JPH1187178A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサの製造方法Info
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- JPH1187178A JPH1187178A JP25023797A JP25023797A JPH1187178A JP H1187178 A JPH1187178 A JP H1187178A JP 25023797 A JP25023797 A JP 25023797A JP 25023797 A JP25023797 A JP 25023797A JP H1187178 A JPH1187178 A JP H1187178A
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Abstract
一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気
的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可
能な、生産性に優れた製造方法を提供する。 【解決手段】 陽極箔1と、陰極箔2とを、セパレータ
3を介して巻回したコンデンサ素子10に、3,4−エ
チレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜
1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸した後、
コンデンサ素子10を熱処理する。この後、コンデンサ
素子10に酸化剤溶液を含浸して、セパレータ3に浸透
した前記モノマー溶液との化学重合反応によりポリエチ
レンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成す
る。
Description
サの製造方法に係り、特に、導電性高分子を電解質に用
いた固体電解コンデンサに関する。
ウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチン
グピットを備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化
皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出して
構成されている。
は、導電性を有する電解質層により行っている。したが
って、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を
担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサ
では、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極は
この液状電解質と外部端子との電気的な接続を担ってい
るにすぎない。
皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。
特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部にお
ける密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしてお
り、従来数々の電解質層が提案されている。
ために高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状
の電解質の替わりに導電性を有する固体の電解質を用い
るもので、なかでも二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いる。
解質層は、硝酸マンガン水溶液に、タンタルの焼結体か
らなる陽極素子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温
度で熱分解して生成している。このような固体電解質層
を用いたコンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解の際に
酸化皮膜層が破損し易く、そのため漏れ電流が大きくな
る傾向が見られ、また二酸化マンガン自体の比抵抗も高
いためにインピーダンス特性において充分満足できる特
性を得ることは困難であった。また熱処理によるリード
線の損傷もあり、後工程として接続用の外部端子を別途
設ける必要があった。
デンサとしては、特開昭58−191414号公報に記
載されたものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶
融して陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成し
ている。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特
性や温度特性において良好な結果を得ることができる。
近く、温度コントロールによっては溶融したのち短時間
で絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製造
過程における温度管理が困難であるほか、TCNQ錯体
自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する際
のはんだ熱により著しい特性変動が見られる。
CNQ錯体の持つ不都合を解決するため、最近では、ポ
リピロール等の導電性高分子を固体電解質層として用い
ることが試みられている。
は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合
法(電解重合)により生成されるが、化学重合では、強
度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であった。一
方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧を印加
する必要があり、そのため表面に絶縁体である酸化皮膜
層が形成された電解コンデンサ用の陽極電極に適用する
ことは困難で、酸化皮膜層の表面に、予め導電性のプレ
コート層、例えば酸化剤を用いて化学重合した導電性高
分子膜をプレコート層とし、その後このプレコート層を
電極として電解重合による電解質層を形成する方法など
が提案されている(特開昭63−173313号公報、
特開昭63−158829号公報:二酸化マンガンをプ
レコート層とする)。
製造工程が煩雑となるほか、電解重合では、陽極電極の
被皮膜面に配置した重合用の外部電極の近傍から固体電
解質層が生成されるため、広範囲にわたって均一な厚さ
の導電性高分子膜を連続的に生成することは非常に困難
であった。
セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコン
デンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等
のモノマーと酸化剤を浸漬して化学重合のみにより生成
した導電性高分子膜からなる電解質層を形成することが
試みられた。
ルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電
性高分子層をセパレータで保持することで電解重合の煩
雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔状の
電極により容量を拡大させることが期待された。
ことで、両極の電極とセパレータが一定の緊締力で保持
され、両極の電極と電解質層との密着性に貢献すること
が期待された。
合溶液をコンデンサ素子に含浸した場合には、モノマー
と酸化剤の重合反応が急激に進むために、コンデンサ素
子の内部にまで固体電解質層が形成されておらず、期待
された電気的特性を得ることはできないことが判明し
た。
する試みがなされ、ある程度良好な電気的特性が得られ
たが、耐圧特性だけは不充分であるという問題点があっ
た。また、低温で化学重合をする場合、厳重な温度制御
が必要であるほか、製造装置が複雑になり、結果として
製品コストが高くなってしまう問題点もあった。
討が重ねられており、反応速度が緩やかで、かつ陽極電
極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキ
シチオフェン(PEDT)に着目した技術(特開平2−
15611号公報)が存在している。
オフェンの重合反応速度が緩やかなことに着目して、陽
極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回した
コンデンサ素子に、モノマーと酸化剤溶液とを混合した
混合溶液を含浸し、その後緩やかに起きるモノマーと酸
化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレン
ジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部で生成するこ
とを特徴とする発明(特願平8−131374号)を出
願した。
に、コンデンサ素子にポリエチレンジオキシチオフェン
からなる固体電解質層を生成するために、モノマーと酸
化剤溶液とを混合した混合溶液を含浸した場合には、こ
の混合溶液の重合反応が経時的に進行することから、混
合溶液は、重合反応と並行してコンデンサ素子に含浸さ
れることになる。そのため、コンデンサ素子内部まで混
合溶液が浸透せずに途中で固まること等により、生成さ
れる固体電解質層が不均一になり易い。また、このよう
に混合溶液が途中で固まった場合を見越して、さらに混
合溶液を内部に浸透させるためには、混合溶液を連続的
に含浸することになるが、このような混合溶液の連続的
な含浸は、材料面及び時間面での無駄が多く、生産性を
低下させる。
決するために提案されたものであり、その目的は、巻回
型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一な導電性高分
子からなる固体電解質層を生成し、電気的特性に優れか
つ大容量の固体電解コンデンサを製造可能な、生産性に
優れた製造方法を提供することである。
に、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極電
極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコン
デンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと
酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジ
オキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造
方法において、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジ
オキシチオフェンからなるモノマーを含浸した後、酸化
剤を含浸するようにしたものである。
デンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンか
らなるモノマーを含浸する工程と、前記モノマーを含浸
する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤を含浸する工
程を有することを特徴としている。
の製造方法は、化学重合による固体電解質層の生成は、
コンデンサ素子中のモノマーの分布状態によって決定さ
れるとの知見に基づき、モノマーの分布状態の改善を意
図したものである。すなわち、請求項1に記載の製造方
法においては、モノマーと酸化剤をこの順序で別々に含
浸することにより、先に含浸されてコンデンサ素子内部
に分布したモノマーと後から含浸された酸化剤がコンデ
ンサ素子の内部で化学重合するため、巻回型のコンデン
サ素子の内部に、緻密で均一なポリエチレンジオキシチ
オフェンからなる固体電解質層を生成することができ
る。
素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性
溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工程と、この
工程の後に、コンデンサ素子を熱処理する工程と、この
工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸する工
程を有することを特徴としている。
の製造方法によれば、単純にモノマーと酸化剤溶液とを
個別に含浸するだけでなく、モノマーを揮発性溶媒で希
釈して含浸し、熱処理した後に、酸化剤溶液を含浸して
いるため、次のような作用が得られる。
づいて、単にモノマーと酸化剤を個別に含浸する場合に
は、体積比で約1:3〜1:6と、圧倒的にモノマー量
が少ないため、コンデンサ素子中でモノマー量の偏りが
生じ、得られるコンデンサの特性が不十分となる可能性
がある。なお、この場合のコンデンサの特性を向上する
ために、熱処理を施すことも考えられるが、コンデンサ
の特性を満足できる程度まで向上するためには、少なく
とも、モノマーの含浸後、一定の温度で長時間放置する
必要があり、生産性の向上は難しい。
においては、モノマーである3,4−エチレンジオキシ
チオフェンを揮発性溶媒で希釈することにより、モノマ
ーをコンデンサ素子へ均一に含浸することが可能とな
り、続く熱処理によって揮発性溶媒を揮発させることが
できる。したがって、この後の酸化剤溶液の含浸によ
り、この酸化剤溶液とコンデンサ素子に均一に含浸され
たモノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコ
ンデンサ素子の内部に、より緻密で均一なポリエチレン
ジオキシチオフェンからなるより高品質の固体電解質層
を生成することができる。さらに、熱処理時間も短時間
で済むため、生産性にも優れている。
1に記載の製造方法において、さらに揮発性溶媒の材料
を具体的に限定したものである。まず、請求項3に記載
の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前
記揮発性溶媒として、炭化水素類、エーテル類、エステ
ル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選
択された材料を使用することを特徴としている。また、
請求項4に記載の製造方法は、請求項3に記載の製造方
法において、前記揮発性溶媒として、メタノール、エタ
ノール、アセトンの中から選択された材料を使用するこ
とを特徴としている。
記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、使用される
揮発性溶媒としては、3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンと相互溶解して揮発性が高く、かつ、アルミニウム
等からなる電極箔に作用しないものであれば、何でも使
用可能である。しかし、特に、請求項3に記載のよう
に、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、
アルコール類、窒素化合物等を使用することにより、以
上のような揮発性溶媒に要求される条件を満たすことが
できる。すなわち、これらの材料を揮発性溶媒として使
用することにより、モノマーの均一的な含浸を促進でき
ると共に、電極箔への悪影響を生じることがない。
も、特に、現状では、請求項4に記載のように、メタノ
ール、エタノール、アセトン等を使用することが望まし
い。すなわち、メタノール、エタノール、及びアセトン
は、上に列挙した材料の中で、特に安価であり、取り扱
いも比較的容易であるため、これらの材料のいずれかを
本発明に係る揮発性溶媒として使用することにより、生
産性をより向上できる。
記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する
工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発
性溶媒を別々に含浸することを特徴としている。
の製造方法によれば、次のような作用が得られる。ま
ず、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー
溶液を含浸する工程では、モノマーと揮発性溶媒とを混
合したモノマー溶液をそのままコンデンサ素子に含浸す
ることも可能である。しかし、この場合には、混合した
後に揮発性溶媒が揮発して経時的に組成が変化してしま
う可能性もあるため、請求項5に記載のように、モノマ
ーと揮発性溶媒とを別々に含浸することにより、組成変
化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸するこ
とができる。
記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する
工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発
性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー
溶液を含浸することを特徴している。
の製造方法によれば、次のような作用が得られる。ま
ず、請求項2に記載の製造方法において、モノマーと揮
発性溶媒の体積比は適宜選択可能であるが、揮発性溶媒
の割合が少なすぎると、揮発性溶媒の使用によるモノマ
ーの均一な分布作用が十分に得られず、また、揮発性溶
媒の割合が多すぎても、大量の揮発性溶媒が無駄に消費
されるだけである。そのため、具体的には、請求項6に
記載のように、モノマーと揮発性溶媒を1:1〜1:3
の体積比で混合したモノマー溶液を含浸することによ
り、コンデンサ素子に対して、モノマーを均一に含浸す
ることができ、コンデンサ内部に高品質の固体電解質層
を生成することができる。また、必要最小限の揮発性溶
媒を使用するだけであるため、生産性を低下させること
もない。
コンデンサの製造方法の一つの実施の形態について、図
面を参照して具体的に説明する。
てなる固体電解コンデンサを示しており、具体的には、
次の手順で製造されている。まず、アルミニウム等の弁
作用金属からなり表面に酸化皮膜層が形成された陽極電
極箔(陽極箔)1と、陰極電極箔(陰極箔)2とを、セ
パレータ3を介して巻回してコンデンサ素子10を形成
する。
−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1
〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸する。
具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮
発性溶媒とをコンデンサ素子10に含浸する。そして、
このようにモノマー溶液を含浸させたコンデンサ素子1
0を熱処理することにより、揮発性溶媒を揮発させる。
を含浸して、セパレータ3に浸透した前記モノマー溶液
との化学重合反応によりポリエチレンジオキシチオフェ
ンからなる固体電解質層5を生成する。この固体電解質
層5は、セパレータ3で保持される。
に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒
とを混合したモノマー溶液を含浸する方法や、熱処理後
に酸化剤溶液を含浸する方法としては、公知の手段、例
えば減圧含浸法、加圧含浸法等を用いることができる。
ここで、3,4−エチレンジオキシチオフェンは、特開
平2−15611号公報等により開示された公知の製法
により得ることができる。
類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール
類、窒素化合物の中から選択された材料を用いる。より
具体的に、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン等
が使用可能であり、エーテル類としては、テトラヒドロ
フラン、ジプロピルエーテル等が使用可能である。ま
た、エステル類としては、ギ酸エチル、酢酸エチル等が
使用可能であり、ケトン類としては、アセトン、メチル
エチルケトン等が使用可能である。さらに、アルコール
類としては、メタノール、エタノール、プロパノール等
が使用可能であり、窒素化合物としては、アセトニトリ
ル等が使用可能である。
前述したように、メタノール、エタノール、アセトン等
を使用することが望ましい。なお、水は、3,4−エチ
レンジオキシチオフェンにほとんど溶解しないため、水
を揮発性溶媒として用いることは好ましくない。
−トルエンスルホン酸第二鉄を用いている。この場合、
ブタノールとp−トルエンスルホン酸第二鉄の比率は任
意でよいが、本発明では一例として、40〜60%溶液
を用いている。なお、3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンと酸化剤との配合比は1:3〜1:6の範囲が好適
である。
用金属からなり、図2に示すように、その表面を、塩化
物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面
化して多数のエッチングピット8を形成している。さら
に、この陽極箔1の表面には、ホウ酸アンモニウム等の
水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層4を
形成している。陰極箔2は、陽極箔1と同様にアルミニ
ウム等からなり、表面にエッチング処理のみが施されて
いるものを用いる。
極を外部に接続するためのリード線6、7が、ステッ
チ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。
このリード線6、7は、アルミニウム等からなり、陽極
箔1、陰極箔2との接続部と外部との電気的な接続を担
う外部接続部を構成しており、巻回したコンデンサ素子
10の端面から導出される。
レータや、ガラスペーパーもしくはガラスペーパーと、
マニラ紙、クラフト紙等の紙とを混抄したセパレータ
(特願平8−131374号)を用いてもよいが、ビニ
ロン繊維を主体とする不織布や、ビニロン繊維と、ガラ
ス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊
維、マニラ紙等の紙繊維等とを混抄した不織布(特願平
9−165230号)を用いることが望ましい。
陰極箔2とを、セパレータ3を間に挟むようにして巻き
取って形成している。両電極箔1、2の寸法は、製造す
る固体電解コンデンサの仕様に応じて任意であり、セパ
レータ3も両電極箔1、2の寸法に応じてこれよりやや
大きい幅寸法のものを用いればよい。
作用は次の通りである。すなわち、モノマーである3,
4−エチレンジオキシチオフェンの量は、酸化剤に比べ
て圧倒的に少ないため、このモノマーのみをコンデンサ
素子10に含浸した場合にはコンデンサ素子10中でモ
ノマー量の偏りを生じやすいが、本実施の形態のよう
に、モノマーを、メタノール、エタノール、アセトン等
の揮発性溶媒で希釈することにより、モノマーをコンデ
ンサ素子10へ均一に含浸することが可能となる。この
場合、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液
をそのままコンデンサ素子10に含浸することも可能で
あるが、本実施の形態においては、特に、モノマーと揮
発性溶媒とを別々に含浸することにより、経時的な変化
の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸すること
ができる。
媒を含浸したコンデンサ素子10を熱処理することによ
って、揮発性溶媒を揮発させることができる。
の酸化剤溶液とコンデンサ素子10に均一に含浸された
モノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコン
デンサ素子10の内部に、緻密で均一なポリエチレンジ
オキシチオフェンからなる固体電解質層5を生成するこ
とができる。
優れている。また、揮発性溶媒として、安価で取り扱い
も比較的容易なメタノール、エタノール、アセトン等を
使用することにより、生産性をより向上できる。
造方法と、それによって得られる固体電解コンデンサの
実施例について、比較例と比較しながら具体的に説明す
る。まず、次の表1は、本発明を適用した典型的な実施
例1〜5と、比較例1〜3の、固体電解質層生成用の手
順を比較的に示している。
本発明に係る実施例1は、モノマーの含浸処理を行い、
さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸する
例である。そして、実施例2〜5は、アセトンやメタノ
ール等の揮発性溶媒を使用してモノマーの含浸処理を行
い、さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸
する例であり、使用する揮発性溶媒の種類とそのモノマ
ーとの体積比について差異を持たせたものである。ま
た、比較例2,3は、揮発性溶媒を使用せずに室温で放
置する例であり、モノマー含浸から酸化剤含浸までの時
間に差異を持たせたものである。さらに、比較例1は、
従来技術に係るモノマーと酸化剤の混合液を含浸する技
術を適用した例である。以上のような実施例1〜5と比
較例1〜3のそれぞれについて、初期特性を測定したと
ころ、次の表2に示すような結果が得られた。
る実施例1〜5は、静電容量、tanδ、及び等価直列
抵抗(ESR)のいずれの特性に関しても、比較例1〜
3に比べて良好な値を示している。また、比較例2、3
は、比較例1に比べれば良好な値を示しているが、特
に、比較例3は、モノマー含浸から酸化剤含浸までに長
時間を要するものであり、数分程度の短時間の熱処理を
行う実施例1〜5に比べて生産性が低い。
1〜5に限定されるものではなく、揮発性溶媒の種類は
適宜選択可能であり、モノマーと揮発性溶媒との体積比
も、1:1〜1:3の範囲内で適宜選択可能である。ま
た、前記実施例においては、モノマーと揮発性溶媒とを
混合したモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸したが、
モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することも可能で
あり、この場合には、組成変化の少ないモノマー溶液を
コンデンサ素子に含浸することができる。さらに、酸化
剤やその溶媒の種類、およびその比率等も適宜選択可能
である。
電解コンデンサの製造方法によれば、ポリエチレンジオ
キシチオフェンからなる固体電解質層を生成する際に、
コンデンサ素子にモノマーを含浸した後に酸化剤を含浸
することにより、巻回型のコンデンサ素子の内部に、均
一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気
的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可
能である。
いては、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶
液をコンデンサ素子に含浸し、コンデンサ素子を熱処理
した後、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸することに
より、巻回型のコンデンサ素子の内部に、より高品質の
固体電解質層を生成することができるため、より高い電
気的特性を持つ固体電解コンデンサを製造可能である。
この製造方法は、特に、数分程度の熱処理を行うだけで
あり、安価で取り扱いの容易な揮発性溶媒を使用できる
ため、生産性に優れており、極めて実用的な製造方法で
ある。
す分解斜視図。
る陽極箔を示す拡大断面図。
Claims (6)
- 【請求項1】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレン
ジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応
によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体
電解コンデンサの製造方法において、 コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェ
ンからなるモノマーを含浸する工程と、 前記モノマーを含浸する工程の後に、コンデンサ素子に
酸化剤を含浸する工程を有することを特徴とする固体電
解コンデンサの製造方法。 - 【請求項2】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレン
ジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応
によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体
電解コンデンサの製造方法において、 コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェ
ンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工
程と、 前記モノマー溶液を含浸する工程の後に、コンデンサ素
子を熱処理する工程と、 前記熱処理する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶
液を含浸する工程を有することを特徴とする固体電解コ
ンデンサの製造方法。 - 【請求項3】 前記揮発性溶媒として、炭化水素類、エ
ーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素
化合物の中から選択された材料を使用することを特徴と
する請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項4】 前記揮発性溶媒として、メタノール、エ
タノール、アセトンの中から選択された材料を使用する
ことを特徴とする請求項3記載の固体電解コンデンサの
製造方法。 - 【請求項5】 前記モノマー溶液を含浸する工程中で、
3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒を別
々に含浸することを特徴とする請求項2記載の固体電解
コンデンサの製造方法。 - 【請求項6】 前記モノマー溶液を含浸する工程中で、
3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを
1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸
することを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデン
サの製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25023797A JP3911785B2 (ja) | 1997-09-16 | 1997-09-16 | 固体電解コンデンサの製造方法 |
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