[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

連載

デジタルを捨てよ 町へ出よう!

引き出しの奥に眠るフィルムカメラを手に街を歩けば、昔懐かしい新たな発見があるかもしれない。さあ、いざ行かん!

連載一覧

デジタルを捨てよ 町へ出よう!

遊び心くすぐる”精密機械” Agfa SYNCHRO BOXと夜回り

明治神宮野球場に明かりがともる=2023年10月4日、中村琢磨撮影
明治神宮野球場に明かりがともる=2023年10月4日、中村琢磨撮影

 「職場の引っ越しで処分するから……」と渡された物体、何じゃこりゃ――。いや思い出しました。小学生の頃、同級生が似たような物を持っていました。確かに、何かは写っていましたが、多重露光やフィルム送りで失敗ばかりだったような。金の無駄? いや、突然、“背中のヤリガイ”が成長してきました。私はこの物体に、「リクルート」されたわけですね。(意味不明だと思う方は、「ヤリガイ」&「リクルート」で検索してね!)【中村琢磨】

 あれこれ触ってあぜんとしました。ピントが“無限に固定”なのはともかく、シャッターが日中用と、長時間露光用でシャッターが開きっ放しになるB(バルブ)の2種類だけ。日中用は勝手に50分の1秒ぐらいだと仮定したけど、実際はもう少し遅いかも。

夜のいちょう並木。年下の上司が光跡を演出しました=2023年9月29日、中村琢磨撮影
夜のいちょう並木。年下の上司が光跡を演出しました=2023年9月29日、中村琢磨撮影

 今度は、絞りを見てぼうぜん。「晴天用」「曇天用」「モノクロ専用黄色フィルター」の3種類。たぶん「晴天用」はf16-22、「曇天用」はf11、「モノクロ専用黄色フィルター」の絞りは曇天用と同じでしょうかね。

 「露出」の組み合わせはわずか6種類。あとは現像時間で感度を調整するか、レンズにフィルターをあてて合わせるのか……。何とも頭を使わせてくれる玩具、否、写真機です。

 あっそうか! バルブがあれば、大体8分の1秒でも、大体2分の1秒でも、約30秒でも撮れるじゃないか! 夜景なら簡単に撮れそうだ。絞りは「晴天用」にした方が、被写界深度が深くなってきれいだろう。レンズの焦点距離は、100ミリぐらいかな? 条件さえ整えれば、フィルムサイズが大きい分、画像は意外に滑らかそう。頭をフル回転させながら明治神宮外苑周辺に繰り出しました。

いちょう並木の脇にたたずむカフェ、雨が路面を滑らかにする=2023年10月4日、中村琢磨撮影
いちょう並木の脇にたたずむカフェ、雨が路面を滑らかにする=2023年10月4日、中村琢磨撮影

 終わってからインターネットで調べてみたら、「絞りはf22とf12、シャッタースピード40分の1秒、焦点距離90ミリ」と解説したサイトを見つけました。どうやら、この値がほぼ正解みたいです。

 でも、まあ、問題ないでしょう。ちゃんと写っているじゃあ~りませんか! このアバウトさこそが、クラシックカメラの魅力です。

撮影機材

 Agfa SYNCHRO BOX(アグファ シンクロ ボックス)

Agfa SYNCHRO BOXは1950年代にドイツで作られた。ブローニーフィルム使用の6×9判(8枚撮り)、フィルム送りは裏窓から見える数字に合わせて手巻き=中村琢磨撮影
Agfa SYNCHRO BOXは1950年代にドイツで作られた。ブローニーフィルム使用の6×9判(8枚撮り)、フィルム送りは裏窓から見える数字に合わせて手巻き=中村琢磨撮影

 1950年代、ドイツで作られたブローニーフィルム使用の6×9判(8枚撮り)。フィルム送りは裏窓から見える数字に合わせて手巻きです。縦、横撮影用に二つのファインダーがあります。目玉がいっぱい並ぶ姿が少し滑稽(こっけい)ですね。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月