JP2005244187A - 歪みシリコンウエハおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 単結晶シリコン基板上に、Ge組成比がステップ状に逓増した積層SiGe層を形成し、この積層SiGe層上に、Ge構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しいSiGe層を形成し、このSiGe層上に、厚さ15nm未満、かつ、貫通転位密度1×103cm-2以下の歪みSi層を形成する。
【選択図】 なし
Description
このため、高速MOSFET、MODFET、HEMT等に好適なウエハとして注目されている。
さらに、貫通転位と残留歪みエネルギーにより、歪みSi層表面に、クロスハッチと呼ばれる凹凸が発生するという問題も生じていることから、従来から、貫通転位密度を低減させるための様々な提案がなされている。
同様に、上記特許文献2、3に記載された半導体基板においても、転位密度の低減化を図るために、SiGe層を緩和させる方法が開示されているにすぎず、歪みSi層の厚さと貫通転位密度低減との関係についてはまったく触れられていない。
さらに、上記特許文献4に記載された半導体基板においても、例示的に歪みSi層の厚さを20nmで形成する旨記載されているが、その厚さが貫通転位密度の低減化に影響を及ぼす点については全く触れられていない。
すなわち、本発明は、SiGe層を有する歪みシリコンウエハにおいて、SiGe層上に形成される歪みSi層における貫通転位密度の一層の低減化を図ることができる歪みシリコンウエハおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記のように、歪みSi層の厚さを15nm未満とすることにより、貫通転移密度を大きく低減させた歪みシリコンウエハを提供することができる。
転位密度の低減化に加え、チャネル層の形成等の観点から、歪みSi層は、上記範囲内の膜厚で形成することが望ましい。
上記のように、歪みSi層の厚さを15nm未満で形成することにより、貫通転移密度を大きく低減させた歪みシリコンウエハを提供することができる。
このように、300rpm以上の高速回転にて、エピタキシャル成長を行うことで貫通転位を低減させることが可能となる。
上記のように、単結晶シリコン基板の表面にヘイズを残存させることで、貫通転移密度をより大きく低減させた歪みシリコンウエハを提供することができる。
このように、本発明に係る歪みシリコンウエハは、貫通転位密度の低い高品質歪みSi層が形成されるため、該歪みSi層をチャネル領域として用いることにより、キャリア移動度の高速化が図られ、半導体素子より一層の微細化、高性能化等に寄与することができ、高速MOSFET、MODFET、HEMT等にも好適に利用することができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、上記の本発明に係る歪みシリコンウエハを容易に得ることができる。
本発明に係る歪みシリコンウエハは、単結晶シリコン基板上に、Ge組成比がステップ状に逓増した積層SiGe層が形成され、前記積層SiGe層上に、Ge構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しい緩和SiGe層が形成され、前記緩和SiGe層上に歪みSi層が形成された歪みシリコンウエハであって、前記歪みSi層の厚さが15nm未満であり、かつ、前記歪みSi層の貫通転位密度が1×103cm-2以下であることを特徴とするものである。
上記のように、歪みSi層厚さを15nm未満とすることにより、第2のSiGe層上に歪みSi層を形成させる際に発生する貫通転位を抑制することができ、従来の歪みシリコンウエハよりも、貫通転位密度を1/10〜1/100程度にまで低減させることができる。
なお、前記積層SiGe層は、Ge組成比がステップ状に逓増した構造であり、傾斜構造も含むものとする。
また、本発明において、SiGe層のGe構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しいとあるのは、全く同じ場合に限られず、ほぼ同等である場合も含む。
前記単結晶シリコン基板の回転数が300rpm未満の場合は、貫通転位が104cm-2レベルまで増加してしまう。一方、回転数が1500rpmを超える場合は、形成する膜厚が安定しない。
上記のように、鏡面であり、かつ、ヘイズが存在する単結晶シリコン基板の表面に、SiGe層を形成させることにより、貫通転位が表面まで伸びずに収束するため、歪みSi層表面での大きな貫通転位低減効果が得られる。
まず、表面が鏡面研磨された単結晶シリコン基板を準備する。この際、前記表面には、ヘイズが存在していることが好ましい。
ここで、ヘイズとは、一般的にいう斜光灯下目視にて、鏡面ウエハの表面にスポットライトを照射したとき、ウエハ表面粗さに起因して表面の色が変わって見える表面状態のことをいう。
なお、ヘイズを定量的に表す場合は、光学式または接触式表面粗さ計等により評価することが可能である。ヘイズが残存する場合の表面粗さは、例えば、AFM(接触式)による測定においては、測定範囲1μm2内のRq(JIS B 0601:2001 旧Rms)で、0.20nm以上0.30nm以下である。
このようにヘイズが存在する場合、すなわち、微小な表面粗さが大きい場合は、60°貫通転位が表面まで伸びずに収束するため、歪みSi層表面の貫通転位低減に大きな効果がある。
本発明におけるSiGe層の成膜方法は、Ge組成比を0とし、Ge組成比が、例えば、20原子%となるまで、Ge濃度の増加を段階的に変化させたステップ状の第1のSiGe層をエピタキシャル成長させ、さらに、第2のSiGe層としてGe組成比が一定の緩和SiGe層をエピタキシャル成長させる。
なお、Ge組成比が20原子%の場合は、歪み量が0.76%であり、10原子%の場合は0.4%、5原子%の場合は0.2%であるが、Ge組成比は、5原子%以上60原子%以下の範囲内で、歪みシリコンウエハの用途に応じて適宜調整される。
前記成長温度が800℃未満の場合は、貫通転位密度が105cm-2オーダーにまで悪化してしまう。このため、SiGe層のエピタキシャル成長は、より高温で行うことが好ましく、これにより、貫通転位密度の低減化を図ることもできる。
前記成長温度が1100℃を超える場合は、SiGe層中に含まれるGe濃度にもよるが、該SiGe層の融点付近となるため、その結晶性を維持することが困難となる。
前記成長温度は900℃以上1100℃以下であることがより好ましい。
また、前記SiGe層形成時における成長速度は、600nm/min以下であることが好ましい。
該歪みSi層の形成は、例えば、ソースガスとしてSiH4を用いて、900℃以下でエピタキシャル成長させることが好ましい。
前記厚さが15nm以上の場合、SiGe層とSiとの格子定数の差に起因して、歪みSi層の部分的な緩和が始まり、転位が生じる。その結果、貫通転位密度が104cm-2オーダーまで増大することとなる。
なお、前記歪みSi層の厚さは、薄すぎると、デバイス素子を形成することが困難となる。デバイスの用途によっても異なるが、通常、チャネル層形成のためには、最低2nm程度の厚さが必要とされる。
したがって、デバイス素子の作製上の観点からは、前記歪みSi層の厚さは、2nm以上15nm未満であることが好ましく、より好ましくは、5nm以上10nm未満である。
[実施例1〜6]
表面が鏡面研磨されており、かつ、表面にヘイズが確認される単結晶シリコン基板の表面に、SiGe層をエピタキシャル成長させた。このとき、積層SiGe層として、Ge組成比を0から20原子%まで、10ステップで変化させた厚さ2μmの階層化層を形成し、続いて、Ge組成比20原子%で一定組成の厚さ1μmの緩和SiGe層を形成した。
前記積層SiGe層、緩和SiGe層のエピタキシャル成長においては、キャリアガスとしてH2を用い、ソースガスとしてSiH4、GeH4を用いた、また、前記積層SiGe層と緩和SiGe層の成長温度は900℃、成長速度は80nm/minとした。
そして、前記緩和SiGe層上に、ソースガスとしてSiH4を用いて、800℃で、表1の実施例1〜6に示すように歪みSi層の厚さを変化させて、それぞれ、歪みSi層をエピタキシャル成長させて、歪みシリコンウエハを作製した。
なお、前述した積層SiGe層、緩和SiGe層および歪みSi層の形成の際には、枚葉エピ装置にて、15Torrの減圧雰囲気下、前記単結晶シリコン基板を円周方向に900rpmで回転させてエピタキシャル成長を行った。
得られた歪みシリコンウエハを、Secco液(HF:K2Cr2O7=2:1)により100nm選択エッチングし、エッチング面を微分干渉顕微鏡により500倍にて観察し、エッチング後のピットをカウントして、貫通転位密度の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
歪みSi層を表1の比較例1,2に示したような厚さとし、それ以外は、実施例1〜6と同様にして、歪みシリコンウエハを作製し、貫通転位密度の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
このような歪みSi層の厚さの増加に伴う貫通転位密度の増加は、SiGeとSiとの格子定数の差に起因して、歪みSi層の部分的な緩和が生じることによるものと考えられる。
表面が鏡面研磨されており、表面のヘイズを修正した単結晶シリコン基板の表面に、実施例1と同様の方法にて、積層SiGe層および緩和SiGe層をエピタキシャル成長させた。
次に、実施例1と同様の条件で、緩和SiGe層上に歪みSi層を厚さ10.0nm形成した。
歪みSi層厚さが同条件である実施例4と比較すると、明らかに貫通転位密度が増加しており、表面のヘイズの残存による貫通転位の低減効果が確認された。
積層SiGe層、緩和SiGe層および歪みSi層の形成時の回転数を表2の実施例7〜9に示した条件にてエピタキシャル成長を行った。このときに形成した歪みSi層厚さは5nmとし、それ以外は、実施例1〜6と同様にして、歪みシリコンウエハを作製し、貫通転位密度の評価を行った。
積層SiGe層、緩和SiGe層および歪みSi層の形成時の回転数を表2の比較例4に示した条件にてエピタキシャル成長させた。このときに形成した歪みSi層厚さは10nmとし、それ以外は、実施例7〜9と同様にして、歪みシリコンウエハを作製し、貫通転位密度の評価を行った。
このように、積層SiGe層、緩和SiGe層および歪みSiGe層を形成する際の、回転数においては、300rpm以上とすることにより、SiGe層内の貫通転位密度を低減することができることが確認された。
Claims (5)
- 単結晶シリコン基板上に、Ge組成比がステップ状に逓増した積層SiGe層が形成され、前記積層SiGe層上に、Ge構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しい緩和SiGe層が形成され、前記緩和SiGe層上に歪みSi層が形成された歪みシリコンウエハであって、前記歪みSi層の厚さが15nm未満であり、かつ、前記歪みSi層の貫通転位密度が1×103cm-2以下であることを特徴とする歪みシリコンウエハ。
- 前記歪みSi層の厚さが、2nm以上15nm未満であることを特徴とする請求項1記載の歪みシリコンウエハ。
- 単結晶シリコン基板上に、800℃以上1100℃以下で、5原子%以上60原子%以下までGe組成比がステップ状に逓増した積層SiGe層を形成する第1工程と、
前記積層SiGe層上に、Ge構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しい緩和SiGe層を形成する第2工程と、
前記緩和SiGe層上に、厚さ15nm未満の歪みSi層を形成する第3工程とを備えていることを特徴とする歪みシリコンウエハの製造方法。 - 単結晶シリコン基板上に、800℃以上1100℃以下で、5原子%以上60原子%以下までGe組成比がステップ状に逓増した積層SiGe層を形成する第1工程と、
前記積層SiGe層上に、Ge構成比が前記積層SiGe層の表面側のGe構成比と等しい緩和SiGe層を形成する第2工程と、
前記緩和SiGe層上に、歪みSi層を形成する第3工程とを備え、
前記第1、第2および第3工程を、減圧雰囲気下で、単結晶シリコン基板を円周方向に300rpm以上1500rpm以下で回転させながら行うことを特徴とする歪みシリコンウエハの製造方法。 - 前記単結晶シリコン基板の表面は、鏡面であり、かつ、ヘイズが存在していることを特徴とする請求項3または請求項4記載の歪みシリコンウエハの製造方法。
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