JP2008270845A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ナイロン繊維を主体繊維とし、PVAをバインダーとしたセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。その後に80℃以上100℃未満の温水に5〜120分浸漬し、80℃以上250℃未満で10〜180分熱処理する。そして、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
【選択図】なし
Description
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ナイロン繊維を主体繊維とし、PVAをバインダーとしたセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。その後に、80℃以上100℃未満の温水に5〜120分浸漬し、80℃以上250℃未満で10〜180分熱処理する。
なお、上記温水浸漬処理及び熱処理は、いずれか一方でも良い。
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。
なお、セパレータに対するバインダーの含有量は10〜20wt%が好ましい。また、本発明のセパレータは耐熱性が良好なので、鉛フリーリフローにも耐え得ることが確認されている。
なお、このことは、導電性ポリマーを形成した後のコンデンサ素子を観察した結果、ナイロン繊維が少なくなっていることから判明したものである。
本発明においては、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に熱処理を施すと、ESRがさらに低減することが判明した。その理由は、ナイロン繊維の分解が促進されるためと考えられる。なお、この熱処理温度は80〜250℃が好ましく、より好ましくは90〜170℃であり、熱処理時間は10〜180分が好ましく、より好ましくは30〜120分である。
また、本発明においては、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に温水浸漬処理を行うと、ESRはさらに低減することが判明した。その理由は、PVAの酸化皮膜への付着状態が向上するためと考えられる。なお、この温水の温度は80〜100℃が好ましく、より好ましくは90〜100℃であり、浸漬時間は5〜120分が好ましく、より好ましくは60〜120分である。
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(実施例1)
ナイロン繊維を主体繊維とし、PVAをバインダー(セパレータに対するバインダーの含有量は15%)として用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を90℃の温水に60分浸漬した後、100℃で10分間熱処理した。
一方、所定の容器に、EDTと50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、5.2Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は4WV、定格容量は150μFである。
修復化成後、コンデンサ素子を90℃の温水に10分浸漬した後、170℃で120分間熱処理した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
修復化成後、コンデンサ素子を90℃の温水に60分浸漬した後、170℃で120分間熱処理した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
修復化成後、温水浸漬処理及び熱処理のいずれも行わずに重合工程に移行した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例)
PET繊維を主体繊維とし、PETをバインダー(セパレータに対するバインダーの含有量は15%)として用いたセパレータを用い、修復化成後、温水浸漬処理及び熱処理のいずれも行わずに重合工程に移行した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
このことから、ナイロン繊維を主体繊維とし、PVAバインダーを用いたセパレータを使用した方がESRの低減効果は大きく、また、修復化成後、温水浸漬処理及び熱処理を行う方が、ESRの低減効果はより大きいことが分かった。
Claims (4)
- 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸して、導電性ポリマーを形成した固体電解コンデンサにおいて、
ナイロン繊維を主体繊維としポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを用いたコンデンサ素子を熱処理して、酸化剤によるセパレータの粗密化を促進させたことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記セパレータとして、ナイロン繊維を主体繊維としポリビニルアルコールをバインダーとしたセパレータを用い、前記コンデンサ素子を形成した後、熱処理により、酸化剤によるセパレータの粗密化を促進させたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記熱処理が80℃以上250℃未満であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記コンデンサ素子を形成した後、80℃以上100℃未満の温水に浸漬することを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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