青学大(東都大学)が創価大(関東5連盟)に競り勝ち、春秋リーグ戦、6月の全日本大学野球選手権と合わせて史上5校目の大学4冠を達成した。
福岡大戦で左肩を痛め、準決勝から出場を見合わせた広島1位の主将・佐々木泰内野手(4年=県岐阜商)は9回、代打で西川が打席に向かう姿を見て涙した。「1人でも4年生が出場できたこと。ケガで苦しんでいた史礁が打席に立てたことがうれしくて」。2年冬から練習のパートナーを組みバットを振ってきた。三振も2度のフルスイングに大きな拍手をおくった。
昨秋、阪神下村、広島常広を擁し4冠に王手をかけながらも、決勝で慶大に破れ準優勝。「このチームでも勝てないのか」と号泣してから1年。悔し涙は喜びの涙に変わった。
昨晩、スタメンが発表されると、主将として「頑張ってくれ」と、後輩たちに頭を下げた。その思いを受けた後輩たちは頼もしかった。1死満塁から中田達也外野手(3年=星稜)が大会史上6人目となる右越え満塁本塁打で先制し流れを引き寄せると、先発の中西聖輝投手(3年=智弁和歌山)が8回を5安打2失点と試合を作り勝利につなげた。
主将としてチームを変えた。春はチーム打率1割9分4厘でリーグ最下位。「春は投手に助けられた。秋は野手で勝とう」。夏は全体練習の打撃練習を1班10分から30分に増やした。「無死、1死で得点圏を作る。3者凡退をしない。この2つもテーマに掲げました」。打ち勝つ野球を主としていたが、バントの重要性を見直し安藤寧則監督(47)に提案もした。「打てなくても嫌な野球をしたかった」。その粘り強さと徹底力で、秋のチーム打率は2割6分1厘でリーグ2位。強力打線に頼らない隙のない野球を作り上げた。
真の強さを求め悲願の4冠に導いた。「最後の試合に出られずに終わったことが悔しい。ここで満足するなっていう試練。この悔しさを糧に早く活躍できるように頑張ります」。佐々木には次の大舞台が待っている。【保坂淑子】