「国立国会図書館デジタルコレクション」で「個人向けデジタル化資料送信サービス」の手続きをすることで、大半のGHQ焚書が読めるようになる。今回は昭和十六年に刊行された桑原三郎 著『アジア侵掠秘史』という本を紹介したい。この本は、過去五百年近くアジアは欧米列強によって侵略され、悲惨な植民地とされてきた歴史が克明に綴られているのだが、戦後このような内容の本が当時の史料とともに詳しく記された本が出版されることはなかったと断言できる。第一章の一部を紹介したい。 欧米列強によるアジア侵略 欧米列強の壟断になる欺瞞の近代世界史は、ここに白日の下に暴露されるときが訪れたのである。なかんずくその中核をなすところの、欧米列強のアジア侵略史をわれらアジア人の手に持つ明鏡——中正なる史実——によって、ついに最後の審判を下すべき光代を迎えたのだ。 顧みれば近代の世界史は概ね欧米の世界史にほかならなかった。滔々たる世