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手札誘発(遊戯王OCG)

登録日:2023/05/27 Sat 23:10:22
更新日:2024/12/15 Sun 19:58:22
所要時間:約 25 分で読めます




手札誘発とは、遊戯王OCGにおける非公式用語である。


概要

非公式といっても、昨今の遊戯王界隈では当たり前に使用されている単語になる。

広義の意味では「手札から発動できる誘発効果/誘発即時効果」のこと、及びその効果を持つカードを指す。
簡単に言うと、条件を満たした時か、もしくは自由なタイミングで手札から効果発動できるカードということ。


ただし昨今の遊戯王であえて「手札誘発」という単語を用いる場合、ここにもう1つ意味が暗黙的に加わる。
それは「相手を妨害する効果を持っている」こと。
そっちの意味合いが強すぎて《無限泡影》のような手札から発動可能な罠カードまで手札誘発と呼ぶ人もいるくらいである。
後で取り上げる《エフェクト・ヴェーラー》が代表的だが、効果の無効化やカードの除去、
攻守値の変化などで相手の計算を狂わせデュエルの主導権を奪う用途と目的が存在する。


コンボの妨害やダメージの阻止などデュエルに強い影響を与えるため、
カジュアル層同士の対戦や「魅せプレイ」の披露・紹介を優先とするような一部の対戦動画などについては、
一種のローカルルールとして手札誘発を使用しない(もしくは使用できるカードを制限する)と決めている場合もある。
見知らぬ人とフリー対戦をする際は、念のため確認しておいた方が良いだろう。


手札誘発の歴史

かつての遊戯王(第4期まで*1)では、手札誘発の存在自体が珍しいものであった。
最初の手札誘発である《クリボー》がそうだが、この時代の手札誘発といえば防御的な効果であり、コンバットトリックの延長線上のものであった。
とはいえ、《クリボー》は知名度の高さやワンショットキルの対策として、多くのプレイヤーに愛用されたカードである。
なお、第4期以前の手札誘発となると、《クリボー》以外には《シャブティのお守り》《ワタポン》 《冥王竜ヴァンダルギオン》など、数えられるくらいの種類しか存在していなかった。

第5期になると《冥府の使者ゴーズ》《D.D.クロウ》《緑光の宣告者》《朱光の宣告者》《オネスト》といった有用なカードが続々と登場し始め、手札誘発が妨害の一種として環境にも一定の影響力を及ぼすようになる。

そして第6期でマスタールールが実装され*2、すなわちS召喚が導入されてからは完全に風向きが変わる。
それまでとは比較にならないほど(あらゆるデッキで)モンスターの特殊召喚を乱発する時代に入り、ゲームは大幅に高速化した。
更に第7期中盤にマスタールール2が実装される*3と、X召喚の導入、アドバンテージ獲得能力に長けた【甲虫装機】や【聖刻】などの台頭もあり、その流れは決定的な物となってしまう。
それに合わせ手札誘発もその趣を変え、《エフェクト・ヴェーラー》《増殖するG》など「相手の展開を妨害して計算や流れを狂わせる」カードが注目を浴びることとなる。

第9期*4になると、汎用性に長けた《幽鬼うさぎ》《灰流うらら》といった手札誘発が登場し、手札誘発で妨害を行うという戦術が完全に定着する。
現在では後述の理由もあってさらに一般化して枚数と種類を増やし、妨害の内容も多種多様になっている。

そして第12期現在の環境にとって手札誘発カード(および手札から発動可能な罠カード)は、その存在が大前提になっている
その長所は個別に後述するが、手札誘発をあまり採用しないデッキ【エルドリッチ】や【エンディミオン】など「稀に」存在する程度。
通常召喚可能なモンスターの総数を抑えたい【推理ゲート】【インフェルノイド】や手札0枚が基本戦術の【インフェルニティ】ではそもそも積めないというケースもある。
一部の例外デッキを除き、必要な分の手札誘発をデッキに詰めるところがデッキ構築の第一歩になっている。


手札誘発を取り巻く様相

その手札誘発の枚数も1枚2枚では発動できる期待値が低すぎるため、少なく見積もっても5~6枚、理想として10枚程度の採用が前提になってくる
メインデッキの枠をそれなりに手札誘発に割く以上、より少ない枚数で展開ルートを築けるテーマが有利になるのも自明の理である。
そうするために1枚当たりのカードパワーは増加し、手札1~2枚から制圧盤面を完成できるテーマも増える…と、インフレ連鎖の遠因にもなっている。
例えば、テーマ内の下級モンスターが1枚でもあれば全く同じ展開ができる【十二獣】デッキは大量の手札誘発カードを積むことが可能であり、現代遊戯王のデッキスタイルの象徴と言っても過言ではない。

現代の環境で手札誘発が前提にあることを示すエピソードを一つ紹介。
第10期に【イグナイト】の派生デッキとして「相手の妨害がなければ100%の確率で先攻1キルできるデッキ」が開発されたことがある。
しかしそのデッキは環境はおろかそれ以外の層であっても「あっそ、ふーん」で終わる程度の代物であり、当然環境では活躍できなかった。
それだけ「相手の手札誘発妨害がなければ」という前提が、画餅に過ぎないという事実を物語っている。

現在ではカードパワーの向上により「適当なカード1枚を止めた程度では展開が止まらない」というデッキも増えている。
手札誘発を握る後攻側は「どのカードに手札誘発を撃てば戦術を崩壊させられるか(=どれが本命のカードなのか)」
先攻側は「相手の手札誘発から本命のカードをどう守り抜くか」という、従来とは異なる形での読み合いと駆け引きが行われるようになった

この手札誘発の駆け引きは現代遊戯王の面白さである一方で、手札誘発ありきの環境に対して否定的な意見も少なからず見られる。

本来あまりカードが飛び交う場所ではないこと、
フィールドが地としたら手札が高い位置にある空中ともイメージできること、
お互いの動きに先回りして機先を制する様がそれっぽいせいか、ときに手札誘発の打ち合いを空中戦などと呼ぶことも。
苛烈な妨害合戦を制したところで結局手札がスッカスカになってるのもよくある光景である。

手札誘発をあえて使わないデッキは、特定のカードを使うための制約などでアンチシナジーになるケースが殆ど。
具体的には種族縛りの伴う《一族の結束》や《不死武士》《ミンゲイドラゴン》《ヴァイパー・リボーン》、対策カード候補の《威光魔人》や《禁止令》、《発禁令》《メンタルドレイン》*5
手札誘発の使用権を放棄する《時を裂く魔瞳》を使うデッキ、手札にカードを持てないデッキ墓地肥やしの邪魔になる可能性があるデッキなど一部に限られる*6
こうした特別な理由が無ければ手札誘発系は必須カードと言って良い

なお《一族の結束》等墓地の種族を縛るカードに関しては同じ種族のモンスターをメインとするデッキなら問題なく採用できるほか、効果発動後にゲームから除外されるカードも比較的投入しやすい。
この点では強力な手札誘発を擁する【昆虫族】【アンデット族】【岩石族】等に若干有利と言えるか。


長所

  • 奇襲性が高い
フルール・ド・バロネス》などの「相手に見えている」置物であれば、囮を交えた対策ができる。
その一方、手札の内容は《検閲》などが無ければ非公開情報であるため、妨害用手札誘発を握っていても相手は把握できない。
そのため「想定外の時に妨害する」不意打ちとして機能する。

  • 後攻プレイヤーの抵抗手段になる
今日の遊戯王では「相手から妨害を受けず」「よっぽどの手札事故も起こしていない」場合、
1ターンの間に盤石の布陣を完成させ相手の足掻きを許さないというデッキは珍しくない。何なら事実上それがデフォルトとすら言える。
これはつまり後攻を取るということが、相手の先攻1ターン目に盤石の布陣が組み上がる様を指を咥えて見ることしかできない、というリスクになる。

いわゆる先攻1キルデッキの存在自体は【サイエンカタパ】【ドグマブレード】【大量ドロー型エクゾディア】など、昔から存在していた。
しかし、これらのデッキはゲームに許容されず、程なくして規制の対象となった。
一方で現代では、おおよそのデッキが「先攻1ターン目の展開で相手を封殺しきる、実質的な先攻1キル」を可能にしているという点が昔とは異なる。
そのため、昔以上に「先攻を取られることがリスク」という認識が根付いている。

その解答となるのが手札誘発であり、罠カードと違って伏せる必要も、そもそも場にモンスターを出す必要もなく、手札に握ってさえいれば発動と妨害ができる。
手札誘発によって先攻の動きを不十分なものにできれば、ドローやバトルフェイズの権利がある後攻は一転して優位に立ちやすくなる。
裏を返せば、運悪く手札誘発を引けなかった後攻プレイヤーは高確率で沈むということでもある。
更に言えば【エクゾディア】デッキなどのような後攻では非常に厳しく、先攻で必ず勝たなければいけないような先攻1キルデッキは手札誘発によって先攻でも上手く勝てるかはわからないような事態になる。
そのため現代においては1キルだけではなく柔軟に展開することができるデッキが実戦では好まれる。

  • フィールドにセットする必要がない
後攻1ターン目を除けば、速攻魔法や罠カードもセットすれば相手ターンでも使用できる。
が、発動タイミングまでフィールドに維持する必要がある魔法・罠は、それまでに除去されれば役目を果たせず、《ハーピィの羽根帚》を受ければ無防備になってしまう。
手札誘発なら、直接ハンデスを受けない限りは相手が干渉する手段が限られるため、除去を受ける心配がない。

  • 妨害されにくい(されにくかった)
上述の長所に通ずるものがあるが、かつては本当に対策が難しかった。
効果へのカウンターは長らく罠カードが担っていたが、これは1ターン目の妨害には対処できない。
エース級のモンスターが無効化効果を内蔵するようになったものの、そういったモンスターの展開そのものを邪魔してくるのが手札誘発である。

相手からすると「あるか無いかもわからないが、無視はできない」「でも普通のカウンターカードじゃ間に合わない」存在。
空振り覚悟で指名ハンデスや《禁止令》に頼るのが先攻側の対策だった。
古参プレイヤーには「攻撃したいけど相手フィールドには攻撃表示の光属性モンスターと言えばもどかしさがわかるだろうか。

それでも9期半ばあたりまで、多くのデッキにとって手札誘発を徹底的に対策する必要は薄かった。
決着にはお互いが数ターンかけるのが当たり前で、手札誘発の種類も性能も今ほどではなく、手札誘発が致命打になるようなデッキは少なく*7、妨害手段の基本は罠カードという考え方が主流だった。

しかし《灰流うらら》の登場を契機に大多数のテーマが対策を迫られる。
癖の強い《PSYフレームギア・γ》を多くのデッキが採用し、合わないデッキは《禁止令》を積んでは「灰流うらら」を宣言することに。
墓穴の指名者》が登場してようやく汎用的な手札誘発対策が可能になったと言っても過言でない。


難点

  • 手札に握らないといけない
手札から効果を発動するには、当然ながら手札に握らないといけない。
幅広いデッキで採用可能な手札誘発のほとんどは特定のカテゴリ等には属していないため、サーチ手段に乏しい。
にもかかわらず、ゲーム開始時点で手札にないと意味がないことが多いため、基本的に運と《増殖するG》に賭けるしかない。
汎用属性サーチカードである「霊媒師」シリーズの一部は、条件指定によって意図的にこれらをサーチしにくくなる(あるいは出来ない)様デザインされている。

  • 手札事故の危険
妨害手段として手札誘発を積めば積むほど、デッキ本来の動きをするためのカードを引き込む確率は下がる。
相手の動きを抑止したところで、自分が事故ってまともに動けないのではどうしようもない。
ひどい場合、「先攻を取ったのに手札に来たのは《灰流うらら》3枚、《増殖するG》2枚で、やりたいことが出来ない」なんてこともあり得るのだ。
それでもみんな手札誘発を多数積むため、お互い似たような形で事故り、「…完璧な手札だ!」と言い張りながらかろうじて出せる初動を手札誘発で潰し合う不毛な戦いになることもままある。
時には手札誘発のモンスターで殴り合いが行われることも。

カード例紹介

手札誘発カードの例として、各種類のカードを複数枚取り上げる。
タグ:手札誘発 」も参照されたし。
また手札から発動できる罠カードについては、こちらを参照。


戦闘関係

相手モンスターから受ける戦闘ダメージを1度だけゼロにする、手札誘発モンスターの開祖
原作出身でもあり、作中でも武藤遊戯の危機を幾度となく救ってきた。
第3期以前の環境では「モンスター効果を無効にする」効果自体が存在しなかったこともあり、【デビル・フランケン1キル】の対抗策として重宝されていた。
和睦の使者》と比較しても、《クリッター》&《黒き森のウィッチ》というサーチ手段が存在していたところも大きい。

現在では、モンスターの戦闘破壊も肩代わりできる《工作列車シグナル・レッド》、ダイレクトアタックを防ぐならバトルフェイズごと終了できる《バトルフェーダー》や《速攻のかかし》、1回はダイレクトアタックを受けるが返しのターンの反撃が期待できる《冥府の使者ゴーズ》など、より使いやすいものが多数存在する。
現代の基準では直接攻撃される前に相手の展開自体を防いだ方が圧倒的に得なので、これらのカードは種族・属性を活かすデッキや時間稼ぎだけで勝てる特殊勝利デッキなどでしか採用されない。


自分の光属性モンスターが相手モンスターと戦闘する時に、その相手モンスターの攻撃力を自分モンスターに上乗せする効果。
戦闘での殴り合いでは負けなしになるこの効果は、かつては「光属性であるだけで一定の価値がある」と言われたほど。
現在ではゲーム性が制圧にシフトしているため、戦闘補助というものの重要性が下がったことで評価を落とし、その姿を見る機会は少ない。
それでも戦闘補助としてのカードパワーは今なお最強クラスであるため、戦闘に不安があったり、戦闘補助が大きな爆発力を生む特性を持った光属性デッキであれば採用の余地はある。
同系統のコンバットトリックとしては《BF-月影のカルート》や《ディサイシブの影霊衣》など、アップする数値はバラバラだがカテゴリに属してサーチに対応したカードも多く、一概に《オネスト》などと優劣を決めることはできない。


  • ダーク・オネスト:タイミング指定あり
自分の闇属性モンスターが相手モンスターと戦闘する時に、その相手モンスターの攻撃力を攻撃力分下げる(0にする)効果。
いわば、闇属性版の《オネスト》であり、効果の範囲が相手モンスターの弱体化となっている。
《オネスト》の項目で解説した通り、戦闘補助の価値が下がっていること、また《オネスト》よりも爆発力が低いことから、あまり評価は高くない。
とはいえ、《忍び寄る闇》でサーチできるなど独自の強みもあり、戦闘を重視する闇属性デッキであれば採用の余地はあるだろう。


効果無効

  • 宣告者(デクレアラー)シリーズ:タイミング指定あり
魔法の発動を無効にする《緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)
罠カードの発動を無効にする《紫光の宣告者(バイオレット・デクレアラー)
モンスター効果の発動を無効にする《朱光の宣告者(バーミリオン・デクレアラー)
の3種。手札から天使族モンスター1枚と合わせて捨てることで、指定の内容を無効にし破壊する。
元ネタはMtGの最も有名なピッチスペル*8意志の力/Force of Will》から。

《灰流うらら》と違い、無効にした上で破壊までしてくれる(=フィールドに残らないので後から別の効果を使われたりしない)うえに「発動した」以外の発動制約が一切ない。
緑光と紫光が第4期で初登場、朱光は5D's時代に海外先行カードから登場しており、効果無効化系手札誘発の先駆けとも言える。
とはいえ、カードを2枚捨てる発動コストの重さ、しかも天使族指定まであるため使えるデッキが限られるのでそこまで高い評価は受けていなかった。
しかし、モンスター効果が強力化していったことで《朱光の宣告者》は存在感を高め、コストを膨大なリソースで誤魔化したり墓地送りをメリットにしたりもしやすくなり、【イシズティアラメンツ】で重宝されたことで制限入りすることに。


手札誘発という概念がOCG界隈に大きく広まったきっかけの1枚。
相手ターンのメインフェイズ中に相手フィールドのモンスター効果を無効にするという、単純かつ便利な効果を有する。
展開の阻止や除去の防止といった活躍を披露し、後発の手札誘発に対しては多少劣るという評価を受けつつも未だ健在で非常に長い現役期間を過ごしている。
無効化要員以外にも、恵まれたステータス値を持つチューナーであることを生かし各種素材として運用することも可能。

互換カードとして、自分フィールドにカードがない場合に手札から発動できる罠カード、《無限泡影》などが存在する。


自分フィールドにモンスターがいない時に、相手の各種行動を無効にしつつ特殊召喚を行うテーマ。
特に効果の汎用性が高い《PSYフレームギア・γ》は、専用デッキ以外でも採用されることがある。
墓地に送らず特殊召喚なので墓地メタには引っかからず、相手の手札誘発にカウンターできる部分も長所。

ただし、「PSYフレームギア」は、それを身に着ける《PSYフレーム・ドライバー》もセットで採用しないと使用できない。
手札誘発として見ると、手札誘発以外のカードもセットでメインデッキに採用する必要がある特殊なタイプのカードである。
上級通常モンスターである《PSYフレーム・ドライバー》を素で引いてしまっても、コストなどとして有効活用できるデッキほど相性がいい。


デッキ回転阻止

相手がドローフェイズ以外にデッキからカードを手札に加えた時に発動可能。
そのターン中、お互いにデッキからカードを手札に加えることが不可能になる。
ドローとサーチの両方に対応しており、これらを多用する相手の動きを鈍らせることは可能。
ただし
  • 最初のドローorサーチは阻止できない
  • 仕様上、効果にチェーンすることはできないため、単純にアド
  • デッキから特殊召喚、デッキからセットは止められない
  • お互いに効果が適用されるため、自分の《増殖するG》なども止めてしまう
など穴も多い。
登場した当初はニッチなカードとして扱われていたが、インフレに伴ってサーチを乱発するデッキが増えたため、大きく評価を上げた。
相手によって効力の差が著しいため、このカードの採用状況は環境の様相を反映しているとも言える。


手札誘発娘こと通称妖怪少女シリーズの1枚。
「ドローないしサーチ」「デッキリクルート」「デッキから墓地送り」のいずれかの効果を無効にする。
デッキに触れる効果の大半をこの1枚で止めてくれる。
これらの効果はデッキ回転、ひいては盤面形成に欠かせない要素なので「相手を選ばない」というメリットが大きい。
そのため採用率は非常に高く、現在における手札誘発の代表と言える存在。
1ターンに1度しか使用できないため、ゴリ押し気味に効果を多用してくる相手には歯が立たないという面も。
またコストによる墓地送りデッキからの直接発動(orセット)などは止められない点にも注意が必要。
10期以降は《灰流うらら》の範囲外となるようデザインされたカードが露骨に増加しており、環境に進出できるかの一種の基準になっている節さえある。


展開抑制

相手が特殊召喚に成功するたびに1枚ドローする。
これにより相手は
  • 「展開して布陣形成はできたが、相手に無尽蔵のリソースを与えることとなり、強行突破されて甚大な不利を被る」か
  • 「展開の最中に新たな手札誘発を引かれたことで妨害され、結局布陣形成に失敗する」か
  • 「ドローを恐れて一切展開せず、ターンスキップもどきの被害を被る」か
のリスクを負う苦渋の選択を強いられる(5枚のアドを確定で取られるわけではない)。
所詮はワンポイントの妨害にすぎない他大多数と比べて、適用さえすれば効果がターン中残存し、かつ動けば動くほど被害が大きくなる性質のため、1枚での抑止力が突出しているのが絶対的な強み。
フリーチェーンだが特殊召喚効果にチェーンすれば1ドロー確定で、特殊召喚というあまりにも普遍的なメタ先のため汎用性も高く、《灰流うらら》と並ぶ採用率トップレベルを誇る現代遊戯王での手札誘発の代表格

ただし、反撃の隙を与えない1キルや完全なロックを押し通されるケースや、強力すぎる特殊召喚ギミックを持つデッキを相手に迂闊に使用するとデッキ切れで自滅させられるリスクもあるため完全無欠ではない。
全く特殊召喚を使わないデッキや数回の特殊召喚で十分という、この効果が有効にならないデッキもないわけではない。

また、《黒魔女ディアベルスター》や「インフェルノイド」、S召喚といった、効果の発動を伴わない特殊召喚でドローする為には、予めこのカードの効果を適用させておかないいけない。
だからといって、相手のスタンバイフェイズや特殊召喚を伴わない効果に対して雑に発動すると、相手が一度も特殊召喚をせずに手札を一枚消費しただけという状況に陥ることもある
相手のデッキや手札を見極めて柔軟に対応するプレイング技術も求められる。

海外では2018/02/05に禁止カードに指定されているため、対抗しにくくなった大量展開型デッキの規制が日本より若干厳しい傾向にある。
上記の【イグナイト先攻1キル】では無いが、このカード、ひいては手札誘発が環境の形成に与える影響の大きさが窺い知る事例と言える。
日本においても2017/10/01に準制限カードに指定されたが、抑止力として機能していた面もあるためか、
その後は長らく無制限カードのままだったが、調整版とも言える「マルチャミー」モンスターの登場などもあり、
2024/10/01に再び準制限カードに指定された。


「妖怪少女シリーズ」の1枚で、自分のEXデッキのカード1枚を選び、それと同名のカードすべてを相手のEXデッキから除外する。
特定のEXカードに依存するタイプには重く刺さる効果であり、逆に言うとこれも汎用性の低い効果である。
また《浮幽さくら》のためだけに自分は使わないカードをEXデッキに割く欠点も大きい。
その特性から《浮幽さくら》を躊躇なくメインデッキに採用できる時代は暗黒時代」「今やEXぶっこ抜きとの遭遇率は低くないのだから、《浮幽さくら》1枚に屈しないパワーが求められる」とも言われ、黒い指標が生まれがち。


新たなシリーズカードの手札誘発で、自分フィールドにカードが存在しない場合にのみ発動でき、
●相手が特定の行動をするたびに1枚ドローする
●エンドフェイズに手札が相手フィールドのカード数+6枚になるようランダムに手札をデッキに戻す
の2つの効果を適用する。
また、発動するターンは他の「マルチャミー」モンスター効果を1度しか発動できないという共通の能力を持つ。
また、クラゲや鳥などを模したゆるキャラのような可愛らしいイラストも特徴となっている。

「SUPREME DARKNESS」時点では
  • マルチャミー・プルリア:手札からの召喚、特殊召喚
  • マルチャミー・フワロス:デッキ、EXデッキからの特殊召喚
  • マルチャミー・ニャルス:墓地、除外状態からの特殊召喚
の3種類が登場しており、レベルと攻守は共通だが属性と種族が異なる。

《増殖するG》と比べると、「捨てて発動」のため《マクロコスモス》などが発動されている状況でも使える、プルリアは召喚にも対応するといった長所がある一方で、
カードごとに対応する領域が限定される、発動条件から先攻は捲り札で一掃された後でもないと使えない、手札枚数に一定の上限があるなど弱体化された部分が多いため、基本的には《増殖するG》の3枚目以降として扱われる。
逆に言えば《増殖するG》が強すぎるだけなのでこちらも十分採用には値するし、実際に環境でも採用されている。
特に《増殖するG》が禁止の海外では念願の先攻制圧への切り札となるしかし当然のように高レア化し高額カードと化している
こうした事情から、一部からは「《増殖するG》の規制とグッズ展開を見据えた調整版」なのでは?と考察されている。
実際にGが2024/10/01より準制限に指定されている辺り、先手側が後手のターンで使い誘発を引き込めてしまう点は問題視されていたようだ。


除去

「妖怪少女シリーズ」の1枚にして最初のカード。
フィールドからも効果を使用できる珍しい性質を持ち、フィールド上の表側カードの効果が発動した時、そのカードを破壊する。
効果自体は通してしまうのが大きな欠点だが、切り札のための素材を除去してテンポを崩したり、性能次第では切り札の直接除去もできるので、どちらが良いかは状況次第。
また、永続魔法、永続罠、フィールド魔法に対しては除去と効果処理の阻止を同時に行えるため突出して有効で、特定の該当種別カードに依存するデッキは少なくないため一定の魅力がある。
魔法・罠だけでなく「効果処理時にフィールドにいないといけないモンスター」*9に対しては、除去すると効果を不発にさせることができるケースがある。


相手がモンスターを5回以上召喚・特殊召喚したターンに、フィールドのモンスターを全てリリースして特殊召喚される。
条件を満たせばフリーチェーンで発動でき、破壊でなくリリースと防ぎにくい除去を手札から打てる。先攻で大量展開による盤面制圧を行われても、これ1枚で盤面をリセットできる場合もある逆転性の高いカード。
ただし
  • リリースしたモンスターの攻守の合計分の数値になるトークンを相手フィールドにも出してしまう
  • リリースは自分フィールドも巻き込む
  • 召喚行為が少ないテーマが相手だと腐る
  • リリース自体が「効果の発動」を介すのでカウンター効果持ちがいると封殺される
  • 最上級モンスターなので刺さらない時は腐りやすい(=壁として運用することも難しい)
  • メインフェイズでしか使用できないため、【天盃龍】などメインフェイズ以外に展開できるデッキに刺さりにくい
など欠点も多く、癖もかなり強め。


墓地メタ

相手墓地のカードをどれでも1枚除外する効果。
蘇生効果やサルベージにチェーンして防いだり、墓地コストカードを先んじて除外して展開を阻止できれば理想的。
シャブティのお守り》など特定のテーマ・種族デッキでの使用を前提としたものを除くと、手札誘発としては初の「フリーチェーンかつバトルフェイズ以外でも発動できる」カードでもある。
幅広いデッキに採用でき、実際に使用されたこのカードはそれまで「戦闘補助」という意味合いの強かった手札誘発のイメージを塗り替えた。
ちなみにこのカードがアニメで登場したのは5D'sだがOCG化されて登場したのはGX放送中。「宣告者」が登場したのと同じ年の秋にカード化されている。
また初登場したパックには《N・グラン・モール》や《高等儀式術》といった規制経験のあるカードが何枚かあるが、このカードは規制経験がない。


「妖怪少女シリーズ」の1枚で地属性担当・ゴスロリ枠。
デッキに触れるカードを止める《灰流うらら》に対し、こちらは蘇生・サルベージ・除外と「墓地に触れる効果」を止められる。
墓地利用が当たり前になっていることに加えて「発動を無効にする」タイプのためダメージステップでも打てるタイミングの広さが売りであるのが特徴。
手札誘発メタとして役立つ《墓穴の指名者》を止められるのは大きい。


お互いの墓地から光or闇属性のモンスターを除外するカード群。ここではメインデッキに入るレベル6のものを指す。
手札「誘発」にするには相手のフィールドにモンスターが存在する必要がある。
本カード群の強みは「誘発」になる条件が緩いこと、そして除外した後に自身を特殊召喚できるというカオスモンスター的な効果であること。
対象は限定されるが、《D.D.クロウ》+有益な効果を持つ上級モンスターが出てくるのだからその強さは歴然。
相手ターンで出した場合はただの壁……というわけでもなく、ある程度相手への牽制となる効果を持つものすらいる。
しかも、自分が光or闇を使うデッキであれば、仮に相手が光or闇を使わなくても自分のカードをコストにして展開する形で一定以上使えるため汎用性が高い。
各モンスターのステータスも優秀な物が揃っており、戦闘から各種素材になることまで幅広く仕事ができる。

サイドデッキから食らうだけでも相当キツいし、ましてやこれを好き放題に撃ってくる【ビーステッド】は刺さるデッキにとっては地獄となる。
そのため「ほとんどの光or闇属性デッキは半永久的に環境出禁」(環境に顔を出した瞬間ビーステッドガン積みや【ビーステッド】自身が流行するため)とまで言われてしまい、
いくら優遇属性へのメタとはいえ結局やりすぎと判断され、固有効果の汎用性の低い《深淵の獣サロニール》以外全員が1年以内に全員制限送りにされた
そんな中でも環境トップに君臨してたティアラメンツ(墓地活用型闇属性テーマ)とは一体……。


展開補助

前者は相手がフィールド上でモンスター効果を発動したときに、自身を手札から特殊召喚しつつデッキの上から3枚を墓地に送る誘発即時効果。
後者は発動条件なしに自身を特殊召喚する誘発即時効果(ただし手札か墓地のカードを除外する)、特殊召喚時にデッキの上から3枚を墓地に送る効果も持つ。

真に恐ろしいところは、この効果で「ティアラメンツ」カードの墓地送りに成功した場合。その瞬間に融合召喚が行われてしまう。
相手ターン中であれば容易な条件でもあり、相手のターンにもかかわらずこちらがカードを展開することもできる。
そのため「先攻プレイヤーの1ターン目に後攻プレイヤーが《エルシャドール・ミドラーシュ》を融合召喚してきた」
「同じく《捕食植物ドラゴスタペリア》を融合召喚してきた」などの報告も上がっている。
流石にこれは相当の運が味方していないと成しえないことだが、後攻をとっても爆発力の高さで反撃ができることも【イシズティアラメンツ】の強みの一端である。
ただパチンコ墓地送りの中身をよりよい結果にするために一般的な手札誘発の採用はやや控えめ。


その他

  • 刻印の調停者
カード名を1つ宣言して発動する効果を発動した時に、その宣言カードを別のカードに変えてしまうという独特の効果を持ったモンスター。
流石にそれだけじゃアレだと判断されたのか、星4で攻撃力1800とステータスは妥協点な上に、フリーチェーンでフィールドのモンスターを次のターンのエンドフェイズに破壊する効果も持つ。
2つとも効果が限定的すぎる、一応《抹殺の指名者》のメタにはなるか。
…と言ったところでカードイラストはかっこいいがそれ以外は非常に地味なカードであったが、好きなバニラモンスター発表ドラゴン…もとい、カード名を宣言する事が戦略の基本である【原石】のメタカードとして注目されている。発表に発表で返すカード。
だけど適当なモンスターを宣言すると「あ、そいつデッキにいます」となりがちなので、宣言するカードはよく考えたいところ。

なお「カード名を1つ宣言して発動する効果」のみに対応しているため、カード名を3つ宣言する《マアト》には使えないのには注意しよう。


手札誘発対策

後攻の手札誘発を先攻が排除して動きやすくなるという負の側面も有するため、条件が緩く汎用的なものは規制される傾向にある。

「やられる前にやれ」という正攻法。
相手が手札誘発を使う前に、各種ハンデスで手札から落としてしまうという強行手段になる。

ただしこの方法はやや非現実的
OCGのハンデスは強すぎるが故に厳しい規制を受けがちで、特に「先攻1ターン目から使用可能なピーピング・ハンデス」に対しては容赦がない
後攻で使われる側にとっては、戦術も妨害札の所持状況も見破られる上にそれを無慈悲に叩き落としてくるのだから健全なゲームにならないためである。
ハンデス三種の神器無き今では、こちらがギミック稼働する前に発動できるハンデスカードは少ないと言っていい。
そのため「動く前に使いたいのに動かないと使えない」という矛盾が生じてしまう。

先攻でも使え、無規制かつ実用的なカードは《N・アクア・ドルフィン》《三戦の才》くらいしか存在していない。
それも、召喚権消費を呑めるデッキで《N・アクア・ドルフィン》で狙い撃つか、手札誘発を1枚受けた後に《三戦の才》で2枚目の手札誘発を防止するぐらいと状況は限られる。


どちらも手札誘発をメタできる速攻魔法にして最もメジャーな対策手段
《墓穴の指名者》は手札誘発を墓地へ送った時にチェーンして除外することでその効果を無効に、
《抹殺の指名者》は自分のデッキから同じカードを除外することで同名カードを無効にするという阻止の手順になる。
……が、効果適用中、“自分も”無効にした手札誘発を使えなくなるのは注意。
いざ自分も使おうとして忘れていたり腐ったり、思わぬ形で足をすくわれることも。珍事寄りではあるが、それだけ手札誘発は自他ともに影響力が高いのだ。
特に《墓穴の指名者》は次にターンまで効果が持続するため、使用の際には注意しておこう。


  • 禁止令、発禁令
宣言したカードの発動を封じる魔法。
事前にカード名を1つ宣言しなければいけないが、自分が受けると嫌なカードをピンポイントで封じられる。
《禁止令》は永続魔法であり割られると無力というリスクがあり、《発禁令》は通常魔法なので除去される心配はないが効果は1ターンのみ。
一般的な手札誘発対策のほか、自分が大量展開をする際の《原始生命態ニビル》封じにも使える。


レベル4・地属性岩石族スピリットモンスター
場にいる限り、スピリットモンスターの性質上エンドフェイズまでスピリット以外のモンスターの効果発動を封じる。
召喚権を消費すること、並びに自分もほとんどモンスターを使用できないことさえ構わなければ、自分ターン中の相手からの妨害を封じやすい。


  • 威光魔人
レベル6・光属性悪魔族のモンスター。
特殊召喚できないが、お互いに効果モンスターの発動を封じられる。
こちらは天岩戸と違って場に留まれるが、特殊召喚できない上級なのでスムーズに場に出す手段が欲しい。
】のほか、《死皇帝の陵墓》・《悪魔の憑代》等を使うデッキなら優先的に採用できる。


  • 異次元の指名者/エクスチェンジ
手札確認しつつ《灰流うらら》を封じられる。
《エクスチェンジ》の場合は自分が《灰流うらら》の使用権を得ることもできるが、こちらの有用なカードを持っていかれる可能性もある。


  • 魔のデッキ破壊ウイルス
発動時と発動から3ターン以内に引いた攻撃力1500以下を破壊する罠カード。
手札誘発はほとんどが低攻撃力であり、このカードを通すことに成功すれば手札誘発を軒並み駆除できる。
発動コストに攻撃力2000以上の闇属性が必要なこと、罠カードなので遅いと安定した運用はやや難しいのが難点。


  • メンタルドレイン
スキルドレイン》の派生カードで、お互いに手札のモンスター効果を発動できない。
一応手札誘発も防げるが、罠カードゆえのラグが問題になる。
「先攻側が後攻側の手札誘発を防ぐ」ことができないため、「相手を妨害する」手札誘発対策にはしづらい。
どちらかというと【ベアルクティ】【メルフィー】のような、手札から誘発効果で展開するテーマに対するメタカードとしての運用が主になるだろう。


  • 透破抜き
手札・墓地で発動したモンスターの効果を無効にして除外するカウンター罠。
《メンタルドレイン》と違って使い切り。
だが「ライフコストがない」「自分の手札誘発を縛らない」「墓地で発動する効果も無効にできる」といった利点がある。
ただし罠なのでやはり今の環境では遅いのが難点。


  • 墓穴ホール
手札・墓地・除外ゾーンで発動したモンスターの効果を無効にし、相手に2000ダメージを与える通常罠。
上記の透破抜きと比べると無効にしかできない点で劣る変わりに、
  • おまけのバーンダメージ付き
  • 除外ゾーンにも対応
  • 「ホール」カテゴリに属する
点で勝る。
フレシアの蟲惑魔》でデッキから発動できる為、罠カードでありながら先攻1ターン目での疑似的な誘発ケアに使われることも。


  • 神の通告
1500LPをコストにモンスター効果の発動、またはモンスターの特殊召喚を無効にし、そのカードを破壊するカウンター罠。
汎用性の高い優秀なカードでありスペルスピードの高さから妨害されにくさがウリ。
しかし、罠なのでやっぱり遅く、手札誘発のメタではなく「状況によっては手札誘発も止められる汎用カード」と認識しておいた方がいいだろう。


  • モンスター効果の発動/効果を無効にできる効果モンスターのうち、ローコストで出せるもの
所謂「出張」の目的がこれを兼ねることも多い。
無効化範囲が広くて単体で制圧力のあるものは、手札誘発の囮や手札誘発で展開が妨害された際の妥協点となる場合も。
何を使うかはメインギミックとのかみ合い次第だが、代表的なものは、《簡易融合》からの《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》あたり。
禁止指定される前であれば《流離のグリフォンライダー》、《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》も有力候補であった。


墓地送りを除外へと置換するカード達で、召喚権や展開カードの類を使わず運用できるカード。
本来の仕事が墓地メタであるこいつらだが、墓地送りを邪魔することで「墓地に送って(捨てて)発動する」タイプの手札誘発を発動出来なくさせる事が可能。
「捨てる」だけでいいものは通すため、すべての手札誘発を防ぐには至らないが、除外を活用できるデッキでなら手札誘発への耐性をある程度つけられる。
ただ、それぞれが「何でも除外するが罠カードなので遅い」「すぐに発動できるがモンスターしか除外できない」「先攻・後攻どちらでも使えるが墓地にカードがない状態でしか打てない」と長所・短所が分かれているので注意したい。


  • 手札誘発
目には目を歯には歯を。ならば手札誘発には手札誘発と言わんばかりの対策。
実際にモンスター効果全般を止められる《PSYフレームギア・γ》なら全ての手札誘発を止められ、《灰流うらら》も《増殖するG》によるドローを止められるため非常に有効。
手札誘発を採用する事で無理なく相手の手札誘発に対抗出来ると言う面でお手軽であるものの、同時に「相手ターンでの妨害」と言う手札誘発の本来の役割を放棄して妨害枚数が減ってしまう事になるので見極めが肝心となる。


  • ブラフ
あえて手札誘発を使いたくなるカードを出し、そのカードを囮にする方法。
プレイヤーの間では「(手札誘発を)吐かせる」という俗語で呼ばれる。
手札誘発はほぼ全てが1回使い切りであり、さらに一度使用すると同名カードはそのターンの間使えないことが多いため、無効にされてもいいカードに使わせれられればターン中の安全を確保できるのである。
たとえば【ゴーティス】の場合
  1. 起点となる《揺海魚デッドリーフ》を通常召喚し効果を発動
  2. 相手がそれに対して《灰流うらら》を使い、《揺海魚デッドリーフ》の効果を無効にする*10
  3. 《灰流うらら》はルール上1ターンに一度しか利用できない。つまりそのターン中相手は《灰流うらら》をもう使ってこないことが確定したので、手札に温存しておいた《ワン・フォー・ワン》で《鰤っ子姫》を特殊召喚
といった具合。

また無効にしたいカードに直接チェーンをしないと発動できない性質を利用して、効果が同時発動した際に本命のカードを先に発動して本命じゃないカードを次にチェーンすることで発動を阻止することもできる。

これらは手札さえよければ様々なデッキで使える有効な対策手段だが、なにぶん高度な読み合いが求められる高等テクニックなので遊戯王OCGに関する知識・経験は必要不可欠となる。
上級者は2~3種類のカテゴリを混ぜたグッドスタッフデッキを作り、デッキAであると見せかけて手札誘発を撃たせた上で本命の展開を通すという離れ技を使うプレイヤーもいる。


敢えての封印

そのデュエル中モンスターの手札誘発が使用できなくなる代わりに複数のメリットをもたらす通常魔法。
「RAGE OF THE ABYSS」時点では、
  • 時を裂く魔瞳(モルガナイト):通常のドローが2枚、通常召喚2回
  • 死を謳う魔瞳(モルガナイト):モンスターへの2回攻撃、モンスターとの戦闘ダメージ倍化
の2種類が登場しており、それぞれ墓地から除外して発動するもう1つの効果も有する。

今日の遊戯王で必須級のカード群を自ら封印する代わりに非常に大きなメリットを得る事ができるという、
「手札誘発が欠かせない」という現代環境に一石投じるというコンセプトが見て取れるカードである。

封じるのは正確には「手札で発動するモンスター効果」全般であるため、当初は手札からの特殊召喚も封印する事になるのではないか……と警戒されたが、
サイバー・ドラゴン》のような「条件付き特殊召喚効果」とは干渉しないため、【サイバー】などなら採用は一応可能。
同様の理屈で壊獣などの「特殊召喚の為に相手モンスターをリリースする」効果も使用できるが、ニビルは手札で発動してリリースする効果なので利用できない。
また《機巧蛇-叢雲遠呂智》や《氷の魔妖-雪娘》のような「手札・墓地から発動する」効果も手札からは発動できないが、墓地から効果を発動する分には問題ない。

ちなみに、自分が発動したこのカードに《精霊の鏡》を撃ち、相手の手札誘発をそのデュエル中禁止するという使い方は流石に不可能となっている。



追記・修正は、手札のカードを発動してからお願いします。

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最終更新:2024年12月15日 19:58

*1 アニメでいえば『遊戯王デュエルモンスターズGX』放送開始まで。

*2遊戯王5D's』が放送されたタイミング。

*3遊戯王ZEXAL』放送されたタイミング。

*4 『[[遊戯王ARC-V』が放送された時期。

*5 自身にも影響してしまうため。

*6 もちろん、これらのデッキであっても構築によっては投入も十分に検討できる。

*7 当時からすれば「手札誘発を対策する必要があるデッキ」=「1ターン目で勝敗を決めるソリティアデッキ」であり、むしろそちらのほうが嫌がられていた

*8 他のコストを払うことでマナ・コストを支払わず手札から発動できるカード。概念としては手札誘発の先祖。

*9ゾンビ・マスター》のように明記されていたり、《No.101 S・H・Ark Knight》のように処理時に自身を参照するものなど。

*10 通常召喚は1ターンに1度しか行えないので、通常召喚したモンスターを狙って手札誘発を撃てば以降何もできなくなるデッキもある。なので、これ自体はわりと王道な戦術だったりする。相手のデッキが【ゴーティス】と分からない状況であれば尚更である。