研究評価における定量的指標の使用に関するDORAの手引きの意義 新潟大学教育研究院人文社会科学系・白川展之(しらかわのぶゆき) ●はじめに 2024年5月6日、研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA;CA2005、E2561参照)が、研究評価における定量的指標の責任ある使用に関する新たな手引きを公開した。手引きは、「責任ある研究評価」(RRA)など、近年の研究評価改革の流れを踏まえた、定量的指標の使用における5つの基本原則と各指標の限界について解説している。本稿では、その概要と推奨されているメタ評価ツールについて紹介し、研究評価における実践的な意義について述べる。 ●策定の背景 DORAは2012年の提言以来、ジャーナル・インパクトファクター(JIF;E2632参照)に偏重した評価への問題提起を行い、「研究計量に関するライデン声明」とも並び研究評価改革に貢献してきた。しかし近年、J
2024年10月30日、英・ランカスター大学図書館が、オープンアクセス(OA)書籍の出版のための新ガイドを公開したと発表しました。 ガイドには以下のトピックが含まれます。 ・ OA書籍についての説明(なぜOA書籍を出版するのか?) ・ 著作をOAにする方法 ・ OA書籍の出版社の選び方 ・ ライセンス、著作権、第三者による著作物の著作権についての説明と留意点 ・ OA教科書とオープン教育資源(OER)についての説明とその出版方法 ・ OA書籍の出版経験者へのインタビュー ・ ランカスター大学のスタッフと学生のための支援の紹介 ・ リソースの紹介 ガイドは、ランカスター大学図書館のウェブサイト上で公開されており、誰でも登録不要でアクセスすることができます。 New Guide on Open Access Books now Available from Lancaster Universi
2024年11月25日、インドの教育省(Ministry of Education)が、“One Nation One Subscription”計画の実施について、内閣で正式に承認されたと発表しました。 同計画は、中央政府や州政府の管理下にある全ての高等教育機関及び中央政府の研究開発機関の学生、教職員、研究者に、共通のプラットフォーム“One Nation One Subscription”を通じて、国際的に影響力のある学術論文へのアクセスを提供するものです。 同国の6,300を超える機関に属する約1,800万人が、30の学術出版社が刊行する約1万3,000タイトルの電子ジャーナルにアクセスできるようになる見込みとしています。 Cabinet approves One Nation One Subscription (ONOS)(Press Information Bureau Gove
2024年10月30日、ドイツ連邦政府文化メディア受託官(Die Beauftragte der Bundesregierung für Kultur und Medien)は、図書館、出版社、著作者等によるラウンドテーブルが公共図書館での電子書籍貸出しの枠組みに関する共同文書を公表したと報じました。 ラウンドテーブルは同受託官が2022年に設置したものです。共同文書では、図書館における電子媒体資料へのアクセスを改善するよう勧告すること、著作者や出版者等への適切な補償の意義を認めることなど、合意に達した10項目が挙げられています。 Runder Tisch einigt sich auf Empfehlungen zum E-Lending in öffentlichen Bibliotheken – Kulturstaatsministerin Roth: „Wichtiger Schr
米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が刊行する“College & Research Libraries News”の2024年6月号に、“2024 Top trends in academic libraries: A review of the trends and issues”と題する記事が掲載されています。 同記事は、ACRLの研究計画審査委員会(Research Planning and Review Committee)により作成されたもので、大学・研究図書館における過去2年分のトレンドがまとめられています。 「AIとAIリテラシー」、「オープン教育と指導法」、「オープンサイエンスと再現性」、「オープンアクセス(OA)と公平な出版」を含む10のトレンドが取り上げられています。 ACRL Research Planning and Review Committee.2024
米国の大学・研究図書館協会(ACRL)刊行のオープンアクセス誌“College & Research Libraries”(C&RL)の85巻7号に、米国の大学図書館におけるVR(仮想現実)及びAR(拡張現実)の活用状況に関する調査報告“Embracing the Metaverse: A Survey of Virtual Reality and Augmented Reality Practices at the United States’ Top One Hundred University Libraries”が掲載されています。 米国のトップ100大学の図書館におけるVR及びARの活用状況や、図書館がメタバースとどのように関わっているかについて調査したとしています。その結果、86%がVR及びARの技術をウェブサイトに実装していることが明らかとなり、実践例としてVR/ARスタジオ
帝国議会会議録検索システム、全期間本文テキストデータ公開 調査及び立法考査局議会官庁資料課、 電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室 2024年8月23日、国立国会図書館(NDL)は、帝国議会の速記録の画像を閲覧できる「帝国議会会議録検索システム」において、戦前・戦中期分(1890(明治23)年11月~1945(昭和20)年8月)の画像(約27万ページ)からOCR処理により作成した本文テキストデータを公開した。これにより、既に提供していた戦後期分(1945(昭和20)年9月~1947(昭和22)年3月)と合わせて、帝国議会の全期間にわたり速記録に掲載された質疑や議案本文などの全文検索とテキスト表示が可能になった。本稿では、今回のOCRテキスト化に関する取組を紹介する。 ●本文テキストデータの作成方法 帝国議会会議録検索システムは、2005年7月のサービス開始当初から戦後期分の本文
2024年9月18日、開発途上国において図書館を通じた情報へのアクセス向上に取り組む非営利団体EIFLが、ジャーナルの選び方に関する研究者・図書館員向けのガイドをウェブサイト上で公開しました。 発表によると、同ガイドは研究者・図書館員向けにジャーナルの基本的な要素に関するチェックリストを提供するものです。研究者が自身の研究に最も適したジャーナルを選択したり、図書館員が研究者のジャーナル選びを支援するのに活用できるとあります。 New! EIFL guide: Choosing a journal for your research(EIFL, 2024/9/18) https://www.eifl.net/news/new-eifl-guide-choosing-journal-your-research-0 Choosing a journal for your research: Ch
CA2069 – 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望― / 下山佳那子 PDFファイル カレントアウェアネス No.361 2024年9月20日 CA2070 動向レビュー ラーニングコモンズの評価方法を考える 関西大学教育推進部:岩﨑千晶(いわさきちあき) 1. ラーニングコモンズの評価方法を考える際の前提 評価をする際は、その評価が誰の、何のためのものであるのかを考える必要がある。ラーニングコモンズ(LC)の場合は、学習者の協働的で、自律的な学びを支える目的で設置されることが多い。そのため本稿では、LCの評価の方法は「学習者の学びをより深める、より学べるようにする」という、学習者の学習活動の改善につながるという立場で評価方法を考える。形式的に決まった項目を確認するだけにとどまり「評価を行っているが、学習の改善につながらない」という評価
CA2069 – 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望― / 下山佳那子 新しい「国立国会図書館サーチ」への統合に至る道のり 電子情報部電子情報サービス課:川島隆徳(かわしまたかのり) 2024年1月5日、国立国会図書館は統合的な検索サービスである「国立国会図書館サーチ」(1)(NDLサーチ)を公開した。本稿では、主にシステム面に着目し、開発の背景と実装について述べたい。 1. NDLサーチの概要 NDLサーチは、当館の蔵書目録「国立国会図書館オンライン」(NDLオンライン;CA1940参照)と全国の図書館の総合目録機能を持つ「国立国会図書館サーチ」(旧NDLサーチ;CA1762参照)、さらに調べ方を案内するリサーチ・ナビを統合した検索サービスである。これにより、当館資料の蔵書検索、全国の図書館等資料の横断検索、当館提供書誌のダウンロードや
2024年9月10日、オープンリサーチの出版社・サービスプロバイダーであるF1000は、京都大学が“F1000 Japan Institutional Gateway”と提携したと発表しました。 これにより、同学の研究者は、英語又は日本語の論文を、オープンリサーチ出版サービス“Japan Institutional Gateway”(JIG)に投稿・出版することができるようになるとあります。 JIGは、筑波大学の「筑波大学ゲートウェイ」が2022年にリニューアルされたものです。筑波大学と京都大学以外の大学では、名古屋工業大学、埼玉大学、東海大学、筑波技術大学、福井大学、富山大学、宇都宮大学が参加しています。 Kyoto University joins F1000’s Japan Institutional Gateway(F1000, 2024/9/10) https://www.f10
2024年8月13日、図書館による出版活動を進める大学図書館のイニシアティブ“Library Publishing Coalition”(LPC)によるブログで、図書館出版の今後10年の展望(A 10-Year Vision for Library Publishing (LPForum24 Closing Plenary Reflection))が公開されました。 この展望は、5月15日と16日に米・ミネソタ大学で開催された2024 Library Publishing Forumの閉会式における参加者らによる議論をまとめたものです。今後10年の展望として、「図書館出版が指導的立場になるよう支援されること」「図書館出版が出版分野の先導者となり学術の進展を支えること」「図書館出版に十分なスタッフの配置と十分な資金の提供がなされ、今後も継続的な支援を受けることができること」などを挙げ、それぞ
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