JP2004342818A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】SiGe層を有する半導体基板の製造方法において、SiGe層の薄層化、かつ、転位密度の低減化を図ることができ、しかも、SiGe層表面が平坦化された半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】濃度20%以上のHClガスを用いて、1000℃以上1200℃以下でパージ処理し、表面粗さRmsを0.18nm以上としたシリコン基板1上に、SiGe層2をエピタキシャル成長させることを特徴とする半導体基板の製造方法を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】濃度20%以上のHClガスを用いて、1000℃以上1200℃以下でパージ処理し、表面粗さRmsを0.18nm以上としたシリコン基板1上に、SiGe層2をエピタキシャル成長させることを特徴とする半導体基板の製造方法を用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板の製造方法、より詳細には、SiGe層を有する半導体基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、シリコン基板上に、SiGe層を介してSiをエピタキシャル成長させた歪Si層をチャネル領域に用いた高速デバイスが提案されている。
この歪Si層は、Siに比べて格子定数が大きいSiGeに引っ張られて歪を生じており、これにより、Siのバンド構造が変化し、縮退が解けて、キャリア移動度が増大する。
よって、この歪Si層をチャネル領域に用いることにより、バルクSiを用いた場合の1.5倍以上のキャリア移動の高速化が可能となる。
【0003】
上記のような歪Si層を、転位が生じることなく得るためには、シリコン基板上に転位密度が低いSiGe層をエピタキシャル成長させる必要がある。
しかしながら、SiとSiGeは格子定数が異なることから、格子不整合により転位が発生し、その影響が歪Si層にまで及び、その結果、デバイス活性層である歪Si層において、転位が生じるという問題があった。
【0004】
これに対しては、従来は、エピタキシャル成長の過程において、SiGe層中のGe濃度を段階的に増加させる組成傾斜層を形成することにより、転位の発生を防止する方法が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この方法でも、トランジスタの動作不良を防止するほどの転位の低減化を図ることは困難であった。
また、Ge濃度を段階的に増加させるため、SiGe層の厚さが約3μmと非常に厚いものとなり、このような厚いSiGe層のエピタキシャル成長には時間を要し、生産効率、コストの面においても劣っていた。
【0006】
上記課題に対しては、さらに、シリコン基板表面にV字状の溝を形成した後、SiGe層をエピタキシャル成長させることにより、SiGe層中の転位密度を低減させるという提案がなされている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−252046号公報
【特許文献2】
特開2002−359189号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のシリコン基板表面に溝を形成する方法は、SiGe層成膜中に発生した転位が、前記溝側面で抜けて消滅するため、SiGe層中の転位密度を低減させることができるというものである。
【0009】
しかしながら、上記方法においては、エピタキシャル成長により形成されるSiGe層も、薄層であるほど、SiC基板表面に形成されたV字状の溝と同様に、溝を有する状態で形成されやすかった。このため、デバイス領域は溝が形成された以外の部分に制限され、パターン設計上も制約され、デバイス形成時に無駄が生じやすいものであった。
【0010】
したがって、基板が溝により分断されることなく、全体を有効に活用することができることが望ましく、すなわち、SiGe層における転位の発生を抑制し、かつ、自由なパターン設計が可能となるように、SiGe層表面全体が平坦に形成されることが求められていた。
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、SiGe層を有する半導体基板の製造方法において、SiGe層の薄層化、かつ、転位密度の低減化を図ることができ、しかも、SiGe層表面が平坦化された半導体基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体基板の製造方法は、濃度20%以上のHClを用いて、1000℃以上1200℃以下でパージ処理したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする。
これにより、格子不整合により発生する転位を、HClガスパージにより形成した表面粗さによって、捕捉または終端させることができ、SiGe層の薄層化およびSiGe層表面における転位密度の低減化を図ることができる。
【0013】
前記HClガスパージ処理を施したシリコン基板の表面粗さRmsは、0.18nm以上であることが好ましい。
シリコン基板の表面粗さが上記範囲である場合、特に、シリコン基板表面に形成された凹凸形状によりる前記転位収束の効果が高く、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制効果が顕著となるため好ましい。
【0014】
また、本発明に係る半導体基板の製造方法は、前記SiGe層上に、さらに、Si層を形成することを特徴とする。
このようにして形成された半導体基板におけるSi層は、転位密度の低い歪Si層として得ることができ、キャリア移動度の高速化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る半導体基板の製造方法は、シリコン基板表面に、濃度20%以上のHClガスをパージして処理を施した後、該シリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させるものである。
上記製造方法によれば、SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位を、HClガスパージにより形成した表面粗さによって、捕捉または終端させることができ、SiGe層表面にまで及ぶような貫通転位の密度の低減化を図ることができる。
したがって、SiGe層上に、さらに、歪Si層を形成させる場合においても、貫通転位を抑制するために、従来は、組成傾斜層等によりμmオーダーの厚さを要していたSiGe層を、nmオーダーにまで薄層化させることができる。
【0016】
本発明に係る製造方法においては、濃度20%以上のHClガスを用いて、シリコン基板表面をパージ処理する。
基板上へのエピタキシャル成長処理前には、HClガスパージ処理が施される場合がある。このHClガスパージ処理は、基板表面の自然酸化膜除去および清浄化を目的としていることから、通常、この際のHClの濃度は10%未満で行われる。
一方、本発明においては、シリコン基板表面に凹凸を形成することを目的としているため、通常のパージ処理に用いられるHCl濃度よりも高い20%以上の濃度のHClガスが用いられる。これにより、シリコン基板表面に所定の表面粗さが付与されるだけでなく、上記のような通常のHClガスパージの場合と同様に、シリコン基板表面の自然酸化膜除去および清浄化を図ることもできる。
【0017】
前記HClガスのパージ処理は、1000℃以上1200℃以下で行われることが好ましい。
SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位がシリコン基板表面近傍において捕捉または終端されるために適当な表面粗さを、シリコン基板表面に付与するためには、上記温度範囲内であることが好ましい。
なお、前記HClガスによるパージ時間は、通常、数分間〜数十分間程度であるが、これは、シリコン基板表面の所望の表面粗さに応じて、適宜調整される。
【0018】
図1に、HClガスパージ処理後のシリコン基板表面にSiGe層をエピタキシャル成長させた場合の転位収束の様子を模式的に示す。
図1に示すように、シリコン基板表面には、濃度20%以上のHClガスを用いたパージ処理により、凹凸が形成される。
SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位は、シリコン基板表面近傍で発生し、SiGe層の表面にまで到達する。図1の左側に示すように、シリコン基板の表面粗さが小さい場合には、シリコン基板表面に形成された凹凸によって、前記転位を捕捉または終端させることは困難である。
一方、図1の右側に示すように、シリコン基板の表面粗さが大きくなり、所定の粗さ以上になると、シリコン基板表面に形成された凹凸形状により、前記転位を収束させることが可能となり、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制することができる。
このように、本発明に係る製造方法によれば、シリコン基板とSiGe層との界面に転位が収束することから、SiGe層の薄膜化およびSiGe組成の多様化を図ることができる。
【0019】
具体的には、前記シリコン基板の表面粗さRmsは0.18nm以上であることが好ましい。
前記表面粗さRmsが0.18nm以上である場合、特に、前記転位収束の効果が高く、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制する効果が顕著となるため好ましい。
なお、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsが0.18nm以上である場合にも、該シリコン基板上にエピタキシャル成長されるSiGe層およびSi層の表面粗さに影響を及ぼすことはない(実施例参照)。
すなわち、シリコン基板上にSiGe層およびSi層をエピタキシャル成長させた後のSi層(歪Si層)は、通常においても、表面粗さRmsが0.5nm程度とシリコン基板表面よりも粗い表面を有していることから、本発明においてHClガスパージにより形成された表面粗さが、SiGe層表面、さらに、歪Si層表面に反映されることはない。
【0020】
上記のようにして形成されたSiGe層上には、Si層を積層させることにより、転位密度の低い歪Si層を形成することができる。
上述したように、転位密度の低い歪Si層を形成した基板においては、該歪Si層は、キャリア移動の高速化が図られ、高速デバイスを形成する上で好適な基板として用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
濃度20%のHClガスを用いて、1100℃で5分間パージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で評価した。
前記シリコン基板上に、SiGe層(Si:70%、Ge:30%;厚さ200nm)をエピタキシャル成長させて、さらに、歪Si層(厚さ20nm)をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のエッチピット密度(EPD:Etch Pit Density)を微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図1にグラフにして示す。
【0022】
[実施例2および3]
HClガス濃度を25%(実施例2)および35%(実施例3)として、それ以外については、実施例1と同様にしてHClガスパージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsをAFMで評価した。
前記シリコン基板上に、実施例1と同様にして、SiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図2にグラフにして示す。
【0023】
[比較例1〜3]
HClガス濃度を5%(比較例1)、10%(比較例2)、15%(比較例3)として、それ以外については、実施例1と同様にしてHClガスパージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsをAFMで評価した。
前記シリコン基板上に、実施例1と同様にして、SiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図1にグラフにして示す。
【0024】
図1のグラフにおいて、横軸はHClガス濃度(%)、縦軸は表面粗さRms(nm)およびEPD(/cm2)を示している。
図1のグラフからも分かるように、HClガスの濃度の増加に伴って、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsは増加しているが、該シリコン基板上にSiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた後の歪Si層の表面Rmsには、前記シリコン基板の表面粗さRmsの影響は認められなかった。
また、HClガスの濃度は、20%以上の場合、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsは0.18nm以上であり、前記歪Si層表面におけるEPDが顕著に減少する、すなわち、歪Si層の転位が抑制されることが認められた。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る製造方法によれば、SiGe層の薄層化、かつ、転位密度の低減化を図ることができ、しかも、SiGe層表面が平坦化された半導体基板が得られる。これにより、SiGe層を有する半導体基板の生産コストの削減、生産効率の向上を図ることも可能となる。
また、本発明に係る製造方法により得られたSi層を有する半導体基板を用いれば、転位密度の低い高品質の歪Si層が形成されているため、これをチャネル領域として用いることにより、キャリア移動度の高速化が図られることとなり、半導体素子のより一層の微細化、高性能化等に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン基板の表面粗さによる転位収束の様子を模式的に示した断面図である。
【図2】実施例および比較例におけるHClガス濃度の変化による表面粗さおよびEPDの評価結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 SiGe層
3 転位
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板の製造方法、より詳細には、SiGe層を有する半導体基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、シリコン基板上に、SiGe層を介してSiをエピタキシャル成長させた歪Si層をチャネル領域に用いた高速デバイスが提案されている。
この歪Si層は、Siに比べて格子定数が大きいSiGeに引っ張られて歪を生じており、これにより、Siのバンド構造が変化し、縮退が解けて、キャリア移動度が増大する。
よって、この歪Si層をチャネル領域に用いることにより、バルクSiを用いた場合の1.5倍以上のキャリア移動の高速化が可能となる。
【0003】
上記のような歪Si層を、転位が生じることなく得るためには、シリコン基板上に転位密度が低いSiGe層をエピタキシャル成長させる必要がある。
しかしながら、SiとSiGeは格子定数が異なることから、格子不整合により転位が発生し、その影響が歪Si層にまで及び、その結果、デバイス活性層である歪Si層において、転位が生じるという問題があった。
【0004】
これに対しては、従来は、エピタキシャル成長の過程において、SiGe層中のGe濃度を段階的に増加させる組成傾斜層を形成することにより、転位の発生を防止する方法が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この方法でも、トランジスタの動作不良を防止するほどの転位の低減化を図ることは困難であった。
また、Ge濃度を段階的に増加させるため、SiGe層の厚さが約3μmと非常に厚いものとなり、このような厚いSiGe層のエピタキシャル成長には時間を要し、生産効率、コストの面においても劣っていた。
【0006】
上記課題に対しては、さらに、シリコン基板表面にV字状の溝を形成した後、SiGe層をエピタキシャル成長させることにより、SiGe層中の転位密度を低減させるという提案がなされている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−252046号公報
【特許文献2】
特開2002−359189号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のシリコン基板表面に溝を形成する方法は、SiGe層成膜中に発生した転位が、前記溝側面で抜けて消滅するため、SiGe層中の転位密度を低減させることができるというものである。
【0009】
しかしながら、上記方法においては、エピタキシャル成長により形成されるSiGe層も、薄層であるほど、SiC基板表面に形成されたV字状の溝と同様に、溝を有する状態で形成されやすかった。このため、デバイス領域は溝が形成された以外の部分に制限され、パターン設計上も制約され、デバイス形成時に無駄が生じやすいものであった。
【0010】
したがって、基板が溝により分断されることなく、全体を有効に活用することができることが望ましく、すなわち、SiGe層における転位の発生を抑制し、かつ、自由なパターン設計が可能となるように、SiGe層表面全体が平坦に形成されることが求められていた。
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、SiGe層を有する半導体基板の製造方法において、SiGe層の薄層化、かつ、転位密度の低減化を図ることができ、しかも、SiGe層表面が平坦化された半導体基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体基板の製造方法は、濃度20%以上のHClを用いて、1000℃以上1200℃以下でパージ処理したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする。
これにより、格子不整合により発生する転位を、HClガスパージにより形成した表面粗さによって、捕捉または終端させることができ、SiGe層の薄層化およびSiGe層表面における転位密度の低減化を図ることができる。
【0013】
前記HClガスパージ処理を施したシリコン基板の表面粗さRmsは、0.18nm以上であることが好ましい。
シリコン基板の表面粗さが上記範囲である場合、特に、シリコン基板表面に形成された凹凸形状によりる前記転位収束の効果が高く、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制効果が顕著となるため好ましい。
【0014】
また、本発明に係る半導体基板の製造方法は、前記SiGe層上に、さらに、Si層を形成することを特徴とする。
このようにして形成された半導体基板におけるSi層は、転位密度の低い歪Si層として得ることができ、キャリア移動度の高速化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る半導体基板の製造方法は、シリコン基板表面に、濃度20%以上のHClガスをパージして処理を施した後、該シリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させるものである。
上記製造方法によれば、SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位を、HClガスパージにより形成した表面粗さによって、捕捉または終端させることができ、SiGe層表面にまで及ぶような貫通転位の密度の低減化を図ることができる。
したがって、SiGe層上に、さらに、歪Si層を形成させる場合においても、貫通転位を抑制するために、従来は、組成傾斜層等によりμmオーダーの厚さを要していたSiGe層を、nmオーダーにまで薄層化させることができる。
【0016】
本発明に係る製造方法においては、濃度20%以上のHClガスを用いて、シリコン基板表面をパージ処理する。
基板上へのエピタキシャル成長処理前には、HClガスパージ処理が施される場合がある。このHClガスパージ処理は、基板表面の自然酸化膜除去および清浄化を目的としていることから、通常、この際のHClの濃度は10%未満で行われる。
一方、本発明においては、シリコン基板表面に凹凸を形成することを目的としているため、通常のパージ処理に用いられるHCl濃度よりも高い20%以上の濃度のHClガスが用いられる。これにより、シリコン基板表面に所定の表面粗さが付与されるだけでなく、上記のような通常のHClガスパージの場合と同様に、シリコン基板表面の自然酸化膜除去および清浄化を図ることもできる。
【0017】
前記HClガスのパージ処理は、1000℃以上1200℃以下で行われることが好ましい。
SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位がシリコン基板表面近傍において捕捉または終端されるために適当な表面粗さを、シリコン基板表面に付与するためには、上記温度範囲内であることが好ましい。
なお、前記HClガスによるパージ時間は、通常、数分間〜数十分間程度であるが、これは、シリコン基板表面の所望の表面粗さに応じて、適宜調整される。
【0018】
図1に、HClガスパージ処理後のシリコン基板表面にSiGe層をエピタキシャル成長させた場合の転位収束の様子を模式的に示す。
図1に示すように、シリコン基板表面には、濃度20%以上のHClガスを用いたパージ処理により、凹凸が形成される。
SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位は、シリコン基板表面近傍で発生し、SiGe層の表面にまで到達する。図1の左側に示すように、シリコン基板の表面粗さが小さい場合には、シリコン基板表面に形成された凹凸によって、前記転位を捕捉または終端させることは困難である。
一方、図1の右側に示すように、シリコン基板の表面粗さが大きくなり、所定の粗さ以上になると、シリコン基板表面に形成された凹凸形状により、前記転位を収束させることが可能となり、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制することができる。
このように、本発明に係る製造方法によれば、シリコン基板とSiGe層との界面に転位が収束することから、SiGe層の薄膜化およびSiGe組成の多様化を図ることができる。
【0019】
具体的には、前記シリコン基板の表面粗さRmsは0.18nm以上であることが好ましい。
前記表面粗さRmsが0.18nm以上である場合、特に、前記転位収束の効果が高く、SiGe層の表面にまで貫通する転位を抑制する効果が顕著となるため好ましい。
なお、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsが0.18nm以上である場合にも、該シリコン基板上にエピタキシャル成長されるSiGe層およびSi層の表面粗さに影響を及ぼすことはない(実施例参照)。
すなわち、シリコン基板上にSiGe層およびSi層をエピタキシャル成長させた後のSi層(歪Si層)は、通常においても、表面粗さRmsが0.5nm程度とシリコン基板表面よりも粗い表面を有していることから、本発明においてHClガスパージにより形成された表面粗さが、SiGe層表面、さらに、歪Si層表面に反映されることはない。
【0020】
上記のようにして形成されたSiGe層上には、Si層を積層させることにより、転位密度の低い歪Si層を形成することができる。
上述したように、転位密度の低い歪Si層を形成した基板においては、該歪Si層は、キャリア移動の高速化が図られ、高速デバイスを形成する上で好適な基板として用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
濃度20%のHClガスを用いて、1100℃で5分間パージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で評価した。
前記シリコン基板上に、SiGe層(Si:70%、Ge:30%;厚さ200nm)をエピタキシャル成長させて、さらに、歪Si層(厚さ20nm)をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のエッチピット密度(EPD:Etch Pit Density)を微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図1にグラフにして示す。
【0022】
[実施例2および3]
HClガス濃度を25%(実施例2)および35%(実施例3)として、それ以外については、実施例1と同様にしてHClガスパージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsをAFMで評価した。
前記シリコン基板上に、実施例1と同様にして、SiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図2にグラフにして示す。
【0023】
[比較例1〜3]
HClガス濃度を5%(比較例1)、10%(比較例2)、15%(比較例3)として、それ以外については、実施例1と同様にしてHClガスパージ処理したシリコン基板表面の表面粗さRmsをAFMで評価した。
前記シリコン基板上に、実施例1と同様にして、SiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた。
前記歪Si層についても、表面粗さRmsをAFMで評価した。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを微分干渉型顕微鏡により評価した。
これらの評価結果を図1にグラフにして示す。
【0024】
図1のグラフにおいて、横軸はHClガス濃度(%)、縦軸は表面粗さRms(nm)およびEPD(/cm2)を示している。
図1のグラフからも分かるように、HClガスの濃度の増加に伴って、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsは増加しているが、該シリコン基板上にSiGe層および歪Si層をエピタキシャル成長させた後の歪Si層の表面Rmsには、前記シリコン基板の表面粗さRmsの影響は認められなかった。
また、HClガスの濃度は、20%以上の場合、HClガスパージ後のシリコン基板の表面粗さRmsは0.18nm以上であり、前記歪Si層表面におけるEPDが顕著に減少する、すなわち、歪Si層の転位が抑制されることが認められた。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る製造方法によれば、SiGe層の薄層化、かつ、転位密度の低減化を図ることができ、しかも、SiGe層表面が平坦化された半導体基板が得られる。これにより、SiGe層を有する半導体基板の生産コストの削減、生産効率の向上を図ることも可能となる。
また、本発明に係る製造方法により得られたSi層を有する半導体基板を用いれば、転位密度の低い高品質の歪Si層が形成されているため、これをチャネル領域として用いることにより、キャリア移動度の高速化が図られることとなり、半導体素子のより一層の微細化、高性能化等に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン基板の表面粗さによる転位収束の様子を模式的に示した断面図である。
【図2】実施例および比較例におけるHClガス濃度の変化による表面粗さおよびEPDの評価結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 SiGe層
3 転位
Claims (3)
- 濃度20%以上のHClガスを用いて、1000℃以上1200℃以下でパージ処理したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする半導体基板の製造方法。
- 前記HClガスパージ処理を施したシリコン基板の表面粗さRmsが0.18nm以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の製造方法。
- 前記SiGe層上に、さらに、Si層を形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003137158A JP2004342818A (ja) | 2003-05-15 | 2003-05-15 | 半導体基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003137158A JP2004342818A (ja) | 2003-05-15 | 2003-05-15 | 半導体基板の製造方法 |
Publications (1)
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JP2010045362A (ja) * | 2004-06-11 | 2010-02-25 | Soi Tec Silicon On Insulator Technologies | ウェーハおよびウェーハの製造方法 |
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- 2003-05-15 JP JP2003137158A patent/JP2004342818A/ja active Pending
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