元巨人、DeNAの宮国椋丞氏(32)が、宅地建物取引士(宅建士)の試験を1発合格した。
昨オフにDeNAから戦力外通告を受け、現役を引退。野球界を離れ、現在は主に不動産業に従事しながら、猛勉強で突破した。
26日、宮国氏から合格の連絡を受けた直後、ちょうど4年前の冬に2人で交わした言葉が鮮明によみがえった。
「意志あるところに道は開ける」
巨人から戦力外通告を受け、現役続行を表明。クリスマスを間近に控えた12月中旬、東京・渋谷の公園で1人黙々とシャドーピッチングをしながら、胸に誓った言葉だった。
宅建士の試験を受けることを聞いた春ごろ、宮国氏が繰り返したのは周囲への恩返しだった。内海、菅野ら数々の先輩からサポートを受けた現役時代。心残りは「先輩方に野球で恩返しができなかった」ことだった。
昨季限りで現役を引退し、第2の人生を模索する中で「自分に何ができるかを考えた時に、野球以外のことを学んで、いろんなサポートができればいいなと思ったんです」と不動産業への転身を決断した。
4月から勉強を開始。1日約2~3時間机に向かって、試験直前は10時間以上の猛勉強の末に、合格率13%~18%とも言われる難関試験を1発で乗り越えた。自らの努力のたまものだが、繰り返したのは、宅建講師の小沢梨恵氏への感謝の思いだった。
「難しい言葉もあるんですけど、頭に入ってきやすくというか、わかりやすい言葉に変換して、教えてくださった。先生の生徒は今回、合格率が8割を超えたんですよ。僕が1回目で合格できたのも本当に先生のおかげです」
宮国氏の言葉を聞き、現役時代の登板後のコメントを思い出した。好投した試合後、記者の取材に「キャッチャーの方がうまくリードしてくれましたし、野手の方がしっかり守ってくれたおかげです」と照れくさそうにしながら、いつもチームメートを立てた。
記事が配信された直後、記者にも宮国氏を知る球界関係者から多くの連絡が届いた。「すごいね」「素晴らしいね」「オレも頑張ろう」「力をもらったよ」…。先輩、後輩にかかわらず、多くの人の心を刺激し、明日への活力を与えた。【久保賢吾】