「ややアメリカ的な問い」という副題がついている。2010年6月8日にオスナブリュック大学で行なわれた講演の記録。 グンブレヒト氏は2007年に慶應大学で「大学の人文学に未来はあるか?」という講演をしており、記録が公開されている(PDF)。現代ドイツという文脈を離れた人文学の趨勢については、二つの講演は重なる部分が多い。 グンブレヒト氏が大学に籍を置いてからというもの、ドイツの大学が改革に明け暮れぬときはなかった。トロツキーの永久革命の 夢がまるで実現したかのように。この改革の果てに、大学の精神科学はなお生き延びうるだろうか、という問いをグンブレヒト氏は立てる。そして9つの点からそ れを検討してゆく。 最初の三つは歴史的な検証である。まず第一に、19世紀初め、国民文化の過去を知るために中世のテクストを読む過程で、ド イツにのみ文献学的な読解の技術が生じた。グリム兄弟やロマン派のこの伝統から、