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JPH11268911A - アルミナ粉末及びその製造方法並びに研磨用組成物 - Google Patents

アルミナ粉末及びその製造方法並びに研磨用組成物

Info

Publication number
JPH11268911A
JPH11268911A JP10369644A JP36964498A JPH11268911A JP H11268911 A JPH11268911 A JP H11268911A JP 10369644 A JP10369644 A JP 10369644A JP 36964498 A JP36964498 A JP 36964498A JP H11268911 A JPH11268911 A JP H11268911A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alumina
particle diameter
primary particle
polishing
alumina powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10369644A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Kasai
敏雄 河西
Kiyomi Ema
希代巳 江間
Isao Ota
勇夫 太田
Toru Nishimura
西村  透
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Chemical Corp filed Critical Nissan Chemical Corp
Priority to JP10369644A priority Critical patent/JPH11268911A/ja
Publication of JPH11268911A publication Critical patent/JPH11268911A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨用組成物に適する砥粒としてのアルミナ
粉末及びそれらのアルミナ粉末の製造法方並びに研磨用
組成物を提供すること。 【解決手段】 ベーマイト構造を有する一辺が10〜5
0nmの矩形板状一次粒子からなるアルミナ水和物を原
料として、焼成、粉砕により、γ、δ及びθ型からなる
群から選ばれた単一または複数の結晶構造、10〜50
nmの一次粒子径、100〜500nmの平均二次粒子
径及び粒状の一次粒子形状を有することを特徴とするア
ルミナ粉末、又はα型結晶構造、60〜150nmの一
次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径及び粒
状の一次粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉
末を製造すること。そして、それらアルミナ粉末、水及
び研磨促進剤からなる研磨用組成物を調製すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、γ、δ及びθ型か
らなる群から選ばれた単一または複数の結晶構造、10
〜50nmの一次粒子径、100〜500nmの平均二
次粒子径(平均凝集粒子径)及び粒状の一次粒子形状を
有することを特徴とするアルミナ粉末と、α型結晶構
造、60〜150nmの一次粒子径、200〜500n
mの平均二次粒子径(平均凝集粒子径)及び粒状の一次
粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉末と、そ
れらの製造方法に関する。そして、それらのアルミナ粉
末を砥粒とする研磨用組成物に関する。
【0002】本発明の研磨剤用組成物は、アルミニウム
ディスクの研磨において高精度に平滑な研磨表面を効率
的に得ることができるため、最終仕上げ研磨用組成物と
して有用である。ここでのアルミニウムディスクの研磨
とは、アルミニウムあるいはその合金からなる磁気記録
媒体ディスクの基材そのものの表面、又は基材の上に設
けられたNi−P、Ni−Bなどのメッキ層の表面、特
にNi90〜92%とP8〜10%の組成の硬質Ni−
Pメッキ層の表面、及び酸化アルミ層の表面を研磨する
ことをいう。
【0003】また、本発明のアルミナ砥粒を用いた研磨
剤は、高精度に平滑な研磨表面が効率的に得ることがで
きるため、半導体デバイスの酸化膜、窒化膜、炭化膜、
半導体多層配線基板の配線金属などの研磨及び、磁気ヘ
ッド、水晶、ガラスなどの最終仕上げ研磨にも有用であ
る。
【0004】
【従来の技術】安価で大量に製造されているバイヤー法
により製造された水酸化アルミニウムを焼成したγ、
δ、κ、θ、η、α型などの結晶構造を有するアルミナ
を乾式及び/または湿式粉砕することにより1μm以下
の平均粒子径を有するアルミナ微粒子からなるアルミナ
粉末が製造されている。
【0005】また、20〜80nmの一次粒子径を有す
る板状のγ、δ型などの結晶構造の高純度アルミナ粉末
や150〜200nm以上の一次粒子径を有するα型の
結晶構造の高純度アルミナ粉末が市販されている。
【0006】また、特開平5−345611号公報〔対
応:欧州公開特許第554908号明細書〕には、ベー
マイト粒子の周囲にシリカのバリアを形成させることに
よりα型アルミナへ転移する際に粒子成長を抑えた一次
粒子径が20〜50nmのα型アルミナが記載されてい
る。
【0007】また、特開平7−89717号公報には、
市販されている超微粒子アルミナ粉体をそのまま、ある
いは、更に焼成した粉体を水相中で酸の存在下に陽イオ
ン交換樹脂と接触させる解膠法による平均粒子径が10
0nm以下のγ、δ、κ、θ、η、α型などのアルミナ
ゾルの製造法が開示されている。
【0008】アルミニウムディスクの研磨に使用されて
いる研磨用組成物としては、水とアルミナ研磨材及び研
磨促進剤を、場合によっては更に表面改質剤も混合して
スラリー化したものが用いられている。この研磨促進剤
の例として、特公昭2−23589号公報〔対応:米国
特許第4705566号明細書〕には、硝酸アルミニウ
ム、硝酸ニッケル、硫酸ニッケルなどが、また特開平2
−158682号公報には、ナトリウム、カリウム、カ
ルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウ
ムなどの亜硝酸塩が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、アルミニウムデ
ィスクの性能は、ますます高密度化、高速化していく傾
向にある。そのためにオレンジピール、スクラッチ、ピ
ット、突起などの表面欠陥がないということや平均表面
粗さ及び最大表面粗さが小さい高平坦化が強く求められ
ている。
【0010】バイヤー法により製造された水酸化アルミ
ニウムを焼成、粉砕したγ、δ、κ、θ、η、α型など
の結晶構造を有するアルミナ粉末は、平均粒子径が1μ
m以下のアルミナ微粒子でも、ブレークダウン法のた
め、粒度分布がブロードである。このため湿式分級(水
簸等)が行われるが、粗大粒子を完全に除去することは
困難である。粗大粒子が混在する研磨剤を使用した場
合、高品質の研磨面を得ることが難しい。
【0011】また、金属アルコキシド法より製造された
水酸化アルミニウムを焼成して得られるγ、δ型の結晶
構造を有するアルミナ粉末では粒子形が板状であるた
め、研磨時に被研磨材料がパッド上を滑るような状態に
なることで、研磨速度が遅くなるため研磨工程の生産性
が悪くなる。更に、α型の結晶構造を有するアルミナ粉
末では、一次粒子径が150〜200nm以上あるた
め、高品質の研磨面を得ることが難しい。
【0012】また、シリカのバリアを表面層に有する一
次粒子径が20〜50nmのα型アルミナでは、アルミ
ナより研磨速度が遅いシリカ層のため研磨速度が遅くな
る。
【0013】一方、市販の超微粒子アルミナ粉体をその
まま、あるいは、更に焼成した粉体を水相中で酸の存在
下に陽イオン交換樹脂と接触させる解膠法による平均粒
子径が100nm以下のγ、δ、κ、θ、η、α型など
のアルミナゾルは一次粒子径が10nm以下であるため
研磨速度が遅く、研磨工程の生産性が悪くなる。
【0014】本発明は、高品質の研磨面を保ちながらし
かも研磨速度を速くすることにより研磨工程の生産性の
向上及び低コスト化が可能な研磨用組成物に適する砥粒
としてのアルミナ粉末及びそれらのアルミナ粉末の製造
方法並びに研磨用組成物を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、市販されて
いるアルミナ粉体を使用せず、本発明の製造法にて、ベ
ーマイト構造を有する一辺が10〜50nmの矩形板状
一次粒子からなるアルミナ水和物を原料として、焼成、
粉砕により、γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた単
一または複数の結晶構造、粒度分布がシャープな10〜
50nmの一次粒子径、100〜500nmの平均二次
粒子径(平均凝集粒子径)及び粒状の一次粒子形状を有
することを特徴とするアルミナ粉末、及びα型結晶構
造、粒度分布がシャープな60〜150nmの一次粒子
径、200〜500nmの平均二次粒子径(平均凝集粒
子径)及び粒状の一次粒子形状を有することを特徴とす
るアルミナ粉末を見い出し、更に、砥粒、水及び研磨促
進剤からなるアルミニウムディスクの研磨用組成物に本
発明のアルミナ粉末を砥粒として用いると、従来のアル
ミニウムディスク用研磨剤と比較して高品質の研磨面が
得られ、高速研磨性であることを見い出したものであ
る。
【0016】また、α型結晶構造、60〜150nmの
一次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径(平
均凝集粒子径)及び粒状の一次粒子形状を有するアルミ
ナ粉末、又は市販のバイヤー法により製造された水酸化
アルミニウムを焼成、粉砕したα型結晶構造を有する5
0nm〜2μmの一次粒子径、200nm〜3μmの平
均二次粒子径を有するアルミナ粉末に対して、γ、δ及
びθ型からなる群から選ばれた単一または複数のアルミ
ナ結晶構造を有し、一次粒子径が10〜50nm、10
0〜500nmの平均二次粒子径(平均凝集粒子径)及
び粒状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末を添加・混
合してアルミナ混合砥粒にすることにより高品質の研磨
面が得られ、しかも高速研磨性のアルミニウムディスク
用研磨剤になることを見い出したものである。
【0017】γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた単
一または複数の結晶構造、10〜50nmの一次粒子
径、100〜500nmの平均二次粒子径及び粒状の一
次粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉末は、
下記の工程(A)、(B)、(C)及び(D): (A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含
有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することに
より、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる
工程、(B)(A)工程で得られた当該反応生成物を1
10〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベー
マイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁
液を生成させる工程、(C)(B)工程で得られた当該
水性懸濁液を100℃以上の温度で乾燥し、更に500
〜1130℃で焼成することによりγ、δ及びθ型から
なる群から選ばれた単一または複数の結晶構造を有する
アルミナを生成させる工程、及び(D)(C)工程で得
られた当該アルミナを乾式及び/又は湿式粉砕する工
程、からなる。
【0018】ここで、研磨特性がより好ましい、δ型結
晶構造、10〜50nmの一次粒子径、100〜500
nmの平均二次粒子径及び粒状の一次粒子形状を有する
ことを特徴とするアルミナ粉末は、(C)工程において
850〜1050℃で焼成することにより得られる。
【0019】α型結晶構造、60〜150nmの一次粒
子径、200〜500nmの平均二次粒子径及び粒状の
一次粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉末の
製造法は、下記の工程(A)、(B)、(C)及び
(D): (A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含
有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することに
より、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる
工程、(B)(A)工程で得られた当該反応生成物を1
10〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベー
マイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁
液を生成させる工程、(C)(B)工程で得られた当該
水性懸濁液を100℃以上の温度で乾燥し、更に115
0〜1300℃の温度で焼成することによりα型結晶構
造を有するアルミナを生成させる工程、及び(D)
(C)工程で得られた当該アルミナを乾式又は/及び湿
式粉砕する工程、からなる。
【0020】ここで、(D)工程での生産性および研磨
特性を考慮すると、α型結晶構造、60〜150nmの
一次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径及び
粒状の一次粒子形状を有することを特徴とするアルミナ
粉末は、(C)工程において1180〜1250℃で焼
成することが好ましい。
【0021】アルミニウムディスクの研磨用組成物とし
ては、アルミナ砥粒、水及び研磨促進剤からなる。
【0022】アルミナ砥粒として、γ、δ及びθ型から
なる群から選ばれた単一または複数の結晶構造、10〜
50nmの一次粒子径、100〜500nmの平均二次
粒子径及び粒状の一次粒子形状を有することを特徴とす
るアルミナ粉末、α型結晶構造、60〜150nmの一
次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径及び粒
状の一次粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉
末、又はγ、δ及びθ型からなる群から選ばれた単一ま
たは複数の結晶構造を有し、一次粒子径が10〜50n
m、100〜500nmの平均二次粒子径及び粒状の一
次粒子形状を有するアルミナ粉末と、α型結晶構造、5
0nm〜2μmの一次粒子径、及び200nm〜3μm
の平均二次粒子径を有するアルミナ粉末の混合物である
ことを特徴とする。
【0023】研磨促進剤として、研磨促進剤が三価又は
四価の金属と無機酸又は有機酸から形成される塩基性塩
であることを特徴とする。三価及び四価の金属の中でア
ルミニウムが、また無機酸及び有機酸の中で硝酸が研磨
特性が優れている。よって、塩基性硝酸アルミニウムが
より好ましい。更に、より好ましいのは、Al(OH)
x(NO33-x(但し、Xは0.5〜2.7の実数)の
化学組成で表示される塩基性硝酸アルミニウムである。
最も好ましいのは、Al(OH)(NO32である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のアルミナ粉末の製造法に
ついて詳しく述べる。
【0025】(A)工程において、(A)工程に用いら
れる無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有
する水性アルミナゾルとしては、公知の製造法により容
易に得られ、市販の工業薬品としても入手することがで
きる。特公昭45−3658号公報及び特開昭60−1
66220号公報には、有機酸の水溶液と金属アルミニ
ウム粉末とを加熱下反応させることにより、無定形アル
ミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミ
ナゾルの製造法が開示されている。これらの公知の水性
アルミナゾルの製造法によって得られる水性アルミナゾ
ルを挙げることもできる。
【0026】この原料となる水性アルミナゾルとして
は、ゲルを形成していないものであれば良く、数mPa
・sの低い粘度を有するものから数十万mPa・sの高
い粘度を有するものまで使用することができる。特に2
〜30重量%のAl23濃度及び2〜7のpHを有する
水性アルミナゾルが好ましい。またアルカリの添加方法
によっては、ゲル状物質の塊の生成や粘度の上昇を引き
起こすため、アルカリの添加時は予め水性アルミナゾル
のAl23濃度を2〜4重量%にすることが更に好まし
い。
【0027】アルカリを添加することにより得られる9
未満のpHを有する反応混合物では、次工程の水熱処理
を実施しても目的とするベーマイト構造を有するアルミ
ナ水和物を含有する酸性水性アルミナゾルを得ることが
できない。一方、過剰のアルカリを添加することにより
得られた12を超えるpHを有する反応混合物でも、目
的とするベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有
する水性アルミナ懸濁液が得られる。しかし、(B)工
程で過剰のアルカリを除去せざるを得ず、好ましくな
い。よってアルカリ添加によって得られる反応混合物は
9〜12のpHを有することがより好ましい。
【0028】(B)工程において、反応生成物を110
℃未満の温度で、水熱処理すると、水性懸濁液中におい
て無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子からベー
マイト構造を有するアルミナ水和物の矩形板状一次粒子
への結晶構造の生成に長時間を要して、好ましくない。
一方、250℃を超える温度での水熱処理では、装置的
に急冷設備、超高圧容器などを必要とするので好ましく
ない。
【0029】水性懸濁液中の塩類含有量を減少させるた
めに、限外濾過法又はイオン交換法にて脱塩処理を行う
ことができる。
【0030】(C)工程において、500℃未満の温度
で焼成するとベーマイト粒子のままであり、また130
0℃を超える温度で焼成すると場合はα型結晶構造の粒
子の粒子成長が激しく一次粒子が150〜200nm以
上になり、表面粗さが大きく、オレンジピール、スクラ
ッチ、ピット、突起が多くなるため好ましくない。
【0031】(D)工程において、乾式及び/又は湿式
粉砕が足りないと二次粒子が500nmより大きくなる
ため、表面粗さが大きく、オレンジピール、スクラッ
チ、ピット、突起が多くなるため好ましくない。
【0032】本発明のγ、δ及びθ型からなる群から選
ばれた単一または複数の結晶構造を有するアルミナ粉末
は、振動ミル、ボールミル、アトライター、サンドグラ
インダーなどの乾式及び/又は湿式粉砕により得られる
一次粒子径が10〜50nmでしかも平均二次粒子径が
100〜500nmのアルミナ粉末である。そして、こ
のアルミナ粉末は、粒子径が制御されたベーマイト構造
を有するアルミナ水和物を原料とするため、粒度分布が
シャープである。
【0033】本発明のα型アルミナの結晶構造を有する
アルミナ粉末は、振動ミル、ボールミル、アトライタ
ー、サンドグラインダーなどの乾式及び/又は湿式粉砕
により得られる一次粒子径が60〜150nmでしかも
平均二次粒子径が200〜500nmのアルミナであ
る。そして、このアルミナ粉末は、粒子径が制御された
ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を原料とするた
め、粒度分布がシャープである。
【0034】ここで、アルミナ粉末の一次粒子径とは、
透過型電子顕微鏡にて、一次粒子を観察して、計測した
個々の一次粒子である。平均粒子径ではない。
【0035】アルミナ粉末の平均二次粒子径とは、平均
凝集粒子径を示すメジアン粒子径(50%体積粒子径)
である。その測定には、市販の遠心粒度分布測定装置、
例えば堀場製作所(株)のCAPA−700等が用いら
れる。
【0036】本発明の研磨用組成物について詳しく述べ
る。
【0037】研磨用組成物中アルミナ砥粒の含有量(ア
ルミナ固形分)は、0.5〜20重量%である。アルミ
ナ砥粒の含有量は、0.5重量%より少ないと研磨効果
が少なく、20重量%より多くしても研磨効果の更なる
向上が認められない。
【0038】γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた単
一または複数の結晶構造を有し、一次粒子径が10〜5
0nm、100〜500nmの平均二次粒子径及び粒状
の一次粒子形状を有するアルミナ粉末では、好ましい結
晶構造はδ型結晶構造である。
【0039】そして、γ、δ及びθ型からなる群から選
ばれた単一または複数の結晶構造を有し、一次粒子径が
10〜50nm、100〜500nmの平均二次粒子径
及び粒状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末と、α型
結晶構造、50nm〜2μmの一次粒子径、及び200
nm〜3μmの平均二次粒子径を有するアルミナ粉末と
のアルミナ粉末混合物における、γ、δ及びθ型からな
る群から選ばれた単一または複数の結晶構造のアルミナ
固形分(a)とα型結晶構造のアルミナ固形分(b)と
の重量比は、好ましくはa:b=5:95〜70:30
で、より好ましくは5:95〜50:50である。ここ
で、γ、δ及びθ型アルミナ粉末からなる群では、δ型
アルミナ粉末が好ましい。δ型アルミナ粉末を上記アル
ミナ粉末混合物に用いると、研磨特性としての平均表面
粗さ(Ra)に対する研磨速度(Vp)の比率(Vp/
Ra)が高くなり好ましい。
【0040】また、アルミナ粉末と共に酸化物であるジ
ルコニア、珪酸ジルコニウム、シリカ、ムライト、酸化
セリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタンなどを加え
ることができる。そして水酸化アルミニウム等の水酸化
物、ベーマイト等の水和酸化物及びダイヤモンド、窒化
硼素、窒化珪素、炭化珪素、炭化硼素などの非酸化物も
加えることができる。
【0041】研磨促進剤は、三価又は四価の金属と無機
酸又は有機酸から形成される塩基性塩が好ましい。例え
ば三価の金属としては、アルミニウム、インジウム、鉄
などが、四価の金属としてはジルコニウム、セリウム、
錫、チタンなどが挙げられる。無機酸としては、硝酸、
硫酸などが、また有機酸としては酢酸、蟻酸、スルファ
ミン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸などが挙げられ
る。三価及び四価の金属の中でアルミニウムが、また無
機酸及び有機酸の中で硝酸が研磨特性が最も優れて、塩
基性硝酸アルミニウムがより好ましい。更に、より好ま
しいのは、Al(OH)x(NO33-x(但し、Xは
0.5〜2.7の実数)の化学組成で表示される塩基性
硝酸アルミニウムである。最も好ましいのは、Al(O
H)(NO 32である。
【0042】また研磨促進剤の含有量は、三価の金属と
無機酸又は有機酸から形成される塩基性塩では金属酸化
物M23(但し、Mは三価の金属原子を示す)の換算濃
度で、また四価の金属と無機酸又は有機酸から形成され
る塩基性塩では金属酸化物MO2(但し、Mは四価の金
属原子を示す)の換算濃度で表すと、0.1〜10重量
%が好ましい。0.1より少ないと研磨剤としての効果
が認められず、また10重量%より多くしても研磨促進
剤としての効果の更なる向上が認められないためであ
る。より好ましくは0.3〜6重量%である。
【0043】また、研磨用組成物に一般的に加えられて
いるエタノール、プロパノール、エチレングリコール、
プロピレングリコールなどの水溶性アルコール、塩酸、
硫酸、硝酸、酢酸、リン酸などの酸、アルキルベンザン
スルホン酸ナトリウム、ホルマリン縮合物などの界面活
性剤、ポリアクリル酸塩等の有機ポリアニオン系物質、
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースなどのセルロース類を加えることがで
きる。
【0044】なお、本発明において採用した分析法は下
記の通りである。 (1)pH測定 pH計(M−8AD (株)堀場製作所製)を用いて測
定した。 (2)電気伝導度 電気伝導度(CM−30S(株) 東亜電波工業製)を
用いて測定した。 (3)一次粒子径及びその一次粒子形状 透過型電子顕微鏡にて、一次粒子径及びその一次粒子形
状を観察した。
【0045】観察方法:試料を純水で希釈後、銅メッシ
ュ上の親水化処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を
塗布して、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕
微鏡(H−500 (株)日立製作所製)にて、その観
察試料の電子顕微鏡写真を撮影して、観察した。 (4)平均二次粒子径 遠心沈降法粒子径測定装置(CAPA−700 (株)
堀場製作所製)を用いいてメジアン粒子径(50%体積
粒子径)を測定し、平均二次粒子径(平均凝集粒子径)
とした。 (5)動的光散乱粒子径 動的光散乱粒子径測定装置(コールターN4(登録商
標) コールター社製)を用いて測定した。 (6)比表面積(BET法) 予め所定の条件で乾燥した試料を窒素吸着法比表面積計
(MONOSORBMS−16型 QUANTACHR
OME社製)を用いて測定した。 (7)粉末X線回折 X線回折装置(JEOL JDX−8200T 日本電
子(株)製)を用いて測定した。
【0046】
【実施例】下記の実施例により、本発明を更に説明す
る。 [研磨用組成物の調整] 実験例1 市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含
有する水性アルミナゾル450.0g(アルミナゾル−
200(商標)、日産化学工業(株)製、Al 23濃度
10.7重量%、酢酸濃度3.2重量%)に水176
7.0gを加え、強く攪拌した中に4.9重量%のNa
OH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液211.5g
を約10分で添加し、更に3時間攪拌を続けた。そして
反応混合液(pH10.05、Al23濃度1.98重
量%)を得た。
【0047】この反応混合物2300gをガラスライニ
ング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、1
40℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁
液はpH8.38、電気伝導度7955μS/cmを示
し、Al23濃度1.98重量%であった。この水性懸
濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水446
7gと酢酸10.5gとを加えて攪拌し、pH4.98
に調整した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付
けた攪拌機付き自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮
して酸性水性アルミナゾル364gを得た。得られた酸
性水性アルミナゾルはpH4.34、Al23濃度1
2.0重量%、電気伝導度290μS/cm、動的光散
乱法粒子径264nm、300℃で乾燥した粉体のBE
T法による比表面積は136m2 /gを示した。得られ
た酸性水性アルミナゾルに含有するアルミナ水和物のコ
ロイド粒子はベーマイト構造を有する一辺が10〜20
nmの矩形板状一次粒子よりなる50〜300nmの細
長い形状の二次粒子を形成していた。
【0048】この酸性水性アルミナゾルを110℃で乾
燥して得られたゲルを、アルミナ乳鉢で粗粉砕した後、
アルミナ坩堝に仕込み電気炉で1000℃で5時間焼成
した。ここで得られた粉体は、X線回折装置で測定した
ところδ型結晶構造を有し、BET法による比表面積は
100m2 /gであった。このδ型アルミナ粉体を75
0g、5mmφのジルコニアビーズ12.6kg及び純
水1600gを5Lのボールミル容器に仕込み、96時
間粉砕することにより、10〜40nmの一次粒子径及
び320nmの平均二次粒子径を有するδ型アルミナ粉
末が分散する水性アルミナスラリーを得た。その水性ア
ルミナスラリーのδ型アルミナ固形分は25重量%であ
った。透過電子顕微鏡によるδ型アルミナ粉末観察で
は、一次粒子の全個数の90%が20〜30nmの粒子
径であった。そして最小一次粒子径は10nm及び最大
一次粒子径は40nmであった。一次粒子の粒度分布は
非常にシャープである。一次粒子形状は粒状であった。
【0049】次に、硝酸アルミニウム・九水塩380g
を純水1kgに溶解した後、この水溶液を沸騰させ、1
320gの35%過酸化水素水溶液と110gのアルミ
ニウム金属粉末を徐々に添加し溶解・反応させた。該反
応液を濾過して塩基性硝酸アルミニウム水溶液(BAN
a)を得た。この塩基性硝酸アルミニウム(BANa)
水溶液は、Al23換算濃度9.9重量%、硝酸イオン
濃度7.2重量%を含み、塩基度として80.0%で、
Al(OH)2.4(NO30.6 の化学組成で表示される
塩基性硝酸アルミニウム水溶液であった。
【0050】更に、塩基性硝酸アルミニウム水溶液に6
0重量%硝酸を添加して、Al23換算濃度7.1重量
%、硝酸イオン濃度17.3重量%を含み、塩基度とし
て33.3%で、Al(OH)(NO32の化学組成で
表示される塩基性硝酸アルミニウム水溶液(BAN)を
調整した。
【0051】そして、水性アルミナスラリーを純水で希
釈する際に、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニウム
水溶液(BAN)を加えて、6.7重量%のアルミナ固
形分と、Al23換算濃度で0.62重量%及び硝酸濃
度1.4重量%のAl(OH)(NO32の化学組成で
表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研磨用
組成物を調整した。
【0052】実験例2 実施例1に記載の酸性水性アルミナゾルを110℃で乾
燥して得られたゲルを、アルミナ乳鉢で粗粉砕した後、
アルミナ坩堝に仕込み電気炉で1200℃で5時間焼成
した。ここで得られた粉体は、X線回折装置で測定した
ところα型結晶構造を有し、BET法による比表面積は
10.5m2/gであった。このα型アルミナ粉体を7
50g、5mmφのジルコニアビーズ12.6kg及び
純水1600gを5Lのボールミル容器に仕込み、96
時間粉砕することにより、70〜120nmの一次粒子
径及び340nmの平均二次粒子径を有するα型アルミ
ナ粉末が分散する水性アルミナスラリーを得た。その水
性アルミナスラリーのα型アルミナ固形分は25重量%
であった。透過電子顕微鏡によるα型アルミナ粉末観察
では、一次粒子の全個数の85%が80〜100nmの
粒子径であった。そして最小一次粒子径は70nm及び
最大一次粒子径は120nmであった。一次粒子の粒度
分布は非常にシャープである。一次粒子形状は粒状であ
った。
【0053】そして、水性アルミナスラリーを純水で希
釈する際に、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニウム
水溶液(BAN)を加えて、6.7重量%のアルミナ固
形分と、Al23換算濃度で0.62重量%及び硝酸濃
度1.4重量%のAl(OH)(NO32の化学組成で
表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研磨用
組成物を調整した。
【0054】実験例3 市販のα型アルミナ粉末(平均粒子径1.1μm)を7
50g、5mmφのジルコニアビーズ12.6kg及び
純水1500gを5Lのボールミル容器に仕込み、48
時間粉砕することにより、一次粒子径が50〜500n
m、平均二次粒子径(平均凝集粒子径)が350nmの
α型アルミナでアルミナを固形分として33重量%を含
有する水性アルミナスラリーを得た。この水性アルミナ
スラリー(α型アルミナ固形分33重量%)及び実験例
1で得られた水性アルミナスラリー(δ型アルミナ固形
分25重量%)を、δ型アルミナ固形分(a)とα型ア
ルミナ固形分(b)との重量比がa:b=50:50と
なるように混合し混合水性アルミナスラリー(平均二次
粒子径370nm)を得た。更に純水で希釈する際に、
研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニウム水溶液(BA
N)を加えて、3.4重量%のα型アルミナ固形分及び
3.4重量%のδ型アルミナ固形分と、Al 23換算濃
度で0.62重量%及び硝酸濃度1.4重量%のAl
(OH)(NO 32の化学組成で表示される塩基性硝酸
アルミニウム濃度を有する研磨用組成物を調整した。
【0055】実験例4 実験例3で得られた水性アルミナスラリー(α型アルミ
ナ固形分33重量%)及び実験例1で得られた水性アル
ミナスラリー(δ型アルミナ固形分25重量%)を、δ
型アルミナ固形分(a)とα型アルミナ固形分(b)と
の重量比がa:b=10:90となるように混合し混合
水性アルミナスラリー(平均二次粒子径370nm)を
得た。更に純水で希釈する際に、研磨促進剤として塩基
性硝酸アルミニウム水溶液(BAN)を加えて、6.0
重量%のα型アルミナ固形分及び0.67重量%のδ型
アルミナ固形分と、Al23換算濃度で0.62重量%
及び硝酸濃度1.4重量%のAl(OH)(NO32
化学組成で表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有
する研磨用組成物を調整した。
【0056】比較例1 市販のκ型アルミナ粉末(平均粒子径1.5μm)を7
50g、1mmφのジルコニアビーズ12.6kg及び
純水1200gを5Lのボールミル容器に仕込み、96
時間粉砕することにより、10〜400nmの一次粒子
径及び220nmの平均二次粒子径を有するκ型アルミ
ナ粉末が分散する水性アルミナスラリーを得た。その水
性アルミナスラリーのκ型アルミナ固形分は43重量%
であった。水性アルミナスラリーを純水で希釈する際
に、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニウム水溶液
(BAN)を加えて、6.7重量%のアルミナ固形分
と、Al 23換算濃度で0.62重量%及び硝酸濃度
1.4重量%のAl(OH)(NO 32の化学組成で表
示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研磨用組
成物を調整した。
【0057】比較例2 市販のα型アルミナ粉末(平均粒子径1.1μm)を7
50g、5mmφのジルコニアビーズ12.6kg及び
純水1500gを5Lのボールミル容器に仕込み、48
時間粉砕することにより、50〜500nmの一次粒子
径及び350nmの平均二次粒子径を有するα型アルミ
ナ粉末が分散する水性アルミナスラリーを得た。その水
性アルミナスラリーのα型アルミナ固形分は33重量%
であった。水性アルミナスラリーを純水で希釈する際
に、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニウム水溶液
(BAN)を加えて、6.7重量%のアルミナ固形分
と、Al 23換算濃度で0.62重量%及び硝酸濃度
1.4重量%のAl(OH)(NO 32の化学組成で表
示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研磨用組
成物を調整した。
【0058】比較例3 市販の形状が板状の高純度δ型アルミナ粉末(一次粒子
径10〜60nm、平均二次粒子径800nm)を純水
に分散させたスラリーに、研磨促進剤として塩基性硝酸
アルミニウム水溶液(BAN)を加えて、6.7重量%
のアルミナ固形分と、Al23換算濃度で0.62重量
%及び硝酸濃度1.4重量%のAl(OH)(NO32
の化学組成で表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を
有する研磨用組成物を調整した。
【0059】比較例4 市販の高純度α型アルミナ粉末(一次粒子径150〜3
00nm、平均二次粒子径280nm)を純水に分散さ
せたスラリーに、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミニ
ウム水溶液(BAN)を加えて、6.7重量%のアルミ
ナ固形分と、Al23換算濃度で0.62重量%及び硝
酸濃度1.4重量%のAl(OH)(NO32の化学組
成で表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研
磨用組成物を調整した。
【0060】参考例1 市販のシリカゾル(スノーテックス−ZL(商標)、日
産化学工業(株)製SiO2濃度40重量%、一次粒子
径70〜100nm、平均二次粒子径110nm)を純
水で希釈する際に、研磨促進剤として塩基性硝酸アルミ
ニウム水溶液(BAN)を加えて、6.7重量%のシリ
カ固形分と、Al23換算濃度で0.62重量%及び硝
酸濃度1.4重量%のAl(OH)(NO32の化学組
成で表示される塩基性硝酸アルミニウム濃度を有する研
磨用組成物を調整した。
【0061】[研磨試験]研磨試験は、下記のように行
った。
【0062】被加工物は、アルミニウム基板にNi−P
を10μmの厚さに無電解メッキした2.5インチメモ
リーハードディスク基板を使用した。尚、この基板は一
次研磨してあり平均表面粗さは、1.8nmである。
【0063】オスカー型レンズ研磨機の定盤に人工皮革
タイプのポリウレタン製研磨布(POLITEX DG
(商標)、250mmφ、ロデール・ニッタ(株)製)
を貼り付け、これに基板の研磨面を対向させ14kPa
の荷重をかけて研磨した。
【0064】定盤回転数は、毎分30回転であり、スラ
リー供給量は2ml/分である。
【0065】研磨の後、被加工物を取り出し超音波洗浄
を繰り返して洗浄した。
【0066】洗浄後アルミディスクを乾燥し、重量減少
から研磨速度を求めた。表面欠陥については、微分干渉
顕微鏡により観察し、突起、ピット、スクラッチなどの
度合を判定した。最大及び平均表面粗さは、市販品の装
置、例えば米国のZygo社製の「New View 100」とい
う名称の装置を使用することによる、FDAを用いた走
査型白色干渉法あるいは位相測定法により測定した。
【0067】実施例及び比較例の物性を表1に示す。
【0068】
【表1】 表1 研磨剤 結晶構造 一次粒子径 平均二次粒子径 (nm) (nm) 実施例1 δ型アルミナ 10〜 40 320 実施例2 α型アルミナ 70〜120 340 実施例3 δ型アルミナ 10〜 40 370 α型アルミナ 50〜500 実施例4 δ型アルミナ 10〜 40 370 α型アルミナ 50〜500 比較例1 κ型アルミナ 10〜400 220 比較例2 α型アルミナ 50〜500 350 比較例3 δ型アルミナ 10〜 60 800 比較例4 α型アルミナ 150〜300 280参考例1 無定シリカ 70〜100 110
【0069】また実施例及び比較例の研磨試験における
研磨速度、平均表面粗さ、最大表面粗さを表2に示す。
【0070】
【表2】 表2 研磨剤 研磨速度 Vp 平均表面粗さ 最大表面粗さ (nm/min) Ra(A) PV(A) 実施例1 109 3.4 45 実施例2 155 4.2 54 実施例3 204 4.7 67 実施例4 238 5.2 69 比較例1 113 5.2 65 比較例2 160 5.7 71 比較例3 121 6.0 114 比較例4 60 4.5 58参考例1 37 4.1 63 (注)Aはオングストロームを表す。
【0071】表2から、実施例1と比較例1を比較した
場合、研磨速度はほぼ同等だが、表面粗さに関しては、
一次粒子径は10nm〜40nmと粒度分布がシャープ
な実施例1は表面粗さは良いが、一次粒子径が10nm
〜400nmと分布が広く粗粒子がある比較例1は表面
粗さが劣っていることがわかる。
【0072】また実施例2と比較例2を比較した場合も
同様な傾向にあることがわかる。
【0073】また、比較例3は、粒子形が板状のδ型ア
ルミナ粉末であるため、研磨時に被研磨材料がパッド上
を滑るような状態になり、研磨速度が遅くなっているこ
とがわかる。
【0074】表2から、δ型アルミナ粉末と,市販のα
型アルミナを湿式粉砕処理したアルミナ粉末とのアルミ
ナ粉末混合物を砥粒にしている実施例2及び3は、市販
のα型アルミナ粉末だけの比較例2よりも研磨速度が
1.3〜1.5倍も速く、しかも表面粗さが向上してい
ることがわかる。
【0075】比較例4は一次粒子径が150〜300n
mと粒度分布がシャープであるが、一次粒子径が150
nm以上あるため表面粗さは劣っていることがわかる。
【0076】また参考例1に挙げた高品質の研磨面が得
られる研磨剤として知られるのシリカゾルと実施例1及
び2とを比較した場合、表面粗さは同等であるが、研磨
速度が1/3以上遅いことがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明は、γ、δ及びθ型からなる群か
ら選ばれた単一または複数の結晶構造、粒度分布がシャ
ープな10〜50nmの一次粒子径、100〜500n
mの平均二次粒子径(平均凝集粒子径)及び粒状の一次
粒子形状を有することを特徴とするアルミナ粉末及びα
型結晶構造、粒度分布がシャープな60〜150nmの
一次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径(平
均凝集粒子径)及び粒状の一次粒子形状を有することを
特徴とするアルミナ粉末であり、更に、それらのアルミ
ナ粉末を砥粒とするアルミニウムディスクの研磨用組成
物である。
【0078】また、α型結晶構造、60〜150nmの
一次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径(平
均凝集粒子径)及び粒状の一次粒子形状を有するアルミ
ナ粉末、並びに市販のバイヤー法により製造された水酸
化アルミニウムを焼成、粉砕したα型結晶構造を有する
50nm〜2μmの一次粒子径、200nm〜3μmの
平均二次粒子径を有するアルミナ粉末に対して、γ、δ
及びθ型からなる群から選ばれた単一または複数のアル
ミナ結晶構造を有し、一次粒子径が10〜50nm、1
00〜500nmの平均二次粒子径(平均凝集粒子径)
及び粒状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末を添加・
混合してアルミナ粉末混合物を砥粒とするアルミニウム
ディスクの研磨用組成物である。
【0079】研磨特性に作用する一次粒子径は20〜1
00nmの範囲で粒度分布がシャープであり、また平均
二次粒子径が500nm以下であるため、表面粗さが小
さく、オレンジピール、スクラッチ、ピット、突起が少
ない高品質の研磨面が得られる。更に同程度の高品質研
磨面が得られるシリカゾルよりも高速研磨性であること
から、超精密研磨工程の生産性の向上及び低コスト化が
可能である。
【0080】また、アルミナ粉末混合物を砥粒とするア
ルミニウムディスクの研磨用組成物では、α型の結晶構
造を有するアルミナ粉末より軟らかいγ、δ及びθ型か
らなる群から選ばれた単一または複数のアルミナ結晶構
造を有する一次粒子径が10〜50nmのアルミナ粉末
は、α型の結晶構造を有するアルミナ粉末より小さいた
めα型の結晶構造を有するアルミナ粉末の表面を覆った
り、また研磨時にα型の結晶構造を有するアルミナ粉末
の間隙に最密充填するように入ることが推測される。こ
のため表面粗さが良くしかも研磨速度の速いアルミニウ
ムディスクの研磨用組成物が得られることから精密研磨
工程の生産性の向上及び低コスト化が可能である。
【0081】本発明の研磨用組成物は、工業製品として
供給され得るアルミニウムディスクの上に設けられたN
i−P等のメッキ層の表面、特にNi90〜92%とP
8〜10%の組成の硬質Ni−Pメッキ層の表面、酸化
アルミ層の表面あるいはアルミニウム、その合金、アル
マイトの表面を研磨するのに有用である。
【0082】更に本発明のアルミナ砥粒からなる研磨剤
は、高精度に平滑な研磨表面が効率的に得ることができ
るため半導体デバイスの酸化膜、窒化膜、炭化膜、半導
体多層配線基板の配線金属などの研磨及び、磁気ヘッ
ド、水晶、ガラスなどの最終仕上げ研磨にも使用するこ
とができる。
【0083】また本発明のアルミナ砥粒は、研磨用途以
外に触媒用材料、アルミナ及びアルミナを含む焼結体の
原料、プラスチックスなどのフィラー等にも使用するこ
とができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた
    単一または複数の結晶構造、10〜50nmの一次粒子
    径、100〜500nmの平均二次粒子径、及び粒状の
    一次粒子形状を有するアルミナ粉末。
  2. 【請求項2】 下記の工程(A)、(B)、(C)及び
    (D): (A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含
    有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することに
    より、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる
    工程、(B)(A)工程で得られた当該反応生成物を1
    10〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベー
    マイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁
    液を生成させる工程、(C)(B)工程で得られた当該
    水性懸濁液を100℃以上の温度で乾燥し、更に500
    〜1130℃で焼成することによりγ、δ及びθ型から
    なる群から選ばれた単一または複数の結晶構造を有する
    アルミナを生成させる工程、及び(D)(C)工程で得
    られた当該アルミナを乾式及び/又は湿式粉砕する工
    程、からなる、γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた
    単一または複数の結晶構造、10〜50nmの一次粒子
    径、100〜500nmの平均二次粒子径及び粒状の一
    次粒子形状を有するアルミナ粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミナ砥粒、水及び研磨促進剤からな
    るアルミニウムディスクの研磨用組成物において、アル
    ミナ砥粒が、γ、δ及びθ型からなる群から選ばれた単
    一または複数の結晶構造、10〜50nmの一次粒子
    径、100〜500nmの平均二次粒子径及び粒状の一
    次粒子形状を有するアルミナ粉末であるアルミニウムデ
    ィスクの研磨用組成物。
  4. 【請求項4】 研磨促進剤が三価又は四価の金属と無機
    酸又は有機酸から形成される塩基性塩である請求項3記
    載のアルミニウムディスクの研磨用組成物。
  5. 【請求項5】 アルミナ砥粒として、更にα型結晶構
    造、50nm〜2μmの一次粒子径、及び200nm〜
    3μmの平均二次粒子径を有するアルミナ粉末を含む請
    求項3記載のアルミニウムディスクの研磨用組成物。
  6. 【請求項6】 アルミナ砥粒として、更にα型結晶構
    造、50nm〜2μmの一次粒子径、及び200nm〜
    3μmの平均二次粒子径を有するアルミナ粉末を含むこ
    と、及び研磨促進剤が三価又は四価の金属と無機酸又は
    有機酸から形成される塩基性塩である請求項3記載のア
    ルミニウムディスクの研磨用組成物。
  7. 【請求項7】 α型結晶構造、60〜150nmの一次
    粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径、及び粒
    状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末。
  8. 【請求項8】 下記の工程(A)、(B)、(C)及び
    (D): (A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含
    有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することに
    より、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる
    工程、(B)(A)工程で得られた当該反応生成物を1
    10〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベー
    マイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁
    液を生成させる工程、(C)(B)工程で得られた当該
    水性懸濁液を100℃以上の温度で乾燥し、更に115
    0〜1300℃の温度で焼成することによりα型結晶構
    造を有するアルミナを生成させる工程、及び(D)
    (C)工程で得られた当該アルミナを乾式又は/及び湿
    式粉砕する工程、からなる、α型結晶構造、60〜15
    0nmの一次粒子径、200〜500nmの平均二次粒
    子径及び粒状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 アルミナ砥粒、水及び研磨促進剤からな
    るアルミニウムディスクの研磨用組成物において、 アルミナ砥粒が、α型結晶構造、60〜150nmの一
    次粒子径、200〜500nmの平均二次粒子径及び粒
    状の一次粒子形状を有するアルミナ粉末であるアルミニ
    ウムディスクの研磨用組成物。
  10. 【請求項10】 研磨促進剤が三価又は四価の金属と無
    機酸又は有機酸から形成される塩基性塩である請求項9
    記載のアルミニウムディスクの研磨用組成物。
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