ところで、チラー装置では、定期的に構成機器のメンテナンスを行う必要がある。特に、チラー装置では、圧縮機、水熱交換器、及び電動部品を制御するための制御装置等のメンテナンスが重要になる。
この点について、上記横長タイプのチラー装置では、横方向に複数台連設しても、縦方向の長さが短いため、チラー装置の縦方向の一方側と他方側とから容易に各構成機器にアクセスすることができる。一方、上記縦長タイプのチラー装置では、横方向に複数台連設したときに、縦方向の長さが長いため、縦方向の中央付近に配置された構成機器へのアクセスが困難となり、各構成機器のメンテナンス作業を行い難いという問題がある。
そこで、各縦長タイプのチラー装置を、横方向に複数台連設する際に、各チラー装置の間に作業者が入り込めるメンテナンス用の作業スペースを空けて配置することが考えられる。しかしながら、そのような構成では、連設されるチラー装置の台数が多くなるに従って、設置スペース全体に占める作業スペースの割合が大きくなるという問題がある。そこで、各縦長タイプのチラー装置において、作業スペースを空けるのではなくメンテナンスを要する構成機器をアクセスが容易な縦方向の端部に配置することも考えられる。しかしながら、チラー装置は、クレーン等で吊り上げてビル等の屋上に搬送することがある。そのため、上述のような構成機器をアクセス容易な箇所に配置する配置構成では、重心が中央に位置せずに偏るおそれがあり、そのためにクレーンでの搬送が困難になるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、横方向に複数台連続して設置した場合であっても、メンテナンス作業が容易で且つ搬送性に優れた縦長形状のチラー装置を提供することにある。
第1、第3及び第6の発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(30)に接続されて冷媒と空気とを熱交換させる空気熱交換器(33)と、該空気熱交換器(33)に空気を導く送風ファン(33a)とを構成機器として少なくとも有する複数の空冷ユニット(11〜14)と、上記冷媒回路(30)に接続されて冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器(21,22)とポンプ(23)とが構成機器として接続され、所定の利用側装置に接続されて該利用側装置と上記水熱交換器(21,22)との間において水を循環させる水回路(20)と、上部に上記複数の空冷ユニット(11〜14)が水平方向に一列に設置されると共に、内部に上記水回路(20)の構成機器が設置された支持架台(50)とを備え、平面視において上記複数の空冷ユニット(11〜14)の配列方向である縦方向の長さが横方向の長さよりも長い縦長形状に形成されたチラー装置であって、上記支持架台(50)の縦方向の中央部分には、作業者が入って作業を行うための作業スペース(S0)が形成され、上記複数の空冷ユニット(11〜14)は、上記支持架台(50)の上部において、上記作業スペース(S0)の一方側と他方側とに配置され、上記水回路(20)の構成機器は、上記支持架台(50)の内部において、上記作業スペース(S0)の一方側の第1空間(S1)と他方側の第2空間(S2)とに分けて配置されている。
第1、第3及び第6の発明では、縦長形状のチラー装置(10)において、支持架台(50)の上部に設置される複数の空冷ユニット(11〜14)と、支持架台(50)の内部に設置される水回路(20)の構成機器とが、支持架台(50)の縦方向の中央部分に形成された作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて配置されている。このように、支持架台(50)の上部と内部において、各構成機器が、縦方向の一方側と他方側とに分けて配置されることにより、重心が縦方向の中央部分に位置することとなる。
また、第1、第3及び第6の発明では、縦長形状のチラー装置(10)において、支持架台(50)の縦方向の中央部分に、作業者が入って作業を行うための作業スペース(S0)が形成されている。そのため、上記チラー装置(10)では、縦方向の中央部分付近に設置された構成機器のメンテナンスは、作業スペース(S0)に入り込んだ作業者によって行われ、縦方向の端部付近に設置された構成機器のメンテナンスは、チラー装置(10)の外側から作業者によって行われる。
また、第1の発明は、上記構成に加え、上記水回路(20)は、上記水熱交換器(21,22)を2つ備え、上記2つの水熱交換器(21,22)は、上記第1空間(S1)と上記第2空間(S2)とに1つずつ設置され、該第1空間(S1)から第2空間(S2)へ上記作業スペース(S0)を跨ぐ水配管(27,28)によって直列に接続される一方、上記第1空間(S1)に設けられた上記水熱交換器(22)は、該第1空間(S1)の上方に設置された上記空冷ユニット(11,12)の空気熱交換器(33)と接続され、上記第2空間(S2)に設けられた上記水熱交換器(21)は、該第2空間(S2)の上方に設置された上記空冷ユニット(13,14)の空気熱交換器(33)と接続されている。
第1の発明では、水回路(20)が2つの水熱交換器(21,22)を有し、2つの水熱交換器(21,22)は、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて設けられている。そのため、2つの水熱交換器(21,22)を接続する水配管(27,28)が、作業スペース(S0)の一方側から他方側へ跨がっている。また、2つの水熱交換器(21,22)は、作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて設けられ、それぞれ作業スペース(S0)の同じ側に設けられた空冷ユニット(13,14)の空気熱交換器(33)と接続されている。そのため、各水熱交換器(21,22)と空気熱交換器(33)とを接続する冷媒配管(38,39)は、作業スペース(S0)に跨がらないように配置されている。
第2の発明は、第1の発明において、上記チラー装置(10)の運転を制御する制御装置(60)をさらに備え、上記第1空間(S1)には、上記作業スペース(S0)側に上記水熱交換器(22)と上記ポンプ(23)とが設置される一方、逆側に上記水回路(20)の出入口に接続される水配管(18,19)を収容する配管スペースが形成され、上記第2空間(S2)には、上記作業スペース(S0)側に上記水熱交換器(21)が設置される一方、逆側に上記制御装置(60)が設置されている。
第2の発明では、支持架台(50)の内部において、水回路(20)の構成機器を、中央の作業スペース(S0)の一方側の第1空間(S1)と他方側の第2空間(S2)とに分けて配置すると共に、それぞれの空間(S1,S2)において作業スペース(S0)の近くに集約して配置することとした。これにより、第1空間(S1)及び第2空間(S2)の作業スペース(S0)から遠い位置に空きスペースができる。そして、第1空間(S1)にできた空きスペースに水回路(20)と利用側装置とを接続する連絡配管(18,19)を収容し、第2空間(S2)にできた空きスペースには、制御装置(60)を収容することとした。
また、第2の発明では、水回路(20)の構成機器は、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の近くに集約して配置されている。つまり、水回路(20)の構成機器は、作業スペース(S0)にしゃがみ込んだ作業者の手の届く範囲に配置されている。よって、水回路(20)の構成機器のメンテナンスは、作業スペース(S0)にしゃがみ込んだ作業者によって行われる。一方、制御装置(60)と連絡配管(18,19)とは、作業者がチラー装置(10)の外側から容易に手を伸ばすことができる範囲に配置されている。そのため、制御装置(60)と連絡配管(18,19)のメンテナンスは、チラー装置(10)の外側から作業者が手を伸ばして行われる。
第3の発明は、また、第1又は第2の発明において第4の発明は、上記各空冷ユニット(11〜14)は、上記構成機器を内部に収容し、該構成機器のメンテナンス用の扉(16a)が形成されたケーシング(16)を備え、上記複数の空冷ユニット(11〜14)は、上記支持架台(50)の上部において、上記作業スペース(S0)の一方側と他方側とにそれぞれ2つずつ設置され、上記作業スペース(S0)に対して同じ側に設置された上記2つの空冷ユニット(11,12)(13,14)のうち、上記作業スペース(S0)側の上記空冷ユニット(12,13)は、上記扉(16a)が上記作業スペース(S0)側を向くように配置され、逆側の上記空冷ユニット(11,14)は、上記扉(16a)が上記作業スペース(S0)とは逆側を向くように配置されている。
第3及び第4の発明では、4つの空冷ユニット(11〜14)のうち、作業スペース(S0)の両側に配置された2つの空冷ユニット(12,13)は、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)側を向くように配置されているため、該2つの空冷ユニット(12,13)の構成機器のメンテナンスは、作業者が作業スペース(S0)に入り、該作業スペース(S0)からメンテナンス用の扉(16a)に対峙して行われる。残りの2つの空冷ユニット(11,14)の構成機器は、メンテナンス用の扉(16a)がチラー装置(10)の外側を向くように配置されているため、残りの2つの空冷ユニット(11,14)の構成機器のメンテナンスは、作業者がチラー装置(10)の外側に立ち、該チラー装置(10)の外側からメンテナンス用の扉(16a)に対峙して行われる。
第5の発明は、第3及び第4の発明において、上記作業スペース(S0)に対して同じ側に設置された上記2つの空冷ユニット(11,12)(13,14)の間には、空気を通過させるための通風スペースが形成され、上記作業スペース(S0)は、上記通風スペースよりも縦方向に長く形成されている。
第5の発明では、作業スペース(S0)は、該作業スペース(S0)に対して同じ側に設置された2つの空冷ユニット(11,12)(13,14)の間に形成された通風スペースよりも縦方向に長く形成されている。
第6の発明は、また、第1乃至第5のいずれか1つの発明において第7の発明は、上記支持架台(50)は、鉛直方向に延びる4つの支柱(53)と、縦方向に隣合う上記支柱(53)の上端を連結する2つの上側縦材(54)と、縦方向に隣合う上記支柱(53)の下端を連結する2つの下側縦材(56)と、上記2つの上側縦材(54)を連結する上側横材(55)と、上記2つの下側縦材(56)を連結する下側横材(57)とをそれぞれ有し、縦方向に並び、互いに連結された2つの架台部(51,52)を有し、上記複数の上側横材(55)は、上記2つの架台部(51,52)の連結部分を除く部分に設けられ、上記2つの架台部(51,52)の連結部分を挟む2つの上記上側横材(55)の間に上記作業スペース(S0)が形成されている。
第6及び第7の発明では、支持架台(50)は、4つの支柱(53)と、2つの上側縦材(54)と、2つの下側縦材(56)と、複数の上側横材(55)と、複数の下側横材(57)とによって軸組構造に構成された2つの架台部(51,52)によって構成されている。このように2つの軸組構造の架台部(51,52)を連結して1つの縦長の支持架台(50)を形成する場合、連結部分の強度を高めるために、連結部分に横部材を設けるのが好ましい。しかしながら、第6及び第7の発明では、複数の上側横材(55)を、2つの架台部(51,52)の連結部分を除く部分に設け、支持架台(50)の縦方向の中央部分に作業スペース(S0)を形成している。
第1、第3及び第6の発明によれば、縦長形状に形成されたチラー装置(10)において、支持架台(50)の上部に設置される複数の空冷ユニット(11〜14)と、支持架台(50)の内部に設置される水回路(20)の構成機器とを、それぞれ支持架台(50)の縦方向の中央部分に形成された作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて配置することとした。そのため、上記チラー装置(10)では、重心が縦方向の中央部分に位置することとなる。従って、上記チラー装置(10)をクレーン等で吊り上げてビル等の屋上まで搬送する際に、チラー装置(10)を傾かせることなく安定した姿勢で吊り上げることができる。
また、第1、第3及び第6の発明によれば、縦長形状に形成されたチラー装置(10)の縦方向の中央部分付近に、作業者が点検作業やメンテナンス作業を行うための作業スペース(S0)を形成することとした。そのため、縦長のチラー装置(10)を横方向に複数台連続設置する場合であっても、作業者は作業スペース(S0)から縦方向の中央部分付近に設置された構成機器に容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を行うことができる。また、チラー装置(10)の縦方向の端部付近に設置された構成機器には、作業者は、チラー装置(10)の外側から容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を行うことができる。
以上のように、第1、第3及び第6の発明によれば、横方向に複数台連続して設置した場合であっても、メンテナンス作業が容易で且つ搬送性に優れた縦長形状のチラー装置(10)を提供することができる。
また、第1の発明によれば、水回路(20)に接続された2つの水熱交換器(21,22)を、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて設けることとした。これにより、チラー装置(10)の重心を縦方向の中央部分に位置させ易くなる。一方、このように2つの水熱交換器(21,22)を作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて配置すると、2つの水熱交換器(21,22)を接続する水配管(27,28)が、作業スペース(S0)の一方側から他方側へ跨がることとなり、作業者が作業を行う際に、ひっかかるおそれがある。しかしながら、水配管(27,28)が作業スペース(S0)を跨がないように、2つの水熱交換器(21,22)を作業スペース(S0)の一方側と他方側のいずれかに集約して配置すると、各水熱交換器(21,22)と各空冷ユニット(11〜14)の空気熱交換器(33)とを接続する際に、これらを接続する冷媒配管(38,39)が作業スペース(S0)に跨がるおそれがある。作業者が冷媒配管(38,39)にひっかかって冷媒配管(38,39)が破損すると、冷媒が漏れるおそれがあり、また、冷媒配管(38,39)は、通常、水配管(27,28)よりも細いため、破損するおそれが高い。
そこで、第1の発明では、チラー装置(10)において、2つの水熱交換器(21,22)を接続する水配管(27,28)が作業スペース(S0)に跨がることを許容し、逆に、冷媒配管(38,39)が作業スペース(S0)に跨がるのを防止している。従って、第1の発明によれば、作業者が作業スペース(S0)で作業を行う際に、冷媒配管(38,39)が破損して冷媒が漏れるという事故を防止することができる。
また、第2の発明によれば、支持架台(50)の内部において、水回路(20)の構成機器を、中央の作業スペース(S0)の一方側の第1空間(S1)と他方側の第2空間(S2)とに分けて配置すると共に、それぞれの空間(S1,S2)において作業スペース(S0)の近くに集約して配置することとした。これにより、第1空間(S1)及び第2空間(S2)の作業スペース(S0)から遠い位置に空きスペースを形成することができる。そして、第1空間(S1)の空きスペースを水回路(20)と利用側装置とを接続する連絡配管(18,19)の設置スペースとして利用し、第2空間(S2)の空きスペースには、制御装置(60)の設置スペースとして利用することとした。従って、第2の発明によれば、チラー装置(10)を複数台並べて設置する場合であっても、互いのチラー装置(10)の水回路(20)を接続する連絡配管(18,19)を支持架台(50)の内部に設置することができる。従って、このようなチラー装置(10)によれば、複数台並べて配置する場合であっても、設置スペースを大型化させることなく、複数台を容易に連結することができる。
また、第2の発明によれば、上述のように、第1空間(S1)の作業スペース(S0)側に水熱交換器(22)とポンプ(23)とを設ける一方、第2空間(S2)では、作業スペース(S0)側に水熱交換器(21)を設け、逆側に制御装置(60)を設けることとしている。このような配置により、上記チラー装置(10)では、縦方向の中央に対して、第1空間(S1)の水熱交換器(22)と第2空間(S2)の水熱交換器(21)とがバランスし、第1空間(S1)のポンプ(23)と第2空間(S2)の制御装置(60)とがバランスすることにより、重心が縦方向の中央部分に位置することとなる。従って、上記チラー装置(10)をクレーン等で吊り上げてビル等の屋上まで搬送する際に、チラー装置(10)を傾かせることなく安定した姿勢で吊り上げることができる。
また、第2の発明によれば、上述のように、水回路(20)の構成機器が、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の近くに集約して配置され、連絡配管(18,19)と制御装置(60)とが、支持架台(50)の内部において縦方向の一端部と他端部とに配置されるように構成した。このような配置構成により、水回路(20)の構成機器のメンテナンスは、作業者が作業スペース(S0)に入ってしゃがみ込むことにより、該作業スペース(S0)から容易に行うことができ、連絡配管(18,19)と制御装置(60)のメンテナンスは、チラー装置(10)の外側から容易に行うことができる。
また、第3及び第4の発明によれば、4つの空冷ユニット(11〜14)のうち、作業スペース(S0)の両側に配置された2つの空冷ユニット(12,13)は、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)側を向くように配置し、残りの2つの空冷ユニット(11,14)は、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)とは逆側、即ち、チラー装置(10)の外側を向くように配置している。このように4つの空冷ユニット(11〜14)を配置することにより、作業スペース(S0)の両側に配置された2つの空冷ユニット(12,13)の構成機器のメンテナンスは作業スペース(S0)からメンテナンス用の扉(16a)に対峙することにより、容易に内部の構成機器にアクセスして容易にメンテナンスを行うことができる。一方、残りの2つの空冷ユニット(11,14)の構成機器のメンテナンスは、それぞれチラー装置(10)の外側からメンテナンス用の扉(16a)に対峙することにより、容易に内部の構成機器にアクセスして容易にメンテナンスを行うことができる。
また、第5の発明によれば、作業スペース(S0)を、該作業スペース(S0)に対して同じ側に設置された2つの空冷ユニット(11,12)(13,14)の間に形成された通風スペースよりも縦方向に長く形成することとした。このように広い作業スペース(S0)を形成することにより、作業者が作業スペース(S0)を利用して横方向に通行することが可能となる。よって、縦長のチラー装置(10)を横方向に複数台連続設置する場合には、作業者が作業スペース(S0)を横方向に通行することで、端に設置されたチラー装置(10)だけでなく、中程に設置されたチラー装置(10)の縦方向の中央部分付近に設置された構成機器にも容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
また、第6及び第7の発明によれば、支持架台(50)を構成する軸組構造の2つの架台部(51,52)の連結部分には、上側横材(55)を設けないこととした。このような構成により、縦長形状の支持架台(50)の縦方向の中央部分に、容易に作業スペース(S0)を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るチラー装置を複数台備えたチラーシステムについて説明する。なお、本発明に係るチラー装置は、1台のみで用いてももちろんよい。
《発明の実施形態1》
−チラーシステムの構成−
図1に示すように、チラーシステム(1)は、平面視において縦方向の長さが横方向の長さよりも長い縦長形状に形成された複数のチラー装置(10)を備えている。複数のチラー装置(10)は、横方向に並べて設置されている。チラーシステム(1)は、水が流通する連絡配管(18,19)を介して所定の利用側装置(例えば、大型の空気調和装置の利用側装置)に接続され、複数のチラー装置(10)において冷却した又は加熱した水を利用側装置に供給するように構成されている。
以下、チラー装置(10)の構成について詳述する。
〈チラー装置〉
図2及び図3に示すように、チラー装置(10)は、水回路(20)と、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)と、制御ユニット(60)と、支持架台(50)とを備えている。詳細については後述するが、水回路(20)と制御ユニット(60)とは、支持架台(50)の内部に設置され、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、支持架台(50)の上部に一列に配列されて該支持架台(50)の上部に据え付けられている。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)の配列方向を縦方向と呼び、この縦方向において第1空冷ユニット(11)側を前側、第4空冷ユニット(14)側を後側と呼ぶこととする。
[水回路]
図3及び図4に示すように、水回路(20)は、第1及び第2水熱交換器(21,22)とポンプ(23)とを構成機器として備え、これらの構成機器を、冷温水入口(24)と冷温水出口(25)との間に水配管(26〜29)によって接続したものである。
第1及び第2水熱交換器(21,22)は、第1の伝熱部(21a,22a)と、該第1の伝熱部(21a,22a)と熱交換する第2の伝熱部(21b,22b)と、上記第1の伝熱部(21a,22a)と熱交換する第3の伝熱部(21c,22c)とをそれぞれ有している。詳細については後述するが、各水熱交換器(21,22)において、第1の伝熱部(21a,22a)は、それぞれ水回路(20)に接続され、第2の伝熱部(21b,22b)及び第3の伝熱部(21c,22c)は、それぞれ別個の冷媒回路(30)に接続されている。
水回路(20)において、各構成機器は、冷温水入口(24)から冷温水出口(25)へ向かって、ポンプ(23)、第1水熱交換器(21)、第2水熱交換器(22)の順に直列に接続されている。具体的には、冷温水入口(24)とポンプ(23)の吸入側端とが水配管(26)によって接続され、ポンプ(23)の吐出側端と第1水熱交換器(21)の第1の伝熱部(21a)の入口端とが水配管(27)によって接続されている。また、第1水熱交換器(21)の第1の伝熱部(21a)の出口端と第2水熱交換器(22)の第1の伝熱部(22a)の入口端とが水配管(28)によって接続され、第2水熱交換器(22)の第1の伝熱部(22a)の出口端と冷温水出口(25)とが水配管(29)によって接続されている。
このように構成された水回路(20)は、第1及び第2連絡配管(18,19)を介して利用側装置に接続されている。具体的には、冷温水入口(24)は、利用側装置の流出口に接続された第1連絡配管(18)に接続されている。該第1連絡配管(18)には、他のチラー装置(10)の冷温水入口(24)も接続されている。一方、冷温水出口(25)は、利用側装置の流入口に接続された第2連絡配管(19)に接続されている。該第2連絡配管(19)には、他のチラー装置(10)の冷温水出口(25)も接続されている。このような構成により、水回路(20)は、第1及び第2連絡配管(18,19)を介して他のチラー装置(10)の水回路(20)と互いに並列に接続されている。
このような構成により、ポンプ(23)が駆動されると、第1連絡配管(18)を介して利用側装置から流出した水が、冷温水入口(24)を介して水回路(20)に引き込まれる。水回路(20)に引き込まれた水は、ポンプ(23)によって第1水熱交換器(21)に搬送され、該第1水熱交換器(21)の第1の伝熱部(21a)、第2水熱交換器(22)の第1の伝熱部(22a)の順に通過する。各水熱交換器(21,22)の第1の伝熱部(21a,22a)を流れる水は、各第2の伝熱部(21b,22b)及び各第3の伝熱部(21c,22c)を流れる冷媒と熱交換して加熱又は冷却される。各水熱交換器(21,22)において冷媒と熱交換して加熱又は冷却された水は、冷温水出口(25)を介して水回路(20)から流出し、第2連絡配管(19)を介して利用側装置に供給される。
[空冷ユニット]
<空冷ユニットの内部構成>
第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は同一に構成されている。なお、本実施形態では、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、冷媒回路の利用側熱交換器を有する室内機に接続される室外機によって構成されている。
具体的には、各空冷ユニット(11〜14)は、圧縮機(31)と四路切換弁(32)と空気熱交換器(33)と電子膨張弁(34)とアキュームレータ(35)とが接続された熱源側回路(30a)(図3を参照)と、送風ファン(33a)と、これらを収容するケーシング(16)とを有している。各空冷ユニット(11〜14)では、ケーシング(16)の上部空間に送風ファン(33a)が設置され、該送風ファン(33a)の下部空間に、空冷式の空気熱交換器(33)がケーシング(16)の空気の吸込口が形成された側面に沿うように設置されている。四路切換弁(32)と圧縮機(31)と電子膨張弁(34)とアキュームレータ(35)とは、空気熱交換器(33)の内側に配置されている。
なお、各空冷ユニット(11〜14)のケーシング(16)には、メンテナンス用の扉(16a)が形成されている。各空冷ユニット(11〜14)において、内部に設置された構成機器のメンテナンスは、この扉(16a)を開けて行われる。
<熱源側回路の回路構成>
各熱源側回路(30a)は、圧縮機(31)と、四路切換弁(32)と、空気熱交換器(33)と、膨張機構としての電子膨張弁(34)と、アキュームレータ(35)と、第1及び第2閉鎖弁(36,37)とを構成機器として備え、これらの構成機器を、冷媒配管によって接続したものである。各熱源側回路(30a)は、液冷媒配管(38)及びガス冷媒配管(39)を介して対応する上記水熱交換器(21,22)に接続され、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(30)を構成している。以下、熱源側回路(30a)の各要素について詳述する。
四路切換弁(32)は、第1〜第4ポート(a〜d)を有し、第1ポート(a)と第2ポート(b)とが連通し且つ第3ポート(c)と第4ポート(d)とが連通する第1の状態(図3の実線の状態)と、第1ポート(a)と第4ポート(d)とが連通し且つ第2ポート(b)と第3ポート(c)とが連通する第2の状態(図3の破線の状態)とに切り換わるように構成されている。
圧縮機(31)は、吸入側端が冷媒配管を介してアキュームレータ(35)の流出側に接続され、吐出側端が冷媒配管を介して四路切換弁(32)の第1ポート(a)に接続されている。
空気熱交換器(33)は、ガス側端が冷媒配管を介して四路切換弁(32)の第2ポート(b)に接続される一方、液側端が冷媒配管を介して電子膨張弁(34)の一端に接続されている。また、空気熱交換器(33)は、所謂、フィンアンドチューブ型の熱交換器によって構成され、空気と冷媒とを熱交換させる。なお、空気熱交換器(33)の近傍には、送風ファン(33a)が設けられ、該送風ファン(33a)によって空気が空気熱交換器(33)に導かれる。
電子膨張弁(34)は、上述のように一端が空気熱交換器(33)の液側端に接続される一方、他端が冷媒配管を介して閉鎖弁(36)の一端に接続されている。
アキュームレータ(35)は、流入側端が四路切換弁(32)の第3ポート(c)に接続される一方、流出側端は、上述のように、冷媒配管を介して圧縮機(31)の吸入側端に接続されている。
閉鎖弁(36)は、上述のように、一端が冷媒配管を介して電子膨張弁(34)に接続される一方、他端が液冷媒配管(38)に接続されている。
閉鎖弁(37)は、一端が冷媒配管を介して四路切換弁(32)の第4ポート(d)に接続される一方、他端がガス冷媒配管(39)に接続されている。
第1空冷ユニット(11)の熱源側回路(30a)は、液冷媒配管(38)及びガス冷媒配管(39)を介して第2水熱交換器(22)の第3の伝熱部(22c)に接続されて冷媒回路(30)を構成している。
第2空冷ユニット(12)の熱源側回路(30a)は、液冷媒配管(38)及びガス冷媒配管(39)を介して第2水熱交換器(22)の第2の伝熱部(22b)に接続されて冷媒回路(30)を構成している。
第3空冷ユニット(13)の熱源側回路(30a)は、液冷媒配管(38)及びガス冷媒配管(39)を介して第1水熱交換器(21)の第3の伝熱部(21c)に接続されて冷媒回路(30)を構成している。
第4空冷ユニット(14)の熱源側回路(30a)は、液冷媒配管(38)及びガス冷媒配管(39)を介して第1水熱交換器(21)の第2の伝熱部(21b)に接続されて冷媒回路(30)を構成している。
このような構成により、チラー装置(10)には、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)に対応して4つの冷媒回路(30)が設けられている。そして、4つの冷媒回路(30)において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことにより、第1及び第2水熱交換器(21,22)において水回路(20)の水が対応する冷媒回路(30)の冷媒によって冷却又は加熱される。
[支持架台の構成]
図5及び図6に示すように、支持架台(50)は、縦方向に並び、同形状に形成されて互いに連結された第1及び第2架台部(51,52)によって構成されている。各架台部(51,52)は、4つの支柱(53)と、2つの上側縦材(54)と、4つの上側横材(55)と、2つの下側縦材(56)と、4つの下側横材(57)と、4つの補強材(58)とをそれぞれ有している。
4つの支柱(53)は、鉛直方向に延びる鋼材であり、平面視において長方形の4つの角部に1つずつ配置されている。
2つの上側縦材(54)は、縦方向に延びる鋼材であり、4つの支柱(53)のうち、縦方向に隣合う2つの支柱(53)の上端どうしを連結している。
4つの上側横材(55)は、横方向に延びる鋼材であり、2つの上側縦材(54)を連結している。4つの上側横材(55)は、2つの上側縦材(54)の他の架台部(51,52)との連結側端部(第1架台部(51)では後端、第2架台部(52)では前端)を避けた位置に配置されている。詳細については後述するが、このように、第1及び第2架台部(51,52)において、上側横材(55)が2つの上側縦材(54)の連結側端部を避けた位置に配置されることにより、支持架台(50)の縦方向の中央部分に作業者が入って作業を行うための作業スペース(S0)が形成される。
2つの下側縦材(56)は、縦方向に延びる鋼材であり、4つの支柱(53)のうち、縦方向に隣合う2つの支柱(53)の下端どうしを連結している。
4つの下側横材(57)は、横方向に延びる鋼材であり、2つの下側縦材(56)を連結している。なお、4つの下側横材(57)は、上側横材(55)と異なり、2つの下側縦材(56)の他の架台部(51,52)との連結側端部(第1架台部(51)では後端、第2架台部(52)では前端)に設けられ、該連結側端部どうしを連結している。
4つの補強材(58)は、鉛直方向に延びる鋼材であり、上下に対向する上側縦材(54)と下側縦材(56)とを連結している。
このように第1及び第2架台部(51,52)は、同形状に形成され、縦方向に並べて互いに連結されている。このような構成により、支持架台(50)は、縦方向の長さが横方向の長さよりも長い縦長形状に形成されている。また、支持架台(50)の内部は、2つの架台部(51,52)の連結部分を挟む2つの上側横材(55)の間に、作業者が入って作業を行うための作業スペース(S0)が形成されている。なお、以下の説明では、支持架台(50)の内部において、作業スペース(S0)の前側の空間を第1空間(S1)、作業スペース(S0)の後側の空間を第2空間(S2)と呼ぶ。
[支持架台の内部における各種構成機器の配置構成]
図4及び図7に示すように、縦長形状に形成された支持架台(50)の内部には、水回路(20)の構成機器と制御ユニット(60)とが設置されている。これらの架台内機器は、支持架台(50)の内部において、上述した作業スペース(S0)を避けた位置、即ち、作業スペース(S0)の前側の第1空間(S1)と後側の第2空間(S2)とに分散して設けられている。
具体的には、第1空間(S1)に、第2水熱交換器(22)とポンプ(23)とが設置され、第2空間(S2)に、第1水熱交換器(21)と制御ユニット(60)とが設置されている。また、第1空間(S1)では、水回路(20)の構成機器である第2水熱交換器(22)とポンプ(23)とは、作業スペース(S0)寄りの位置に集めて設置されている。一方、第2空間(S2)では、水回路(20)の構成機器である第1水熱交換器(21)が作業スペース(S0)寄りの位置に設置されている。
上述のように、水回路(20)の構成機器を、第1空間(S1)と第2空間(S2)とに分散して配置することにより、チラー装置(10)において重心位置が縦方向の中央部分に位置し易くなる。また、水回路(20)の構成機器を、第1空間(S1)と第2空間(S2)とにおいて作業スペース(S0)寄りの位置に集めて設置することにより、第1空間(S1)と第2空間(S2)とにおいて作業スペース(S0)とは逆側に、空きスペースを形成することができる。
そこで、本実施形態では、支持架台(50)の内部において、水回路(20)を、冷温水入口(24)と冷温水出口(25)とが第1空間(S1)の前端の空きスペースに位置するように配置し、該空きスペースに、冷温水入口(24)と利用側装置とを接続する第1連絡配管(18)と、冷温水出口(25)と利用側装置とを接続する第2連絡配管(19)とを設置している。また、第2空間(S2)の空きスペースには、制御ユニット(60)を設置している。
[支持架台の上部における空冷ユニットの配置構成]
図2,図6及び図8に示すように、縦長形状に形成された支持架台(50)の上部には、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)が縦方向に一列に配列されて据え付けられている。第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、縦方向の前側から後側に向かってこの順に配列されている。つまり、第1及び第2空冷ユニット(11,12)は、前側の第1架台部(51)の上部に設置され、第3及び第4空冷ユニット(13,14)は、後側の第2架台部(52)の上部に設置されている。
また、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、支持架台(50)の上部において、作業スペース(S0)の前側と後側とに2つずつ分散して配置されている。具体的には、第1及び第2空冷ユニット(11,12)は、作業スペース(S0)よりも前側の位置に設置され、第3及び第4空冷ユニット(13,14)は、作業スペース(S0)より後側の位置に設置されている。このような構成により、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、作業スペース(S0)が閉塞されないように、作業スペース(S0)の上部を避けた位置に設置されている。
第1及び第3空冷ユニット(11,13)は、ケーシング(16)に形成されたメンテナンス用の扉(16a)が、前側を向くように配置されている。一方、第2及び第4空冷ユニット(12,14)は、ケーシング(16)に形成されたメンテナンス用の扉(16a)が、後側を向くように配置されている。
ここで、上述のように、第1〜第4空冷ユニット(11〜14)は、作業スペース(S0)の上部を避けた位置に設置されている。つまり、第2空冷ユニット(12)と第3空冷ユニット(13)との間には、作業者が入って作業を行える程度の間隔が空いている。そして、作業スペース(S0)を挟んで相対する第2空冷ユニット(12)と第3空冷ユニット(13)とは、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)側を向くように配置されている。このような配置により、作業スペース(S0)に入り込んだ作業者によって、容易に第2空冷ユニット(12)と第3空冷ユニット(13)のメンテナンス作業が行える。
一方、支持架台(50)の前端に配置された第1空冷ユニット(11)と後端に配置された第4空冷ユニット(14)とは、メンテナンス用の扉(16a)が、作業スペース(S0)とは逆側、即ち、支持架台(50)の端部側(チラー装置(10)の外側)を向くように配置されている。つまり、支持架台(50)の前端に配置された第1空冷ユニット(11)は、メンテナンス用の扉(16a)が、前側を向くように配置され、支持架台(50)の後端に配置された第4空冷ユニット(14)は、メンテナンス用の扉(16a)が、後側を向くように配置されている。このような配置により、作業者は、チラー装置(10)の外側から手を伸ばして容易に第1空冷ユニット(11)と第4空冷ユニット(14)のメンテナンス作業が行える。
ここで、上記作業スペース(S0)は、各構成機器の点検作業やメンテナンス作業を行う作業者が入ることが可能な大きさに形成されている。具体的には、図8に示すように、作業スペース(S0)は、空気を通過させるための通風スペースが形成された第1空冷ユニット(11)と第2空冷ユニット(12)との間の間隔D1及び第3空冷ユニット(13)と第4空冷ユニット(14)との間隔D2よりも縦方向の長さが長くなるように形成されている。より具体的には、作業スペース(S0)は、縦方向の長さが500mm程度の大きさとなるように形成されている。この作業スペース(S0)に対応して、第2空冷ユニット(12)と第3空冷ユニット(13)との縦方向の間隔も500mm程度の大きさに形成されている。
−運転動作−
このような構成により、複数のチラー装置(10)を備えたチラーシステム(1)では、各チラー装置(10)において、冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させて冷却した水回路(20)の水を利用側装置に供給する冷却運転と、冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させて加熱した水回路(20)の水を利用側装置に供給する加熱運転とが行われる。
具体的には、冷却運転では、各冷媒回路(30)において、四路切換弁(32)が第1の状態に切り換えられ、冷媒が、圧縮機(31)、空気熱交換器(33)、電子膨張弁(34)、水熱交換器(21,22)、アキュームレータ(35)の順に通過するように循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。これにより、空気熱交換器(33)が放熱器となって冷媒が空気に放熱する一方、第1及び第2水熱交換器(21,22)が蒸発器となって冷媒が水回路(20)の水から吸熱する。また、このとき、水回路(20)では、ポンプ(23)により、利用側装置からの水が冷温水入口(24)から取り込まれ、ポンプ(23)、第1水熱交換器(21)、第2水熱交換器(22)の順に通過して、冷温水出口(25)を介して利用側装置へ供給される。よって、第1水熱交換器(21)及び第2水熱交換器(22)において冷媒と熱交換して冷却された水(冷水)が利用側装置へ供給される。
一方、加熱運転では、各冷媒回路(30)において、四路切換弁(32)が第2の状態に切り換えられ、冷媒が、圧縮機(31)、第1及び第2水熱交換器(21,22)、電子膨張弁(34)、空気熱交換器(33)、アキュームレータ(35)の順に通過するように循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。これにより、空気熱交換器(33)が蒸発器となって冷媒が空気から吸熱する一方、第1及び第2水熱交換器(21,22)が凝縮器となって冷媒が水回路(20)の水へ放熱する。また、このとき、水回路(20)では、ポンプ(23)により、利用側装置からの水が冷温水入口(24)から取り込まれ、ポンプ(23)、第1水熱交換器(21)、第2水熱交換器(22)の順に通過して、冷温水出口(25)を介して利用側装置へ供給される。よって、第1水熱交換器(21)及び第2水熱交換器(22)において冷媒と熱交換して加熱された水(温水)が利用側装置へ供給される。
−メンテナンス作業−
上記チラーシステム(1)では、各チラー装置(10)の構成機器のメンテナンス作業が定期的に行われる。
制御ユニット(60)のメンテナンスを行う際には、作業者は、チラーシステム(1)の後側に回り込み、支持架台(50)の内部の後端部に設置された制御ユニット(60)にアクセスしてメンテナンスを行う。また、第4空冷ユニット(14)の圧縮機(31)等の構成機器のメンテナンスを行う際にも、同様に、作業者がチラーシステム(1)の後側に回り込み、後側に取り付けられたメンテナンス用の扉(16a)を開いて内部の構成機器のメンテナンスを行う。
一方、水回路(20)の構成機器のメンテナンスを行う際には、作業者は、支持架台(50)の中央部分に形成された作業スペース(S0)に入り、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)寄りの位置に設置された水回路(20)の構成機器のメンテナンスを行う。また、第2及び第3空冷ユニット(12,13)の圧縮機(31)等の構成機器のメンテナンスを行う際には、作業者は、支持架台(50)の中央部分に形成された作業スペース(S0)に入る又は支持架台(50)の作業スペース(S0)を区画する部分に乗り、作業スペース(S0)側に取り付けられたメンテナンス用の扉(16a)を開いて内部の構成機器のメンテナンスを行う。
また、第1空冷ユニット(11)の圧縮機(31)等の構成機器のメンテナンスを行う際には、作業者がチラーシステム(1)の前側に回り込み、前側に取り付けられたメンテナンス用の扉(16a)を開いて内部の構成機器のメンテナンスを行う。
また、チラーシステム(1)の中程のチラー装置(10)の水回路(20)の構成機器のメンテナンスを行う際には、作業者は、端に設置されたチラー装置(10)から中程に設置されたチラー装置(10)へ向かって各作業スペース(S0)を順に横断して、中程のチラー装置(10)の作業スペース(S0)に至り、メンテナンス作業を行う。つまり、このような場合には、端に設置されたチラー装置(10)の作業スペース(S0)が、中程のチラー装置(10)の作業スペース(S0)へのアクセス通路として利用される。
−実施形態1の効果−
以上の構成により、本実施形態1によれば、縦長形状に形成されたチラー装置(10)において、支持架台(50)の上部に設置される複数の空冷ユニット(11〜14)と、支持架台(50)の内部に設置される水回路(20)の構成機器とを、それぞれ支持架台(50)の縦方向の中央部分に形成された作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて配置することとした。そのため、上記チラー装置(10)では、重心が縦方向の中央部分に位置することとなる。従って、上記チラー装置(10)をクレーン等で吊り上げてビル等の屋上まで搬送する際に、チラー装置(10)を傾かせることなく安定した姿勢で吊り上げることができる。
また、本実施形態1によれば、縦長形状に形成されたチラー装置(10)の縦方向の中央部分付近に、作業者が点検作業やメンテナンス作業を行うための作業スペース(S0)を形成することとした。そのため、縦長のチラー装置(10)を横方向に複数台連続設置する場合であっても、作業者は作業スペース(S0)から縦方向の中央部分付近に設置された構成機器に容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を行うことができる。また、チラー装置(10)の縦方向の端部付近に設置された構成機器には、作業者は、チラー装置(10)の外側から容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を行うことができる。
以上のように、本実施形態1によれば、横方向に複数台連続して設置した場合であっても、メンテナンス作業が容易で且つ搬送性に優れた縦長形状のチラー装置(10)を提供することができる。
また、本実施形態1によれば、水回路(20)に接続された2つの水熱交換器(21,22)を、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて設けることとした。これにより、チラー装置(10)の重心を縦方向の中央部分に位置させ易くなる。一方、このように2つの水熱交換器(21,22)を作業スペース(S0)の一方側と他方側とに分けて配置すると、2つの水熱交換器(21,22)を接続する水配管(27,28)が、作業スペース(S0)の一方側から他方側へ跨がることとなり、作業者が作業を行う際に、ひっかかるおそれがある。しかしながら、水配管(27,28)が作業スペース(S0)を跨がないように、2つの水熱交換器(21,22)を作業スペース(S0)の一方側と他方側のいずれかに集約して配置すると、各水熱交換器(21,22)と各空冷ユニット(11〜14)の空気熱交換器(33)とを接続する際に、これらを接続する冷媒配管(38,39)が作業スペース(S0)に跨がるおそれがある。作業者が冷媒配管(38,39)にひっかかって冷媒配管(38,39)が破損すると、冷媒が漏れるおそれがあり、また、冷媒配管(38,39)は、通常、水配管(27,28)よりも細いため、破損するおそれが高い。
そこで、本実施形態1では、チラー装置(10)において、2つの水熱交換器(21,22)を接続する水配管(27,28)が作業スペース(S0)に跨がることを許容し、逆に、冷媒配管(38,39)が作業スペース(S0)に跨がるのを防止している。従って、本実施形態1によれば、作業者が作業スペース(S0)で作業を行う際に、冷媒配管(38,39)が破損して冷媒が漏れるという事故を防止することができる。
また、本実施形態1によれば、支持架台(50)の内部において、水回路(20)の構成機器を、中央の作業スペース(S0)の一方側の第1空間(S1)と他方側の第2空間(S2)とに分けて配置すると共に、それぞれの空間(S1,S2)において作業スペース(S0)の近くに集約して配置することとした。これにより、第1空間(S1)及び第2空間(S2)の作業スペース(S0)から遠い位置に空きスペースを形成することができる。そして、第1空間(S1)の空きスペースを水回路(20)と利用側装置とを接続する連絡配管(18,19)の設置スペースとして利用し、第2空間(S2)の空きスペースには、制御ユニット(60)の設置スペースとして利用することとした。従って、本実施形態1によれば、チラー装置(10)を複数台並べて設置する場合であっても、互いのチラー装置(10)の水回路(20)を接続する連絡配管(18,19)を支持架台(50)の内部に設置することができる。従って、このようなチラー装置(10)によれば、複数台並べて配置する場合であっても、設置スペースを大型化させることなく、複数台を容易に連結することができる。
また、本実施形態1によれば、上述のように、第1空間(S1)の作業スペース(S0)側に第2水熱交換器(22)とポンプ(23)とを設ける一方、第2空間(S2)では、作業スペース(S0)側に第1水熱交換器(21)を設け、逆側に制御ユニット(60)を設けることとしている。このような配置により、上記チラー装置(10)では、縦方向の中央に対して、第1空間(S1)の第2水熱交換器(22)と第2空間(S2)の第1水熱交換器(21)とがバランスし、第1空間(S1)のポンプ(23)と第2空間(S2)の制御ユニット(60)とがバランスすることにより、重心が縦方向の中央部分に位置することとなる。従って、上記チラー装置(10)をクレーン等で吊り上げてビル等の屋上まで搬送する際に、チラー装置(10)を傾かせることなく安定した姿勢で吊り上げることができる。
また、本実施形態1によれば、上述のように、水回路(20)の構成機器が、支持架台(50)の内部において作業スペース(S0)の近くに集約して配置され、連絡配管(18,19)と制御ユニット(60)とが、支持架台(50)の内部において縦方向の一端部と他端部とに配置されるように構成した。このような配置構成により、水回路(20)の構成機器のメンテナンスは、作業者が作業スペース(S0)に入ってしゃがみ込むことにより、該作業スペース(S0)から容易に行うことができ、連絡配管(18,19)と制御ユニット(60)のメンテナンスは、チラー装置(10)の外側から容易に行うことができる。
また、本実施形態1によれば、4つの空冷ユニット(11〜14)のうち、作業スペース(S0)の両側に配置された2つの第2及び第3空冷ユニット(12,13)は、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)側を向くように配置し、残りの2つの第1及び第4空冷ユニット(11,14)は、メンテナンス用の扉(16a)が作業スペース(S0)とは逆側、即ち、チラー装置(10)の外側を向くように配置している。このように4つの第1〜第4空冷ユニット(11〜14)を配置することにより、作業スペース(S0)の両側に配置された2つの第2及び第3空冷ユニット(12,13)の構成機器のメンテナンスは作業スペース(S0)からメンテナンス用の扉(16a)に対峙することにより、容易に内部の構成機器にアクセスして容易にメンテナンスを行うことができる。一方、残りの2つの第1及び第4空冷ユニット(11,14)の構成機器のメンテナンスは、それぞれチラー装置(10)の外側からメンテナンス用の扉(16a)に対峙することにより、容易に内部の構成機器にアクセスして容易にメンテナンスを行うことができる。
また、本実施形態1によれば、作業スペース(S0)を、該作業スペース(S0)に対して同じ側に設置された2つの空冷ユニット(11,12)(13,14)の間に形成された通風スペースよりも縦方向に長く形成することとした。このように広い作業スペース(S0)を形成することにより、作業者が作業スペース(S0)を利用して横方向に通行することが可能となる。よって、縦長のチラー装置(10)を横方向に複数台連続設置する場合には、作業者が作業スペース(S0)を横方向に通行することで、端に設置されたチラー装置(10)だけでなく、中程に設置されたチラー装置(10)の縦方向の中央部分付近に設置された構成機器にも容易にアクセスして点検作業やメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態1によれば、支持架台(50)を構成する軸組構造の2つの架台部(51,52)の連結部分には、上側横材(55)を設けないこととした。このような構成により、縦長形状の支持架台(50)の縦方向の中央部分に、容易に作業スペース(S0)を形成することができる。
また、本実施形態1によれば、各空冷ユニット(11〜14)を、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、冷媒回路の利用側熱交換器を有する室内機に接続される室外機と同様の構成とした。そのため、チラー装置(10)を、広く普及している空気調和装置の室外機を用いて容易に構成することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、図3に示すように、四路切換弁(32)を有する冷媒回路(30)を備えて冷却運転と加熱運転とが行われるチラー装置(10)を示したが、本発明に係るチラー装置はこれに限られず、例えば、冷媒回路(30)に四路切換弁(32)を設けず、チラー装置(10)の運転を冷却運転のみ又は加熱運転のみに制限してもよい。
また、上記実施形態では、各空冷ユニット(11〜14)にアキュームレータ(35)を設けていたが、設けないこととしてももちろんよい。
また、上記実施形態における第1及び第2連絡配管(18,19)は、各チラー装置(10)に予め設置される複数の部分を連結することによって構成されるものであってもよい。この場合、複数のチラー装置(10)を横方向に並べてチラーシステム(1)とする際に、隣合うチラー装置(10)に予め設置された第1及び第2連絡配管(18,19)の一部分どうしを連結して、第1及び第2連絡配管(18,19)を構成すればよい。