載部4aとの間にペルチェ素子等を搭載して、電子部品7を冷却するようにしてもよい。