RXN-雷神- 公式サイトRXN-雷神-のレビュー行くよ……。
メーカー:面白法人カヤック
機種:Switch用ダウンロード専用ソフト
ジャンル:横長・縦スクロールシューティング
発売日:2017年12月19日
価格:4212円(税込)
「まもるクンは呪われてしまった!」などの開発を行っているガルチによる、
創業10周年を記念した完全新作シューティングだ。
声優陣に村田太志、尾崎由香、杉田智和、田中敦子、井上喜久子などといった豪華メンバーを起用。
さらにメカデザインは藤岡建機で、メインテーマは作曲が古代祐三で歌は原田ひとみとなっている。
アーケードやSteamからの移植ではなく、現状ではSwitchオンリーのタイトル。
ということで価格はやや高いがシューティング好きとしては気になるし応援の意味も込めて買ってみたのだが、
これがマジでどうしようもない内容だった。
達成感と爽快感が無くてひたすら残尿感と戦い続けるゲームだった。
内容は3機の変形メカから1機を選択して出撃する横画面の縦シューティングだ。
ミサイルやレーザー、ホーミング弾、貫通弾、ショットガンなど選ぶ機体によって武装はガラリと変わるぞ。
パワーアップアイテムは無く、
敵を一定以上撃ち続けてコンボを繋げると武器が三段階にパワーアップするシステム。
コンボを継続出来ないと武器は弱くなっていく。
敵に接近するほどコンボが繋がりやすくなるので前に出ることが大事な局面も……無くはない…かな?
一発やられたら一機無くなる残機制ではなくダメージでゲージが無くなったら終わりの耐久制になっていて、
しかも時間経過でゲージが回復していく仕様。
この耐久度を消費することで画面内の敵に大ダメージを与えるボム的な「覚醒」を発動させることが可能なので、
「どのタイミングで覚醒を使うか?」を考えらせられる作りになっている。
フローチャートからステージを選択してプレイしていく形式で1ステージは短い。
敵を倒した時に回収される経験値アイテムで自機がレベルアップしていく要素もあるぞ。
というわけでSwitch向けに1プレイが短くサクッと遊べるシステムになっているのは分かるんだが……。
とにかく何もかもが酷過ぎる。
弾幕系っぽい作りではあるんだがまずステージ構成が酷い。
同じ背景で同じような敵と戦うステージばかりで、
やる気なく出てくるザコ敵をちょっと倒したら急に終わるから物足りない。
1ステージが短いゲームならその分密度を濃くするとか、
特別なギミックを用意するとかそういう工夫をするべきなのに工夫が全然無い。
成長要素がある!と言えば聞こえはいいが、
レベルが上がっても新しいスキルや武器が増えたりはせず、
ただ自機の攻撃力が上がっていくだけ。
しかも自機のレベル上げを前提にしているのか、
ザコ敵がやたら硬く、進めば進むほど普通に撃っても全然倒せなくなっていく。
でも1ステージが驚くほど短くて自機の耐久ゲージが高くて、
時間経過で回復もするからクリアは出来るし先に進めるというのがモヤモヤするんだよなあ。
とにかく中型の敵が硬すぎて「この敵は倒せる敵なの?倒せない敵なの?」
って判断が付きづらいのもストレス溜まる。
急に終わるザコ戦とは逆にボス戦は異常な長期戦を強いられる。
単調なばら撒き弾を避け続けながら、
時間経過で回復する耐久ゲージをなんとか維持しながら戦い続ける持久戦。
一番酷かったのは中盤のボス戦で、10分くらい撃ち続けてようやく倒せたよ!
一度倒したボスが再登場するステージが多く、
その際には毎回のように登場キャラが「反応が違う!」「動きが全く違う!」とか盛り上げてくれるんだけど、
体力が数倍になってる以外、攻撃パターンが何も変わっていないので
「キミ達もお仕事大変だね…」以外のコメントが出ない。
被弾すると画面が振動するのに、
コンボ繋げて武器がレベルアップした時にも画面振動するから戸惑うとか、
経験値アイテムが無駄に6種類あるから画面が見づらいとか、
自機のレーザーが派手過ぎて画面がよく見えないとか、
そういう実際に遊んだ時のことをまったく考えられていない作りも酷い。
フレームレートが落ちる箇所が多くて弾が頻繁にカクカクするのも遊びづらさに拍車をかける。
ずっとそんな調子で、爽快感と達成感が行方不明なままゲームが進むのですっごい残尿感がある。
ステージの最後まで行くと白い雲が画面をモヤァ…と埋め尽くして終わるんだけど、
「これで終わり?!」ってステージがあまりにも多いから
だんだん雲が出てくるだけで変な笑いも出てくる。
雲が見えてきたら、残尿感が来た合図だ……。
倒せないけど撃つと経験値アイテムを吐き出す敵を撃ち続けてコンボを維持し、
武器を強化して敵を蹴散らす!
みたいなのをちゃんとやろうとしてるステージも無くは無いんだけど、
根幹のゲームバランスがガタガタで機能していないんだよね。
武器を最大レベルにしても全然敵倒せないしボスにダメージ入らないし……。
一度クリアしたステージに戻った時くらいしか成長が実感できないのが本当につらい。
経験値を稼いでレベル上げるとザコ敵を普通に倒せるようになって、
普通のシューティングに近くなるゲームです。それなら最初から普通のシューティングやるよ!
成長させてもそこまで面白くなるわけじゃないし!
説明不足なのも問題で、チュートリアルが無いどころかゲーム内にマニュアルすらなく、
公式サイトにも全然システム説明がないからゲームを理解するのが一苦労。
結局、経験値アイテムが6種類ある理由は最後まで分からなかった。
博士キャラに専門用語の解説をさせるより先にゲームシステムを解説させろや!
ストーリーは劇中で舞台説明がなく投げっぱなしで始まる上に、
専門用語を羅列したダラダラした会話が延々と続くだけだから
テンポ悪いしさっぱり頭に入ってこない。
しかもキャラの会話内容とステージ内容が全然シンクロしていない。
短い雑談を聞きながらやる気なく出てくるザコをチマチマ撃ってたらプツッと終わるステージとか、
画面が止まったままボイスだけを延々と聞く場面とか、
何が起こっているのかを映像で見せてくれないから、
重要なシーンなのに何が起こってるのかよく分からないとか、そんなのが多すぎる。
デキの悪いゲームを遊びながらデキの悪いドラマCDを聞いてるような気分になる。
とにかくボイス垂れ流しでまったく演出になってないんだもの……。
出撃シーンとかボス登場シーンも普通にスッと出てくるだけで全然迫力無い。
せめてカメラを動かすとか、覚醒でメカがアップになるとかその程度の演出は入れてくれよ!
藤岡建機がデザインしたメカがしっかり見れるの、キャラクターセレクトとリザルト画面だけじゃねーか!
公式を見ると、
『「シューティングの3回死んだらゲームオーバー」「毎回ステージ1からスタート」といった、
これまでの常識を疑い、2017年現在の新しいシューティングのカタチを確立することを目指しています。』なとど書いてあるが、このゲームは新しいことをほとんど何もやっていない。
短いステージを自由に選んでプレイするとか、成長要素があるってのは、
ダウンロード専用のゲームなどではむしろポピュラーな仕様。
ライフ制ではなく耐久制なのも珍しくない。
それでいてこの仕様にあった調整がまったく成されていない。
同じような「短いステージ+成長要素」な仕様のシューティングを例に挙げると、
3DSの「Karous The Beast Of Re:Eden」だったら、
アイテムや武装のカスタマイズに、ステージ毎に違うクリア条件などが用意されていて、
育てる楽しさに加えてステージによっては「どの装備ならクリアできるのか?」という謎解きっぽい要素も入れていた。
逆にSwitchの「ゾンビゴールドラッシュ」だったらシステムは単純だが短時間で敵をひたすらぶっ壊す爽快感と、
沢山いる個性的な自機をどんどん強くしていく楽しさに振っていた。
「RXN-雷神-」はこのどちらでもない。
大半のステージはザコをポチポチ撃ってたらなんか雲が出てきてモヤッとしたまま終わる。
経験値を稼がないとザコ敵が硬くてロクに倒せなくてウザい。
それだけ。
練り込みが足りないとかそういう次元にすら到達していないわ。
4時間未満でフルコンプ出来た。
難易度設定や隠しステージ、クリア後の要素は一切無し。
アイデアが新しいわけでもなく、システムもゲームバランスも演出もダメ。
豪華声優陣やメカデザインもまったく生かされていない。価格は4200円。どうしようもない。
シューティングゲームの開発ノウハウがまったく無い新規メーカーが作ったとしか思えない内容。
システムとバランスの根幹レベルで設計がダメなのでアプデで改善するのも難しそうだわ……。
一昔前のアニメみたいなOP曲と
「耐久力の自動回復+耐久力を消費して放つボム」のシステムはまあ好きだったかな。
シューティング初心者、中級者、上級者のすべてにオススメ出来ないゲームでした。
- 関連記事
-
仮にこれフルプライスではなく1980で売られてたとしてもダメなレベルですか?