<ロッテ5-8日本ハム>◇4日◇QVCマリン
オリックスから新加入の日本ハム木佐貫洋投手(32)が、7回を6安打3失点に抑え、移籍後初先発を白星で飾った。オープン戦では2試合に登板して防御率9・00と不安を残していたが、本番では見事に払しょく。2点リードの2回には2度の野選が絡み同点に追いつかれたが、粘り強い投球でチームの連敗を止める価値ある1勝をもたらした。
日本ハム木佐貫が新天地での初勝利をつかんだ。「自分が(連敗を)止めたかった」と、使命感があった。自身の開幕でもあり、移籍後初先発の試合。「(前日は)胃が痛かった」。序盤は制球が乱れた。2点リードの2回、守備の乱れもあって同点とされた。きっかけは先頭打者への四球。「野手陣に申し訳なかった」と、3回からは気合を入れ直した。走者を背負っても、粘った。7回3失点。先発の役目を果たした。
律義な薩摩隼人だ。沖縄・名護キャンプの最終クール初日の2月26日。「お世話になったね。ありがとう」。期間中にアルバイトで働いていた男子大学生にスパイクなどをプレゼントした。自身と同じ鹿児島出身の学生だった。「やっぱり同じ県だと、田舎ということもあって仲良くしたい」。この日、バッテリーを組んだのは同郷の後輩、鶴岡だった。「鶴岡のリードに助けてもらった。(鹿児島)県人会バッテリーはうれしいかぎりです」と、気心知れる女房役に感謝した。
日本ハムが3球団目。チームを渡り歩いても、欠かさずに行う“内職”がある。遠征中などの空き時間を利用して、自分のプロ野球カードにサインする。「♯○○○」と通し番号を記し、1枚ずつ100円ショップで買った透明のナイロン小袋に入れている。「移動中とか、サインを書けない時に、ファンに渡せるように持ち歩いているんです」。昨季は約4000枚を配った。
今季も準備万端だ。巨人とオリックスでは、球団からシーズン前に各選手に1000枚配布されていたという。しかし、日本ハムでは配られないことを知り、手を打った。同カードを発行する会社の関係者に「お願いして、まずは1000枚発注しました」。サインを書くのは、1日50枚と決めている。約10分間の地味な作業も「苦にはなりません。そういうのが好きなので」と、率先して取り組む。今季の目標配布数は5000枚だ。
チームの連敗を3で止めた。先発陣で最初の白星も挙げた。「チームメートやファンに、木佐貫に来てもらって良かったと思われるよう、頑張りたい」。あいさつ代わりには、十分な快投劇だった。【木下大輔】