JPH10340829A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサおよびその製造方法Info
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- JPH10340829A JPH10340829A JP9165230A JP16523097A JPH10340829A JP H10340829 A JPH10340829 A JP H10340829A JP 9165230 A JP9165230 A JP 9165230A JP 16523097 A JP16523097 A JP 16523097A JP H10340829 A JPH10340829 A JP H10340829A
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Abstract
一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気
的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを得る。 【解決手段】 陽極電極箔1と陰極電極箔2とを合成繊
維を主体とする不織布からなるセパレータ3を介して巻
回したコンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキ
シチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応により
ポリエチレンジオキシチオフェンを生成してセパレータ
3で保持することで、マニラ紙のように酸化剤と反応す
ることなく固体電解質を生成し、保持できる。また、コ
ンデンサ素子10を、80℃ないし100℃の水中に1
分ないし10分浸漬してセパレータ中のバインダーを溶
解除去した後、3,4−エチレンジオキシチオフェンと
酸化剤とを含浸することで、セパレータ3中のバインダ
ーによる電気的特性への悪影響を排除する。
Description
ンサおよびその製造方法にかかり、特に導電性高分子を
電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。
ウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチン
グピットを備える陽極電極の表面に、誘電体となる酸化
皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出した
構成からなる。
は、導電性を有する電解質層により行っている。したが
って、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を
担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサ
では、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極は
この液状電解質と外部端子との電気的な接続を担ってい
るにすぎない。
皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。
特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部にお
ける密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしてお
り、従来数々の電解質層が提案されている。
ために高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状
の電解質の替わりに導電性を有する固体の電解質を用い
るもので、なかでも二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いる。
硝酸マンガン水溶液に、タンタルの焼結体からなる陽極
素子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温度で熱分解
して生成している。このような固体電解質層を用いたコ
ンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解の際に酸化皮膜層
が破損し易く、そのため漏れ電流が大きくなる傾向が見
られ、また二酸化マンガン自体の比抵抗も高いためにイ
ンピーダンス特性において充分満足できる特性を得るこ
とは困難であった。また熱処理によるリード線の損傷も
あり、後工程として接続用の外部端子を別途設ける必要
があった。
としては、特開昭58−191414号公報に記載され
たものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶融して
陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成してい
る。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特性や
温度特性において良好な結果を得ることができる。
間で絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製
造過程における温度管理が困難であるほか、TCNQ錯
体自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する
際の半田熱により著しい特性変動が見られる。
つ不都合を解決するため、ポリピロール等の導電性高分
子を固体電解質層として用いることが試みられている。
は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合
法(電解重合)により生成されるが、化学重合では、強
度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であった。一
方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧を印加
する必要があり、そのため表面に絶縁体である酸化皮膜
層が形成された電解コンデンサ用の陽極電極に適用する
ことは困難で、酸化皮膜層の表面に、予め導電性のプレ
コート層、例えば酸化剤を用いて化学重合した導電性高
分子膜をプレコート層とし、その後このプレコート層を
電極として電解重合による電解質層を形成する方法など
が提案されている(特開昭63−173313号公報、
特開昭63−158829号公報:二酸化マンガンをプ
レコート層とする)。
製造工程が煩雑となるほか、電解重合では、陽極電極の
被皮膜面に配置した重合用の外部電極の近傍から固体電
解質層が生成されるため、広範囲にわたって均一な厚さ
の導電性高分子膜を連続的に生成することは非常に困難
であった。
セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコン
デンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等
のモノマー溶液と酸化剤を含浸して化学重合のみにより
生成した導電性高分子膜からなる電解質層を形成するこ
とを試みた。
ルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電
性高分子層をセパレータで保持することで電解重合の煩
雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔状の
電極により容量を拡大させることが期待された。更に、
巻回型のコンデンサ素子を用いることで、両極の電極と
セパレータが一定の緊締力で保持され、両極の電極と電
解質層との密着性に貢献することが期待された。
た混合溶液をコンデンサ素子に含浸したところ、コンデ
ンサ素子の内部にまで固体電解質層が形成されておら
ず、期待された電気的特性を得ることはできないことが
判明した。
浸したり、反応の際の溶液の重合温度を低くしたとこ
ろ、ある程度良好な電気的特性が得られたが、耐圧特性
だけは不充分であるという問題点があった。その原因
は、これらの手段によっても、コンデンサ素子の端面付
近に生成された固体電解質層がそれ以降の溶液の浸透を
妨害してその内部にまで充分な溶液が浸透しておらず、
結果として緻密で均一な固体電解質層を形成するには至
っていないことが原因と考えられた。また、低温で化学
重合をする場合、厳重な温度制御が必要であるほか、製
造装置が複雑になり、結果として製品コストが高くなっ
てしまう問題点もあった。
を重ねたところ、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の
酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチ
オフェン(PEDT)に着目し(特開平2−15611
号公報)、その結果、陽極電極箔と陰極電極箔とを、セ
パレータを介して巻回したコンデンサ素子に、モノマー
と酸化剤とを含浸し、その後緩やかに起きるモノマーと
酸化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレ
ンジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部で生成させ
ることを特徴とする発明を出願した(特願平8−131
374号)。
リエチレンジオキシチオフェンの重合反応速度が緩やか
なため、巻回型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一
な導電性高分子からなる固体電解質層が生成され、電気
的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを得るこ
とができる。
チオフェンを固体電解質に用いた固体電解コンデンサの
場合、酸化剤にp−トルエルスルホン酸第二鉄等を用い
るため、通常の電解コンデンサで用いるマニラ紙等のセ
パレータでは化学反応を起こしてしまい、酸化剤の酸化
作用を損なうばかりか、セパレータの損傷による短絡等
の事故の原因にもなる。
とも検討されたが、通常の厚さが80〜200μmのガ
ラスペーパーを、厚さが40μmのマニラ紙等のセパレ
ータと同程度まで薄くすることは困難であり、また折り
曲げ強度がやや脆弱であるため、製品を小型化すること
が困難になる。また、ガラスペーパーは非親水性である
ため、緻密で均一な導電性高分子の層、すなわち固体電
解質層を生成することが困難であり、製品の電気的特性
に悪影響を及ぼすおそれがある。
子の内部に、緻密で均一な導電性高分子からなる固体電
解質層を生成し、電気的特性に優れかつ大容量の固体電
解コンデンサを得ることを目的としている。
と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデン
サ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化
剤とを含浸して化学重合反応により生成したポリエチレ
ンジオキシチオフェンをセパレータで保持した固体電解
コンデンサにおいて、セパレータに、合成繊維を主体と
する不織布を用いたことを特徴としている。
はビニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイ
ロン繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布か
らなるセパレータを用いている。
とを、合成繊維を主体とする不織布を用いたセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、モノマーである
3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸
することで、コンデンサ素子の内部にまでモノマーと酸
化剤が浸透し、その浸透する過程及び浸透後に起きるモ
ノマーと酸化剤との穏やかな化学重合反応でポリエチレ
ンジオキシチオフェン、すなわち固体電解質層をコンデ
ンサ素子の内部においても生成させ、また固体電解質層
を、その生成過程からセパレータで保持した状態で固体
電解質層を形成している。
ン繊維、またはビニロン繊維とガラス繊維、ポリエステ
ル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、マニラ紙等の紙
繊維とを混抄した不織布に代表される合成繊維を主体と
したセパレータは、酸化剤とも反応せず、かつ溶媒に対
して親和性を有することから、巻回型のコンデンサ素子
の内部にまでモノマーと酸化剤が浸透し易くなり、綿密
で均一な固体電解質層を得ることができるようになる。
また、厚さ80〜200μmのガラスペーパーと比較し
て薄くかつ柔軟性に富むため、結果として電極箔及びセ
パレータの体積当たりの巻回量が増加することになる。
成繊維を主体とする不織布をセパレータとして用いた場
合、所望の静電容量特性や耐熱性が得られにくくなるこ
とが判明した。理由は定かではないが、合成繊維を主体
とする不織布では繊維同士を結合させる接着剤としての
バインダーが不可欠であり、このバインダーが何らかの
影響を与えているものと考えられた。
サの製造方法では、陽極電極箔と陰極電極箔とを不織布
からなるセパレータを介して巻回したコンデンサ素子
を、80℃ないし100℃の水中に1分ないし10分浸
漬してセパレータ中のバインダーを溶解除去した後、
3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸
して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェ
ンを生成することを特徴としている。そして、この製造
方法に加えて、セパレータ中のバインダーを溶解除去し
た後に、80℃ないし120℃で前記コンデンサ素子を
乾燥させ、その後、3,4−エチレンジオキシチオフェ
ンと酸化剤とを含浸することもできる。
素子を80℃ないし100℃の水中に1分ないし10分
浸漬する工程と80℃ないし120℃で前記コンデンサ
素子を乾燥する工程を少なくとも2回以上繰り返すと更
に好適である。
面を用いて説明する。図1は、本発明の固体電解コンデ
ンサで、アルミニウム等の弁作用金属からなり表面に酸
化皮膜層が形成された陽極電極箔1と、陰極電極箔2と
を、ビニロン繊維を主体とする不織布からなるセパレー
タ3を介して巻回してコンデンサ素子10を形成する。
そして、このコンデンサ素子10に3,4−エチレンジ
オキシチオフェンと酸化剤とを含浸し、コンデンサ素子
10中での化学重合反応により生成したポリエチレンジ
オキシチオフェンを固体電解質層5としてセパレータ3
で保持している。
金属からなり、図2に示すように、その表面を、塩化物
水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化
して多数のエッチングピット8を形成している。更にこ
の陽極電極箔1の表面には、ホウ酸アンモニウム等の水
溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層4を形
成している。
ルミニウム等からなり、表面にエッチング処理のみが施
されているものを用いる。
れの電極を外部に接続するためのリード線6、7が、ス
テッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されてい
る。このリード線6、7は、アルミニウム等からなり、
陽極電極箔1、陰極電極箔2との接続部と外部との電気
的な接続を担う外部接続部からなり、巻回したコンデン
サ素子10の端面から導出される。
る不織布で、別の実施の形態として、ビニロン繊維と、
ガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨ
ン繊維、マニラ紙等の紙繊維などとを混抄した不織布を
用いることもできる。なお、上記不織布は、坪量が6〜
36g/m2 、繊維径5〜30μm、厚さ30〜150
μm、密度0.2〜0.5g/cm3 のものを用いてい
る。
1と陰極電極箔2とを、セパレータ3を間に挟むように
して巻き取って形成している。両極電極箔1、2の寸法
は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意で
あり、セパレータ3も両極電箔1、2の寸法に応じてこ
れよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
特開平2−15611号公報等により開示された公知の
製法により得ることができる。また、酸化剤は、ブタノ
ールに溶解したp−トルエンスルホン酸第二鉄を用いて
いる。この酸化剤におけるブタノールとp−トルエンス
ルホン酸第二鉄の比率は任意でよいが、本発明では1:
1のものを用いている。この3,4−エチレンジオキシ
チオフェンと酸化剤との配合比は1:3ないし1:15
の範囲が好適である。
造方法と、それによって得られる固体電解コンデンサに
ついて具体的に説明する。 (実施例1)陽極電極箔1及び陰極電極箔2は、弁作用
金属、例えばアルミニウム、タンタルからなり、その表
面には予めエッチング処理が施されて表面積が拡大され
ている。陽極電極箔1については、更に化成処理が施さ
れ、表面に酸化アルミニウムからなる酸化皮膜層4が形
成されている。この陽極電極箔1及び陰極電極箔2を、
厚さ50μm、坪量12g/m2 のビニロン繊維を主体
とする不織布からなるセパレータ3を介して巻回し、コ
ンデンサ素子10を得る。
は、径寸法が4φ、縦寸法が7mm、また定格電圧は1
6WV、定格静電容量は10μFのものを用いている。
なお、コンデンサ素子10の陽極電極箔1、陰極電極箔
2にはそれぞれリード線6、7が電気的に接続され、コ
ンデンサ素子10の端面から突出している。
10を、100℃の水中に5分間浸漬してセパレータ中
のバインダーを溶解除去する。この工程は、必要に応じ
て、一定の間隔を置いて数回繰り返してもよい。
エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸する。酸
化剤は、ブタノールに溶解したp−トルエンスルホン酸
第二鉄を用い、3,4−エチレンジオキシチオフェンと
酸化剤との配合比は、1:3〜1:15の範囲が好適で
あるが、この実施例では1:5のものを用いた。
ェンと酸化剤とを含浸したコンデンサ素子10を、25
℃ないし150℃の重合温度で、15時間ないし2時間
放置して重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェ
ン、すなわち固体電解質層5を生成させる。
ぞれ重合温度が高くなると、製造された固体電解コンデ
ンサの電気的特性のうち、静電容量、tanδ、インピ
ーダンス特性が良くなるものの、漏れ電流特性が悪くな
る傾向が見られることから、製造するコンデンサ素子1
0の仕様に応じて前記の範囲内で任意に変更することが
できる。
2との間に介在したセパレータ3に固体電解質層5が形
成されたコンデンサ素子10は、例えばその外周に外装
樹脂を被覆して固体電解コンデンサを形成する。
箔1及び陰極電極箔2を、厚さ50μm、坪量12g/
m2 のビニロン繊維を主体とする不織布からなるセパレ
ータ3を介して巻回し、コンデンサ素子10を形成す
る。そして、このコンデンサ素子10を、100℃の水
中に5分間浸漬してセパレータ中のバインダーを溶解除
去した後、100℃でコンデンサ素子10を10分間乾
燥させた。
に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを
含浸してポリエチレンジオキシチオフェンを生成した
後、外装樹脂を被覆して、定格電圧6.3WV、定格静
電容量33μFの固体電解コンデンサを得る。
ンデンサ素子10を、100℃の水中に5分間浸漬して
セパレータ中のバインダーを溶解除去した後、100℃
でコンデンサ素子10を10分間乾燥させ、これら浸漬
及び乾燥の一連の工程を2回繰り返した。このコンデン
サ素子10に実施例1と同様に、3,4−エチレンジオ
キシチオフェンと酸化剤とを含浸してポリエチレンジオ
キシチオフェンを生成した後、外装樹脂を被覆して、定
格電圧6.3WV、定格静電容量33μFの固体電解コ
ンデンサを得る。
固体電解コンデンサと、従来の固体電解コンデンサとの
電気的な特性について比較する。 (比較例1)アルミニウムからなる陽極電極箔及び陰極
電極箔を、厚さ150μm、坪量20g/m2 のガラス
ペーパーからなるセパレータを介して巻回してコンデン
サ素子を形成し、このコンデンサ素子に、3,4−エチ
レンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して実施例1
と同様にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体
電解質層を生成し、定格電圧16WV、定格静電容量1
0μFの固体電解コンデンサを形成した。
極箔及び陰極電極箔を、厚さ50μm、坪量12g/m
2 のビニロン繊維を主体とする不織布からなるセパレー
タを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコン
デンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと
酸化剤とを含浸して実施例1と同様にポリエチレンジオ
キシチオフェンからなる固体電解質層を生成し、定格電
圧6.3WV、定格静電容量33μFの固体電解コンデ
ンサを得る。
1、比較例2のそれぞれ初期特性を測定した。その結果
を以下に示す。なお、表1に示した実施例1と比較例1
は、それぞれ定格電圧20WV、定格静電容量10μF
であり、表2に示した実施例2、実施例3と比較例2は
それぞれ定格電圧6.3WV、定格静電容量33μFで
ある。また「容量出現率」とは、測定した静電容量の定
格静電容量に対する比率を示している。
固体電解コンデンサでは、ガラスペーパーを用いた比較
例1との対比でほぼ同じレベルの特性が得られた。した
がって、ビニロン繊維を主体とする不織布からなるセパ
レータを用いた実施例1の体積効率は、比較例1よりも
向上していることになる。また、表2から明らかなよう
に、実施例2および実施例3による固体電解コンデンサ
の容量出現率は、比較例2と比較して高く、合成繊維か
らなる不織布のバインダーの影響が軽減していることを
示している。
エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学
重合反応により生成したポリエチレンジオキシチオフェ
ンをセパレータで保持した固体電解コンデンサにおい
て、セパレータに、合成繊維を主体とする不織布を用い
ている。また、セパレータとしては、ビニロン繊維、ま
たはビニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナ
イロン繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布
からなるセパレータを用いている。これらのセパレータ
は、通常の電解コンデンサで用いるマニラ紙等のセパレ
ータの厚さ40μmと同程度の厚みでありながら、酸化
剤と化学的に反応せず、かつ酸化剤の溶媒に対して親和
性を有するため、含浸するモノマーや酸化剤の浸透性を
損なわせることなく、コンデンサ素子の体積効率を向上
させることができ、固体電解コンデンサの小型化または
大容量化を実現することができる。
の製造方法では、陽極電極箔と陰極電極箔とを不織布か
らなるセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を、
80℃ないし100℃の水中に1分ないし10分浸漬し
てセパレータ中のバインダーを溶解除去し、あるいはそ
の後に80℃ないし120℃でコンデンサ素子を乾燥さ
せているので、セパレータとして用いる不織布中のバイ
ンダーが溶解除去され、バインダーに起因して生じる静
電容量の減少を防ぐことができる。
ある。
Claims (7)
- 【請求項1】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレン
ジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応
により生成したポリエチレンジオキシチオフェンをセパ
レータで保持した固体電解コンデンサにおいて、セパレ
ータに、合成繊維を主体とする不織布を用いた固体電解
コンデンサ。 - 【請求項2】 セパレータが、ビニロン繊維、またはビ
ニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン
繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布からな
る請求項1記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項3】 陽極電極箔と陰極電極箔とを不織布から
なるセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を、8
0℃ないし100℃の水中に1分ないし10分浸漬して
セパレータ中のバインダーを溶解除去した後、3,4−
エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学
重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成
する固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項4】 セパレータが、ビニロン繊維、またはビ
ニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン
繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布からな
る請求項3ないし請求項4記載の固体電解コンデンサの
製造方法。 - 【請求項5】 請求項3記載の固体電解コンデンサの製
造方法に加えて、セパレータ中のバインダーを溶解除去
した後、80℃ないし120℃で前記コンデンサ素子を
乾燥させ、その後、3,4−エチレンジオキシチオフェ
ンと酸化剤とを含浸する固体電解コンデンサの製造方
法。 - 【請求項6】 セパレータが、ビニロン繊維、またはビ
ニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン
繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布からな
る請求項5記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項7】 請求項5記載の製造方法において、コン
デンサ素子を80℃ないし100℃の水中に1分ないし
10分浸漬する工程と80℃ないし120℃で前記コン
デンサ素子を乾燥する工程を少なくとも2回以上繰り返
す固体電解コンデンサの製造方法。
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